本発明の実施形態の画像形成装置の一例について図1〜図10に従って説明する。
図10に示されるように、本実施形態に係る画像形成装置10は、上下方向(矢印V方向)の下側から上側へ向けて、記録媒体としてのシート部材Pが収容される収容部12と、収容部12の上に設けられ収容部12から供給されるシート部材Pに画像形成を行う画像形成部14と、画像形成部14の上に設けられ読取原稿Gを読み取る原稿読取部16と、画像形成部14内に設けられ画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20と、を含んで構成されている。
なお、以後の説明では、画像形成装置10の装置本体10Aの上下方向(矢印V方向)を単に矢印V方向と、水平方向(図10に示す矢印H方向)を単に矢印H方向と記載する。
収容部12には、サイズの異なるシート部材Pが収容される第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26が設けられている。さらに、第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26には、収容されたシート部材Pを画像形成装置10内に設けられた搬送路28に送り出す送り出しロール32が設けられている。
そして、搬送路28において送り出しロール32に対してシート部材Pの搬送方向の下流側(以下単に搬送方向下流側と言う)には、シート部材Pを一枚ずつ搬送する搬送ロール34及び搬送ロール36がそれぞれ設けられている。また、搬送路28において搬送ロール36に対して搬送方向下流側には、シート部材Pを一端停止させるとともに、決められたタイミングでシート部材Pを後述する二次転写位置へ送り出す位置合せロール38が設けられている。
さらに、画像形成部14の下側に設けられた搬送路28の下流側部分は、画像形成装置10の正面視において、画像形成部14の左側下部から画像形成部14の右側面に設けられた排紙部15まで設けられている。また、搬送路28には、シート部材Pの両面に画像形成を行うためにシート部材Pが搬送及び反転される両面搬送路29が接続されている。
この両面搬送路29は、画像形成装置10の正面視において、搬送路28と両面搬送路29の切り替えが行われる第1切替部材31と、画像形成部14の右側下部から収容部12の右側まで矢印V方向に直線状に設けられた反転部33と、反転部33に搬送されたシート部材Pの後端が進入するとともに矢印H方向に搬送される搬送部37と、反転部33と搬送部37の切り替えが行われる第2切替部材35と、を有している。そして、反転部33には搬送ロール42が間隔をあけて複数箇所に設けられており、搬送部37には搬送ロール44が間隔をあけて複数箇所に設けられている。
この第1切替部材31は断面三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が搬送路28又は両面搬送路29のいずれか一方に移動されることで、シート部材Pの搬送方向を切り替えるようになっている。同様に、第2切替部材35は断面三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が反転部33又は搬送部37のいずれか一方に移動されることで、シート部材Pの搬送方向を切り替えるようになっている。
なお、搬送部37における搬送方向下流側の端部は、搬送路28に図示しない案内部材により接続されている。また、画像形成部14の左側の壁面には、折り畳み式の手差給紙部46が設けられており、手差給紙部46から搬送路28の位置合せロール38の手前までが接続されている。
一方、画像形成装置10の上側に設けられた原稿読取部16には、読取原稿Gを1枚ずつ自動で搬送する原稿搬送装置52と、原稿搬送装置52の下側に配置され1枚の読取原稿Gが載せられるプラテンガラス54と、原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿G又はプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取る原稿読取装置56とが設けられている。
この原稿搬送装置52は、搬送ロール53が複数配置された自動搬送路55を有しており、自動搬送路55の一部はシート部材Pがプラテンガラス54上を通るように配置されている。また、原稿読取装置56は、プラテンガラス54の左端部に静止した状態で原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿Gを読み取り、又は矢印H方向に移動しながらプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取るようになっている。
さらに、原稿読取部16の下側に設けられた画像形成部14は、画像形成装置10の装置本体10Aの中央にトナー画像が表面に形成されて保持する円筒状の他の機能部品の一例としての像保持体62が設けられている。像保持体62は、図示しない駆動手段によって矢印+R方向(図示の時計回り方向)に回転すると共に、光照射によって形成される静電潜像を保持するようになっている。また、像保持体62の上方で且つ像保持体62の表面と対向する位置には、像保持体62の表面を帯電するスコロトロン方式の帯電部材64が設けられている。
さらに、像保持体62の回転方向における帯電部材64よりも下流側でかつ像保持体62の表面と対向する位置には、露光装置66が設けられている。露光装置66は、LED(Light Emitting Diode)で構成されており、帯電部材64により帯電した像保持体62の表面に各トナー色に対応した画像信号に基づき、光を照射(露光)して静電潜像を形成するようになっている。なお、露光装置66はLED方式に限らず、例えば、レーザ光をポリゴンミラーで走査するものであってもよい。
また、像保持体62の回転方向で露光装置66の露光光が照射される部位よりも下流側には、像保持体62の表面に形成された静電潜像を決められた色のトナーで現像して可視化させる回転切り替え式の現像装置70が設けられている。
図9に示されるように、現像装置70は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナー色にそれぞれ対応する現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが、周方向に(反時計回り方向にこの順番で)並んで配置されている。そして、回転手段であるモータ(図示省略)によって中心角で60°ずつ回転することで、現像処理を行う現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが切り替えられ、像保持体62の表面と対向するようになっている。
なお、現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fは同様の構成となっているため、ここでは現像器72Yについて説明し、他の現像器72M、72C、72K、72E、72Fについては説明を省略する。
現像器72Yは、本体となるケース部材76を有しており、ケース部材76内にトナーカートリッジ78Y(図10参照)からトナー供給路(図示省略)を経由して供給されるトナー及びキャリアから成る現像剤(図示省略)が充填されている。
また、ケース部材76には、像保持体62の表面と対向して矩形状の開口部76Aが形成されており、開口部76Aには、表面が像保持体62の表面と対向する現像ロール74が設けられている。さらに、ケース部材76内で開口部76Aに近い部位には、現像剤の層厚を規制するための板状の規制部材79が、開口部76Aの長手方向に沿って設けられている。
現像ロール74は、回転可能に設けられた円筒状の現像スリーブ74Aと、現像スリーブ74Aの内側に固定された複数の磁極から成る磁性部材74Bとで構成されており、現像スリーブ74Aが回転することで現像剤(キャリア)の磁気ブラシが形成されると共に、規制部材79で層厚が規制されることで、現像スリーブ74Aの表面に現像剤層を形成するようになっている。そして、現像スリーブ74Aの表面の現像剤層は、像保持体62に対向する位置に搬送され、像保持体62の表面に形成された潜像(静電潜像)に応じたトナーを付着させて現像を行う。
また、ケース部材76内には、螺旋状に形成された搬送オーガ77が2本回転可能に並列配置されており、この2本の搬送オーガ77が回転することで、ケース部材76内に充填された現像剤が、現像ロール74の軸方向(現像器72Yの長手方向)に循環搬送されるようになっている。
なお、各現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fに設けられた6本の現像ロール74は、隣の現像ロール74との間隔が中心角60°となるように周方向に配置されており、現像器72の切り替えにより、次の現像ロール74が像保持体62の表面と対向するようになっている。
さらに、像保持体62の回転方向で現像装置70よりも下流側であり、かつ像保持体62の下側には、像保持体62の表面に形成されたトナー画像が転写される一の機能部品の一例としての中間転写ベルト68が設けられている。この中間転写ベルト68は、無端状であり、制御部20により回転駆動される駆動ロール61、中間転写ベルト68に張力を付与するための張力付与ロール63、中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する複数の搬送ロール65、及び中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する補助ロール69に巻き掛けられている。そして、中間転写ベルト68は、駆動ロール61が回転することにより、矢印−R方向(図示の反時計回り方向)に周回移動するようになっている。
また、中間転写ベルト68を挟んで像保持体62の反対側には、像保持体62の表面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写させる一次転写ロール67が設けられている。一次転写ロール67は、像保持体62と中間転写ベルト68とが接触する位置から中間転写ベルト68の移動方向下流側に離れた位置で、中間転写ベルト68の裏面に接触している。そして、一次転写ロール67は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている像保持体62との電位差で像保持体62のトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写するようになっている。
さらに、中間転写ベルト68を挟んで補助ロール69の反対側には、中間転写ベルト68上に一次転写されたトナー画像をシート部材Pに二次転写させる二次転写ロール71が設けられており、二次転写ロール71と補助ロール69との間がシート部材Pへトナー画像を転写する二次転写位置とされている。二次転写ロール71は、中間転写ベルト68の表面に接触している。そして、二次転写ロール71は接地されており、図示しない電源から軸にバイアス印加された補助ロール69と、接地された二次転写ロール71との電位差で、中間転写ベルト68のトナー画像をシート部材Pに二次転写するようになっている。
また、中間転写ベルト68を挟んで駆動ロール61の反対側には、中間転写ベルト68の二次転写後の残留トナーを掻き落とすクリーニングブレード100Aを備えた第一回収装置の一例としての第一クリーニング装置100が設けられている。なお、第一クリーニング装置100については詳細を後述する。
さらに、中間転写ベルト68の周囲で張力付与ロール63と対向する位置には、中間転写ベルト68の表面に付されたマーク(図示省略)を検知することで中間転写ベルト68上の予め定めた基準位置を検出し、画像形成処理の開始タイミングの基準となる位置検出信号を出力する位置検出センサ83が設けられている。
また、像保持体62の回転方向で一次転写ロール67よりも下流側には、像保持体62の表面の帯電電位をマイナス側に帯電させて調整するコロトロン式の帯電器の一例としての調整帯電器86が設けられている。さらに、像保持体62の回転方向で調整帯電器86よりも下流側には、中間転写ベルト68に一次転写されずに像保持体62の表面に残留した残留トナー等を清掃する第二回収装置の一例としての第二クリーニング装置73が設けられている。なお、第二クリーニング装置73については詳細を後述する。
さらに、像保持体62の回転方向で第二クリーニング装置73の下流側(帯電部材64よりも上流側)には、像保持体62の表面に光を照射して除電を行う除電装置75が設けられている。
一方、図10に示されるように、二次転写ロール71によるトナー画像の二次転写位置は、前述の搬送路28の途中に設定されており、搬送路28におけるシート部材Pの搬送方向(矢印Aで図示)で二次転写ロール71よりも下流側には、二次転写ロール71によってトナー画像が転写されたシート部材Pにトナー画像を定着させる定着装置80が設けられている。
定着装置80は、シート部材Pのトナー画像面側(上側)に配置され、通電により発熱する熱源を有する加熱ロール82と、加熱ロール82の下側に配置されシート部材Pを加熱ロール82の表面に向けて加圧する加圧ロール84とで構成されている。なお、搬送路28におけるシート部材Pの搬送方向で定着装置80よりも下流側には、排紙部15又は反転部33へ向けてシート部材Pを搬送する搬送ロール39が設けられている。
一方、原稿読取装置56の下側で現像装置70よりも上側には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナーを収容するトナーカートリッジ78Y、78M、78C、78K、78E、78Fが矢印H方向に並んで交換可能に設けられている。第1特別色E及び第2特別色Fは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の特別色(透明を含む)から選択され、または、選択されないようになっている。そして、現像装置70では、第1特別色E及び第2特別色Fが選択された場合はY、M、C、K、E、Fの6色での画像形成を行い、第1特別色E及び第2特別色Fが選択されない場合はY、M、C、Kの4色での画像形成を行うようになっている。
なお、本実施形態では、一例として、Y、M、C、Kの4色で画像形成を行い、第1特別色E及び第2特別色Fを未使用とした場合について説明するが、他の例として、Y、M、C、Kの4色と第1特別色E又は第2特別色Fを用いて5色で画像形成を行ってもよい。
以上の構成により、図10に示されるように、画像形成装置10を作動させると、画像処理装置(図示省略)又は外部から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像データが露光装置66に順次出力される。このとき、一例として、現像装置70は、現像器72Y(図9参照)が像保持体62の表面と対向するように回転し保持されている。また、第一クリーニング装置100のクリーニングブレード100A(図29参照)及び二次転写ロール71は、各色のトナー画像が中間転写ベルト68に多重(一次)転写されるまで、中間転写ベルト68の表面から離されている。
続いて、露光装置66から画像データに応じて出射された光は、帯電部材64により帯電された像保持体62の表面を露光する。そして、例えば、像保持体62の表面にはイエローの画像データに対応した静電潜像が形成される。さらに、像保持体62の表面に形成された静電潜像は、現像器72Yによってイエローのトナー画像として現像される。そして、像保持体62の表面のイエローのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68に転写される。
続いて、現像装置70が矢印+R方向に60°回転され、現像器72Mが像保持体62の表面と対向する。そして、帯電、露光、現像の各工程が行われ、像保持体62の表面のマゼンタのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68のイエローのトナー画像上に転写される。同様にして、シアン(C)、黒(K)のトナー画像が中間転写ベルト68上に順次多重転写される。中間転写ベルト68に対してトナー画像の転写が終了すると、第一クリーニング装置100のクリーニングブレード100A及び二次転写ロール71は、中間転写ベルト68の表面へ接する。
一方、収容部12から送り出され、搬送路28を搬送されてきたシート部材Pは、位置合せロール38により、中間転写ベルト68への各トナー画像の多重転写とタイミングを合わせて二次転写位置に搬送される。そして、中間転写ベルト68上に多重転写されたトナー画像は、二次転写位置に搬送されてきたシート部材P上に二次転写ロール71によって二次転写される。さらに、中間転写ベルト68の表面に付着した残留トナーがクリーニングブレード100Aで中間転写ベルト68から掻き落とされて回収される。
続いて、トナー画像が転写されたシート部材Pは、定着装置80に向けて矢印A方向(図示の右方向)に搬送される。そして、定着装置80では、トナー画像が加熱ロール82及び加圧ロール84によって加熱、加圧されることでシート部材Pに定着される。さらに、トナー画像が定着されたシート部材Pは、一例として、排紙部15に排出される。なお、シート部材Pの両面に画像を形成する場合は、定着装置80で表面に画像定着を行った後、シート部材Pを矢印−V方向に沿って反転部33に送り込むと共に矢印+V方向に沿って送り出すことで、シート部材Pの先端と後端を入れ替える。そして、シート部材Pを両面搬送路29によって矢印B方向(図示の左方向)に搬送し、さらに搬送路28に送り込んで、シート部材Pの裏面の画像形成及び定着を表面と同様に行う。
(要部構成)
次に、第一クリーニング装置100及び第二クリーニング装置73等について説明する。
先ず、第一クリーニング装置100について説明する。
図7に示されるように、第一クリーニング装置100の筐体102の上部には、L字形の板金から成る第1可動部材116が設けられている。なお、図7には、中間転写ベルト68にクリーニングブレード100A及びシール部材108が接触した状態が示されている。
さらに、第1可動部材116の裏側には、矢印V方向及び矢印H方向に対して直交する装置奥行方向(以下単に装置奥行方向と言う)を軸方向とする支軸118が固定されている。また、支軸118の両端部は、ベアリング(図示省略)により回転可能に支持されている。
そして、第1可動部材116の上面には、支持板119がネジで取り付けられている。さらに、支持板119の下部には、先端部が中間転写ベルト68に接触可能なクリーニングブレード100Aの短手方向の一方の端部が接着により固定されている。
クリーニングブレード100Aは、平面視で矩形状の樹脂製の板材であり、長手方向が筐体102の開口部104の長手方向に沿うように支持板119に取り付けられている。また、クリーニングブレード100Aは、リトラクト機構部(図示省略)が接触状態の配置となっているときに、自由端側(支持板119に接着されていない他方の端部)が中間転写ベルト68と接触するように配置されており、中間転写ベルト68の残留トナーを筐体102内に回収するようになっている。また、筐体102の左側には、装置奥行方向を長手方向とするL字形の第2可動部材120が設けられている。
第2可動部材120の裏側には、装置奥行方向を軸方向として回転可能に設けられた支軸(図示省略)が取り付けられている。これにより、第2可動部材120は回転可能に支持されている。なお、第2可動部材120は、第1可動部材116に連動して回転(移動)するようになっている。また、第2可動部材120の上部には、シール部材108の短手方向の一方の端部が接着により固定されている。
シール部材108は、透明なフィルム材であり、開口部104における中間転写ベルト68の搬送方向の上流側の縁部に沿って中間転写ベルト68と接触するように第2可動部材120に取り付けられている。
また、シール部材108は、リトラクト機構部(図示省略)が接触状態の配置となっているときで、且つクリーニングブレード100Aが中間転写ベルト68に接触しているときに、自由端側(第2可動部材120に接着されていない他方の端部)が中間転写ベルト68と接触するように配置されており、これにより、筐体102と中間転写ベルト68との隙間を密閉するようになっている。さらに、シール部材108は、クリーニングブレード100Aよりも下側に配置されている。ここで、シール部材108の先端部は、下流側において、中間転写ベルト68の移動方向に沿って配置されており、シール部材108によってトナーが掻き取られることはない。
また、筐体102の右側には、不織布等で成形されたフィルタ112の両端部を筐体102内に取り付けるための枠状の取付部材113が設けられている。さらに、筐体102の右側には、フィルタ112で仕切られた逆三角形状の吸引路115が形成されている。リトラクタ時にこの吸引路115を通して筐体102内の空気を吸引することで、中間転写ベルト68から回収されたトナーが再度中間転写ベルト68に付着するのを防止するようになっている。
さらに、筐体102内には、クリーニングブレード100Aによって掻き落とされて筐体102の内部に回収されたトナーを、回転しながら外部へ搬送する搬送オーガ121が設けられている。詳細には、この搬送オーガ121は、装置奥行方向に延びて設けられ、回収されたトナーを装置本体10A(図10参照)の奥側に搬送し、後述する第一搬送手段の一例としての第一搬送経路152にトナーを排出するようになっている。
次に、第二クリーニング装置73について説明する。
図8、図9に示されるように、像保持体62に対向して設けられた第二クリーニング装置73には、中間転写ベルト68に一次転写されずに像保持体62の表面に残留した残留トナーに接して残留トナーを掻き乱す回転ブラシ130が設けられている。この回転ブラシ130は、第二クリーニング装置73を構成する筐体132に回転自在に支持されている。
さらに、第二クリーニング装置73には、先端部が像保持体62の表面に接し、基端部が筐体132に固定される板状のブレード134が回転ブラシ130の上側(像保持体62の回転方向の下流側)に設けられている。そして、このブレード134が、回転ブラシ130によって掻き乱された残留トナーを像保持体62の表面から掻き落とすようになっている。
また、筐体132の内部には、ブレード134によって掻き落とされて筐体132の内部に回収されたトナーを、回転しながら外部へ搬送する搬送オーガ136が設けられている。詳細には、この搬送オーガ136は、装置奥行方向に延びて設けられ、回収されたトナーを装置本体10A(図10参照)の奥側に搬送し、後述する第二搬送手段の一例としての第二搬送経路154にトナーを排出するようになっている。
さらに、回転ブラシ130の下側には、基端部が筐体132に固定され、先端部が像保持体62の表面に接する薄板状のロアシール138が設けられている。そして、このロアシール138が、筐体132の内部に回収されたトナーが下方へ落下するのを抑制するようになっている。
次に、第一クリーニング装置100の搬送オーガ121及び第二クリーニング装置73の搬送オーガ136が回収したトナーを回収する構成について説明する。
図4、図10に示されるように、画像形成装置10には、第一クリーニング装置100及び第二クリーニング装置73によって回収されたトナーを回収するトナー回収システム150が設けられている。
トナー回収システム150は、第一クリーニング装置100の搬送オーガ121(図9参照)によって第一クリーニング装置100から排出されたトナーが搬送される第一搬送経路152と、第二クリーニング装置73の搬送オーガ136(図9参照)によって排出されたトナーが搬送されると共に、第一搬送経路152より経路長が長い第二搬送経路154とを備えて構成されている。
さらに、第一搬送経路152と第二搬送経路154とが合流する合流部156と、合流部156からトナーをトナー回収部160に向けて搬送する第三搬送経路158と、第三搬送経路158とトナー回収部160とを接続する接続部162とがトナー回収システム150に設けられている。
詳細には、図3、図4、図5に示されるように、第一搬送経路152には、円筒状の第一本体166と、第一本体166の端側に設けられ、第一クリーニング装置100の搬送オーガ121(図7参照)によって排出されたトナーを受け取る受口168と、第一本体166の内部に設けられ、受口168に排出されたトナーを合流部156に向って搬送する搬送オーガ170とが設けられている。
搬送オーガ170は、駆動部材(図示省略)の駆動力で回転する軸部170Aと、軸部170Aの周りに設けられた螺旋状の羽根部170Bとを備えている。そして、軸部170Aを回転させることで、羽根部170Bがトナーを合流部156に向けて搬送するようになっている。
一方、図3、図4に示されるように、第二搬送経路154には、円筒状の第二本体174と、第二本体174の端側に設けられ、第二クリーニング装置73の搬送オーガ136(図9参照)によって排出されたトナーを受け取る受口176と、第一本体166の内部に設けられ、受口176に排出されたトナーを合流部156に向って搬送する搬送オーガ178とが設けられている。
搬送オーガ178は、駆動部材(図示省略)の駆動力で回転する軸部178Aと、軸部178Aの周りに設けられた螺旋状の羽根部178Bとを備えている。そして、軸部178Aを回転させることで、羽根部178Bがトナーを合流部156に向けて搬送するようになっている。
さらに、図3、図5に示されるように、合流部156には、第一搬送経路152及び第二搬送経路154から流れ込む基端側が広がった漏斗形状とされ、矢印V方向に対して傾いて配置された合流本体182と、合流本体182の内部に設けられた崩し部材184とが設けられている。
崩し部材184は金属線を螺旋状に巻いて形成されており、崩し部材184の一端は、棒状のロッド186に引っ掛けられ、崩し部材184の他端は、図示せぬ固定部に固定されている。また、ロッド186は、駆動部材(図示省略)の駆動力で回転する回転軸190に固定された円盤部材192の外周縁近傍に固定されている。
この構成により、図2(A)(B)(C)(D)に示されるように、回転軸190を回転させると円盤部材192が回転し、これにより、ロッド186が円を描くように回転するようになっている。そして、ロッド186が円を描くように回転することで、崩し部材184が長手方向に伸縮しながら揺れるように動き、合流本体182の内部に流れ込んで重力により下方へ流れるトナーが固まるのを抑制するようになっている。
また、図3、図4に示されるように、第三搬送経路158には、一端側に合流本体182の先端側が接続される円筒状の第三本体196と、第三本体196の内部に設けられ、合流部156から流れ込んだトナーを接続部162に向って搬送する搬送オーガ198とが設けられている。
搬送オーガ198は、駆動部材(図示省略)の駆動力で回転する軸部198Aと、軸部198Aの周りに設けられた螺旋状の羽根部198Bとを備えている。そして、軸部198Aを回転させることで、羽根部198Bがトナーを接続部162に向けて搬送するようになっている。
さらに、第三搬送経路158からトナーが流れ込む接続部162には、基端部が第三本体196の他端側に接続され、矢印V方向に対して傾いて配置された接続本体202と、接続本体202の内部に設けられ、前述した崩し部材184と同様構成の崩し部材204とが設けられている。
この構成により、崩し部材204が長手方向に伸縮しながら揺れるように動き、接続本体202の内部に流れ込んで重力により接続本体202の下端側へ落ちるトナーが固まるのを抑制するようになっている。
また、図4に示されるように、トナー回収部160には、回収されたトナーが内部に溜められる箱状の回収本体208と、接続本体202の下端側に落ちたトナーを回収本体208の内部に搬送する搬送部210とを備えている。
ここで、図1には、第一クリーニング装置100、第二クリーニング装置73及びトナー回収システム150が、模式図的に記載されている。
図1に示されるように、本実施形態では、第二クリーニング装置73のトナーの蓄積可能な容量(第二クリーニング装置73の筐体132内でトナーが蓄積可能な容量)は、A〔mm3〕となっている。また、第一クリーニング装置100のトナーの回収容量(第一クリーニング装置100の筐体102内でトナーが蓄積可能な容量)は、B〔mm3〕となっている。
さらに、合流部156の合流本体182内におけるトナーの受入れ可能な容量(合流本体182内でトナーが蓄積可能な容量)はC〔mm3〕となっている。
また、第一搬送経路152の搬送経路長はb〔mm〕となっており、また、図6に示されるように、第一搬送経路152の搬送オーガ170のオーガ外形はDa〔mm〕、オーガ軸径はDs〔mm〕、羽根部170Bの上底はFa〔mm〕、羽根部170Bの下底はFb〔mm〕、オーガピッチはPb〔mm〕、オーガ回転数はNb〔rpm〕となっている。
以上より、以下の式で第一搬送経路152の搬送性能(単位時間当たりの搬送量)K〔mm3/ min〕が表される。
K={(Da/2)2π−(Ds/2)2π}×{Pb−(Fa+Fb)/2}×Nb
となる。
これに対し、図1に示されるように、第二搬送経路154の搬送経路長は、第一搬送経路152の搬送経路長bよりも長くなっており、d〔mm〕となっている。また、第二搬送経路154の搬送オーガ178のオーガピッチはPd〔mm〕となっており、他の寸法については、搬送オーガ170と同一寸法となっている。さらに、搬送オーガ178のオーガ回転数はNd〔rpm〕となっている。これにより、第一搬送経路152と同様に以下の式で第二搬送経路154の搬送性能(単位時間当たりの搬送量)L〔mm3/ min〕が表される。
L={(Da/2)2π−(Ds/2)2π}×{Pd−(Fa+Fb)/2}×Nd
となる。
また、第三搬送経路158の搬送オーガ198の各寸法は、第一搬送経路152の搬送オーガ170と同様の寸法となっている。これにより、第一搬送経路152と同様に以下の式で第三搬送経路158の搬送性能(単位時間当たりの搬送量)をM〔mm3/ min〕が表される。
M={(Da/2)2π−(Ds/2)2π}×{Pb−(Fa+Fb)/2}×Nb
となる。
以上より、K+L>M、となる。
そして、以下の関係が満たされるように、合流本体182内におけるトナーの受入れ可能な容量C〔mm3〕が決められている。
A+B>C、C>A、C>B、
(作用)
次に、トナー回収システム150等の作用について説明する。
図7に示されるように、第一クリーニング装置100に設けられたクリーニングブレード100Aが、シート部材Pに転写されずに中間転写ベルト68に残留したトナーを中間転写ベルト68から掻き落とす。
中間転写ベルト68から掻き落とされたトナーは、筐体102内に回収され、回収されたトナーの一部は、回転する搬送オーガ121に搬送され、第一搬送経路152、合流部156、第三搬送経路158及び接続部162を通過してトナー回収部160に回収される(図4参照)。
一方、図8に示されるように、第二クリーニング装置73に設けられた回転ブラシ130は、像保持体62の表面に接して回転し、中間転写ベルト68に一次転写されずに像保持体62の表面に残留した残留トナーに接して残留トナーを掻き乱す。さらに、先端部が像保持体62の表面に接したブレード134が、回転ブラシ130によって掻き乱された残留トナーを像保持体62の表面から掻き落とす。そして、像保持体62の表面から掻き落とされたトナーが、筐体132内に回収される。回収されたトナーの一部は、回転する搬送オーガ136に搬送され、第二搬送経路154、合流部156、第三搬送経路158及び接続部162を通過してトナー回収部160に回収される(図4参照)。
ここで、図9に示されるように、第一クリーニング装置100の筐体102内には、筐体102の壁面等に付着して搬送オーガ121によって搬送されないトナーが蓄積する。同様に、第二クリーニング装置73の筐体132内には、筐体132の壁面等に付着して搬送オーガ136によって搬送されないトナーが蓄積する。
このように、筐体102及び筐体132の内部にトナーが蓄積した状態で、画像形成装置10が加振された場合等には、筐体102及び筐体132の壁面に付着していたトナーが剥がれ、一気に第一搬送経路152及び第二搬送経路154に排出され、合流部156でトナー詰まりが発生することが考えられる。特に、低温定着(融点80〜90度)のトナーでトナー詰まりが顕著となる。
しかし、図1、図4に示されるように、第二搬送経路154の搬送経路長d〔mm〕は、第一搬送経路152の搬送経路長はb〔mm〕より長くなっている。
このため、一気にトナーが第一搬送経路152及び第二搬送経路154に排出されても合流部156に到達するには時間差(タイムラグ)が発生する。ここで、時間差ΔT〔min〕は、下記式で表される。
ΔT={d/(Pd×Nd)−b/(Pb×Nb)}
そして、この間(時間差ΔT)に合流部156では、第一搬送経路152から搬送されたトナーのうち、M(第三搬送経路158の単位時間当たりの搬送量)×ΔT、だけのトナーがトナー回収部160に向けて搬送される。
以上説明したように、合流部156に到達する時間差を設け、前述したように、各装置の寸法及び各装置の搬送能力をK+L>M、各部の容量をA+B>C、C>A、C>Bとすることで、一気にトナーが第一搬送経路152及び第二搬送経路154に排出された場合でも、トナーを処理した上で、合流部156の形状が大きくなるのが抑制される。
また、合流部156に崩し部材184が設けられており、これにより、合流部156の合流本体182内でトナーが固まるのが抑制される。
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、経路長を変えることで、一気にトナーが第一搬送経路152及び第二搬送経路154に排出されたトナーが合流部156までに到達する時間を変えたが、これに加えて又は代えて、オーガの回転数や羽根部のピッチ等を変えることで、合流部までに到達する時間を変えてもよい。