JP2008031447A - 電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルム及びその製造方法、並びに電磁波遮蔽シート - Google Patents

電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルム及びその製造方法、並びに電磁波遮蔽シート Download PDF

Info

Publication number
JP2008031447A
JP2008031447A JP2007166610A JP2007166610A JP2008031447A JP 2008031447 A JP2008031447 A JP 2008031447A JP 2007166610 A JP2007166610 A JP 2007166610A JP 2007166610 A JP2007166610 A JP 2007166610A JP 2008031447 A JP2008031447 A JP 2008031447A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electromagnetic wave
shielding sheet
wave shielding
protective film
copper mesh
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007166610A
Other languages
English (en)
Inventor
Akiko Goto
晶子 後藤
Hironori Kamiyama
弘徳 上山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2007166610A priority Critical patent/JP2008031447A/ja
Publication of JP2008031447A publication Critical patent/JP2008031447A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Shielding Devices Or Components To Electric Or Magnetic Fields (AREA)
  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Adhesive Tapes (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Abstract

【課題】電磁波遮蔽用の銅メッシュ層上に仮積層させた保護フィルム付の電磁波遮蔽シートであって、保護フィルムが適切な接着性を有しながら、長期間、特に高温高湿下で使用されても変色しない電磁波遮蔽シートを提供する。
【解決手段】透明基材の一方の面に、少なくとも銅メッシュ層が設けられ、該銅メッシュ層側の面に保護フィルムが仮積層された電磁波遮蔽シートであって、前記保護フィルムが、支持体上に、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を備え、前記粘着剤層中の遊離有機酸量が、当該粘着剤層面を前記電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層側の面に積層させ、気温60℃、相対湿度95%の雰囲気環境下で200時間静置した前後の前記銅メッシュ層側の面の色差ΔEL*a*b*が10以下になる量であることを特徴とする、電磁波遮蔽シートである。
【選択図】図2

Description

本発明は、CRT、PDPなどのディスプレイから発生する電磁波を遮蔽(シールド)する電磁波遮蔽シートに関し、さらに詳しくは、高温高湿下で長期保存しても電磁波遮蔽シートを変色させない保護フィルム及びその製造方法、並びに当該保護フィルム付の電磁波遮蔽シートに関する。
近年、電気電子機器の機能高度化と増加利用に伴い、電磁気的なノイズ妨害(Electro Magnetic Interference;EMI)が増え、陰極線管(CRTという)、プラズマディスプレイパネル(PDPという)などのディスプレイでも電磁波が発生する。この電磁波をシールドするために、ディスプレイ前面に配置する電磁波遮蔽シートが知られている。このような用途に用いる電磁波遮蔽シートでは、電磁波シールド性能と共に光透過性も要求される。そこで、基材に樹脂フィルムやガラス板等の透明基材を用い、この透明基材上に、銅などの金属から成る、導電性メッシュ層を形成することにより光透過性を付与した電磁波遮蔽シートが知られている。
ディスプレイ前面には、その他に反射防止フィルタ、近赤外線フィルタ等の光学フィルタが配置される場合があるため、電磁波遮蔽シートは、これらの光学フィルタと粘着剤層を介して積層した複合フィルタとしてディスプレイ前面に配置される場合が多い。例えば、特許文献1には、電磁波シールド用のフィルターフィルムと反射防止フィルムとを接着剤層を介して配設してなるディスプレイパネル用前面板が開示されている。
上述したような電磁波遮蔽シートは、ディスプレイの前面に設置されるまで、或いは他の光学フィルタ等と積層されるまで、該メッシュ層を保護するために保護用フィルムを一時的に仮積層する場合がある。特許文献2には、製品の取扱い時や製品の製造の際に透明基材フィルムや電磁波遮蔽層を保護することが可能な、保護フィルムを有する電磁波遮蔽シートが開示されている。
特開平11−126024号公報 特開2003−188576号公報
上記のように、透明基材上に導電性メッシュ層の面が形成されてから、該メッシュ層の面上に各種後加工をするまでの間、例えば該メッシュ層の平坦化層も兼ねるような粘着層を配設したり、実際に他の光学フィルム乃至ディスプレイに積層されるまでの間は、当該導電性メッシュ層の凹凸部に埃が入ったり、10μm前後の極狭幅の線状に加工されているメッシュ層のライン部が汚染又は破断されないように保護するため、当該メッシュ層面には保護膜が仮積層されることが好ましい。このようなメッシュ層の面に保護膜を直接仮積層するためには、保護膜としては導電性メッシュ層に直接貼り合わせることが可能で、且つ、それを容易に剥がすことが可能な適切な接着性が必要であり、粘着剤層を有するフィルムを用いることが考えられた。しかしながら、粘着剤によっては、保護フィルムを剥がす際に、銅メッシュ層上に更に積層された黒化層の一部を一緒に剥離してしまう問題や、糊残りの問題を生じた。また、銅メッシュ層のような導電性メッシュ層に粘着剤層を有するフィルムを仮積層する場合、当該電磁波遮蔽シートが長時間、特に高温高湿下で保存されると、該銅メッシュ層が青緑味を帯びるように変色するという問題が生じた。銅メッシュ層がこのように変色すると、電磁波遮蔽シートが青色を帯び、ディスプレイの色再現性に悪影響を及ぼす。この問題は、銅メッシュ上に銅コバルト合金粒子、硫化ニッケル粒子等の薄膜からなる黒化層を形成した上に粘着剤層を積層させた場合にも生じた。
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、第一に、電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層に対して易接着性と易剥離性を両立させるような適切な粘着性を有しながら、仮積層を剥がす際に、糊残りがなく、また銅メッシュ層上に更に黒化層等が積層された場合に該黒化層等の一部を剥がすことがない電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルムを提供することを目的とするものである。中でも特に、長期間、特に高温高湿下で使用されても電磁波遮蔽シートを変色させない、電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルムを提供することを目的とする。
また、第二に、電磁波遮蔽用の銅メッシュ層上に仮積層させた保護フィルム付の電磁波遮蔽シートであって、当該銅メッシュ層と保護フィルムが易接着性と易剥離性とを有しながら、当該保護フィルムを剥がす際に、糊残りがなく、また銅メッシュ層上に更に黒化層等が積層された場合に該黒化層等の一部を剥がすことがない電磁波遮蔽シートを提供することを目的とするものである。中でも特に、長期間、特に高温高湿下で使用されても変色しない電磁波遮蔽シートを提供することを目的とする。
上記第一の課題を解決するために、本発明は、透明基材の一方の面に少なくとも銅メッシュ層が設けられた電磁波遮蔽シートの、当該銅メッシュ層側の面に仮積層するための保護フィルムであって、支持体上に、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を備え、前記粘着剤層中の遊離有機酸量が、当該粘着剤層面を前記電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層側の面に積層させ、気温60℃、相対湿度95%の雰囲気環境下で200時間静置した前後の前記銅メッシュ層側の面の色差ΔEL*a*b*が10以下になる量であることを特徴とする、電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルムを提供する。
また、上記第一の課題を解決するために、本発明は、支持体上に、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を備えた保護フィルムであって、当該保護フィルムを下記試験法により試験したときに抽出された酢酸及び蟻酸量の合計が20ng/cm2以下であることを特徴とする、電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルムを提供する。
[試験法]
前記保護フィルムの粘着剤層面を超純水で23℃15分間抽出する。当該抽出液についてイオンクロマトグラフィーを用いて、抽出された酢酸及び蟻酸量を測定する。
また、上記第一の課題を解決するために、本発明は、支持体上に、ウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を備えたことを特徴とする、電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルムを提供する。
更に、本発明は、透明基材の一方の面に少なくとも銅メッシュ層が設けられた電磁波遮蔽シートの、当該銅メッシュ層側の面に仮積層するための保護フィルムの製造方法であって、
アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤のうち、当該粘着剤の遊離有機酸量が、当該粘着剤を前記電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層側の面に積層させ、気温60℃、相対湿度95%の雰囲気環境下で200時間静置した前後の前記銅メッシュ層側の面の色差ΔEL*a*b*が10以下になる量である粘着剤を選定して、支持体上に粘着剤層を形成することを特徴とする電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルムの製造方法を提供する。
また、上記第二の課題を解決するために、本発明は、透明基材の一方の面に、少なくとも銅メッシュ層が設けられ、該銅メッシュ層側の面に保護フィルムが仮積層された電磁波遮蔽シートであって、
前記保護フィルムが、支持体上の該銅メッシュ層側に、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を備え、
前記粘着剤層中の遊離有機酸量が、当該粘着剤層面を前記電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層側の面に積層させ、気温60℃、相対湿度95%の雰囲気環境下で200時間静置した前後の前記銅メッシュ層側の面の色差ΔEL*a*b*が10以下になる量であることを特徴とする、電磁波遮蔽シートを提供する。
更に、上記第二の課題を解決するために、本発明は、透明基材の一方の面に、少なくとも銅メッシュ層が設けられ、該銅メッシュ層側の面に保護フィルムが仮積層された電磁波遮蔽シートであって、
前記保護フィルムが、支持体上の該銅メッシュ層側に、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を備え、当該粘着剤層によって前記銅メッシュ層側の面に仮積層され、当該保護フィルムを下記試験法により試験したときに抽出された酢酸及び蟻酸量の合計が20ng/cm2以下であることを特徴とする電磁波遮蔽シートを提供する。
[試験法]
前記保護フィルムの粘着剤層面を超純水で23℃15分間抽出する。当該抽出液についてイオンクロマトグラフィーを用いて、抽出された酢酸及び蟻酸量を測定する。
また、上記第二の課題を解決するために、本発明は、透明基材の一方の面に、少なくとも銅メッシュ層が設けられ、該銅メッシュ層側の面に保護フィルムが仮積層された電磁波遮蔽シートであって、
前記保護フィルムが、支持体上の該銅メッシュ層側に、ウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を備えたことを特徴とする、電磁波遮蔽シートを提供する。
本発明によれば、前記保護フィルムが、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を備え、前記粘着剤層中の遊離有機酸量が、当該粘着剤層面を前記電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層側の面に積層させ、気温60℃、相対湿度95%の雰囲気環境下で200時間静置した前後の前記銅メッシュ層側の面の色差ΔEL*a*b*が10以下になる量であることにより、当該銅メッシュ層と保護フィルムが適切な易接着性と易剥離性とを有しながら、当該保護フィルムを剥がす際に、糊残りがなく、また銅メッシュ層上に更に積層された黒化層等の一部を剥がすことがなく、且つ長期間、特に高温高湿下で使用されても銅メッシュ層を変色させないという効果を得ることができる。
また、本発明によれば、前記保護フィルムが、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を備え、当該保護フィルムを上記特定の試験法により試験したときに抽出された酢酸及び蟻酸量の合計が20ng/cm2以下であることにより、当該銅メッシュ層と保護フィルムが適切な易接着性と易剥離性とを有しながら、当該保護フィルムを剥がす際に、糊残りがなく、また銅メッシュ層上に更に積層された黒化層等の一部を剥がすことがなく、且つ長期間、特に高温高湿下で使用されても銅メッシュ層を変色させないという効果を得ることができる。
また、本発明においては、前記保護フィルムが、ウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートから誘導される繰り返し単位有する重合体を含む粘着剤層を備えたことにより、当該銅メッシュ層と保護フィルムが易接着性と易剥離性とを有しながら、当該保護フィルムを剥がす際に、より糊残りがなく、また銅メッシュ層上に更に積層された黒化層等の一部を剥がすことがないという効果を得ることができる。
また、本発明の電磁波遮蔽シートにおいては、前記保護フィルムにおける粘着剤層の銅メッシュ層側の面に対する剥離抵抗力が0.05〜1.3N/25mmであることが、直接貼り合わせることが可能で、且つ、それを容易に剥がすことが可能となる適切な粘着性の点から好ましい。
本発明の電磁波遮蔽シートにおいては、前記保護フィルムが仮積層されている銅メッシュ層側の面の表面粗さは、表面の輪郭曲線として粗さ曲線を採用した時に、当該輪郭曲線の十点平均粗さRzJIS(JIS B0601(1994年版))が0.5〜5.0μmであることが、又、当該表面の微細凹凸の中心線平均粗さRa(JIS B0601(1994年版))が0.1〜3.0μmであることが、本発明の特定の粘着剤と組合わせた際に、該保護フィルムの接着再剥離適性、即ち、易接着性と易剥離性とを有しながら、仮積層を剥がす際に、糊残りが無く、また銅メッシュ層上に更に黒化層等が積層された場合でも該黒化層等の一部を剥がすことが無く剥離できる性質において好ましい。
本発明の電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルムは、電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層との易接着性と易剥離性とが両立するという適度な接着性を有しながら、仮積層を剥がす際に、糊残りがなく、また銅メッシュ層上に更に黒化層等が積層された場合でも該黒化層等の一部を剥がすことがないという効果を得ることができる。特に、上記粘着剤層の特定の酸量が特定量以下である場合には、更に、長期間、特に高温高湿下で使用されても電磁波遮蔽シートを変色させないという効果を奏する。
本発明の電磁波遮蔽シートは、電磁波遮蔽用の銅メッシュ層上に仮積層させた保護フィルム付の電磁波遮蔽シートであって、当該銅メッシュ層と保護フィルムが適度な接着性を有しながら、当該保護フィルムを剥がす際に、糊残りがなく、また銅メッシュ層上に更に黒化層等が積層された場合でも該黒化層等の一部を剥がすことがないという効果を得ることができる。特に、上記保護フィルムの粘着剤層の特定の酸量が特定量以下である場合には、更に、長期間、特に高温高湿下で使用されても銅メッシュ層を変色させないという効果を奏する。
また、本発明の電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルムの製造方法は、電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層との易接着性と易剥離性とが両立するという適度な接着性を有しながら、仮積層を剥がす際に、糊残りがなく、また銅メッシュ層上に更に黒化層等が積層された場合でも該黒化層等の一部を剥がすことがなく、更に、長期間、特に高温高湿下で使用されても電磁波遮蔽シートを変色させない保護フィルムを製造することができるという効果を奏する。
本発明は、電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルム、及び電磁波遮蔽シートに関するものである。以下、電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルム、及び電磁波遮蔽シートの順に説明する。
A.電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルム
まず、本発明の電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルムについて説明する。
本発明の第一の電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルムは、透明基材の一方の面に少なくとも銅メッシュ層が設けられた電磁波遮蔽シートの、当該銅メッシュ層側の面に仮積層するための保護フィルムであって、
支持体上に、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を備え、
前記粘着剤層中の遊離有機酸量が、当該粘着剤層面を前記電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層側の面に積層させ、気温60℃、相対湿度95%の雰囲気環境下で200時間静置した前後の前記銅メッシュ層側の面の色差ΔEL*a*b*が10以下になる量であることを特徴とするものである。
本発明の第二の電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルムは、支持体上に、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を備えた保護フィルムであって、当該保護フィルムを下記試験法により試験したときに抽出された酢酸及び蟻酸量の合計が20ng/cm2以下であることを特徴とするものである。
[試験法]
前記保護フィルムの粘着剤層面を超純水で23℃15分間抽出する。当該抽出液についてイオンクロマトグラフィーを用いて、抽出された酢酸及び蟻酸量を測定する。
また、本発明の第三の電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルムは、支持体上に、ウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を備えたことを特徴とするものである。
電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層の面に一時的な保護膜が仮積層されることは、実際に次の工程に移るまでの間に、運搬時や保存時に、当該導電性メッシュ層の凹凸部に埃が入ったり、ライン部が破断又は汚染されないように保護することが可能であるという利点を有するが、従来、銅メッシュ層に粘着剤層を有するフィルムを仮積層する場合、粘着剤によっては、仮積層した保護フィルムを剥がす際に糊残りを生じたり、銅メッシュ層上に更に積層された黒化層等の一部を剥がしてしまうという問題点があった。また、当該電磁波遮蔽シートが長時間、特に高温高湿下で保存されると、該銅メッシュ層が変色するという問題点があった。
この点、本発明の保護フィルムは、粘着剤層を構成する粘着剤に、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体、特にウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を採用したため、当該保護フィルムを剥がす際に、糊残りがなく、また銅メッシュ層上に更に積層された黒化層等の一部を剥がすことがなく、良好な接着再剥離適性を有する。
また、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を備え、前記粘着剤層中の遊離有機酸量が、上記特定の高湿高温下環境試験前後の上記銅メッシュ層側の面の色差ΔEL*a*b*が10以下になる量であることにより、当該銅メッシュ層と保護フィルムが適切な接着性を有しながら、当該保護フィルムを剥がす際に、糊残りがなく、また銅メッシュ層上に更に積層された黒化層等の一部を剥がすことがなく、且つ長期間、特に高温高湿下で使用されても電磁波遮蔽シートを変色させない。ここで、遊離有機酸は、化合しないで存在するカルボキシル基を有する有機化合物であり、酢酸、蟻酸等が含まれる。
或いは、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を備え、当該保護フィルムを上記特定の試験法により試験したときに粘着剤層表面から抽出された酢酸及び蟻酸量の合計が20ng/cm2以下であることにより、当該銅メッシュ層と保護フィルムが適切な接着性を有しながら、当該保護フィルムを剥がす際に、糊残りがなく、また銅メッシュ層上に更に積層された黒化層等の一部を剥がすことがなく、且つ長期間、特に高温高湿下で使用されても電磁波遮蔽シートを変色させない。
本発明に用いられる保護膜が、電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層と保護フィルムが適切な接着性をする理由、及び長期間、特に高温高湿下で使用されても電磁波遮蔽シートを変色させないのは、次のような理由によるものと考えられる。
すなわち、導電性メッシュ層に直接貼り合わせることが可能で、且つ、それを容易に剥がすことが可能な適切な接着性を有しながら、当該保護フィルムを剥がす際に、糊残りが生じ難く、また銅メッシュ層上に更に積層された黒化層等の一部を剥がすことがない良好な接着再剥離適性を有するものとしては、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層、特にウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層が好適であると選択された。一方で、従来、高温高湿下で長時間保存されると、該銅メッシュ層が変色するのは、粘着剤層に含まれる酸などから解離したプロトン及び水の存在により、銅の表面が酸化されやすい状態になることに起因するものと考えられる。そして、酸化によって、銅錯体等の銅イオンを含む化合物を生じ、青色等に変色すると考えられる。
ここで、一般的にアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層には、カルボキシル基や酸成分が存在し得ると考えられる。
それに対し、本発明の保護フィルムの粘着剤層は、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層でありながら前記粘着剤層中の遊離有機酸量が、上記特定の高湿高温下環境試験前後の上記銅メッシュ層側の面の色差ΔEL*a*b*が10以下になる量と少ないものである。
或いは、本発明の保護フィルムの粘着剤層は、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層でありながら、上記特定の試験法により試験したときに粘着剤層表面から抽出された酢酸及び蟻酸量の合計が20ng/cm2以下と少ないものである。
本発明においては、上記のように、粘着剤層に含まれる酸成分の中でも特に、電磁波遮蔽シートに直接接触する粘着剤層表面に容易に移動し得る遊離有機酸、又は粘着剤層表面に存在する特定の遊離有機酸に着目し、それらの量を低減したことにより、電磁波遮蔽シートに直接接触する粘着剤層表面から解離するプロトンの存在を低減させ、高温高湿下でも銅の表面が酸化されやすい状態を抑制可能と推定される。そのため、上記粘着剤層を電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層面に接触させる粘着剤層として用いることにより、適切な接着性を有しながら、長期間、特に高温高湿下で使用されても変色しない電磁波遮蔽シートを得ることが可能になると考えられる。
〔層構成〕
図1は本発明による電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルムについて、基本的な形態を例示する断面図である。
図1は、支持体1上に、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層2が積層されている電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルム10の構成が示されている。
また、図1には図示していないが、支持体1の粘着剤層2が積層されていない側の面に、更に離型層が積層されていても良い。また、電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルムが実際に電磁波遮蔽シートに仮積層されるまでの間、粘着剤層2の上に離型層が積層されていても良い。
尚、以上の例示は、本発明の電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルムの態様を限定するものではない。本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明の保護フィルムについて、支持体から順に説明する。
[支持体]
支持体は、機械的強度が弱い上記粘着剤層を支持し、電磁波遮蔽シートのメッシュ面を保護するための強度を有する層である。従って、粘着剤層を支持可能で、メッシュ面を保護する程度の強度を有し、保存に適した特性を有すれば、特に限定されず、保存形態に応じて適宜選択して使用すれば良い。支持体の具体例としては、例えば、樹脂等の有機材料からなるフィルム乃至シートが、薄さ、軽さ、可撓性、及び強度等を満足する点から好適に用いられる。
上記有機材料からなるフィルム等として用いる樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体などのポリエステル系樹脂、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
なお、支持体の厚さは、電磁波遮蔽シートの保存形態に応じたものとすれば良く特に制限は無いが、通常25〜70μm程度であり、より好ましくは40〜60μmである。上記未満の厚さとなると機械的強度が不足して破断などが起こる恐れがあり、上記を超える厚さとなると過剰性能でコスト高となる上、巻き取り保存が難しくなる。
支持体としては、樹脂フィルム乃至シートが好ましい材料であるが、樹脂のなかでも、特に、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが、透明性が良好で、適度な弾性と柔軟性とが均衡して剥離し易い上、低価格である等の点で好ましい。また、中でもポリプロピレンが、伸縮し難く、貼着後のカールや部分的な保護フィルムの浮きを生じ難く、好ましい。又、それ故、粘着剤の剥離抵抗力の選択許容幅が広がる。
[粘着剤層]
本発明の保護フィルムに備えられる粘着剤層としては、前記のような接着後再剥離適性が良好なことが必要であり、銅メッシュ層の貼着側表面、特に薄膜で且つ粗面ないし多孔質の黒化層が粘着剤と共に剥離されないことが要求される。この要求を満たすものとして、各種樹脂系を検討した結果、アクリル系重合体、すなわち、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含むものが良好であることが判明した。そして、本発明の保護フィルムに備えられる粘着剤層は、必要に応じて酸化防止剤等の添加剤など他の化合物を含有しても良いものである。ゴム系の粘着剤は、一般的に、銅の変色防止の点では良好であるが、保護フィルム剥離時に粘着剤層と共に銅メッシュ層表面(特に、黒化層)が一緒に剥離し易く、この様な銅メッシュ層表面の剥離を望まない用途には採用し難いものである。
ここで、粘着剤とは、接着剤の1種をいい、接着剤のうち、接着の際には単に適度な、通常、軽く手で押圧する程度の加圧のみにより、表面の粘着性のみで接着可能なものをいう。粘着剤の接着力発現には、通常特に、加熱、加湿、放射線(紫外線や電子線等)照射といった物理的なエネルギー乃至作用が不要で、且つ重合反応等の化学反応も不要である。又、粘着剤は、接着後も再剥離可能な程度の接着力を経時的に維持し得るものである。本発明に用いられる粘着剤としては、適切な接着性を有しながら、当該保護フィルムを電磁波遮蔽シートから剥がす際に、糊残りが生じ難く、また電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層上に更に積層された黒化層等の一部を剥がすことがないことから、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を主成分とし、必要に応じて共重合可能なモノマーを共重合した重合体である、アクリル系粘着剤を選択する。
このようなアクリル系粘着剤を粘着剤層として用いる場合には、銅メッシュ層の変色が起こる場合が多い。それに対し、本発明の保護フィルムに備えられる粘着剤層は、粘着剤層中の遊離有機酸量が、当該粘着剤層面を前記電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層側の面に積層させ、温度60℃、相対湿度95%の雰囲気環境下で200時間静置した前後の前記銅メッシュ層側の面の色度a、b、及び明度L(国際照明委員会(CIE)規定)を測定し、色差ΔEL*a*b*が10以下になる量である。中でも、粘着剤層中の遊離有機酸量は、色差ΔEL*a*b*が5以下になる量であることが好ましく、更に色差ΔEL*a*b*が1以下になる量であることが好ましい。粘着剤層中の遊離有機酸量は、銅メッシュ層との密着力確保の点からは、ある程度の量が残存していても良く、色差ΔEL*a*b*が10以下で且つ色差ΔEL*a*b*が0.1以上になる量であれば含まれていても良い。
ここで、ΔEL*a*b*= {(ΔL+(Δa+(Δb}1/2
と計算される。
なお、ここで、(ΔL、(Δa、及び(Δb)は各々、上記特定の雰囲気環境と時間で静置した前後の電磁波遮蔽シートの銅メッシュ側表面のL、a、及びbの値の差である。又、L、a、及びbは1976年に国際照明委員会(略称CIE)により勧告され、JIS Z8729でも規定されたL表色系の値である。
そして、銅メッシュ層の銅自身の色調、或いは銅表面上の黒化層の色調で、しかも後述のようなメッシュの形状と寸法の範囲内である場合においては、色差ΔEL*a*b*が10以下であれば、通常の画像表示装置全面に該銅メッシュを含む電磁波遮蔽シートを設置した場合に、目視で気になら無い程度となる。中でも色差ΔEL*a*b*が、一般に目視で弁別可能な閾値とされている1.0〜0.6以下の場合には、全く銅メッシュ層表面の変色が目視で弁別不能となる為、より好ましい。
或いは、本発明の保護フィルムに備えられる粘着剤層は、当該粘着剤層面を超純水で23℃15分間抽出し、当該抽出液についてイオンクロマトグラフィーを用いて、抽出された酢酸及び蟻酸量を測定したときに、抽出された酢酸及び蟻酸量の合計が20ng/cm2以下である物を選択して成ることを特徴とするため、銅メッシュ層の変色が起こり難い。具体的には、本発明の保護層の粘着剤層面を電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層側の面に積層させ、高湿高温下環境試験(60℃、相対湿度95%の雰囲気環境下で200時間静置)前後の銅メッシュ層側の面の色度a、b、及び明度L(国際照明委員会(CIE)規定)を測定し、色差ΔEL*a*b*を求めたときに、色差ΔEL*a*b*が10以下、より好ましくは5以下、より更に好ましくは1以下を達成可能である。また、粘着剤層において抽出される酢酸及び蟻酸量の合計は、更に10ng/cm2以下、より更に3ng/cm2以下であることが望ましい。一方、上記試験法で粘着剤層において抽出される酢酸及び蟻酸量の合計は、銅メッシュ層との密着力確保の点からは、ある程度の量が残存していても良く、20ng/cm2以下であれば、0.5ng/cm2以上、更に1ng/cm2以上含まれていても良い。
なお、上記粘着剤層面を超純水で23℃15分間抽出する際にはケミカルフィルタが設置されているクリーンブース内で行う。抽出液中の酢酸又は蟻酸の各成分濃度[ng/mL]に抽出液量[mL]を乗じ、抽出面積[cm2]で除することにより単位面積当たりの各成分の溶出量[ng/cm2]が求められる。これらの合計量として、酢酸及び蟻酸の溶出量の合計を求める。
アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を形成するのに用いられるアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルや、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとイソシアネート類を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等を好適なモノマーとして用いることができる。また、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル等も用いることができる。なお、本明細書において表記簡略化のため、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と呼称する。また、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと呼称する。
ここで使用される(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸sec−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル及び(メタ)アクリル酸ラウリル等を挙げることができる。
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとイソシアネート類を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートに用いられる、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル等が好適に用いられる。また、上記イソシアネート類としては分子中に少なくとも1個以上のイソシアネート基を持つ化合物ならば使用可能であるが、トリレンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の2価のイソシアネート類が好ましい。又、それらの2量体、3量体等の多量体、或いは付加体を用いることもできる。
好ましいウレタン(メタ)アクリレートを例示すると、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルにトリレンジイソシアネートを反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルにトリレンジイソシアネートを反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレートが挙げられ、中でも、メタクリル酸2-ヒドロキシエチルにトリレンジイソシアネートを反応させて得られたウレタンメタクリレートが好適に用いられる。
また、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸3-エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-エトキシブチルなどを挙げることができる。
中でも、本発明において用いられるアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体としては、上記アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位として、ウレタン(メタ)アクリレートから誘導される繰り返し単位を含有することが好ましい。この場合には、当該保護フィルムを電磁波遮蔽シートから剥がす際に、より糊残りが生じ難く、また電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層上に更に積層された黒化層等の一部を剥がすことがない適切な接着性を有しながら、粘着剤層中の遊離有機酸量が、上記特定の高温高湿下環境試験前後の前記銅メッシュ層側の面の色差ΔEL*a*b*が10以下になる量であること、或いは、上記特定の試験により抽出された酢酸及び蟻酸量を測定したときに、抽出された酢酸及び蟻酸量の合計が20ng/cm2以下であることを達成しやすくなる。
本発明において用いられるアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体として好適な具体例を挙げると、(1)(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルとトリレンジイソシアネートとを反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレートから誘導される繰り返し単位、並びに、(メタ)アクリル酸メチルから誘導される繰り返し単位を有する共重合体;(2)(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルとトリレンジイソシアネートとを反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレートから誘導される繰り返し単位、(メタ)アクリル酸ブチルから誘導される繰り返し単位、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルから誘導される繰り返し単位、並びに、(メタ)アクリル酸エチルから誘導される繰り返し単位を有する共重合体;(3)(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルとトリレンジイソシアネートとを反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレートから誘導される繰り返し単位、並びに、(メタ)アクリル酸エチルから誘導される繰り返し単位を有する共重合体;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
更に、本発明で用いられるアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体には、上記の他に、含まれる遊離有機酸量や上記抽出される酢酸及び蟻酸量の合計量や適切な接着性を損なわない範囲内で他の官能基を有するモノマーが共重合されていても良い。他の官能基を有するモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル及びアリルアルコール等の水酸基を含有するモノマー;(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド及びN-エチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基を含有するモノマー;N-メチロール(メタ)アクリルアミド及びジメチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド基とメチロール基とを含有するモノマー;アミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びビニルピリジン等のアミノ基を含有するモノマーのような官能基を有するモノマー;アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテルなどのエポキシ基含有モノマーなどが挙げられる。この他にもフッ素置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリロニトリルなどのほか、スチレン及びメチルスチレンなどのビニル基含有芳香族化合物、酢酸ビニル、ハロゲン化ビニル化合物などを挙げることができる。
さらに、本発明で用いられるアクリル系粘着剤には、上記のような他の官能基を有するモノマーの他に、他のエチレン性二重結合を有するモノマーが共重合されていても良い。ここでエチレン性二重結合を有するモノマーの例としては、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル及びフマル酸ジブチル等のα,β−不飽和二塩基酸のジエステル;ビニルエーテル;スチレン、α−メチルスチレン及びビニルトルエン等のビニル芳香族化合物;(メタ)アクリロニトリル等を挙げることができる。
また、上記のようなエチレン性二重結合を有するモノマーの他に、エチレン性二重結合を2個以上有する化合物を併用することもできる。このような化合物の例としては、ジビニルベンゼン、ジアリルマレート、ジアリルフタレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレ-ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
本発明の粘着剤層に用いられるアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体としては、1種又は2種以上のアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位の割合が、重合体における全モノマーの繰り返し単位の総数に対して、50モル%以上、更に80モル%以上、より更に90モル%以上であることが好ましい。2種以上のアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位のみからなる共重合体も好適に用いられる。
アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を有する樹脂フィルムの市販品としては、例えば、日東電工株式会社製、商品名:C−200、C−300;日立化成工業株式会社製、商品名:A−1330等が好適に用いられる。
更に、本発明に係る粘着剤層には、所望に応じて、酸化防止剤、イソシアネート化合物等の硬化剤(架橋剤)、粘着付与剤、シランカップリング剤、充填剤等を本発明の効果を得ることができる範囲内で配合することができる。
本発明の保護フィルムにおける粘着剤層の膜厚は、電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層側の面に対する密着性を適切にするために、適宜調整されれば、特に限定されない。通常、粘着剤層の膜厚は、2〜10μm程度である。
本発明の保護フィルムの粘着剤層の電磁波遮蔽シートへの接着性の目安として、以下のように評価した粘着剤層の剥離抵抗力は、0.05〜1.3N/25mmであることが好ましい。ここで上記剥離抵抗力は、前記保護フィルムの粘着剤層を電解銅箔(厚さ11μm、商品名「TC」、 古河サーキットフォイル(株)製)の表面のうち、RzJIS(JIS B0601(1994年版))が3〜4.3μm、表面の微細凹凸の中心線平均粗さRa(JIS B0601(1994年版))が0.2〜0.6μmの表面側のメッシュ非形成部にローラーを用いて貼り合わせ、貼り合わされたシートを長さ150mm、幅25mmに切り抜いて、保護フィルムを引張り試験機(例えば、商品名「テンシロン」、東洋精機社製)を用いて、該保護フィルムと上記電解銅箔の面とを両者の角度が180°となる方向に引張速度300mm/分で、20〜25℃の雰囲気中で引張って測定することができる。
[離型層]
本発明の保護フィルムは、保存時に上記粘着剤層が支持体の粘着剤層が積層されていない側の面に接着することなく、ロール状態や積み重ねた状態で保存可能なように、更に離型層を有していても良い。当該離型層は、支持体の粘着剤層が積層されていない側の面に、積層されていても良い。また、電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルムが実際に電磁波遮蔽シートに仮積層されるまでの間、粘着剤層の上に離型層が積層されていても良い。離型層としては、シリコーン処理等が行われた易剥離性のPETフィルム等が好適に用いられる。上記仮積層されるまでの間、粘着剤層の上に積層される離型層としては、易剥離性の紙であっても良い。
[保護フィルムの製造方法]
本発明の電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルムの製造方法は、透明基材の一方の面に少なくとも銅メッシュ層が設けられた電磁波遮蔽シートの、当該銅メッシュ層側の面に仮積層するための保護フィルムの製造方法であって、
アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤のうち、当該粘着剤の遊離有機酸量が、当該粘着剤を前記電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層側の面に積層させ、気温60℃、相対湿度95%の雰囲気環境下で200時間静置した前後の前記銅メッシュ層側の面の色差ΔEL*a*b*が10以下になる量である粘着剤を選定して、支持体上に粘着剤層を形成することを特徴とするものである。
このような製造方法により、電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層との易接着性と易剥離性とが両立するという適度な接着性を有しながら、仮積層を剥がす際に、糊残りがなく、また銅メッシュ層上に更に黒化層等が積層された場合でも該黒化層等の一部を剥がすことがなく、更に、長期間、特に高温高湿下で使用されても電磁波遮蔽シートを変色させない保護フィルムを製造することができる。
B.電磁波遮蔽シート
次に、本発明の電磁波遮蔽シートについて説明する。
本発明の第一の電磁波遮蔽シートは、透明基材の一方の面に、少なくとも銅メッシュ層が設けられ、該銅メッシュ層側の面に保護フィルムが仮積層された電磁波遮蔽シートであって、
前記保護フィルムが、支持体の該銅メッシュ層側の面上に、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を備え、
前記粘着剤層中の遊離有機酸量が、当該粘着剤層面を前記電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層側の面に積層させ、気温60℃、相対湿度95%の雰囲気環境下で200時間静置した前後の前記銅メッシュ層側の面の色差ΔEL*a*b*が10以下になる量であることを特徴とするものである。
また、本発明の第二の電磁波遮蔽シートは、透明基材の一方の面に、少なくとも銅メッシュ層が設けられ、該銅メッシュ層側の面に保護フィルムが仮積層された電磁波遮蔽シートであって、
前記保護フィルムが、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を備え、当該粘着剤層によって前記銅メッシュ層側の面に仮積層され、当該保護フィルムを下記試験法により試験したときに抽出された酢酸及び蟻酸量の合計が20ng/cm2以下であることを特徴とするものである。
[試験法]
前記保護フィルムの粘着剤層面を超純水で23℃15分間抽出する。当該抽出液についてイオンクロマトグラフィーを用いて、抽出された酢酸及び蟻酸量を測定する。
また、本発明の第三の電磁波遮蔽シートは、透明基材の一方の面に、少なくとも銅メッシュ層が設けられ、該銅メッシュ層側の面に保護フィルムが仮積層された電磁波遮蔽シートであって、
前記保護フィルムが、ウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を備えたことを特徴とするものである。
透明基材上にエッチングやメッキにより銅メッシュ層の面が形成されてから、当該銅メッシュ層の面に一時的な保護膜が仮積層されることは、実際に次の工程に移るまでの間に、運搬時や保存時に、当該導電性メッシュ層の凹凸部に埃が入ったり、ライン部が汚染されないように保護することが可能であるという利点を有するが、従来、銅メッシュ層に粘着剤層を有するフィルムを仮積層する場合、粘着剤によっては、仮積層した保護フィルムを剥がす際に糊残りを生じたり、銅メッシュ層上に更に黒化層等が形成された場合には該黒化層等の一部を剥がしてしまうという問題点があった。また、当該電磁波遮蔽シートが長時間、特に高温高湿下で保存されると、該銅メッシュ層が変色するという問題点があった。
この点、本発明によれば、上記保護フィルムが、粘着剤層を構成する粘着剤に、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体、特にウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を採用したため、当該保護フィルムを剥がす際に、糊残りがなく、また銅メッシュ層上に更に積層された黒化層等の一部を剥がすことがなく、良好な接着再剥離適性を有する。
また、当該保護フィルムの粘着剤層中の遊離有機酸量が、上記特定の高湿高温下環境試験前後の上記銅メッシュ層側の面の色差ΔEL*a*b*が10以下になる量であることにより、或いは、当該保護フィルムを上記特定の試験法により試験したときに抽出された酢酸及び蟻酸量の合計が20ng/cm2以下であることにより、更に、長期間、特に高温高湿下で使用されても変色しない電磁波遮蔽シートを得ることができる。
本発明に用いられる保護膜が、当該銅メッシュ層と保護フィルムが適切な接着性を有しながら長期間、特に高温高湿下で使用されても変色しないのは、A.保護フィルムにおいて述べたのと同様の理由によるものと考えられる。
〔層構成〕
先ず、図2は本発明による電磁波遮蔽シートについて、基本的な形態を例示する断面図である。
図2(A)は、透明基材11上に銅メッシュ層14が形成され、更に粘着剤層2と支持体1を備えた保護フィルム10が当該粘着剤層2によって前記銅メッシュ層14側の面に仮積層されている電磁波遮蔽シート100の構成が示されている。
また、電磁波遮蔽シートにおいては、更に別の層が設けられていても良く、本発明の電磁波遮蔽シートは、図2(B)に示すように、前記銅メッシュ層14上に黒化層17が設けられてなることが、光の反射率が低減され、コントラスト感を出すことによりディスプレイの画像の視認性を向上する点から好ましい。
図2(A)及び図2(B)の構成においては、透明基材上11上に接着剤層(図示せず)を介して銅メッシュ層14が積層されていてもよい。
また、図2(C)は電解メッキ法で電磁波遮蔽シートを形成された場合の層構成の例示であり、透明基材11上に導電処理層13が形成され、更にその上に銅メッシュ層14と、黒化層17がこの順に積層され、更に粘着剤層2と支持体1を備えた保護フィルム10が当該粘着剤層2によって前記黒化層17の面に仮積層されている構成である。
図3は、図2(C)の電磁波遮蔽シートのうち、透明基材層11、導電処理層13及び銅メッシュ層14のみを例示した斜視図である。導電処理層13及び銅メッシュ層14(以下、両層、及び導電性を有する他の層を総称して単に導電体層12とも称する)は、開口部103が密に配列したメッシュ状であり、該メッシュ状領域101は開口部103と枠をなしているライン部104から構成されている。銅メッシュ層14の表面上に更に積層された黒化層17(図示せず)は、導電体層12と一体となって、メッシュ状領域101を形成する。
図4は、図3のAA断面図、及びBB断面図である。図4(A)は開口部を横断する断面を示し、開口部103とライン104が交互に構成され、図4(B)はライン104を縦断する断面を示し、銅メッシュ層14及び導電処理層13からなるライン部104が連続して形成されている。尚、図2に示した、電磁波遮蔽シートの断面図はいずれもAA断面図に該当する。
尚、以上の例示は、本発明の電磁波遮蔽シートの態様を限定するものではない。電磁波遮蔽シートの銅メッシュ側の面に保護フィルムがその粘着剤層によって仮積層された電磁波遮蔽シートであれば、電磁波遮蔽シートの透明基材の銅メッシュ層が積層されていない側の面に、更に別の保護フィルムが積層されていても良い。また、電磁波遮蔽シートの透明基材の銅メッシュ層が積層されていない側の面に、予め1層以上の光学フィルタが積層されている形態であっても良い。ここでの光学フィルタとは、例えば、反射防止層、紫外線吸収層、近赤外線吸収層、防眩層等が挙げられる。本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明の電磁波遮蔽シートについて、透明基材から、各層毎に順に説明する。なお、本発明の電磁波遮蔽シートに用いられる保護フィルムは、前述の本発明に係る保護フィルムと同様の物を用いることができるため、ここでの説明は省略する。
[透明基材]
透明基材は、機械的強度が弱い銅メッシュ層を補強するための層である。従って、機械的強度と共に光透過性を有すれば、その他、耐熱性、絶縁性等も適宜勘案した上で、用途に応じたものを選択使用すれば良い。透明基材の具体例としては、例えば、樹脂等の有機材料からなる板及びシート(乃至フィルム。以下同様。)等、並びに、ガラス等の無機材料からなる板等である。
上記有機材料からなる板及びシート等として用いる透明樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体などのポリエステル系樹脂、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体などのスチレン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、イミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
なお、これら樹脂は、樹脂材料的には、単独、又は複数種類の混合樹脂(ポリマーアロイを含む)として用いられ、また層的には、単層、又は2層以上の積層体として用いられる。また、樹脂シートの場合、1軸延伸や2軸延伸した延伸シートが機械的強度の点でより好ましい。
また、これら樹脂中には、必要に応じて適宜、紫外線吸収剤、充填剤、可塑剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。
また、上記ガラス板のガラスとしては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラスなどがあり、より好ましくは熱膨脹率が小さく寸法安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラス等が挙げられ、ディスプレイの前面基板等とする電極基板と兼用することもできる。
なお、透明基材の厚さは、用途に応じたものとすれば良く特に制限は無く、透明樹脂から成る場合は、通常12〜1000μm程度であるが、好ましくは50〜500μmである。一方、透明基材がガラス板である場合には、通常1〜5mm程度が好適である。いずれの材料においても、上記未満の厚さとなると機械的強度が不足して反りや弛み、破断などが起こり、上記を超える厚さとなると過剰性能でコスト高となる上、薄型化が難しくなる。
また、透明基材は、前面基板及び背面基板等からなるディスプレイ本体の一構成要素である前面基板と兼用しても良いが、前面基板の前に配置する前面フィルタとして電磁波遮蔽シートを用いる形態では、薄さ、軽さの点で、板よりもシートが優れており、また割れない等の点でも、ガラス板よりも樹脂シートが優れている。
この様な点で、透明基材としては樹脂シートが好ましい材料であるが、樹脂シートのなかでも、特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂シートが、透明性、耐熱性、コスト等の点で好ましく、より好ましくは2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシートが最適である。なお、透明基材の透明性は高いほどよいが、好ましくは可視光線透過率で80%以上となる光透過性が良い。
なお、透明基材は、適宜その表面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、などの公知の易接着処理を行ってもよい。
[銅メッシュ層]
銅メッシュ層は、導電性を有する層であって、電磁波遮蔽機能を担う層であり、またそれ自体は不透明性であるが、メッシュ状の形状で開口部が存在することにより、電磁波遮蔽性能と光透過性を両立させている。
該導電性を有し、電磁波遮蔽機能を担う層は、銅メッシュ層のみから成る形態であっても良いし、銅メッシュ層及びその他の導電性材料の層から成る形態であっても良い。その他の導電性材料の層としては、例えば、銅メッキするための下地層となる導電性を有する薄層(以下、導電処理層という。)や、導電性を有する黒化層等があり、これらをあわせて導電体層と称する。例えば、図2(C)において、黒化層17が導電性を有する場合は、導電体層とは導電処理層13、銅メッシュ層14及び黒化層17を意味する。一方、黒化層17が導電性を有しない場合は、導電体層とは導電処理層13及び銅メッシュ層14を意味する。
なお、本発明における銅メッシュ層は、銅を含むメッシュ層であり、銅からなる場合のほか、黄銅、青銅、燐青銅、白銅、含燐銅等の銅合金からなる場合を包含する。
銅メッシュ層を含む導電体層の形状は、任意で特に限定されないが、開口部の形状としては正方形が代表的である。開口部の形状は、例えば、正三角形等の三角形、正方形、長方形、菱形、台形等の四角形、六角形、等の多角形、或いは、円形、楕円形などが挙げられる。メッシュはこれら形状からなる複数の開口部を有し、開口部間は通常幅均一のライン状のライン部となり、通常は、開口部及び開口部間は全面で同一形状同一サイズである。具体的サイズを例示すれば、開口率及びメッシュの非視認性の点で、開口部間のライン部104の幅、即ちライン幅Wは、40μm以下、好ましくは20μm以下であることが好ましい。但し、電磁波遮蔽効果の発現、破断防止のためには、少なくとも5μm以上確保することが好ましい。また、開口部の間口幅は(ラインピッチP)−(ライン幅W)で表され、本発明においては150μm以上、好ましくは200μm以上とするのが、光透過性、及び後述する光学フィルタとの積層時に開口部内に気泡が残留し難い点から好ましい。但し、MHz〜GHz帯の電磁波遮蔽性発現のためには、最大3000μm以下とする。
また、ライン部104の高さは、1〜100μm程度、好ましくは2〜20μmである。厚さがこれより薄くなり過ぎると電気抵抗上昇により十分な電磁波シールド性能を得難くなり、厚さがこれより厚くなり過ぎると高精細なメッシュ形状が得難くなり、メッシュ形状の均一性が低下する。なお、ライン部の高さは、導電体層12と、更に積層された導電性を有しない層のうち、開口部を形成されてライン部104を形成する層の厚みを全て含む総厚みをいう。また、メッシュ状領域のバイアス角度(メッシュのライン部と電磁波遮蔽シートの外周辺とのなす角度)は、ディスプレイの画素ピッチや発光特性を考慮して、モアレが出難い角度に適宜設定すれば良い。
銅メッシュ層の形成方法は特に限定されるものでは無く、従来公知の光透過性の電磁波遮蔽シートにおける各種形成方法を適宜採用できる。例えば次の(1)〜(4)が挙げられる。
(1)透明基材へ導電インキをパターン状に印刷し、該導電インキ層の上へ金属メッキする方法(例えば、特開2000−13088号公報)。
(2)透明基材へ、導電インキ又は化学メッキ触媒含有感光性塗布液を全面に塗布し、該塗布層をフォトリソグラフィー法でメッシュ状とした後に、該メッシュの上へ金属メッキする方法(例えば、住友大阪セメント株式会社新材料事業部新規材料研究所新材料研究グループ、”光解像性化学メッキ触媒”、[online]、掲載年月日記載なし、住友大阪セメント株式会社、[平成15年1月7日検索]、インターネット〈URL:http://www.socnb.com/product/hproduct/display.html〉)。
(3)透明基材と金属箔とを接着剤で積層した後に、金属箔をフォトリソグラフィー法でメッシュ状とする(例えば、特開平11−145678号公報)。
(4)透明基材の一方の面へ、金属薄膜をスパッタ等により形成して導電処理層を形成し、その上に電解メッキにより金属メッキ層として金属層を形成した透明基材を準備し、該金属メッキした透明基材の金属メッキ層及び導電処理層を、フォトリソグラフィー法でメッシュ状とする(例えば、特許第3502979号公報、特開2004−241761号公報)。
[黒化層]
電磁波遮蔽用シートへ入射する外光を吸収させて、ディスプレイの画像の視認性を向上するために、本発明の電磁波遮蔽シートは、更に黒化層が設けられてなることが、コントラスト向上の点から好ましい。なお、黒化層の中には、該層表面が粗面となり密着強化が図れるものもある。
黒化層としては、黒等の暗色を呈する層であれば良く、密着性等の基本的物性を満足するものであれば良く、公知の黒化層を適宜採用し得る。また、黒化層の導電性の有無は問わない。
従って、黒化層としては、金属等の無機材料、黒着色樹脂等の有機材料等を用いることができ、例えば無機材料としては、金属、合金、金属酸化物、金属硫化物のような金属化合物等、金属系の層として形成する。金属系の層の形成法としては、従来公知の各種黒化処理法を適宜採用できる。なかでも、メッキ法による黒化処理は密着性、均一性、容易性等で好ましい。メッキ法の材料は、例えば、銅、コバルト、ニッケル、亜鉛、モリブデン、スズ、クロム等の金属や金属化合物等を用いる。これらは、密着性、黒さ等の点でカドミウム等による場合よりも優れている。
また、黒化層として、黒色クロム、黒色ニッケル(硫化ニッケル)、ニッケル合金等も好ましく、該ニッケル合金としては、ニッケル−亜鉛合金、ニッケル−スズ合金、ニッケル−スズ−銅合金が挙げられる。通常、黒化層の粒子は針状のために、外力で変形して外観が変化しやすいが、ニッケル合金による黒化層では粒子が変形し難く、後加工工程で外観が変化し難くい利点も得られる。また、硫化ニッケルによる黒化層を用いる場合には生産性が高いという利点がある。しかしながら、硫化ニッケルによる黒化層を用いた場合、保護層の粘着剤により変色しやすいという問題点があったが、本発明によればその問題点も解消される。なお、黒化層の材料として、ニッケル合金を用いる場合、該黒化層の形成方法は公知の電解または無電解メッキ法でよく、ニッケルメッキを行った後に、ニッケル合金を形成してもよい。
黒化処理として好ましいメッキ法には、銅からなる導電体層を、硫酸、硫酸銅及び硫酸コバルト等からなる電解液中で、陰極電解処理を行いカチオン性粒子を付着させるカソーディック電着メッキ法もある。この方法によれば、カチオン性粒子の付着で黒色と同時に粗面も得られる。カチオン性粒子としては、銅粒子、銅合金粒子を採用できる。銅合金粒子としては、銅−コバルト合金粒子が好ましく、更にその平均粒子径は0.1〜1μmが好ましい。銅−コバルト合金粒子により、銅−コバルト合金粒子層からなる黒化層が得られる。カソーディック電着法では、付着させるカチオン性粒子の平均粒子径0.1〜1μmに揃えられる点でも好ましい。平均粒子径が上記範囲超過では、付着粒子の緻密さが低下し黒さの低下やムラが起こり、粒子脱落(粉落ち)が発生し易くなる。一方、平均粒子径が上記範囲未満でも、黒さが低下する。なお、カソーディック電着法は処理を高電流密度で行うことで、処理面がカソーディックとなり、還元性水素発生で活性化し、銅面とカチオン性粒子との密着性が著しく向上する。
該黒化層の好ましい黒濃度は0.6以上である。なお、黒濃度の測定方法は、COLOR CONTROL SYSTEMのGRETAG SPM100−11(キモト社製、商品名)を用いて、観察視野角10度、観察光源D50、照明タイプとして濃度標準ANSITに設定し、白色キャリブレイション後に、試験片を測定する。また、該黒化層の光線反射率としては5%以下が好ましい。光線反射率は、JIS−K7105に準拠して、ヘイズメーターHM150(村上色彩社製、商品名)を用いて測定する。また、反射率の測定に換えて、色差計により反射のY値で表わしてもよく、この際にはY値として15以下が好ましい。
本発明の電磁波遮蔽シートにおいては、前記保護フィルムが仮積層される銅メッシュ層側の面の表面粗さは、表面の輪郭曲線として粗さ曲線を採用した時に、当該輪郭曲線の十点平均粗さRzJIS(JIS B0601(1994年版))が0.5〜5.0μmであることが、当該表面の微細凹凸の中心線平均粗さRa(JIS B0601(1994年版))が0.1〜3.0μmであることが、本発明の特定の粘着剤と組合わせた際に、該保護フィルムの接着再剥離適性、即ち、仮積層を剥がす際に、糊残りが無く、また銅メッシュ層上に更に黒化層等が積層された場合でも該黒化層等の一部を剥がすことが無く剥離できる点に於いて好ましい。
[保護フィルムの積層]
透明基材の一方の面に少なくとも銅メッシュ層が設けられた上記電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層側の面に、前述の保護フィルムを仮積層する方法としては、特に限定されない。
ラミネーターは、ロール式、平板式等、光学フィルタ及び電磁波遮蔽シートに対して加圧することができるものであればかまわないが、ロールツーロール方式に対応し、連続生産が可能な点からロール式ラミネーターを用いることが好ましい。
積層時の加圧は特に限定されないが、例えばロール式ラミネーターを用いる場合、線圧で1〜20kgf/cmが好ましい。積層時の加圧部分の温度も特に限定されない。
図5は、ラミネーターを用いた電磁波遮蔽シートと保護フィルムの積層工程の一例である。ラミネーターの第1給紙部21に電磁波遮蔽シートを巻き取ったものを配置し、且つ第2給紙部22に離型フィルム/保護フィルム(粘着剤層/支持体)からなる積層シートを巻き取ったものを配置する。次いで第1給紙部21から、電磁波遮蔽シートを繰り出しながら、一方、第2給紙部22から離型フィルム/保護フィルム(粘着剤層/支持体)からなる積層シートを繰り出すと同時に離型フィルムを巻取りロール24に巻取り、電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層側と保護フィルムの粘着剤層側とを互いに向かい合わせて、第1ラミネートユニット25で、約10kgf/cmのラミネート圧でラミネートし、次いで、第2ラミネートユニット26で約10kgf/cmのラミネート圧でラミネートして、巻取りロール27に巻き取って、電磁波遮蔽シート/保護フィルム(粘着剤層/支持体)からなる積層シートを得る。尚、図5においては、ラミネートユニットを2段使用しているが、勿論、1段のみで十分な貼着ができる場合は、ラミネートユニットを1段のみの加圧でも良い。
本発明に係る保護フィルム付の電磁波遮蔽シートは、連続帯状のままで流通されても良いし、枚葉化されて流通されてもよい。枚葉化手段は特に限定されず、各種、フィルタ用の切断手段を用いることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。尚、実施例中、部は特に特定しない限り重量部を表す。
<試験例>
下記保護フィルムA〜Dの粘着剤層面を超純水で23℃15分間抽出する。具体的には、各保護フィルムを10cm×10cmの大きさに切り取り、切り取った保護フィルム1枚を 500mlの超純水中に粘着剤層全体を浸漬させて23℃で15分間静置した。
当該抽出液についてイオンクロマトグラフィーを用いて、抽出された酢酸及び蟻酸量を測定した。なお、上記粘着剤層面を超純水で23℃15分間抽出する際にはケミカルフィルタが設置されているクリーンブース内で行った。抽出液中の酢酸又は蟻酸の各成分濃度[ng/mL]に抽出液量[mL]を乗じ、抽出面積[cm2]で除することにより単位面積当たりの各成分の溶出量[ng/cm2]が求めた。
・保護フィルムA:粘着剤層が、メタクリル酸2-ヒドロキシエチルとトリレンジイソシアネートとを反応させて得られたウレタンメタクリレートに対して、メタクリル酸メチルを共重合させてなるアクリル系共重合体からなる。粘着剤層の厚み6μm。総厚み60μm。
・保護フィルムB:粘着剤層が、メタクリル酸2-ヒドロキシエチルとトリレンジイソシアネートとを反応させて得られたウレタンメタクリレートに対して、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、並びに、アクリル酸エチルを共重合させてなるアクリル系共重合体からなる。粘着剤層の厚み6μm。総厚み60μm。
・保護フィルムC:粘着剤層が、アクリル酸ブチルと、アクリル酸2−エチルヘキシルとを共重合させてなるアクリル系重合体からなる。粘着剤層の厚み6μm。総厚み60μm。
・保護フィルムD:粘着剤層が、スチレン−イソブチレン共重合体から成るゴム系共重合体からなる。粘着剤層の厚み6μm。総厚み60μm。
なお、イオンクロマトグラフィーの測定条件は、以下のとおりである。
装置名:DX−600(日本ダイオネクス株式会社製)
カラム:AG11−HC+AS11−HC
溶離液:KOH
溶離液濃度:1〜35mM(グラジェント)
[酢酸及び蟻酸量の試験結果]
測定により得られた酢酸量及び蟻酸量を表1に示す。その結果、保護フィルムA及び保護フィルムBは本発明の電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルムとして用いることが可能であることがわかった。
Figure 2008031447
<実施例1>
図2(C)に示す電磁波遮蔽シート100を次の様にして作製した。
透明基材11として厚さ100μmで片面にポリエステル樹脂系プライマー層を形成した、連続帯状の無着色透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用意した。
この透明基材のプライマー層上に、スパッタ法で、順次、厚さが0.1μmのニッケル−クロム合金層及び厚さが0.2μmの銅層を設けて導電処理層13とした。
該導電処理層面に、硫酸銅浴を用いた電解メッキ法で厚さが2.0μmの銅メッキ層15を設け、これら導電処理層13及び銅メッキ層(以下、両層をあわせて金属層18と称する)として形成して、透明基材上に金属層18が粘着剤層を間に介さずに直接形成された、図6(A)のような銅貼り積層シート20を作製した。
次いで、上記積層シート20に対して、該導電体層12のフォトリソグラフィー法を利用したエッチングにより、図6(B)のような開口部103及びライン部104とから成るメッシュ状領域を形成し、積層体30を得た。
エッチングは、具体的には、カラーTVシャドウマスク用の製造ラインを利用して、連続帯状の上記積層シートに対してマスキングからエッチングまでを一貫して行った。すなわち、上記積層シートの導電体層面全面に感光性のエッチングレジストを塗布後、所望のメッシュパターンを密着露光し、現像、硬膜処理、ベーキングして、メッシュのライン部に相当する領域上にはレジスト層が残留し、開口部に相当する領域上にはレジスト層が無い様なパターンにレジスト層を加工した後、塩化第二鉄水溶液で、導電体層を、エッチング除去してメッシュ状の開口部を形成し、次いで、水洗、レジスト剥離、洗浄、乾燥を順次行った。
メッシュ状領域のメッシュの形状は、その開口部が正方形で非開口部となる線状部分のライン幅は10μm、そのライン間隔(ピッチ)は300μm、ライン部の高さは2.3μm、長方形の枚葉シートに切断した場合に、該長方形の長辺に対する劣角として定義されるバイアス角度は49度であった。
次いで、上記積層体30の金属層18上に黒化層17を形成した。具体的には、アノードにニッケル板を使用し、硫酸ニッケルアンモニウム水溶液と硫酸亜鉛水溶液とチオシアン酸ナトリウム水溶液との混合水溶液からなる黒化処理メッキ浴に、上記メッシュ状の導電体層が透明基材上に形成された積層シートを、浸漬して電解メッキを行って黒化処理して、ニッケル−亜鉛合金からなる黒化層17を、露出している導電体層全面に被覆形成して、導電体層12(導電処理層13、銅メッシュ層14、及び黒化層17)が積層された図6(C)のような積層体40を得た。
次いで、得られた積層体40の銅メッシュ側に、厚さ50μmのポリエチレンフィルム支持体にアクリル系粘着剤層が積層された保護フィルムAを、ロール加工式貼り合わせ機を用いて、ローラ圧力(総圧)0.2MPa、加工速度15m/分の条件にて、鉄芯表面にゴム被覆した1対の加圧ローラ間で挟持して貼り合せを行ない、図6(D)のような透明基材/導電体層12(導電処理層13、銅メッシュ層14、及び黒化層17)/保護フィルムA10(粘着剤層2/ポリエチレンフィルム1)の構成の実施例1の電磁波遮蔽シート100を製造した。
<実施例2>
実施例1の電磁波遮蔽シートにおいて、保護フィルムAを、保護フィルムBに変更したこと以外は同様にして、実施例2の電磁波遮蔽シートを製造した。
<比較例1>
実施例1の電磁波遮蔽シートにおいて、保護フィルムAを、保護フィルムCに変更したこと以外は同様にして、比較例1の電磁波遮蔽シートを製造した。
<比較例2>
実施例1の電磁波遮蔽シートにおいて、保護フィルムAを、保護フィルムDに変更したこと以外は同様にして、比較例2の電磁波遮蔽シートを製造した。
〔性能評価方法〕
上記、各実施例、及び比較例に対して、以下の点を評価した。評価結果を表2に示す。
(1)変色性−1
まず、得られた電磁波遮蔽シートの銅メッシュ側の面の色度a、b、及び明度L(国際照明委員会(CIE)規定)を測定する。次に、高温高湿(気温60℃、95%RH)雰囲気下に200時間曝した後、同様に銅メッシュ側の面の色度及び明度を測定する。上記測定結果から、高温高湿雰囲気下に曝す前後の色差ΔEを求めた。ΔEL*a*b*>10(目視判定で色差が僅差の水準以上で明確に変色が認められる)を×、1<ΔEL*a*b*≦10(目視判定で色差が僅差の水準以下)を△、更に変色ΔEL*a*b*≦1(目視判定で変色弁別の閾値以下の水準)を○とした。
(2)変色性−2
高温(気温80℃)の乾燥雰囲気下に200時間曝した後、同様に色度及び明度を測定する。上記測定結果から、高温高湿雰囲気下に曝す前後の色差ΔEL*a*b*を求めた。色差ΔEL*a*b*の判断基準は、上記変色性−1と同様に行った。
(3)剥離抵抗力(密着性)
前記保護フィルムが仮積層された各電磁波遮蔽シートを、長さ150mm、幅25mmに切り抜いた。当該切り抜かれた保護フィルムを引張り試験機(東洋精機社製、商品名:「テンシロン」)を用いて、該保護フィルムと銅メッシュ層側の面とを両者の角度が180°となる方向に引張速度300mm/分で、20〜25℃の雰囲気中で引張って測定した。
(4)糊残り
上記剥離抵抗力の評価において、保護フィルムを剥離した際に、銅メッシュ層側の面に粘着剤が残らなかった場合「糊残りなし:○」及び、銅メッシュ層側の面に粘着剤が残った場合「糊残りあり:×」を目視で判断した。
(5)黒化層の剥離の有無
上記剥離抵抗力の評価において、保護フィルムを剥離した際に、保護フィルムの粘着剤層面に黒化層の一部が剥離して付着していなかった場合「剥離なし:○」及び、黒化層の一部が剥離して付着していた場合「剥離あり:×」を目視で判断した。
Figure 2008031447
<結果のまとめ>
以上の実施例及び比較例から以下のことがわかる。
実施例1及び2で得られた本発明の電磁波遮蔽シートは、当該銅メッシュ層と保護フィルムが適切な接着性を有しながら、当該保護フィルムを剥がす際に、糊残りがなく、また銅メッシュ層上に更に積層された黒化層等の一部を剥がすことがなく、且つ長期間、特に高温高湿下で使用されても変色しないものであった。
一方、粘着剤層から抽出される酢酸及び蟻酸量が多い比較例1で得られた電磁波遮蔽シートは、接着性は十分であるものの、長期間、特に高温高湿下で曝された場合に変色が認められた。又、ゴム系粘着剤層を用いた比較例2においては、銅メッシュの変色は問題無く良好ではあったが、保護シート剥離時に糊残り及び黒化層の一部剥離が発生した。
本発明に係る電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルムの一例の断面図である。 図2(A)〜図2(C)は、本発明に係る電磁波遮蔽シートの例を示す断面図である。 本発明に係る電磁波遮蔽シートの一例(図2(C))の斜視図である。 本発明に係る電磁波遮蔽シートの一例の断面図である。 本発明の電磁波遮蔽シートと保護フィルム仮積層するためのラミネート機の一例を示す図である。 本発明に係る電磁波遮蔽シートを製造する際の一例を示す図である。
符号の説明
1 支持体
2 粘着剤層
11 透明基材
12 導電体層
13 導電処理層
14 銅メッシュ層
15 銅メッキ層
17 黒化層
18 金属層
20、30、40 積層体
21 第1給紙部
22 第2給紙部
23 第1離型フィルム巻取りロール
24 第2離型フィルム巻取りロール
25 第1ラミネートユニット
26 第2ラミネートユニット
27 巻取りロール
100 電磁波遮蔽シート
101 メッシュ状領域
103 開口部
104 ライン部

Claims (12)

  1. 透明基材の一方の面に少なくとも銅メッシュ層が設けられた電磁波遮蔽シートの、当該銅メッシュ層側の面に仮積層するための保護フィルムであって、
    支持体上に、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を備え、
    前記粘着剤層中の遊離有機酸量が、当該粘着剤層面を前記電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層側の面に積層させ、気温60℃、相対湿度95%の雰囲気環境下で200時間静置した前後の前記銅メッシュ層側の面の色差ΔEL*a*b*が10以下になる量であることを特徴とする、電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルム。
  2. 支持体上に、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を備えた保護フィルムであって、当該保護フィルムを下記試験法により試験したときに抽出された酢酸及び蟻酸量の合計が20ng/cm2以下であることを特徴とする、電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルム。
    [試験法]
    前記保護フィルムの粘着剤層面を超純水で23℃15分間抽出する。当該抽出液についてイオンクロマトグラフィーを用いて、抽出された酢酸及び蟻酸量を測定する。
  3. 前記粘着剤層におけるアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位として、ウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートから誘導される繰り返し単位が含まれることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルム。
  4. 支持体上に、ウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を備えたことを特徴とする、電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルム。
  5. 透明基材の一方の面に、少なくとも銅メッシュ層が設けられ、該銅メッシュ層側の面に保護フィルムが仮積層された電磁波遮蔽シートであって、
    前記保護フィルムが、支持体上の該銅メッシュ層側に、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を備え、
    前記粘着剤層中の遊離有機酸量が、当該粘着剤層面を前記電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層側の面に積層させ、気温60℃、相対湿度95%の雰囲気環境下で200時間静置した前後の前記銅メッシュ層側の面の色差ΔEL*a*b*が10以下になる量であることを特徴とする、電磁波遮蔽シート。
  6. 透明基材の一方の面に、少なくとも銅メッシュ層が設けられ、該銅メッシュ層側の面に保護フィルムが仮積層された電磁波遮蔽シートであって、
    前記保護フィルムが、支持体上に、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を備え、当該粘着剤層によって前記銅メッシュ層側の面に仮積層され、当該保護フィルムを下記試験法により試験したときに抽出された酢酸及び蟻酸量の合計が20ng/cm2以下であることを特徴とする、電磁波遮蔽シート。
    [試験法]
    前記保護フィルムの粘着剤層面を超純水で23℃15分間抽出する。当該抽出液についてイオンクロマトグラフィーを用いて、抽出された酢酸及び蟻酸量を測定する。
  7. 前記保護フィルムの粘着剤層におけるアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位として、ウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートから誘導される繰り返し単位が含まれることを特徴とする、請求項5又は6に記載の電磁波遮蔽シート。
  8. 透明基材の一方の面に、少なくとも銅メッシュ層が設けられ、該銅メッシュ層側の面に保護フィルムが仮積層された電磁波遮蔽シートであって、
    前記保護フィルムが、支持体上の該銅メッシュ層側に、ウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤層を備えたことを特徴とする、電磁波遮蔽シート。
  9. 前記保護フィルムにおける粘着剤層の銅メッシュ層側の面に対する剥離抵抗力が0.05〜1.3N/25mmであることを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載の電磁波遮蔽シート。
  10. 前記保護フィルムが仮積層されている銅メッシュ層側の面の表面粗さは、表面の輪郭曲線として粗さ曲線を採用した時に、当該輪郭曲線の十点平均粗さRzJIS(JIS B0601(1994年版))が0.5〜5.0μmである、請求項5乃至9のいずれかに記載の電磁波遮蔽シート。
  11. 前記保護フィルムが仮積層されている銅メッシュ層側の面の表面粗さは、当該表面の微細凹凸の中心線平均粗さRa(JIS B0601(1994年版))が0.1〜3.0μmである、請求項5乃至10のいずれかに記載の電磁波遮蔽シート。
  12. 透明基材の一方の面に少なくとも銅メッシュ層が設けられた電磁波遮蔽シートの、当該銅メッシュ層側の面に仮積層するための保護フィルムの製造方法であって、
    アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する重合体を含む粘着剤のうち、当該粘着剤の遊離有機酸量が、当該粘着剤を前記電磁波遮蔽シートの銅メッシュ層側の面に積層させ、気温60℃、相対湿度95%の雰囲気環境下で200時間静置した前後の前記銅メッシュ層側の面の色差ΔEL*a*b*が10以下になる量である粘着剤を選定して、支持体上に粘着剤層を形成することを特徴とする、電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルムの製造方法。
JP2007166610A 2006-06-29 2007-06-25 電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルム及びその製造方法、並びに電磁波遮蔽シート Pending JP2008031447A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007166610A JP2008031447A (ja) 2006-06-29 2007-06-25 電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルム及びその製造方法、並びに電磁波遮蔽シート

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006179105 2006-06-29
JP2007166610A JP2008031447A (ja) 2006-06-29 2007-06-25 電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルム及びその製造方法、並びに電磁波遮蔽シート

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008031447A true JP2008031447A (ja) 2008-02-14

Family

ID=39121210

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007166610A Pending JP2008031447A (ja) 2006-06-29 2007-06-25 電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルム及びその製造方法、並びに電磁波遮蔽シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008031447A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011530438A (ja) * 2008-08-12 2011-12-22 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 腐食感受性層に適合する接着剤
WO2017026211A1 (ja) * 2015-08-11 2017-02-16 コニカミノルタ株式会社 機能性シート

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02292382A (ja) * 1989-05-02 1990-12-03 Saiden Kagaku Kk 感圧性接着剤組成物
JP2000068237A (ja) * 1998-08-18 2000-03-03 Lintec Corp ウエハ裏面研削時の表面保護シートおよびその利用方法
JP2003188576A (ja) * 2001-12-19 2003-07-04 Dainippon Printing Co Ltd 電磁波遮蔽用シート
JP2005325250A (ja) * 2004-05-14 2005-11-24 Nitto Denko Corp 金属面貼付用感圧性粘着シート類および金属面を有する物品

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02292382A (ja) * 1989-05-02 1990-12-03 Saiden Kagaku Kk 感圧性接着剤組成物
JP2000068237A (ja) * 1998-08-18 2000-03-03 Lintec Corp ウエハ裏面研削時の表面保護シートおよびその利用方法
JP2003188576A (ja) * 2001-12-19 2003-07-04 Dainippon Printing Co Ltd 電磁波遮蔽用シート
JP2005325250A (ja) * 2004-05-14 2005-11-24 Nitto Denko Corp 金属面貼付用感圧性粘着シート類および金属面を有する物品

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011530438A (ja) * 2008-08-12 2011-12-22 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 腐食感受性層に適合する接着剤
WO2017026211A1 (ja) * 2015-08-11 2017-02-16 コニカミノルタ株式会社 機能性シート

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8039074B2 (en) Protective film for temporarily lamination to electromagnetic wave shielding sheet, method for producing the same, and electromagnetic wave shielding sheet
JP5194616B2 (ja) 粘着剤組成物、該粘着剤組成物を用いたプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ、及びプラズマディスプレイパネル表示装置
JP2007095971A (ja) 電磁波遮蔽シート
US6733869B2 (en) Electromagnetic shielding sheet and method of producing the same
JP4288235B2 (ja) 電磁波遮蔽用シート
JP4445858B2 (ja) 電磁波遮蔽用シート
JP4346607B2 (ja) 電磁波遮蔽用シート、ディスプレイ用前面板及び電磁波遮蔽用シートの製造方法
KR100934292B1 (ko) 전자파차폐용 시트
JP2007096111A (ja) ディスプレイ用複合フィルタ、及びディスプレイ用複合フィルタの製造方法
JP2009188298A (ja) 電磁波遮蔽複合フィルタの製造方法
WO2005072040A1 (ja) 電磁波シールドフィルム、及びその製造方法
JP2008311565A (ja) ディスプレイ用複合フィルタ
JP2007324524A (ja) 複合フィルタ
JP2007048789A (ja) ディスプレイ用複合フィルタの製造方法
KR20060052265A (ko) 점착제층 부착 전자파 쉴드 필터
JP2012116940A (ja) 粘着剤組成物およびプラズマディスプレイ用複合フィルタ
JP2007266239A (ja) プラズマディスプレイ用シート状複合フィルタの製造方法、及びプラズマディスプレイ用シート状複合フィルタ
JP4560084B2 (ja) 電磁波シールドフィルタ
JPWO2007037329A1 (ja) 電磁波シールドフィルタ
JP2006210763A (ja) ディスプレイ用電磁波シールドフィルタ
JP2008031447A (ja) 電磁波遮蔽シート仮積層用保護フィルム及びその製造方法、並びに電磁波遮蔽シート
JP2008209486A (ja) ディスプレイ用複合フィルタ
JP2003046293A (ja) 電磁波シールド材料の製造方法、その方法によって得られる磁波シールド材料、並びにこれを用いた電磁波遮蔽構成体及び電磁波シールドディスプレイ
JP2009302481A (ja) 電磁波遮蔽シートの製造方法
JP2007272151A (ja) フラットディスプレイ用耐衝撃シート、プラズマディスプレイ用光学フィルタ、プラズマディスプレイパネル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100416

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120613

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120619

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20130108