一般に、スイッチトキャパシタは、抵抗器による電圧の降下と同じ機能を電気エネルギーのロスがない形で実現できるとされている。
しかしながら、実際には、スイッチトキャパシタでは、電気エネルギーのロスが存在している。これについて、以下に説明する。
本発明者は、図21に示す充放電回路を組んで、2つのキャパシタ間における電気エネルギーの損失について調べた。尚、各キャパシタのキャパシタンスは同じである。
図21に示す回路において、スイッチング素子SW100をオンする一方でスイッチング素子SW200をオフすると、キャパシタC200が充電される。その後、スイッチング素子SW100をオフにしてスイッチング素子SW200をオンすると、キャパシタC200が放電するとともにキャパシタC300が充電される。
図22は、図21の充放電回路において充電及び放電が行われる際における各キャパシタの端子間電圧及び各キャパシタ相互間を流れる電流のシミュレーション結果を表す図である。尚、以下の説明について、配線のインピーダンスなど、回路全体のインピーダンスは小さいものとする。
時刻t1は、スイッチング素子SW100をオンする一方でスイッチング素子SW200をオフにした時刻である。このとき、キャパシタC200が充電されてキャパシタC200の端子間電圧V200が、直流電力源Eの電位差Vo(ここでは10V)にまで上昇する。尚、キャパシタC200とキャパシタC300との間を流れる電流I200の電流値は、スイッチング素子SW200がオフなので0である。
時刻t2は、スイッチング素子SW100をオフする一方で、スイッチング素子SW200をオンにした時刻である。このとき、キャパシタC200の放電が開始されるとともにキャパシタC300の充電が開始され、最終的に、各キャパシタの端子間電圧V200及びV300が、直流電力源Eから出力される直流電力の電圧値Voの半分である1/2Vo(ここでは5V)となる。
尚、時刻t2において、スイッチング素子SW100をオフする一方で、スイッチング素子SW200をオンにした瞬間には、配線のインピーダンスなど、回路全体のインピーダンスが小さくされているため、キャパシタC200とキャパシタC300との間に、無限大に近い電流値の電流が瞬間的に流れる。
ここにおいて、時刻t1以降における充放電回路が有する静電エネルギーの変化量に着目する。各キャパシタのキャパシタンスをCとすると、時刻t1<時刻t<時刻t2では、キャパシタC100の静電エネルギーP1=(1/2)×C×Vo2という式Aが成立する。
一方で、時刻t2<時刻tでは、キャパシタC100の静電エネルギーP2=(1/2)×C×(Vo/2)2=(1/8)×C×Vo2という式Bが成立する。また、キャパシタC200の静電エネルギーP3=(1/2)×C×(Vo/2)2=(1/8)×C×Vo2という式Cが成立する。これにより、各キャパシタの静電エネルギーの合計P2+P3=(1/4)×C×V2という式Dが成立する。
これらの式A〜式Dを参照すると、キャパシタC100の静電エネルギーP1の半分が、静電エネルギーP1が各キャパシタに分散される過程においてロスとなっていることが判る。
このようなエネルギー損失は、時刻t2の時点で、キャパシタC200とC300との間に、無限大に近い電流値の電流が瞬間的に流れていることに起因している。
このように、時刻t2の時点で、キャパシタC200とC300との間に無限大に近い電流値の電流が瞬間的に流れることを防止するためには、キャパシタC200とキャパシタC300との間に抵抗器を介在させることが考えられる。
しかしながら、抵抗器を介在させると、キャパシタC200からキャパシタC300に静電エネルギーが伝達される過程において、当該静電エネルギーの一部が、抵抗器においてジュール熱に変わる。そのため、抵抗器を介在させることは電力のロスを抑制する有効な手立てではない。
また、キャパシタC200に流れ込む電流の観点から、直流電力源Eにより、キャパシタC200を充電する場合にも、キャパシタC200を放電してキャパシタC300を充電する場合と同様に、電力のロスが生じていることが類推できる。
すなわち、直流電力源Eにおける電位差をV、配線等の抵抗成分をr、キャパシタC200のキャパシタンスをC、キャパシタC200の電位をVc1とすれば、キャパシタC200の充電電流ic1=(V−Vc1)×e−t/C×r/rからなる式Eが成立する。
この式Eを参照すると、配線等の抵抗成分rがゼロであれば、キャパシタC200の充電開始時に無限大のピーク値を有する電流が瞬間的に流れる一方で、抵抗成分rが存在すれば、直流電力源Eによる電気エネルギーの一部が、抵抗成分rにおけるジュール熱として外部に放出される。
したがって、直流電力源Eにより、キャパシタC200を充電する場合にも、キャパシタC200の放電によりキャパシタC300を充電する場合と同様のロスが生じていることが判る。
このことを、図20のスイッチトキャパシタに当てはめると、直流電力源Eから出力される直流電力をキャパシタC101〜C104が充電した時点で、エネルギーの損失が生じていることが判る。これにより、直流電力源Eによる電気エネルギーがLED200に伝達される過程において、電力の損失が生じていることが判る。
したがって、直流電力源Eによる電気エネルギーがLED200に伝達される過程において生じるロスを抑制することが望まれる。
また、図20のスイッチトキャパシタ装置では、直流電力源Eからの直流電力の電圧値が外乱により変動すると、LED2を流れる電流の電流値が変動する。LED2などの固体発光素子を駆動させるには、固体発光素子を流れる電流の電流値が安定していることが望ましい。
そのため、直流電力源Eからの直流電力の電圧値の変動によりLED2を流れる電流の電流値が変動することを抑制して、直流電力源Eによる電気エネルギーを安定した状態で負荷に伝達することも望まれる。
本発明は、上記事情に鑑みて為されたものであって、電気エネルギーが負荷に伝達される過程において生じるロスを抑制させつつ、当該電気エネルギーを負荷に安定した状態で伝達することができるスイッチトキャパシタ装置を提供することを目的とする。
本発明の一局面に係るスイッチトキャパシタ装置は、負荷を駆動させるためのスイッチトキャパシタ装置であって、直流電力を出力する直流電力源と、前記直流電力を受け付けて充電及び放電を行うキャパシタと、オンオフ動作して前記キャパシタにおける充電を制御するための充電用スイッチと、オンオフ動作して前記キャパシタにおける放電を制御するための放電用スイッチと、前記充電用スイッチをオンさせるとともに前記放電用スイッチをオフさせて前記キャパシタを充電する充電制御と、前記充電用スイッチをオフさせるとともに前記放電用スイッチをオンさせて前記キャパシタを放電する放電制御とを交互に実行する制御部と、を備えており、前記直流電力源の正極と負極との間には、前記充電用スイッチ、前記キャパシタ、及び前記負荷が直列に接続されることにより、前記キャパシタを充電するための充電回路が形成されており、前記キャパシタの一端と他端との間には、前記放電用スイッチと前記負荷とが直列に接続されることにより、前記キャパシタを放電させるための放電回路が形成されており、前記制御部は、前記充電用スイッチ及び前記放電用スイッチの時比率を制御して、前記キャパシタの放電により前記負荷を流れる電流の電流値を制御することを特徴とする(請求項1)。
この構成によれば、直流電力源の正極と負極との間には、充電用スイッチ、キャパシタ、及び負荷が直列に接続されることにより、キャパシタを充電するための充電回路が形成されている。
これにより、キャパシタの充電開始時点で充電回路を瞬間的に流れる電流が、負荷を流れる。そのため、キャパシタの充電開始時点で充電回路を瞬間的に流れる電流の電流値が、負荷のインピーダンスにより抑制される。また、負荷が存在しなければロスとなって消失する電気エネルギーの一部を負荷の有効電力とすることができる。
また、この構成によれば、制御部は、充電用スイッチ及び放電用スイッチの時比率を制御して、キャパシタの放電により負荷を流れる電流の電流値を制御する。
これにより、負荷に流れ込む電流量を制御するためのスイッチング素子や、負荷を流れる電流量を一定にする定電流回路などの専用の構成要素を付加することなく、キャパシタの放電により負荷を流れる電流の電流値を一定の値に保持することができる。
その結果、専用の構成要素を付加したときのように、直流電力源による電気エネルギーが当該専用の構成要素によりロスすることなく、低コストで、負荷を流れる電流の電流値を一定の値に保持することができる。
以上により、この構成によれば、専用の構成要素を負荷することなく、電気エネルギーが負荷に伝達される過程において生じるロスを抑制させつつ、当該電気エネルギーを負荷に安定した状態で伝達することができる。
上記構成において、複数の前記放電用スイッチが配置されており、前記直流電力源の正極と負極との間には、さらに、複数の前記キャパシタが直列に接続されており、前記各キャパシタの一端と他端との間で、前記各放電用スイッチと前記負荷とが直列に接続されることにより、前記放電回路が複数形成されていることが好ましい(請求項2)。
この構成によれば、直流電力源の正極と負極との間で形成された充電回路では、複数のキャパシタが直列に接続されており、各キャパシタの一端と他端との間で、各放電用スイッチと負荷とが直列に接続されることにより、各キャパシタを放電させるための放電回路が複数形成されている。
これにより、各キャパシタの充電により、各キャパシタで生じる端子間電圧が、キャパシタの数に応じて分圧された、直流電力源による直流電力の電圧値となる。また、各キャパシタの放電時には、各キャパシタの端子間電圧と同じ電位差が、負荷の両端で生じる。
そのため、各キャパシタの放電時には、キャパシタの数に応じて分圧された、直流電力源による電圧値と同じ端子間電圧が、負荷にかかることとなる。したがって、キャパシタの数に応じて、降圧比を適宜変更することができる。
上記構成において、前記各キャパシタにおける前記負荷側に隣接して直列に介設されるとともに当該各キャパシタの充電電流が順方向となるように接続された複数の充電用ダイオードが配置されており、前記各キャパシタと当該各キャパシタの負荷側に隣接する充電用ダイオードとに並列に、前記各放電用スイッチがそれぞれ接続されており、前記負荷における前記充電用ダイオードとは反対側の端子と、前記各キャパシタと前記各充電用ダイオードとの接続点との間に、当該各キャパシタの放電方向に順方向となる向きの放電用ダイオードがそれぞれ接続され、前記放電制御が実行されたときには、前記各キャパシタが、前記複数の放電用スイッチのうち1又は複数と前記負荷と前記各放電用ダイオードとからなる複数の放電回路を介して放電することが好ましい(請求項3)。
この構成によれば、各放電用スイッチは、各キャパシタと当該各キャパシタの負荷側に隣接するとともに各キャパシタの充電電流が順方向となる向きの充電用ダイオードとに並列に接続されている。
これにより、各キャパシタが充電されたときに、各キャパシタの端子間電圧が、直流電力源からの直流電力の電圧値がキャパシタの数に応じて分圧された値となる。
これにより、各キャパシタの充電時に当該キャパシタに対応する放電用スイッチにかかる電圧が、キャパシタの数に応じて分圧された、直流電力源による直流電力の電圧値となるため、放電用スイッチとして、耐圧の小さなスイッチング素子を用いることができる。
上記構成において、前記各キャパシタにおける前記負荷側に隣接して直列に介設されるとともに当該各キャパシタの充電電流が順方向となるように接続された複数の充電用ダイオードが配置されており、前記各キャパシタと当該各キャパシタの負荷側に隣接する充電用ダイオードとからなる組み合わせの数をn(但し、nは正の整数)とした場合に、最も負荷側の組み合わせと、当該最も負荷側の組み合わせから数えてi番目(但し、iは2〜nの整数)の組み合わせまでのn−1個の組み合わせとに、それぞれ、前記各放電用スイッチが並列に接続されており、前記負荷における前記充電用ダイオードとは反対側の端子と、前記各キャパシタと前記各充電用ダイオードとの接続点との間には、当該各キャパシタの放電方向に順方向となる向きの放電用ダイオードがそれぞれ接続され、前記放電制御が実行されたときには、前記各キャパシタが、前記各放電用スイッチと前記負荷と前記各放電用ダイオードとからなる複数の放電回路を介して放電することが好ましい(請求項4)。
この構成によれば、最も負荷側に位置する、キャパシタと充電用ダイオードとの組み合わせと、当該最も負荷側の組み合わせから数えてi番目(但し、iは2〜nの整数)に位置する、キャパシタと充電用ダイオードとの組み合わせまでのn−1個の組み合わせとに、それぞれ、各放電用スイッチが並列に接続されている。
そして、放電制御が実行されたときには、各キャパシタが、複数の放電用スイッチのうち1又は複数と負荷と各放電用ダイオードとが直列に接続された各放電回路を介して放電する。
そのため、放電制御時に各放電用スイッチにかかる電圧の大きさは、各キャパシタに応じた大きさではないが、各放電用スイッチを流れる電流は、1つのキャパシタの放電による電流となる。そのため、各放電用スイッチを流れる電流の電流値を、1つのキャパシタの放電による電流の電流値に均一化することができる。
上記構成において、前記充電回路及び前記各放電回路に共通して配置されたインダクタをさらに備えており、前記制御部は、前記充電用スイッチの時比率を、100/(1+n)(%)以上100%未満の範囲内で制御する一方で、前記放電用スイッチの時比率を、0%を超え100n/(1+n)(%)以下の範囲内で制御することが好ましい(請求項5)。
この構成によれば、制御部は、充電用スイッチ及び放電用スイッチを上記範囲内で制御するため、負荷を流れる電流の電流値を制御するための別段の手段を用いることなく、充電用スイッチ及び放電用スイッチにおけるスイッチング損失が生じることを抑制しながら、負荷を流れる電流の電流値として最大の電流値が得られるように、負荷の電流値を制御することができる。
また、本発明の他の局面におけるスイッチトキャパシタ装置は、負荷を駆動させるためのスイッチトキャパシタ装置であって、直流電力を出力する直流電力源と、前記直流電力を受け付けて充電及び放電を行う複数のキャパシタと、オンオフ動作して前記各キャパシタにおける充電を制御するための充電用スイッチと、オンオフ動作して前記各キャパシタにおける放電を制御するための複数の放電用スイッチと、前記充電用スイッチをオンさせるとともに前記各放電用スイッチをオフさせて前記各キャパシタを充電する充電制御と、前記充電用スイッチをオフさせるとともに前記各放電用スイッチをオンさせて前記各キャパシタを放電する放電制御とを交互に実行する制御部と、を備えており、前記直流電力源の正極と負極との間には、前記充電用スイッチ、前記各キャパシタ、及び前記負荷が直列に接続されることにより、前記キャパシタを充電するための充電回路が形成されており、前記各キャパシタについて、当該キャパシタの一端と他端との間で前記各放電用スイッチ及び前記負荷が直列に接続されることにより、当該キャパシタを放電させるための放電回路が形成されており、前記充電回路及び前記各放電回路に共通してインダクタが配置されており、前記制御部は、前記充電用スイッチ及び前記各放電用スイッチの駆動周波数を制御して、前記キャパシタの放電により前記負荷を流れる電流の電流値を制御することを特徴とする(請求項6)。
この構成によれば、充電用スイッチ及び各放電用スイッチの駆動周波数を制御して、キャパシタの放電により負荷を流れる電流の電流値を制御するため、負荷を流れる電流の電流値を制御するための別段の手段を用いることなく、当該電流の電流値を制御することができる。
上記構成において、前記制御部には、前記直流電力源による前記直流電力の電圧値が変化する場合に、当該電圧値が、当該電圧値の変化の過程において得られる複数の電圧値の各々である条件で、前記充電用スイッチ及び前記各放電用スイッチの駆動周波数を変化させた場合における、前記各キャパシタの放電時に前記負荷を流れる電流の電流値が、予め設定されており、前記制御部は、前記直流電力源の前記直流電力の電圧値が変化することにより、前記各キャパシタの放電時に前記負荷を流れる電流の電流値が変化したときには、前記直流電力の電圧値が変化した後の変化後の電圧値である条件で、前記負荷を流れる電流の電流値として変化前の電流値が得られる、前記充電用スイッチ及び前記各放電用スイッチの駆動周波数を取得し、当該駆動周波数で前記充電用スイッチ及び前記各放電用スイッチを駆動させることが好ましい(請求項7)。
この構成によれば、直流電力源の直流電力の電圧値が変化して、各キャパシタの放電時に負荷を流れる電流の電流値が変化したときには、直流電力の電圧値が変化した後の変化後の電圧値である条件で、負荷を流れる電流の電流値として変化前の電流値が得られる、充電用スイッチ及び前記各放電用スイッチの駆動周波数で充電用スイッチ及び各放電用スイッチを駆動させる。
これにより、直流電力源の電源変動により、各キャパシタの放電時に負荷を流れる電流の電流値が変化しても、変化前の電流値が得られる駆動周波数で充電用スイッチ及び各放電用スイッチが駆動されて、負荷を流れる電流値が変化前の電流値に戻る。
そのため、負荷を流れる電流値を制御する別段の構成を付加することなく、直流電力源の電源変動に対応して、各キャパシタの放電時に負荷を流れる電流の電流値を適切に制御することができる。
また、本発明のさらに他の局面におけるスイッチトキャパシタ装置は、負荷を駆動させるためのスイッチトキャパシタ装置であって、直流電力を出力する直流電力源と、前記直流電力を受け付けて充電及び放電を行う複数のキャパシタと、オンオフ動作して前記キャパシタにおける充電を制御するための充電用スイッチと、オンオフ動作して前記キャパシタにおける放電を制御するための複数の放電用スイッチと、前記充電用スイッチをオンさせるとともに前記各放電用スイッチをオフさせて前記各キャパシタを充電する充電制御と、前記充電用スイッチをオフさせるとともに前記各放電用スイッチをオンさせて前記各キャパシタを放電する放電制御とを交互に実行する制御部と、を備えており、前記各キャパシタが直列に前記充電用スイッチ及び前記負荷と接続された第1直列回路が、前記各キャパシタを充電するための充電回路として前記直流電力源の正極と負極との間に接続されており、前記各キャパシタの一端と他端との間に、前記各放電用スイッチと前記負荷との直列回路がそれぞれ接続されるように、前記各キャパシタを放電させるための複数の放電回路が形成されており、前記各放電回路において、前記各放電用スイッチは、前記各キャパシタの一端と他端とに並列に接続されており、前記制御部は、前記充電用スイッチをオンさせている間に、前記各放電用スイッチのうち1又は複数の放電用スイッチをオンさせて、前記キャパシタの放電により前記負荷を流れる電流の電流値を制御することを特徴とする(請求項8)。
この構成によれば、直流電力源の正極と負極との間には、充電用スイッチ、各キャパシタ、及び負荷からなる直列回路が、キャパシタを充電するための充電回路として接続されている。
これにより、各キャパシタの充電開始時点で充電回路を瞬間的に流れる電流が、負荷を流れる。そのため、各キャパシタの充電開始時点で充電回路を瞬間的に流れる電流の電流値が、負荷のインピーダンスにより抑制される。また、負荷が存在しなければロスとなって消失する電気エネルギーの一部を負荷の有効電力とすることができる。
さらに、この構成によれば、各放電用スイッチは各キャパシタの一端と他端とに並列に接続されている。また、充電用スイッチをオンさせている間に、各放電用スイッチのうち1又は複数の放電用スイッチをオンさせる。
これにより、充電用スイッチがオンとなっているときに、1又は複数の放電用スイッチがオンとされて、当該1又は複数の放電用スイッチに対応するキャパシタの両端が短絡する。その結果、オンとなっている放電用スイッチに対応するキャパシタの分だけ、充電可能なキャパシタの数が減少する。
これにより、充電可能なキャパシタが充電されたときの端子間電圧は、充電可能なキャパシタが減少した分だけ増加するため、結果的には、負荷を流れる電流の電流値が増加する。
そのため、充電用スイッチがオンさせている間に、各放電用スイッチのうち1又は複数の放電用スイッチをオンとして、負荷を流れる電流の電流値を制御して、直流電力源による電気エネルギーが負荷に伝達される量を制御することができる。
その結果、負荷に流れ込む電流量を制御するためのスイッチング素子や、負荷を流れる電流量を一定にする定電流回路などの専用の構成要素を付加することなく、キャパシタの放電により負荷を流れる電流の電流値を一定の値に保持することができる。
その結果、専用の構成要素を付加したときのように、直流電力源による電気エネルギーが当該専用の構成要素によりロスすることなく、低コストで、負荷を流れる電流の電流値を一定の値に保持することができる。
以上により、この構成によれば、専用の構成要素を負荷することなく、電気エネルギーが負荷に伝達される過程において生じるロスを抑制させつつ、当該電気エネルギーを負荷に安定した状態で伝達することができる。
上記構成において、前記制御部は、前記充電用スイッチ及び前記各放電用スイッチの時比率をさらに制御して、前記各キャパシタの放電により前記負荷を流れる電流の電流値を制御することが好ましい(請求項9)。
この構成によれば、制御部は、充電用スイッチ及び各放電用スイッチの時比率をさらに制御して、負荷を流れる電流の電流値を適切に制御することができる。そのため、直流電力源による電気エネルギーをさらに安定した状態で負荷に伝達することができる。
上記構成において、前記負荷は、固体発光素子であることが好ましい(請求項10)。
固体発光素子を安定して発光させるには、固体発光素子を流れる電流の電流値が一定の値に保持されることが重要とされている。
この構成によれば、負荷は固体発光素子であるため、キャパシタの放電により固体発光素子を流れる電流の電流値が一定の値に保持される。これにより、固体発光素子を安定して発光させることができる。
本発明によれば、専用の構成要素を負荷することなく、電気エネルギーが負荷に伝達される過程において生じるロスを抑制させつつ、当該電気エネルギーを負荷に安定した状態で伝達することができる。
直流電力源による電気エネルギーが負荷に伝達される過程において生じるロスを抑制させつつ、当該電気エネルギーを負荷に安定した状態で伝達することができるスイッチトキャパシタ装置として、例えば、図1に示されるスイッチトキャパシタ装置が挙げられる。
図1(a)に示すスイッチトキャパシタ装置B1は、直流電力源Eから出力される直流電圧を降圧してLED(負荷)2に伝達するためのスイッチトキャパシタSCを備える。スイッチトキャパシタSCは、充電用スイッチQ102、キャパシタC、充電用ダイオードD1、放電用スイッチQ103、及び、放電用ダイオードD2を備えて構成されている。
スイッチトキャパシタ装置B1では、充電用スイッチQ102、キャパシタC、充電用ダイオードD1、LED2、及び、スイッチング素子Qからなる直列回路が、キャパシタCを充電するための充電回路として、直流電力源Eの正極と負極との間に接続されている。
また、スイッチトキャパシタ装置B1では、MOSFETからなる放電用スイッチQ103が、キャパシタCと充電用ダイオードD1とからなる直列回路と並列となるように接続されている。
そして、放電用ダイオードD2が、当該放電用ダイオードD2のカソード端子がキャパシタCと充電用ダイオードD1との接続点の方向を向いた状態で、当該キャパシタCと充電用ダイオードD1との接続点と、直流電力源Eの負極との間に接続されている。
これにより、キャパシタCの一端から、放電用スイッチQ103、LED2、スイッチング素子Q、及び、放電用ダイオードD2を経て、キャパシタCの他端に至る放電回路が形成されている。
スイッチトキャパシタ装置B1によれば、LED2が充電経路に配置されている。そのため、キャパシタCの充電開始時に充電経路を瞬間的に流れる電流が、LED2のインピーダンスにより抑制される。また、LED2で消費される電力が、LED2の発光に利用されるため、電力が有効に利用される。
これにより、直流電力源Eにより生じた電気エネルギーをキャパシタCに伝達する際におけるエネルギー損失を抑制することができる。結果として、直流電力源Eにより生じた電気エネルギーをLED2に伝達する過程におけるエネルギー損失を抑制することができる。
スイッチング素子Qは、オンオフ動作することにより、LED2の電流路を形成及び切断する。スイッチング素子Qは、PWM(Pulse Width Modulation)信号で駆動し、当該PWM信号のデューティ比により、オンオフタイミングが定まる。そのため、LED2の電流路は、PWM信号のデューティ比に応じたタイミングで形成及び切断される。これにより、LED2を流れる電流の電流値が、スイッチング素子Qのオンオフ動作により制御される。
その結果として、スイッチング素子Qのオンオフ動作により、LED2に伝達される直流電力の大きさを制御することができる。したがって、スイッチトキャパシタ装置B1では、直流電力源Eによる電気エネルギーをLED2に安定した状態で伝達することができる。
また、図1(b)に示すスイッチトキャパシタ装置B2は、図1(a)に示すスイッチトキャパシタ装置B1において、スイッチング素子Qに代えて当該スイッチング素子Qと同じ機能のスイッチング素子Q1が配置されているとともに、スイッチング素子Q2、コンパレータ3、基準電圧源Vref、及び、抵抗器rからなる定電流回路6が配置されている。
これにより、スイッチトキャパシタ装置B2では、直流電力源Eによる電気エネルギーがLED2に伝達される過程において生じるロスを抑制させることができる他、定電流回路6により、直流電力源Eによる電気エネルギーをLED2により安定した状態で伝達することができる。
以上のように、図1に示すスイッチトキャパシタ装置B1、B2によれば、直流電力源Eによる電気エネルギーがLED2に伝達される過程において生じるロスを抑制させつつ、当該電気エネルギーをLED2に安定した状態で伝達することができる。
しかしながら、スイッチトキャパシタ装置B1、B2では、電気エネルギーをLED2に安定した状態で伝達するため、スイッチング素子や定電流回路を必要としている。このように、スイッチング素子や定電流回路などの構成要素を新たに付加することは、直流電力源Eによる電気エネルギーが新たに付加した構成要素によりロスするおそれがあり、コストが嵩む要因となるおそれもある。
本発明者は、このような点に着目し、以下に説明するようなスイッチトキャパシタ装置を想到した。
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符合を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。尚、図2、図3に係る実施例は、参考例である。
(第1実施形態)
図2は、第1実施形態に係るスイッチトキャパシタ装置の回路構成の一例を示した図であり、キャパシタの数が1つの場合の図である。スイッチトキャパシタ装置Dでは、直流電力源Eの正極と負極との間に、LED2を流れる電流を検出するための抵抗器r、LED2、MOSFETからなる充電用スイッチQ1、キャパシタC1、及び、カソード端子がキャパシタC1の方向を向いた充電用ダイオードD1が直列に接続されることにより、LED2を介してキャパシタC1を充電するための充電回路が形成されている。
さらに、キャパシタCと充電用ダイオードD1とからなる直列回路の両端の間に、当該直列回路と並列となるように、MOSFETからなる放電用スイッチQ2が接続されている。
そして、放電用ダイオードD2が、当該放電用ダイオードD2のアノード端子がキャパシタC1と充電用ダイオードD1との接続点の方向を向いた状態で、当該キャパシタC1と充電用ダイオードD1との接続点と、直流電力源Eの正極との間に接続されている。
これにより、キャパシタC1の一端から、放電用ダイオードD2、抵抗器r、LED2、及び、放電用スイッチQ2を経て、キャパシタC1の他端に至る放電回路が形成されている。
このような構成のスイッチトキャパシタ装置Dでは、充電用スイッチQ1及び放電用スイッチQ2は、制御部1により制御される。
制御部1は、充電用スイッチQ1がオンの間は放電用スイッチQ2がオフとなり、充電用スイッチQ1がオフの間は放電用スイッチQ2がオンとなるように、充電用スイッチQ1と放電用スイッチQ2とに対して交互にパルスを出力する。
充電用スイッチQ1がオンとなるとともに放電用スイッチQ2がオフとなったときには、直流電力源Eの正極から、LED2、充電用ダイオードD1、キャパシタC1、及び、充電用スイッチQ1を経て、直流電力源Eの負極に至る充電経路が形成される。これにより、キャパシタC1の充電が開始される。
一方で、充電用スイッチQ1がオフとなるとともに放電用スイッチQ2がオンとなったときには、キャパシタC1の一端から、放電用ダイオードD2、LED2、及び、放電用スイッチQ2を経て、キャパシタC1の他端に至る放電経路が形成される。これにより、キャパシタC1の放電が開始される。
このスイッチトキャパシタ装置Dによれば、LED2が充電経路に配置されている。そのため、キャパシタC1の充電開始時に充電経路を瞬間的に流れる電流が、LED2のインピーダンスにより抑制される。また、LED2で消費される電力が、LED2の発光に利用されるため、電力が有効に利用される。
これにより、直流電力源Eにより生じた電気エネルギーをキャパシタC1に伝達する際におけるエネルギー損失を抑制することができる。結果として、直流電力源Eにより生じた電気エネルギーをLED2に伝達する過程におけるエネルギー損失を抑制することができる。
図3は、図2に示すスイッチトキャパシタ装置に平滑用コンデンサ及びインダクタを追加した場合の回路構成図である。
このスイッチトキャパシタ装置D1では、図2に示すスイッチトキャパシタ装置Dにおいて、LED2を流れる電流を平滑するため、平滑用キャパシタCoとインダクタLとが配置されている。尚、このスイッチトキャパシタ装置D1の機能は、図2に示すスイッチトキャパシタ装置Dと同じであるため、機能の説明を省略する。
図2に示すスイッチトキャパシタ装置D、及び、図3に示すスイッチトキャパシタ装置D1によれば、充電用スイッチQ1及び放電用スイッチQ2に出力されるパルス信号の時比率を制御して、キャパシタC1の放電によりLED2を流れる電流の電流値を一定の値に保持する。
スイッチトキャパシタ装置D及びD1では、充電用スイッチQ1及び放電用スイッチQ2へのパルス信号の時比率を制御するために、LED2を流れる電流の電流値を検知する電流値検知部4、及び、LEDの端子間電圧を検知する電圧検知部5が配置されている。
尚、図2及び図3において、電流値検知部4により、LED2を流れる電流の電流値を検出するため、直流電力源Eの正極と、LED2のアノード端子との間には、抵抗器rが配置されている。LED2を流れる電流は抵抗器rを通過するため、抵抗器rでは通過した電流により電圧降下が生じる。電流値検知部4は、抵抗器rを電流が流れることにより生じる電圧降下の大きさを、LED2を流れる電流の電流値として検知する。
図4及び図5は、第1実施形態に係るスイッチトキャパシタ装置の回路構成の一例を示した図であり、キャパシタの数が2以上の場合の図である。ここにおいて、図4(a)は、キャパシタの数が2つである場合の例を示している。図4(b)は、キャパシタの数が3つである場合の例を示している。図5(a)及び図5(b)は、キャパシタの数が4つである場合の例を示している。
図4(a)に示すスイッチトキャパシタ装置D2は、キャパシタC1、放電用スイッチQ21、充電用ダイオードD11、及び、放電用ダイオードD21からなる回路と、キャパシタC2、放電用スイッチQ22、充電用ダイオードD12、及び、放電用ダイオードD22からなる回路と、を2つ縦続接続することにより構成されている。
このスイッチトキャパシタ装置D2では、放電用スイッチQ21及びQ22がオフの状態で充電用スイッチQ1がオンすると、直流電力源Eから、抵抗器r、LED2、インダクタL、充電用ダイオードD12、キャパシタC2、充電用ダイオードD11、キャパシタC1、及び、充電用スイッチQ1を介して、キャパシタC1及びC2の充電電流が流れる。これにより、キャパシタC1及びC2が充電される。
次に、充電用スイッチQ1がオフして放電用スイッチQ21及びQ22がオンすると、キャパシタC1の電荷が、放電用ダイオードD21、抵抗器r、LED2、インダクタL、及び、放電用スイッチQ22及びQ21を介して放電される。
また、同時に、キャパシタC2の電荷が、放電用ダイオードD22、抵抗器r、LED2、インダクタL、及び、放電用スイッチQ22を介して放電される。
以降、スイッチトキャパシタ装置D2は、上記動作を繰り返しながらLED2に継続した電力供給を行う。
図4(b)に示すスイッチトキャパシタ装置D3は、キャパシタC1、放電用スイッチQ21、充電用ダイオードD11、及び、放電用ダイオードD21からなる回路と、キャパシタC2、放電用スイッチQ22、充電用ダイオードD12、及び、放電用ダイオードD22からなる回路と、キャパシタC3、放電用スイッチQ23、充電用ダイオードD13、及び、放電用ダイオードD23からなる回路と、を3つ縦属接続することにより構成されている。
このスイッチトキャパシタ装置D3では、放電用スイッチQ21〜Q23がオフの状態で充電用スイッチQ1がオンすると、直流電力源Eから、抵抗器r、LED2、インダクタL、充電用ダイオードD13、キャパシタC3、充電用ダイオードD12、キャパシタC2、充電用ダイオードD11、キャパシタC1、及び、充電用スイッチQ1を介して、キャパシタC1〜C3の充電電流が流れる。これにより、キャパシタC1〜C3が充電される。
次に、充電用スイッチQ1がオフして放電用スイッチQ21〜Q23がオンすると、キャパシタC1の電荷が、放電用ダイオードD21、抵抗器r、LED2、インダクタL、及び、放電用スイッチQ23、Q22、及びQ21を介して放電される。
また、同時に、キャパシタC2の電荷が、放電用ダイオードD22、抵抗器r、LED2、インダクタL、及び、放電用スイッチQ23及びQ22を介して放電される。
さらに、同時に、キャパシタC3の電荷が、放電用ダイオードD23、抵抗器r、LED2、インダクタL、及び、放電用スイッチQ23を介して放電される。
以降、スイッチトキャパシタ装置D3は、上記動作を繰り返しながらLED2に継続した電力供給を行う。
図5(a)に示すスイッチトキャパシタ装置D4は、キャパシタC1、放電用スイッチQ21、充電用ダイオードD11、及び、放電用ダイオードD21からなる回路と、キャパシタC2、放電用スイッチQ22、充電用ダイオードD12、及び、放電用ダイオードD22からなる回路と、キャパシタC3、放電用スイッチQ23、充電用ダイオードD13、及び、放電用ダイオードD23からなる回路と、キャパシタC4、放電用スイッチQ24、充電用ダイオードD14、及び、放電用ダイオードD24からなる回路と、を4つ縦属接続することにより構成されている。
このスイッチトキャパシタ装置D4では、放電用スイッチQ21〜Q24がオフの状態で充電用スイッチQ1がオンすると、直流電力源Eから、抵抗器r、LED2、インダクタL、充電用ダイオードD14、キャパシタC4、充電用ダイオードD13、キャパシタC3、充電用ダイオードD12、キャパシタC2、充電用ダイオードD11、キャパシタC1、及び、充電用スイッチQ1を介して、キャパシタC1〜C4の充電電流が流れる。これにより、キャパシタC1〜C4が充電される。
次に、充電用スイッチQ1がオフして放電用スイッチQ21〜Q24がオンすると、キャパシタC1の電荷が、放電用ダイオードD21、抵抗器r、LED2、インダクタL、及び、放電用スイッチQ24、Q23、Q22、及びQ21を介して放電される。
また、同時に、キャパシタC2の電荷が、放電用ダイオードD22、抵抗器r、LED2、インダクタL、及び、放電用スイッチQ24、Q23及びQ22を介して放電される。
さらに、同時に、キャパシタC3の電荷が、放電用ダイオードD23、抵抗器r、LED2、インダクタL、及び、放電用スイッチQ24及びQ23を介して放電される。
さらに、同時に、キャパシタC4の電荷が、放電用ダイオードD24、抵抗器r、LED2、インダクタL、及び、放電用スイッチQ24を介して放電される。
以降、スイッチトキャパシタ装置D4は、上記動作を繰り返しながらLED2に継続した電力供給を行う。
以上に示すスイッチトキャパシタ装置D2〜D5によれば、各キャパシタが充電されたときに、各キャパシタの端子間電圧が、直流電力源Eからの直流電力の電圧値がキャパシタの数に応じて分圧された値となる。
これにより、各キャパシタの充電時に当該キャパシタに対応して配置されている放電用スイッチにかかる電圧が、キャパシタの数に応じて分圧された、直流電力源Eによる電圧値となるため、放電用スイッチとして、耐圧の小さなスイッチング素子を用いることができる。
また、以上に示すスイッチトキャパシタ装置D2〜D5によれば、各放電回路では、各キャパシタがLED2に対して並列に接続されている。これにより、各キャパシタの放電時には、各キャパシタの端子間電圧と同じ電位差が、LED2の両端で生じる。
そして、スイッチトキャパシタ装置D2〜D5では、先述したように、充電により各キャパシタで生じる端子間電圧は、キャパシタの数に応じて分圧された、直流電力源Eによる電圧値となっている。
これにより、各キャパシタの放電時に、キャパシタの数に応じて分圧された、直流電力源Eによる電圧値と同じ端子間電圧が、LED2の両端にかかるため、図2及び図3に示すように、キャパシタの数が1つである場合よりも降圧された出力を得ることができる。
図5(b)は、キャパシタの数が4つの場合の例において、各キャパシタに、当該キャパシタに対応する放電用スイッチを1つ配置することにより、各キャパシタの放電経路を形成したものである。
すなわち、図5(b)に示すスイッチトキャパシタ装置D5では、放電用スイッチQ21が、キャパシタC1、充電用ダイオードD11、キャパシタC2、充電用ダイオードD12、キャパシタC3、充電用ダイオードD13、キャパシタC4、及び、充電用ダイオードD14からなる直列回路に並列に接続されている。
これにより、キャパシタC1の一端から、放電用ダイオードD21、抵抗器r、LED2、インダクタL、及び、放電用スイッチQ21を経て、キャパシタC1の他端に至る放電経路が形成される。
また、スイッチトキャパシタ装置D5では、放電用スイッチQ22が、キャパシタC2、充電用ダイオードD12、キャパシタC3、充電用ダイオードD13、キャパシタC4、及び、充電用ダイオードD14からなる直列回路に並列に接続されている。
これにより、キャパシタC2の一端から、放電用ダイオードD22、抵抗器r、LED2、インダクタL、及び、放電用スイッチQ22を経て、キャパシタC2の他端に至る放電経路が形成される。
さらに、スイッチトキャパシタ装置D5では、放電用スイッチQ23が、キャパシタC3、充電用ダイオードD13、キャパシタC4、及び、充電用ダイオードD14からなる直列回路に並列に接続されている。
これにより、キャパシタC3の一端から、放電用ダイオードD23、抵抗器r、LED2、インダクタL、及び、放電用スイッチQ23を経て、キャパシタC3の他端に至る放電経路が形成される。
さらに、スイッチトキャパシタ装置D5では、放電用スイッチQ24が、キャパシタC4、及び、充電用ダイオードD14からなる直列回路に並列に接続されている。
これにより、キャパシタC4の一端から、放電用ダイオードD24、抵抗器r、LED2、インダクタL、及び、放電用スイッチQ24を経て、キャパシタC4の他端に至る放電経路が形成される。
以上のように、図5(b)に示すスイッチトキャパシタ装置D5によれば、各キャパシタの放電時には、各キャパシタの電荷が、当該キャパシタに対応する放電用スイッチを介して放電されるため、各放電用スイッチを流れる電流が均一化される。
図6は、本発明者が、第1実施形態に係るスイッチトキャパシタ装置D、D1〜D5において、1つのLED2のオン電圧が3.3Vである条件下で、直流電圧源Eからの直流電力の電圧値Vin、キャパシタの数、及び、LED2の数の各々を変動させる実験を行って得られたものである。
本発明者は、このような実験において、直流電力源Eによる電気エネルギーが好適にLED2に伝達されたときにおける、電圧値Vin、キャパシタの数、及びLED2の数を得て、図6に示される表にまとめた。尚、図6の表において、「DC−Vin」は、入力直流電力の平均電圧値を示しており、「AC−Vin」は、入力直流電力の平均電圧値の各々に対応する入力交流電力の実効電圧値を示している。例えば、AC100Vrms(root mean square)の交流電力を整流及び平滑して得られる直流電力の電圧値は140Vである。そのため、平均電圧値が140Vである入力直流電力は、実効電圧値が100Vである入力交流電力に対応する。
図6の表は、入力として与えられる直流電力の平均電圧値(図6では、「DC−Vin」と記載されている)とキャパシタCの数(1〜8個)とに対応する、好適に電力が供給されるLED2の最大直列数を示している。
図6の表においては、行方向に、直流電力の電圧値「DC−Vin」と交流電力の実効値「AC−Vin」との組み合わせの各々について、LED2が好適に発光することが可能となるLED2の個数が示されている。また、列方向に、キャパシタの数に応じて、LED2が好適に発光することが可能となるLED2の個数が示されている。
このような表からは、例えば、直流電力源Eによる直流電力の電圧値「DC−Vin」が140Vである場合には、6個の直列接続されたLED2を好適に発光させるには、キャパシタの数が6であることが最適であることが判る。
また、図6の表のうち、斜線で示す行Lからは、直流電力の電圧値「DC−Vin」が140Vである状態で、キャパシタの数を5に減らすと、LED2が好適に発光することが可能となるLED2の個数が7であることが判る。一方、図6の表のうち、斜線で示す行Lからは、直流電力の電圧値「DC−Vin」が140Vである状態で、キャパシタの数を7に増やすと、LED2が好適に発光することが可能となるLED2の個数が5であることが判る。
図7は、第1実施形態における制御部1の具体的な構成の一例を示した図である。図8は、図7に示す制御部1と組み合わせて使用される電流値検知部4の具体的な構成の一例を示した図である。図9は、図7に示す制御部1において用いられる各種信号の波形を示した図である。
図7に示す制御部1では、発振器IC1、抵抗器R1及びR2、及び、キャパシタC1により、無安定マルチバイブレータが構成されている。この無安定マルチバイブレータは、所定の周波数(例えば1MHz)の矩形波基準信号(図9の(ア)参照)を生成する。
無安定マルチバイブレータにより生成された矩形波基準信号は、バッファIC2を介して、ペアトランジスタQ1及び抵抗器R3で構成されたカレントミラーによって、キャパシタC2を充電する。
また、無安定マルチバイブレータにより生成された矩形波基準信号は、NOT回路IC3により位相が反転されて反転基準信号(図9の(イ)参照)とされ、スイッチング素子Q2に出力される。これにより、スイッチング素子Q2は、反転基準信号と同期して、オンオフ動作を行って、キャパシタC2の端子間を短絡させてキャパシタC2を放電させる。
反転基準信号は、矩形波基準信号の位相が反転したものであるため、矩形波基準信号の1周期に対して位相が180度遅れている。
これにより、キャパシタC2は、矩形波基準信号のパルスを受け付けている間には、端子間が短絡せずに充電を行うとともに、矩形波基準信号のパルスを受け付けていない間には、端子間が短絡して放電する。これにより、周期的に三角波(図9(ウ)参照)が生成される。
コンパレータIC4の反転入力端子には、キャパシタC2で生成された三角波が入力されるとともに、コンパレータIC4の非反転入力端子には、電流値検知部4により計測される、LED2を流れる電流の電流値が、フォトカプラPCを通じて、電圧値の形で入力される。
ここにおいて、コンパレータIC4の非反転入力端子に入力される電圧値は、コンパレータIC4により閾値Vthとして用いられる。
コンパレータIC4では、反転入力端子に入力された三角波の電圧値と、非反転入力端子に入力された,LED2を流れる電流の電流値を表す電圧値(Vth)とを比較して、反転入力端子に入力された三角波の電圧値が、非反転入力端子に入力された電圧値(Vth)よりも小さな場合に、パルスを出力する。これにより、コンパレータIC4は、図9(エ)に示すパルス信号を、AND回路IC5の一端に出力する。
AND回路IC5は、コンパレータIC4から一端に向けて出力されたパルス信号と、マルチバイブレータからバッファIC2を通じて他端に向けて出力されたパルス信号とを受け付けて、両端の電圧値の論理積を演算して、充電用スイッチQ1が接続されたバッファIC6と、放電用スイッチQ2が接続されたNOT回路IC7とに向けて出力する。
これにより、充電用スイッチQ1には、図9(オ)に示すパルス信号が出力され、放電用スイッチQ2には、図9(カ)に示すパルス信号が出力される。その結果、図10(c)に示すように、時比率が25%のパルス信号が充電用スイッチQ1に出力された後、時比率が75%のパルス信号が放電用スイッチQ2に出力されることが繰り返される。
図8に示す電流値検知部4は、非反転入力端子が抵抗器rの一端と接続され、反転入力端子が基準電圧源Vrefと接続された誤差増幅器IC8を備える。誤差増幅器IC8は、非反転入力端子の電圧値と、反転入力端子の電圧値との間の差分を増幅して、トランジスタからなるスイッチング素子Q3のベースに向けて出力する。
スイッチング素子Q3のコレクタ端子には、フォトカプラPCが接続されており、LED2を流れる電流の電流値と基準電圧源Vrefの電圧値との差分が制御部1にフィードバックされる。
尚、図8に示す電流値検知部4において、抵抗器rに代えて、LED2を配置すれば、LED2の端子間電圧を検知する電圧検知部を構成することができる。
図10は、充電用スイッチQ1及び放電用スイッチQ2の時比率について説明するためのタイミングチャートである。
制御部1は、充電用スイッチQ1と放電用スイッチQ2、Q21〜Q24とに対して交互にパルスが出力されるように、図10に示すようなオンオフ周期が周期Tであるパルス信号を、充電用スイッチQ1と放電用スイッチQ2とに対して出力する。
図10(a)は、充電用スイッチQ1に出力される、時比率が50%であるパルス信号の波形と、放電用スイッチQ2に出力される、時比率が50%であるパルス信号の波形とを示している。
充電用スイッチQ1に出力されるパルス信号の時比率と、放電用スイッチQ2に出力されるパルス信号の時比率とがともに50%であるとき、充電用スイッチQ1にパルスが出力される期間T1は、放電用スイッチQ2にパルスが出力される期間T2と同じである。
図10(b)は、充電用スイッチQ1に出力される、時比率が75%であるパルス信号の波形と、放電用スイッチQ2に出力される、時比率が25%であるパルス信号の波形とを示している。
充電用スイッチQ1に出力されるパルス信号の時比率が75%であり、放電用スイッチQ2に出力されるパルス信号の時比率が25%であるとき、充電用スイッチQ1にパルスが出力される期間T1は、放電用スイッチQ2にパルスが出力される期間T2の3倍である。
図10(c)は、充電用スイッチQ1に出力される、時比率が25%であるパルス信号の波形と、放電用スイッチQ2に出力される、時比率が75%であるパルス信号の波形とを示している。
充電用スイッチQ1に出力されるパルス信号の時比率が25%であり、放電用スイッチQ2に出力されるパルス信号の時比率が75%であるとき、充電用スイッチQ1にパルスが出力される期間T1は、放電用スイッチQ2にパルスが出力される期間T2の1/3倍である。
以下に、制御部1により、充電用スイッチQ1に出力されるパルス信号、及び、放電用スイッチQ2に出力されるパルス信号の時比率を制御する処理について、説明する。
図11は、スイッチトキャパシタ装置D1(図3参照)の出力特性を示した図である。図11に示す出力特性は、本発明者による実験により取得されたものである。
つまり、本発明者は、スイッチトキャパシタ装置D1において、直流電力源Eの電圧値が140V、キャパシタの数が1つでLED2の数が21個、平滑キャパシタCoのキャパシタンスが500nF、インダクタLのインダクタンスが2μH、充電用スイッチ及び放電用スイッチの駆動周波数が1MHzである条件で、充電用スイッチQ1に出力されるパルス信号の時比率と、放電用スイッチQ2とに出力されるパルス信号の時比率と、を変化させながら、LED2を流れる電流の電流値を計測する実験を行った。
図11に示す表からは、充電用スイッチQ1に出力されるパルス信号の時比率が概ね30%以下(放電用スイッチQ2に出力されるパルス信号の時比率が概ね70%以上の範囲)では、充電用スイッチQ1及び放電用スイッチQ2の時比率の変化に対して、LED2を流れる電流の電流値の変化が大きいことが判る。
また、充電用スイッチQ1に出力されるパルス信号の時比率が概ね70%以上(放電用スイッチQ2に出力されるパルス信号の時比率が概ね30%以下の範囲)でも、充電用スイッチQ1及び放電用スイッチQ2の時比率の時比率の変化に対して、LED2を流れる電流の電流値の変化が大きいことが判る。
これにより、スイッチトキャパシタ装置D1では、LED2を通電させるため、充電用スイッチQ1及び放電用スイッチQ2に対して、0%から30%の範囲、或いは、70%から100%の範囲の時比率のパルス信号を出力する。
そして、上記範囲内で、充電用スイッチQ1及び放電用スイッチQ2に出力されるパルス信号の時比率を制御する。
制御部1は、電流値検知部4により検知される、LED2を流れる電流の電流値が変動したときには、0%から30%の範囲、或いは、70%から100%の範囲の時比率であり、LED2を流れる電流の電流値が変動前の電流値となるような時比率のパルス信号を、充電用スイッチQ1と放電用スイッチQ2とに対して出力する。
或いは、制御部1は、電圧検知部5により検知される、LED2の端子間電圧を監視する。
制御部1は、電圧検知部5により検知される、LED2の端子間電圧が変動したときには、0%から30%の範囲、或いは、70%から100%の範囲の時比率であり、LED2の端子間電圧が変動前の端子間電圧となるような時比率のパルス信号を、充電用スイッチQ1と放電用スイッチQ2とに対して出力する。
これにより、LED2を流れる電流の電流値が変動したときに、当該電流値を適切に制御して、変動前の電流値に戻すことができる。その結果、LED2に対して直流電力を安定した状態で伝達することができる。
尚、スイッチトキャパシタ装置D1では、電流値検知部4や電圧検知部5とは別に、直流電力源Eの電源変動に応じて当該スイッチトキャパシタ装置の出力を補正するために、直流電力源Eによる直流電力の電圧値を計測する電圧計が、直流電力源Eの正極と負極との間に配置されていてもよい。
この場合、制御部1は、電圧計により計測される電圧値が変動したときには、当該電圧値の変動の影響による、LED2を流れる電流の電流値の変動を予測して、当該電流値の変動を抑制するように、直流電力源Eによる直流電力を制御する。この制御は、いわゆるフィードフォワード制御である。
このようなフィードフォワード制御によっても、LED2に直流電力を安定した状態で伝達することができる。
以上のように、充電用スイッチQ1及び放電用スイッチQ2の時比率を変えることによってLED2を流れる電流の値を変えることができるため、スイッチトキャパシタ装置の参考例(図1(a)及び図1(b)参照)に示すスイッチング素子Qや定電流回路6のような、別段の電流制御手段を省略することができる。
図12及び図13は、キャパシタが複数個の場合におけるスイッチトキャパシタ装置の出力特性を示した図である。ここにおいて、図12(a)は、図4(a)に示すスイッチトキャパシタ装置D2の出力特性の一例を示している。図12(b)は、図4(b)に示すスイッチトキャパシタ装置D3の出力特性の一例を示している。図13(a)は、図5(a)に示すスイッチトキャパシタ装置D4の出力特性の一例を示している。
そして、図13(b)は、図5(a)のスイッチトキャパシタ装置D4において、キャパシタ、充電用ダイオード、放電用ダイオード、及び、放電用スイッチからなる回路を、キャパシタC4、充電用ダイオードD14、放電用ダイオードD24、及び、放電用スイッチQ24からなる回路にさらに縦続接続したものの出力特性の一例を示している。
ここにおいて、図11のように、キャパシタが1つである場合には、充電用スイッチQ1の時比率が、LED電流の電流値が低下し始める80%から95%まで変化する際において、充電用スイッチQ1の時比率が1%増加したときのLED電流の電流値の降下度合いは、(500−125)(mA)/(95−80)(%)=25mA/%である。
その一方で、図12(a)の場合には、充電用スイッチQ1の時比率が、LED電流の電流値が低下し始める75%から95%まで変化する際において、充電用スイッチQ1の時比率が1%増加したときのLED電流の電流値の降下度合いは、(450−90)(mA)/(95−75)(%)=18mA/%である。
また、図12(b)の場合には、充電用スイッチQ1の時比率が、LED電流の電流値が低下し始める65%から95%まで変化する際において、充電用スイッチQ1の時比率が1%増加したときのLED電流の電流値の降下度合いは、(500−50)(mA)/(95−65)(%)=15mA/%である。
さらに、図13(a)の場合には、充電用スイッチQ1の時比率が、LED電流の電流値が低下し始める60%から90%まで変化する際において、充電用スイッチQ1の時比率が1%増加したときのLED電流の電流値の降下度合いは、(480−120)(mA)/(90−60)(%)=12mA/%である。
さらに、図13(b)の場合には、充電用スイッチQ1の時比率が、LED電流の電流値が低下し始める55%から90%まで変化する際において、充電用スイッチQ1の時比率が1%増加したときのLED電流の電流値の降下度合いは、(430−75)(mA)/(90−55)(%)≒10mA/%である。
これらの結果を、図11のようにキャパシタが1つの場合と比較すると、キャパシタの数が複数の場合には、充電用スイッチの時比率が大きい領域、換言すれば放電用スイッチの時比率が小さい領域で、時比率の変化に対するLED2の電流値の傾斜が緩やかで、かつLED2の電流を十分小さい値にまで制御できることが判る。
この傾向は、キャパシタの数が多いほど顕著となっている。これにより、キャパシタの数が多いほど、LED2の電流値を制御できる時比率の制御範囲が広くなるため、制御が容易となる。
ここにおいて、インダクタLは、キャパシタの充電回路及び放電回路に共通して配置されている。このようなインダクタLのインダクタンスLと、各キャパシタのキャパシタンスCとを、充電用スイッチ及び放電用スイッチの駆動周波数に対して直列共振条件を満たすよう設定すれば、充電電流及び放電電流を共振波形にすることができ、充電用スイッチ及び放電用スイッチのスイッチング損失が低減できる効果が生まれる。
すなわち共振によって、充電及び放電電流が正弦波状となって振動し、充電電流がゼロレベルにまで低下したタイミングで充電用スイッチをオフするとともに、放電電流がゼロレベルにまで低下したタイミングで放電用スイッチをオフすると、充電用スイッチ及び放電用スイッチにおけるスイッチング損失は回避される(ゼロカレントスイッチング条件)。
尚、図12(a)及び(b)、図13(a)及び(b)の結果は、各キャパシタの静電容量が7nF、インダクタLのインダクタンスが800nH、充電用スイッチ及び放電用スイッチの駆動周波数が1MHzとして測定している。
ここにおいて、充電用スイッチの時比率を、100/(1+n)(%)以上100%未満の範囲内で制御する一方で、放電用スイッチの時比率を、0%を超え100n/(1+n)(%)以下の範囲内で制御すると、LED2に流れる電流値が最も多い条件で、ゼロカレントスイッチングを実現することができる。
以下に上記範囲が取得される理由を説明する。まず、共振によって、充電或いは放電電流が正弦波状となって振動しているときの充電期間T1及び放電期間T2は、式(1)及び(2)のように表すことができる。
但し、LはインダクタLのインダクタンス、nはキャパシタの数、Cはキャパシタ個々の静電容量をそれぞれ示す。
そして、充電期間T1が終了した時点で放電期間T2が開始するため、充電用スイッチ及び放電用スイッチがゼロカレントスイッチング条件を満たすのは、充電期間T1が開始したときに充電用スイッチをオンし、充電期間T1が終了して放電期間T2が開始したときに充電用スイッチをオフし、放電期間T2が終了するまで充電用スイッチのオフ状態を保持すればよいから、充電用スイッチQ1の時比率が、式(3)を満たすときである。
充電用スイッチQ1の時比率=100×T1/(T1+T2)=100/(1+n)(%)・・・(3)
一方、充電用スイッチQ1の時比率が式(3)を満たすときの放電用スイッチQ2の時比率は、100−充電用スイッチQ1の時比率から、100−100/(1+n)(%)・・・(4)となる。
以上により、充電用スイッチの時比率を、100/(1+n)(%)以上100%未満の範囲内で制御する一方で、放電用スイッチの時比率を、0%を超え100n/(1+n)(%)以下の範囲内で制御すると、LED2に流れる電流値が最も多い条件で、ゼロカレントスイッチングを実現することができる。
これにより、充電用スイッチ及び放電用スイッチを、上記時比率の範囲内で制御すると、充電用スイッチ及び放電用スイッチにおけるスイッチング損失を抑制しながら、LED2を流れる電流値を大きく保持することができる。
図14は、図5(a)に示したキャパシタが4つであるスイッチトキャパシタ装置D4において、直流電力源Eの電圧値が各々異なる条件において、充電用スイッチ及び放電用スイッチの駆動周波数を変えた場合の出力特性の一例を示した図である。
図14によれば、直流電力源Eの電圧値が160Vの場合の、充電用スイッチ及び放電用スイッチの駆動周波数と、LED電流との相関関係が、丸印で表されている。また、直流電力源Eの電圧値が150Vの場合の、充電用スイッチ及び放電用スイッチの駆動周波数と、LED電流との相関関係が、三角で表されている。
さらに、直流電力源Eの電圧値が140Vの場合の、充電用スイッチ及び放電用スイッチの駆動周波数と、LED電流との相関関係が、菱形で表されている。さらに、直流電力源Eの電圧値が130Vの場合の、充電用スイッチ及び放電用スイッチの駆動周波数と、LED電流との相関関係が、×で表されている。
図14から、充電用スイッチ及び放電用スイッチの駆動周波数にかかわらず、直流電力源Eによる直流電力の電圧値が大きいほど、LED電流の値が大きくなることが判り、また、直流電力源Eによる直流電力の電圧値にかかわらず、充電用スイッチ及び放電用スイッチの駆動周波数が小さいほど、LED電流の値が小さくなることが判る。尚、図14の結果は、充電用スイッチ及び放電用スイッチの時比率を50%とした場合の結果を示している。
図14の結果から、直流電力源Eによる直流電力の電圧値が変化した場合、充電用スイッチ及び放電用スイッチの駆動周波数を変えることによって、LED電流の値を一定に保持できることが判る。
例えば、制御部1は、LED2を流れる電流値を600mAに保持するよう制御するに際し、直流電力源Eの電圧値が160Vであるときには、充電用スイッチ及び放電用スイッチを、およそ380kHzの駆動周波数で駆動させる。
そして、直流電力源Eの電圧値が160Vから130Vに変化したとする。直流電力源Eの電圧値が130Vである際に、LED2の電流値を600mAに保持するのに必要な、充電用スイッチ及び放電用スイッチの駆動周波数は、図14から判るように、およそ、730KhZである。
したがって、制御部1は、LED2を流れる電流値を600mAに保持するに際し、直流電力源Eの電圧値が160Vから130Vに変動したときには、充電用スイッチ及び放電用スイッチの駆動周波数を、Δfだけ変化させ、つまり、およそ380kHzからおよそ730kHzに変化させ、当該変化後の駆動周波数で、充電用スイッチ及び放電用スイッチを駆動させる。
これにより、図1(a)、(b)に示したような別段のLED2を制御するための電流制御手段を用いることなく、LED2を流れる電流値の制御が可能である。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るスイッチトキャパシタ装置について、図6、及び図15〜図19を用いて説明する。尚、第2実施形態に係るスイッチトキャパシタ装置は、制御部1が、充電用スイッチがオンの間に一部の放電用スイッチもオンとする制御を行う点が、第1実施形態に係るスイッチトキャパシタ装置とは異なる。
その他の構成は第1実施形態に係るスイッチトキャパシタ装置と同様であるため説明及び図示を省略しており、以下、本実施形態の特徴的な点について説明する。
ここにおいて、既に図6において説明したように、直流電力源Eの電圧値Vin及びキャパシタの数によって、LED2が好適に発光することが可能な個数が存在し、図6では各条件でのLED2の最大直列数を示した。この第2実施形態に係るスイッチトキャパシタ装置は、このような点に着目したものである。
図15は、第2実施形態に係るスイッチトキャパシタ装置の回路構成の一例を示した図である。図16は、第2実施形態に係るスイッチトキャパシタ装置の回路構成の他の例を示した図である。図17は、第2実施形態において制御部1より出力されるパルス信号の波形を示した図である。
図15に示すスイッチトキャパシタ装置D6は、スイッチトキャパシタ装置D4(図5(a)参照)において、キャパシタC5、充電用ダイオードD15、放電用ダイオードD25、及び、放電用スイッチQ25からなる回路を、さらに付加したものである。
また、図16に示すスイッチトキャパシタ装置D7は、スイッチトキャパシタ装置D5(図5(b)参照)において、キャパシタC5、充電用ダイオードD15、放電用ダイオードD25、及び、放電用スイッチQ25からなる回路を、さらに付加したものである。
図15及び図16に示すスイッチトキャパシタ装置D6及びD7では、制御部1は、充電用スイッチQ1と放電用スイッチQ21〜Q25とに対して、図17に示される波形のパルス信号を出力する。
制御部1は、原則的には、充電用スイッチQ1と放電用スイッチQ21〜Q25とに対して交互にパルスが到来するように、オンオフ周期Tのパルス信号を出力する(期間A)。
ところが、制御部1は、LED2を流れる電流の電流値が変動したときには、当該電流値を変動前の電流値に戻すために、期間B乃至期間Dのいずれかに示すパルス信号を出力する。期間Bでは、制御部1は、充電用スイッチQ1にパルスが出力される2回に1回の割合で、放電用スイッチQ25に対してパルスが出力されるように、充電用スイッチQ1及び放電用スイッチQ21〜Q25に対してパルス信号を出力する。
期間Bでは、充電用スイッチQ1にパルスが出力される2回に1回の割合で、放電用スイッチQ25が配置された放電回路のキャパシタC5が短絡する。そのため、各キャパシタに充電が行われる2回の1回の割合で、充電可能なキャパシタの数が1つ減る。
これにより、各キャパシタに充電が行われる2回に1回の割合で、充電可能なキャパシタの端子間電圧を増加させることができる。その結果、各キャパシタの放電によりLED2を流れる電流の電流値を増加させて、LED2に伝達される電気エネルギー量を増加させることができる。
期間Cでは、制御部1は、充電用スイッチQ1にパルスが出力される5回に4回の割合で、放電用スイッチQ25に対してパルスが出力されるように、充電用スイッチQ1及び放電用スイッチQ21〜Q25に対してパルス信号を出力する。
期間Cでは、各キャパシタに充電が行われる5回に4回の割合で、充電可能なキャパシタの端子間電圧を増加させることができる。その結果、各キャパシタの放電によりLED2を流れる電流の電流値を期間Bの増加分よりも多く増加させることができるため、LED2に伝達される電気エネルギー量を期間Bの増加分よりも多く増加させることができる。
期間Dでは、制御部1は、放電用スイッチQ25に対して継続してパルスが出力されるように放電用スイッチQ25に対してパルス信号を出力するとともに、充電用スイッチQ1にパルスが出力される2回に1回の割合で、放電用スイッチQ24に対してパルスが出力されるように、充電用スイッチQ1及び放電用スイッチQ21〜Q24に対してパルス信号を出力する。
期間Dでは、充電用スイッチQ1にパルスが出力されている間に、放電用スイッチQ25だけではなく、放電用スイッチQ24にもパルスが出力されるため、放電用スイッチQ24の分だけ、充電可能なキャパシタの数がさらに減る。
これにより、充電可能なキャパシタの端子間電圧が期間Cよりもさらに大きくなる。その結果、各キャパシタの放電によりLED2を流れる電流の電流値を期間Cの増加分よりも多く増加させることができるため、LED2に伝達される電気エネルギー量を期間Cの増加分よりも多く増加させることができる。
図18は、第2実施形態における制御部1の構成の一例を示した図である。図18に示す制御部1は、電流値検知部4や電圧検知部5からの信号を、誤差増幅器Ampにより増幅して、A/Dコンバータ11によりデジタル信号の形に変換してから、マイクロコンピュータ12に出力する。
マイクロコンピュータ12は、発振器OSCにより生成されるクロック信号に基づいて駆動し、A/Dコンバータ11から入力された信号に応じて、充電用スイッチQ1、及び、放電用スイッチQ21〜Q25の各々から出力されるべきパルス信号を生成する。
マイクロコンピュータ12は、各パルス信号を生成すると、生成した各パルス信号を、バッファIC13を通じて、充電用スイッチQ1、及び、放電用スイッチQ21〜Q25へ出力する。
図19は、第2実施形態における制御部1の構成の他の例を示した図である。図19に示す制御部1は、調光器などから交流信号の形で出力される制御信号を、交直変換器15により直流信号の形に変換し、A/Dコンバータ11によりデジタル信号の形に変換してから、マイクロコンピュータ12に出力する。
マイクロコンピュータ12は、発振器OSCにより生成されるクロック信号に基づいて駆動し、A/Dコンバータ11から入力された信号に応じて、充電用スイッチQ1、及び、放電用スイッチQ21〜Q25の各々から出力されるべきパルス信号を生成する。
マイクロコンピュータ12は、各パルス信号を生成すると、生成した各パルス信号を、バッファIC13を通じて、充電用スイッチQ1、及び、放電用スイッチQ21〜Q25へ出力する。
尚、第2実施形態でも、第1実施形態と同じように、充電用スイッチQ1及び放電用スイッチQ2に出力されるパルス信号の時比率を制御してもよい。こうすれば、LED2を流れる電流値をさらに適切に制御することができる。