JP5646172B2 - リポーター分子の製造のためのクリックケミストリー - Google Patents

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Description

本発明は、分析物、例えば、核酸の検出にとって好適なリポーター分子を製造するための方法に関する。さらに、本発明は、分析物を検出するための方法および領域に関する。
DNA合成の分野での画期的な大発見である、最も重要なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびホスホルアミダイト化学は、天然DNAの改変の大きなレパートリーをもたらした。PCRにおいては、ピリミジンの5位置または7-デアザプリンの7位置上にリンカーを担持する改変ヌクレオシド三リン酸を、特定のファミリーBポリメラーゼを用いて組込むことができる[1]。DNAへのこれらの構成要素の組込みの容易性は、側鎖の立体的なかさおよび分子構造に強く依存する。原理的には、4個の天然核酸塩基の全てを、PCRにおいて改変されたものにより置換することができる[2]。ホスホルアミダイト化学を用いる場合、原理的には任意の分子構造をDNAに組込むことができる。最も大きい制限は、DNAに組込まれる改変核酸塩基が、ホスホルアミダイトDNA合成の条件および得られるDNA鎖の脱保護に対して安定でなければならないことである。
改変物の立体的なかさならびに潜在的な化学的不安定性の問題の両方を回避する手法が本発明者らのグループにおいて開発された[3]。改変ヌクレオチドは、内部および末端アルキンを含むリンカーを担持する。核酸塩基に最も近い立体的なかさが最小化されるため、内部アルキンはPCRを介する組込みを容易にする。末端アルキンは、クリック反応[4]の反応部位であり、アジドとアルキンとの間の銅により触媒されるHuisgen双極性環状付加である[5]。この反応を、生体分子の合成後標識のために都合良く用いることができる。かくして、天然の生体分子はアジドまたは末端アルキンを担持しないため、いかなる有意な副反応にも遭遇することなく、高収率反応においてアジドをDNAに結合させることができる。また、この手法は、その内容が参照により本明細書に組み入れられるものとするPCT/EP2006/004017に記載されている。
以前に記載の手順に従って、1つの型のみの標識基を、部位選択的様式で導入することができる。かくして、この制限を克服し、連続的な方法で、少なくとも2個の異なる標識基、例えば、色素または機能的分子を用いるリポーター分子の部位特異的標識を可能にし、それによって、改変におけるかつてない多用途性を実現させることが本発明の課題であった。
本発明は、連続的な様式で、リポーター分子中への2個以上の異なる官能基の部位特異的組込みを可能にする。これを、異なる官能基を含む反応パートナーに選択的に結合させることができるその合成の間にリポーター分子中に少なくとも2個の異なるハンドル基を組込むことにより達成する。
かくして、本発明の第一の態様は、少なくとも1個の第1および少なくとも1個の第2のハンドル基をリポーター分子中に組込み、ハンドル基がアルキン基、保護されたアルキン基、アジド基、アルデヒド基、保護されたアルデヒド基、ヒドラジン基もしくはヒドロキシルアミノ基から選択され、第1および第2のハンドル基が異なり、第1および第2のハンドル基を、異なる第1および第2の官能基を含む第1および第2の反応パートナーに選択的に結合させる、少なくとも2個の異なる官能基を含むリポーター分子を製造する方法に関する。
本発明のさらなる態様は、少なくとも2個の異なる官能基を含むリポーター分子を製造する方法であって、
(a)少なくとも1個の構成要素が、アルキン基、保護されたアルキン基、アジド基、アルデヒド基、保護されたアルデヒド基、ヒドラジン基もしくはヒドロキシルアミノ基から選択される第1のハンドル基を含み、少なくとも1個の構成要素が、アルキン基、保護されたアルキン基、アジド基、アルデヒド基、保護されたアルデヒド基、ヒドラジン基もしくはヒドロキシルアミノ基から選択される第2のハンドル基を含み、第1のハンドル基が第2のハンドル基と異なる、複数の構成要素からリポーター分子を合成すること;
(b)第1のハンドル基が反応性であり、第2のハンドル基が非反応性であり、第1の反応パートナーが第1の官能基を含む条件下で第1のハンドル基に第1の反応パートナーを結合させること;ならびに続いて、
(c)第2の反応パートナーが第2の官能基を含み、第1の官能基が第2の官能基と異なる、該第2の反応パートナーを第2のハンドル基に結合させること;
を含む前記方法に関する。
本発明のさらなる態様は、サンプル中の分析物を検出する方法であって、
(a)サンプルを提供する工程;
(b)該サンプルと、少なくとも2個の異なる官能基を含むリポーター分子とを接触させる工程であって、該官能基が1,2,3-トリアゾール環を含むリンカー基を介してリポーター分子に結合されている、前記工程;および
(c)該サンプル中の分析物の存在および/もしくは量を示す、該リポーター分子と分析物との相互作用を検出する工程、
を含む、前記方法に関する。
本発明のさらなる態様は、少なくとも2個の異なる官能基を含むリポーター分子であって、該官能基が1,2,3-トリアゾール環を含むリンカー基を介してリポーター分子に結合されている、前記リポーター分子である。
本発明のさらなる態様は、式(I):
C-S-N
[式中、
Cは保護されたアルキン基であり、
Sはスペーサーまたは結合であり、および
Nはヌクレオシドもしくはヌクレオチドもしくは非ヌクレオシド化合物などの核酸または核酸類似体構成要素である]
の化合物である。
本発明のさらに他の態様は、式(II):
B-S-N3
[式中、
Bはビオチンまたはデスチオビオチンもしくはアミノビオチンなどのビオチン誘導体であり、
Sはスペーサーまたは結合であり、および
N3はアジド基である]
の化合物である。
本発明のさらなる態様は、式(III):
Q-S-N
[式中、
Qはクエンチャー基であり、
Sはスペーサーまたは結合であり、および
Nはアジド基である]
の化合物である。
さらに、本発明は、式(IV):
Z-S-N
[式中、
Zはアルドース基であり、ここで、ヒドロキシ基はアシルおよび/もしくはシリル基で保護されるか、または保護されたか、もしくは未保護の1,2ジオール基であり、
Sはスペーサーまたは結合であり、ならびに
Nはヌクレオシドもしくはヌクレオチド化合物などの核酸または核酸類似体構成要素である]
の化合物に関する。
さらに、本発明は、式(V):
D-S-N
[式中、
Dは赤外(IR)色素であり、
Sはスペーサーまたは結合であり、および
Nはアジド基である]
の化合物に関する。
式(I)〜(V)の化合物は、特に、以下に詳細に記載する写真撮影方法により、分析物を検出するための方法における試薬として好適である。
本発明は、2、3個以上の異なる官能基を含むリポーター分子の効率的な製造を可能にする。これらのリポーター分子は、生物学的サンプル、例えば、臨床サンプル、環境サンプルまたは土壌サンプル中の、分析物、例えば、核酸または核酸結合タンパク質の高感度の検出を可能にする。好ましい用途としては、限定されるものではないが、遺伝子多様性、例えば、一塩基変異多型(SNP)、殺虫剤もしくは薬剤耐性、寛容性もしくは不寛容性、遺伝子型の検出、例えば、生物の種もしくは株の検出、遺伝子改変された生物もしくは株の検出、または病原体もしくは害虫の検出、ならびに疾患、例えば、遺伝子疾患、アレルギー疾患、自己免疫疾患もしくは感染症の診断が挙げられる。さらに好ましい用途は、ブランド保護のためのサンプル中での核酸の検出であり、農産物、食品、もしくは価値ある商品などの製品および/またはこれら製品のパッケージングが、製品特異的情報、例えば、限定されるものではないが、製造地、製造日、販売業者などと共にコードされ、この情報を上記の方法および試薬を用いて検出する。
DNAの合成後標識のための改変デオキシリボヌクレオチドを示す図である。 クリックケミストリーを介するDNA官能化を示す図である。 連続的クリック反応を介するDNA官能化を示す図である。 アルキン官能化2'-デオキシウリジン三リン酸およびホスホルアミダイトの合成を示す図である。 アルキン官能化2'-デオキシシチジン三リン酸および2個のホスホルアミダイトの合成を示す図である。 アルキン官能化2'-デオキシグアノシン三リン酸の合成を示す図である。 PAGE-ゲル電気泳動(Vent exo-、0.5 mM Mg2+、50 mM TMAC)を示す図である。レーン1:100 bp DNAラダー、レーン2:天然の289 bp断片、レーン3:2と同じ、全てのチミジンが改変されている、レーン4:全てのチミジンおよびシチジンが改変されている。 DNA上でのクリック反応を示す図である。 2個の異なる分子(R1-R2)に共有結合されたオリゴヌクレオチドを得る反応順序を示す図である。 糖改変ヌクレオチド構成要素を示す図である。 環状ジオール官能化ウリジン三リン酸およびホスホルアミダイトの合成を示す図である。 アルデヒドのNalO4-脱保護を示す図である。 アルキン改変チミジンおよびシチジン構成要素を示す図である。 アジド構成要素を示す図である。ベンジルアジド35、クマリンアジド36、ビオチンアジド37、アントラキノンアジド38、ガラクトースアジド39、ダブシルアジド40、ピレンアジド41、フルオレセインアジド42、TAMRAアジド43、Cy3アジド44。 ダブシルアジド40およびクマリンアジド36(表2、エントリー10)で改変されたオリゴヌクレオチドODN-3の粗HPLCトレース(260 nm)ならびにMALDIスペクトル(インセット)を示す図である。 非ヌクレオシドDNA改変剤13および14を示す図である。 固相合成後の連続的クリック反応を介する核酸官能化の模式図である。 PCR後の連続的クリック反応を介する核酸官能化の模式図である。
本発明の第1の態様は、リポーター分子の製造に関する。リポーター分子は、診断用途にとって好適である任意の型の分子であってよく、選択的カップリング反応により少なくとも2個、例えば、2、3、4個以上の異なる官能基で官能化することができる。例えば、リポーター分子は、核酸分子、核酸類似体分子またはペプチドであってよい。好ましくは、リポーター分子を、構成要素、例えば、アミノ酸、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体などのモノマー構成要素から合成する。この合成は、化学合成、例えば、化学固相合成または酵素的合成、例えば、プライマー伸長による酵素的核酸合成を含んでもよい。好ましくは、リポーター分子は、少なくとも4個、より好ましくは少なくとも6個、および最も好ましくは少なくとも10個の構成要素を含む。数百から最大何千の長さの構成要素を有するリポーター分子を用いることができるが、上限の長さは最大で300の構成要素が好ましい。より好ましくは、長さは最大で200であり、最も好ましくは最大で100の構成要素である。
好ましくは、官能基を、色素、特に、蛍光色素、光増感基、クエンチャー基および結合基などの標識基から選択する。標識基は、直接標識基、すなわち、検出可能なシグナルを生成する基または間接標識基、すなわち、異なる基による検出可能なシグナルの生成を引き起こす基であってよい。
特に好ましい実施形態においては、標識基は蛍光色素、例えば、シアニン色素もしくはメロシアニン色素などの青色、赤色、または緑色の蛍光色素である。特に好ましいのは、IR色素である。これらの色素を、実施例18に記載のようにアジド誘導体に官能化することができる。
クエンチャー基は、蛍光基からの蛍光放射をクエンチすることができる基である。クエンチャー基を、公知のクエンチャー基、例えば、参考文献[12-16]に記載の分子ビーコン(Molecular Beacon)リポーター分子中のクエンチャー基から選択することができる。
結合基は、高親和性相互作用を介して特定の結合パートナーに結合させるための基である。結合基の特定例は、ビオチンまたはデスチオビオチン、もしくはアミノビオチンなどのビオチン誘導体、またはハプテン、例えば、トリニトロフェニルもしくはFLAG配列などのペプチドエピトープなどの抗体と特異的に相互作用することができる低分子量の基(例えば、2000以下の分子量)である。
本発明は、リポーター分子への異なる官能基のカップリングを含む。異なる官能基は、好ましくは、少なくとも1個の標識基を含む。特に好ましい実施形態においては、第1の官能基は標識基であり、第2の官能基はクエンチャー基または結合基である。
第1の官能基が標識基であり、第2の官能基がクエンチャー基である場合、リポーター分子は分子ビーコン(MB)であってよい。分子ビーコンは、一本鎖ハイブリダイゼーションプローブ、例えば、ステムループ構造を形成する核酸または核酸類似体プローブである。このループは、標的配列と相補的であるプローブ配列を含んでもよく、ステムはプローブ配列のいずれかの側に位置する相補的アーム配列のアニーリングにより形成される。標識基、例えば、フルオロフォアを一方のアームの末端に連結し、クエンチャーを他方のアームに連結するのが好ましい。分子ビーコンは、それらが溶液中で遊離している場合、蛍光を発しない。しかしながら、それらが標的配列を含む核酸鎖にハイブリダイズする場合、それらは明るい蛍光をもたらすコンフォメーションの変化を受ける。分子ビーコンリポーター分子の長さは、好ましくは15〜100個、より好ましくは20〜50個のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体構成要素である。
さらなる実施形態においては、第1および第2の官能基は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)をすることができる標識基である。
本発明の方法は、少なくとも2個の異なる型の官能基を結合させることができるリポーター分子中への、少なくとも2個の異なる型のハンドル基の組込みを含む。本発明に従って、第1および第2のハンドル基が異なる、ハンドル基を、未保護の、または保護されたアルキン基、アジド基、アルデヒド基、保護されたアルデヒド基、ヒドラジン基もしくはヒドロキシルアミノ基から選択する。
好ましい実施形態においては、第1のハンドル基が未保護アルキン基であってよく、第2のハンドル基が保護されたアルキン基であってよいか、または第1のハンドル基が第1の保護されたアルキン基であってよく、第2のアルキン基が第2の保護されたアルキン基であってよく、第1および第2の保護基が異なり、第1の保護基が第2の保護基を除去することなくリポーター分子から選択的に除去され得る、ハンドル基をアルキン基から選択する。好適な保護基は、例えば、参考文献[6]に記載のシリル基、特に、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、トリフェニルシリルまたはtert-ブチル-ジメチルシリル(TBDMS)などのトリ(アルキル/アリール)シリル基である。シリル保護基を、酸および/またはフッ化物を用いる処理によりアルキン基から除去することができる。TMSなどの小さいシリル保護基は不安定であり、穏和な条件下で除去することができるが、TBDMSまたはTIPSなどのよりかさ高いシリル保護基は除去のためにより厳しい条件を必要とする。
本発明の方法は、第1のハンドル基が未保護であり、かくして、反応することができ、第2のハンドル基が、例えば、保護基の存在に起因して、非反応性である条件下で、リポーター分子上で第1のハンドル基に第1の反応パートナーを選択的にカップリングさせることを含む。アルキン基を、クリック反応、すなわち、1,2,3-トリアゾール環の形成をもたらす、アジド基とアルキン基との(3+2)付加環化を介してアジド基を含む反応パートナーに結合させることができる。クリック反応を銅イオンの存在下で、例えば、CuBr、トリス(1-ベンジル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル]アミン(TBTA)およびアスコルベートを用いて、実行することが好ましい。
さらに好ましい実施形態においては、ハンドル基を、アルデヒド基、特に、異なる型の保護基を含む保護されたアルデヒド基から選択することができる。アルデヒド基は、ヒドラジン(H2N-NH)基またはヒドロキシルアミノ(NH2-O)基と反応してヒドラゾン(-C=N-NH-)またはオキシム(C=N-O-)を形成することができる。必要に応じて、CN二重結合をNaBH4などの還元剤を用いる処理により還元することができる。
好ましい保護されたアルデヒド基は、酸、例えば、有機酸または無機酸を用いる処理により、遊離アルデヒド基に変換することができるアセタールまたはヘミアセタール基である。アセタールまたはヘミアセタール基の好ましい例は、プロパンジオールもしくはエチレングリコールなどのポリアルコールと共に形成されたアセタール基、または糖中もしくはアルドース糖、例えば、グルコースもしくはガラクトースなどの糖関連化合物中のヘミアセタール基である。保護されたアルデヒド基のさらなる例は、酸を用いる処理の際にアルデヒド基を与えるイミノ基(例えば、=NH基)、水銀塩を用いる処理の際にアルデヒド基を与えるチオアセタールまたはジチオアセタール(例えば、RがアルキルラジカルであってよいC(SR)2基)、酸を用いる処理の際にアルデヒド基を与えるオキシム基(例えば、=NOH基)、酸を用いる処理の際にアルデヒド基を与えるヒドラゾン基(例えば、Rがアルキルラジカルであってよい=N-NHR基)および例えば、酸を用いる加水分解の際にアルデヒドを与えるイミダゾロンもしくはイミダゾリジン基またはベンゾチアゾールもしくはジヒドロベンゾチアゾール基である。
特に好ましい保護されたアルデヒド基は、ヒドロキシ基が好適な保護基、特に、アシルまたはシリル基で保護された、アルドース基、例えば、環式形態のトリオース、テトロース、ペントースまたはヘキソースである。アシル保護基、例えば、アセチル、ブチリル、ピバロイルまたは他の脂肪族および/もしくは芳香族カルボン酸保護基を、アルカリ条件下で除去することができる。シリル基を、酸および/またはフッ化物を用いる処理により除去することができる。さらに好ましい実施形態においては、保護されたアルデヒド基は、保護された、または未保護の1,2-ジオール基であり、NaIO4などの酸化剤と反応して、遊離アルデヒド基を与えることができる。
本発明はまた、リポーター分子中への3個以上の異なるハンドル基の組込みを可能にする。この場合、第1のハンドル基は未保護のアルキン基であってよい。第2のハンドル基は第1の保護された基、例えば、第1の脱保護条件下で切断除去することができる第1の保護されたアルキン基であってよい。第3のハンドル基は、第2の保護基、例えば、第1の保護基の脱保護をもたらす第1の脱保護条件下で安定であり、第1の脱保護条件とは異なる第2の脱保護条件下で切断除去することができる第2の保護されたアルキン基であってよい。第1および第2の保護基の特定例は、TMSおよびTIPSである。TMSを、穏和な酸性条件下、例えば、1%酢酸の下で切断除去することができる。TIPSはこれらの条件下で安定であり、フッ化物処理、例えば、アセトニトリル/DMF中のテトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)を用いる処理により切断除去することができる。
リポーター分子の合成は、化学合成(例えば、図17)または酵素的合成(例えば、図18)を含んでもよい。好ましくは、合成は、化学合成、例えば、リポーター分子を、固相に結合させながら、構成要素を段階的に集合させることにより合成する化学固相合成である。第1の反応パートナーと第2の反応パートナーおよび必要に応じてさらなる反応パートナーの連続的カップリングを、化学合成手順の間に異なる工程で行うことができる。例えば、リポーター分子を固相に結合させながら、少なくとも第1の反応パートナーを結合させる。この場合、第2の反応パートナーと必要に応じてさらなる反応パートナーのカップリングを、リポーター分子も依然として固相に結合させながら、または固相からのリポーター分子の切断後に行うことができる。一方、リポーター分子を固相から切断した後、第1の反応パートナーを溶液中で結合させることができる。この場合、段階的な脱保護およびさらなる反応パートナーのカップリングも、溶液中で行う。
本発明のさらなる態様は、官能基を、1,2,3-トリアゾール環を含むリンカー基を介してリポーター分子に結合させる、2個の異なる官能基を含むリポーター分子を用いて、サンプル中の分析物を検出する方法に関する。これらのリンカー基は、アルキン基とアジド基とのクリック反応を介して、少なくとも2個の異なる官能基をリポーター分子の主鎖に結合させることを含むクリック反応を実行することをもたらす。
検出は、定性的検出、例えば、分析しようとするサンプル中の分析物、例えば、特異的核酸配列の存在または非存在の決定であってもよい。しかしながら、本発明は、分析しようとするサンプル中の、分析物、例えば、核酸配列の定量的検出も可能にする。定性的および/または定量的検出は、当業界に公知の方法に従う標識基の測定を含んでもよい。
検出しようとする分析物を、核酸およびヌクレオシド、ヌクレオチドもしくは核酸結合分子、例えば、ヌクレオシド、ヌクレオチドもしくは核酸結合タンパク質から選択するのが好ましい。より好ましくは、分析物は、核酸、例えば、公知の技術、特に、ハイブリダイゼーション技術に従って検出することができる任意の型の核酸である。例えば、核酸分析物を、DNA、例えば、二本鎖もしくは一本鎖DNA、RNA、またはDNA-RNAハイブリッドから選択することができる。核酸分析物の特定例は、ゲノムDNA、mRNAまたはそれから誘導される生成物、例えば、cDNAである。さらに、核酸分析物は、複数、例えば、2個のサブ断片からリガーゼにより連結される、DNA断片であってよい。
本発明の方法を、サンプル中の分析物、特に、核酸分析物の検出にとって好適である任意の公知の試験形式に従って実行することができる。例えば、前記方法は、例えば、サザンもしくはノーザンブロットにおける膜、チップ、アレイまたはビーズなどの粒子などの固相表面上に固定された分析物の検出を含んでもよい。さらに、ゲル中で、例えば、ゲル、例えば、アガロースまたはポリアクリルアミドゲル中でのサンプルの電気泳動分離の後に検出を実行することができる。この方法は、単一の分析物の検出または例えば、チップもしくはマイクロアレイ形式での複数の分析物の平行検出を含んでもよい。
好ましい実施形態においては、検出は、分析物を含むことが疑われるサンプルと、マーカー基を媒質中で形成することができる感光性媒質へのエネルギー転移を行うことができる、光増感標識基、例えば、蛍光基を含むリポーター分子の存在下で感光性媒質を照射することを含む。好ましくは、光増感基が分析物の非存在下ではクエンチされるリポーター分子を用いる。分析物の存在下では、光増感基のクエンチングが低下するか、または終結する。
その高い感度に起因して、本発明の方法は、増幅を用いずに分析物を直接検出するのに好適である。本発明に従って、微量の分析物、例えば、核酸、例えば、0.1 ng以下、好ましくは、0.01 ng以下、より好ましくは、1 pg以下、さらにより好ましくは、0.1 pg以下、さらにより好ましくは、0.01 pg以下および最も好ましくは、0.001 pg以下の量でも、増幅を用いずに決定することができる。リポーター分子中に複数の標識基を組込むことにより、特に高い感度を得ることができる。例えば、生物学的サンプル中の、分析物、例えば、遺伝子の検出を、サザンブロッティングと本発明の方法の組合せにより実施することができる。しかしながら、本発明の方法はまた、PCRもしくは非対称PCR、リアルタイムPCR、逆転写PCRなどのその改変、またはLCRなどの他の増幅プロトコルなどの公知のプロトコルに従って実行することができる、増幅工程と組み合わせた核酸の検出を可能にすることに留意すべきである。
本発明の好ましい実施形態においては、例えば、特定の配列を有する核酸を、サンプル中の他の核酸配列から識別するか、または特定の核酸配列に結合することができるポリペプチドを、サンプル中の他のポリペプチドから識別する、分析物の配列特異的検出を実行する。そのような配列特異的検出は、検出しようとする核酸配列を、マーカー基またはマーカー前駆体基を担持する化合物と結合させる配列特異的ハイブリダイゼーション反応を含むのが好ましい。しかしながら、本発明はまた、核酸の配列非特異的検出、例えば、サンプル中に存在する任意の核酸の検出を可能にすることに留意すべきである。
ハンドル基を、リポーター分子の合成にとって好適である構成要素に結合させる。好ましくは、ハンドル基を、天然および非天然のプリンおよびピリミジン塩基から選択することができる核酸塩基に結合させる。好ましくは、核酸塩基を、シチジン、ウラシル、チミン、アデニン、グアニン、7-デアザアデニン、7-デアザグアニン、イノシンおよびキサンチンから選択する。好ましくは、ハンドル基を、特に、核酸への酵素的組込みが望ましい場合、ピリミジン核酸塩基の位置5もしくは6、より好ましくは位置5に、またはプリン核酸塩基の位置7もしくは8、より好ましくは、位置7に結合させる。
あるいは、ハンドル基を、ヌクレオチド構成要素のリン酸または糖基に結合させることもできる。
さらに、本発明はまた、リポーター分子中へのハンドル基を担持する非ヌクレオシド構成要素の組込みを可能にする。好ましい非ヌクレオシド構成要素は、一般式(V):
Figure 0005646172
[式中、
Aは保護されたか、または未保護のアルキン基であり、
S1およびS2はそれぞれ独立に、非ヌクレオシド基、例えば、スペーサーまたは結合であり、例えば、S1は以下に定義されるスペーサーであり、S2は共有結合であり、
Pはリン酸またはリン酸類似体基、例えば、ホスホルアミダイト基であり、ならびに
Rは核酸合成のためのカップリング基、例えば、ジメトキシトリチル(DMT)基である]
を有する。
ハンドル基を、例えば、直接結合またはスペーサー、例えば、最大20原子の鎖長を有するスペーサーを介して、構成要素に共有結合させることができる。スペーサーは、可撓性スペーサー、例えば、必要に応じて、O、S、および/もしくはNなどのヘテロ原子を含むアルキレンに基づくスペーサーまたは少なくとも部分的に剛性のスペーサー、例えば、アルケン基、アルキン基、環式基、特に、芳香族基もしくはヘテロ芳香族基だけでなく、脂環式基およびその組合せから選択される少なくとも1個の剛性基を含むスペーサーであってよい。構成要素化合物がアルキンまたはアジドを含む場合、直接結合、可撓性スペーサーまたは部分的に剛性のスペーサーを介する官能基の結合が好ましく、ここで、可撓性スペーサーは、例えば、最大で6原子、より具体的には最大で4原子の鎖長を有し、部分的に剛性のスペーサーは、最大で20原子、例えば、最大で10原子の鎖長を有するのが好ましく、上記で定義された少なくとも1個の剛性基、特に、アルキン基、および少なくとも1個の可撓性基、例えば、アルキレン基を含む。他方、ハンドル基がアルデヒド基もしくは保護されたアルデヒド基もしくはアルデヒド前駆体基である場合、上記で定義された部分的に剛性のスペーサーまたは2〜10原子の鎖長を有する少なくとも部分的に剛性のスペーサーを介する結合が好ましい。剛性基を含有するスペーサー、例えば、部分的に剛性のスペーサーの構造は、好ましくは、剛性基を核酸塩基に直接結合させるようなものである。
本発明に従う用語「ヌクレオチド」は、特に、リボヌクレオチド、2'-デオキシリボヌクレオチドまたは2',3'-ジデオキシリボヌクレオチドに関する。ヌクレオチド類似体を、糖もしくは主鎖が改変されたヌクレオチド、特に、核酸に酵素的に組込むことができるヌクレオチド類似体から選択することができる。好ましい糖改変ヌクレオチドにおいては、リボース糖の2'-OHまたはH基を、OR、R、ハロ、SH、SR、NH2、NHR、NR2またはCN(式中、RはC1-C6アルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、ハロはF、Cl、BrまたはIである)から選択される基により置換する。リボース自体を、シクロペンタンまたはシクロヘキセン基などの他の炭化水素基またはヘテロ環式5もしくは6員基により置換することができる。好ましい主鎖改変ヌクレオチドにおいては、ホスホ(トリ)エステル基を、改変された基、例えば、ホスホロチオエート基またはH-ホスホネート基により置換することができる。さらに好ましいヌクレオチド類似体としては、モルホリノ核酸、ペプチド核酸または固定核酸などの核酸類似体の合成のための構成要素が挙げられる。
官能化された核酸は、オリゴヌクレオチド、例えば、最大30の長さのヌクレオチド(もしくはヌクレオチド類似体)の構成要素を有する核酸または30を超える長さのヌクレオチド(もしくはヌクレオチド類似体)の構成要素を有するポリヌクレオチドであってよい。好ましくは、核酸および核酸類似体は、分析物に特異的に結合することができ、例えば、アッセイ条件下で核酸分析物とハイブリダイズすることができる。最小の長さは、好ましくは12、より好ましくは14ヌクレオチド(またはヌクレオチド類似体)の構成要素である。
核酸または核酸類似体構成要素に結合したハンドル基を、化学合成のための標準的な技術により、および/または酵素的組込みにより核酸中に組込むことができる。化学合成を、例えば、標準的な合成プロトコルにおける構成要素として改変されたヌクレオシドホスホルアミダイトを用いる標準的なホスホルアミダイト化学により実行することができる。化学合成のための他の型の好ましい構成要素としては、H-ホスホネートまたはホスホロトリエステル改変ヌクレオシドが挙げられる。
他方、改変ヌクレオチドを、酵素的方法により核酸中に組込むことができる。驚くべきことに、ハンドル改変ヌクレオシド三リン酸が、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素またはテロメラーゼなどの核酸合成酵素による酵素基質として許容されることが見出された。例えば、改変ヌクレオシド三リン酸が、プライマー伸長および増幅プロトコルに一般的に用いられるDNAポリメラーゼ、例えば、Taqポリメラーゼ、Ventポリメラーゼ、Pfxポリメラーゼ、Pwoポリメラーゼ、またはTherminatorポリメラーゼなどの温度安定性DNAポリメラーゼにより許容されることが見出された。酵素は忠実性を喪失することなく改変された三リン酸を許容し、DNAおよびRNAなどの核酸への鋳型に基づく組込みを可能にする。
本発明の方法は、分析物検出の様々な実施形態を提供する。例えば、好適な酵素と共に、改変された核酸構成要素、例えば、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体を提供し、核酸分子に酵素的に組込むことができる。本発明においては、複数の異なる型の官能化ヌクレオチドを用いることができる。
本発明の検出方法を、例えば、固相支持体の使用を含む、任意の公知の核酸検出プロトコルにより実行することができる。例えば、検出しようとする分析物にハイブリダイズすることができる捕捉プローブを結合させた固相支持体、例えば、チップもしくはアレイもしくはビーズなどの粒子状材料を提供することができる。固相に結合した核酸分析物を、捕捉プローブがハイブリダイズする際に異なる配列部分において核酸分析物とハイブリダイズする官能化されたハイブリダイゼーションプローブを用いることにより検出した後、例えば、金属化試薬を用いて結合したハイブリダイゼーションプローブを検出することができる。この方法は、農業および臨床分野における診断用途、例えば、植物、例えば、遺伝的に改変された植物に由来するDNAおよび/もしくはmRNA、病原体もしくは植物害虫などに由来するDNAの検出、またはブランド保護にとって特に好適である。
特定の実施形態においては、検出は、例えば、結合産物が存在してもよいサンプルまたはサンプルアリコートを、例えば、スポッティング、ピペッティングにより感光性媒質上に移動させることにより、分析物の結合産物および光増感基を含むリポーター分子を、感光性媒質と接触させることを含んでもよい。照射の際に、光増感基から感光性媒質へのエネルギー移動を、金属、例えば、銀の核などのマーカー基が、光増感基の非存在下ではなく、存在下で感光性媒質中で形成されるように行う。必要に応じて、マーカー基を、現像手順、例えば、写真技術に従う化学的または光化学的現像手順に供することができる。感光性媒質は、マーカー基、例えば、金属核を形成することができる任意の固相支持体または任意の支持された材料であってよい。
好ましくは、感光性媒質は、感光紙または支持材料上の感光性乳濁液もしくはゲルなどの感光性媒質である。より好ましくは、感光性媒質は、写真用紙などの写真用媒質である。例えば、照射光の波長および/または強度の条件下、選択的マーカー基形成が光増感基の存在下で起こる条件下で照射を実行する。好ましくは、媒質の感度に応じて、赤外線および/または長波長可視光線を用いて照射を行う。照射波長は、例えば、可視光線については500 nm以上、520 nm以上、540 nm以上、560 nm以上、580 nm以上、または赤外線については700 nm〜10μmであってよい。
本発明の方法は、標識基の検出を含む。好ましくは、標識基を、金属付着形成基、例えば、アルデヒド官能基から、蛍光もしくは蛍光形成基から、またはレドックス活性基から選択することができる。
金属付着の形成には、金属化試薬、例えば、還元により、アルデヒド基の周囲に選択的に蓄積することができるAg、Au、Bi、Cu、PdもしくはPtから選択される金属原子および/またはイオンを含む試薬を用いるアルデヒド基の処理が必要である。好ましくは、金属化試薬は、Ag-アンモニウム錯体、すなわち、Tollens試薬などのAg+塩を含む。金属化試薬のさらに好ましい例は、Cu(NO3)/I2、[Pt(terpy)Cl]Clなどの白金テルピリジン錯体、Pd(OAc)2またはKAuCl4である。
マーカー基の検出を、公知の方法に従って実行することができる。例えば、金属付着を、光学的方法および/または電気的方法により、定性的および/または定量的に決定することができる。好ましい実施形態においては、固相表面上での金属付着を、電気的パラメーター、例えば、伝導性を測定することにより決定することができる。蛍光マーカー基を、公知の蛍光測定方法、例えば、レーザーなどの好適な光源を介する励起および放射された蛍光を検出することにより定性的および/または定量的に決定することができる。
さらなる実施形態においては、本発明は、光増感基の存在下で感光性媒質中で部位特異的に形成されるマーカー基の検出を含む。光増感基を、蛍光基または発光基から選択するのが好ましい。感光性媒質は、光増感基の存在下で照射した場合、標準的な写真技術に従って、例えば、化学的または光化学的現像技術により現像することができる金属核などの検出可能なマーカー基を形成する基を含む。
さらに、本発明は、核酸または核酸類似体構成要素と、必要に応じて、式(I)に示される分子により連結された、保護されたアルキン基とのコンジュゲートに関する。好ましくは、スペーサーは、3〜10原子の鎖長を有する。さらに、スペーサーは、内部の剛性基、例えば、アルキン基を含むのが好ましい。保護されたアルキン基は、好ましくは、上記のシリル保護アルキン基である。
さらに、本発明は、ビオチンまたはデスチオビオチンもしくはアミノビオチンなどのビオチン誘導体と、必要に応じて、式(II)に示されるスペーサーにより連結されたアジド基とのコンジュゲートに関する。スペーサーは、好ましくは、1〜10原子の鎖長を有する。
さらに、本発明は、クエンチャー基と、必要に応じて、式(III)に示されるスペーサー基により連結された、核酸または核酸類似体構成要素とのコンジュゲートに関する。スペーサーは、好ましくは、3〜10原子の鎖長を有し、内部剛性基、例えば、アルキン基を含んでもよい。
さらに、本発明は、アルドースのヒドロキシ基が、好ましくはアシルおよび/もしくはシリル基で保護された、保護されたアルドース基、または保護された、もしくは未保護の1,2-ジオール基と、必要に応じて、式(IV)に従うスペーサーを介して核酸または核酸類似体構成要素とのコンジュゲートに関する。アシルまたはシリル保護基は、好ましくは上記のものである。
好ましくは、スペーサーは、3〜10原子の鎖長を有し、好ましくは、剛性基、例えば、アルキン基を含む。
本発明はさらに、式(I)、式(II)、式(III)ならびに式(IV)の化合物に関する。特に、これらの化合物を、核酸、特に、DNAまたはRNAを標識するのに用いることができる。これらの化合物に関して、1個、好ましくは、少なくとも2個の官能基の分子への結合が可能になる。この化合物は、例えば、ビオチン標識を用いるDNA精製、DNAマイクロアレイ、DNAチップ、リアルタイムPCRならびにRNAi実験および細胞中でのDNAの局在化にとって特に有用である。
(実施例)
本発明を、以下の実施例および図面によりさらに説明する。
1. 改変ヌクレオチド構成要素の合成
図1に示される三リン酸として、およびホスホルアミダイトとしてのヌクレオチド構成要素1〜5の合成を、短く効率的な反応順序で達成することができる。標準的な固相化学においてこれらのホスホルアミダイトを用いるDNA合成を、改変された構成要素に関するカップリング時間の延長を唯一除いて、標準的なプロトコルに従って実行することができる。PCRを介する三リン酸の組込みを、実施例6に記載する。これらの構成要素を、図2に示されるクリック化学を介する、リポーター分子、特にDNA分子の官能化に用いることができる。様々な官能基を、図3に示される連続的クリック反応を介して組込むことができる。
2. アルキンハンドル基を担持する2'-デオキシウリジン誘導体の合成
アルキン官能化2'-デオキシウリジン誘導体の合成を、図4に体系的に記載する。それは、市販の5-2'-デオキシヨードウリジン6から始まる。遊離の官能化されたヌクレオシド8を、1-トリメチルシリル-1,7-オクタジインを用いる標準的な保護-Sonogashira-脱保護順序により取得して、Sonogashira交差カップリングにおける容易に官能化されたリンカーを導入することができる。ホスホルアミダイト9を、標準的な手順を用いて取得することができる。三リン酸10を、Yoshikawaのリン酸化手順[7]により調製する。
3. アルキンまたはシリル保護されたアルキンハンドル基を担持する2'-デオキシシチジン誘導体の合成
容易に官能化される遊離のヌクレオシド12を、未保護かつ市販の5-ヨード-2'-デオキシシチジン上でのSonogashira交差カップリングにより調製することができる。TMS基を、アンモニアを用いる処理により除去することができる。N4-ベンゾイル保護されたホスホルアミダイト13を、段階的様式で調製する。三リン酸14を、2段階Ludwig-Eckstein手順[8]により調製する。TMSで保護されたアルキンを担持するホスホルアミダイト16を、Sonogashira交差カップリング後にTMS脱保護工程を単に省略することにより得る。この反応スキームを図5に示す。同様の手段により、TIPSで保護されたアルキン基を担持するホスホルアミダイトを得ることができる。
4. アルキンハンドル基を担持する2'-デオキシグアノシン誘導体の合成
17の合成は、Froehlerら[9]による合成に従う。Sonogashira交差カップリング、全体的な脱保護およびYoshikawa[7]手法によるリン酸化の標準的な反応順序により、三リン酸18を得る。反応スキームを図6に示す。
5. アルキンハンドル基を担持する2'-デオキシアデノシン誘導体の合成
改変された2'-デオキシアデノシン誘導体4の合成は、デオキシグアノシン誘導体の合成と非常に類似している。それはFroehlerら[9]の研究と密接に類似する。Sonogashira交差カップリングを、グアノシン合成と同様に連続的に行った。最終工程は、誘導体18について記載のものと同様である。
6. PCRを介するヌクレオシド三リン酸の組込み
289マーのDNA鎖への構成要素1および2の同時的組込みを、プライマー伸長により行った。2の三リン酸については、最良の組込み効率が達成された。用いるポリメラーゼは、ファミリーB由来Vent exo-およびPwoである。高密度の改変の場合、添加物(DMSO、ホルムアミド、TMAC、ベタイン)の添加が必須になるかもしれない。様々なレベルのアルキン改変物を、PAGEゲル電気泳動により可視化することができる。図7のレーン2〜4は、DNA中へのアルキンの取込みを増加させる効果を示す。観察されるシフトは、DNA鎖の分子量の増加に起因する。
7. 合成後の官能化
序論に概略されたように、合成後標識戦略の主な利点は、不安定な、または反応性の部分をDNAに導入する可能性である。DNAに結合させようとする分子は、クリック反応において用いようとするアジドを担持しなければならないのみである。この手法は高度に調節的であり、かくして、精巧な合成の必要性なしに変化させることができる。
クリック反応を連続的に用いて、高密度レベルでDNAを官能化させた。リンカーは、行中に6個のアルキン改変塩基を担持する短いオリゴヌクレオチドの改変に示されるように、クリック反応による6個の連続する改変物の組込みでさえ可能にするのに十分に可撓性である。この反応を、水および酸素の存在下で実施し、それにはいかなる高度な装備も必要としない。Cu(I)は、活性触媒種であり、リガンドにより安定化することができる。この反応スキームを図8に示す。
8. 段階的官能化のための戦略
8.1. 一般的考慮
合成後の改変のための2個のリンカーを含むDNAを、上記の方法を用いて調製することができる。PCRにより調製されるDNAは樹脂に連結させず、核酸塩基上に任意の保護基を含まず、図9に概略される単純な様式で官能化することができる。
未保護のアルキンを、R1-N3とのクリック反応に供することができる。TMSに保護されたアルキンは、試験反応における標準的なクリック条件に対する十分な安定性を示す。TMS-アルキン基を、TBAFを用いて脱保護し、かくして、遊離のアルキンを放出させることができる。次いで、別のアジドR2-N3を、第2のクリック反応においてDNAに連結することができる。
固相ホスホルアミダイト化学により調製されるDNAを樹脂に結合させ、これは核酸塩基上に塩基不安定な保護基を担持する。TMS-アルキン基を、H2O/MeOH中のアンモニアを用いて脱保護することができる。しかしながら、15におけるシリル基の調製的に用いられる脱保護(図5)は、完了まで2〜4日かかる。この顕著な安定性を用いて、樹脂からDNAを選択的に切断し、および/または実質的な量の改変されたアルキン、例えば、TMS-アルキンを脱保護することなく、核酸塩基を脱保護することができた。原理的には、この問題を解決するためには3つの方法があり、以下に提唱される。
8.2. 特定のプロトコル
例えば、オリゴヌクレオチド(ODN)を、Expedite DNA合成装置(Applied Biosystems)を用いて、またはAmersham Biosciences社製のAkta Oligopilot上でCPG支持体(500Å)上でのDMT-およびβ-(シアノエチル)ホスホルアミダイト方法により調製した。二重カップリングプロトコル(それぞれ10等量)を、改変された塩基のカップリングに適用し、カップリング時間を10分に延長した。活性化剤として、ベンジルチオテトラゾール(BTT)は最良のカップリング収率を与えた。自動化合成の後、ODNを、25℃で24時間、濃縮された水性アンモニア/エタノール溶液(3:1)に浸すことにより固相支持体から切断した。水性アンモニアをSpeedVac中で除去し、粗ODNをRP-HPLCにより精製した。UV/Vis分光分析およびMALDI-TOF質量分析を用いて、ODNを特性評価した。
9. 樹脂上でのクリックケミストリー
9.1. 一般的考慮
クリックケミストリーを、樹脂上で実施することができる[10]。第1の官能基R1をDNAに結合させる時間までに、TMS-基、核酸塩基保護基の全体的な脱保護および樹脂の切断除去を、長時間かけてアンモニアを用いる一工程において達成することができる。この時点で、第2の官能基R2を、標準的なクリック反応により導入することができる。この手法においては、R1は塩基安定分子でなければならない。
9.2. 特定のプロトコル
例えば、CPG樹脂上の約0.02μmolのDNAを、DNA合成後に高減圧下で乾燥させ、20μLのベンジルアジド35と共に1.5 mLのバイアルに入れた。別のバイアル中に、40μLのCuBr溶液(DMSO/tBuOH 3:1中、10 mM)、10μLのアスコルビン酸ナトリウム(水中の100 mM)および80μLのリガンド溶液(DMSO/tBuOH 3:1中、10 mM)をボルテックスし、DNAに添加した。反応バイアルを一晩緩やかに回転させ、遠心分離し、溶液を注意深く除去し、廃棄した。溶媒を添加し、溶液をボルテックスし、遠心分離し、および廃棄することにより、樹脂を繰り返し洗浄した(2 x DMSO、2 x H2O、2 x エタノール)。
10. 第1のクリック反応の前の全体的なDNA脱保護
DNA核酸塩基を脱保護し、鎖を樹脂から切断した後、第1のクリック反応(アンモニア、12時間)を行うことができる。脱保護条件に対するTMS-アルキンの安定性は、無傷の形態でその多くを保持するのに十分に高いものであるべきである。HPLC精製を行って、脱保護されたTMS-アルキン部位を含むDNAを取り出さなければならないであろう。この時点から前方では、図9に概略される合成を用いることができる。
11. 樹脂からの個別の切断
11.1. 一般的な考慮
クリックケミストリーを、保護基を除去することなく、樹脂からDNAを切断した後、溶液中で実施することもできる。
樹脂へのDNAの連結は、核酸塩基保護基よりも塩基性条件に対して安定性が低い。かくして、アンモニアで30分間処理することにより、DNAを樹脂から切断することができる。この処理の後、核酸塩基を部分的に脱保護し、TMS-アルキン基をほぼ定量的に保持するべきである。この複合混合物を、R1を導入するクリック反応に供しなければならない。この時点で、DNAを長時間アンモニアで処理し、核酸塩基とTMS-アルキンの全体的な脱保護を誘導することができる。この工程は第2のクリック部位を放出し、R2-N3と反応させることができる。
11.2. 特定のプロトコル
DNA(0.38μM、200μL)およびアジド(10 mM、114μL)を、1.5 mLのバイアル中に入れた。別のバイアル中で、17μLのCuBr溶液(DMSO/tBuOH 3:1中、100 mM)および34μLのリガンド溶液(DMSO/tBuOH 3:1中、100 mM)をボルテックスし、DNAに添加した。溶液を25℃で4時間振とうし、SpeedVac中でほぼ乾燥するまで蒸発させた。酢酸ナトリウム溶液(0.3 M、100μL)を添加し、懸濁液を時折ボルテックスしながら、1時間静置した。1 mLのエタノールを添加し、バイアルをボルテックスし、冷凍庫(-20℃)に一晩入れた。遠心分離(13000 rpmで15分間)した後、上清をDNAペレットから注意深く除去する。70%エタノール(-20℃)を添加し、バイアルをボルテックスし、遠心分離し、上清を除去した。この洗浄工程を2回繰り返した。最後の洗浄工程の後、ペレットを空気中で静置乾燥し、必要に応じて水またはバッファー中に取った。
11.3. TIPS-アルキン基の脱保護
凍結乾燥されたDNAを、乾燥アセトニトリル(400μL)および乾燥DMF(100μL)中に溶解した。2滴のTBAF(THF中に1.0 M)を添加し、溶液を45℃で2時間振とうした。過剰のフッ化物イオンを、MeOTMS(10μL)でクエンチする。DNA鎖に対してさらなるクリック反応を実施する場合、有機溶媒を以下のように水に交換すべきである:反応溶液をSpeedVac中でほぼ乾燥するまで蒸発させる。水(1 mL)を添加し、溶液を凍結し、乾燥するまで凍結乾燥し、好適な量の水の中に取る。
12. 糖改変構成要素の合成
三リン酸22〜26を、DNA中に首尾良く組込んだ。23の対応するホスホルアミダイトも合成し、DNA中に組込んだ。化合物26中のアセチル保護された糖は、保護基がTollens処理の条件下で切断されるため、ポリアクリルアミドゲル中の改変されたDNAの効率的な染色を引き起こす。アセトニド保護された糖24および25を、酸性条件下で脱保護する必要がある。DNAの脱プリン反応を引き起こすことなく、アセタール保護基の切断が実現可能であることが予備実験により示される。
以下に、環式ジオール改変ヌクレオチドの合成例を詳細に提供する。
環式ジオールを用いて改変された、ウリジン三リン酸31の合成は、公知の化合物27から始まる[11]。重要な工程は、ピロリン二重結合のSharpless隣接ジヒドロキシル化である。中間体30から、ホスホルアミダイト32を、公知の方法に従って合成することができる。
13. PCRを介するヌクレオシド三リン酸の組込み
全部で5種の提供されたヌクレオチドを、PCRを介してDNAに、ヌクレオチド26を2000 bpの鎖にでさえ、組込むことができる。今までのところ、ヌクレオチド26を用いて得られた結果は、任意の目的の遺伝子の効率的な銀染色のための道を開く。原理的には、末端ジオールで改変されたシチジンを合成することにより、DNA中の全ての塩基対のアルデヒド官能化を実現することが可能であるべきである。
酵素的合成、例えば、PCRと三重クリック反応を介する三リン酸の組込みを、図18に例示する。用いられる好ましいポリメラーゼは、ファミリーBに由来するVent exo-およびPwoである。高密度の改変の場合、添加物(DMSO、ホルムアミド、TMACおよび/またはベタイン)の添加が好ましい。様々なレベルのアルキン改変を、PAGEゲル電気泳動により可視化することができる。
14. 合成後の官能化
ジオール改変ウラシルを有するDNA鎖の化学合成により示されるように、得られる鎖を、NaIO4を用いる穏和な条件下で処理し、観察可能な副反応なしにジオール部分の円滑な切断を得ることができる。アルデヒドを担持する鎖を、MALDI、ならびにジニトロフェニルヒドラジンとのクリーンカップリング反応により特性評価することができる。長い、ジオールで改変されたDNA鎖の切断を行ったところ、切断が短いオリゴヌクレオチドに匹敵する効率で進行することが消化試験により示された。第1の結果は、ヒドラジンを含む色素へのアルデヒドを担持するDNAのカップリングにおいて得られ、ペリオダート切断の効率を示している。
糖を担持するDNA鎖の場合、消化実験はまた、DNAへの効率的な組込みを示す。アセチル保護された糖の場合、効率的な銀染色が示された。
DNAへの直接的組込みのための新しいジオール改変ヌクレオチド、ならびに新しい糖改変ヌクレオチドが提唱される。DNAへのこれらの三リン酸の直接的組込み、次いで、穏和な合成後の脱保護は、本発明者らのグループにおいて開発された銀染色手順を大きく単純化する。「クリック-クリック」ケミストリーと共に、ペリオダート切断による本発明者らの改変されたDNAの選択的アルデヒド改変を用いて、新しい三重標識戦略を開発することができた。
15. ビオチンアジドの合成
活性エステルと1-アミノ-3-アジドプロパンとの反応は、ビオチンアジドの形成をもたらす。
Figure 0005646172
16. クリックケミストリーを用いる単一、二重および三重DNA改変
16.1. 2個の異なる標識の導入
16.1.1. 樹脂上での二重クリック反応
第1の手法は、樹脂上での穏和な酸による脱保護の後の、第1のクリック反応のための1種の遊離アルキンおよび第2のクリックプロセスのための第2のTMSにより保護されたアルキンの導入を含んでいた。樹脂上でのクリック反応の実現可能性を試験するために、本発明者らは1種の遊離アルキン33を含む試験鎖を調製し、樹脂上で直接クリック反応を実施した後、DNA脱保護を行った。HPLC微量の官能化DNA鎖と、同じシリーズの未処理のDNA鎖との比較により、クリック反応が、DNA合成に用いられる制御された孔径のガラス支持体上で高い効率で進行することを示す実質的に定量的な変換が示された(データは示さない)。
2種の標識を導入するために、本発明者らは、標準的なホスホルアミダイト化学を用いて、ODN-1またはODN-2(表1)などのオリゴヌクレオチドに、チミジンおよびシチジン構成要素33および34aを組込んだ。両ホスホルアミダイトのカップリング収率は優れていた。固相支持体上でのオリゴヌクレオチドの完全な集合の後、樹脂を乾燥し、CuBr、TBTAリガンド、アスコルビン酸ナトリウムおよびベンジルアジド35の溶液と共に樹脂を振とうすることにより、第1のクリック反応を実施した。樹脂を洗浄し、1%酢酸でリンスして、第2のアルキン上のTMS保護基を切断した。最後に、ダブシルアジド40を用いて第1のクリック反応と同様に第2のクリック反応を再度実施した。最終的に、DNAを樹脂から切断し、アンモニア(H2O/EtOH 3:1)に樹脂を曝露することにより、全ての保護基を除去した。得られた生のMALDIスペクトルは、予想される二重改変オリゴヌクレオチド(表2、エントリー1)と完全に一致することがわかったが、これは2種の安定な標識を固相支持体上で直接的にDNA中に導入することができることを示している。
16.1.2. 樹脂上での単一クリック反応および切断/脱保護の組合せ
いくつかの場合、溶液中で第2のクリック反応を実施することが好ましい。水/エタノール中の濃NH3を用いる単一改変されたODN-2(表1)の処理は、樹脂からDNAを切断する。これらの条件下で、塩基保護基およびアルキンを保護するTMS基を同様に除去する。1個のクリックオン改変および1個の遊離アルキンを担持する、得られた生のDNAを、溶液(CuBr、TBTAリガンド、アジド)中で第2のクリック反応に供したところ、優れた収率および純度で二重改変されたDNAが得られる(表2、エントリー2)。
16.1.3. 溶液中での二重クリック反応
2個の塩基および求核試薬感受性分子で改変されたオリゴヌクレオチドを、構成要素33および34bを担持する2個のアルキンを用いて容易に取得することができる。両方とも、標準的な固相ホスホルアミダイト化学を用いてODN-3(表1)中に組込んだ。脱保護および樹脂からのオリゴヌクレオチドの切断の後、第1のクリック反応を実施した(上記で報告された溶液条件を用いる)ところ、平均90%を超える高い収率で単一改変オリゴヌクレオチドが得られた。第2の工程において、本発明者らは、1個の標識を担持するDNA鎖に対していかなる損傷も引き起こすことなく、アセトニトリル/DMF(4:1 v/v)中のTBAFの溶液を用いて、TIPS保護基を切断した。溶液中での第2のクリック反応により、3段階の手順に渡って典型的には60〜90%の優れた収率で二重改変オリゴヌクレオチドが得られた。
二重クリック改変の広い適用性を調査するために、本発明者らは、全シリーズの異なる標識を用いて二重クリックを実施し、DNA上での化学に関する優れた収率を見出した(表2、エントリー3〜15)。個々のクリック反応および脱保護工程が、全ての場合において、精製のためには、各反応工程後の単純なエタノール沈降で十分であるほど清潔であることに言及するのは価値がある。図15は、ODN-3の二重改変後に得られた典型的な粗HPLCクロマトグラムおよびMALDI分析(インセット)を示す。非常に感度の高い用途のためには、1回の最終的なHPLC精製が推奨される。Cy3アジド44についてなどの稀な場合においては、本発明者らは、リンカーが小さい程度まで切断されることを見出した。
16.2. 3種の異なる標識の導入
クリック反応、次いで、エタノール沈降を用いて、3種の異なる標識を用いてオリゴヌクレオチドを改変することもできた。この目的のために、本発明者らは、3種の構成要素33、34aおよび34bを、ODN-4などのオリゴヌクレオチドに導入した(表1)。第1のクリック反応を、樹脂上で直接実施した。続いて、単一改変オリゴヌクレオチドを、TMS基の同時切断の下で支持体から切断し、HPLCにより精製した。第2のクリック反応を、高収率で溶液中で実施した。二重改変オリゴヌクレオチドのエタノール沈降、TBAFを用いるTIPS基の切断およびその後の溶液中での第3のクリック反応により、約50%の収率で最終的なエタノール沈降の後に所望の3重改変オリゴヌクレオチドが得られた(表2、エントリー16および17)。
16.3. 非ヌクレオシド構成要素上でのハンドル基の導入
特定の塩基(ここでは、dCおよびdT)での直接的なオリゴヌクレオチドの標識が高度に望ましいが、核酸塩基の外側、例えば、リン酸または糖上での標識の導入が必要であることが多い。標識の容易な導入を可能にするために、本発明者らは、アルキンを担持する非ヌクレオシドDNA改変剤37および38を調製した(図16)。DNA中でのこれらの構成要素を用いるクリック反応は、ちょうどよい効率で機能した。
16.4. 結論
まとめると、本発明者らは、本明細書で、高効率で、調節的かつ強固なDNAの複数の官能化プロトコルを報告する。この方法の効率は、3つの特徴に基づく:1. TMSにより保護されたアルキンを、DNA脱保護の間のアンモニア処理の間に定量的に除去する、2. TIPSにより保護されたアルキンを、このアンモニア処理の間に定量的に保持する、3. TIPSにより保護されたアルキンの切断を、効率的かつ穏和に達成することができる。保護されたアルキンを担持する三リン酸の合成により、同様に段階的な様式でPCR断片を標識することができる。この方法は、生体分子診断およびナノ技術用途に必要とされるDNAを操作する本発明者らの能力を大きく広げるであろう。さらに、複数改変されたDNA鎖のライブラリーの組合せ合成は、新規アプタマーを誘導する。
Figure 0005646172
Figure 0005646172
17. DNA(およびRNA)中での三重クリック反応のための構成要素
リボヌクレオチドの合成は、デオキシリボシリーズと同じ手順に従う。全てのアルキンを、遊離アルキンとして、TMSにより保護されたアルキンとして、またはTIPSにより保護されたアルキンとして生成することができる。これにより、12種のデオキシリボヌクレオチド-ホスホルアミダイトおよび12種のデオキシリボヌクレオチド-三リン酸(核酸塩基あたり3種の異なるアルキン)ならびにリボヌクレオチドシリーズについては他の24種へのアクセスが得られる。さらに、6種の末端アルキンホスホルアミダイトは同様に入手可能である。
Figure 0005646172
スキーム1:改変されたデオキシリボヌクレオチド(またはリボヌクレオチド)およびDNAの合成後標識のための末端アルキン
三リン酸として、およびホスホルアミダイトとしてのヌクレオシド構成要素の合成を、短く効率的な反応順序で達成することができる。これらの合成の数例を以下に報告する。
末端アルキンを担持するウリジン誘導体の合成
Figure 0005646172
スキーム2:アルキン官能化ウリジン三リン酸およびホスホルアミダイトの合成
アルキン官能化ウリジン誘導体の合成は、市販の5-ヨードウリジン7から始まる。遊離の官能化ヌクレオシド9を、1-トリメチルシリル-1,7-オクタジインを用いる標準的な保護-Sonogashira-脱保護順序により取得して、Sonogashira交差カップリング中に容易に官能化されるリンカーを導入することができる。ホスホルアミダイト10を、標準的な手順を用いて取得することができる。三リン酸11を、Yoshikawaのリン酸化手順により調製する。
末端アルキンおよびシリル保護されたアルキンを担持するシチジン誘導体の合成
Figure 0005646172
スキーム3:アルキン官能化シチジン三リン酸および2種のホスホルアミダイトの合成
容易に官能化される遊離ヌクレオシド13を、未保護かつ市販の5-ヨードシチジン上でのSonogashira交差カップリングにより調製することができる。TMS基をアンモニアを用いる処理により除去することができる。N4-ベンゾイル保護されたホスホルアミダイト14を、段階的様式で調製する。三リン酸15を、2段階Ludwig-Eckstein手順により調製する。TMSにより保護されたアルキンを担持するホスホルアミダイト17を、Sonogashira1交差カップリング後にTMS脱保護工程を単に省略することにより取得する。
末端アルキンを担持するグアノシンおよびアデノシン誘導体の合成
Figure 0005646172
スキーム4:アルキン官能化グアノシンおよびアデノシン三リン酸の合成
18の合成は、Froehlerらによる合成に従う。Sonogashira交差カップリング、全体的な脱保護およびYoshikawa手法によるリン酸化の標準的な反応順序により、三リン酸19が得られる。改変されたアデノシン誘導体4の合成は、グアノシン誘導体のものと非常に類似しており、依然として進行中である。それはFroehlerらの研究と密接に類似している。Sonogashira交差カップリングを、グアノシン合成と同様に首尾良く行った。最終工程は、グアノシン誘導体19について記載されたものと類似する。
標準的な固相化学においてこれらの改変されたホスホルアミダイトを用いるDNA(またはRNA)合成は、改変された構成要素について延長されたカップリング時間を唯一除いて容易である。
3種の異なるアルキンを用いて、三重クリック反応を達成する:1種の遊離アルキン、1種のTMSにより保護されたアルキンおよび1種のTIPSにより保護されたアルキン。第1のクリック反応を、依然として樹脂(自動化合成のための固相支持体)の存在下で行う。同様にTMS基を除去する、樹脂からの標準的なDNA(またはRNA)切断の後、標準的なクリックプロトコルを用いて第2のクリック反応を達成する。TIPS基の最終的なTBAF(テトラ-ブチルアンモニウムフルオリド)の脱保護、第3のクリック反応を実行する(スキーム4)。
18. アジドとしての市販のIR色素の改変例
IR色素を、そのアジド誘導体に容易に転換することができる。以下のスキームは、多くの他の可能性のある合成のうちの2種の異なる合成経路を示す。
第1の事例においては、リンカーをSonogashiraカップリングを介して色素に結合させる。以下のメシル化およびアジド化は、DNA中でのクリック反応について準備ができているアジドを生成する。
Figure 0005646172
第2の合成においては、アジドを色素コア上で直接生成する(スキーム2)。
Figure 0005646172
IR色素アジドを、IR光により感光するように設計および現像される写真用紙の感光剤と
してDNA-写真技術において用いることができる。そのような用紙を、暗室条件の制限を排
除する通常の光条件下で取り扱うことができた。
[1] 少なくとも2個の異なる官能基を含むリポーター分子を製造する方法であって、少なくとも1個の第1および少なくとも1個の第2のハンドル基をリポーター分子に組込み、該ハンドル基をアルキン基、保護されたアルキン基、アジド基、アルデヒド基、保護されたアルデヒド基、ヒドラジン基またはヒドロキシルアミノ基から選択し、第1および第2のハンドル基が異なり、第1および第2のハンドル基を、異なる第1および第2の官能基を含む第1および第2の反応パートナーに選択的に結合させる、前記方法。
[2] 少なくとも2個の異なる官能基を含むリポーター分子を製造する方法であって、
(a)少なくとも1個の構成要素が、アルキン基、保護されたアルキン基、アジド基、アルデヒド基、保護されたアルデヒド基、ヒドラジン基もしくはヒドロキシルアミノ基から選択される第1のハンドル基を含み、少なくとも1個の構成要素が、アルキン基、保護されたアルキン基、アジド基、アルデヒド基、保護されたアルデヒド基、ヒドラジン基もしくはヒドロキシルアミノ基から選択される第2のハンドル基を含み、且つ第1のハンドル基が第2のハンドル基と異なる、複数の該構成要素からリポーター分子を合成すること;
(b)第1のハンドル基が反応性であり、第2のハンドル基が非反応性であり、第1の反応パートナーが第1の官能基を含む条件下で、第1の反応パートナーを第1のハンドル基に結合させること、ならびに続いて;
(c)第2の反応パートナーが第2の官能基を含み、第1の官能基が第2の官能基と異なる、該第2の反応パートナーを第2のハンドル基に結合させること、
を含む、前記方法。
[3] リポーター分子がペプチド、核酸および核酸類似体から選択される、1または2に記載の方法。
[4] リポーター分子が、最大2000、好ましくは4〜200およびより好ましくは10〜100の構成要素を含む、1〜3のいずれか1項に記載の方法。
[5] 官能基が、色素などの標識基、クエンチャー基ならびにビオチン、ビオチン誘導体およびハプテンなどの結合基から選択される、1〜4のいずれか1項に記載の方法。
[6] 第1および第2の官能基が標識基およびクエンチャー基であるか、または第1および第2の官能基が標識基および結合基である、1〜5のいずれか1項に記載の方法。
[7] ハンドル基が、アルキン基および保護されたアルキン基から選択される、1〜6のいずれか1項に記載の方法。
[8] アジド基を含む反応パートナーを、クリック反応を介してアルキン基に結合させる、7に記載の方法。
[9] 第1および第2のハンドル基がアルキン基および保護されたアルキン基であるか、または第1および第2のハンドル基が第1の保護されたアルキン基および第2の保護されたアルキン基である、1〜8のいずれか1項に記載の方法。
[10] 第1のハンドル基を保護せず、第2のハンドル基を保護する条件下で、第1の反応パートナーを第1のハンドル基に結合させる、1〜9のいずれか1項に記載の方法。
[11] 少なくとも3種のハンドル基を、リポーター分子に組込む、1〜10のいずれか1項に記載の方法。
[12] 第1のハンドル基がアルキン基であり、第2および第3のハンドル基が異なる保護基を担持する保護されたアルキン基である、1〜11のいずれか1項に記載の方法。
[13] リポーター分子の合成が、化学合成、好ましくは化学固相合成であり、リポーター分子を、固相に結合させながら、構成要素の段階的集合により合成する、1〜12のいずれか1項に記載の方法。
[14] リポーター分子を固相に結合させながら、少なくとも第1の反応パートナーを結合させる、13に記載の方法。
[15] リポーター分子を固相から切断した後、第1の反応パートナーを結合させる、13に記載の方法。
[16] 合成が、リポーター分子をヌクレオシド三リン酸構成要素から合成する、リポーター分子の合成である、1〜12のいずれか1項に記載の方法。
[17] サンプル中の分析物を検出する方法であって、
(a)サンプルを提供する工程;
(b)サンプルと、少なくとも2個の異なる官能基を含むリポーター分子とを接触させる工程であって、該官能基は1,2,3-トリアゾール環を含むリンカー基を介してリポーター分子に結合されている、前記工程;ならびに
(c)サンプル中の分析物の存在および/または量を示す、リポーター分子と分析物との相互作用を検出する工程、
を含む、前記方法。
[18] 分析物が核酸または核酸を切断するかもしくは核酸に結合するタンパク質である、17に記載の方法。
[19] リポーター分子と分析物との相互作用が、結合、好ましくはハイブリダイゼーションである、17または18に記載の方法。
[20] リポーター分子が核酸または核酸類似体、好ましくは分子ビーコンである、12〜19のいずれか1項に記載の方法。
[21] 少なくとも2個の異なる官能基を含むリポーター分子であって、該官能基は1,2,3-トリアゾール環を含むリンカー基を介してリポーター分子に結合されている、前記リポーター分子。
[22] 核酸または核酸類似体、好ましくは分子ビーコンである、21に記載のリポーター分子。
[23] 式(I):
C-S-N
[式中、
Cは保護されたアルキン基であり、
Sはスペーサーまたは結合であり、およびNはヌクレオシドまたはヌクレオチドまたは非ヌクレオシド化合物などの核酸または核酸
類似体構成要素である]
の化合物。
[24] 式(V):
Figure 0005646172

[式中、
Aは保護された、または未保護のアルキン基であり、
S 1 およびS 2 は、それぞれ独立に非ヌクレオシド基、例えばスペーサーまたは結合であり、
Pはリン酸またはリン酸類似体基であり、ならびに
Rは核酸合成のためのカップリング基である]
の非ヌクレオシド化合物。
[25] S 1 がスペーサーであり、S 2 が共有結合である、24に記載の化合物。
[26] スペーサーが3〜10原子の鎖長である、23〜25のいずれか1項に記載の化合物。
[27] スペーサーがアルキン基を含む、23〜26のいずれか1項に記載の化合物。
[28] 保護されたアルキン基がシリル保護されたアルキン基である、23〜27のいずれか1項に記載の化合物。
[29] シリル基が、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、トリフェニルシリルまたはtert-ブチル-ジメチルシリル、または環状架橋シリル基などのトリス(アルキル/アリール)シリル基である、28に記載の化合物。
[30] 式(II):
B-S-N 3
[式中、
Bはビオチンまたはデスチオビオチンもしくはアミノビオチンなどのビオチン誘導体であり、
Sはスペーサーまたは結合であり、および
N 3 はアジド基である]
の化合物。
[31] 式(III):
Q-S-N 3
[式中、
Qはクエンチャー基であり、
Sはスペーサーまたは結合であり、および
N 3 はアジド基である]
の化合物。
[32] 式(IV):
Z-S-N
[式中、
Zはアルドース基であり、ここでヒドロキシ基はアシルおよび/もしくはシリル基で保護されているか、または保護された、もしくは未保護の1,2-ジオール基であり、
Sはスペーサーまたは結合であり、ならびに
Nはヌクレオシドもしくはヌクレオチド化合物などの核酸または核酸類似体構成要素である]
の化合物。
[33] アシル基がアセチル、ブチリルまたはピバロイルから選択される、32に記載の化合物。
[34] 式(V):
D-S-N
[式中、
Dは赤外(IR)色素であり、
Sはスペーサーまたは結合であり、および
Nはアジド基である]
の化合物。
参考文献
Figure 0005646172
Figure 0005646172

Claims (17)

  1. 少なくとも2個の異なる官能基を含むリポーター分子を製造する方法であって、
    (a)少なくとも1個の構成要素が、アルキン基または保護されたアルキン基である第1のハンドル基を含み、少なくとも1個の構成要素が、保護されたアルキン基である第2のハンドル基を含み、且つ第1のハンドル基が第2のハンドル基と異なる、複数の該構成要素からリポーター分子を合成すること;
    (b)第1のハンドル基が反応性であり、第2のハンドル基が非反応性であり、第1の反応パートナーが第1の官能基を含む条件下で、第1の反応パートナーを第1のハンドル基に結合させること、ならびに続いて;
    (c)第2の反応パートナーが第2の官能基を含み、第1の官能基が第2の官能基と異なる、該第2の反応パートナーを第2のハンドル基に結合させること、
    を含み、前記リポーター分子が核酸および核酸類似体から選択されるものであり、
    アジド基を含む反応パートナーを、クリック反応を介してアルキン基に結合させ、
    リポーター分子の合成が、化学固相合成であり、リポーター分子を、固相に結合させながら、構成要素の段階的集合により合成し、リポーター分子を固相に結合させながら、少なくとも第1の反応パートナーを結合させ、ここで保護されたアルキン基がトリス(アルキル/アリール)シリル−保護されたアルキンである、
    前記方法。
  2. リポーター分子が、最大2000の構成要素を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 官能基が、色素などの標識基、クエンチャー基ならびにビオチン、ビオチン誘導体およびハプテンなどの結合基から選択される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 第1および第2のハンドル基がアルキン基および保護されたアルキン基であるか、または第1および第2のハンドル基が第1の保護されたアルキン基および第2の保護されたアルキン基であり、アジド基を含む反応パートナーを、クリック反応を介してアルキン基に結合させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 第1のハンドル基が非保護であり、第2のハンドル基が保護されている条件下で、第1の反応パートナーを第1のハンドル基に結合させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 少なくとも3種のハンドル基を、リポーター分子に組込む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. リポーター分子を固相から切断した後、第1の反応パートナーを結合させる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. リポーター分子をヌクレオシド三リン酸構成要素から合成する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  9. サンプル中の分析物を検出する方法であって、
    (a)サンプルを提供する工程;
    (b)サンプルと、少なくとも2個の異なる官能基を含むリポーター分子とを接触させる工程であって、該官能基は1,2,3-トリアゾール環を含むリンカー基を介してリポーター分子に結合されている、前記工程;ならびに
    (c)サンプル中の分析物の存在および/または量を示す、リポーター分子と分析物との相互作用を検出する工程、
    を含み、前記リポーター分子が核酸または核酸類似体である、前記方法。
  10. リポーター分子が分子ビーコンである、請求項9に記載の方法。
  11. 少なくとも2個の異なる官能基を含むリポーター分子であって、該官能基は1,2,3-トリアゾール環を含むリンカー基を介してリポーター分子に結合されており、且つ該リポーター分子は核酸または核酸類似体である、前記リポーター分子。
  12. 分子ビーコンである、請求項11に記載のリポーター分子。
  13. 式(VI):
    Figure 0005646172


    [式中、
    Aは保護されたアルキン基であり、
    S1およびS2は、それぞれ独立に非ヌクレオシド基であり、
    Pはリン酸またはリン酸類似体基であり、ならびに
    Rは核酸合成のためのカップリング基である]
    の非ヌクレオシド化合物。
  14. S 1 およびS 2 が、それぞれ独立にスペーサーまたは結合である、請求項13に記載の化合物。
  15. S1がスペーサーであり、S2が共有結合である、請求項13に記載の化合物。
  16. 保護されたアルキン基がシリル保護されたアルキン基である、請求項13〜15のいずれか1項に記載の化合物。
  17. 式(IV):
    Z-S-N
    [式中、
    Zはアルドース基であり、ここでヒドロキシ基はアシルおよび/もしくはシリル基で保護されているか、または保護された、もしくは未保護の1,2-ジオール基であり、
    Sはスペーサーまたは結合であり、ならびに
    Nはヌクレオシドもしくはヌクレオチド化合物などの核酸または核酸類似体構成要素である]
    の化合物。
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