JP5645289B2 - 検知回路、および、赤外線検出装置 - Google Patents
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Description
本発明は、検知回路、および、焦電素子を用いた赤外線検出装置に関する。
近年、省エネルギ化を図るなどの目的で、人体の動きを検知して効率的な動作を行う様々な電気機器が提案されている。
たとえば、このような電気機器には、赤外線の検知部として焦電素子を用いた赤外線検出装置が内蔵されている。一般的な赤外線検出装置は、レンズ等を用いて検知エリア内からの赤外線を焦電素子に集めており、焦電素子が受光する赤外線量の変化に応じて焦電素子から出力される電流信号が変化する。
この種の赤外線検出装置として、焦電素子と、焦電素子の検出電流信号に対する信号処理を行う赤外線検出回路とを備えた装置が知られている(たとえば文献1[日本国公開特許公報第2003−227753号]参照)。
文献1に記載の赤外線検出装置では、赤外線検出回路は、焦電素子からの電流信号を電圧信号に変換する電流電圧変換回路と、電圧増幅回路と、バンドパスフィルタ回路と、バンドパスフィルタ回路の出力側に接続された出力回路とから構成されている。
文献1においては、電流電圧変換回路は、反転入力端子に焦電素子が接続される演算増幅器と、演算増幅器の出力端子と反転入力端子との間に接続された帰還用のコンデンサとを備えている。この電流電圧変換回路は、焦電素子から出力された電流信号のうち、人体の検出に重要となる周波数成分の電流信号をコンデンサによって電圧信号に変換する。
電圧増幅回路は、電流電圧変換回路から出力される電圧信号を増幅する。
バンドパスフィルタ回路は、人体を検出するうえで重要となる周波数帯域の電圧信号に所定の利得を持たせて出力する。
出力回路は、たとえばコンパレータから構成されており、バンドパスフィルタ回路から出力される電圧信号を所定の閾値レベルと比較し、電圧信号が閾値レベル以上のときに検出信号を出力する。
ところで、赤外線検出装置については、より一層の小型化や構造の簡略化が望まれており、その弊害として、赤外線検出回路の入出力間に生じる容量結合の影響が問題になることがある。すなわち、赤外線検出回路は、赤外線検出装置全体の小型化に伴い入出力間の物理的な距離が短くなったり、構造の簡略化に伴い入出力間の絶縁性能が低くなったりすることに起因して、入出力間に生じる容量結合の静電容量が大きくなる。
ここで、赤外線検出回路は、出力端から見て、電流電圧変換回路の演算増幅器および変換素子(抵抗またはコンデンサ等)と入出力間の容量結合とによって反転増幅回路が形成される。たとえば帰還用のコンデンサを変換素子に用いて電流電圧変換回路が構成されている場合、赤外線検出回路は、容量結合の静電容量が大きくなるとCx/Cf倍で出力端から電圧増幅回路の入力へ検出信号が回り込む。なお、ここでいうCxは容量結合の静電容量、Cfは電流電圧変換回路におけるコンデンサ(変換素子)の静電容量である。
このように、赤外線検出装置は、赤外線検出回路の入出力間の容量結合の影響を無視できなくなると、赤外線検出回路の出力端から入力端へ信号の回り込みが生じるため、図16に例示するように、検出信号にチャタリングまたは発振現象が発生する可能性がある。
なお、図16では、(a)が出力回路に入力される(つまり、バンドパスフィルタ回路から出力される)電圧信号V0を表し、(b)が出力回路から出力される検出信号S1を表している。図16の例では、出力回路は、一定の閾値ではなくヒステリシス付の閾値VH1,VL1を用いて電圧信号V0を閾値と比較している。
本発明は上記事由に鑑みて為されており、焦電素子の出力を受ける回路部分の入出力間に生じる容量結合の影響を抑制することができる検知回路および赤外線検出装置を提供することを目的とする。
本発明に係る第1の形態の検知回路は、変換回路と、出力回路と、を備える。前記変換回路は、入力端を通じて検知素子から電流信号を受け取り、受け取った前記電流信号を電圧信号に変換するように構成される。前記出力回路は、前記変換回路から前記電圧信号を受け取り、受け取った前記電圧信号の大きさを所定の閾値と比較し、前記電圧信号の大きさが前記所定の閾値を越えたときに出力端を通じて検出信号を出力するように構成される。前記検出信号は、ワンショットパルスである。
本発明に係る第2の形態の検知回路では、第1の形態において、前記変換回路は、前記電流信号または前記電圧信号である電気信号を増幅するように構成される。前記変換回路は、特定の周波数帯域に含まれる周波数を有する前記電気信号の成分に対して既定値以上の利得を有し、前記特定の周波数帯域の上限値より高い周波数を有する前記電気信号の成分に対して既定値未満の利得を有するように構成される。前記ワンショットパルスのパルス幅は、前記上限値より高い周波数に対応する値である。
本発明に係る第3の形態の検知回路では、第1または第2の形態において、前記変換回路は、前記出力回路に出力される前記電圧信号の大きさが前記所定の閾値を越えると、所定の保持期間の間、前記出力回路に出力される前記電圧信号の大きさを所定値に保持する保持動作を実行するように構成される。前記保持期間の長さは、前記ワンショットパルスのパルス幅以上である。
本発明に係る第4の形態の検知回路では、第3の形態において、前記保持期間は、前記ワンショットパルスのパルス幅よりも長い。
本発明に係る第5の形態の検知回路では、第3または第4の形態において、前記所定値は、前記出力回路に出力される前記電圧信号の大きさが前記所定の閾値を越えたときの前記電圧信号の大きさである。
本発明に係る第6の形態の検知回路では、第3〜第5のいずれかの形態において、前記変換回路は、前記電流信号または前記電圧信号である電気信号のうち特定の周波数帯域に含まれる周波数を有する成分を通過させるフィルタ回路を備える。前記変換回路は、前記保持期間の間は前記フィルタ回路の動作を停止させることで、前記出力回路に出力される前記電圧信号の大きさを前記所定値に保持するように構成される。
本発明に係る第7の形態の検知回路では、第6の形態において、前記変換回路は、前記電気信号をデジタル信号に変換して出力するAD変換部を備える。前記フィルタ回路は、前記デジタル信号を演算処理することで、前記デジタル信号が示す波形から前記特定の周波数帯域に含まれる周波数を有する成分を抽出し、前記成分の波形を示すデジタル信号を生成して出力するデジタルフィルタである。
本発明に係る第8の形態の検知回路では、第7の形態において、前記AD変換部は、前記電気信号の積分を行う積分器と、前記積分器の出力を量子化する量子化器とを有するΔΣ方式のAD変換器である。
本発明に係る第9の形態の検知回路では、第8の形態において、前記AD変換部は、所定周期で前記電気信号をデジタル信号に変換して出力するように構成される。前記変換回路は、前記AD変換部がデジタル信号を出力するタイミングに合わせて前記フィルタ回路の動作を再開させるように構成される。
本発明に係る第10の形態の検知回路では、第1〜第9のいずれかの形態において、前記出力回路は、前記変換回路から受け取った前記電圧信号の大きさが所定の閾値を越えると、前記電圧信号の大きさの微分値を求め、前記微分値が大きいほど前記ワンショットパルスのパルス幅を短くするように構成される。
本発明に係る第11の形態の検知回路では、第3〜第9のいずれかの形態において、前記出力回路は、前記変換回路から受け取った前記電圧信号の大きさが所定の閾値を越えると、前記電圧信号の大きさの微分値を求め、前記微分値が規定値を越えるか否かを判定するように構成される。前記変換回路は、前記微分値が前記規定値を越えたと前記出力回路が判定すると、前記保持動作を終了するように構成される。
本発明に係る第12の形態の検知回路では、第1〜第11のいずれかの形態において、前記変換回路は、受け取った前記電流信号を電圧信号に変換する電流電圧変換部を備える。前記電流電圧変換部は、演算増幅器と、前記演算増幅器に接続された帰還用の容量素子とで構成される。
本発明に係る赤外線検出装置は、第1〜第12のいずれかの形態の検知回路と、前記検知回路の前記入力端に接続される検知素子と、を備える。前記検知素子は、焦電素子である。
(実施形態1)
本実施形態の赤外線検出装置1は、図2に示すように、焦電素子2と、焦電素子2の検出電流信号(電流信号)に対する信号処理を行う検知回路10とを備えている。
本実施形態の赤外線検出装置1は、図2に示すように、焦電素子2と、焦電素子2の検出電流信号(電流信号)に対する信号処理を行う検知回路10とを備えている。
検知回路10は、検知素子(本実施形態では、焦電素子2)から出力される電流信号を電圧信号に変換する変換回路3と、変換回路3の出力値(電圧信号の大きさ)を所定の閾値と比較する比較器41を含む出力回路4とを有している。なお、検知素子は、必ずしも焦電素子2である必要はない。
ここでは、検知回路10は、外付け部品を用いずにIC(集積回路)化されることによりワンチップ化されている。
本実施形態では、一例として検知エリア内の人体検知を行う人体検知装置に用いられる赤外線検出装置1について説明するが、赤外線検出装置1がたとえばガス検知等の人体検知以外の用途に用いられることを妨げる趣旨ではない。
焦電素子2は、検知エリアから赤外線を受光し、受光した赤外線量の変化に応じて電流信号を出力する。
検知回路10は、入力端T1と、出力端T2と、を備える。入力端T1には焦電素子2が接続され、出力端T2にはマイコン(マイクロコンピュータ)を主構成とする外部回路(図示せず)が接続される。
検知回路10は、焦電素子2からの電流信号に対する信号処理を行うことにより、検知エリア内で人体を検知したときに出力端T2から外部回路に検出信号を出力する。これにより、赤外線検出装置1は、外部回路に対して人体検知の結果を出力することができ、外部回路では、人体検知の結果に応じた電気機器の制御などが可能になる。
検知回路10の入力段に設けられている変換回路3は、図1に示すように、焦電素子2に接続された電流電圧変換部5と、電流電圧変換部5の出力に接続された電圧増幅部6とを具備している。さらに、本実施形態では、変換回路3は後述の出力保持部8を有している。
電流電圧変換部5は、反転入力端子が検知回路10の入力端T1に接続された演算増幅器51を有している。つまり、演算増幅器51の反転入力端子は焦電素子2に接続される。演算増幅器51の出力端子−反転入力端子間には、交流帰還用の容量素子としてのコンデンサ52が接続されている。演算増幅器51の非反転入力端子は、基準電圧を発生する基準電源部53に接続されている。
このように構成される電流電圧変換部5によれば、焦電素子2から出力された微弱な電流信号は、変換素子としてのコンデンサ52のインピーダンスを用いて電圧信号に変換される。
したがって、演算増幅器51から出力される電圧は、基準電源部53が発生する基準電圧からコンデンサ52の両端電圧を差し引いた値となる。要するに、電流電圧変換部5の出力は、基準電圧を動作点として、焦電素子2が赤外線を受光したことによる電流信号の変化に応じて動作点から変化する。
なお、以下では説明を簡単にするために、上記動作点(基準電圧)にあるときの電流電圧変換部5の出力をゼロとして説明する。つまり、以下では、電流電圧変換部5の出力は、演算増幅器51から出力される電圧の動作点からの変化量を意味する。
電圧増幅部6は、図3に示すように2段構成の非反転増幅回路からなる。
1段目(入力端T1側)の非反転増幅回路は、非反転入力端子がコンデンサ62を介して電流電圧変換部5の出力(演算増幅器51の出力端子)に接続された演算増幅器61を有している。演算増幅器61の出力端子−反転入力端子間には、抵抗63とコンデンサ64との並列回路からなるローパスフィルタが接続されている。さらに、演算増幅器61は、非反転入力端子には、基準電圧を発生する基準電源部65が抵抗66を介して接続され、反転入力端子には、基準電圧を発生する基準電源部67が抵抗68を介して接続されている。
これにより、1段目の非反転増幅回路は、コンデンサ62および抵抗66からなるハイパスフィルタと、抵抗63およびコンデンサ64からなるローパスフィルタとでバンドパスフィルタを構成し、ある特定の周波数帯域について利得を持って電圧信号を増幅する。
本実施形態では、赤外線検出装置1は人体検知に用いられるので、人体の存在を検知した際に焦電素子2が発生する電流信号の周波数帯域に合わせて、非反転増幅回路の通過帯域が設定されている。
また、2段目(出力端T2側)の非反転増幅回路は、演算増幅器71を有しており、演算増幅器71にコンデンサ72,74、抵抗73,76,78が接続されて、1段目の非反転増幅回路と同様の回路を構成する。
なお、図3では、1段目の演算増幅器61の非反転入力端子とコンデンサ62および抵抗66との間にはスイッチ60が挿入され、2段目の演算増幅器71の非反転入力端子とコンデンサ72および抵抗76との間にはスイッチ70が挿入されている。
これらのスイッチ60,70については後に詳しく説明するが、少なくとも電圧増幅部6が機能する期間はこれらのスイッチ60,70はオンしている。
このように、変換回路3は、入力端T1を通じて焦電素子2から電流信号を受け取り、受け取った電流信号を電圧信号に変換するように構成される。
また、変換回路3は、電流電圧変換部5から出力される電圧信号を増幅するように構成される。特に、変換回路3は、特定の周波数帯域に含まれる周波数を有する電圧信号の成分に対して既定値以上の利得を有し、特定の周波数帯域の上限値より高い周波数を有する電圧信号の成分に対して既定値未満の利得を有するように構成される。
以上述べたように、変換回路3は、焦電素子2から受け取った電流信号を電圧信号に変換する変換動作と、電流電圧変換部5から出力される電圧信号を増幅する増幅動作とを実行するように構成される。本実施形態では、変換回路3の変換動作は電流電圧変換部5によって実現され、変換回路3の増幅動作は電圧増幅部6によって実現される。
ここにおいて、本実施形態では、焦電素子2は、2個のエレメントが並べて配置されたデュアル方式の焦電素子であると仮定する。この焦電素子2は、2個のエレメントが互いに異極性(正・負)となるように検知回路10に接続されており、各エレメントの検知エリアが互いに隣接するように両エレメントが並んで配置されている。
これにより、焦電素子2は、一方のエレメントで赤外線量の変化を検知すると電流信号が正方向に変化し、他方のエレメントで赤外線量の変化を検知すると電流信号が負方向に変化する。
たとえば、人が一方のエレメントの検知エリアと、他方のエレメントの検知エリアとを順に横切った場合、変換回路3には、ゼロを基準にして正方向と負方向とに交互に振れる電流信号が入力される。
そのため、人体の存在を検知した際に焦電素子2が発生する電流信号の周波数帯域は、検知対象となる人から焦電素子2までの距離と、検知対象となる人の移動速度とによって、決まることになり、本実施形態では、0.1Hz〜1Hz程度と仮定する。
したがって、電圧増幅部6は、特定の周波数帯域(ここでは0.1Hz〜1Hz程度)に既定値以上の利得を持ち、電流電圧変換部5から出力される電圧信号のうち特定の周波数帯域の信号を増幅して出力する。要するに、変換回路3は、電圧増幅部6が特定の周波数帯域の信号成分を通過させるフィルタ回路として機能することにより、全体として特定の周波数帯域に既定値以上の利得を持ち、焦電素子2から出力される電流信号を電圧信号に変換して出力する。なお、図3に示す2段構成の非反転増幅回路は電圧増幅部6の具体構成の一例に過ぎず、電圧増幅部6は、図3のような回路構成(2段構成の非反転増幅回路)に限らない。
出力回路4は、変換回路3から電圧信号(電圧増幅部6で増幅された、電流電圧変換部5からの電圧信号)を受け取り、受け取った電圧信号の大きさ(電圧値)を所定の閾値と比較し、電圧信号の大きさが所定の閾値を越えたときに出力端T2を通じて検出信号を出力するように構成される。
本実施形態では、出力回路4は、図1に示すように、変換回路3の出力値(電圧増幅部6の出力値)を所定の閾値と比較する比較器(コンパレータ)41と、外部回路に検出信号を出力するパルス発生部42とを有している。
比較器41は、変換回路3の出力に接続されており、焦電素子2が赤外線を受光していない状態、つまり電流電圧変換部5の出力がゼロであるときの変換回路3の出力値をゼロとして、この出力値のゼロからの変化量を閾値と比較する。
ここで、本実施形態では、焦電素子2は上述したようにデュアル方式の焦電素子であるから、変換回路3は、一方のエレメントから電流信号を受けると出力値が正方向に変化し、他方のエレメントから電流信号を受けると出力値が負方向に変化する。
たとえば、人が一方のエレメントの検知エリアと、他方のエレメントの検知エリアとを順に横切った場合、変換回路3は、ゼロを基準にして正方向と負方向とに交互に振れる出力を生じる。
そこで、比較器41は、正・負両方向について、変換回路3の出力値のゼロからの変化量を閾値と比較できるように、ゼロを基準として正・負両側に閾値を設定している。
具体的には、比較器41は、正方向には正閾値VH1、負方向には負閾値VL1を設定し、変換回路3の出力値がゼロから正方向に振れて正閾値VH1を超えるか、あるいは負方向に振れて負閾値VL1を超えた場合に、出力値が閾値を超えたと判断する。言い換えれば、比較器41は、変換回路3の出力値が正閾値VH1と負閾値VL1との間にあるときには出力値が閾値以下であると判断し、変換回路3の出力値が正閾値VH1と負閾値VL1との間から外れたときに出力値が閾値を超えたと判断する。なお、正閾値VH1と負閾値VL1とでは絶対値は同一である。
本実施形態の比較器41は、変換回路3の出力値が閾値(正閾値VH1、負閾値VL1)を超えると、後段のパルス発生部42に対してトリガ信号を出力する。
ここでは、比較器41は、変換回路3の出力値が閾値を超えている間はトリガ信号を出力し続ける構成とするが、この構成に限らず、たとえば変換回路3の出力値が閾値を超えた時点でインパルス状のトリガ信号を出力する構成であってもよい。
パルス発生部42は、比較器41から出力されるトリガ信号を受けて、所定のパルス幅のワンショットパルスを検出信号として外部回路に出力する。具体的には、パルス発生部42は、トリガ信号の立ち上がりをトリガとして、固定時間長(固定パルス幅)のワンショットパルス(シングルパルス)を1度だけ発生する。
ここで、ワンショットパルスは単極性であって、パルス発生部42は、変換回路3の出力値が正方向、負方向のいずれに振れたかに関わらず、閾値を超えたときには同一極性で且つ同一パルス幅のワンショットパルスを出力する。
ここにおいて、パルス発生部42が出力するワンショットパルスは、変換回路3が既定値以上の利得を持つ特定の周波数帯域(0.1Hz〜1Hz程度)外であって、この周波数帯域よりも高域側(高周波側)となるように、そのパルス幅が設定されている。つまり、変換回路3は、図4に示すように特定の周波数帯域fb1に既定値以上の利得を持つので、パルス発生部42では、この特定の周波数帯域fb1から高域側に外れた周波数帯域fb2となるように、ワンショットパルスのパルス幅が設定されている。
すなわち、ワンショットパルスは、変換回路3の利得が既定値未満となる周波数帯域に含まれる周波数に対応するパルス幅を有している。言い換えれば、ワンショットパルスは、変換回路3が殆ど感度を有さない周波数帯域fb2に設定されている。
そのため、本実施形態の赤外線検出装置1は、検知回路10の入出力間に生じる容量結合11(図1参照)を通して出力端T2から入力端T1へ検出信号が回り込むことがあっても、その影響で検出信号にチャタリングや発振現象を生じることがない。なお、以下では、チャタリングと、信号がオンオフを繰り返し続ける発振現象とをまとめて「チャタリング等」という。
すなわち、検知回路10は、赤外線検出装置1全体の小型化に伴い入出力間の物理的な距離が短くなったり、構造の簡略化に伴い入出力間の絶縁性能が低くなったりすることに起因して、入出力間に生じる容量結合11の静電容量が大きくなる。検知回路10は、出力端T2から見て、演算増幅器51およびコンデンサ52と容量結合11とによって反転増幅回路が形成されるので、容量結合11の静電容量が大きくなるとCx/Cf倍で出力端T2から電圧増幅部6の入力へ検出信号が回り込むことがある。なお、ここでいうCxは容量結合11の静電容量、Cfは電流電圧変換部5におけるコンデンサ52の静電容量である。
本実施形態では、検出信号は変換回路3が既定値以上の利得を持つ特定の周波数帯域よりも高域側となるワンショットパルスであるから、出力端T2から入力端T1への検出信号の回り込みが生じた場合でも、検出信号にチャタリング等は生じない。
つまり、変換回路3は、出力端T2から入力端T1へ回り込んだワンショットパルス(検出信号)に対しては殆ど感度を有さないので、このワンショットパルスに起因して検出信号にチャタリング等が生じることはない。
したがって、本実施形態の赤外線検出装置1は、検知回路10の入出力間に生じる容量結合11の静電容量が大きくなっても、確実な人体検知が可能である。
次に、パルス発生部42が出力する検出信号としてのワンショットパルスのパルス幅の決め方について、具体例を挙げて説明する。
まず、ワンショットパルスの振幅(電圧値)をΔV0とし、ワンショットパルスの周波数fについての変換回路3の利得をGとすれば、検出信号の回り込みによる変換回路3の出力値の変動幅ΔV1は、ΔV1=ΔV0×(Cx/Cf)×Gで表される。
このように表される変動幅ΔV1が比較器41での比較対象となる閾値を超えると、そのことをトリガとしてパルス発生部42でワンショットパルスが発生するので、出力回路4の出力にチャタリング等が生じる。
そこで、本実施形態では、上述の変動幅ΔV1が閾値を超えないように、ワンショットパルスの振幅ΔV0、容量結合11の静電容量Cx、コンデンサ52の静電容量Cf、利得G、閾値に応じて、ワンショットパルスのパルス幅の上限値が設定されている。
つまり、容量結合11の静電容量Cxが大きいほど、変換回路3での利得Gの小さい高周波帯域にワンショットパルスが設定されるように、パルス幅の上限値は小さくなる。
検出信号としてのワンショットパルスは、このようにして設定された上限値以下の範囲でパルス幅が決められることにより、特定の周波数帯域よりも高域側の周波数成分を持つ。
ただし、検出信号としてのワンショットパルスのパルス幅が小さ過ぎると、検知回路10の出力端T2に接続される外部回路において、出力回路4から出力される検出信号をノイズと区別しにくくなる。
そこで、ワンショットパルスは、上述した上限値以下で、且つ所定の下限値以上の範囲となるように、パルス幅が決められている。ここでいう下限値は、外部回路を構成するマイコンの内部クロックに応じて設定され、たとえば内部クロックの2倍に設定される。
本実施形態においては、一例として、ワンショットパルスのパルス幅は100msに設定される。これにより、赤外線検出装置1は、ワンショットパルスの振幅ΔV0が6.0Vでコンデンサ52の静電容量Cfが数pFの場合、容量結合11の静電容量Cxが数fF以内であれば、検出信号にチャタリング等が生じない。
ところで、本実施形態の赤外線検出装置1は、上述したワンショットパルスを出力する構成に加えて、変換回路3に出力保持部8を設けた構成を採用することによって、容量結合11の影響で検出信号にチャタリング等が生じることを一層確実に防止する。
出力回路4の比較器41は、トリガ信号をパルス発生部42だけでなく、出力保持部8に対しても出力する。
出力保持部8は、比較器41からのトリガ信号をトリガとして、ワンショットパルスの立ち上がり時点から、少なくともワンショットパルスのパルス幅と同じ時間長さの保持期間に亘って、制御信号を出力し変換回路3の出力値を一定に保持する保持動作を行う。
出力保持部8は、図3に示す電圧増幅部6のスイッチ60,70をオンオフ制御する機能を有しており、比較器41からのトリガ信号を受けると、保持期間に亘って両スイッチ60,70をオフにして電圧増幅部6のフィルタ回路としての機能を停止させる。つまり、出力保持部8は、変換回路3の出力値が閾値を超えると、制御信号により保持期間に亘ってスイッチ60,70をオフとし、保持期間が終了するとスイッチ60,70をオンする。
電圧増幅部6は、保持期間においては、スイッチ60,70がオフ状態にあるため、1段目、2段目の各演算増幅器61,71の非反転入力端子が開放され、フィルタ回路の機能を停止する。
このとき、変換回路3は、演算増幅器61,71の入力端子容量により、保持期間の開始直前(スイッチ60,70がオフする直前)の値に出力値を保持する。言い換えれば、出力保持部8は、保持期間においては変換回路3の出力値を保持期間の開始直前の値に保持するように保持動作を行う。
すなわち、変換回路3は、出力回路4に出力される電圧信号の大きさが所定の閾値を越えると、所定の保持期間の間、出力回路4に出力される前記電圧信号の大きさを所定値に保持する保持動作を実行するように構成される。本実施形態では、変換回路3の保持動作は出力保持部8によって実現される。
このように、変換回路3は、出力回路4の比較器41からのトリガ信号をトリガとして、保持期間に亘って出力値を一定に保持する出力保持部8を有することにより、容量結合11の影響で検出信号にチャタリング等が生じることを確実に防止できる。
要するに、変換回路3は、少なくともパルス発生部42がワンショットパルスを出力する期間は、保持動作により出力値を一定に保持したまま変化させないので、この期間中に容量結合11の影響でワンショットパルスの回り込みが生じても出力値は変化しない。
したがって、たとえ出力端T2から入力端T1への検出信号の回り込みが生じても、変換回路3の出力値が閾値を超えることはなく、パルス発生部42でワンショットパルスが発生して出力回路4の出力にチャタリング等が生じることはない。
その結果、本実施形態の赤外線検出装置1は、検知回路10の入出力間に生じる容量結合11の静電容量Cxがどれだけ大きくなっても、確実な人体検知が可能である。
次に、保持期間の時間長さの決め方について、具体例を挙げて説明する。
出力回路4のパルス発生部42がワンショットパルスを出力すると、ワンショットパルスの立ち下がりから僅かな時間であるものの、容量成分(コンデンサ52等)にワンショットパルスにより電荷が残留する。この残留電荷によって電流電圧変換部5の出力にはワンショットパルスの印加前後で電位差が発生し、出力変動を生じることがある。
本実施形態では、このワンショットパルスによる残留電荷の影響を抑制するため、保持期間の時間長さは、ワンショットパルスのパルス幅よりも長く(大きく)設定されている。具体的には、ワンショットパルスのパルス幅に、ワンショットパルスの立ち下がり時点から残留電荷の影響がなくなるまでに要する時間を加えた時間が、保持期間の時間長さの下限値となる。
ただし、変換回路3は、保持期間においては焦電素子2からの電流信号に対応する本来の出力(電圧信号)の情報が欠落することになるので、保持期間が長くなるほど、欠落する情報量が多くなり、保持期間の終了後における出力への保持動作の影響も大きくなる。
つまり、図5に示すように、変換回路3は、保持期間が長くなるほど、出力保持部8での保持動作の終了後における出力の追随性が悪くなり、保持動作を行わなかった場合の本来の出力からの波形のずれが大きくなる。
このように変換回路3は保持期間が短いほど保持期間の終了後における出力への保持動作の影響が小さくなるので、保持期間の時間長さには上限値が設定されることが望ましい。
なお、図5では、横軸を時間軸とし、保持動作を行わなかった場合の変換回路3の本来の出力を「V0」、保持時間を変えて保持動作を行った場合の変換回路3の出力を「V1」、「V2」、「V3」(V1,V2,V3の順に保持時間が長くなる)として表している。
たとえば、焦電素子2からの電流信号の半周期以上に亘り本来の出力の情報が欠落した場合、変換回路3は、保持期間の終了後において、人体検知に支障がない程度ではあるものの、焦電素子2から入力される電流信号に対し出力に若干の遅延が生じる。
そこで、本実施形態では、人体の存在を検知した際に焦電素子2が発生する電流信号の半周期以上に亘って変換回路3の出力の情報が欠落することがないように、保持期間の時間長さの上限値が設定されている。
具体的には、出力保持部8は、電流信号の1周期の間に、変換回路3の出力値が正閾値VH1と負閾値VL1との各々を超えた際の2度に亘って保持動作を行うので、保持期間の時間長さの上限値は電流信号の波長の1/4(=1/2×1/2)に設定される。
本実施形態においては、ワンショットパルスのパルス幅100msに対し、保持期間の時間長さは一例として120msに設定される。
この場合、変換回路3は、焦電素子2が発生する2Hz程度の電流信号までは、出力保持部8での保持動作の終了後における出力の追随性を確保できる。つまり、この場合、出力回路4は変換回路3の出力値が最初に閾値を超えて1発目のワンショットパルスを出力した後、保持期間が終了すれば、変換回路3の出力値が閾値を超える度に2発目以降のワンショットパルスを遅れずに出力することができる。
なお、赤外線検出装置1は、人体検知の目的では焦電素子2が1Hz付近の電流信号を発生することが一般的であるが、たとえば3Hzの電流信号にまで出力の追随性を確保する場合には、保持期間の時間長さを80ms以下にすることが望ましい。
このように、検知回路10は、検知対象とする電流信号の周波数を考慮してワンショットパルスのパルス幅や保持期間の時間長さが適切に設定されることにより、2発目以降のワンショットパルスも遅れることなく出力可能となる。
以下、本実施形態の赤外線検出装置1の動作について、図6を参照して簡単に説明する。図6では、横軸を時間軸として、(a)が変換回路3の出力(電圧信号)を表し、(b)が出力回路4(パルス発生部42)の出力する検出信号S1を表し、(c)が保持期間を決める制御信号S2を表している。なお、図6(a)の例では、出力回路4は、一定の閾値ではなくヒステリシス付の閾値(正閾値VH1、負閾値VL1)を用いて電圧信号V0を閾値と比較している。
すなわち、焦電素子2が人体の存在を検知して変換回路3に電流信号が入力されると、変換回路3は、図6(a)のように、焦電素子2から受け取った電流信号を電流電圧変換部5によって電圧信号に変換し、且つこの電圧信号を電圧増幅部6によって増幅して電圧信号(増幅された電圧信号)V0として出力する。
出力回路4は、比較器41において、変換回路3の出力値と閾値(正閾値VH1、負閾値VL1)とを比較し、変換回路3の出力値が閾値を超えたときにトリガ信号を発生する。
パルス発生部42は、トリガ信号の立ち上がりをトリガとして(すなわち、比較器41からトリガ信号を受け取ると)、図6(b)のように所定のパルス幅のワンショットパルスを検出信号S1として出力する。
また、出力保持部8は、トリガ信号の立ち上がりをトリガとして(すなわち、比較器41からトリガ信号を受け取ると)、図6(c)のようにワンショットパルスのパルス幅よりも長い保持期間に亘って、制御信号S2を出力し変換回路3の出力値を一定に保持する保持動作を行う。
これにより、少なくとも出力回路4がワンショットパルスを検出信号S1として出力している間においては、図6(a)のように変換回路3の出力値は、保持期間の開始直前の値に保持されることになる。
以上述べた本実施形態の赤外線検出装置1は、焦電素子2と、焦電素子2から出力される電流信号を電圧信号に変換する変換回路3と、変換回路3の出力値を所定の閾値と比較する比較器41を含む出力回路4とを備える。出力回路4は、変換回路3の出力値が前記閾値を超えることをトリガとして、所定のパルス幅のワンショットパルスを出力するパルス発生部42を有する。
換言すれば、本実施形態における検知回路10は、変換回路3と、出力回路4と、を備える。変換回路3は、入力端T1を通じて検知素子(本実施形態では、焦電素子2)から電流信号を受け取り、受け取った電流信号を電圧信号に変換するように構成される。出力回路4は、変換回路3から電圧信号を受け取り、受け取った電圧信号の大きさを所定の閾値と比較し、電圧信号の大きさが所定の閾値を越えたときに出力端T4を通じて検出信号を出力するように構成される。検出信号は、ワンショットパルスである。
そして、本実施形態の赤外線検出装置1は、検知回路10と、検知回路10の入力端T1に接続される検知素子と、を備える。検知素子は、焦電素子2である。
以上説明した構成によれば、変換回路3の出力値が閾値を超えることをトリガとして、所定のパルス幅のワンショットパルスを出力するパルス発生部42が出力回路4に設けられているので、検知回路10の入出力間に生じる容量結合11の影響を抑制できる。
したがって、本実施形態によれば、焦電素子2の出力を受ける回路部分(すなわち検知回路10)の入出力間(すなわち入力端T1と出力端T2との間)に生じる容量結合の影響を抑制することができるという利点がある。
すなわち、本実施形態の赤外線検出装置1は、検出信号がワンショットパルスであるから、容量結合11の影響で出力端T2から入力端T1への検出信号の回り込みが生じた場合でも、検出信号にチャタリング等が生じることを防止でき、確実な人体検知が可能である。
しかも、検知回路10は、検出信号を固定パルス長のワンショットパルスとしたことにより、変換回路3の出力値が閾値を超えている間に検出信号を出力し続ける構成に比べて、検出信号の出力に要する電力を小さく抑えることができる。
さらに、検知回路10の出力端T2に接続される外部回路においては、検出信号が固定パルス幅のワンショットパルスであるから、検出信号とノイズとの判別が容易になって検出信号の処理が簡単になる。
しかも、上記構成の赤外線検出装置1によれば、比較器41にて用いられる閾値(正閾値VH1、負閾値VL1)にヒステリシスが不要になるので、ヒステリシス回路を省略して検知回路の小型化を図ることもできる。すなわち、検出信号は固定パルス長のワンショットパルスであるので、閾値にヒステリシスが付与されていなくても、ワンショットパルスの出力中に変換回路3の出力値が閾値を下回ったり超えたりすることに起因し検出信号にチャタリング等が発生することはない。
また、本実施形態では、変換回路3は、特定の周波数帯域に既定値以上の利得を持つ。パルス発生部42は、特定の周波数帯域よりも高域側となるパルス幅のワンショットパルスを出力する。
換言すれば、変換回路3は、電圧信号を増幅するように構成される。変換回路3は、特定の周波数帯域に含まれる周波数を有する電圧信号の成分に対して既定値以上の利得を有し、特定の周波数帯域の上限値より高い周波数を有する電圧信号の成分に対して既定値未満の利得を有するように構成される。ワンショットパルスのパルス幅は、上限値より高い周波数に対応する値である。
このように、本実施形態においては、パルス発生部42は、変換回路3が既定値以上の利得を持つ特定の周波数帯域よりも高域側となるパルス幅のワンショットパルスを出力している。
そのため、容量結合11の影響で出力端T2から入力端T1へ検出信号の回り込みが生じても、変換回路3は、回り込んだワンショットパルス(検出信号)に対して殆ど感度を有さず、このワンショットパルスに起因し検出信号にチャタリング等が生じることはない。つまり、パルス発生部42は、検出信号の周波数成分を高くしているので、変換回路3の減衰特性によって検出信号の回り込みの影響を軽減することができる。
なお、変換回路3は、焦電素子2から受け取った電流信号を増幅するように構成されていてもよい。この場合、変換回路3は、特定の周波数帯域に含まれる周波数を有する電流信号の成分に対して既定値以上の利得を有し、特定の周波数帯域の上限値より高い周波数を有する電流信号の成分に対して既定値未満の利得を有するように構成される。
つまり、変換回路3は、電流信号(焦電素子2からの電流信号)または電圧信号(電流電圧変換部5からの電圧信号)である電気信号を増幅するように構成されていればよい。この場合、変換回路3は、特定の周波数帯域に含まれる周波数を有する電気信号の成分に対して既定値以上の利得を有し、特定の周波数帯域の上限値より高い周波数を有する電気信号の成分に対して既定値未満の利得を有するように構成される。
また、本実施形態では、変換回路3は、出力回路4からトリガを受けて少なくともワンショットパルスのパルス幅と同じ時間長さの保持期間に亘って、出力値を一定に保持する出力保持部8を有する。
換言すれば、変換回路3は、出力回路4に出力される電圧信号の大きさが所定の閾値を越えると、所定の保持期間の間、出力回路4に出力される電圧信号の大きさを所定値に保持する保持動作を実行するように構成される。保持期間の長さは、ワンショットパルスのパルス幅以上である。
このように、本実施形態の赤外線検出装置1は、少なくともワンショットパルスと同じ時間長さの保持期間に亘って変換回路3の出力値を一定に保持する出力保持部8を有するので、容量結合11の影響で検出信号にチャタリング等が生じることを確実に防止できる。つまり、変換回路3は、少なくともパルス発生部42がワンショットパルスを出力する期間は、保持動作により出力値を一定に保持したまま変化させないので、この期間中に容量結合11の影響でワンショットパルスの回り込みが生じても出力値は変化しない。
したがって、本実施形態の赤外線検出装置1は、検知回路10の入出力間に生じる容量結合11の静電容量Cxがどれだけ大きくなっても、確実な人体検知が可能である。
また、本実施形態では、保持期間の時間長さは、ワンショットパルスのパルス幅よりも長い。換言すれば、保持期間は、前記ワンショットパルスのパルス幅よりも長い。
このように、本実施形態では、出力保持部8は、ワンショットパルスのパルス幅よりも長い保持期間に亘って変換回路3の出力値を一定に保持するので、ワンショットパルスによる残留電荷の影響を確実に抑制することができる。
また、本実施形態では、出力保持部8は、保持期間においては変換回路3の出力値を保持期間の開始直前の値に保持する。換言すれば、所定値は、出力回路4に出力される電圧信号の大きさが所定の閾値を越えたときの電圧信号の大きさである。
このように、出力保持部8は、保持期間においては変換回路3の出力値を保持期間の開始直前の値に保持しているので、保持期間の終了後における変換回路3の出力への保持動作の影響を小さく抑えることができる。
要するに、図7に示すように、変換回路3は、保持期間に出力値がどのような値に保持されるかによって、出力保持部8での保持動作の終了後における出力の追随性が変化し、保持動作を行わなかった場合の本来の出力からの波形のずれが大きくなる場合がある。
図7では、横軸を時間軸として、保持動作を行わなかった場合の変換回路3の本来の出力を「V0」、出力値を保持期間の開始直前の値に保持した場合の出力を「V1」、出力値を基準電圧に保持した場合の出力を「V2」として表している。
このように、変換回路3は、保持期間に出力値が保持期間の開始直前の値に保持されることにより、保持期間の終了後における出力への保持動作の影響が小さくなる。
なお、出力保持部8は、保持期間に変換回路3の出力値を保持期間の開始直前の値に保持することにより、基準電圧に保持する場合に比べて、変換回路3の出力値が一定になるまでに要する時間を短くできるという利点もある。
また、本実施形態では、変換回路3は、特定の周波数帯域の信号成分を通過させるフィルタ回路を有している。出力保持部8は、保持期間にはフィルタ回路の機能を停止させる。
換言すれば、変換回路3は、電圧信号のうち特定の周波数帯域に含まれる周波数を有する成分を通過させるフィルタ回路を備える。変換回路3は、保持期間の間はフィルタ回路の動作を停止させることで、出力回路4に出力される電圧信号の大きさを所定値に保持するように構成される。
さらに、本実施形態では、出力保持部8は、保持期間に亘って電圧増幅部6の両スイッチ60,70をオフにして電圧増幅部6のフィルタ回路としての機能を停止させることにより、変換回路3の出力値を一定に保持している。つまり、出力保持部8は、変換回路3の出力値を一定に保持する保持動作のために、フィルタ回路としての電圧増幅部6の一部を兼用しているので、保持動作のための回路構成を簡略化することができる。
なお、変換回路3は、焦電素子2からの電流信号のうち特定の周波数帯域に含まれる周波数を有する成分を通過させるフィルタ回路を備えていてもよい。この場合、変換回路3は、保持期間の間はフィルタ回路の動作を停止させることで、出力回路4に出力される電圧信号の大きさを所定値に保持するように構成される。
すなわち、変換回路3は、電流信号または前記電圧信号である電気信号のうち特定の周波数帯域に含まれる周波数を有する成分を通過させるフィルタ回路を備えていればよい。この場合、変換回路3は、保持期間の間はフィルタ回路の動作を停止させることで、出力回路4に出力される電圧信号の大きさを所定値に保持するように構成される。
また、本実施形態では、変換回路3は、帰還用の容量素子(コンデンサ)52が接続された演算増幅器51を有し、当該演算増幅器51にて電流信号を電圧信号に変換する。換言すれば、変換回路3は、焦電素子2から受け取った電流信号を電圧信号に変換する電流電圧変換部5を備える。電流電圧変換部5は、演算増幅器51と、演算増幅器51に接続された帰還用の容量素子(コンデンサ)52とで構成される。
このように、電流電圧変換部5は、コンデンサ52のインピーダンスを用いて電流信号を電圧信号に変換する容量変換型の変換部を構成するので、IC化による小型化並びに高精度化が可能という利点がある。
すなわち、抵抗を用いて容量変換型と同じ利得の電流電圧変換部を実現する場合には、高抵抗(たとえば100GΩ)が必要になるため、ICに外付けの抵抗では電流電圧変換部の小型化が難しく、ICに内蔵の抵抗では抵抗値のばらつきが大きく精度が低くなる。
これに対して、容量変換型の電流電圧変換部5は、小容量(たとえば2pF)のコンデンサ52を用いることができるため、コンデンサ52をICに内蔵することにより小型で高精度な変換部を実現でき、さらに誘電損失による雑音も小さくできる。
なお、電流電圧変換部5は、容量変換型に限らず、交流帰還用の容量素子(コンデンサ52)の代わりに抵抗素子を用いた構成であってもよい。
ところで、出力保持部8が変換回路3の出力値を保持するための構成は、上述した図3の構成に限らず、たとえば図8,図9に示すような構成であってもよい。
図8は、電圧増幅部6の第1変形例を示す。図8においては、電圧増幅部6は、基準電源部67−抵抗68間、抵抗63−演算増幅器61出力端子間、基準電源部77−抵抗78間、抵抗73−演算増幅器71出力端子との間にスイッチ60A,60B,70A,70Bが挿入されている。
出力保持部8は、比較器41からのトリガ信号を受けると、保持期間に亘って両スイッチ60A,60B,70A,70Bをオフにして電圧増幅部6のフィルタ回路としての機能を停止させる。
これにより、電圧増幅部6は、保持期間においてはスイッチ60A,60B,70A,70Bがオフ状態にあるため、コンデンサ64,74の放電の系が遮断され、変換回路3の出力値が保持期間の開始直前の値に保持される。
図9は、電圧増幅部6の第2変形例を示す。図9においては、電圧増幅部6は、1段目の非反転増幅回路と電流電圧変換部5との間にスイッチ60Cが挿入され、1段目の非反転増幅回路と2段目の非反転増幅回路との間にスイッチ70Cが挿入されている。
出力保持部8は、比較器41からのトリガ信号を受けると、保持期間に亘って両スイッチ60C,70Cをオフにして電圧増幅部6のフィルタ回路としての機能を停止させる。
これにより、電圧増幅部6は、保持期間においてはスイッチ60C,70Cがオフ状態にあるため、1段目、2段目の各演算増幅器61,71の非反転入力端子が基準電圧に保持され、変換回路3の出力値が基準電圧に保持される。
なお、本実施形態の赤外線検出装置1においては、変換回路3が出力保持部8を有することは必須ではなく、出力保持部8は省略されていてもよい。この場合でも、パルス発生部42がワンショットパルスを発生する構成により、赤外線検出装置1は、検知回路10の入出力間に生じる容量結合11の影響を抑制することができる。
また、上記実施形態では、人体の存在を検知した際に焦電素子2が発生する電流信号の周波数帯域を0.1Hz〜1Hz程度と仮定して説明したが、この例に限らず、焦電素子2は人体検知時にたとえば0.1Hz〜10Hz程度の電流信号を出力してもよい。
電流信号が10Hz程度の場合でも、検知回路10は、変換回路3の出力値が閾値を超えたときに少なくとも1発はワンショットパルスを発生するので、外部回路では、このワンショットパルスを受けて人体検知の結果に応じた電気機器の制御などが可能になる。
(実施形態2)
本実施形態の赤外線検出装置1は、図10に示すように変換回路3がアナログ値をデジタル値に変換するAD変換部91を有している点で、実施形態1の赤外線検出装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については実施形態1と共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態の赤外線検出装置1は、図10に示すように変換回路3がアナログ値をデジタル値に変換するAD変換部91を有している点で、実施形態1の赤外線検出装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については実施形態1と共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態では、電流電圧変換部5の後段の電圧増幅部6は、AD変換部91と、AD変換部91の出力に接続されたデジタル処理部92とで構成されている。
AD変換部91は、電流電圧変換部5から入力される電圧値(アナログ値)をデジタル値に変換して、シリアル方式でデジタル処理部92に出力する。つまり、AD変換部91は、アナログ信号の瞬時値をデジタルのシリアルビット列に変換して出力する。
本実施形態では、AD変換部91としてΔΣ(デルタシグマ)方式(ΣΔ方式)のAD変換器(ΔΣAD変換器)が用いられている。これにより、比較的小型で且つ高精度のAD変換部91を実現することができる。
このような、AD変換部91は、入力信号の積分を行う積分器(図示せず)と、積分器の出力を量子化する量子化器(図示せず)と、量子化器の出力をアナログ値に変換するDA変換器(図示せず)とを有している。
積分器は、電流電圧変換部5からの入力信号の積分を行い、量子化器は、積分器の出力電圧つまり積分値と、所定の閾値とを比較することによって、アナログ値をデジタル値に変換する。
ここでは、量子化器は1つの閾値を用いてアナログ値を1ビット(bit)のデジタル値に変換すると仮定する。
DA変換器は、量子化器で変換されたデジタル値を1クロック分だけ遅延させた値である遅延値を、アナログ値に変換して積分器の入力に帰還する。これにより、AD変換部91においては、時間経過に伴う入力信号の変化分(微分値)を積分した値が、デジタル値として量子化器から出力されることになる。
デジタル処理部92は、AD変換部91の出力のうち予め決められた周波数帯域の信号成分を通過させるデジタルフィルタ(デジタルバンドパスフィルタ)としての機能を有している。本実施形態では、人体の存在を検知した際に焦電素子2が発生する電流信号の周波数帯域(ここでは0.1Hz〜1Hz程度)をデジタル処理部92の通過帯域とする。
したがって、変換回路3は、電圧増幅部6が特定の周波数帯域の信号成分を通過させるフィルタ回路として機能することにより、全体として特定の周波数帯域に既定値以上の利得を持ち、焦電素子2から出力される電流信号を電圧信号に変換して出力する。
出力回路4は、デジタル処理部92から入力されるデジタル信号に基づいて、変換回路3の出力値と閾値(正閾値VH1、負閾値VL1)とを比較し、検出信号(ワンショットパルス)を出力する。なお、本実施形態では、変換回路3の出力はデジタル信号であるから、出力回路4はデジタル信号に対応した比較器41を用いて構成されている。
以上述べた本実施形態の赤外線検出装置1では、変換回路3は、アナログ値をデジタル値に変換しシリアル方式で出力するAD変換部91を有している。変換回路3のフィルタ回路は、AD変換部91の出力のうち予め決められた周波数帯域の信号成分を通過させるデジタルフィルタ(デジタル処理部92)である。
換言すれば、変換回路3は、電気信号をデジタル信号に変換して出力するAD変換部91を備える。フィルタ回路は、デジタル信号を演算処理することで、デジタル信号が示す波形から特定の周波数帯域に含まれる周波数を有する成分を抽出し、抽出された成分の波形を示すデジタル信号を生成して出力するデジタルフィルタ(デジタル処理部92)である。
このように、以上説明した本実施形態の赤外線検出装置1によれば、変換回路3がAD変換部91を有するので、出力保持部8は、保持動作を行う際、変換回路3の出力を簡単に保持することが可能である。したがって、この赤外線検出装置1は、変換回路3および出力保持部8の回路構成を簡略化できるという利点がある。
また、本実施形態の赤外線検出装置1は、上述のようにデジタルフィルタ(デジタル処理部92)を用いたことにより、外付け部品が不要となり検知回路10を容易にワンチップ化することができるという利点がある。
これに対して、アナログバンドパスフィルタが用いられている場合、0.1Hz〜1Hz程度の信号を通過させるためには、回路定数の比較的大きなコンデンサ等の素子が必要になる。このような素子はIC(集積回路)に外付けされることになるので、この構成では赤外線検出装置1は検知回路10をワンチップ化することが難しい。
また、本実施形態では、AD変換部91は、アナログ値の積分を行う積分器と、積分器の出力を量子化する量子化器とを有するΔΣ方式のAD変換器である。
このように、本実施形態ではAD変換部91として、小型化が容易なΔΣ方式のAD変換器が用いられているので、赤外線検出装置1の検知回路10をIC化しながらも、比較的高精度のAD変換部91を実現することができる。
なお、AD変換部は、電流信号(焦電素子2からの電流信号)または電圧信号(電流電圧変換部5からの電圧信号)である電気信号の積分を行う積分器と、前記積分器の出力を量子化する量子化器とを有するΔΣ方式のAD変換器であってもよい。
ところで、AD変換部91は、ΔΣ方式のAD変換器からなるので、図11に示すように出力値を所定周期(たとえば20ms)で更新している。要するに、AD変換部91は、所定周期ごとに1つのデータ(デジタル値)を出力することになる。図11では、横軸を時間軸として、AD変換部91の出力するデジタル値D1を、AD変換前のアナログ信号A1と同様の形となるように概念的に表している。
ここで、変換回路3は、保持動作の終了タイミングがデジタル値D1の更新タイミングからずれていると、出力データ(デジタル値)の更新ができない、もしくは異常値出力など出力変動が発生することがある。
そこで、出力保持部8は、フィルタ回路(デジタル処理部92)の動作を再開させるタイミング、つまり保持動作を終了するタイミングを、AD変換部91がデジタル値D1を更新するタイミングに合わせている。
このように、本実施形態では、AD変換部41は、出力値を所定周期で更新している。出力保持部8は、フィルタ回路の動作を再開させるタイミングをAD変換部41が出力値を更新するタイミングに合わせる。
換言すれば、AD変換部41は、所定周期で電気信号(本実施形態では電圧信号)をデジタル信号に変換して出力するように構成される。変換回路3は、AD変換部41がデジタル信号を出力するタイミングに合わせてフィルタ回路の動作を再開させるように構成される。なお、電気信号は、電流信号(焦電素子2からの電流信号)であってもよい。
これにより、変換回路3は、出力保持部8が保持動作を終了したタイミングで、出力データ(デジタル値)が更新されることになるので、保持動作終了時の出力変動の発生を抑制することができる。
なお、本実施形態では、AD変換部91としてΔΣ方式のAD変換器を例示したが、AD変換部91はΔΣ方式以外のAD変換器であってもよい。
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
(実施形態3)
本実施形態の赤外線検出装置1は、図12に示すように、出力回路4が、パルス発生部42の発生するワンショットパルスのパルス幅を変化させるパルス幅可変部43を有する点で、実施形態1の赤外線検出装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については実施形態1と共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態の赤外線検出装置1は、図12に示すように、出力回路4が、パルス発生部42の発生するワンショットパルスのパルス幅を変化させるパルス幅可変部43を有する点で、実施形態1の赤外線検出装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については実施形態1と共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態において、比較器41は、トリガ信号をパルス幅可変部43にも与えるように構成される。
本実施形態において、パルス発生部42は、パルス幅可変部43から受け取った指示値に応じて、ワンショットパルスのパルス幅を決定するように構成される。たとえば、パルス発生部42は、受け取った指示値が小さいほどパルス幅を短くし、受け取った指示値が大きいほどパルス幅を長くする。
パルス幅可変部43は、比較器41からトリガ信号を受け取ると、変換回路3の出力値(電圧信号V0の大きさ)の微分値を求めるように構成される。パルス幅可変部43は、求められた微分値に応じた指示値を選択し、選択された指示値をパルス発生部42に与えるように構成される。
たとえば、パルス幅可変部43は、求められた微分値が大きいほど小さい指示値を選択し、求められた微分値が小さいほど大きい指示値を選択する。
すなわち、パルス幅可変部43は、微分値が大きいほどワンショットパルスのパルス幅が短くなるように、パルス発生部42を制御するように構成される。換言すれば、パルス幅可変部43は、微分値が小さいほどワンショットパルスのパルス幅が長くなるように、パルス発生部42を制御するように構成される。
このように、パルス幅可変部43は、変換回路3の出力値について閾値を超えた時点における微分値を求め、この微分値が大きいほどワンショットパルスのパルス幅が小さくなるように、微分値に応じてワンショットパルスのパルス幅を変化させる。
すなわち、パルス幅可変部43は、変換回路3の出力値の変化率が大きい場合には、ワンショットパルスのパルス幅を小さくすることにより、出力回路4は、変換回路3の出力値の急峻な変化にも対応可能となる。
ここで、パルス幅可変部43は、ワンショットパルスのパルス幅を、実施形態1で説明した上限値と下限値との間の範囲内で変化させる。なお、変換回路3の出力値の微分値は、周知の微分回路を用いて求めることができる。
たとえば、焦電素子2が出力する電流信号の周波数が比較的低く、図13に示すように、変換回路3の出力値の変化率が比較的小さい場合、パルス幅可変部は、ワンショットパルスのパルス幅をデフォルトに設定する。
図13では、横軸を時間軸として、(a)に変換回路3の出力(電圧信号V0)を示し、(b)に検出信号S1を示している。この場合、変換回路3の出力値が閾値(正閾値VH1、負閾値VL1)を超える時間間隔は比較的長い(大きい)ため、出力回路4は、変換回路3の出力値が閾値を超える度に、確実にワンショットパルスを出力している。
一方、焦電素子2が出力する電流信号の周波数が比較的高く、図14に示すように、変換回路3の出力値の変化率が比較的大きい場合、パルス幅がデフォルトのままでは、出力回路4は変換回路3の出力値が閾値を超えてもワンショットパルスを出力できない。
そこで、この場合にはパルス幅可変部43がワンショットパルスのパルス幅をデフォルトよりも小さく(短く)なるように変化させることにより、出力回路4は、変換回路3の出力値が閾値を超える度に、確実にワンショットパルスを出力可能となる。
図14では、横軸を時間軸として、(a)に変換回路3の出力(電圧信号V0)を示し、(b)にパルス幅がデフォルトの場合の検出信号S1を示し、(b)にパルス幅を小さくした場合の検出信号S1を示している。
なお、図13,14の例では、出力回路4は、一定の閾値(正閾値VH1、負閾値VL1)を用いて電圧信号V0を閾値と比較している。
以上述べた本実施形態の赤外線検出装置1では、出力回路4は、変換回路3の出力値について閾値を超えた時点における微分値を求め、当該微分値が大きいほどワンショットパルスのパルス幅が小さくなるように、当該微分値に応じてワンショットパルスのパルス幅を変化させるパルス幅可変部43を有する。
換言すれば、出力回路4は、変換回路3から受け取った電圧信号V0の大きさが所定の閾値を越えると、電圧信号V0の大きさの微分値を求め、微分値が大きいほどワンショットパルスのパルス幅を短くするように構成される。
以上説明した本実施形態の赤外線検出装置1によれば、変換回路3の出力値の変化率が大きい場合でも、パルス幅可変部43がワンショットパルスのパルス幅を小さくすることで、ワンショットパルスのパルス数を正確に管理でき、より確実な人体検知が可能になる。
要するに、たとえば人が焦電素子2の近くを横切った場合などで、周波数が比較的高い電流信号が焦電素子2で発生することがあっても、赤外線検出装置1は変換回路3の出力値が閾値を超える度に確実にワンショットパルスを出力することができる。言い換えれば、赤外線検出装置1の検知回路10は、より広い周波数範囲の入力(電流信号)に対応可能となる。
なお、本実施形態の構成は、実施形態2の構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
(実施形態4)
本実施形態の赤外線検出装置1は、図15に示すように、出力回路4が、出力保持部8の機能(保持動作)を無効にする保持無効部44を有する点で、実施形態1の赤外線検出装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については実施形態1と共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態の赤外線検出装置1は、図15に示すように、出力回路4が、出力保持部8の機能(保持動作)を無効にする保持無効部44を有する点で、実施形態1の赤外線検出装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については実施形態1と共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態において、比較器41は、トリガ信号を保持部無効部44にも与えるように構成される。
保持無効部44は、比較器41からトリガ信号を受け取ると、変換回路3の出力値(電圧信号V0の大きさ)の微分値を求めるように構成される。保持無効部44は、求められた微分値が規定値より大きいか否かを判定するように構成される。保持無効部44は、微分値が既定値より大きいと判定すると、無効信号を出力保持部8に出力するように構成される。
本実施形態において、出力保持部8は、保持無効部44から無効信号を受け取ると、保持動作を終了するように構成される。たとえば、出力保持部8は、比較器41からトリガ信号を受け取ると、スイッチ60,70をオフにして電圧信号を一定に保持する保持動作を実行する。この後に、保持無効部44から無効信号を受け取ると、出力保持部8は、スイッチ60,70をオンにし、これによって保持動作を終了する。
このように、保持無効部44は、変換回路3の出力値について閾値を超えた時点における微分値を求め、この微分値が規定値よりも大きければ出力保持部8の保持動作を無効にする。すなわち、出力保持部8は、変換回路3の出力値の変化率が大きい場合には変換回路3の出力値(電圧信号V0)を一定に保持せず、電圧増幅部6もフィルタ回路として継続的に機能させる。
これにより、出力回路4は変換回路3の出力値の急峻な変化にも対応可能となる。なお、変換回路3の出力値の微分値は、周知の微分回路を用いて求めることができる。
このように保持無効部44が出力保持部8の機能を無効にしたとしても、そもそも、急峻に変化する出力値に対して変換回路3が殆ど感度を有さないので、赤外線検出装置1は、検知回路10の入出力間に生じる容量結合11の影響を抑制することができる。
以上述べた本実施形態の赤外線検出装置1では、出力回路4は、変換回路3の出力値について閾値を超えた時点における微分値を求め、当該微分値が規定値よりも大きければ出力保持部8の機能を無効にする保持無効部44を有する。
換言すれば、出力回路4は、変換回路3から受け取った電圧信号V0の大きさが所定の閾値を越えると、電圧信号V0の大きさの微分値を求め、微分値が規定値を越えるか否かを判定するように構成される。変換回路3は、微分値が規定値を越えたと出力回路4が判定すると、保持動作を終了するように構成される。
以上説明した本実施形態の赤外線検出装置1によれば、変換回路3の出力値の変化率が大きい場合、保持無効部44が出力保持部8の保持動作を無効にするので、変換回路3で焦電素子2からの電流信号に対応する本来の出力(電圧信号)の情報が欠落することはない。
したがって、たとえば人が焦電素子2の近くを横切った場合などで、周波数が比較的高い電流信号が焦電素子2で発生することがあっても、赤外線検出装置1は変換回路3の出力値が閾値を超える度に確実にワンショットパルスを出力することができる。言い換えれば、赤外線検出装置1の検知回路10は、より広い周波数範囲の入力(電流信号)に対応可能となる。
なお、本実施形態の構成は、実施形態2の構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
Claims (11)
- 入力端を通じて検知素子から電流信号を受け取り、受け取った前記電流信号を電圧信号に変換する変換回路と、
前記変換回路から前記電圧信号を受け取り、受け取った前記電圧信号の大きさを所定の閾値と比較し、前記電圧信号の大きさが前記所定の閾値を越えたときに出力端を通じて検出信号を出力する出力回路と、
を備え、
前記検出信号は、ワンショットパルスであり、
前記変換回路は、前記電流信号または前記電圧信号である電気信号を増幅するように構成され、
前記変換回路は、特定の周波数帯域に含まれる周波数を有する前記電気信号の成分に対して既定値以上の利得を有し、前記特定の周波数帯域の上限値より高い周波数を有する前記電気信号の成分に対して既定値未満の利得を有するように構成され、
前記ワンショットパルスのパルス幅は、前記上限値より高い周波数に対応する値である
ことを特徴とする検知回路。 - 入力端を通じて検知素子から電流信号を受け取り、受け取った前記電流信号を電圧信号に変換する変換回路と、
前記変換回路から前記電圧信号を受け取り、受け取った前記電圧信号の大きさを所定の閾値と比較し、前記電圧信号の大きさが前記所定の閾値を越えたときに出力端を通じて検出信号を出力する出力回路と、
を備え、
前記検出信号は、ワンショットパルスであり、
前記変換回路は、前記出力回路に出力される前記電圧信号の大きさが前記所定の閾値を越えると、所定の保持期間の間、前記出力回路に出力される前記電圧信号の大きさを所定値に保持する保持動作を実行するように構成され、
前記保持期間の長さは、前記ワンショットパルスのパルス幅以上である
ことを特徴とする検知回路。 - 前記保持期間は、前記ワンショットパルスのパルス幅よりも長い
ことを特徴とする請求項2記載の検知回路。 - 前記所定値は、前記出力回路に出力される前記電圧信号の大きさが前記所定の閾値を越えたときの前記電圧信号の大きさである
ことを特徴とする請求項2記載の検知回路。 - 前記変換回路は、前記電流信号または前記電圧信号である電気信号のうち特定の周波数帯域に含まれる周波数を有する成分を通過させるフィルタ回路を備え、
前記変換回路は、前記保持期間の間は前記フィルタ回路の動作を停止させることで、前記出力回路に出力される前記電圧信号の大きさを前記所定値に保持するように構成される
ことを特徴とする請求項2記載の検知回路。 - 前記変換回路は、前記電気信号をデジタル信号に変換して出力するAD変換部を備え、
前記フィルタ回路は、前記デジタル信号を演算処理することで、前記デジタル信号が示す波形から前記特定の周波数帯域に含まれる周波数を有する成分を抽出し、前記成分の波形を示すデジタル信号を生成して出力するデジタルフィルタである
ことを特徴とする請求項5記載の検知回路。 - 前記AD変換部は、前記電気信号の積分を行う積分器と、前記積分器の出力を量子化する量子化器とを有するΔΣ方式のAD変換器である
ことを特徴とする請求項6記載の検知回路。 - 前記AD変換部は、所定周期で前記電気信号をデジタル信号に変換して出力するように構成され、
前記変換回路は、前記AD変換部がデジタル信号を出力するタイミングに合わせて前記フィルタ回路の動作を再開させるように構成される
ことを特徴とする請求項7記載の検知回路。 - 前記出力回路は、前記変換回路から受け取った前記電圧信号の大きさが所定の閾値を越えると、前記電圧信号の大きさの微分値を求め、前記微分値が規定値を越えるか否かを判定するように構成され、
前記変換回路は、前記微分値が前記規定値を越えたと前記出力回路が判定すると、前記保持動作を終了するように構成される
ことを特徴とする請求項2記載の検知回路。 - 前記変換回路は、受け取った前記電流信号を電圧信号に変換する電流電圧変換部を備え、
前記電流電圧変換部は、演算増幅器と、前記演算増幅器に接続された帰還用の容量素子とで構成される
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の検知回路。 - 請求項1〜10のいずれか1項に記載の検知回路と、
前記検知回路の前記入力端に接続される検知素子と、
を備え、
前記検知素子は、焦電素子である
ことを特徴とする赤外線検出装置。
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