以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るハイブリッド建設機械の制御装置について説明する。なお、以下の実施形態では、ハイブリッド建設機械がパワーショベルである場合について説明する。
図1は、本発明の実施形態のハイブリッド建設機械の制御システムの説明図である。
パワーショベルには、原動機としてのエンジン73で駆動する可変容量型の第1、2メインポンプ71、72が設けられる。第1、2メインポンプ71、72は同軸回転する。エンジン73には、エンジン73の余力を利用して発電機能を発揮するジェネレータ1が設けられる。また、エンジン73には、エンジン73の回転数を検出する回転数センサ74が設けられる。
第1メインポンプ71から吐出される作動油は第1回路系統75に供給される。第1回路系統75は、旋回モータ76を制御する操作弁2と、アームシリンダ(図示せず)を制御する操作弁3と、後述する操作弁16と連動してブームシリンダ77を制御するブーム2速用の操作弁4と、予備用アタッチメント(図示せず)を制御する操作弁5と、左走行用の第1走行用モータ(図示せず)を制御する操作弁6とを有する。各操作弁2〜6は、第1メインポンプ71から各アクチュエータへ導かれる吐出油の流量を制御して、各アクチュエータの動作を制御する。
各操作弁2〜6と第1メインポンプ71とは、中立流路7及び中立流路7と並列なパラレル流路8を通じて接続されている。中立流路7における第1走行モータ用の操作弁6の下流側には、パイロット圧を生成するための絞り9が設けられる。絞り9は、通過する流量が多ければ高いパイロット圧を、通過する流量が少なければ低いパイロット圧を、上流側に生成する。
中立流路7は、操作弁2〜6の全てが中立位置又は中立位置近傍にあるときには、第1メインポンプ71から吐出された作動油の全部又は一部を、絞り9を介してタンク94に導く。このとき、絞り9を通過する流量はストローク時と比較して多くなるため、高いパイロット圧が生成される。
一方、操作弁2〜6がフルストロークの状態に切り換えられると、中立流路7が閉ざされて流体の流通がなくなる。この場合には、絞り9を通過する流量がほとんどなくなり、パイロット圧がゼロとなる。ただし、操作弁2〜6の操作量によっては、第1メインポンプ71から吐出された作動油の一部がアクチュエータに導かれ、残りが中立流路7からタンク94に導かれるので、絞り9は、中立流路7の作動油の流量に応じたパイロット圧を生成する。つまり、絞り9は、操作弁2〜6の操作量に応じたパイロット圧を生成する。
中立流路7における最下流の操作弁6と絞り9との間には、中立流路切換電磁弁10が設けられる。中立流路切換電磁弁10は、そのソレノイドがコントローラ90に接続されている。中立流路切換電磁弁10は、ソレノイドが非励磁のときにはスプリングのばね力の作用で図示の全開位置に設定され、ソレノイドが励磁のときにはスプリングのばね力に抗して絞り位置に設定される。中立流路切換電磁弁10が絞り位置に切り換わったときの絞り開度は、絞り9の開度よりも小さく設定されている。
中立流路7における操作弁6と中立流路切換電磁弁10との間にはパイロット流路11が接続される。パイロット流路11には、絞り9の上流側に発生する圧力がパイロット圧として導かれる。パイロット流路11は、第1メインポンプ71の傾転角を制御するレギュレータ12に接続される。レギュレータ12は、パイロット流路11のパイロット圧と逆比例して第1メインポンプ71の傾転角を制御して、第1メインポンプ71の1回転当たりの押しのけ容積を制御する。すなわち、パイロット圧に応じて、ポンプ71の吐出量が可変する。
パイロット流路11には、減圧弁80とパイロット流路切換電磁弁81とが並列に設けられる。パイロット流路切換電磁弁81は、減圧弁80を迂回するバイパス流路82に設けられる。パイロット流路切換電磁弁81は、そのソレノイドがコントローラ90に接続されている。ソレノイドが非励磁のときに図示の連通位置に設定され、中立流路7からパイロット流路11に至る作動油は減圧弁80を迂回する。一方、ソレノイドが励磁したときに遮断位置に設定され、中立流路7は減圧弁80のみを通じてパイロット流路11と連通する。
パイロット流路11には、パイロット流路11の圧力を検出する第1圧力センサ13が設けられる。第1圧力センサ13にて検出された圧力信号はコントローラ90に出力される。パイロット流路11のパイロット圧は、操作弁2〜6の操作量に応じて変化するため、第1圧力センサ13が検出する圧力信号は、第1回路系統75の要求流量に応じて変化する。
第2メインポンプ72は第2回路系統78に接続している。第2回路系統78は、その上流側から順に、右走行用の第2走行用モータ(図示せず)を制御する操作弁14と、バケットシリンダ(図示せず)を制御する操作弁15と、ブームシリンダ77を制御する操作弁16と、アームシリンダ(図示せず)を制御するアーム2速用の操作弁17とを有する。操作弁16には、操作方向及び操作量を検出するセンサ(図示せず)が設けられ、このセンサの検出信号はコントローラ90に出力される。各操作弁14〜17は、第2メインポンプ72から各アクチュエータへ導かれる吐出油の流量を制御して、各アクチュエータの動作を制御する。
各操作弁14〜17と第2メインポンプ72とは、中立流路18及び中立流路18と並列なパラレル流路19を通じて接続されている。中立流路18における操作弁17の下流側には、パイロット圧を生成するための絞り20が設けられる。絞り20は、第1メインポンプ71側の絞り9と同じ機能を有する。
中立流路18における最下流の操作弁17と絞り20との間には、中立流路切換電磁弁21が設けられる。中立流路切換電磁弁21は、第1メインポンプ71側の中立流路切換電磁弁10と同じ構成である。
中立流路18における操作弁17と中立流路切換電磁弁21との間にはパイロット流路22が接続される。パイロット流路22には、絞り20の上流側に発生する圧力がパイロット圧として導かれる。パイロット流路22は、第2メインポンプ72の傾転角を制御するレギュレータ23に接続される。
パイロット流路22には、減圧弁84とパイロット流路切換電磁弁85とが並列に設けられる。パイロット流路切換電磁弁85は、減圧弁84を迂回するバイパス流路86に設けられる。また、パイロット流路22にはパイロット流路22の圧力を検出する第2圧力センサ24が設けられる。第2圧力センサ24にて検出された圧力信号はコントローラ90に出力される。
レギュレータ23、減圧弁84、及びパイロット流路切換電磁弁85は、第1メインポンプ71側のレギュレータ12、減圧弁80、及びパイロット流路切換電磁弁81と同じ構成であり、それらの作動も同じであるため、説明を省略する。
第1、2メインポンプ71、72にはそれぞれ流路55、56が接続され、流路55、56にはそれぞれ電磁弁58、59が設けられる。流路55、56は、第1、2回路系統75、78の上流側で第1、2メインポンプ71、72に接続されている。電磁弁58、59は、ソレノイドがコントローラ90に接続されている。電磁弁58、59は、ソレノイドが非励磁のときに図示の閉位置に設定され、ソレノイドが励磁したときに開位置に設定される。
電磁弁58、59は、合流通路57及びチェック弁60を介して油圧モータ88に接続される。油圧モータ88は、モータジェネレータ(MG)91と連係して回転する。MG91が発電した電力はインバータ92を介して蓄電ユニット26に充電される。なお、油圧モータ88とMG91とは、直接連結してもよいし、減速機を介して連結してもよい。
第1、2メインポンプ71、72から吐出された作動油は、電磁弁58、59を経由して油圧モータ88に供給され、油圧モータ88を駆動する。油圧モータ88は、その駆動力によってMG91を回転して発電する。MG91で発電された電力は、インバータ92を介して蓄電ユニット26に充電される。これにより、第1、2メインポンプ71、72が吐出するスタンバイ流量によって回生が行われる。
油圧モータ88を回転させて蓄電ユニット26を充電するには、オペレータがコントローラ90にスタンバイ回生指令信号を手動操作して入力することによって行われる。
なお、バッテリチャージャー25は、通常の家庭用の電源27に接続した場合にも、蓄電ユニット26に電力を充電できるようにしている。このように、バッテリチャージャー25は、独立電源にも接続可能である。
このように、第1、2メインポンプ71、72から吐出された作動油によって油圧モータ88を駆動させてMG91により発電した電力を蓄電ユニット26に充電することができる。また、蓄電ユニット26に充電した電力は、後述するサブポンプ89のアシスト力に利用することもできる。
旋回モータ用の操作弁2のアクチュエータポートには、旋回モータ76に連通する通路28、29が接続されると共に、通路28、29のそれぞれにはブレーキ弁30、31が接続される。操作弁2を中立位置に保っているときには、アクチュエータポートが閉じられて旋回モータ76は停止状態を維持する。
旋回モータ76の停止状態から操作弁2をいずれか一方の方向に切り換えると、一方の通路28が第1メインポンプ71に接続され、他方の通路29がタンク94に連通する。これにより、通路28から作動油が供給されて旋回モータ76が回転すると共に、旋回モータ76からの戻り油が通路29を通じてタンク94に戻される。操作弁2を上記とは反対方向に切り換えると、通路29が第1メインポンプ71に接続され、通路28がタンクに連通し、旋回モータ76は逆転する。
また、操作弁16を中立位置から一方の方向に切り換えると、第2メインポンプ72から吐出された作動油は、通路32を通じてブームシリンダ77のピストン側室33に供給されると共に、ロッド側室34からの戻り油は通路35から、操作弁17、中立流路切換電磁弁21を通じてタンク94に戻され、ブームシリンダ77は伸長する。
操作弁16を上記とは反対方向に切り換えると、第2メインポンプ72から吐出された作動油は、通路35を通じてブームシリンダ77のロッド側室34に供給されると共に、ピストン側室33からの戻り油は通路32から、操作弁17、中立流路切換電磁弁21を通じてしてタンク94に戻され、ブームシリンダ77は収縮する。ブーム2速用の操作弁4は、操作弁16と連動して切り換える。ブームシリンダ77のピストン側室33と操作弁16とを接続する通路32には、コントローラ90によって開度が制御される比例電磁弁36が設けられる。比例電磁弁36はノーマル状態で全開位置を保つ。
次に、第1、2メインポンプ71、72の出力をアシストする可変容量型のサブポンプ89について説明する。
サブポンプ89は、MG91を電動モータとして使用したときの駆動力で回転し、MG91の駆動力によって、油圧モータ88も同軸回転する。MG91にはインバータ92を介して蓄電ユニット26が接続され、インバータ92に接続されたコントローラ90にてMG91の回転数等が制御される。また、サブポンプ89及び油圧モータ88の傾転角は傾角制御器37、38にて制御され、傾角制御器37、38はコントローラ90の出力信号にて制御される。
サブポンプ89には吐出通路39が接続される。吐出通路39は、第1メインポンプ71の吐出側に合流する第1アシスト流路40と、第2メインポンプ72の吐出側に合流する第2アシスト流路41とに分岐して形成される。第1、2アシスト流路40、41のそれぞれには、コントローラ90の出力信号にて開度が制御される第1、2電磁比例絞り弁42、43が設けられる。また、第1、2アシスト流路40、41のそれぞれには、第1、2電磁比例絞り弁42、43の下流に、サブポンプ89から第1、2メインポンプ71、72への作動油の流れのみを許容するチェック弁44、45が設けられる。
油圧モータ88には接続用通路46が接続される。接続用通路46は、導入通路47及びチェック弁48、49を介して、旋回モータ76に接続された通路28、29に接続されている。導入通路47には、コントローラ90にて開閉制御される電磁切換弁50が設けられる。また、電磁切換弁50とチェック弁48、49との間には、旋回モータ76の旋回時の圧力あるいはブレーキ時の圧力を検出する圧力センサ51が設けられ、圧力センサ51の圧力信号はコントローラ90に出力される。
導入通路47における電磁切換弁50の下流には、導入通路47の圧力が所定圧力に達した場合に接続用通路46へと作動油を導く安全弁52が設けられる。安全弁52は、例えば電磁切換弁50など、導入通路47系統に故障が生じたときに、通路28、29の圧力を維持して旋回モータ76がいわゆる逸走するのを防止するためのものである。また、接続用通路46は、チェック弁61を介してタンク94に接続する。
ブームシリンダ77と比例電磁弁36との間には、接続用通路46に連通する導入通路53が設けられる。導入通路53にはコントローラ90にて開閉が制御される電磁開閉弁54が設けられる。
次に、サブポンプ89のアシスト力を利用する場合について説明する。サブポンプ89のアシスト流量は予め設定され、コントローラ90は、サブポンプ89の傾転角、油圧モータ88の傾転角、及びMG91の回転数等をどのように制御したら最も効率的かを判断してそれぞれの制御を実行する。
第1回路系統75あるいは第2回路系統78のいずれかの操作弁2〜6、14〜17が切り換えられたとき、中立流路切換電磁弁10、21は絞り位置から開位置に切り換えられる。これにより、パイロット流路11、22のパイロット圧が低くなり、その低くなったパイロット圧を第1、2圧力センサ13、24が検出して、パイロット圧信号をコントローラ90に出力する。
コントローラ90は、第1、2圧力センサ13、24から出力されたパイロット圧信号に基づいて、電磁弁58、59を閉位置に切り換える。第1、2メインポンプ71、72は低くなったパイロット圧に伴って、レギュレータ12、23によって1回転当たりの押しのけ容積が増大し、電磁弁58、59が閉位置に切り替わったことで第1、2メインポンプ71、72の全吐出量が第1、2回路系統75、78に接続されたアクチュエータに供給される。
第1、2メインポンプ71、72の1回転当たりの押しのけ容積を増大するときには、コントローラ90は、MG91を回転した状態に保つ。MG91の駆動源は蓄電ユニット26に蓄電された電力であり、この電力の一部は、第1、2メインポンプ71、72から吐出された作動油を利用して蓄電したものである。
MG91の駆動力でサブポンプ89が回転すれば、サブポンプ89からアシスト流量が吐出される。コントローラ90は、第1、2圧力センサ13、24からの圧力信号に応じて、第1、2電磁比例絞り弁42、43の開度を制御し、サブポンプ89の吐出量を案分して第1、2回路系統75、78に供給する。
まず、第1回路系統75に接続された旋回モータ76を駆動する場合を説明する。
コントローラ90が、操作弁2を一方の方向に切り換えると、一方の通路28が第1メインポンプ71に連通し、他方の通路29がタンクに連通して、旋回モータ76が回転する。
通路28、29の圧力は、旋回動作あるいはブレーキ動作に必要な圧力に保たれていなければ、旋回モータ76を旋回させたり、ブレーキをかけたりできなくなる。そこで、通路28、29の圧力を旋回圧あるいはブレーキ圧に保つために、コントローラ90は油圧モータ88の傾転角を制御しながら、旋回モータ76の負荷を制御する。
導入通路47及び接続用通路46を通じて油圧モータ88に作動油が供給され、油圧モータ88が回転力を得れば、その回転力は同軸回転するMG91に作用する。油圧モータ88の回転力は、MG91に対するアシスト力として作用する。したがって、油圧モータ88の回転力の分だけ、MG91の消費電力を少なくすることができる。また、油圧モータ88の回転力でサブポンプ89の回転力をアシストすることもできる。
なお、接続用通路46系統の圧力が何らかの原因で、旋回圧あるいはブレーキ圧よりも低くなったときには、コントローラ90は、圧力センサ51の圧力信号に基づいて電磁切換弁50を閉じて旋回モータ76に影響を及ぼさないようにする。また、接続用通路46に圧油の漏れが生じたときには、安全弁52が機能して通路28、29の圧力が必要以上に低くならないようにして、旋回モータ76の逸走を防止する。
次に、ブームシリンダ77を作動する場合を説明する。
ブームシリンダ77を作動させるために操作弁16を切り換えると、操作弁16に設けられたセンサ(図示せず)によって、操作弁16の操作方向と操作量が検出され、その操作信号がコントローラ90に出力される。
上記センサの操作信号に応じて、コントローラ90は、オペレータがブームシリンダ77を上昇させようとしているのか、あるいは下降させようとしているのかを判定する。コントローラ90は、ブームシリンダ77の上昇を判定すれば、比例電磁弁36をノーマル状態である全開位置に保つ。このとき、コントローラ90は、電磁開閉弁54を閉位置に保つと共に、MG91の回転数やサブポンプ89の傾転角を制御する。
一方、コントローラ90は、ブームシリンダ77の下降を判定すれば、操作弁16の操作量に応じてオペレータが求めているブームシリンダ77の下降速度を演算すると共に、比例電磁弁36を閉じて電磁開閉弁54を開位置に切り換える。これにより、ブームシリンダ77の戻り油の全量が油圧モータ88に供給される。
しかし、油圧モータ88で消費する流量が、オペレータが求めた下降速度を維持するために必要な流量よりも少なければ、ブームシリンダ77はオペレータが求めた下降速度を維持できない。このようなときには、コントローラ90は、操作弁16の操作量、油圧モータ88の傾転角、及びMG91の回転数等を基にして、油圧モータ88が消費する流量以上の流量をタンク94に戻すように比例電磁弁36の開度を制御し、オペレータが求めるブームシリンダ77の下降速度を維持する。
油圧モータ88に圧油が供給されると、油圧モータ88が回転し、その回転力は同軸回転するMG91に作用する。油圧モータ88の回転力は、MG91に対するアシスト力として作用する。したがって、油圧モータ88の回転力の分だけ、MG91の消費電力を少なくすることができる。一方、MG91に対して電力を供給せず、油圧モータ88の回転力だけでサブポンプ89を回転させることもできる。
次に、旋回モータ76の旋回作動とブームシリンダ77の下降作動とを同時に行う場合を説明する。
旋回モータ76を旋回させながらブームシリンダ77を下降させるときには、旋回モータ76からの圧油と、ブームシリンダ77からの戻り油とが、接続用通路46で合流して油圧モータ88に供給される。
このとき、導入通路47の圧力が上昇し、旋回モータ76の旋回圧あるいはブレーキ圧よりも高くなったとしても、チェック弁48、49があるため、旋回モータ76には影響を及ぼさない。また、接続用通路46側の圧力が旋回圧あるいはブレーキ圧よりも低くなれば、コントローラ90は、圧力センサ51の圧力信号に基づいて電磁切換弁50を閉じる。
したがって、旋回モータ76の旋回動作とブームシリンダ77の下降動作とを同時に行うときには、旋回圧あるいはブレーキ圧にかかわりなく、ブームシリンダ77の必要下降速度を基準にして油圧モータ88の傾転角を決めればよい。いずれにしても、油圧モータ88の出力によってサブポンプ89の出力をアシストできると共に、サブポンプ89から吐出された作動油を第1、2電磁比例絞り弁42、43にて案分して、第1、2回路系統75、78に供給することができる。
油圧モータ88を駆動源としてMG91を発電機として使用するときには、サブポンプ89は傾転角がゼロに設定されほぼ無負荷状態となる。油圧モータ88には、MG91を回転させるために必要な出力を維持しておけば、油圧モータ88の出力を利用して、MG91を発電機として機能させることができる。また、エンジン73の出力を利用してジェネレータ1にて発電させることができる。
本システムには、チェック弁44、45が設けられると共に、電磁切換弁50、電磁開閉弁54、及び電磁弁58、59が設けられるため、例えば、油圧モータ88及びサブポンプ89系統が故障した場合でも、第1、2メインポンプ71、72系統と、油圧モータ88及びサブポンプ89系統とを油圧的に切り離すことができる。
特に、電磁切換弁50、電磁開閉弁54、及び電磁弁58、59は、ノーマル状態にあるときにスプリングのバネ力で閉位置を保つと共に、上記比例電磁弁36もノーマル状態にあるときに全開位置を保つため、電気系統が故障したとしても、第1、2メインポンプ71、72系統と、油圧モータ88及びサブポンプ89系統とを油圧的に切り離すことができる。
次に、以上のように構成されたハイブリッド建設機械の制御装置において、蓄電装置の一例である蓄電ユニット26について説明する。
図2は、本発明の実施形態の蓄電ユニット26の構成ブロック図である。
蓄電ユニット26は、複数の蓄電モジュール101と、複数の蓄電モジュール101の充電を制御するシステム制御装置200とを備える。図2に示す例では、蓄電ユニット26に、n個の蓄電モジュール101(101a〜101n)が備えられている。これら蓄電モジュール101は、電気的に直列に接続される。
蓄電モジュール101において、複数の蓄電セル111が電気的に直列に接続されて積層されている。蓄電セル111を多数積層することによって、大きな電力を蓄積、出力することができる。なお、本実施形態では、複数の蓄電セル111を積層したものを蓄電手段110と呼ぶ。
蓄電セル111は、リチウムイオン電池等の二次電池によって構成される。なお、蓄電セル111は、ニッケル水素電池等の他の二次電池によって構成されていてもよい。二次電池ではなく、電気二重層キャパシタによって構成されていてもよい。
蓄電モジュール101は、蓄電セル111の状態を検出するユニット制御装置112を備える。ユニット制御装置112は、各蓄電セル111から電圧や温度等を検出し、通信回線120を経由してシステム制御装置200に出力する。すなわち、ユニット制御装置112が状態検出装置として機能する。ユニット制御装置112は、ユニット基板114に搭載される。
システム制御装置200は、蓄電ユニット26に備わる蓄電モジュール101を制御する。システム制御装置200は、通信回線120を介して各蓄電モジュール101のユニット制御装置112と通信して、取得した電圧値から蓄電モジュール101の各蓄電セル111の充電状態を把握し、取得した温度の情報によって各蓄電セル111の充電状態の補正を行って、各蓄電モジュール101の充電量を制御する。システム制御装置200は、システム基板201に搭載される。
システム制御装置200は、コントローラ90と通信を行い、蓄電ユニット26の電力の入出力や遮断を制御する。また、システム制御装置200は、蓄電モジュール101に問題が発生した場合には、コントローラ90にアラームを出力して、電気系統の停止を要求する。
通信回線120は、複数の第1通信ケーブル130と、第2通信ケーブル140と、中継基板150とから構成される。
第1通信ケーブル130は、ユニット制御装置112と中継基板150とを電気的に接続する。第2通信回線は、中継基板150とシステム制御装置200と電気的に接続する。
ユニット基板114は、ユニット制御装置112とユニットコネクタ113とを搭載する。中継基板150は、複数の第1コネクタ151(151a、151b、151c・・・151n)と、第2コネクタ152とを搭載する。システム基板201は、システム制御装置200と、システムコネクタ202とを搭載する。
第1通信ケーブル130は、その一端がユニット基板114のユニットコネクタ113に接続され、他端が中継基板150の第1コネクタ151に接続される。
第2通信ケーブル140は、その一端が中継基板の第2コネクタ152に接続され、他端がシステム基板201のシステムコネクタ202に接続される。
中継基板150は、第1コネクタ151と第2コネクタとの間を相互に電気的に接続するための配線が設けられている。
ユニット制御装置112とシステム制御装置200とは、第1通信ケーブル130、中継基板150及び第2通信ケーブル140によって構成される複数の通信路によって通信可能に接続される。
具体的には、ユニット制御装置112が検出した電圧や温度等の蓄電セル111の情報は、シリアル信号によってシステム制御装置200に送信される。このシリアル信号は、ユニット制御装置112ごとにIDを付され、ユニット制御装置112とシステム制御装置200との間で伝送される。シリアル信号を送信する信号路は、システム制御装置200側は一の信号路に接続され、各ユニット制御装置112側では、それぞれ分岐された信号路に接続されている。また、ユニット制御装置112を駆動するための電力は、システム制御装置200側から一の信号路で出力され、各ユニット制御装置112側に分岐して供給される。
本実施形態では、このように、システム制御装置200と各ユニット制御装置112とを一対多で接続する信号路を「第1信号路221」と呼ぶ。
また、ユニット制御装置112が発した警報やエラーをシステム制御装置200に伝送するための信号路が存在する。この信号路は、前述した電圧、温度等の情報の伝送とは分離して設けられる。この信号路は、各ユニット制御装置112とシステム制御装置200とがそれぞれ直接通信できるように、各ユニット制御装置112ごとに個別に接続される。
本実施形態では、システム制御装置200と各ユニット制御装置112とを一対一で接続する信号路を「第2信号路222」と呼ぶ。
中継基板150は、第1コネクタ151を介して接続される第1通信ケーブル130内の第1信号路221を、中継基板150内の結線によって一の信号線に集合する。第1信号路221に相当する信号路が複数ある場合は、複数の信号路ごとに一の信号線に集合する。集合した信号線は、第2コネクタ152に結線する。第1信号路221は、第2通信ケーブル140を介してシステム制御装置200に接続する。
また、中継基板150は、第1コネクタ151を介して接続される第1通信ケーブル130内の第2信号路222を、中継基板150内の結線によって第2コネクタ152に結線する。第2信号路222は、第2通信ケーブル140を介してシステム制御装置200に接続する。
このように、中継基板150において、各蓄電モジュール101のユニット制御装置112からの信号線のうち、共通して使用される第1信号路221に対応する信号線を集合する。これよって、システム制御装置200に接続する信号線の数が、各ユニット制御装置112とシステム制御装置200とで直接ケーブルを接続した場合と比較して、削減することができる。また、第1信号路221に対応する信号線は、前述のようにユニット制御装置112ごとに付されたIDにより送信する信号の宛先を識別できるため、信号線を集合した場合にもユニット制御装置とシステム制御装置200との間で行われる制御には何ら影響を与えない。
図3は、本実施形態の蓄電ユニット26の具体的な構成の一例の説明図である。
図3に示す例では、4個の蓄電モジュール101(101a、101b、101c、101d)が備えられる構成を示す。
前述のように、蓄電モジュール101は、図2に示した蓄電セル111が積層されて構成された蓄電手段110と、ユニット制御装置112及びユニットコネクタ113を搭載したユニット基板114と、により構成される。また、システム基板201は、システム制御装置200とシステムコネクタ202とを搭載する。
中継基板150は、6個の第1コネクタ151(151a、151b、151c、151d、151e、151f)と第2コネクタ152とを搭載する。
蓄電モジュール101aのユニット制御装置112は、第1通信ケーブル130によって第1コネクタ151aと接続する。蓄電モジュール101bのユニット制御装置112は、第1通信ケーブル130によって第1コネクタ151bと接続する。蓄電モジュール101cのユニット制御装置112は、第1通信ケーブル130によって第1コネクタ151cと接続する。蓄電モジュール101dのユニット制御装置112は、第1通信ケーブル130によって第1コネクタ151dと接続する。
なお、第1コネクタ151e及び第1コネクタ151fは、何も接続されておらず、空きの状態である。
この図3に示す例のように、蓄電モジュール101のユニット制御装置112とシステム制御装置200とを、第1通信ケーブル130、第2通信ケーブル140及び中継基板150によって接続することで、システム制御装置200にユニット制御装置112に対応するだけの数(図3の例では4個)のコネクタを備える必要がなくなる。この結果、システム基板201において、コネクタの数が増えることによる強度や信頼性の低下、コストの上昇を抑えることができる。
また、中継基板150に予め空きの第1コネクタ151(151e、151f)を搭載しておくことで、将来、蓄電ユニット101を増設する場合にも、第1通信ケーブル130を接続するだけで増設が完了する。この結果、システムの拡張が容易となり、蓄電ユニット26に汎用性を持たせることができる。
以上説明したように、本発明の実施形態では、蓄電ユニット26において、ユニット制御装置112とシステム制御装置200とを電気的に接続する通信回線120を、第1通信ケーブル130、第2通信ケーブル140及び中継基板150によって構成した。
このように構成することによって、システム基板201に搭載するコネクタを、システムコネクタ202のみとすることができ、システム基板201に多くのコネクタを備える必要がなくなり、システム基板201をコンパクトにすることができる。また、システム基板201において、コネクタの数が増えることによる強度や信頼性の低下、コストの上昇を抑えることができる。
システム制御装置200はマイコンやその他周辺装置を含む精密機器である。システム制御装置200を搭載するシステム基板201は、多数のパターンやビア等を備える多層基板によって構成される。多層基板に数多くのコネクタを設置した場合は、コストが上昇する。また、振動や衝撃が加わるハイブリッド建設機械においては、多層基板における強度が問題になり、強度を確保するためにはコストが上昇する。将来の設計変更に備え、空きのコネクタを増設する場合も、コストが上昇する。
これに対して、本発明の実施形態では、中継基板150に第1コネクタ151、第2コネクタ152を配置し、ユニット基板114及びシステム基板201に搭載するコネクタは、それぞれ一つである。このため、ユニット基板114やシステム基板201の強度や信頼性を低下させることがなく、また、コネクタを複数備えるコストが必要なくなる。
さらに、中継基板150は、コネクタ及び配線パターンのみのため、単層基板、又は、電源等をベタ配線とした2層、4層程度の基板とすることができるので、コネクタを多数配置することによるコストの上昇や信頼性の低下を抑えられる。そのため、将来の設計変更に備え、空きのコネクタを予め増設しておいたとしても、コストの上昇は限定的である。
従って、システムの拡張が容易となり、蓄電ユニット26に汎用性を持たせることができる。
また、蓄電モジュール101と中継基板150、中継基板150とシステム制御装置200との間は、柔軟性に富むケーブルによって接続することによって、蓄電ユニット26のレイアウトの自由度が増し、蓄電ユニット26全体の小型化に貢献する。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは言うまでもない。