本発明の機能性シートは、少なくとも電磁波遮蔽性を有する機能性シートであって、隣接する層との剥離性が相違する第1離型フィルムと第2離型フィルムとの間に、少なくとも前記第1離型フィルムに隣接してハードコート層と、電磁波遮蔽層を含む1つ又は複数の機能性層と、粘着層とがこの順に挟持されていることを特徴とする。この特徴は、各請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記第1離型フィルムを隣接する前記機能性層から剥離する際に要する剥離力をPf1とし、かつ前記第2離型フィルムを前記粘着層から剥離する際に要する剥離力をPf2としたとき、Pf2<Pf1であることが、高温高湿下での保管においてもむら、欠損、クラックの発生がない機能性層を得る観点から、好ましい。また、第2離型フィルムよりも剥離力の強い第1離型フィルムを貼合時の支持体として活用しながら、機能性層を当該粘着層を介して対象の物品上に貼合することができるため、シワ、部分的な剥離やクラックの発生がなく機能性層の均一な貼合が可能である。
前記剥離力(Pf1)は、2000mN/50mm以上であり、かつ前記剥離力(Pf2)は100mN/50mm以下であることが好ましい剥離力の範囲である。
また、前記電磁波遮蔽層が、紫外線又は赤外線を遮蔽する層であり、電磁波遮蔽材又は電磁波遮蔽性微粒子とバインダー樹脂とを含有することが、紫外線遮蔽性や赤外線遮蔽性を機能性シートに均一に付与することができる観点から、好ましい実施態様である。
また、前記電磁波遮蔽層が、赤外線吸収層と赤外線反射層であることが、物品上に貼合形成される電磁波遮蔽層の赤外線遮蔽性を向上する観点から、好ましい。
また、前記粘着層の層厚は、0.5〜10.0μmの範囲内であることが、機能性シートを物品に貼合する際に、むら、欠損、クラックの発生がない貼合を可能にする観点から、好ましい態様である。
さらに、前記第1離型フィルムが、前記機能性層と接する側の表面に下地層を有することが、第1離型フィルム表面の凹凸をならし、均一な機能性層を形成する観点から、好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪本発明の機能性シートの概要≫
本発明の機能性シートは、少なくとも電磁波遮蔽性を有する機能性シートであって、隣接する層との剥離性が相違する第1離型フィルムと第2離型フィルムとの間に、少なくとも前記第1離型フィルムに隣接してハードコート層と、電磁波遮蔽層を含む1つ又は複数の機能性層と、粘着層とがこの順に挟持されていることを特徴とする。
本発明でいう「電磁波遮蔽層」とは、電磁波の反射・吸収・多重反射によって電磁波を減衰することが可能である層をいう。すなわち、当該遮蔽層を通過する電磁波を反射損失、吸収損失、又は多重反射損失によって減衰することが可能な層である。
本発明では電磁波遮蔽層が、紫外線吸収層、紫外線反射層、赤外線吸収層及び赤外線反射層であることが好ましい態様である。
本発明の機能性シートは、前記第1離型フィルムを隣接する前記機能性層から剥離する際に要する剥離力をPf1とし、かつ前記第2離型フィルムを前記粘着層から剥離する際に要する剥離力をPf2としたとき、Pf2<Pf1であることが好ましい。
本発明に係る剥離力の測定は、粘着テープ・シートの性能評価(試験)方法として、JIS Z0237:2009に規定されている180°剥離法又は90°剥離法を用いることができる。
<測定法の一例>
試料の前処理は、特に指定がない限り、温度は23±1℃、相対湿度は(50±5)%の標準状態の雰囲気中に24時間以上放置する。
試料の幅は50mmに調整し、長さは200mm とする。
試験装置は、引張試験機を用い、JIS B 7721に規定する引張試験機又はこれと同等の引張試験機を用いる。
第1剥離フィルム又は第2剥離フィルムの端部を、一部分機能性層又は粘着層から剥離して引張試験機に挟み込み、引っ張り速度300m/minで剥離した端部から180°方向に向かって引き剥がすのに要する力を測定する。単位は(mN/50mm)である。
本発明では、23℃・55%RH環境下の測定において、第1離型フィルムと隣接する機能性層との剥離力(Pf1)が2000mN/50mm以上であることが好ましく、2000〜5000mN/50mmの範囲がより好ましい。
同時に第2離型フィルムと粘着層との剥離力(Pf2)が100mN/50mm以下であることが好ましく、30〜100mN/50mmの範囲であることがより好ましい。
前記剥離力(Pf1)が2000mN/50mm以上であり、かつ前記剥離力(Pf2)が100mN/50mm以下であれば、高温高湿下に機能性シートを保管した際に、保管中のフィルムの伸縮による応力を上下で分散することが可能であり、機能性層のむら、欠損、クラックの発生を抑制することができ、また、機能性シートを物品に貼合する際に、機能性層のむら、欠損、クラックの発生がない貼合を可能にすることができる。
本発明に係る第1剥離フィルム及び第2剥離フィルムの隣接する層との剥離力の調整は、以下の手段によって行うことが好ましい。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
a:第1剥離フィルム及び第2剥離フィルム上に機能性層又は粘着層を形成した後のエージング条件(温度、湿度、時間)をそれぞれ調整する。
b:第1剥離フィルム及び第2剥離フィルムの機能性層又は粘着層を形成する表面側を表面処理する。表面処理は、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、化成処理等。
c:第1剥離フィルム上に形成する下地層の材料を適宜選択する。
d:粘着層の材料を適宜選択する。
<本発明の機能性シートの構成>
図1に、本発明の機能性シートに係る構成の断面図を(A)〜(E)に示す。(A)〜(E)は一例であって、本発明はこれに限定されるものではない。
図1(A)は本発明の機能性シートの基本構成であり、本発明の機能性シート10は、第1離型フィルム1に隣接して機能性層2として電磁波遮蔽層3を有し、それに隣接して粘着層4及び第2離型フィルム5で構成されている。本発明に係る電磁波遮蔽層3は、後述する紫外線吸収層や赤外線吸収層であることが好ましい。
機能性層2は、電磁波遮蔽層3を含む一つ又は複数の層で構成されており、当該複数の層としては、一例としてハードコート層7((図1(B)、(D))や電磁波遮蔽層3が赤外線吸収層3Aである場合は、電磁波遮蔽層の一態様である赤外線反射層8(図1(C)、(D))を挙げることができる。
また、粘着層には粘着力の調整や剥離力の調整のための樹脂コート層9(図1(E))を設けることもできる。
以下、本発明の構成要素について詳細に説明する。
〔1〕第1離型フィルム及び第2離型フィルム
本発明の機能性シートに適用可能な第1離型フィルム及び第2離型フィルムとしては、透明樹脂フィルムであることが作業上の観点から好ましい。本発明でいう「透明」とは、JIS S3107(2013)に準拠する方法で測定される可視光透過率としては、50%以上であることをいい、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。
本発明に係る第1離型フィルムの厚さは、20〜200μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは25〜100μmの範囲内であり、更に好ましくは30〜70μmでの範囲内である。透明樹脂フィルムの厚さが20μm以上であれば、建物の塗装面や、乗り物等の外装面、内装面等に機能性シートを貼合する際の取扱いにおいてシワ等が発生しにくく、また厚さが200μm以下であれば、当該建物の塗装面や、乗り物等の外装面、内装面と貼り合わせる際の曲面への追従性がよくなる。第2離型フィルムの厚さは第1離型フィルムと同様な厚さの範囲であればよく、25〜100μmの範囲内であることが、保護性と軽量化の観点から好ましい。
本発明の機能性シートに適用可能な第1離型フィルムとしては、透明であれば特に制限されることはないが、種々の樹脂フィルムを用いることが好ましく、例えば、ポリオレフィンフィルム(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニル、トリアセチルセルロースフィルム等を用いることができ、好ましくはポリオレフィンフィルム及びポリエステルフィルムであり、特に好ましくはポリエステルフィルムである。
第2離型フィルムとしては同様に上記の樹脂フィルムを用いることができるが、特にポリオレフィンフィルムが軽量で強度もあるために好ましい。
本発明に係る第1離型フィルムは、二軸配向ポリエステルフィルムであることが好ましいが、未延伸又は少なくとも一方に延伸されたポリエステルフィルムを用いることもできる。強度向上、熱膨張抑制の点から延伸フィルムが好ましい。特に、本発明の機能性シートを用いた赤外線遮蔽性シートを自動車のフロントガラスに用いる際には、曲面追従性と強度を両立する観点から延伸フィルムがより好ましい。
本発明に係る第1離型フィルムは、貼合時の機能性シートのシワの生成や電磁波遮蔽層のクラックを防止する観点から、温度150℃において、熱収縮率が0.1〜10.0%の範囲内であることが好ましく、1.5〜5.0%の範囲内であることがより好ましい。
第1離型フィルム及び第2離型フィルムである透明樹脂フィルムは、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押出機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の透明樹脂フィルムを製造することができる。また、未延伸の透明樹脂フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、透明樹脂フィルムの流れ(縦軸)方向、又は透明樹脂フィルムの流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸透明樹脂フィルムを製造することができる。この場合の延伸倍率は、透明樹脂フィルムの原料となる樹脂に合わせて適宜選択することができるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
また、透明樹脂フィルムは、寸法安定性の点で弛緩処理、オフライン熱処理を行ってもよい。弛緩処理は前記ポリエステルフィルムの延伸製膜工程中の熱固定した後、横延伸のテンター内、又はテンターを出た後の巻き取りまでの工程で行われることが好ましい。弛緩処理は処理温度が80〜200℃で行われることが好ましく、より好ましくは処理温度が100〜180℃である。また長手方向、幅手方向ともに、弛緩率が0.1〜10%の範囲で行われることが好ましい。弛緩処理された基材は、オフライン熱処理を施すことにより耐熱性が向上する。
本発明の機能性シートは、第1剥離フィルム上に下地層(平滑層、プライマー層、易接着層ともいう。)を有していることも好ましい。下地層は突起等が存在するフィルムの粗面を平坦化するために、又は、フィルムに存在する突起により、機能性層に生じた凹凸やピンホールを埋めて平坦化するために設けられる。このような下地層は、いずれの材料で形成されてもよいが、炭素含有ポリマーを含むことが好ましく、炭素含有ポリマーから構成されることがより好ましい。炭素含有ポリマーとしては、ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンイミンビニリデン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。
また、下地層は、好ましくは硬化性樹脂を含む。硬化性樹脂としては特に制限されず、活性エネルギー線硬化性材料等に対して紫外線等の活性エネルギー線を照射し硬化させて得られる活性エネルギー線硬化性樹脂や、熱硬化性材料を加熱することにより硬化して得られる熱硬化性樹脂等が挙げられる。硬化性樹脂は、単独でも、又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
下地層の形成に用いられる活性エネルギー線硬化性材料として、具体的には、JSR株式会社製のUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR(登録商標)シリーズ(シリカ微粒子に重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させてなる化合物)を用いることができる。また、熱硬化性材料として、具体的には、クラリアント社製のトゥットプロムシリーズ(有機ポリシラザン)、セラミックコート株式会社製のSP COAT耐熱クリアー塗料、ADEKA社製のナノハイブリッドシリコーン、DIC株式会社製のユニディック(登録商標)V−8000シリーズ、EPICLON(登録商標) EXA−4710(超高耐熱性エポキシ樹脂)、信越化学工業株式会社製のシリコーン樹脂 X−12−2400(商品名)、日東紡績株式会社製の無機・有機ナノコンポジット材料SSGコート、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミドアミン−エピクロルヒドリン樹脂等が挙げられる。
下地層の平滑性は、JIS B 0601:2001で規定される表面粗さで表現される値で、最大断面高さRt(p)が、10〜30nmの範囲内であることが好ましい。
表面粗さは、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)で、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が数十μmの区間内を多数回測定し、微細な凹凸の振幅に関する粗さである。
下地層には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記の下地層は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法によりコーティングすることができる。上記の下地層の塗布量としては、0.01〜2g/m2(乾燥状態)程度が好ましい。
下地層の厚さとしては、特に制限されないが、0.1〜10μmの範囲内が好ましい。
〔2〕機能性層
本発明に係る機能性層は、電磁波遮蔽層を必須構成とする一つ又は複数の層をいう。
電磁波遮蔽層は、電磁波遮蔽材又は電磁波遮蔽性微粒子とバインダー樹脂とを含有し、紫外線又は赤外線を吸収又は反射して遮蔽する機能を有する層であることが好ましく、特に赤外線を吸収して遮蔽する赤外線吸収層であることが好ましい。
本発明に係る電磁波遮蔽性層は、透明であることが好ましく、透明であれば前記自動車の黒色のダッシュボードに本発明に係る電磁波遮蔽性層を貼合した場合、黒色であることを阻害せずに、ダッシュボードが熱線を吸収することを抑制することができる。
「透明」とは、電磁波遮蔽性層が、JIS S3107(2013)に準拠する方法で測定される可視光透過率として、50%以上であることをいい、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。
また、電磁波遮蔽層以外の機能性層としては、ハードコート層、樹脂コート層、導電性層、帯電防止層、ガスバリアー層、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、耐摩耗性層、保護層、分離層、印刷層、発光層、ホログラム層等が挙げられ、中でもハードコート層が電磁波遮蔽層の表面側に配置されることが、機能性層の保護層として機能する観点から、好ましい。
〔2.1〕紫外線遮蔽層
本発明に係る紫外線遮蔽層(紫外線吸収層ともいう。)は、後述する赤外線遮蔽層に用いることのできるバインダー樹脂に、電磁波遮蔽材として、紫外線吸収剤を分散又は溶解して含有する層であることが好ましく、光波長200〜350nmの範囲の光を吸収して遮蔽する機能を有する機能性層である。
紫外線吸収剤としては、無機系紫外線吸収剤として、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄等が挙げられる。また、有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、及びトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
本発明では長期間における紫外線遮蔽効果を得る観点から、 ブリードアウトすることがなく、 成型時に昇華することがない無機系紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
無機系紫外線吸収剤として、酸化チタン又は酸化亜鉛を用いることが好ましく、平均粒径が5〜50nmの範囲内である微粒子酸化チタン又は微粒子酸化亜鉛を用いることが、機能性シートに高い透過率を付与する観点から好ましい。
前記微粒子酸化チタン又は微粒子酸化亜鉛としては、市販品の例として、石原産業(株)製微粒子酸化チタンTTOシリーズ(TTO−51シリーズ、TTO−55シリーズ、TTO−Fシリーズ、TTO−W−5等)、及びシーアイ化成(株)製超微粒子ZnO含有紫外線カットマスターペレット等が挙げられる。
有機系紫外線吸収剤であるベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサルチレート、2−4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。ヒンダードアミン系紫外線吸収剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線遮蔽層の全質量に対し、0.1〜20質量%の範囲内、好ましくは1〜15質量%の範囲内、より好ましくは3〜10質量%の範囲内である。使用量をこれらの範囲内にすることで、他の構成層との密着性を良好に保ちつつ、耐候性を向上させることが可能となる。
紫外線遮蔽層の形成に用いる湿式塗布方式としては、特に制限されず、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、スライド型カーテン塗布法、又は米国特許第2761419号明細書、米国特許第2761791号明細書などに記載のスライドホッパー塗布法、エクストルージョンコート法などを適宜用いることができる。
紫外線遮蔽層の乾燥後の層厚は、後述する赤外線遮蔽層の層厚と同程度にすることが好ましい。
〔2.2〕赤外線遮蔽層
本発明に係る赤外線遮蔽層は、主に光波長700〜2500nmの範囲の近赤外線の光を吸収して遮蔽する機能を有する機能性層であることが好ましい。
当該赤外線遮蔽層は、赤外線吸収性微粒子及びバインダー樹脂を含む赤外線吸収層であることが好ましく、前記赤外線吸収性微粒子しては、ITO(スズドープ酸化インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、及びタングステン酸化物等を用いることが好ましく、タングステン酸化物である赤外線吸収性微粒子を用いることが、赤外線遮蔽性、透明性の観点からより好ましい。
また、本発明に係る赤外線遮蔽層は可視光線透過率が70%以上、かつ赤外線遮蔽率が70%以上のものが好ましい。
[赤外線吸収性微粒子]
赤外線吸収性微粒子とは、近赤外線〜赤外線波長域に吸収を持つ、光学吸収特性を有する化合物粒子であり、一般にITO(スズドープ酸化インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)等の金属酸化物粒子がよく知られている。
本発明に用いられる赤外線吸収性微粒子としては、可視光線透過率、近赤外線吸収性、樹脂中への分散適性等の観点から、金属酸化物粒子であることが好ましく、例えば、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化タングステン及び酸化インジウム等が挙げられる。熱線吸収粒子の具体例としては、アルミニウムドープ酸化スズ粒子、インジウムドープ酸化スズ粒子、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)粒子、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)粒子、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)粒子、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)粒子、ニオブドープ酸化チタン粒子、スズドープ酸化インジウム(ITO)粒子、スズドープ酸化亜鉛粒子、ケイ素ドープ酸化亜鉛粒子、一般式MxWyOz(ただし、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iの内から選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2<z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物の微粒子、及び一般式XB6(ただし、元素Xは、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Lu、Sr又はCaから選択される少なくとも1種以上である)で表される6ホウ化物の微粒子を含有することが好ましい。
中でも、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、セシウム含有酸化タングステン(Cs0.33WO3)等が好ましい。これらは単独でも又は2種以上組み合わせても用いることができる。
また、有機物の赤外線吸収材料を併せて用いることもでき、ポリメチン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、金属錯体系、アミニウム系、イモニウム系、ジイモニウム系、アンスラキノン系、ジチオール金属錯体系、ナフトキノン系、インドールフェノール系、アゾ系、トリアリルメタン系の化合物などが挙げられる。金属錯体系化合物、アミニウム系化合物(アミニウム誘導体)、フタロシアニン系化合物(フタロシアニン誘導体)、ナフタロシアニン系化合物(ナフタロシアニン誘導体)、ジイモニウム系化合物(ジイモニウム誘導体)、スクワリウム系化合物(スクワリウム誘導体)等が特に好ましく用いられる。
機能性層としての赤外線遮蔽層は、赤外線吸収機能を有する金属酸化物及び金属の少なくとも1種とバインダー樹脂からなる透明性の層であることが好ましい。赤外線吸収機能を有する素材としては、前述のITOやATO、アルミニウムドープ酸化亜鉛や酸化亜鉛/銀/酸化亜鉛の複合系等が知られている。一般にITOやATOをはじめとする酸化物半導体物質は、ある波長より長い光を反射するという性質を持っている。このある波長はプラズマ振動数と呼ばれ、以下のように説明される。すなわち、自由電子が存在する導電体の場合、電気的に中性を保っている物質が、入射光により電荷密度の変化をもたらし中性に戻ろうとするとき振動を生じ、これにより低い振動数、つまり長波長側の光は物質に侵入できず反射され、短波長側の光のみを透過する。しかしながら、従来のITOやATOの粉末では、このプラズマ振動を起こす波長が2μm程度であり、この領域では可視域に近い近赤外領域の光を反射できず、反射率の立ち上がり(カットオフ波長)をもっと可視域に近づける必要がある。特開平7―70363号公報には、バルク自体の電子密度の向上や粒子表面の安定化をおこない、カットオフ波長が従来のITO粉末に比べ1μm以上可視域側にシフトした(すなわちカットオフ波長が1μm以下の)ITO粉末を有機樹脂中に分散させた可視域の透過率が80%以上でかつ近赤外線を効率よくカットできる塗膜の例が記載されているが、本発明においても、このITO粉末は好ましく使用される。本発明において用いられるITOやATO粉末は平均1次粒子径が200nm以下のもの、さらにカットオフ波長が1000nm以下のものが赤外線吸収機能、透明性の点から好ましい。
前記ITOやATO粉末等の分散用のバインダー樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、又は紫外線硬化ハードコート剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。もとより、これら以外の樹脂も使用可能である。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてバインダー樹脂に添加剤等を含ませることができる。例えば、分散剤、可塑剤、紫外線安定剤、界面活性剤、酸化防止剤、難燃剤、防腐剤、抗酸化剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、光開始剤、光増感剤、熱重合開始剤、増粘剤、カップリング剤、帯電防止剤、レベリング剤、接着調整剤、改質剤又は任意の色調を与えるための染料や顔料等の添加剤を含ませてもよい。これらを1種で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
赤外線遮蔽層中のITOやATO粉末の含有率又はITOやATO粉末とバインダー樹脂の比率は、バインダー樹脂に対してこれら金属酸化物の割合が多いほど熱線カットオフ効果が高くなることから、ITOやATO粉末の含有率は50〜90質量%、又は60〜80質量%の範囲が好ましく、ITOやATO粉末とバインダー樹脂の比率は質量比にて1/1〜9/1、又は6/4〜8/2の範囲が好ましい。
本発明では、前記ITOやATO以外に、LaB6(六ホウ化ランタン)、CWO(セシウム含有複合タングステン酸化物)を使用することが好ましく、中でも赤外線領域、特に波長1000nm以上の光を大きく吸収する、タングステン酸化物又は複合タングステン酸化物の少なくとも一方を用いることが好ましい。
タングステン酸化物において、三酸化タングステン中には有効な自由電子が存在しないため、三酸化タングステンは近赤外線領域の吸収反射特性が少なく、赤外線吸収性微粒子としては有効ではない。一方、酸素欠損を持つ三酸化タングステンや、三酸化タングステンにNa等の陽性元素を添加したいわゆるタングステンブロンズは、導電性材料で自由電子を持つ材料であることが知られており、これら材料の単結晶等の分析により赤外線領域の光に対する自由電子の応答が示唆されている。そして、タングステンと酸素との化合物における組成範囲の特定部分において、赤外線吸収性微粒子として特に有効な範囲があり、可視光領域においては透明で、近赤外線領域においては吸収を持つタングステン酸化物粒子、複合タングステン酸化物粒子が見出され、当該タングステン酸化物粒子又は/及び複合タングステン酸化物粒子を赤外線吸収性微粒子として用いることができる。
前記タングステン酸化物は、一般式WyOz(ただし、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表記され、前記複合タングステン酸化物は、一般式MxWyOz(ただし、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iの内から選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3))で表記される化合物を挙げることができる。
前記複合タングステン酸化物は、一般式MxWyOzで表され、六方晶、正方晶、立方晶の結晶構造を有する場合に耐久性に優れることから、該六方晶、正方晶、立方晶から選ばれる一つ以上の結晶構造を含むことが好ましい。これらの中で、六方晶が可視光領域の吸収が最も少ないため、特に好ましい。例えば、六方晶の結晶構造を持つ複合酸化タングステンとしては、好ましいM元素として、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snの各元素から選択される1種類以上の元素を含む複合タングステン酸化物が挙げられる。本発明においては、複合酸化タングステンとして、セシウム含有複合タングステン酸化物が、赤外線遮蔽特性及び耐候性などの観点から、好適である。
元素Mの添加量を示すx/yの値について説明する。
x/yの値が0.001より大きければ、十分な量の自由電子が生成され目的とする赤外線遮蔽効果を得ることができる。そして、元素Mの添加量が多いほど、自由電子の供給量が増加し、赤外線遮蔽効率も上昇するが、x/yの値が1程度で当該効果も飽和する。また、x/yの値が1より小さければ、当該赤外線吸収性微粒子中に不純物相が生成されるのを回避できるので好ましい。
次に、酸素量の制御を示すz/yの値について説明する。
z/yの値については、MxWyOzで表記される赤外線吸収性微粒子においても、上述したWyOzで表記される赤外線吸収性微粒子と同様の機構が働くことに加え、z/y=3.0においても、上述した元素Mの添加量による自由電子の供給があるため、2.2≦z/y≦3.0が好ましく、さらに好ましくは2.45≦z/y≦3.0である。
上記赤外線吸収性微粒子の粒子径は、その使用目的によって各々選定することができる。なお、平均粒径の測定は、透過型電子顕微鏡により撮像し、無作為に、例えば50個の粒子を抽出して該粒径を測定し、これを平均したものである。また、粒子の形状が球形でない場合には、長径を測定して算出したものと定義する。
まず、透明性を保持した応用に使用する場合は800nm以下の粒子径を有していることが好ましい。これは、800nmよりも小さい粒子は散乱により光を完全に遮蔽することが無く、可視光線領域の視認性を保持し、同時に効率良く透明性を保持することができるからである。特に、可視光領域の透明性を重視する場合は、さらに粒子による散乱を考慮することが好ましい。この粒子による散乱の低減を重視するとき、粒子径は200nm以下、好ましくは100nm以下がよい。この理由は、粒子径が小さければ小さい程、幾何学散乱若しくはミー散乱に起因する波長400〜780nmの可視光線領域の光の散乱が低減される結果、粒子による光の散乱によって赤外線遮蔽層が曇りガラスのようになり、鮮明な透明性が得られなくなる現象を回避できるからである。すなわち、粒子径が200nm以下になると、上記幾何学散乱若しくはミー散乱が低減し、レイリー散乱領域になる。レイリー散乱領域では、散乱光は粒子径の6乗に反比例して低減するため、粒子径の減少に伴い散乱が低減し透明性が向上するからである。さらに、粒子径が100nm以下になると、散乱光は非常に少なくなり好ましい。光の散乱を回避する観点からは、粒子径が小さい方が好ましく、粒子径が1nm以上あれば工業的な製造は容易である。
上記粒子径を800nm以下と選択することにより、赤外線吸収性微粒子を樹脂等の媒体中に分散させた赤外線遮蔽層のヘイズ値は、可視光透過率85%以下においてヘイズ30%以下とすることができる。ここで、ヘイズが30%よりも大きい値であると曇りガラスのようになり、鮮明な透明性が得られない。
本発明においては、赤外線吸収性微粒子として、前記タングステン酸化物又は前記複合タングステン酸化物を1種で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。加えて、酸化チタン、酸化セリウム、酸化インジウム、硫化亜鉛、酸化亜鉛、ATO及びITOなどの光学吸収特性を有する化合物粒子と組み合わせて用いてもよい。
耐候性や分散性の観点から、赤外線吸収性微粒子の表面全体又は一部が、Si、Ti、Zr、Alの1種類以上の金属を含有する酸化物で被覆されていることが好ましい。被覆方法は特に限定されないが、当該赤外線吸収性微粒子を分散した溶液中へ、上記金属のアルコキシドを添加することで、赤外線吸収性微粒子の表面を被覆することが可能である。
また、赤外線遮蔽層の赤外線遮蔽特性の継時的な低下を抑制し、耐候性を向上させる目的で金属塩を添加することも好ましい。
本発明に適用される金属塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ニッケル、マンガン、セリウム、亜鉛、銅、コバルト、ジルコニウム、鉄、スズ及びアルミニウムから選択される金属元素からなる金属有機塩又は金属無機塩であり、これらを1種で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明において、赤外線遮蔽層に含まれる金属塩の含有量は、相溶性、分散性、ヘイズの観点から、赤外線吸収性微粒子100質量部に対して、5〜60質量部の範囲内が好ましく、さらに好ましくは10〜40質量部の範囲内である。5質量部以上であれば、十分に赤外線遮蔽特性の継時的な低下を抑制でき、60質量部以内では可塑性樹脂、又は溶剤との相溶性に優れ、分散性の向上及びヘイズの低下が生じる。
本発明に係る赤外線吸収性微粒子を分散液とする場合、溶剤は特に限定されることなく公知の有機溶剤を使用することができる。
具体的には、メタノール(MA)、エタノール(EA)、1−プロパノール(NPA)、イソプロパノール(IPA)、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤、3−メチル−メトキシ−プロピオネート(MMP)等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル(MCS)、エチレングリコールモノエチルエーテル(ECS)、エチレングリコールイソプロピルエーテル(IPC)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGM)、プロピレングリコールエチルエーテル(PE)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート(PEAC)等のグリコール誘導体、フォルムアミド(FA)、N−メチルフォルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のアミド類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、エチレンクロライド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。中でも、極性の低い有機溶剤が好ましく、特にMIBK、MEK等のケトン類や、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、PGMEA、PE−AC等のグリコールエーテルアセテート類等、疎水性の高いものがより好ましい。これら溶剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[赤外線遮蔽層の形成方法]
本発明に係る赤外線遮蔽層を形成する一つの実施形態としては、赤外線吸収性微粒子が溶剤に分散した分散液と、バインダー樹脂、金属塩、その他添加剤などを添加して可塑性樹脂組成物を調製し、当該可塑性樹脂組成物を本発明に係る第1離型フィルム表面に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜から溶剤を蒸発させることで形成する方法である。その際に第1離型フィルム表面に前記下地層が形成されていることが、均一な赤外線遮蔽層の塗布膜を形成でき、好ましい。また、第1離型フィルム表面が前記表面処理されていてもよい。
可塑性樹脂組成物の塗布方法としては、第1離型フィルム表面に塗布膜を均一に形成できればよく、特に限定されないが、バーコート法、グラビアコート法、スプレーコート法、ディップコート法などを用いることができる。
赤外線遮蔽層の乾燥後の層厚としては、平均層厚0.1〜50μmの範囲内、好ましくは1〜30μmの範囲内、特に好ましくは2〜20μmの範囲内である。層厚は、0.1μm以上であれば赤外線吸収能力を発揮できる程度に、赤外線吸収性微粒子を含有することができ、50μm以下であれば塗膜の耐クラック性が向上する。したがって、赤外線吸収性微粒子を赤外線遮蔽するのに効果的な量を含有した場合において、膜として十分な耐久性を有し、クラックの発生が無い程度に適宜設計されることが好ましい。
〔2.3〕紫外線吸収層、赤外線吸収層とともに用いられる機能性層
前記電磁波遮蔽層(紫外線吸収層、赤外線吸収層)とともに用いられる機能性層として、本発明に好適なハードコート層及び赤外線反射層について説明する。
[ハードコート層]
本発明に係るハードコート層とは、鉛筆硬度がH〜8Hである層をいう。特に好ましくは2H〜6Hの範囲内であることが好ましい。
鉛筆硬度は、作製したハードコート層を温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS S 6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K 5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い測定した値である。
ハードコート層に用いられる可塑性樹脂としては、シリコーン系、メラミン系、エポキシ系、アクリレート系、多官能(メタ)アクリル系化合物等の有機系ハードコート材料;二酸化ケイ素等の無機系ハードコート材料;等が挙げられる。中でも、接着力が良好であり、生産性に優れる観点から、(メタ)アクリレート系、多官能(メタ)アクリル系化合物のハードコート形成材料の使用が好ましい。ここで、(メタ)アクリルとはアクリル及びメタクリルを示す。
また、ハードコート層において、高い耐擦傷性を得るためには、架橋反応を経て硬化する樹脂を主たる成分とする層であることが好ましく、さらに好ましくは、活性線硬化樹脂であることが好ましい。
前記活性線硬化樹脂として、好ましくは紫外線硬化樹脂が用いられる。紫外線硬化性樹脂としては特に限定されないが、例えば、アデカオプトマーKR、BYシリーズのKR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(以上、(株)ADEKA製)、コーエイハードのA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(以上、広栄化学工業(株)製)、セイカビームのPHC2210(S)、PHCX−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(以上、大日精化工業(株)製)、KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(以上、ダイセル・オルネクス(株))、RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(以上、DIC(株)製)、オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製)、サンラッド H−601R(三洋化成工業(株)製)、SP−1509、SP−1507(以上、昭和高分子(株)製)、RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(以上、東亞合成(株)製)、又はその他の市販のものから適宜選択して利用することができる。
紫外線硬化樹脂層の塗布組成物は、固形分濃度は10〜95質量%の範囲内であることが好ましく、塗布方法により適当な濃度が選ばれる。
紫外線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化被膜層を形成するための光源としては、紫外線を発生する光源であれば、いずれでも使用できる。具体的には、前述の光源を使用できる。
照射条件は、それぞれのランプによって異なるが、照射光量は20〜1200mJ/cm2程度あればよく、好ましくは、50〜1000mJ/cm2である。近紫外線領域から可視光線領域にかけては、その領域に吸収極大のある増感剤を用いることによって使用できる。
ハードコート層の乾燥後の層厚としては、平均層厚0.1〜30μmの範囲内、好ましくは1〜20μmの範囲内、特に好ましくは3〜15μmの範囲内である。3μm以上である場合は、十分な耐久性、耐衝撃性が得られる。また、屈曲性又は経済性の観点から、15μm以下であることが好ましい。
ハードコート層の形成は、例えば、活性線硬化樹脂を有機溶媒に溶解した、ハードコート層形成用塗布液を塗布した後、乾燥中、又は後に活性線を照射することで形成することができる。ハードコート層用塗布組成物の塗布方法としては特に限定はなく、例えばグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法で塗設することができる。前記塗布方法を用いて可塑性樹脂基材の一方の面に、ウェット層厚0.1〜100μmの範囲内で塗布することが好ましい。
また、ハードコート層は、1層でも2層以上の多層構造でも良い。
また、ハードコート層に防眩性を与えるために、また他の物質との密着を防ぎ、耐擦り傷性等を高めるために、ハードコート層の塗布組成物中に無機又は有機の微粒子を加えることもできる。
微粒子粉末の平均粒径としては、0.01〜10μmの範囲内であり、使用量は紫外線硬化樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜20質量部の範囲内となるように配合することが望ましい。防眩効果を付与するには、平均粒径0.1〜1μmの範囲内の微粒子を紫外線硬化樹脂組成物100質量部に対して1〜15質量部用いるのが好ましい。
ハードコート層の耐熱性を高めるために、光硬化反応を抑制しないような酸化防止剤を選んで用いることができる。例えば、ヒンダードフェノール誘導体、チオプロピオン酸誘導体、ホスファイト誘導体等を挙げることができる。具体的には、例えば、4,4′−チオビス(6−tert−3−メチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン、ジ−オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルホスフェート等を挙げることができる。
ハードコート層塗布液には、溶媒が含まれていてもよく、必要に応じて適宜含有し、希釈されたものであってもよい。
塗布液に含有される有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン、)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、又はこれらを混合し利用できる。プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)又はプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%の範囲内含有する上記有機溶媒を用いるのが好ましい。
ハードコート層は、JIS B 0601:2013で規定される算術平均粗さRaは0.05μm未満、より好ましくは0.002〜0.04μm未満の良好な平滑面を有するハードコート層を形成することができる。
算術平均粗さ(Ra)は、光干渉式の表面粗さ測定器で測定することが好ましく、例えば、WYKO社製の非接触表面微細形状計測装置(WYKO NT−2000)を用いて測定することができる。
この他、ブロッキング防止機能を果たすものとして、上述したのと同じ成分で、体積平均粒径0.005〜0.1μmの範囲内の極微粒子を樹脂組成物100質量部に対して0.1〜5質量部を用いることもできる。
本発明に用いるハードコート層には、公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又はゼラチン等の親水性樹脂等のバインダーを、上記活性エネルギー線硬化樹脂に混合して使用することができる。これら樹脂には、その分子中に極性基を持っていることが好ましい。極性基としては、−COOM、−OH、−NR2、−NR3X、−SO3M、−OSO3M、−PO3M2、−OPO3M(ここで、Mは水素原子、アルカリ金属又はアンモニウム基を、Xはアミン塩を形成する酸を、Rは水素原子、アルキル基を表す)等を挙げることができる。
また硬化された層の耐熱性を高めるために、光硬化反応を抑制しないような酸化防止剤を選んで用いることができる。例えば、ヒンダードフェノール誘導体、チオプロピオン酸誘導体、ホスファイト誘導体等を挙げることができる。具体的には、例えば、4,4′−チオビス(6−t−3−メチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン、ジ−オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルホスフェート等を挙げることができる。
また、本発明に係るハードコート層中には、本発明の効果が損なわれない範囲で、さらに各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、酸化防止剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、レベリング剤、帯電防止剤などを用いることができる。
[赤外線反射層]
本発明に係る電磁波遮蔽層として、前記赤外線吸収層とともに赤外線反射層を用いることが好ましい。
当該赤外線反射層としては、特に限定されるものではなく、米国特許出願第6049419号明細書に記載の3M社製の市販の赤外線反射フィルム(3Mスコッチテント(登録商標)マルチレイヤーNANOシリーズ:光波長850〜1100nmの範囲で、20%未満の光透過率を有する透明な赤外線反射フィルム。)や、特開2012−81748号公報記載の多層フィルム(異なる光学的性質を有する2種以上の熱可塑性樹脂が交互にそれぞれ50層以上積層されたフィルム。光波長400〜700nmでの平均反射率が15%以下であって、かつ光波長900〜1200nmでの平均反射率が70%以上。)や、再表2012/057199号公報記載の金属酸化物とバインダーを含有する高屈折率層及び低屈折率層を交互に多数層を積層した近赤外線反射フィルム等を用いることができる。
中でも、赤外線反射層としては、金属酸化物とバインダーを含有する高屈折率層及び低屈折率層が少なくとも3層以上積層された積層構造を有する多層構成の反射層であることが好ましい。赤外線反射層の好適な形態は、低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層された交互積層体の形態を有する。
なお、本明細書中、他方に対して屈折率の高い屈折率層を高屈折率層と、他方に対して屈折率の低い屈折率層を低屈折率層と称する。
さらには、赤外線反射層の光学特性として、JIS R3106−1998で示される可視光領域の透過率が50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは85%以上であることが好ましく、また、波長900〜1400nmの領域に反射率50%を超える領域を有することが好ましい。
赤外線反射層を形成する材料としては、従来公知の材料を用いることができ、例えば、金属酸化物粒子、ポリマー、及びこれらの組み合わせ等などが挙げられる。低屈折率層及び高屈折率層の少なくともいずれか一方が金属酸化物粒子を含むことが好ましく、双方が金属酸化物粒子を含むことがより好ましい。
金属酸化物粒子は、高屈折率材料の例として、二酸化チタン(TiO2)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)等を挙げることができ、低屈折率材料の例として、二酸化ケイ素(SiO2)、フッ化マグネシウム(MgF2)等を挙げることができ、これらの金属酸化物粒子を、ポリマー液に分散させて塗布製膜させることができる。
赤外線反射層に含まれるポリマーには特に制限はなく、赤外線反射層を形成できるポリマーであれば特に制限されない。
例えば、ポリマーとしては、特表2002−509279号公報に記載のポリマーを用いることができる。具体例としては、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)及びその異性体(例えば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−及び2,3−PEN)、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、及びポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリイミド(例えば、ポリアクリルイミド)、ポリエーテルイミド、アタクチックポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリレート(例えば、ポリイソブチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、及びポリメチルメタクリレート(PMMA))、ポリアクリレート(例えば、ポリブチルアクリレート、及びポリメチルアクリレート)、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、アセチルセルロース、セルロースプロピオネート、アセチルセルロースブチレート、及び硝酸セルロース)、ポリアルキレンポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、及びポリ(4−メチル)ペンテン)、フッ素化ポリマー(例えば、パーフルオロアルコキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、及びポリクロロトリフルオロエチレン)、塩素化ポリマー(例えば、ポリ塩化ビニリデン及びポリ塩化ビニル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリエーテルアミド、アイオノマー樹脂、エラストマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン及びネオプレン)、及びポリウレタンが挙げられる。コポリマー、例えば、PENのコポリマー[例えば、(a)テレフタル酸若しくはそのエステル、(b)イソフタル酸若しくはそのエステル、(c)フタル酸若しくはそのエステル、(d)アルカングリコール、(e)シクロアルカングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタノールジオール)、(f)アルカンジカルボン酸、及び/又は(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)と2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、及び/又は2,3−ナフタレンジカルボン酸又はそれらのエステルとのコポリマー]、ポリアルキレンテレフタレートのコポリマー[例えば、(a)ナフタレンジカルボン酸若しくはそのエステル、(b)イソフタル酸若しくはそのエステル、(c)フタル酸若しくはそのエステル、(d)アルカングリコール、(e)シクロアルカングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタノールジオール)、(f)アルカンジカルボン酸、及び/又は(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)と、テレフタル酸若しくはそのエステルとのコポリマー]、並びにスチレンコポリマー(例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー、及びスチレン−アクリロニトリルコポリマー)、4,4−ビス安息香酸及びエチレングリコールも適している。
さらに、各層は、それぞれ、2種又はそれ以上の上記のポリマー又はコポリマーのブレンド(例えば、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)とアタクチックポリスチレンとのブレンド)を包含してよい。これらポリマーは1種単独で用いてもよいし、2種以上併用して用いてもよい。
上記ポリマーを、米国特許出願第6049419号明細書に記載のように、ポリマーの溶融押出し及び延伸により、赤外線反射層を形成することができる。また、その他、ポリマーとして水溶性高分子を用いることも好ましい。
また、本発明に用いられる赤外線反射層の高屈折率層又は低屈折率層には、紫外線吸収剤、退色防止剤、硬化剤、アニオン、カチオン又はノニオンの各種界面活性剤、蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
赤外線反射層の製造方法は特に限定なく、共押出法、溶融押出法などを用いることができる。溶融押出法としは、米国特許第6049419号明細書に記載の方法のように、ポリマーの溶融押出し及び延伸により、赤外線反射層を形成する方法の他、水系の高屈折率層用塗布液と低屈折率層用塗布液とを交互に湿式塗布し、乾燥して積層体を形成する方法が挙げられる。
水系の高屈折率層用塗布液と低屈折率層用塗布液とを交互に湿式塗布する方法としては、以下に挙げる塗布方式が好ましく用いられる。例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、又は米国特許第2761419号明細書、同第2761791号明細書などに記載のスライドホッパー塗布法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。また、複数の層を重層塗布する方式としては、逐次重層塗布でもよいし同時重層塗布でもよい。
赤外線反射層における、高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液の厚さは、塗布量を乾燥時に上記した好ましい厚さとなるように調整することで制御することができる。
また、上記隣接した層界面での反射は、層間の屈折率比に依存するので、この屈折率比が大きいほど反射率が高まる。また、単層膜で見たとき、層表面における反射光と、層底部における反射光の光路差を、n・d=波長/4、で表される関係にすると、位相差により反射光を強め合うよう制御でき、反射率を上げることができる。ここで、nは屈折率、dは層の物理層厚である。この光路差を利用することで、反射を制御できる。この関係を利用して、各層の屈折率と層厚を制御して、紫外光、可視光や近赤外光の反射を制御することができる。
すなわち、各層の屈折率、各層の層厚、各層の積層の態様により、特定波長領域の反射率を高くすることができる。
上記赤外線反射層(主に近赤外領域を反射する層で、赤外領域及び遠赤外領域の波長光も反射する層)は、反射率を向上させる特定波長領域を変えることにより、紫外線反射層、可視光反射層とすることもできる。すなわち、反射率を向上させる特定波長領域を紫外線領域に設定すれば紫外線反射層となり、可視光領域に設定すれば可視光反射層となる。
〔3〕粘着層
本発明の機能性シートは、機能性シートを窓ガラス等の物品に貼りつけるための粘着性を付与する目的で粘着層を設ける。
粘着層の主要材料としては、エストラマーや合成樹脂等の高分子物質が挙げられ、被接着材料や接着後の部材の使用条件等によって適宜選定される。例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル・アクリル樹脂、酢酸ビニル・塩化ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、エチレン・アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、天然ゴム、クロロプレンゴム等が挙げられる。
好ましくは、紫外線に対して耐久性を有するものであり、アクリル系樹脂(アクリル接着剤)又はシリコーン系樹脂(シリコーン接着剤)が好ましい。中でも、接着特性やコストの観点から、アクリル接着剤が好ましい。特に剥離強さの制御が容易なことから、溶剤系及びエマルジョン系アクリル接着剤が好ましく、溶剤系アクリル接着剤がより好ましい。溶剤系アクリル接着剤として溶液重合ポリマーを使用する場合、そのモノマーとしては公知のものを使用できる。
この粘着層には、添加剤として、例えば安定剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、抗酸化剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着調整剤等を含有させることもできる。特に、本発明のように窓貼用として使用する場合は、紫外線による赤外線遮蔽フィルムの劣化を抑制するためにも、紫外線吸収剤の添加は有効であり、前述の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
粘着層の厚さは、0.5〜10μmの範囲内が好ましく、より好ましくは2〜10μmの範囲内である。0.5μm以上であれば、接着性が向上する傾向にあり、機能性シートを物品に貼合したときに、十分な接着力が得られる。逆に、10μm以下であれば、機能性シートの透明性が向上するだけでなく、機能性シートを窓ガラス等の物品に貼り付けた後、剥がしたときに粘着層間で凝集破壊が起こらず、ガラス面への接着剤残りが無くなる傾向にある。
粘着剤の塗工方法としては、任意の公知の方法が使用でき、例えばダイコーター法、グラビアロールコーター法、ブレードコーター法、スプレーコーター法、エアーナイフコート法、ディップコート法、転写法等が好ましく挙げられ、単独又は組合せて用いることができる。これらは適宜、粘着剤を溶解できる溶剤にて溶液にする、又は分散させた塗布液を用いて塗工することができ、溶剤としては公知の物を使用することができる。
粘着層の形成は、先の塗工方式にて、直接電磁波遮蔽層に塗工しても良く、また、一度剥離フィルムに塗工して乾燥させた後、電磁波遮蔽層に貼り合せて粘着剤を転写させてもよい。この時の乾燥温度は、残留溶剤ができるだけ少なくなることが好ましく、そのためには乾燥温度や時間は特定されないが、好ましくは50〜150℃の範囲内の温度で、10秒〜5分の範囲内の乾燥時間を設けることが好ましい。
〔4〕機能性シートの使用法、用途
本発明の機能性シートは第2離型フィルムの内側に接着性を有する粘着層を配置することで、第2離型フィルムを剥離して粘着層を露出した後に、当該粘着層を介して車輌や建築物のガラス窓などの物品の屋内(車内又は室内)側や屋外側に電磁波遮蔽性を有する機能性層を貼り付けることができる。また、当該機能性層の最外層にハードコート層を配置することで、電磁波遮蔽層表面に耐擦傷性を付与することができる。
図2は、本発明の機能性シートを物品に貼合する場合の一例を示す模式図である。
第1離型フィルム1に隣接して機能性層2、それに隣接して粘着層4及び第2離型フィルム5で構成されている本発明の機能性シート10は、まず、第2離型フィルム5を剥離して粘着層4を露出し、貼合する物品(ここではガラス6)に、例えば水貼り等で貼合する。その後水貼りに用いた水をスクィーズしたところで、第1離型フィルム1を機能性層2から剥離して機能性層2の貼合を完了する。機能性層2の第1離型フィルムを剥離した面にハードコート層7が形成されていると、耐傷性が向上して好ましい。
また、シワやよれなどがないように機能性層を物品に貼合するために、水貼り時の第1離型フィルムと隣接する機能性層間の剥離力は、粘着層と貼合する物品間の剥離力より大きいことが好ましく、貼合して水をスクィーズした後では、第1離型フィルムと隣接する機能性層間の剥離力は、粘着層と貼合する物品間の剥離力より小さいことが好ましい。
[機能性シートの用途]
本発明により提供される機能性シートは、幅広い分野に応用することができる。例えば紫外線遮蔽層や赤外線遮蔽層を有する電磁波遮蔽シートとして、建築物の屋外の窓や車輌の窓用途や、曲面形状を有する物品に貼合する用途として、本発明の機能性シートは好適に用いられる。特に立体物の曲面形状に貼合した際にシワやよれがない電磁波遮蔽シートとして好適である。
本発明の機能性シートは、粘着層を介してガラス以外の樹脂成形物などの物品に貼合されて紫外線遮蔽材料又は赤外線遮蔽材料として好適に用いることができる。本発明の機能性シートが透明であれば、例えば塗装材料として黒色組成物を用いた自動車のダッシュボードに本発明の機能性シートを貼合することによって、黒色であることを維持しながら熱線を効果的に吸収し、室内の温度上昇を低減することが可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
実施例1
〔機能性シート101の作製〕
図1(A)で示す機能性シートを下記手順にて作製した。
第1離型フィルムとして二軸延伸ポリプロピレン(王子エフテックス(株)E−201F、厚さ50μm(表1中、PPと表記))を用いて、赤外線遮蔽層塗布組成物を下記配合で調製してダイコーターを用いて塗布した。塗布は光学濃度が0.12となるように層厚を調整して塗布した。乾燥層厚が3.0μmになるように層厚を調整して塗布した。
<赤外線遮蔽層塗布組成物>
ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート(東亜合成社製、商品
名「アロニックスM305」;ヒドロキシ基価=116mgKOH/g)
248.02g
シリコンジアクリレート(ダイセル・オルネクス(株)製EBECRYL
350) 1.22g
ヘキソエート亜鉛(原液65%、メチルイソブチルケトン1.86倍希釈
) 6.64g
イルガキュア819(BASFジャパン(株)製) 16.32g
無機系赤外線吸収剤(住友金属鉱山(株)製、YMF−02A、セシウム
含有酸化タングステン(Cs0.33WO3)、濃度18.5質量%、平均粒
子径15nm、屈折率1.66) 399.18g
メガファック F552(メチルイソブチルケトン10倍希釈、DIC(
株)製、含フッ素基・親油性基含有オリゴマー) 1.14g
溶媒(メチルイソブチルケトン) 327.46g
続いて、粘着層として上記機能性層の上に下記配合の塗布液を塗布した。乾燥層厚が3.0μmになるように層厚を調整して塗布した。
<粘着層塗布組成物>
アクリル酸エステル主体の共重合樹脂(日本合成化学(株)製N−214
7) 532.0g
溶媒(酢酸エチル) 409.2g
チヌビン477(BASFジャパン(株)製) 16.8g
硬化剤ポリイソシアネート(東ソー(株)製コロネートHL)
42.0g
最後に、上記粘着層上を、第2離型フィルムとして中本パックス(株)NSセパレーター XAタイプ(厚さ25μm、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET))を用いてラミネートし、機能性シート101を得た。
〔機能性シート102の作製〕
機能性シート101の作製において、図1(B)の層構成にて、下記ハードコート層を形成し、次いで同様に赤外線遮蔽層、粘着層を形成し、第2剥離フィルムにてラミネートした。
<ハードコート層の形成>
UV−3701(東亞合成株式会社製)を用い、グラビアコーターにて第1離型フィルム上に塗布し、乾燥温度90℃で乾燥後、高圧水銀ランプを用い積算光量300mJ/cm2として塗布層を硬化させ、乾燥層厚が2.0μmになるようにハードコート層を形成した。
〔機能性シート103の作製〕
機能性シート101の作製において、図1(C)の層構成にて、下記赤外線反射層を形成し、次いで同様に赤外線遮蔽層、粘着層を形成し、第2剥離フィルムにてラミネートした。
<赤外線反射層の形成>
第1剥離フィルム上に重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置(スライドコーター)を用い、下記低屈折率層用塗布液L1及び高屈折率層用塗布液H1を45℃に保温しながら、45℃に加温した支持体に、高屈折率層及び低屈折率層のそれぞれの乾燥時の層厚が130nmになるようにして、低屈折率層9層、高屈折率層8層を交互に計17層の同時重層塗布を行った。
塗布直後、5℃の冷風を5分間吹き付けてセットさせた。その後、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、17層からなる近赤外線反射層を形成した。
〔低屈折率層用塗布液L1の調製〕
まず、10質量%の第2の金属酸化物粒子としてのコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製、スノーテックス(登録商標)OXS)水溶液680部と、4.0質量%のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA−103:重合度300、ケン化度98.5mol%)水溶液30部と、3.0質量%のホウ酸水溶液150部とを混合し、分散した。純水を加え、全体として1000部のコロイダルシリカ分散液L1を調製した。
次いで、得られたコロイダルシリカ分散液L1を45℃に加熱し、その中に4.0質量%のポリビニルアルコール(B)としてのポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール株式会社製、JP−45:重合度4500、ケン化度86.5〜89.5mol%)水溶液760部とを順次に、撹拌しながら添加した。その後、1質量%のアミドスルホベタイン系界面活性剤(川研ファインケミカル株式会社製、ソフタゾリン(登録商標)LSB−R)水溶液40部を添加し、低屈折率層用塗布液L1を調製した。
〔高屈折率層用塗布液H1の調製〕
(コア・シェル粒子のコアとするルチル型酸化チタンの調製)
水中に、酸化チタン水和物を懸濁させ、TiO2に換算した時の濃度が100g/Lになるように、酸化チタンの水性懸濁液を調製した。10L(リットル)の該懸濁液に、30Lの水酸化ナトリウム水溶液(濃度10モル/L)を撹拌しながら加えた後、90℃に加熱し、5時間熟成させた。次いで、塩酸を用いて中和し、濾過後水を用いて洗浄した。
なお、上記反応(処理)において、原料である酸化チタン水和物は、公知の手法に従い、硫酸チタン水溶液を熱加水分解処理によって得られたものである。
純水中に、上記塩基処理したチタン化合物をTiO2に換算した時の濃度が20g/Lになるように、懸濁させた。その中に、TiO2量に対し0.4モル%のクエン酸を撹拌しながら加えた。その後、加熱し、混合ゾル液の温度が95℃になるところで、塩酸濃度が30g/Lになるように濃塩酸を加えた、液温を95℃に維持しながら、3時間撹拌させ、酸化チタンゾル液を調製した。
上記のように、得られた酸化チタンゾル液のpH及びゼータ電位を液温95℃にて測定したところ、pHは1.4であり、ゼータ電位は+40mVであった。また、マルバーン社製ゼータサイザーナノにより粒径測定を行ったところ、単分散度は16%であった。
さらに、酸化チタンゾル液を105℃で3時間乾燥させ、酸化チタンの粉体微粒子を得た。日本電子データム株式会社製、JDX−3530型を用いて、該粉体微粒子をX線回折測定し、ルチル型の酸化チタン微粒子であることが確認された。また、該微粒子の体積平均粒径は10nmであった。
そして、純水4kgに、得られた体積平均粒径10nmのルチル型の酸化チタン微粒子を含む20.0質量%の酸化チタンゾル水系分散液を添加して、コア粒子となるゾル液を得た。
(シェル被覆によるコア・シェル粒子の調製)
2kgの純水に、10.0質量%の酸化チタンゾル水系分散液0.5kgを加え、90℃に加熱した。次いで、SiO2に換算した時の濃度が2.0質量%であるように調製したケイ酸水溶液1.3kgを徐々に添加し、オートクレーブ中、175℃で18時間加熱処理を行い、更に濃縮して、コア粒子としてはルチル型構造を有する酸化チタンであり、被覆層としてはSiO2であるコア・シェル粒子(平均粒径:10nm)のゾル液(固形分濃度20質量%)を得た。
(高屈折率層用塗布液H1の調製)
上記で得られた固形分濃度20.0質量%の第1の金属酸化物粒子としてのコア・シェル粒子を含むゾル液28.9部と、1.92質量%のクエン酸水溶液10.5部と、10質量%のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA−103:重合度300、ケン化度98.5mol%)水溶液2.0部と、3質量%のホウ酸水溶液9.0部とを混合して、コア・シェル粒子分散液H1を調製した。
次いで、コア・シェル分散液H1を撹拌しながら、純水16.3部及び5.0質量%のポリビニルアルコール(A)としてのポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA−124:重合度2400、ケン化度98〜99mol%)水溶液33.5部を加えた。更に、1質量%のアミドスルホベタイン系界面活性剤(川研ファインケミカル株式会社製、ソフタゾリン(登録商標)LSB−R)水溶液0.5部を添加し、純水を用いて全体として1000部の高屈折率層用塗布液H1を調製した。
〔機能性シート104の作製〕
機能性シート101の作製において、図1(D)の層構成にて、前記ハードコート層及び前記赤外線反射層をこの順に形成し、次いで同様に赤外線遮蔽層、粘着層を形成し、第2剥離フィルムにてラミネートした。
〔機能性シート105の作製〕
機能性シート101の作製において、図1(E)の層構成にて、同様に赤外線遮蔽層、粘着層を形成し、粘着層上に下記樹脂コート層を形成した後、第2剥離フィルムにてラミネートした。
<樹脂コート層の形成>
下記組成の樹脂コート層用組成物を調製し、樹脂コート層用組成物を硬化後の層厚2.0μmとなるようグラビアリバースコーターにより塗布した。これを70℃のオーブンで60秒間乾燥させた後、紫外線を照射量が120mJ/cm2となるように照射して塗膜を硬化させ、樹脂コート層を形成した。
バインダー樹脂(ペンタエリスリトールテトラアクリレート、日本化薬製
) 40質量部
バインダー樹脂(ウレタンアクリレート、UV1700B、日本合成化
学製) 60質量部
レベリング剤(ポリエーテル変性シリコーンオイル、TSF4460、
モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ社製) 0.04質量部
重合開始剤(Irg184、BASFジャパン社製) 6質量部
溶剤(トルエン) 60質量部
溶剤(シクロヘキサノン) 40質量部
以上作製した機能性シート101〜105を用いて以下の評価を実施した。
≪評価1≫
(1)剥離力の測定
300mm×300mmの大きさの試料を温度23±1℃、相対湿度50±5%の雰囲気中に24時間以上放置した。次いで、試料の幅は50mmに調整し、長さは200mmとした。JIS B 7721に規定する引張試験機を用いて、以下の剥離力を測定した。
第1剥離フィルム又は第2剥離フィルムの端部を一部機能性層又は粘着層から剥離して引張試験機に挟み込み、引っ張り速度300m/minで剥離した端部から180°方向に向かって引き剥がすのに要する力を測定した。単位は(mN/50mm)である。
≪評価2≫
作製した機能性シート101〜105を用いて以下の評価を実施した。
(1)保存性
300mm×300mmの大きさの試料を60℃・90%RHの環境下で1500時間放置し、機能性層のクラックの発生を目視で観察し下記基準で評価した。
5:発生なし
4:目視では、分からないが100倍ルーペで覗くと僅かに発生が認められる
3:目視で3か所以下の発生
2:目視で4か所以上の発生
1:全面に割れが発生
評価3以上が合格である。
(2)ガラスに貼合した後の赤外線遮蔽効果の耐久性
300mm×300mmの大きさの試料を、図2のフローにてガラスに貼合した後、60℃・90%RHの環境下で1500時間放置した前後での赤外線吸収率の変化を、赤外分光光度計(日本分光製「FT/IR4100」を用い、測定した(測定波長1300nm)。
5:変化なし
4:1%以上10%未満、赤外線吸収率が低下
3:10%以上20%未満、赤外線吸収率が低下
2:20%以上30%未満、赤外線吸収率が低下
1:30%以上、赤外線吸収率が低下
評価3以上が合格である。
以上の評価結果を表1に示した。
表1から、本発明の機能性シートは、保存後のむら、欠損、クラックの発生がなく、赤外線の遮蔽性を長期にわたって維持できることが分かった。
また、ガラスに貼合した時のシワやむらの発生を目視にて観察したところ、シワやむらがなく機能性層を均一に貼合できることが分かった。
実施例2
〔機能性シート201の作製〕
機能性シート102の作製において、第2剥離フィルムをラミネートしなかった以外は同様にして比較例の機能性シート201を作製した。
〔機能性シート202の作製〕
機能性シート102の作製において、第1剥離フィルム及び第2剥離フィルムの剥離力をエージングの温度を調整して、いずれも70mN/50mmに調整した以外は同様にして比較例の機能性シート202を作製した。
〔機能性シート203の作製〕
機能性シート102の作製において、第1剥離フィルム及び第2剥離フィルムの剥離力をエージングの温度を調整して、いずれも2400mN/50mmに調整した以外は同様にして比較例の機能性シート203を作製した。
〔機能性シート204の作製〕
機能性シート102の作製において、第1剥離フィルム及び第2剥離フィルムの剥離力をエージングの温度を調整して、それぞれ70mN/50mm及び2400mN/50mmに調整した以外は同様にして本発明の機能性シート204を作製した。
〔機能性シート205〜223の作製〕
機能性シート102の作製において、第1剥離フィルム及び第2剥離フィルムの剥離力をエージングの温度を調整して表2記載の剥離力に調整し、かつ粘着層の層厚を表2記載のように変化させた以外は同様にして本発明の機能性シート205〜223を作製した。
〔機能性シート224〜232の作製〕
機能性シート102の作製において、第1剥離フィルムに東洋紡(株)片面易接着ポリエチレンテレフタレートフィルムA4100(厚さ100μm)を用い易接着面側に機能性層を形成し、さらに粘着層の層厚を表2記載のように変化させた以外は同様にして、本発明の機能性シート224〜232を作製した。
作製した機能性シート201〜232を用いて実施例1の保存性及び赤外線遮蔽耐久性の評価を実施し、結果を表2に記載した。
表2から、本発明の機能性シートは、保存後のむら、欠損、クラックの発生がなく、赤外線の遮蔽性を長期にわたって維持できることが分かった。
また、ガラスに貼合した時のシワやむらの発生を目視にて観察したところ、第2剥離フィルムの剥離力が大きい機能性シート204はややシワやむらが見られたが、第1剥離フィルムの剥離力が大きい機能性シート205〜232はシワやむらがなく機能性層を均一に貼合できることが分かった。