JP5648259B2 - ポリエチレンテレフタレート粉体の製造方法および成形体の製造方法 - Google Patents

ポリエチレンテレフタレート粉体の製造方法および成形体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリエステル樹脂粉体およびその製造方法ならびにポリエステル樹脂粉体を用いた成形体の製造方法に関する。
プラスチック(樹脂)の微粒子は、その軽量性、透明性、熱融着性、疎水性、低熱伝導性など、多くの優位性をもった機能性材料である。このようなプラスチック微粒子は、人工ラテックス、紙などのコーティング剤、バインダ、塗料用の添加剤、接着剤、薬剤、染料または香料等の揮発性活性物質用の担体、トナーおよび化粧品添加剤等の幅広い用途がある。
このようなプラスチック微粒子を製造する方法として、原料から合成していく乳化重合法や懸濁重合法、良溶剤と貧溶剤および界面活性剤を組み合わせて行う乳化沈殿法、さらにはプラスチック成形体を物理的・機械的に粉砕することによって製造する応力粉砕方法が一般的である。これらの製造方法のなかで、乳化重合法や懸濁重合法はサイズの揃った微粒子を合成するための優れた方法であるが、適用可能なモノマーが制限されるという欠点がある。また、乳化重合法や懸濁重合法を含めて、これらの合成法により得られるプラスチック微粒子は一般に分子量が大きく、かつ使用される界面活性剤や分散剤などの化学物質の吸着によって界面の化学的性質が決定されている。
また、ポリエチレンテレフタレートや、ポリ乳酸などの重縮合系及び又はアニオン重合系のプラスチックは、減圧条件や禁水条件などの理由により、乳化重合法や懸濁重合法を用いることは難しく、乳化沈殿法や成形体の応力粉砕法が用いられる。しかし、乳化沈殿法の場合、大量の有機溶剤や乳化剤を必要とするため、環境負荷の観点からは成形体の応力粉砕法がより望ましい方法である。
応力粉砕法として、例えば、複数種類の粗粒状のプラスチックを機械粉砕する技術(特許文献1)等の種々の技術が開示されている。
しかし、高分子量であるプラスチックは強靭な機械的物性を有しているため、粉砕するためにはいずれも特殊な粉砕条件や粉砕機を必要とする。また、粉砕により得られるプラスチック微粒子は、高い分子量がそのまま維持される。
一方、上記のような特別に強力な粉砕装置を用いない方法として、主として乳酸ポリマーからなる成形品を、圧力容器内で、水分の存在下で100℃以上、1気圧以上に加熱加圧して成形品を分解させるポリマー成形品の処理方法が開示されている(特許文献2)。この方法によれば、ポリマーを加水分解して分子量1000以下、さらには数百以下まで低分子量化し、ペースト状あるいは粉末状にすることができるとされている。
また、重量平均分子量5万〜200万の乳酸ポリマー及び/またはその誘導体を例えばオートクレーブ等の反応器に入れて、減圧及び/または気相置換して水蒸気を導入し、加熱水蒸気雰囲気中で乳酸ポリマー及び/またはその誘導体を加水分解し、その後、減圧して水蒸気を排出し、乾燥空気及び/または不活性ガスを導入し、得られた重量平均分子量1千〜5万の乳酸オリゴマー及び/またはその誘導体を回収する乳酸オリゴマー及び/またはその誘導体の回収方法が開示されている(特許文献3)。この方法によれば、乳酸オリゴマー等のラセミ化を抑制しつつ、効果的にかつ選択的に乳酸オリゴマーを回収できるとされている。
しかし、いずれの方法においても、圧力容器を用いることは、高圧のため設備費がかかるばかりでなく、安全性の確保が必要であり、スケールアップも難しいものと考えられる。また、水蒸気を処理庫内に閉じ込めるため、得られる粉末は通常、酸性成分を含んだ湿潤な状態であり、そのままで再利用することは難しい。さらにまた、特許文献2の技術によって得られる粉末の粒径は不明であり、一方、特許文献3の技術によって例えば最終的に平均粒度200mesh以下の結晶粒が得られるとされているが、上記のように乾燥空気及び/または不活性ガスを導入して乾燥することが必須とされている。
なお、プラスチック微粒子を得るものではないが、生分解性樹脂を含有する成形物を微生物方式のコンポスト化装置によって分解処理する前に、100℃以上の水蒸気に5分間以上接触させる技術が開示されている(特許文献4)。この技術によれば、加水分解により生分解性樹脂の分子量を低下させることでコンポスト処理時の成形物の分解をより加速することができるとされている。
ところで、日本では循環型社会形成推進基本法の下、容器包装リサイクル法や家電リサイクル法、さらには自動車リサイクル法などの法律施行により、大量のプラスチック資源が回収され、再利用されている。
そのなかでもポリエチレンテレフタレートは、容器包装リサイクル法のなかでPETボトルとして独自にかつ大量に回収され再商品化されている。このような回収と再利用を行うリサイクルの現場において、より安全にかつ大量に処理できる効率的なリサイクル方法の開発が望まれており、さらにそのリサイクル後の再商品化において、高い性能や機能性をもった再生品、例えばプラスチックの微細粉体の開発が望まれている。
また、バイオマス由来のプラスチックであるポリ乳酸容器包装は、脱化石資源の一方策として活用が進められているが、これについても、効率的な循環利用が求められている。
これらのプラスチック資源を回収・再利用する技術として、上記した各技術が適宜選定して用いられるが、上記のような種々の問題点がある。
なお、これらの技術の他に、水蒸気加熱によってプラスチックを低分子の液体にする技術があるが、これはプラスチック微粒子を得るものではなく、また、圧力容器を用いることが必要である。
特開平06−304489号公報 特開平05−178977号公報 特開2009−249508号公報 特開2005−298565号公報
解決しようとする問題点は、分子量が数万以下で、含水率が低く、乳化剤などの化学物質による表面制御もない、粒径が数百μm以下のポリエステル樹脂粉体が容易に得られない点である。
また、解決しようとする他の問題点は、ポリエステル樹脂の成形体を粉化処理するのに、高価で処理が煩雑な粉砕装置や圧力容器を必要とする点である。
本発明に係るポリエチレンテレフタレート粉体の製造方法は、ポリエチレンテレフタレートの成形容器包装を、170℃を超える温度であって該ポリエチレンテレフタレートの成形容器包装の融点を下回る温度範囲の常圧過熱水蒸気で加熱処理してモニタリングによりポリエチレンテレフタレートの分子量が20000未満に低減したことを確認した後、粉砕することを特徴とする。
また、本発明に係る成形体の製造方法は、上記のポリエチレンテレフタレート粉体の製造方法により得られるポリエチレンテレフタレート粉体と粘土とを配合することを特徴とする。
本発明に係るポリエステル樹脂粉体は、平均分子量が20000以下で、粒径250μm以下の粒子の含有量が90質量%以上であり、含水率が1質量%以下であるため、機能性樹脂として、例えばバインダや人工ラテックスその他広範な用途に用いることができる。
また、本発明に係るポリエステル樹脂粉体の製造方法は、ポリエステル樹脂の成形容器包装を、100℃を超える温度であってポリエステル樹脂の成形容器包装の融点を下回る温度範囲の常圧過熱水蒸気で加熱処理した後、粉砕するため、上記のポリエステル樹脂粉体を好適に得ることができる。また、ポリエステル樹脂の成形容器包装のリサイクルを、高価で処理が煩雑な粉砕装置や圧力容器を必要とすることなく簡易に行うことができる。
また、本発明に係る成形体の製造方法は、上記のポリエステル樹脂粉体を原料とするため、ポリエステル樹脂粉体の機能性樹脂としての作用を活かした成形体を好適に得ることができる。
図1はポリエチレンテレフタレート(PET)成形品の過熱水蒸気分解の状態の一例を示す写真図である。 図2はポリカーボネート(PC)フィルムの過熱水蒸気処理の状態の一例を示す写真図である。
本発明の実施の形態について、以下に説明する。
まず、本実施の形態に係るポリエステル樹脂粉体について説明する。
本実施の形態に係るポリエステル樹脂粉体は、平均分子量が20000以下で、粒径250μm以下の粒子の含有量が90質量%以上であり、含水率が1質量%以下である。
ポリエステルは、主鎖にエステル結合をもつ高分子物質の総称であり、多価アルコールと多塩基酸の重縮合体、または環状エステル類の開環重合体である。ポリエステル樹脂は、ポリ乳酸、ポリ-3-ヒドロキシ酪酸、ポリ-4-ヒドロキシ酪酸、ポリ-3-ヒドロキシ吉草酸、ポリ(3-ヒドロキシ酪酸−co-4−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(3-ヒドロキシ酪酸−co-3−ヒドロキシ吉草酸)、ポリ(3-ヒドロキシ酪酸−co-3−ヒドロキシヘキサン酸)、ポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル類;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等の芳香族ポリエステルが挙げられる。
ポリエステル樹脂が、ポリ乳酸もしくはポリエチレンテレフタレートまたはそれらの誘導体であることは好適な実施態様である。
ポリ乳酸は、L−乳酸およびD−乳酸を脱水縮合して合成したポリマー;L−乳酸およびD−乳酸のメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ノルマル、イソおよびターシャルブチルエステル類を脱アルコール縮合して合成したポリマー;L,L−ラクチド、D,D−ラクチド、メソラクチドなどのラクチド類を開環重合して合成したポリマーである。
このポリ乳酸のなかでも、連鎖内のL−またはD−乳酸ユニットの割合が90%以上である場合、得られるポリ乳酸が結晶性に優れており、様々な用途に展開可能であるためより好ましく用いられる。さらに、L−乳酸ユニットの割合が95%以上であるポリ乳酸が、合成および入手の容易さから、最も好ましい。
ポリ乳酸の誘導体は、乳酸およびラクチドと共重合しうるモノマーユニットが共重合しているポリマー類である。具体的なユニットとしては、共重合可能なユニットであれば何ら制限なく用いることが可能である。好適な共重合ユニットを例示すれば、グリコール酸ユニット、ε−カプロラクトンユニット(ω−ヒドロキシヘキサン酸ユニット)およびヒドロキシエチルオキシプロピオン酸ユニットなどが、ランダム共重合、ブロック共重合、および/またはグラフト共重合されたものが挙げられる。好ましくは、ε-カプロラクトンユニットをブロック共重合したもの、またグリコール酸ユニットをランダム共重合したものが挙げられる。
ポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸とエチレングリコールから脱水縮合によって合成されるポリマー、あるいはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールから脱アルコール縮合によって合成されるポリマーである。ポリエチレンテレフタレートは、その分子量に応じて異なる用途に用いられる。
ポリエチレンテレフタレートの誘導体は、共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物をいう。共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂は、全ジカルボン酸成分の80モル%
以上がテレフタル酸、全グリコール成分の80モル% 以上がエチレングリコールからなる。また、共重合成分としては、ジカルボン酸成分としてコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが好ましく挙げられ、グリコール成分として、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが好ましく挙げられる。なお、これらの共重合成分は1種のみでなく2種以上を併用してもよい。
ポリエステル樹脂の平均分子量は、それぞれの樹脂の溶解性などの特性によってその測定法は異なり、それぞれに適した測定法によって得られる。さらに、それぞれの測定法によって得られる分子量の表し方は、数平均分子量、重量平均分子量、粘度平均分子量等があり、個々の測定法に対応した平均分子量で表わされる。
ポリ乳酸およびその誘導体の平均分子量は、上記のいずれの平均分子量でも表わすことが可能である。一般的に、ポリマーの溶融粘性や溶融流動性、靭性などの機械的な物性には重量平均分子量が反映されるため、本実施の形態では重量による重み付けをした重量平均分子量で表わす。
ポリ乳酸およびその誘導体の重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC(GPC))法によって測定する。
SEC法によって求められる分子量(M)は、ポリスチレンを基準とした分子量であり、ポリマーサンプルの絶対分子量を求めるには、ユニバーサル較正曲線法(UCM)が利用される。
これは、下記式1に示される関係に基づくものであり、かかる関係を用いることによって、ポリマーサンプル(A)の絶対分子量(M)をポリスチレン(B)換算分子量(M)から求めることができる。ここで、[η]は還元粘度を表す。還元粘度[η]については、下記式2で表わされ、K(dl/g)およびaはMark−Houwink−Sakuradaパラメータといわれる比例定数である。
ポリ乳酸については、40℃のクロロホルム溶液でのパラメータとして、K=2.068×10−4 (dL/g)、a=0.734が測定されており、ポリスチレンについては、同じ40℃のクロロホルム溶液でのパラメータとして、K=2.072×10−4 (dL/g)、a=0.655が測定されている。これらの値を用いて計算することにより、ポリ乳酸の絶対分子量を求めることができる。
かかるUCM法を用いて評価された分子量は、ポリスチレン基準分子量の約30〜50%の範囲であり、分子量によって直線的に変化する。
ポリ乳酸およびその誘導体の重量平均分子量の測定は、具体的には、Polymer Degradation and Stability、95巻, 1238頁(2010)に準拠して行うことで正確に評価可能である。
ポリエチレンテレフタレートおよびその誘導体の平均分子量は、上記のSEC法では測定が困難であるため、溶液粘度法によって測定される粘度平均分子量で評価される。
溶剤としてフェノール/テトラクロロエタン(60:40質量比)を用い、粘度測定は、ウベローデ型粘度計を用い、30℃の温度で、還元粘度[η]を測定し、Mark−Houwink−SakuradaパラメータK=2.29×10−4(dL/g)、a=0.73を用いて上記式2より粘度平均分子量Mv値が求められる。
ポリエチレンテレフタレートおよびその誘導体の平均分子量は、具体的には、Polymer Degradation and Stability、83巻,3頁(2004)に準拠して行う。
ポリエステル樹脂粉体は、平均分子量が20000以下であるため、表面に水酸基とカルボキシル基が多数存在する。
ポリエステル樹脂粉体の粒子の粒径分布は、JIS−K−0069に準拠し、ポリエステル樹脂粉体の粒子200gを電磁振動篩い分け器(目開き250μm、150μm、106μmおよび63μmの4段 いずれも材質SUS;200mm(直径)×60mm(高さ))を使用して10分間の篩分け処理をして測定される値である。
本実施の形態に係るポリエステル樹脂粉体は、粒径250μm以下の粒子の含有量が90質量%以上であるため、基本的に単位体積あるいは単位質量当たりの表面自由エネルギーが大きい。さらに、ポリエステル樹脂が本来持っている分子末端のカルボキシル基や水酸基が表面自由エネルギーの増大に大きく寄与する。とりわけ、後述する本実施の形態に係る過熱水蒸気処理は、非晶領域で加水分解を優先的に生起させる。かつ続いて実施される破砕・粉砕は、この加水分解によって生成したカルボキシル基や水酸基が偏在する非晶領域を繋ぐライン上で進行し、結果として、粉砕された表面にはカルボキシル基や水酸基が偏在し、その表面自由エネルギーをさらに高める結果となる。
ポリエステル樹脂粉体の含水率は、JIS−K−0068に準拠し、水含有量測定装置を用いる乾燥減量法(熱重量分析法)により測定される値である。
本実施の形態に係るポリエステル樹脂粉体は、含水率が1質量%以下であるため、凝集による固化等のおそれがなく、取り扱い性に優れる。
以上説明した本実施の形態に係るポリエステル樹脂粉体は、粒子の表面に官能基を有し、また、表面自由エネルギーが大きいため、機能性粒子として様々な用途に利用可能である。
例えば、人工ラテックス、紙などのコーティング剤、バインダ、塗料用の添加剤、接着剤、薬剤、染料または香料等の揮発性活性物質用の担体、トナー、化粧品添加剤、有機フィラー、粉体塗料、コンポジット製造のための有機/無機微粒子との混合粉体原料等の幅広い用途に用いることができる。
つぎに、本実施の形態に係るポリエステル樹脂粉体の製造方法について説明する。
本実施の形態に係るポリエステル樹脂粉体の製造方法は、ポリエステル樹脂の成形容器包装を、100℃を超える温度であってポリエステル樹脂の成形容器包装の融点を下回る温度範囲の常圧過熱水蒸気で加熱処理した後、粉砕する。加熱処理によりポリエステル樹脂の成形容器包装が加水分解されて低分子化して脆くなり、その後の粉砕処理を容易に行うことができる。
ポリエステル樹脂の成形容器包装は、物を収容する成形容器または物を包む成形包装をいい、例えば飲料等の容器や食品の包装パック等をいう。ポリエステル樹脂の成形容器包装は、好ましくは、ポリ乳酸容器包装またはポリエチレンテレフタレート(PET)容器包装である。
PETボトルは、前記したように、容器包装リサイクル法のなかで独自にかつ大量に回収され再商品化されているものであり、より安全にかつ大量に処理できる効率的なリサイクル方法の開発が望まれており、さらにそのリサイクル後の再商品化において、高い性能や機能性をもった再生品の開発が望まれている。
また、ポリ乳酸容器包装は、生分解性樹脂であるため、回収した後、埋め立て等により分解処理することが可能であるが、その生分解性は極端に遅く適度な加工を加えないと、効率的かつ確実に分解することが容易ではなく、PETボトルと同様に効率的なリサイクル方法の開発が望まれている。
ここで、常圧過熱水蒸気とは、定容積状態で加熱して得られる加圧飽和水蒸気と異なり、膨張できる状態で100℃の水蒸気をさらに加熱して得られる、標準気圧下で100℃以上の過熱水蒸気をいう(以下、常圧過熱水蒸気を単に過熱水蒸気ということがある。)。
常圧過熱水蒸気のメリットは、圧力が常圧であるため、(1)例えば反応容器を用いる場合、容器の耐圧が不要であり、(2)スケールアップが容易であるという点である。また、(3)常圧過熱水蒸気によって分解除去される成分が、水蒸気流に乗って排出されるため、例えば反応容器を用いる場合、反応容器内で酸性の分解気化物が液化滞留しない点である。さらに、(4)170℃以上の過熱水蒸気は、乾燥空気以上に処理物の乾燥速度が速くなるため、処理後の生成物の乾燥工程が不要という点である。
加えて、後述の実施例に明記したように、常圧過熱水蒸気処理は、加圧加熱水蒸気処理に比べて、水蒸気分解反応が極めて小さい活性化エネルギーで進行するという特異な特性が明らかとなった。これは、従来、知られていない事実であり、その詳細な原因はいまだ明らかではないが、常圧過熱水蒸気処理が、加圧加熱水蒸気処理とは、異なる動力学あるいは機構で進行していることを示している。
本実施の形態に係るポリエステル樹脂粉体の含水率が1質量%以下という状態は、この常圧過熱水蒸気処理によって達成される。加圧加熱水蒸気処理の場合、水蒸気が処理庫内に閉じ込められるため、水蒸気処理終了後に、ポリエステル樹脂成形容器包装は、その内部および表面に酸性成分を含む液状成分が留保および付着、いわゆる濡れた状態で回収される。これらの濡れた水蒸気処理物は、洗浄および/又は減圧乾燥などの付加的な後処理操作を必要とし、多大なエネルギーを追加しなければならない。常圧過熱水蒸気処理によって達成される含水率1質量%以下という値は、特に追加的な乾燥処理を必要とせず、次の成形加工などの再利用可能な値である。
水蒸気をさらに必要な温度まで加熱して常圧過熱水蒸気を得る方法は、特に限定されず、一般公知の加熱方法が何ら制限なく利用可能である。具体的には、ヒータ加熱方式と電磁誘導加熱方式等があり、ヒータ加熱方式には、例えば成形容器包装を配置した処理庫全体を外部から加熱する方式と、シーズヒータ等を使って加熱した水蒸気を処理庫内に導入する方式が好適に用いられる。特に、固定した処理庫を利用する場合、シーズヒータを使用して加熱した常圧過熱水蒸気を処理庫内に吹き込む方式が最も効率的であり、好ましい方式である。一方、流動床式の処理設備を利用する場合、電磁誘導加熱方式を用いて、順次移動していくポリエステル容器包装に対して常圧過熱水蒸気を吹き込む方法が効率的で、より好ましい場合がある。
加熱処理は、常圧反応容器内に成形容器包装を配置し、常圧反応容器に常圧過熱水蒸気を導入して行うことができる。また、加熱処理は、連続コンベアー上に常圧過熱水蒸気を吹き付けて行う方式を採用してもよく、さらにまた、ロータリーキルン内で常圧過熱水蒸気を吹き付けて行う方式を採用してもよい。ロータリーキルンを用いる場合、成形容器包装と水蒸気との接触がより均一となり、さらに、成形容器包装の破砕および粉砕を装置内で同時に行うこともできるため、処理効率が高い。
また、加熱処理は、成形容器包装の加水分解反応がより均一に進行するように、処理庫内の水蒸気循環量をできる限り均一にすることが重要である。そのために、(1)過熱水蒸気の噴き出し速度を大きくする、(2)処理庫内に水蒸気の噴き出し口を複数設ける、(3)均一化促進のため過熱水蒸気と同一温度の熱風を同伴させて庫内循環させる、(4)処理庫内に攪拌用のファンや邪魔板を設けることも好適な態様である。さらに、処理庫内の温度を均一にするために、(5)処理庫内および/または処理庫外に補助ヒーターを設置することも好ましい態様である。
常圧過熱水蒸気による加熱温度は、100℃を超える温度であってポリエステル樹脂の成形容器包装の融点を下回る温度範囲である。
ポリ乳酸成形容器包装の場合、樹脂構造によって違いがあるが、融点は約175℃である。したがって、加熱温度は、100℃を越え、約175℃を下回る範囲である。
PETボトルの場合、融点は255℃である。したがって、加熱温度は、100℃を越え、255℃を下回る範囲である。
加熱温度は、樹脂が軟化、溶融しない限度で、できる限り融点に近い温度とすることが、加水分解をより効率的に行うことができて、より好ましい。ただし、ポリ乳酸成形容器包装の場合、過熱により、L体がD体に変化するラセミ化が起こる場合があり、その場合、必要な程度でラセミ化を抑制し、かつ加水分解を効率的に行うことができる最適温度が選択される。
ポリエステル樹脂の成形容器包装の加水分解反応は、樹脂内でかつ分子鎖内でもランダムに進行する。さらに、ポリ乳酸やポリエチレンテレフタレートおよびそれらの誘導体のようなポリエステル類の場合、それらの分子末端に位置するカルボキシル基が加水分解反応に対して触媒として働く。加水分解反応が進行するとともに、カルボキシル基が増加し、その増加したカルボキシル基がさらに加水分解反応を促進する。したがって、ポリエステル類の水蒸気による加水分解反応は自己触媒的ランダム分解反応で加速度的に進行する。
ランダム加水分解反応が進行して分子量が低下すると、プラスチックの機械的強度が低下し、割れやすくなる。特に、ポリ乳酸やポリエチレンテレフタレートのような結晶性プラスチックの場合、結晶相の加水分解は非晶相の加水分解に比べて遅いため、最初、均一ランダム分解で進行していた加水分解反応は、やがて、結晶相を避けるようにその周囲で進行する不均一ランダム分解へと移行する。これにより、結晶相周囲に機械的強度の低下した相が形成される。
ここで外部応力が加わった場合、応力はこの機械的強度の低下した相を走るように伝播し、結果として、結晶相の崩落、すなわち崩壊現象が起こる。
以上の均一ランダム分解から、不均一ランダム分解へと移行する点を臨界点といい、そのときの分子量が臨界分子量である。ポリ乳酸とポリエチレンテレフタレートおよびその誘導体の場合、臨界分子量が約20000付近に存在し、分子量が20000を下回った時点で、これらのプラスチックが割れやすくなる、すなわち、低応力で破砕や粉砕が可能となることが見出された。
加熱処理後の成形容器包装は、容易に破砕、粉砕が可能である。
具体的な粉砕装置としては、粗破砕、微粉砕または超微粉砕まで粉砕程度に応じて様々な装置がある。例えば、ハンマーミル、カッターミル、フレーククラッシャー、フェザーミル、ピン式粉砕機、衝撃式粉砕機、バルペライザー、ジェットミル粉砕機、ミクロンミル、ボールミル、遊星ミル、ハイドロミル、アクアライザーなど乾式および湿式粉砕装置が特に制限なく利用可能である。このなかでも、簡便かつ低応力の粉砕法として、粗粉砕用には乾式ボールミル、微細粉砕用には湿式のボールミルが好適に用いられる。
粉砕して得られるポリエステル樹脂粉体は、乾燥した粉体あるいは水分散サスペンションの形態で取り扱うことができる。ここで、常圧過熱水蒸気処理で製造されたポリエステル樹脂粉体は、その内部及び表面に揮発性酸性物質をほとんど吸着していないため、洗浄処理することなく、簡便に水分散サスペンションにすることが可能である。
ポリエステル樹脂粉体は、用途の必要に応じて適宜分級される。分級には、適宜の装置を用いることができ、例えば、特定のメッシュをもった複数の篩を使って分級する方法は最も簡便な分級の手段である。また、風力分別などの乾式分級、水などの溶剤を使って沈殿速度の違いを利用した湿式分級、遠心分離を利用した分級方法などが、その目的に応じてそれぞれ選択して実施可能である。
以上説明した本実施の形態に係るポリエステル樹脂粉体の製造方法は、高価で処理が煩雑な粉砕装置や圧力容器を必要とすることなく、ポリエステル樹脂の成形容器包装のリサイクルを簡易に行うことができる。また、本実施の形態に係るポリエステル樹脂粉体を好適に得ることができる。
つぎに、本実施の形態に係る成形体の製造方法について説明する。
成形体の製造方法としては、本実施の形態に係るポリエステル樹脂粉体を原料として、各種粉体と配合する。ここで、粉体混合の際に、ポリエステル樹脂粉体と各種粉体のサイズが同程度であると、効果的な粉体混合が可能となる。混合の相手としての各種粉体は、無機および有機微粉体であり、具体的には、他のプラスチック粉体や粘土、貝殻粉などの無機粉体と配合する。粘土は、混合の相手として好ましい実施態様である。
これにより、ポリエステル樹脂粉体の機能性樹脂としての作用を活かした成形体を好適に得ることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明の範囲を制限するものではない。
(容器包装過熱水蒸気処理例1〜4、参考例1)
押出成形用標準銘柄のポリ乳酸から成形加工された鶏卵パックの使用後回収物を使用し、以下の仕様の装置によって表1に示した温度および時間条件下で過熱水蒸気処理を行った。
処理槽に鶏卵パックを200箱積み重ねた。また、加熱均一化促進のため過熱水蒸気と同一温度の熱風を同伴させて庫内循環させた。
なお、参考例1として過熱水蒸気処理を行わなかったものを表1に併せて示す。
過熱水蒸気処理装置の仕様:
蒸気発生部: ヒーター容量 6.3kW
換算蒸発量 9.45 kg/h
最高使用圧力 0.11 MPa
処理槽: ヒーター容量 8kW
庫内寸法 W590 x D385 x H555 mm
参考例1のポリ乳酸製鶏卵パック回収物および過熱水蒸気処理後に直ちに取り出し室温に冷ました過熱水蒸気処理例のポリ乳酸製鶏卵パック回収物の重量平均分子量および熱重量分析法による水含有量を測定した結果を表1に併記する。
(樹脂粉体製造実施例1〜4、比較例1)
容器包装過熱水蒸気処理例1〜4および参考例1のポリ乳酸製鶏卵パックをそれぞれ200g秤量し、以下の仕様のボールミル(ポットおよびボールはいずれもセラミックス製)を使用して室温にて1時間粉砕した。
ボールミルの仕様:
ポットミルの内寸法:20.5cm(直径)×21.0cm(長さ)
ボールの寸法と使用個数:30mm(直径)×110個
粉砕により得られた粉体を、以下の篩を装備した電磁振動篩い分け器を使用して10分間の篩分け処理をして粉体の粒度分布を測定した。
装備した篩のサイズ:
目開き250μm(材質SUS;200mm(直径)×60mm(高さ))
目開き150μm(材質SUS;200mm(直径)×60mm(高さ))
目開き106μm(材質SUS;200mm(直径)×60mm(高さ))
目開き 63μm(材質SUS;200mm(直径)×60mm(高さ))
これらの結果を表2に示す。表2より、樹脂粉体製造実施例1〜4のいずれも容易に破砕・粉砕されること、および分子量が20000以下の樹脂粉体製造実施例3、4が250μm篩い下が90質量%以上であり、樹脂粉体製造実施例1、2に比べてより微粉砕されやすいことがわかる。
なお、樹脂粉体製造実施例3、4は、本発明のポリエステル樹脂粉体の製造例に相当する。
(容器包装過熱水蒸気処理例5、参考例2)
ポリ乳酸鶏卵パックに代えて、押出成形用標準銘柄のポリエチレンテレフタレート(PET)から成形加工された鶏卵パックの使用後回収物を使用した以外は、容器包装過熱水蒸気処理例1〜4と同様の条件で容器包装過熱水蒸気処理(但し、加熱条件は220℃で120分)した結果を表3に示す。平均分子量は粘度平均分子量である。
なお、参考例2として過熱水蒸気処理を行わなかったものを表3に併せて示す。また、PET成形品の過熱水蒸気分解の状態の一例の写真図を図1に示す。
(樹脂粉体製造実施例5、比較例2)
容器包装過熱水蒸気処理例5および参考例2の加熱処理後の鶏卵パックを、樹脂粉体製造実施例1〜4と同様の条件で粉砕、篩い分け処理した結果を表4に示す。
なお、樹脂粉体製造実施例5は、本発明のポリエステル樹脂粉体の製造例に相当する。
(容器包装過熱水蒸気処理例6)
ポリ乳酸製鶏卵パック200箱について、容器包装過熱水蒸気処理例1〜4と同様の装置を用いて、130℃で240分間、過熱水蒸気処理を実施した。表面側に積層された処理後のパックの重量平均分子量は11000であった。一方、中央部に積層された処理後のパックの重量平均分子量は20000で、分子量の低下が周辺部に比較して小さかった。
(容器包装過熱水蒸気処理例7、樹脂粉体製造実施例6)
ポリエチレンテレフタレート製鶏卵パック700gを、容器包装過熱水蒸気処理例1〜4と同様の装置を用いて220℃で360分の条件下で過熱水蒸気処理を行い、樹脂粉体製造実施例1〜4と同様にボールミルを用いて粉砕後、篩分け処理した。
得られた粉砕品は、粘度平均分子量が5000で、250μm以下の粒子が90.6質量%であった。この粉砕品の含水率は、0.51質量%であった。
さらに、この粉砕品200gを、ポットミルを用いて湿式粉砕を行った。湿式粉砕は、粉砕品200gに水5Lを加え、アルミナボールを入れて室温で3時間、粉砕処理を行った。この粉砕処理により、白色のエマルジョンが得られた。
得られたエマルジョンをガラスプレート状に薄く展開し、乾燥後、走査型電子顕微鏡で観察した結果、PET微粒子が、1〜30μmの一次粒子およびそれらの凝集体からなっていることが確認できた。
(樹脂粉体製造比較例3、4)
容器包装過熱水蒸気非処理(参考例1)のポリ乳酸製鶏卵パックおよび容器包装過熱水蒸気非処理(参考例2)のポリエチレンテレフタレート製鶏卵パックを、それぞれ冷凍後に粉砕して粉体を調製した。いずれも粉体の粒度分布は250μm以上の粒子が90質量%を超えた。
(樹脂粉体製造比較例5)
過熱水蒸気処理対照品としてポリカーボネート(PC)フィルム(SECによるポリスチレン換算重量平均分子量 35100)を1枚(10g)を用い、容器包装過熱水蒸気処理例1〜4と同様の条件で処理した。
処理条件をさぐるため、室温から徐々に加熱温度を上げると、170℃を越えた時点で、気泡が発生し、フィルムの形状が著しく変形したが脆化しないため、処理を打ち切った。冷却後、SECを用いて分子量を測定した結果、重量平均分子量は35000であり、ほとんど分子量の低下が見られなかった。
PCフィルムの過熱水蒸気処理の状態の一例の写真図を図2に示す。
(成形体製造実施例1、2、比較例1〜3)
樹脂粉体製造実施例1〜4で得られた粉体および樹脂粉体製造比較例1のポリ乳酸製鶏卵パックをそれぞれ70g秤量し、樹脂粉体製造実施例1〜4で用いたボールミルを使用して瀬戸物食器成形加工用粘土130gと混合し、次いで圧力鋳込み成形法によりテスト金型( 100mm×100mm×5mm )を使用して圧力1.5Kg/cm2下で30分の鋳込み時間でテストピースを成形加工した。金型より取り出した成形物を一夜熟成後、50℃の熱風循環乾燥機にて24時間乾燥を行い、次いで185℃で120分間焼成した。
得られた焼成物の概観、および焼成物から試験片(100mm×10mm×5mm)を切り出し、押し込み荷重方式にて曲げ強度(単位:g/mm)を測定した結果を表5に示す。
(成形体製造実施例3、比較例4)
樹脂粉体製造実施例5で得られた粉体および樹脂粉体製造比較例2のポリエチレンテレフタレート製鶏卵パックを用い、成形体製造実施例1、2と同様の方法で焼成物を調製し、評価した。結果を表6に示す。
(成形体製造比較例5、6)
樹脂粉体製造比較例3、4で得られた粉体を用い、それぞれ成形体製造実施例1、2と同様の方法で焼成物を調製し、評価した。得られた焼成物の前者(樹脂粉体製造比較例3)は概観は凹凸状であり、曲げ強度は75.4g/mmであった。得られた焼成物の後者(樹脂粉体製造比較例4)は概観は凹凸状であり、曲げ強度は70.6g/mmであった。
(成形体製造実施例4)
容器包装過熱水蒸気処理例6のポリ乳酸製鶏卵パックを樹脂粉体製造実施例1〜4と同様の方法で粉砕し、粉砕品について成形体製造実施例1、2と同様の方法で焼成物を調製し、評価した。成形体製造実施例1、2と同様の良好な実用強度特性を示し、また、成形加工性は良好であった。
(成形体製造実施例5)
樹脂粉体製造実施例6で得られたエマルジョンを、スキージ法によってガラスプレート状に均一に塗布展開し、乾燥させることにより、厚み220μmのコーティング層を形成させた。このPET微粒子を均一コーティングしたガラスプレートをヒートプレート上、250℃で約10秒間加熱し、PET微粒子を融解させて透明コーティング層を形成させた。得られた透明コーティング層の表面硬度はHB以上であった。
(容器包装過熱水蒸気処理例8、比較例7)
容器包装過熱水蒸気処理例1〜4で用いた押出成形用標準銘柄のポリ乳酸から成形加工された鶏卵パックの使用後回収物各1枚(約10g)を使用し、同様の過熱水蒸気処理装置を用いて、110℃、120℃、130℃、および140℃で過熱水蒸気処理を30分間隔でサンプリングしながら、360分まで行った。取り出した過熱水蒸気処理サンプルの重量平均分子量をSECを用いて測定した。得られた重量平均分子量から、アレニウスの式を用いて、加水分解の活性化エネルギーを評価した。活性化エネルギーの評価方法は、Polymer Degradation and Stability、93巻, 1053頁(2008)の方法に準拠して行った。その結果、常圧過熱水蒸気処理によるポリ乳酸の加水分解反応の活性化エネルギーは、39.5kJ/molという、非常に小さい値であった。
比較として、同一のポリ乳酸成形容器包装を用いて、常圧過熱水蒸気処理の代わりに、トミー社製オートクレーブ モデルSS−325を用いて、加圧加熱水蒸気処理を行った。ここで、加圧加熱水蒸気処理は高圧処理であるため、140℃(0.371MPa)で行うのは、装置の安全上、不可能なため、100℃(0.102MPa)、110℃(0.145MPa)、120℃(0.202MPa)、および130℃(0.276MPa)で加圧加熱水蒸気分解を行った。上記の処理例8と同様にサンプリングを行いながら、加圧水蒸気処理を行い、取り出した処理サンプルの重量平均分子量をSECを用いて測定した。得られた重量平均分子量から、アレニウスの式を用いて、加水分解の活性化エネルギーを評価した。その結果、加圧加熱水蒸気処理によるポリ乳酸の加水分解反応の活性化エネルギーは、87.2kJ/molという、かなり高い活性化エネルギーであった。

Claims (2)

  1. ポリエチレンテレフタレートの成形容器包装を、170℃を超える温度であって該ポリエチレンテレフタレートの成形容器包装の融点を下回る温度範囲の常圧過熱水蒸気で加熱処理してモニタリングによりポリエチレンテレフタレートの分子量が20000未満に低減したことを確認した後、粉砕することを特徴とするポリエチレンテレフタレート粉体の製造方法。
  2. 請求項1記載のポリエチレンテレフタレート粉体の製造方法により得られるポリエチレンテレフタレート粉体と粘土とを配合することを特徴とする成形体の製造方法。
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