JP5644667B2 - 赤外遮蔽フィルム、赤外遮蔽フィルムの製造方法、および赤外遮蔽体 - Google Patents
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Description
本発明の赤外遮蔽フィルムは、基材上に、バインダ成分の主成分としてセルロース化合物またはポリビニルアセタール樹脂のいずれか一方と、平均粒径4〜100nmの酸化チタン微粒子と、を含む高屈折率層と、バインダ成分の主成分としてセルロース化合物またはポリビニルアセタール樹脂の他方を含む低屈折率層と、から構成されるユニットを少なくとも1つ有し、前記高屈折率層と前記低屈折率層との屈折率差は0.1以上であることを一つの特徴とする。さらには、本発明の赤外遮蔽フィルムの光学特性として、JIS R3106−1998により測定される可視光領域の透過率が50%以上であり、かつ、波長900nm〜1400nmの領域に反射率50%を超える領域を有することが好ましい。
以下に、本発明の赤外遮蔽フィルムを構成する高屈折率層および低屈折率層について説明する。
以下、本発明の高屈折率層の構成成分について述べる。
本発明の高屈折率層は、平均粒径4〜100nmの酸化チタン微粒子を含む。
本発明で用いられる酸化チタン微粒子としては、pHが1.0〜3.0で、かつチタン粒子のゼータ電位が正である水系の酸化チタンゾルの表面を、疎水化して有機溶剤に分散可能な状態にしたものを用いることが好ましい。
本発明における表面がオイルで被覆された酸化チタン微粒子は、上記で得られた分散液とオイルを一緒にさらに分散することで得られる。酸化チタン微粒子表面は疎水化されているため、オイルと親和性をもち、オイルと混合すると有機媒体中でオイルは該表面に吸着しこれを被覆する。
本発明の高屈折率層は、バインダ成分の主成分として、セルロース化合物またはポリビニルアセタール樹脂の一方を含む。
本発明において、高屈折率層は、バインダ成分の主成分としてセルロース化合物を含みうる。
本発明で用いられるポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールを炭素数1〜10のアルデヒドでアセタール化して得られるポリビニルアセタール樹脂である。
本発明において、高屈折率層は、バインダ成分として、上述したセルロース化合物またはポリビニルアセタール樹脂以外の高分子化合物も含むことができる。
本発明で用いられる反応性官能基を有するポリマーとしては、変性ポリビニルアルコール類(たとえば、末端をカチオン、アニオンまたはノニオン変性をしたもの)、ポリウレタン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、もしくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、もしくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体およびそれらの塩が挙げられる。
本発明の高屈折率層には、必要に応じて各種添加剤を用いることができる。
本発明で用いられる可塑剤としては、たとえば、一塩基性有機酸エステル、多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤や、有機リン酸可塑剤、有機亜リン酸可塑剤等のリン酸可塑剤等が挙げられ、上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
本発明に用いる塗布助剤としては、たとえば、シロキサン系界面活性剤を用いることが出き、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが好ましい。 ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシドまたはそれらの混合物で変性されたポリジメチルシロキサンが挙げられる。これらのポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはポリブチレンオキシドの量や混合比率等を適宜、変化させて得られる。
本発明に係る高屈折率層および低屈折率層に適用可能な各種の添加剤を、以下に列挙する(なお、後述する低屈折率層においても適用可能である)。たとえば、特開昭57−74193号公報、特開昭57−87988号公報、および特開昭62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、特開昭57−87989号公報、特開昭60−72785号公報、特開昭61−146591号公報、特開平1−95091号公報、および特開平3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、特開昭59−52689号公報、特開昭62−280069号公報、特開昭61−242871号公報、および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、防黴剤、帯電防止剤、マット剤、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、滑剤、赤外線吸収剤、色素、顔料等の公知の各種添加剤などが挙げられる。
本発明の低屈折率層は、バインダ成分の主成分として、セルロース化合物またはポリビニルアセタール樹脂の他方(すなわち、高屈折率層のバインダ成分の主成分とは相違する方)を含む。
本発明の赤外遮蔽フィルムに用いられる基材としては、フィルム支持体であることが好ましい。フィルム支持体は、透明であっても不透明であってもよく、種々の樹脂フィルムを用いることができる。その具体例としては、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルムである。ポリエステルフィルム(以降ポリエステルと称す)としては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの2種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
本発明の赤外遮蔽フィルムは、基材上に高屈折率層と低屈折率層から構成されるユニットを積層して形成される。本発明の赤外遮蔽フィルムの製造方法は、高屈折率層と低屈折率層とを交互に塗布、乾燥して積層体を形成することが好ましい。
高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液を調製するための溶媒は、特に制限されないが、水、有機溶媒、またはその混合溶媒が好ましい。
高屈折率層用塗布液中のセルロース化合物またはポリビニルアセタール樹脂の濃度は、1〜10質量%であることが好ましい。また、高屈折率層用塗布液中の酸化チタン微粒子の濃度は、1〜50質量%であることが好ましい。
高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の調製方法は、特に制限されず、たとえば、セルロース化合物またはポリビニルアセタール樹脂、酸化チタン微粒子または金属酸化物粒子および必要に応じて添加されるその他の添加剤を添加し、攪拌混合する方法が挙げられる。この際、セルロース化合物またはポリビニルアセタール樹脂、酸化チタン微粒子または金属酸化物粒子および必要に応じて添加されるその他の添加剤の添加順も特に制限されず、攪拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、攪拌しながら一度に添加し混合してもよい。必要に応じて、さらに溶媒を用いて、適当な粘度に調製される。
スライドホッパー(スライドビード)塗布法により同時重層塗布を行う際の高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の25℃における粘度は、5〜100mPa・sの範囲が好ましく、10〜50mPa・sの範囲がより好ましい。また、スライド型カーテン塗布法により同時重層塗布を行う際の高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の25℃における粘度は、5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、25〜500mPa・sの範囲がより好ましい。また、エクストルージョンコート法により同時重層塗布を行う際の高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の25℃における粘度は、100〜10,000mPa・sがより好ましく、さらに好ましくは3,000〜8,000mPa・sである。
塗布および乾燥方法は、特に制限されないが、基材上に高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の同時重層塗布を行った後、30℃以上で乾燥することが好ましい。乾燥方法としては、温風乾燥、赤外乾燥、マイクロ波乾燥が用いられるが、より好ましい乾燥条件は、膜面温度30〜100℃の範囲の条件である。また単一プロセスでの乾燥よりも多段プロセスの乾燥が好ましく、恒率乾燥部の温度<減率乾燥部の温度にするのがより好ましい。この場合の恒率乾燥部の温度範囲は30〜60℃、減率乾燥部の温度範囲は50〜100℃にするのが好ましい。
本発明の赤外遮蔽フィルムは、幅広い分野に応用することができる。例えば、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備に貼り合せ、熱線反射効果を付与する熱線反射フィルム等の窓貼用フィルムや、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。
<酸化チタン微粒子分散液の調製>
(酸化チタン微粒子分散液1の調製)
20質量%酸化チタン粒子ゾル(体積平均粒径35nm、ルチル型酸化チタン粒子)60gを攪拌しながらプロピオン酸100gを少量ずつ添加した。析出した固形物を酢酸エチルで洗浄後、n−ブタノールとトルエン混合液(1:1)135gを加え超音波分散して分散液を得た。得られた分散液を攪拌しながらn−プロピルアミン50gを少量ずつ添加した。析出した固形物をn−ブタノールで洗浄後、酢酸エチル40gを添加して超音波分散して分散液を得た。得られた分散液は12質量%だった。
上記で得られた分散液1に、さらに、酢酸エチル10g、トリクレジルフォスフェート2gを添加して超音波分散して分散液2を得た。得られた分散液は10質量%だった。
トリクレジルフォスフェートをジオクチルフタレートに変更する以外は酸化チタン微粒子分散液2の調製と同様にして、10質量%の分散液を得た。
(実施例1−1)
[試料1の作製]
(高屈折率層塗布液1の調製)
下記の添加物(1)〜(4)をこの順序で添加、混合して、高屈折率層塗布液1を調製した。以下、メチルエチルケトンを「MEK」と表記した。また、以下の界面活性剤は「BYK−337(シロキサン系界面活性剤、ビックケミー社製)」を意味する。
(1)酸化チタン微粒子分散液1 120g
(2)メチルエチルケトン(MEK) 150g
(3)5.0質量%エチルセルロースフェニルカーバメートMEK溶液 200g
(4)5.0質量%界面活性剤MEK溶液 0.40g
(低屈折率層塗布液1の調製)
下記の添加物(1)〜(4)をこの順序で添加、混合して、低屈折率層塗布液1を調製した。
(1)20質量%コロイダルシリカ 68g
(2)MEK 240g
(3)5.0質量%ポリビニルホルマールMEK溶液 200g
(4)5.0質量%界面活性剤MEK溶液 0.60g
(積層体の形成)
(高屈折率層1の形成)
上記調製した高屈折率層用塗布液1を厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、乾燥膜厚が135nmとなる条件で、ワイヤーバーを用いて塗布し、100℃の温風を吹き付けて乾燥させて、高屈折率層1を形成した。
次いで、低屈折率層用塗布液1を上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの高屈折率層1上に、乾燥膜厚が175nmとなる条件で、ワイヤーバーを用いて塗布し、次いで、100℃の温風を吹き付けて乾燥させて、低屈折率層1を形成した。
上記形成した低屈折率層1上に、同様にして高屈折率層1/低屈折率層1から構成されるユニットをさらに5ユニット積層し、それぞれ6層の高屈折率層および低屈折率層(合計12層)から構成された赤外遮蔽フィルムである試料1を作製した。なお、試料1のフィルム膜厚は51.9μmであった。
[試料2〜7の作製]
上記試料1の作製において、高屈折率層、低屈折率層のバインダを表1記載のものに変更する以外は同様にして、試料2〜7を作製した。
[試料8の作製]
上記試料7の作製において、高屈折率層、低屈折率層のバインダをそれぞれ入れ替える以外は同様にして、試料8を作製した。
[試料9、10の作製]
上記試料8の作製において、酸化チタン微粒子分散液1を、酸化チタン微粒子分散液2、3に変更する以外は同様にして、試料9,10を作製した。
[試料11、12の作製]
上記試料8、9の作製において、高屈折率層用塗布液と低屈折率層用塗布液をエクストルージョンコート法にて交互に同時に6層ずつ押出し塗布、乾燥を行い、試料11,12を作製した。
[試料13の作製]
上記試料3の作製において、低屈折率層のバインダを高屈折率層と同じセルロースアセテートブチレートにする以外は同様にして、試料13を作製した。
[試料14の作製]
特開平6−11608号の実施例1に従って高屈折率層と低屈折率層を交互に積層して、試料14を作成した。
・n=1.527(20℃)
・Tg=106℃
低屈折率ポリマー層:ポリヒドロキシエチルメタクリレート
・n=1.512(20℃)
・Tg=55℃
これを、0.15μm(900nm反射)、0.165μm(1000nm反射)、0.182μm(1100nm反射)、0.199μm(1200nm反射)、0.215μm(1300nm反射)、0.232μm(1400nm反射)、0.248μm(1500nm反射)の各膜厚で、各々50層ずつ高屈折率ポリマー層と低屈折率ポリマー層を交互に積層して試料14を作製した。
[試料15の作製]
特開2009−86659号の実施例1および実施例2に従ってPETベース上に高屈折率層と低屈折率層をそれぞれ6層ずつ交互に積層して、試料15を作成した。
無機粒子としてルチル型酸化チタン(石原産業株式会社製「TTO−55A」、粒径30〜50nm、水酸化アルミニウム表面処理品、屈折率2.6)を109重量部、分散剤としてポリエチレンイミン系ブロックポリマーを11質量部、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、和光純薬株式会社製)180質量部を、直径0.5mmのジルコニアビーズ141質量部を用いてビーズミル分散機で24分間分散させた後、直径0.1mmのジルコニアビーズに切り替えてビーズミル分散機で147分間分散させることにより、分散液Aを得た。
バインダ樹脂(バインダ成分)として4,4′−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン(硬化後の屈折率1.65)を50質量%、重合開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドを0.25質量%含有するPGMEA溶液を調製し、溶液Aとした。
分散液Aと溶液Aの質量混合比1:7の混合液を調製し、溶液Bとした。
溶液BとPGMEAの重量混合比1:2の混合液を調製し、溶液Cとした。
溶液Cを厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に2mL滴下し、1000rpm、30秒の条件でスピンコーター(ミカサ株式会社製1H−D7)により塗布した後、120℃で10分間加熱した。その後、出力184W/cmの無電極水銀ランプ(フュージョンUVシステムズ社製)を用いて積算光量2.8J/cm2の紫外線を照射することにより高屈折率層Aを得た。膜厚は134nm程度であった。
上記作製した各赤外遮蔽フィルムについて、下記の特性値の測定および性能評価を行った。
基材上に屈折率を測定する対象層(高屈折率層、低屈折率層)をそれぞれ単層で塗布したサンプルを作製し、下記の方法に従って、各高屈折率層および低屈折率層の屈折率を求めた。
以下の温度サイクルを経時代用条件とした。
・時間:各上下限10分以上、1サイクル3時間
・温度変化率:上昇・降下ともに100℃/hr.
・サイクル数:90
・風速:2m/s
(可視光透過率および赤外透過率の測定)
上記作製した各赤外遮蔽フィルムについて、上記経時劣化条件で処理後に、屈折率測定で使用した分光光度計(積分球使用、日立製作所社製、U−4000型)を用い、各赤外遮蔽フィルムの300nm〜2000nmの領域における透過率を測定した。可視光透過率は550nmにおける透過率の値を、赤外透過率は1200nmにおける透過率の値を用いた。
上記作製した各赤外遮蔽フィルムについて、上記経時劣化条件で処理後に、JIS K5600−5−1に準拠した屈曲試験法に基づき、屈曲試験機タイプ1(井元製作所社製、型式IMC−AOF2、マンドレル径φ20mm)を用いて、1000回の屈曲試験を行った後、赤外遮蔽フィルム表面を目視観察し、下記の基準に従って柔軟性を評価した。
○:赤外遮蔽フィルム表面に、わずかに折り曲げ跡が観察される
△:赤外遮蔽フィルム表面に、微小なひび割れが僅かに観察される
×:赤外遮蔽フィルム表面に、明らかなひび割れが多数発生している
(透明性の評価)
作製した各赤外遮蔽フィルムについて、メタルハライドランプ式耐候性試験機(スガ試験機製 M6T)により、放射照度1kW/m2の光を100時間照射し、照射後における着色状態を目視観察し、下記の基準に従って評価した
◎:着色が全く認められない
○:ほぼ着色が認められない
△:わずかに着色が認められる
×:明らかな着色が認められる
以上により得られた測定結果、評価結果を、表1に示す。
[赤外反射体1〜12の作製]
実施例1で作製した試料1〜12の赤外遮蔽フィルムを用いて赤外遮蔽体1〜12を作製した。厚さ5mm、20cm×20cmの透明アクリル樹脂板上に、試料1〜12の赤外遮蔽フィルムをそれぞれアクリル接着剤で接着して、赤外遮蔽体1〜12を作製した。
上記作製した本発明の赤外遮蔽体1〜12は、赤外遮蔽体のサイズが大きいにもかかわらず、容易に利用可能であり、また、本発明の赤外遮蔽フィルムを利用することで、優れた赤外遮蔽性を確認することができた。
Claims (7)
- 基材上に、
バインダ成分の主成分としてセルロース化合物またはポリビニルアセタール樹脂のいずれか一方と、平均粒径4〜100nmの酸化チタン微粒子と、を含む高屈折率層と、
バインダ成分の主成分としてセルロース化合物またはポリビニルアセタール樹脂の他方を含む低屈折率層と、
から構成されるユニットを少なくとも1つ有し、
前記高屈折率層と前記低屈折率層との屈折率差は0.1以上である赤外遮蔽フィルム。 - 前記セルロース化合物が、アセチルC3〜6アシルセルロースである、請求項1に記載の赤外遮蔽フィルム。
- 前記酸化チタン微粒子の表面がオイルで被覆されてなる、請求項1または2に記載の赤外遮蔽フィルム。
- バインダ成分の主成分としてセルロース化合物またはポリビニルアセタール樹脂のいずれか一方と、平均粒径4〜100nmの酸化チタン微粒子と、溶媒と、を含む高屈折率層用塗布液と、
バインダ成分の主成分としてセルロース化合物またはポリビニルアセタール樹脂の他方と、溶媒と、を含む低屈折率層用塗布液と、
を基材に塗布する工程と、
塗布液が塗布された前記基材を乾燥する工程と、
を含む赤外遮蔽フィルムの製造方法。 - 前記セルロース化合物が、アセチルC3〜6アシルセルロースである、請求項4に記載の赤外遮蔽フィルムの製造方法。
- 前記高屈折層用塗布液および前記低屈折層用塗布液を、同時重層塗布により基材に塗布する、請求項4または5に記載の赤外遮蔽フィルムの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の赤外遮蔽フィルム、または請求項4〜6のいずれか1項に記載の製造方法により得られる赤外遮蔽フィルムを、基体の少なくとも一方の面に設けた、赤外遮蔽体。
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