JP5644369B2 - ホログラムラベル - Google Patents
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Description
本明細書において、配合を示す「部」は特に断わらない限り質量基準である。また、 「ホログラム」はホログラムと、回折格子などの光回折性機能を有するものも含む。
(1)製造メーカー純正品等、純正品の認証が意義を持つ種々の商品分野、例えば、電子機器、電気機器、コンピュータ関連製品、及び、それらの構成部品、コンピュータ関連ソフト、純正備品類(用紙やトナーなどのプリンタ消耗品等。)医薬品、医薬部外品もしくは化成品等、
(2)商品そのものが真正品であることを消費者に強く求められる分野、もしくは、ラベルを貼付することで意匠性を高めたり、商品が高価であることを示し、その商品の付加価値を高める分野など、例えば、書籍、文書、講演、演劇、映画、写真、絵画、彫刻、版画、図面、模型等もしくは、それらの編集物、又は記録媒体に記録したもの(ビデオカセット、コンパクトディスク、デジタルビデオディスクなど)等の著作物、所定の設定をされ、変更を防止しているROMボード(コンピューター機器、ゲーム機、遊技機等に用いられるもの。ROMとボードに渡る貼付も含む。)、時計、衣類、バッグ、宝石等宝飾品、スポーツ用品、化粧品、及びそれらの高級ブランド品等、
(3)本人確認の手段(ID証)分野、例えば、パスポート、運転免許証、保険証、会員証、身分証、住民登録証、病院カード、もしくは図書館カード等、
(4)経済秩序を保つ上で真正品であることが求められる分野、例えば、商品券、ギフト券等の金券類、もしくはプリペイドカード、クレジットカード、キャッシュカード等のカード類、
(5)さらには、これらのものを包装し、その包装を封印する分野、例えば、単に保管のため、もしくは郵便物や小荷物として封筒に入れたり、パッケージに入れて配達や配送をする分野、商品をパッケージに入れて販売する分野、単純に包装する分野、それらの封緘シールとして使用する分野、また、それらの説明書や効能書等にその真正性を証明するために貼付する分野等、
などに関し、特に、そのホログラムラベルを巧妙に剥がして、そのものの価値を下げられたり、そのホログラムラベルを再利用されることをに配慮すべき、もしくは配慮している分野に好適である。
そしてこれらは物品に貼付された後に剥がされ、悪用されることがないように支持体とホログラム層、或いはこれらの間に設けられた剥離層と支持体またはホログラム層で剥離するようにし、被着物から故意に剥離させた場合にホログラム全体が破壊されるものがある。特に、実公平5−48210号公報に開示されるホログラム脆性シールのように、支持体とホログラム形成層がパターン状剥離層を介して積層され、ホログラム形成上に反射性金属薄膜層、及び接着剤層を順次積層し、使用に際しては所要の大きさ、形状に切断し、証書や身分証明書のような偽造、変造されたくない被着体、または封書等の封印部に加圧により、必要に応じて加熱をしながら貼りつけるものがある。
このようにして一度被着体に貼りつけられたホログラムラベルは、剥がそうとすると、剥離層部と非剥離層部との境界断面でホログラムが破壊し、支持体上と被着体上にホログラムが分離して残存してしまうのでラベル全体をそつくりそのまま剥がすことができないため、他の物品にホログラムラベルを貼りかえることができず、ホログラム自体の偽造・変造の困難性により、ホログラムラベルが被着体の真正さを保証できる。
従つて、本考案のホログラムラベルは偽造されたくない被着体へ適用は勿論のこと、包装物の封印として適用でき、さらにはホログラムラベルは美麗により装飾物としても使用できる。
しかしながら、前者の全面破壊型のホログラム脆性シールは、剥がし方によってはホログラム層及び反射性薄膜層が破壊されることなく、ホログラムシール全体を完全に剥離させて、その結果再使用できることで悪用されてしまう可能性がある。そのため、ホログラム層や反射性薄膜層自体を破壊する方法として上記、実公平5−48210号公報の方法があるが、この方法ではホログラム脆性シールを貼着された状態で見るとホログラム層の上にパターン状の剥離層が設けられているため、そのパターンの存在を容易に目視により判別でき、ホログラムの再生画像の見え方に影響を与えるだけでなく、偽造防止策の存在が明らかになってしまう問題を有する。
この問題を解決するため、特開平8−152842号公報には、脆性剥離層を、反射性薄膜層と接着剤層との間に設ける等の方法も提案されているが、いずれも、ホログラム形成層の強度が大きく、基材との接着強度差や、脆性剥離性の存在程度では、ホログラム形成層そのものを破断するに至らないか、部分的に破断され、その目的を十分に達成できなかった。
本発明は上記従来の問題点に鑑み為されたものであり、その目的とするところは、不正な剥離行為によるホログラムシールの貼り替えを確実に防止することが可能で、しかも、その不正を防止する表示等の存在を発見しにくいホログラムシールを提供することにある。
本発明のホログラムラベルの第1の態様は、
透明基材の一方の面に、多数の微小領域に区分されたセル状領域内にホログラム形成領域が設けられ、セル周期100〜300μmからなる前記セル状領域内に、ホログラムレリーフを有するホログラム形成層を有してなるホログラムラベルであって、前記セル状領域は、前記透明基材に前記ホログラム形成層が直接形成されている領域と、前記透明基材に前記ホログラム形成層が剥離層を介して形成されている領域とからなり、前記ホログラム形成層を覆うように反射性薄膜層、及び、粘着剤層が設けられていることを特徴とするものである。
上記第1の態様のホログラムラベルによれば、
透明基材の一方の面に、多数の微小領域に区分されたセル状領域内にホログラム形成領域が設けられ、セル周期100〜300μmからなる前記セル状領域内に、ホログラムレリーフを有するホログラム形成層を有してなるホログラムラベルであって、前記セル状領域は、前記透明基材に前記ホログラム形成層が直接形成されている領域と、前記透明基材に前記ホログラム形成層が剥離層を介して形成されている領域とからなり、前記ホログラム形成層を覆うように反射性薄膜層、及び、粘着剤層が設けられていることを特徴とするホログラムラベルを提供することができ、ホログラムラベルを剥がそうとした際に、透明基材のみが剥がれる領域と、透明基材、ホログラム形成層、反射性薄膜層、及び粘着剤層が一体となって剥がれる領域が、明確に分離可能な、ホログラムラベルを提供することができる。
本発明のホログラムラベルの第2の態様は、
前記ホログラム形成領域間の隙間の大きさが1μm〜30μmであることを特徴とするものである。
上記第2の態様のホログラムラベルによれば、
前記ホログラム形成領域間の隙間の大きさが1μm〜30μmであることを特徴とする、第1の態様のホログラムラベルを提供することができ、第1の態様の効果に加えて、隙間の存在を目立たなくするとともに、より鮮明なホログラムを鑑賞可能なホログラムラベルを提供することができる。
本発明のホログラムラベルの第3の態様は、
前記剥離層の屈折率と、前記ホログラム形成層の屈折率が、同一であるか、または、その差が0.1以下であることを特徴とするものである。
上記第3の態様のホログラムラベルによれば、
前記剥離層の屈折率と、前記ホログラム形成層の屈折率が、同一であるか、または、その差が0.1以下であることを特徴とする第1の態様、または、第2の態様のホログラムラベルを提供することができ、二種類の形成領域の存在を目立たなくすることが可能なホログラムラベルを提供することができる。
このホログラムラベルを、その被貼着体、もしくは、封緘部分から、貼付した痕跡を残さず、ホログラムラベルも完全な元の状態で剥して、不正に準備した別の被貼着体に貼り替えたり、封筒や箱を開封して内容物を取り替えた後、あたかも、その被貼着体や封筒や箱の内容物が本物であると主張したり、逆に、真正なホログラムラベルを剥したものは、本物でないとして、その価値を低下させるなどの不正行為が後をたたない。
これらの不正行為を防止するためには、このような不正行為を行った際に、ホログラムラベルそのものが破断することが望ましく、「部分的に欠けた発生しているホログラムラベル」や、「ホログラム再生像に大きな歪みが発生してる状態」を目視で確認するだけで、容易に不正行為が行われたと判断できる。
しかし、実際には、ホログラムラベルに用いられている透明基材及び、ホログラム形成層そのものの破断強度は非常に大きい(非常に強靭な膜という意味。)上、この透明基材とホログラム形成層との厚さの比が、例えば、20対1(基材50μm、ホログラム形成層2.5μmの場合。)と非常に大きいため、ラベルを剥がそうとする動作において、この透明基材とホログラム形成層がなかなか分離せず(分離するきっかけが無く、)、一体となって動く(変形する)ため、この透明基材とホログラム形成層との間では剥離が発生し難く、高い確率で、粘着剤層と被貼着体との間に、「剥離」が始まってしまう。
すなわち、この場合には、容易にホログラムラベル全体を被貼着体から剥離することが可能であって(粘着剤層の表面の極く一部は被貼着体に捕らえられるが、僅かであり、ラベル全体には影響がない。)、しかも、ホログラム形成層を支持している、引張り強度や、破断強度等の物理特性に非常に優れる「透明基材」が、ホログラム形成層と一体となって動くため、ホログラム形成層に記録されたホログラムレリーフの変形(伸縮)をほぼ100%抑制し、ホログラムラベルをほぼ完全な形で手に入れることが可能となる。
このような不正行為を阻止するためには、ラベルを剥がそうとする動作において、ホログラム形成層のホログラムレリーフを支持している有一の層(ホログラムレリーフが伸縮しないように固定しているという意味。)である「透明基材」のみが、速やかに剥がれることが必須である。
すなわち、「透明基材」のみが、速やかに剥がれた場合には、被貼着体上に、数μm厚さのホログラム形成層(比較的強靭ではある。)と、非常に薄い層である反射性薄膜層(脆く、破断強度に全く影響しない。)及び、10μm程度の脆弱な層である粘着剤層のみが残ることとなり、残った層にわずかな応力を加えただけで、ホログラムレリーフに大きな歪みが生じ、もはや、残った層を、ホログラム形成層に何らの損傷を与えることなく被貼着体から剥すことは不可能な状態とすることができる。
このような「透明基材」のみが速やかに剥がれるホログラムラベルを実現するためには、ホログラム形成層に用いる樹脂を、「透明基材」である透明基材と接着力の小さいものとする方法が考えられる。
例えれば、透明基材と、ホログラム形成層用の樹脂との接着強度(もしくは、2層間の剥離強度)を、ホログラムラベル粘着剤と被貼着体表面との接着強度(もしくは、その剥離強度)の1/10程度とし、被貼着体に貼着したホログラムラベルを被貼着体から剥そうとしたときに、その接着強度差によって、透明基材のみが剥がれるように設計することができる(例えば、JISZ0237で規定する180°剥離試験にて、前者が100g/25mmであり、後者が1kg/25mmとする。)が、実際には、これだけの「差」を設けても、「透明基材」のみを剥すことは容易ではない。
さらに、「透明基材」のみがより速やかに剥がれるホログラムラベルを実現するために、「透明基材」と「ホログラム形成層」との間に、その接着力を小さく制御するための「剥離層」を設ける方法もあるが、これも、上記と同様の理由により、被貼着体と粘着剤層との間で、ラベルの剥離が始まってしまうこととなる。
グラム形成層の界面を「ずらす方向」(ラベルに水平な方向を意味する。)に働くため、
比較的硬度の大きいホログラム形成層と強靭な透明基材との界面より、反射性薄膜層と内部凝集力の小さい粘着剤層との界面で「ズレ」が発生し、結果として、上記のような大きな剥離力差(接着強度差)を設けたとしても、被貼着体と粘着剤層との間で、ラベルの剥離が始まってしまうこととなる。
また、不正防止効果を、より高いものとするため、「透明基材」を剥がした際に、ホログラム形成層に何らかの「変形」を起こしたり、「破断」を生じるようにして、「透明基材を剥すという不正行為」があったことを瞬時に判断できるものとするため、上記の「剥離層」を所望のパターン状とし、「剥離層のある領域」と、「剥離層の無い領域」とを設け、「透明基材」を剥したときに、「剥離層の無い領域」のみが「透明基材」側に付着して、「透明基材」と一体となって剥がれ、これに対して、「剥離層のある領域」のみが被貼着体側に残って、その所望のパターンを出現させるという手段も考えられる。
しかし、上記したように、ホログラム形成層が強靭な物理特性を有するため、このような「剥離層の有無」によるホログラム形成層の破断を試みても、結局、「透明基材」と「ホログラム形成層」との界面、もしくは、「透明基材」と「剥離層」との界面において、そのきっかけとなる空隙が一旦発生してしまうと、その空隙が発生した界面内でのみ、剥離が広がっていってしまうこととなる。
しかも、この「境界」は、一本の直線状か、もしくは、一本のゆるやかな曲線状であるため、例えば、この直線に対して直角に力が働く場合(剥そうとする応力が境界線に対して正面から働くという意味。)と、この直線に対して斜めに力が働く場合では、その寄与度は大きく異なり、もしも、「透明基材」を剥す方向が、この直線に対して斜めに働く方向であったならば、ほとんど、ホログラム形成層を破断する力が加わらないこととなる。
そこで、本発明のホログラムラベルは、透明基材の一方の面に、多数の微小領域に区分されたセル状領域内にホログラム形成領域が設けられ、セル周期100〜300μmからなる前記セル状領域内に、ホログラムレリーフを有するホログラム形成層を有してなるホログラムラベルであって、
前記セル状領域は、前記透明基材に前記ホログラム形成層が直接形成されている領域と、前記透明基材に前記ホログラム形成層が剥離層を介して形成されている領域とからなり、
前記ホログラム形成層を覆うように反射性薄膜層、及び、粘着剤層が設けられていることを特徴とするホログラムラベルとした。
すなわち、物理的特性に優れ、破断し難いホログラム形成層を、あらかじめ、多数の微小領域に区分された、セル周期100μm〜300μmのセル状領域内に「分断」し、非常に微細なセル状(セル周期より一回り小さい面積となる。)に、飛び飛びに形成しておき、もはや、この強靭な層を破断する必要のない構成とする。
その上、このような「円柱」は、多数存在する為、目的とする「破断」(既に、分断しているので実際の「破断」ではないが、ホログラム形成層が所望のパターンとして透明基材側と、被貼着体側に分かれることを、「破断」と称した。)が、偽造防止効果として要求される「再現性」を有して発生することとなる。
さらに、このホログラムレリーフの分断の影響を抑制するために、分断された個々のホログラム形成層(その上に分断された個々のホログラムレリーフがある。)からなる、各「セル」の中心間の距離を、100μm〜300μmと設定して、ホログラム再生像に寄与する反射光を、ホログラムラベルの全体領域からムラなく、安定して供給できるようにする。
すなわち、この中心間の間隔が、300μmを越えたり、100μmより小さくなったりすると、「セル」の中心間距離が開き過ぎたり、近づき過ぎたりして、その隙間である鏡面となる領域の面積が大きく変動し、結果として、反射光の量を大きく変動させることとなって、ホログラムレリーフからの反射光によって現れるホログラム再生像の結像を阻害し、その鮮明度を低下させることとなる。
すなわち、この「鏡面部分によって反射する光」は、「ホログラムレリーフ面の近傍」(ホログラムレリーフ面から、光の波長の1倍〜10倍程度の距離のところを意味する。この空間領域において、反射光のホログラフィックな干渉現象が起こり、それによって、所定の方向へホログラム再生像が向かうこととなる。)において、本来のホログラム再生像に寄与する光である、100μm〜300μmサイズの中の、「セル状に形成したホログラム形成領域から反射してくる光」によるホログラフィックな干渉現象を「撹乱する」要素となる。
また、このことに配慮して、各「セル」の中心間の距離を、300μmを越えるものとしたときに、「セル状に形成したホログラム形成領域」もこれに対応させて広げ、その形成領域間の隙間を押さえると、その結果として、ホログラム形成領域、すなわち、ホログラムレリーフを形成している面積が局所的に大きくなることになり、ホログラム再生像の光のバランスを崩すこととなる。しかも、ホログラム再生像のどの部分が変化するかさえ、予想できないものとなる。
逆に、各「セル」の中心間の距離を、100μmより小さいものとしたときに、「セル状に形成したホログラム形成領域」をこれに対応させて小さくし、その形成領域間の隙間を一定の大きさに調整すると、やはり、上記と同様に、ホログラム再生像の光のバランスの崩れを招くこととなる。
この凹凸形状が最も単純である、「単純回折格子」の回折効率においては、この凹凸形状をした一本の溝が、平行に整然と並ぶ数によって、その回折効率の大きさが大きく変動する。
この回折格子は、たった一つの凹凸でも、光の回折現象を生じ、一つの場合は、その凹凸形状に直接的に依存した方向へその回折光を反射する。
これが、二本、三本となり、数十本となると、この反射光は、この回折格子面の近傍( その面から1μm〜10μmの空間。)において、個々の回折格子から反射した個々の回折光が、互いに干渉現象を生じ、その凹凸の周期に依存した方向へのみその回折光を反射するようになると同時に、その回折光の光の強度も増してくる。
この「角度」や、その「光の強度」は、最初の数本程度のときは急激に変化し、この溝の数が50本程度を超えると、その「角度」及び「大きさ」は飽和し、一定となる。従って、この単純回折格子の連続する領域を100μm程度確保すると、十分なホログラフィックな干渉が生じていることを意味する。
従って、ホログラム再生像を鮮明なものとするために、このホログラムレリーフの凹凸が、ホログラムラベル全体に渡って途切れることなく連続していることが最も望ましいが、上記した理由により分断する場合には、少なくとも100μm程度の連続領域を確保することが必要となる。
しかも、セル周期100μm以上のセル状領域内に形成領域を有した、ホログラムレリーフを有するホログラム形成層を設ける際には、そのセル周期よりも小さいホログラム形成領域の大きさを設定することとなるが、この大きさは、「一定のもの」もしくは、その大きさの変動幅が10%以内のものとすることが必要である。
そして、本発明のホログラムラベルは、「透明基材に、直接接しているホログラム形成層の形成領域」と、「透明基材に、剥離層を介して形成されているホログラム形成層の形成領域とを有する形成領域」の、二つの領域を設けて、
すなわち、物理的に強靭であって、容易には分断不可能なホログラム形成層をあらかじめ分断して形成しておき、被貼着体に貼着後、不正にそのホログラムラベルを剥そうとしたときに、上記の透明基材に、直接接しているホログラム形成層の形成領域のみが、剥した透明基材上に取られて、その形成領域が集まって表示する、視認可能な所望のパターン、すなわち、文字、図形、記号等、視認可能な表示等、代表的には、ラベルを剥離した証拠を示すという意味で、「開封」等の文字表示を出現することとなる。
逆に、透明基材に剥離層を介して形成されているホログラム形成層の形成領域のみが、被貼着体上に、その取られてぽっかりと開いた領域を、その表示文字等のネガポジ反転像として出現させる。
この出現する表示等を目視にて視認し、不正行為が行われたことを速やかに発見するためには、その表示等は、一つの例として、少なくともフォントサイズで「40ポイント(文字高さ:14mm)」以上あることが必要であり、また、通常のホログラムラベルの大きさ(最大でも、一辺が、100mm程度以下。そのラベル内に数行の表示を記載している場合が多い。)からは、「100ポイント」以下とすることが好ましい。
このため、それらの文字の個々の画線の大きさ(幅)は、書体の種類にもよるが、例えば、2mm〜5mm程度となる。
以上より、セル周期を、100μm〜300μmとする。
本発明のホログラムラベルは、このため、上記の「開封」等の文字表示が、ホログラムラベルの中央に位置し、それ以外の領域が、ホログラムラベルの端部(ホログラムラベルを所望のラベルサイズに加工した際のそのラベル周辺部を意味する。すなわち、ラベル抜き加工において、その抜き刃が切り込んだ面を意味する。)まで拡がっているデザインが好適であり、この「開封」等の文字の画線部を、「透明基材に、直接接しているホログラム形成層の形成領域」のみの集合で構成し、その他の領域を、「透明基材に剥離層を介して形成されているホログラム形成層の形成領域」のみの集合で構成する。
もちろん、「開封」等文字表示を天地左右に繰り返し設けて、敢えてラベル加工位置を固定せず、ランダム位置とし、ラベル加工をし易くしたり、このランダム位置そのものが偽造防止効果を持つようにしてもよい。
平抜き等の物理的に押しつぶす加工方法を用いる場合は、ホログラムラベルの透明基材側から加工すると、透明基材の「バリ」が発生しやすく、その「バリ」が、剥離層部分に覆いかぶさり、上記した界面剥離を阻害することがある。
従って、ホログラムラベルの粘着剤層側から抜き加工を行い、ラベル端部にある、上記の剥離層部分を部分的に破壊しておくことで、上記の界面剥離を発生しやすくしておくことも好適である。
レーザー加工や、水圧加工においては、このような差が発生しないが、ラベル端部の界面剥離をより剥離しやすくするため、剥離層にレーザー照射によりその結着力が低下する等の光感応性を持たせる等の工夫も好適である。
粘着剤層と被貼着体表面との接着強度は、その適用する被貼着体表面により左右されるが、通常は、0.1kg/25mm〜3.0kg/25mm(JIS Z0237で規定する180°剥離試験にて。)であるため、透明基材と剥離層との間の接着強度(以下、2層間の剥離強度ともいう。)は、粘着剤層と被貼着体表面との接着強度に対して、1/5〜1/20とすることが好ましい。1/5以上であると、その安定した剥離性に欠け、1/20未満であると、ホログラムラベル取り扱い中に、外部応力によって、透明基材と剥離層間に空隙が発生してしまい、不正行為があったものとの誤解を招くなど、その取り扱い適正に欠ける。
2倍未満であると、上記したような「開封」等文字表示が安定して発生せず、10倍を超えるほど、透明基材とホログラム形成層とが接着するものは、実現し難く、ホログラム形成層形成後にホログラムレリーフを形成する方式が難しくなる。
もちろん、剥離層と、ホログラム形成層との接着強度を十分大きなものとすることは当然である。
本発明のホログラムラベルで使用される透明基材は、厚みを薄くすることが可能であって、十分な透明性と機械的強度を有し、剥離層等のホログラムラベル構成層を製造する際の処理や加工に適した耐溶剤性および耐熱性を有するものを用いることができ、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース(TAC)等の、フィルム状もしくはシート状のプラスチックを用いることができる。
透明基材の厚さは、通常5〜250μmであるが、ラベルとしての取り扱い適正から25〜100μmとすることが望ましい。
さらに、上記樹脂等に、離型剤として、シリコーン樹脂や、フッ素樹脂等を混合したり、共重合体として導入したり、さらには、微粒子シリコーンパウダー、シリコーンオイルや、微粒子フッ素パウダー等を混入させてもよい。これらの離型剤の配合割合は、上記樹脂に対して、1%〜5%とする。
剥離層形成方法も、グラビア印刷等のコーティング方式や、オフセット印刷方式、シルクスクリーン方式、インクジェット方式や、さらに、精密加工が可能なフォトレジスト処理方式等を用いることができるが、その形成形状をより円柱形に近いものとするため、ステンレススクリーン印刷方式や、フォトレジスト処理方式が好適である。
剥離層の厚さは、上記した剥離力を確保するために、0.1μm〜2.0μmとする。
0.1μm未満では、その剥離性が不十分となり、2.0μmを超えると、ラベルとしての取り扱い適正が劣化する。
この位置合わせは、ステンレスクリーン印刷においては、同一の版を用いることで容易に行うことができる。
また、この位置が若干ズレ(10μm〜30μm程度。)ても、このズレは、上記した「ズレ」応力を、剥離する方向へ転換する際に、その伝達作用をより複雑なものとし、かえって好適となる場合が多い。
さらには、上記した画線内(透明基材に直接ホログラム形成層が接している形成層の集合である部分。)において、いくつかのホログラム形成層上に、敢えて、剥離層を付加し、画線の中においても「分断」が生じるようにして、「分断」(あたかも「破断」のように観察される。)をより複雑にすることも、また、好適である。
本発明のホログラム形成層を構成するための透明な樹脂材料としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができるが、このとき、剥離層及び透明基材との密着性が高い材料を採用する。
ホログラム形成層の厚さは、はじめから分断されており、不正行為に対して、速やかに破断する必要がないため、ホログラムレリーフを精密に再現できる範囲において、厚さに制限がなく、1μm〜30μmとする。
1μm以下では、ホログラムレリーフの精密再現性の低下が起こり、30μmを超えると、その形成形状が、円柱形となり難くなる(インキだれ等により形成領域が広がるとともに、その端部がなだらかなものとなる。)。
ホログラム形成層に、意匠性が高く、もしくは、偽造防止性に優れる、適宜なレリーフホログラムのホログラムレリーフを形成した後、前記ホログラム形成層を覆うように反射性薄膜層を設ける。
その厚さは、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるようにする。
もちろん、ホログラム形成層上のみに形成することは、ホログラムラベル全面に形成後、反射性薄膜層を部分的エッチングしたり、あらかじめ除去可能な樹脂をホログラム形成層の無い部分に形成しておき、全面形成後にその樹脂ごと反射性薄膜層を除去する等の方法より可能である。
反射性薄膜層を形成し、さらにその上に粘着剤層を形成して、本発明のホログラムラベルを作製することができる。
このホログラムラベルを所望の被貼着体上の適宜な位置に貼付した後、このホログラムラベルを剥そうとすると、透明基材が容易に剥がれ、その透明基材側に所望のパターン状のホログラム形成層と反射性薄膜層及び粘着剤層が付着しており、被貼着体側に、そのパターン部分がスッポリと抜けた、剥離層、ホログラム形成層、反射性薄膜層及び粘着剤層が残り、ホログラム形成層のそのパターンを浮き上がらせ(表示して)、不正なホログラムラベルの剥し行為が行われたことを明示する。
粘着剤層の塗工量は、乾燥後の厚さ8μm〜30μmが一般的であり、グラビアコート等の従来公知の方法で、塗布し乾燥して粘着剤層を形成する。
この粘着剤層の上に、ホログラムラベルの取り扱い適正を向上するための、各種離型紙(セパレーターともいう。)を貼付けてもよい。
このホログラムラベルを、偽造防止性付与が必要とされる被貼着体に貼着した後、このホログラムラベルを剥そうとすると、透明基材が容易に剥がれ、被貼着体側にホログラム形成層と反射性薄膜層及び粘着剤層が残り、「開封」等のパターンを浮き上がらせ(表示して)、ホログラムラベルの不正な剥し行為が行われたことを明示する。
また、ホログラム形成層を、あらかじめ、セル周期100μm〜300μmのセル状領域内に「分断」し、微細なセル状(セル周期より一回り小さい面積となる。)に、飛び飛びに形成する際の、そのホログラム形成層の形成領域間の隙間の大きさを、1μm〜30μmに制限することで、さらに、このホログラムレリーフの分断の影響を抑制することができる。
上記したように、「分断」によって生じさせる、微細なセル状のホログラム形成層間の隙間は、鏡面となり、「ホログラム再生像として反射する光」と「交錯する光」を発生し、ホログラフィックな干渉現象を「撹乱する」要素となるため、この隙間の大きさを小さいものとし、ホログラム再生像の鮮明度を確保する。
さらに、この鏡面の大きさ(面積)を一定にすることで、ホログラムラベルの明るさに対するムラの発生をさらに抑制することができる。
剥離層は、非常に薄く形成するため、その大きさ精度を管理し易い。但し、形成用の樹脂を溶剤等で希釈しすぎると、透明基材上で不要に拡がってしまう恐れがあるため、その固形分を5%〜10%に調整し、乾燥前の粘度を適度なものとする。
もちろん、シルクスクリーン方式や、フォトレジスト処理はこのような不具合が発生し難いため好適である。
この上に位置合わせして設けるホログラム形成層は、その厚さが1μm〜30μmと比較的厚いため、例えば、30μmの厚さのホログラム形成層の隙間を1μmに制御するには、フォトレジスト方式以外には実現することが難しい。
シルクスクリーン方式を用いても、形成時の所定の境界線からの「はみ出し」や「しみだし」等(印刷工程において、形成したインキが固化するまでにその流動性によって画線部から流れ出す現象をいう。)の大きさを、ホログラム形成層厚さの1/5以下に抑えることは難しく(厚さ20μmで、100μm正方形のパターンを形成した際に、乾燥前に厚さが40μmとして、その両側に広がる「しみだし」の大きさが合わせて8μmとなることを意味する。)、他の方式においてはこれ以上の広がりとなる。
もちろん、この「しみだし」の大きさは、形成厚さが大きいときに発生しやすく、形成厚さが小さいときには、ほとんど発生しない。
この隙間が、1μm未満であると、「分断」した形成層が繋がってしまい、30μmを超えると上記したホログラフィックな干渉現象を「撹乱する」度合いが大きくなる。
さらに、剥離層の屈折率を、ホログラム形成層の屈折率を同一とすることで、「透明基材に、直接接しているホログラム形成層の形成領域」のみの集合で構成した部分と、「透明基材に剥離層を介して形成されているホログラム形成層の形成領域」のみの集合で構成した部分の二つの部分の区別がつかないものとし、それらの存在を目視では、全く判読できないものとすることができる。
また、剥離層の屈折率と、ホログラム形成層の屈折率の差を、0.1以内とすることでも、同様の効果を確保できる。
これら二つの部分の区別がついてしまうと、ホログラムラベルに秘匿して形成してある「開封」等の文字や、その位置が不正行為をしようとする者に容易に知られ、不正行為をよりし易くしてしまうため、剥離層の屈折率と、ホログラム形成層の屈折率を同一とするか、もしくは、その差を0.1以内とするため、屈折率が同一、もしくは、その屈折率差が、0.1以内の樹脂を選定し用いる。
剥離層として用いる樹脂としては、上記した材料に加え、
ポリメチルメタクリレート(屈折率n=1.49)、ポリメチルアクリレート(n=1.47)、ポリベンジルメタクリレート(n=1.57)、ポリブチルアクリレート(n=1.44)、ポリビニリデン(n=1.42)、ポリイソブチルアクリレート(n=1.48)、硝酸セルロース(n=1.54)、メチルセルロース(n=1.50)、セルロース・アセテートプロピオネート(n=1.47)、ポリスチレン(n=1.60)、ポリエチレンテレフタレート(n=1.64)、ポリ酢酸ビニル(n=1.47)、フッ素樹脂(n=1.32)、アクリル樹脂(n=1.45)、酢酸ビニル−アクリル共重合体(n=1.48)、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体(n=1.54)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂(n=1.60)等、もしくは、この混合体等を適宜用いることができる。
メラミン樹脂(n=1.56)、ポリカーボネート(n=1.59)、エポキシ樹脂(n=1.60〜1.65)、フェノール樹脂(n=1.60)、チオウレタン樹脂(n=1.55〜1.75)、アクリル樹脂(n=1.45)、酢酸ビニル−アクリル共重合体(n=1.48)、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体(n=1.54)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂(n=1.60)、ポリビニリデン(n=1.42)、セルロース・アセテートプロピオネート(n=1.47)、ポリスチレン(n=1.60)、ポリエチレンテレフタレート(n=1.64)、ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル(n=1.54)、フッ素樹脂(n=1.32)等、もしくは、この混合体等を適宜用いることができる。
本発明のホログラムラベルで使用される透明基材1は、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や、ホログラムラベルAを製造する際の処理や加工に適した耐溶剤性および耐熱性を有するものが好ましい。使用目的にもよるので、限定されるものではないが、フィルム状もしくはシート状のプラスチックが好ましい。(図1参照。)
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール等の各種のプラスチックフィルムを例示することができる。
透明基材1の厚さは、通常5〜250μmであるが、ラベルとしての取り扱い適正から25〜100μmとすることが望ましい。
もちろん、環境影響を配慮して、透明な生分解性を有するプラスチックフィルム又はシートを使用することもでき、化学合成系として、ラクトン系樹脂:εーカプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトン、βープロピオラクトン、γーブチロラクトン、δーバレロラクトン、エナントラクトンの単独重合体またはこれら2種以上のモノマーの共重合体、これらの混合物、ポリカプロラクトン、もしくは、ポリブチレンサクシネート系樹脂:ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリブチレンサクシネートとポリカプロラクトンとの混合物、ポリブチレンサクシネートとポリブチレンサクシネート・アジペートとの混合物、ポリブチレンサクシネート・アジペートとポリ乳酸との混合物、もしくは、ポリ乳酸、ポリ乳酸とD−乳酸との混合物など、もしくは、低分子量脂肪族ジカルボン酸と低分子量脂肪族ジオールより合成したポリエステル樹脂、例えばコハク酸とブタンジオール、エチレングリコールとの組み合わせや、シュウ酸とネオペンチルグリコール、ブタンジオール、エチレングリコールとの組み合わせなど、変性ポリビニルアルコールと脂肪族ポリエステル樹脂と澱粉の混合物、低分子量脂肪族ポリエステルに脂肪族イソシアネートを添加して重合させたものが好適である。
また、天然物系として、ゼラチンなどの動物性天然物質、セルロースなどの植物性天然物質など:澱粉脂肪酸エステル、澱粉キトナン・セルロースなど、微生物生産系として、ポリヒドロキシブチレートや、ポリエステル系:炭素源として3−ヒドロキシプロピオン酸、4−ヒドロキシ酪酸、γ―ブチロラクトンをベースとするP(3HB−CO―4HB)、炭素源としてプロピオン酸、吉草酸をベースとしたP(3HB−CO―3HV)などが好適である。
本発明の剥離層2(図1参照。)、すなわち、セル周期100μm〜300μmのセル状領域内に形成領域を有し、且つ、所望のパターンの画線部を除く領域に形成された、剥離層2としては、透明基材1からの適度な剥離性を有し、且つ、ホログラム形成層3との密着性に優れるものを用いるが、材料としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、アクリル酸エステル樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種もしくは2種以上を使用でき、各種イソシアネート樹脂により架橋したものを用いることができる。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、アクリル変性ポリエステル等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入するか、もしくは粘度を調整する目的で、単官能モノマーもしくは多官能モノマー、またはオリゴマー等を配合して用いることができる。
さらに、これらの樹脂等に、離型剤として、シリコーン樹脂や、フッ素樹脂等を混合したり、共重合体として導入したり、さらには、微粒子シリコーンパウダー、シリコーンオイルや、微粒子フッ素パウダー等をこれらの樹脂に対して、1%〜5%混入させることも好適である。
剥離層形成方法は、グラビア印刷等のコーティング方式や、オフセット印刷方式、シルクスクリーン方式、インクジェット方式や、さらに、精密加工が可能なフォトレジスト処理方式等を用いることができるが、その位置や、形成形状をより高精度とするため、ステンレススクリーン印刷方式や、フォトレジスト処理方式が好適である。
剥離層の厚さは、上記した剥離性を確保するために、0.1μm〜2.0μmとする。
透明基材と剥離層との間の接着強度は、粘着剤層と被貼着体表面との接着強度に対して、1/5〜1/20とし、剥離層とホログラム形成層との間の接着強度は、粘着剤層と被貼着体表面との接着強度に対して、2倍〜10倍の範囲内とする。
本発明のホログラム形成層3を構成するための透明な樹脂材料としては、上記した透明基材と接着性を、想定する被貼着体と粘着剤層との接着性に比較して小さいものとできる、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、もしくはポリスチレン樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、もしくはフェノール樹脂等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、1種もしくは2種以上を使用することができる。これらの樹脂の1種もしくは2種以上は、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒、例えば、ナフテン酸コバルト、もしくはナフテン酸亜鉛等の金属石鹸を配合するか、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるためのベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、もしくはジフェニルスルフィド等を配合しても良い。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル変性ポリエステル等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入するか、もしくは粘度を調整する目的で、単官能モノマーもしくは多官能モノマー、またはオリゴマー等を配合して用いてもよい。
この形成は、上記のように分断して形成した感光性樹脂材料にホログラムの干渉露光を行なって現像することによって直接的に形成することもできるが、予め作成したレリーフホログラムもしくはその複製物、またはそれらのメッキ型等を複製用型として用い、その型面を上記のように分断して形成(配置)した樹脂材料の層に押し付けることにより、賦型を行なうのがよい。
熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、型面に未硬化の上記のように分断(配置)した樹脂を密着させたまま、加熱もしくは電離放射線照射により、硬化を行わせ、硬化後に剥離することによって、硬化した透明な樹脂材料からなる層の片面にレリーフホログラムの微細凹凸を形成することができる。なお、同様な方法によりパターン状に形成して模様状とした回折格子を有する回折格子形成層も光回折構造として使用できる。
ホログラムは、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラムなどのレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラムなどの白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し所定の情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
単一回折格子のように、全く同一形状の凹凸の繰り返しであるものは、隣り合う凹凸が同じ形状であればある程、反射する光の干渉度合いが増しその強度が強くなり、最大値へと収束する。回折方向のぶれも最小となる。立体像のように、画像の個々の点が焦点に収束するものは、その焦点への収束精度が向上し、再現もしくは再生画像が鮮明となる。
さらに、透明金属化合物薄膜の場合は、その薄膜の上下の面が、同一レリーフ形状であり且つ、その面と面の距離(すなわち膜厚さ)が均一であればあるほど、再現もしくは再生強度が大きくなる。また、レリーフ面にホログラム画像の凹凸とは異なる周期、形状の凹凸が存在すると、それはホログラムもしくは回折格子の再現もしくは再生時のノイズとなり、画像を不鮮明にする要因となる。
上記の極微細な形状を精密に再現するため、また、複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小とするため、原版は金属を使用し、低温・高圧下で複製を行う。
原版は、Niなどの硬度の高い金属を用いる。光学的撮影もしくは、電子線描画などにより形成したガラスマスターなどの表面にCr、Ni薄膜を真空蒸着法、スパッタリングなどにより5〜50nm形成後、Niなどを電着法(電気めっき、無電解めっき、さらには複合めっきなど)により50〜1000μm形成した後、金属を剥離することで作ることができる。
高圧回転式の複製に用いるためには、このNi層の厚み精度を高くする必要があり、通常±10μm、好ましくは、±1μmとする。このため、裏面の研磨や、平坦化方法を用いてもよい。
複製方式は、高圧とするため、平板式でなく、回転式を用い、線圧0.1トン/m〜10トン/m、好ましくは、5トン/m以上とする。複製用シリンダーは、その直径が小さいとレリーフの再現性が低下するため、複製シリンダー直径は大きい方が好ましく、通常、直径0.1m〜2.0m、好ましくは、1.0m以上の弧を使用する。
透明基材1上のホログラム形成層3をこの複製用シリンダーに沿って押し当て、裏面より金属製シリンダーにより上記圧力にて複製を実施する。複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小限とするためには、透明基材1全体を加熱するのではなく、ホログラム形成層3面側の一部のみを加熱する方法が望ましい。通常60℃〜110℃に加熱する。さらには、裏面の金属製シリンダーを常温に保つ、もしくは冷却することで、さらにその精度を向上させることができる。
本発明のホログラムラベルAでは、ホログラム形成層3の上に形成されているホログラムレリーフに接して、且つ、追従するように反射性薄膜層4を形成する。この薄膜は、入射した光を反射する必要があるため、ホログラム形成層3よりも高い屈折率を有する薄膜であれば、特に限定されない。(図1参照。)
反射性薄膜層4としては、真空薄膜法などにより形成される金属薄膜などの金属光沢反射層、又は透明反射層のいずれでもよいが、金属光沢反射層を部分的に設けたり(図示せず。)、透明反射層を設けた場合は、ラベル貼着後にそのラベルに覆われた被貼着体上の画像などがホログラムを通して観察できるので好ましい。
透明反射層としては、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率がホログラム形成層のそれとは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラムなどの光輝性を視認できることから、透明なホログラムを作製することができる。例えば、ホログラム形成層3よりも光屈折率の高い薄膜、例として、ZnS、TiO2、Al2O3、Sb2S3、SiO、SnO2、ITOなどがある。好ましくは、金属酸化物又は窒化物であり、具体的には、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Ti、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Auなどの酸化物又は窒化物他はそれらを2種以上を混合したものなどが例示できる。またアルミニウムなどの一般的な光反射性の金属薄膜も、厚みが20nm以下になると、透明性が出て使用できる。
透明金属化合物の形成は、金属の薄膜と同様、透明な生分解性を有するプラスチックフィルム又はシート1の一方面に、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD(化学蒸着法)などの真空薄膜法などにより設ければよい。特にCVD法はホログラム形成層3への熱的ダメージが少ない。また、他の薄膜形成法を用いても、形成する薄膜層を薄くしておくと、その熱的ダメージを少なくすることができる。例えば、アルミニウム蒸着層であれば、形成条件によるが、ほぼ20nmが透明性が無くなり全反射性を出現する臨界点である。この厚さは薄膜材料、形成方法、金属加熱温度・真空度等の形成条件により異なる。
粘着剤層5としては、従来公知の溶剤系及び水系のいずれの粘着剤、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂や、天然ゴム、クロロプレンゴムなどのゴム系樹脂などが挙げられる。(図1参照。)
さらに、自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス、それを変性したもの、特に天然ゴムにスチレン特にメタクリル酸メチルとをグラフト重合させて得た天然ゴムラテックス等の天然素材から作製されたものを用いても良く、グラビアコーティング方式や、シルクスクリーン方式等の公知の方法で、薄膜形成層4上に設けられ、本発明のホログラムラベルAとする。(図1参照。)
以上の粘着剤の種類や、塗工量は、透明基材1、剥離層2、ホログラム形成層3及び反射性薄膜層4上に粘着剤層5を形成する際に、用いられる被貼着体(図示せず。)との剥離強度が、透明基材と剥離層との間の接着強度の5倍〜20倍、さらには、透明基材とホログラム形成層との間の接着強度の1/2〜1/10に設定する。
粘着剤層5と被貼着体表面との接着強度は、その適用する被貼着体表面により左右されるが、0.1kg/25mm〜3.0kg/25mm(JIS Z0237で規定する180°剥離試験による。)とする。
このホログラムラベルAを、偽造防止性付与が必要とされる被貼着体(図示せず。)に貼着した後、このホログラムラベルAを剥そうとすると、透明基材1が容易に剥がれ、被貼着体側に、剥離層2、ホログラム形成層3の一部、反射性薄膜層4の一部及び、粘着剤層5の一部が残り、「開封」等のパターンを浮き上がらせ(表示して)、ホログラムラベルAの不正な剥し行為が行われたことを明示する。
このとき、透明基材1側には、「開封」等のパターン状に、ホログラム形成層3の残りの部分、反射性薄膜層4の残りの部分及び、粘着剤層5の残り部分が付着しており、もはや、もとのホログラムラベルAに復元不可能な状態となっている(図2参照。)
(実施例1)
透明基材1として、38μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用い、その一方の面に、下記組成の剥離層2を、ステンレスシルクスクリーン方式を用いて、厚さ、1.0μmで設け、これを乾燥温度80度にて乾燥した。(図1参照。)
この剥離層2の形成パターンは、タテ・ヨコ10mm×10mmサイズで「開」「封」の文字を縦横連続して形成した画線部を想定し、この画線部以外の部分(画線部を除く、ラベルの全領域。)を、セル周期200μmであって、150μm×160μmサイズの大きさの領域で埋めたものとし、その領域上(多数の150μm×160μmサイズの領域の中に。)に剥離層2を形成したものである。
透明基材1と、剥離層2との剥離強度は、30g/25mmとした。
〈剥離層組成物〉
セルロース樹脂 30部
塩ビ−酢ビ共重合体 3部
トルエン 30部
酢酸エチル 20部
エチルセルソルブ 10部
その上に、剥離層2を形成する際に用いたスクリーン版と同一のスクリーン版を用い、ステンレススクリーン方式により、下記組成の、ホログラム形成層3を厚さ3.0μmで形成した後、80度にて60分乾燥し、その後、レーザ光学系を用いて撮影した意匠性の高いホログラムを備えたNi原版を用意し、上記したホログラム形成層3に、そのNi原版のレリーフ面を合わせて、回転式レリーフホログラム形成装置(原版シリンダー径1.0m・原版面温度100℃、加圧シリンダー径0.3m水冷式、圧力2トン/m、複製速度10m/分)にてホログラムレリーフをホログラム形成層3上に形成した。(図1参照。)
ホログラム形成層3が分断して形成されているため、この回転複製方式を用いたことで、複製圧力ムラ等が発生せず好適であった。
〈ホログラム形成層組成物〉
アクリル樹脂 30部
酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体 10部
イソシアネート 2部
トルエン 18部
イソプロピルアルコール 20部
酢酸エチル 20部
次に、アルバック社製真空蒸着機にて、そのホログラムレリーフ面に接して、且つ、追従するように200nm厚さのアルミニウム薄膜からなる反射性薄膜層4を形成した。
このアルミニウム薄膜形成面に、下記組成物をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が20μmになるように、塗工し70℃で乾燥させて、粘着剤層5を形成し、20mm×40mmのサイズにカットし、実施例1のホログラムラベルAを得た。(図1参照。)
・<粘着剤組成物>
酢酸ビニル−アクリル共重合体 30質量部
トルエン 40質量部
酢酸ビニル 40質量部
このホログラムラベルAを、重要書類を入れた封筒(図示せず。)の封緘用に所定の圧力をかけて貼付し、24時間放置した後、目視にて観察したところ、剥離層の二つの領域2に光学的な差は認識できず、「パターン状」の文字があることは確認できなかった。このとき、ホログラムラベルAと、その封筒との粘着剤層5による接着強度は、500g/25mmであった。
そのホログラムラベルを剥そうとしたところ、透明基材1及び、その透明基材1に付着した、縦横に連続した、「開」「封」の文字パターン状の、ホログラム画像(ホログラム形成層3、反射性薄膜層4及び粘着剤層5からなる。)が、容易に剥離し、その剥離後には、そのパターン状の画像部分がスッポリと抜けた、ホログラム画像(剥離層2、ホログラム形成層3、反射性薄膜層4及び粘着剤層5からなる。)が、その封筒上に残っていることを確認できた。(図2参照。)
このことから、ホログラムラベルAは、高い意匠性と開封防止効果を有するものと思われた。
アルバック社製電子線加熱方式真空蒸着機を用いて、TiOx薄膜層40nmを形成して、反射性薄膜層4とすること、及び、封緘する封筒にデザインが印刷されていること以外は実施例1と同様とし、実施例2のホログラムラベルA(透明なホログラムラベル)を得た。(図1参照。)
実施例1と同様に評価したところ、透明なホログラムラベルの中の「文字パターン状部分」と、それ以外の部分において、光学的な差はなく、透明なホログラムラベルを通して、封筒のデザインが鮮明に確認できたことに加えて、実施例1と同様の良好な結果が得られた。(図2参照。)
(実施例3)
透明な基材1として、生分解プラスチックである東セロ製パルシール厚さ40μmを使用する以外は、実施例1と同様とし、実施例3のホログラムラベルAを得た。(図1参照。)
実施例1と同様に評価したところ、実施例1と同様の良好な結果が得られ、廃棄時には、環境にやさしいものとなると推定された。(図2参照。)
(実施例4)
この剥離層2の形成パターンを、タテ・ヨコ10mm×10mmサイズで「開」「封」の文字を縦横連続して形成した画線部を想定し、この画線部を、セル周期200μmであって、190μm×195μmサイズの大きさの領域で埋めたものとし、隙間の大きさを、横方向には20μm、縦方向には、10μmとしたこと、及び、ホログラム形成層3形成の厚さを10μmとし、その時の「しみだし」が両側合計で4μmであった以外は、実施例1と同様にして、実施例4のホログラムラベルAを得た。(図1参照。)
実施例1と同様に評価したところ、ホログラムラベルの中の「文字パターン状部分」と、それ以外の部分において、光学的な差はなく、ホログラム再生像がより鮮明に見えたことに加えて、実施例1と同様の良好な結果が得られた。(図2参照。)
下記組成の剥離層2及びホログラム形成層3を用いたこと以外は、実施例1と同様として、実施例4のホログラムラベルAを得た。(図1参照。)
〈剥離層組成物〉
セルロース樹脂(n=1.50) 20部
シリコーン樹脂(n=1.50) 3部
トルエン 40部
酢酸エチル 20部
〈ホログラム形成層組成物〉
メラミン樹脂(n=1.56) 20部
ポリブチルアクリレート(n=1.44) 20部
トルエン 30部
イソプロピルアルコール 10部
酢酸エチル 20部
実施例1と同様に評価したところ、ホログラムラベルの中の「文字パターン状部分」と、それ以外の部分において、光学的な差はなくなったことに加え、実施例1と同様の良好な結果が得られた。(図2参照。)
(実施例6)
下記組成の剥離層2及びホログラム形成層3を用いたこと以外は、実施例1と同様として、実施例4のホログラムラベルAを得た。(図1参照。)
〈剥離層組成物〉
セルロース樹脂(n=1.50) 20部
シリコーン樹脂(n=1.50) 3部
トルエン 40部
酢酸エチル 20部
〈ホログラム形成層組成物〉
メラミン樹脂(n=1.56) 20部
酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体(n=1.54) 20部
トルエン 30部
イソプロピルアルコール 10部
酢酸エチル 20部
実施例1と同様に評価したところ、ホログラムラベルの中の「文字パターン状部分」と、それ以外の部分において、光学的な差がほとんどなくなったことに加え、実施例1と同様の良好な結果が得られた。(図2参照。)
(比較例1)
剥離層及びホログラム形成層をホログラムラベル全面に均一に設けたこと以外は、実施例1と同様にし、比較例1のホログラムラベルを得た。
このホログラムラベルを実施例1と同様に評価したところ、透明基材1が容易には剥がれず、粘着剤層5から剥離し、剥離の途中から透明基材1とホログラム形成層3との間に少し空隙が発生したに留まった。
従って、このホログラムを丁寧に剥がせば、不正に剥すことも可能であると思われた。
1 透明基材
2 剥離層
3 ホログラム形成層
4 反射性薄膜層
5 粘着剤層
6 ホログラムラベルを剥離した際の透明基材側の部分
7 ホログラムラベルを剥離した際の被貼着体側に残ったホログラムラベルの部分
Claims (3)
- 透明基材の一方の面に、多数の微小領域に区分されたセル状領域内にホログラム形成領域が設けられ、セル周期100〜300μmからなる前記セル状領域内に、ホログラムレリーフを有するホログラム形成層を有してなるホログラムラベルであって、
前記セル状領域は、前記透明基材に前記ホログラム形成層が直接形成されている領域と、前記透明基材に前記ホログラム形成層が剥離層を介して形成されている領域とからなり、前記ホログラム形成層を覆うように反射性薄膜層、及び、粘着剤層が設けられていることを特徴とするホログラムラベル。 - 前記ホログラム形成領域間の隙間の大きさが1μm〜30μmであることを特徴とする、請求項1に記載のホログラムラベル。
- 前記剥離層の屈折率と、前記ホログラム形成層の屈折率が、同一であるか、または、その差が0.1以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のホログラムラベル。
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