JP5647591B2 - 土留用残置杭の上部撤去工法 - Google Patents
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Description
ある土留用残置杭の上部を撤去する工法に関する。
立って、地下構造物の構築予定箇所の両側に、土砂の流出を防止するために土留壁を構築
する。この土留壁の構築方法に、土留用杭を一列に埋め込む柱列杭土留工法がある。この
土留壁を構成する土留用杭は、地下構造物構築後土留めの役割を終えてからも、地中に残
置した状態となるが、都市計画の変更等のため邪魔になり、上部だけでも撤去する必要が
生じる。このように、地中の残置杭の上部を撤去する必要がある場合は、しばしば生じう
る。
響を与えないように、騒音と振動を可能な限り抑えることが求められている。また都市部
の地下には、上下水管、ガス管のほかに光ファイバーケーブルに代表される通信ラインな
どの地下埋設物が多くあり、撤去工事はそれらを避けながら行う必要があると共に、コス
ト削減等のため土留用残置杭周辺の作業空間の掘削面積をできるだけ少なくすることが求
められている。
を露出した状態で、コンクリートブレーカで土留用残置杭のコンクリートを破砕し、さら
に残った鉄筋部分をガス切断するという手順で行われていた。しかし、この従来工法の場
合、防音パネル等を設置しても騒音や振動を低減することに限界があり、また粉塵の発生
などで作業環境が悪く作業効率が落ちるという問題や、土留用残置杭周辺の作業空間の掘
削面積が広く地下埋設物を損傷するリスクが高いという問題があった。
る工法もある(特許文献1)が、この工法の場合土留用残置杭撤去部分を完全に露出する
必要があり、そのために広い作業空間が必要で、柱状物周辺に埋設物があると作業空間の
確保が困難で、工事自体が施工不可能になることもあった。
。 すなわち、コンクリートブレーカ等による工法に伴う騒音や振動の発生、作業環境が
劣悪による作業効率低下、土留用残置杭周辺の作業空間の掘削面積が広く必要とすること
から生じる地下埋設物損傷リスクという問題である。またワイヤーソーによる工法の場合
には、作業空間を確保するのに土留用残置杭撤去部分を完全に露出する必要があるという
問題、及び作業装置の関係上埋設物の位置によっては工事を施工することが不可能になる
という問題が本発明の解決課題である。
すなわち、地中の土留用残置杭の上端面に、この残置杭の長さ方向に沿う作業穴を穿孔す
る穿孔工程と、
前記作業穴の内部に高圧水供給管を差し込み、その先端に設けた高圧水噴出ノズルを高圧
水供給管の軸心を中心として回転させながら、前記残置杭の外周方向に高圧水を噴出して残
置杭の非鉄部分を破砕する高圧水噴出工程と、
高圧水噴出工程で残った残置杭の鉄部分をバーナで溶断して残置杭の上部を切断する溶断
工程と、
切断した前記残置杭の上部を地上に取り出す上部除去工程と、からなる土留用残置杭の上
部撤去工法において、
前記作業穴と同径であって、その中心に通孔を有するセンター位置保持板を前記作業穴の
内部に挿入すると共に、
前記高圧水供給管を前記通孔に貫通してセンター位置保持板を前記高圧水噴出ノズル付近
に位置させ、
これにより高圧水供給管を前記作業穴の中心軸線上に保持する。
水を外周方向に向けて噴出することにより、コンクリートブレーカに比較し騒音や振動を
低減できると共に、粉塵などの発生を抑制できるという効果がある。さらに残置杭を内側
から破壊するためワイヤーソーに比較し工事のための作業空間が狭くて足り、そのため埋
設物があっても工事の障害になるリスクが少なく結果的に工期の短縮や工事費用を抑える
ことが可能となるという優れた効果を奏する。
る溶断工程と、の二つの工程があることにより、高圧水の中に鉄筋を切断するための砥粒
成分を含有させ、一工程で切断する場合と比較して、高圧水の水量を大幅に制限すること
が可能となり、残置杭がある土壌に与える影響を少なくすることができる。また、使用を
した排水の処理が容易になると共に、土留用残置杭周辺の埋設物損傷防止のための養生用
鉄板を堅牢にする必要がなくなり、養生のための工程が低減されるという効果がある
転させながら高圧水を噴出することができることにより、高圧水供給管を有する高圧水加
工装置を土留用残置杭の周りを移動させながら加工する必要が無くなり、コンクリート等
の破砕工程を効率よく行うことができる。また、放射状にどの方向に対しても同じ量のコ
ンクリート等を破砕することが可能となる。
で高速回転させることが可能となり、土留用残置杭の全周に亘って均等にコンクリート等
を破砕できる。また、コンクリート等の破砕効率が一定であるため作業時間を管理すると
いう簡易な方法により作業量を正確に把握できるようになり、工程管理が容易になるとと
もに、供給する高圧水の水量を管理しやすくなり高圧水の水量を制限することができる。
の先端を回転させながら高圧水を噴出することにより、高圧水供給管全体を駆動するため
の大きな出力の駆動装置が不要になる。特に高圧水供給管が長くなった場合に、システム
を簡易化できる。
そのセンター位置保持板の中心にある通孔に高圧水供給管を貫通して高圧水供給管が作業
穴の中心軸線上に位置することにより、高圧水の噴出箇所が1箇所である場合であっても、
高圧水の反力により噴出方向と反対側に曲げられることがなくなり、その寿命を確保する
ことができる。また、高圧水供給管の先端付近にセンター位置保持板を設けているので、
高圧水供給管の固有振動数を高くして、共振が生じるのを防止することができる。
つ説明する。
である。ここで残置杭とは、芯材を鉄筋や形鋼とするコンクリート(モルタルを含む)か
らなる柱状の杭をいう。土留用残置杭1a、1bは直径400mm、長さ10m以上のも
のが、一列に並んで埋設されている。土留用残置杭1aの内部は、軸線方向に沿った長尺
の鉄筋2を主筋として土留用残置杭の円周の同周円上に等間隔に10本配置すると共に、
軸方向に等間隔で円形の帯鉄筋2aを用いて補助する構造としている。また、土留用残置
杭1bは、H形鋼5の周りをコンクリートで固めたもので、土留壁を構成する杭のいくつ
かは、より剛性の高いH形鋼を用いた土留用残置杭1bとする。このような構成とするこ
とで、土留壁全体の剛性を高めることができる。なお土留用残置杭1a、1bの断面形状
は円形となっているが、それに限らず四角形、六角形など多角形形状となっているものを
含む。
示した正面図である。例えば地下1m前後にある土留用残置杭1aの上端面4を、都市計
画の変更等により地下1.5mにする必要がある場合がある。このような工事の場合は、
図1にあるようにまず土留用残置杭の上端面を露出させるため、及び切断撤去作業の作業
空間確保のために、ショベル等により土留用残置杭1a、1bの列に倣って土留用残置杭
上端面4と同じ深さの溝を掘削する。このように都市部における工事の場合には埋設物の
関係で溝幅をできるだけ小さくすると共に、溝深さもできるだけ浅くする必要がある。
を設置する。穿孔装置100は、コラムベース12にラック付きコラム11を立設し、そ
のラック付きコラム11にはドリル本体15を固定したドリルキャリッジ13が設けられ
、ハンドルによりドリルキャリッジ13の位置を上下操作できるようになっている。ドリ
ル本体15には作業穴3と同じ径のドリル用コア14を取付けている。土留用残置杭1a
の直径が400mmであるので、穿孔する作業穴3の大きさは200mm程度であること
が望ましい。
により固定する。
ドリル本体15によりドリル用コア14を回転させた後、ドリルキャリッジ13のハ
ンドルを用いて作業者がドリルキャリッジ13を下げることにより、ドリル用コア14が
所定の作業穴3を穿孔するようになる。作業穴3の深さは、切断撤去する土留用残置杭の
長さよりも長くする必要がある。竪穴内部で高圧水を噴出するこの後の工程において、そ
の工程により生じる比重の大きいコンクリート破砕屑が、水の流れによっては排出できず
、一時的にその破砕屑を堆積させておく必要があるためである。切断撤去する長さの深さ
に加えて、コンクリート破砕屑の体積の1.3〜1.5倍を確保できる程度の深さを加えること
が望ましい。
ブレーカを用いる工法よりも騒音振動が格段に低減される。夜間の都市部で行われる作業
においては振動対策を施すことは難しいが、本穿孔工程とすることにより振動を小さく抑
えることが可能となる。また、ドリルの作業部分に少量の冷却水を供給することによりド
リル用コア14の長寿命化に加えて、粉塵の発生を抑えることも可能となる。加えて土留
用残置杭1aの上面が露出しているだけで穿孔作業を行うことができるので、土留用残置
杭1aの周辺への埋設物の有無にかかわらず作業を行うことができる。
が、H形鋼を用いた土留用残置杭1bの場合は、鉄骨が無い部分に2本穿孔する。
工程は、高圧水噴出によってコンクリート等非鉄部分の破砕する工程である。穿孔工程を
終えた後、穿孔装置100を取外し、高圧水加工装置200を代わりに設置する。高圧水
加工装置200は、コラムベース12にラック付きコラム11を立設し、そのラック付き
コラム11には、高圧水供給管24を回転自在に固定する供給管キャリッジ26が設けら
れ、ハンドルにより供給管キャリッジ26の位置を上下することができるようになってい
る。供給管キャリッジ26の上方にある回転自在継手27には、図示しない高圧水発生装
置からの高圧水が高圧ホース28を通じて供給され、高圧水供給管24は供給管キャリッ
ジ26に対し、その軸心を中心に自在に回転することができる。加えて供給管キャリッジ
26には供給管回転モータ29が設置され、供給管キャリッジ26内にある減速装置を介
して、高圧水供給管24は電動で回転させることが可能な構造となっている。高圧水供給
管24の下端には、整流器を設けたノズルボディー22があり、その中で高圧水の推進方
向を90度変換する。ノズルボディー22には土留用残置杭1aの半径方向に向かって1
本の高圧水噴出ノズル21を設ける。高圧水噴出ノズル21の長さは高圧水の噴出を整え
るため50mm以上あることが望ましい。
給管24を回転させながら高圧水を噴出することができることにより、高圧水供給管24
を有する高圧水加工装置200を土留用残置杭1aの周りを移動させながら加工する必要
が無くなり、コンクリート等の破砕工程を効率よく行うことができる。また、放射状にど
の方向に対しても同じ量のコンクリート等を破砕することが可能となる
供給管24を一定の回転で高速回転させることが可能となり、土留用残置杭1aの全周に
亘って均等にコンクリート等を破砕できる。また、コンクリート等の破砕効率が一定であ
るため作業時間を管理するという簡易な方法により作業量を正確に把握できるようになり
、工程管理が容易になるとともに、供給する高圧水の水量を管理しやすくなり高圧水の水
量を制限することができる。
、高圧水の使用量を抑える構造としている。これは、過度の水量を供給することにより周
辺地盤の緩みを生じさせないためである。そのため高圧水噴出の反力により高圧水供給管
24が大きく変形してしまう虞があるため、作業穴3と同径のセンター位置保持板23を
作業穴3の内部に挿入すると共に、センター位置保持板23の中心に設けた通孔に高圧水
供給管24を嵌合する。加えてラック付きコラム11と高圧水供給管24の位置関係を保
持する供給管サポータ25を作業穴3外部に設ける。センター位置保持板23はウレタン
などの比重の小さい材料で製作され、高圧水供給管24の回転時に回転の妨げとならない
ように、高圧水供給管24との間、及び作業穴3との間に適度にスキマを設ける構造とす
る。即ち作業穴3と「同径」とは作業穴3よりも小さいが、高圧水供給管24が大きくふ
れない程度のスキマがあることをいう。なお高圧水噴出ノズル21の数は、高圧水発生装
置の能力や、コンクリートの破砕量によって変更することができ、2本設ける場合には1
80度反対の向きに設けることが望ましい。
共に、その中心にある通孔に高圧水供給管24を貫通して、高圧水供給管24が作業穴3
の中心軸上に位置することにより、高圧水の噴出箇所が1箇所である場合であっても、高
圧水の反力により噴出方向と反対側に曲げられることがなくなり、その寿命を確保するこ
とができる。また、作業穴3内部の高圧水供給管24の先端付近にセンター位置保持板2
3を設けているので、高圧水供給管24の固有振動数を高くして、共振が生じるのを防止
することができる。加えて、ラック付きコラム11と高圧水供給管24の位置関係を保持
するため、作業穴3外部に供給管サポータ24を設けることにより、高圧水供給管24の
固有振動数をより高くして高圧水噴出工程を安定して実施することができる。
。これにより土留用残置杭の撤去分の長さが長い場合には、複数の供給管を継ぎ足して高
圧水供給管24として使用する。この場合には高圧水供給管24全体を回転させるのでは
なく、回転自在継手27を高圧水供給管24の下端に設けると共に、高圧水噴出ノズル2
1からの噴出水の方向をずらすことにより、高圧水の噴出と共にノズルボディー22の回
転を生じさせることも可能である。また、高圧水供給管24を長くする場合にはセンター
位置保持板23を複数設けることが好ましい。
に設置し、その先端を回転させながら高圧水を噴出することにより、高圧水供給管24全
体を駆動するための大きな出力の駆動装置が不要になる。特に高圧水供給管24が長くな
った場合に、システムを簡易化できる。
鉄板を埋め込み、高圧水がその周辺に影響を与えないようにする。その後、高圧水加工装
置200は、まず隣接した未施工の土留用残置杭1aに固定金具(アンカーボルト等)に
より固定する。
供給管キャリッジ26にあるハンドルにより高圧水噴出ノズル21の高さを微調整して、
所定の切断位置に高圧水噴出ノズル21を移動させる。供給管回転モータ29を駆動させ
ることにより高圧水噴出ノズル21を含む高圧水供給管24等を毎分20回程度の速度で
回転させる。その後、高圧水発生装置からの高圧水を、高圧ホース28・回転自在継手2
7・高圧水供給管24・整流器のあるノズルボディー22の順に通過させて、土留用残置
杭1aの半径方向に、中心から外周に向けて放出しその水圧により土留用残置杭1aのコ
ンクリート等非鉄部分を破砕することで、円板状除去空間6を形成するようにする。高圧
水としては通常のウォータージェットの作業に使用される18[MPa]のものが40[l/min]程度
供給され、供給された水は作業穴3の上部から排出されると共に、コンクリート破砕屑は
作業穴3の底に堆積するようになる。
水供給管24等を差し込み、コンクリート等非鉄部分を高圧水により破砕するようになる
。
振動が格段に低減されると共に、騒音については局所的な騒音対策を施すことで対応が可
能となり、また水を使用することにより粉塵の発生を抑え、作業環境が悪化するのを防ぐ
ことができる。加えて土留用残置杭1aの上面が露出しているだけで、高圧水加工装置
200を設置しコンクリート等の破砕作業を行うことができるので、土留用残置杭1
aの周辺への埋設物の有無にかかわらず作業を行うことができる。
る溶断工程を示した正面図である。高圧水噴出工程により円板状除去空間6を形成した土
留用残置杭1aには、鉄筋2が残存することになる。通常その鉄筋2は、先端を折り曲げ
たガス切断用バーナ31を用いて、作業穴3よりガス切断を行う。
格段に低減させることができる。また粉塵が発生することも無く、作業環境が悪化するこ
とはない。加えて土留用残置杭1aの上面が露出しているだけで、作業穴3よりガス切断
用バーナ31を用いて鉄筋2を切断することができるので、土留用残置杭1aの周辺への
埋設物の有無にかかわらず作業を行うことができる。
を破砕すると同時に鉄部分を破断する工程を採用することも可能であるが、非鉄部分と異
なり鉄部分を破断するためには、非鉄部分を破断する場合の数倍の高圧水を使用する必要
がある。このように高圧水を過度に使用した場合には周辺地盤の緩みが生じ、地盤沈下を
起こす可能性があり、加えて砥粒成分を含有した排水を産業廃棄物として回収する必要が
生じるという問題や、土留用残置杭の周りにある埋設物を高圧水で傷つけるという問題が
ある。本実施形態にあるように高圧水噴出工程と溶断工程の二工程を設けることにより、
使用する高圧水の水量を抑えることが可能となり、砥粒成分を含有させて土留用残置杭を
破断する工程に比較して、地盤沈下等を生じないようにすることが可能となる。
断したり、砥石を用いた切断工具で切断することも可能である。
2本の作業穴からガス切断用バーナ31を差し込み、鉄骨を切断するようになる。
、その部分をショベル等により取り除き、その後埋め戻し作業を行う。
、埋設された状態のものだけでなく、設置時点において露出している土留用残置杭1a、
1bに対しても、本発明に係る工法を使用することで騒音・振動の低減、工程短縮などの
同様の効果を得ることができる。
1b 土留用残置杭(H形鋼を用いたもの)
2 主鉄筋
2a 帯鉄筋
3 作業穴
4 柱状物上端面
5 H形鋼
6 円板状除去空間
11 ラック付コラム
12 コラムベース
13 ドリルキャリッジ
14 ドリル用コア
15 ドリル本体
21 高圧水噴出ノズル
22 ノズルボディー
23 センター位置保持板
24 高圧水供給管
25 供給管サポータ
26 供給管キャリッジ
27 回転自在継手
28 高圧ホース
29 供給管回転用モータ
31 ガス切断用バーナ
100 穿孔装置
200 高圧水加工装置
Claims (1)
- 地中の土留用残置杭の上端面に、この残置杭の長さ方向に沿う作業穴を穿孔する穿孔工程と、
前記作業穴の内部に高圧水供給管を差し込み、その先端に設けた高圧水噴出ノズルを高圧水供給管の軸心を中心として回転させながら、前記残置杭の外周方向に高圧水を噴出して残置杭の非鉄部分を破砕する高圧水噴出工程と、
高圧水噴出工程で残った残置杭の鉄部分をバーナで溶断して残置杭の上部を切断する溶断工程と、
切断した前記残置杭の上部を地上に取り出す上部除去工程と、からなる土留用残置杭の上部撤去工法において、
前記作業穴と同径であって、その中心に通孔を有するセンター位置保持板を前記作業穴の内部に挿入すると共に、
前記高圧水供給管を前記通孔に貫通してセンター位置保持板を前記高圧水噴出ノズル付近に位置させ、
これにより高圧水供給管を前記作業穴の中心軸線上に保持することを特徴とする土留用残置杭の上部撤去工法。
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