JP5644304B2 - 体動信号についての情報処理方法、体動信号についての情報処理装置およびパーキンソン病の診断装置 - Google Patents

体動信号についての情報処理方法、体動信号についての情報処理装置およびパーキンソン病の診断装置 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、パーキンソン病の重症度または状態変化を評価するために用いて好適な体動信号についての情報処理方法、体動信号についての情報処理システム、体動信号についての情報処理装置、表示装置、表示方法、プログラムを記録した記録媒体、プログラム、体動信号検出装置、体動信号の検出方法、出力装置、出力方法、疾病の診断方法、疾病の診断システムおよび疾病の診断装置に関する。
日本におけるパーキンソン病の有病率は10万人あたり100〜150人に達する。パーキンソン病は脳の画像診断では顕著な所見を認めることができない。そこで、パーキンソン病患者の分類・評価には、ヤールの重症度分類およびUPDRS等が用いられている。
しかしながら、これらの方法には医師および患者等の主観が入り込むため、定量的かつ客観的な判定が困難である場合があった。またパーキンソン病の症状としては、振戦、無動および固縮が3主徴として知られるが、これらが例えば医師の診断時にすべて現れるとは限らない。
またパーキンソン病は、歩行異常が見られるのも特徴であるが、重症度または1日の時間帯に依存して、ゆったりとした歩行になったり、または小刻みな歩行になったりする等、複雑な様相を呈する。
このような歩行異常に関する情報は患者およびその家族からの訴えにより経験的に知られているにすぎないため、専門医にとって通院時および回診時の診察のみでパーキンソン病の診断および病態の把握をすることは極めて難しいのが現状である。
そこで従来、パーキンソン病を非侵襲的に計測するシステムが提案されている。本発明者らにより、被験者の歩行リズムを解析することによって脳神経系機能の低下を早期に判別する装置が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載の発明によれば、被験者がパーキンソン病等の脳神経系疾患を患っているかどうかを判定することができる。しかしながら、その重症度または病態の変化をきめ細かく評価することは困難であった。
パーキンソン病の評価を行うためには、被験者の歩行リズムを常に正確に測定することが必要となる。しかし、人が歩く際に一歩に要する時間(同じ足、例えば、右足が着地してから次に着地するまでの時間、以下、歩行周期と呼ぶ)は健常人であっても一定ではなく、常にゆらいでいる。
このゆらぎに対応して、一歩(一周期)ごとの周期を正確に求めるには、例えば、加速度信号の絶対値の時系列信号からピーク位置を正確に検出することが必要となる。上記のようにノイズの多い信号から目的とする現象または波形を抽出するには、従来、自己相関法および相互相関法などのパターンマッチングがよく用いられた。
具体的には、心電波形とテンプレートデータとの相関値からR波に相当するピークを検出する方法が開示されている(特許文献2参照)が、相関値からどのように実際のピークを決定するかは開示されていない。
また、加速度の鉛直成分と所定の波形とのマッチングからピーク位置を決定する方法が開示されている(特許文献3参照)。しかし、マッチングの類似度が高い場合にピークとする、というあいまいな記載になっており、詳細な記載がない。
さらにピークの判定に信号の帯域分割を行って鉛直方向の通過域を2〜4Hzと設定したり、エネルギー比の閾値を設けたり、前提条件をおいている。そのため、歩行の態様または周期が突然大きく変化する場合に対応できない。また鉛直方向を判定するために加速度の重力成分を用いており、重力成分を計測しない加速度センサーからの信号処理には対応できない。
さらに、歩行リズムの検出を精度よく行い得る方法が提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、この方法では人体の電界を測定しなければならないという制限がある。また、歩行検出のための時間幅および周波数帯を前提条件として設定する必要がある。
また、本発明者らにより、加速度センサーから得られる信号を分析することによるパーキンソン病の診断装置も提案されている(特許文献5参照)。特許文献5にはリズムの波形から特徴点を抽出し、隣接する特徴点間の時間間隔をリズムの周期とすることが記載されているが、特徴点を正確に抽出するための具体的方法は明示されていない。
パーキンソン病の評価のための測定方法として、さらに実用的にはデバイスの装着部位を固定せず、時間ともにデバイスの位置が変わったり、ずれたりしても対応できることが求められる。そのような場合の信号はノイズの影響を受けやすい。また、パーキンソン病等の疾病により力強く歩けなかったり、震えをともなったりする場合も、歩行の波形が乱れてくる。
また、パーキンソン病等の疾病により歩行中には突然歩行周期が長くなったり短くなったりする場合がある。階段を駆け下りたりする場合である。通常歩行周期はおよそ1秒であるが、急に0.5秒以下になったり、2秒以上になったりする場合がある。
パーキンソン病の患者も急に歩行周期が短くなるすくみ足を示す場合があり、このすくみ足を精度よく検出することは病態把握にとって重要である。急激に歩行の変調がある場合、信号の平均的な周期を求めるスペクトル解析法では、得られた周期が歩行周期0.5秒の歩行からくるものなのか、周期1秒の正常歩行の際の右足〜左足の時間間隔0.5秒からくるものなのかを区別することは困難である。
また、前記スペクトル解析法において従来から行われているように歩行周期が1秒の近辺であるという前提条件を定めていると、それから大きくずれる歩行には対応できない。
さらに、パーキンソン病以外にも、脳卒中、脊髄損傷、脳性麻痺、脊髄形成異常症、筋ジストロフィー、変形性関節症、関節リウマチ、多発性硬化症、アルコール中毒、認知症および水頭症等の歩行に関与する、神経系、筋肉および骨格などに障害を引き起こす種々の疾病または病気についても、歩行リズムに基づいて、的確に病態把握ができることが望まれている。
特開2000−166877号公報 特開2004−89314号公報 特開2007−244495号公報 特開2008−154733号公報 特開2009−291379号公報
以上のことから、パーキンソン病等の患者を含む被験者に負担を与えることなく、長時間(例えば、一日以上)にわたって被験者の歩行リズムを常に正確に測定する方法、つまり、ノイズの多い被験者の体動信号の時系列信号からピーク位置等の特徴点を正確に検出する方法が求められていた。
本発明はこのような課題に鑑み案出されたもので、被験者に負担を与えることなく連続して被験者をモニターし、被験者の歩行リズムを常に正確に測定すること、すなわち、被験者の体動信号の時系列信号からピーク位置等の特徴点を正確に検出することを目的とする。
また、被験者の歩行リズムを常に正確に測定することにより、パーキンソン病等の疾病または病気の重症度または病態変化を精度よく評価することも本発明の目的の1つと位置付けることができる。
本発明者らの鋭意研究により、例えば、人の体の繰り返しリズム運動を非侵襲的かつ連続的に測定して体動信号情報を得て、該体動信号情報に独自の解析を施すことにより、ノイズの多い被験者の体動信号の時系列信号からピーク位置等の特徴点を正確に検出することが可能であることを見出した。さらに、前記体動信号情報に独自の解析を施すことにより、デバイスの装着位置および解析のための前提条件に拘束されることなく、パーキンソン病等の病態を把握して評価することが可能であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨は以下に存する。
1.被験者が少なくとも人の体の繰り返しリズム運動を非侵襲的かつ連続的に計測する体動信号検出部を有する体動信号検出装置を携帯することにより得られた体動信号情報について、情報処理装置において以下の(1)〜(3)の工程を含む情報処理を行い、前記情報処理にて得られた結果を抽出することを特徴とする、体動信号についての情報処理方法。
(1)前記体動信号情報についてパターンマッチング処理を施して、前記リズム運動に関するリズム周期候補としてのリズム周期候補波を抽出する周期候補抽出工程;
(2)前記体動信号情報について−1回以上積分を行って運動軌道を取得し、前記運動軌道についての粗視化を行って補助波を作成する補助波作成工程;
(3)前記周期候補抽出工程で抽出されたリズム周期候補波と、前記補助波作成工程で得られた補助波とを重ね合わせ、前記補助波内でピークを有するリズム周期候補波の周期を真の周期として選択する周期選択工程。
2.前記周期選択工程は、前記補助波内で最大のピークを有するリズム周期候補波の周期を真の周期として選択することを特徴とする前項1記載の体動信号についての情報処理方法。
3.前記体動信号情報が、前記体動信号検出部としての3軸の加速度センサーで得られた体の動きの加速度信号情報であることを特徴とする前項1または前項2に記載の体動信号についての情報処理方法。
4.前記情報処理装置が前記体動信号検出装置とは別に設けられて、
前記体動信号検出装置が、前記体動信号検出装置に対し着脱自在に設けられて前記体動信号情報を記録する情報収集部を有するとともに、
前記情報処理装置が、前記情報収集部に記録された前記体動信号情報を取り込む情報取込部を有し、
前記体動信号検出装置から取り外されて前記体動信号情報を記録した前記情報収集部からの前記体動信号情報を前記情報処理装置の前記情報取込部を通じて、前記情報収集部に記録された前記体動信号情報を取り込むことを特徴とする前項1〜3のいずれか1項に記載の体動信号についての情報処理方法。
5.前記情報処理装置が前記体動信号検出装置とは別に設けられて、
前記体動信号検出装置が、前記体動信号情報を記録する情報収集部を有するとともに、
前記情報処理装置が、前記情報収集部に記録された前記体動信号情報を通信手段を介して取り込む情報取込部を有し、
前記体動信号情報が、一旦前記情報収集部に蓄積された後、前記通信手段を介して前記情報処理装置の前記情報取込部へ伝送されることを特徴とする前項1〜3のいずれか1項に記載の体動信号についての情報処理方法。
6.前記情報処理装置が前記体動信号検出装置とは別に設けられて、
前記情報処理装置により抽出された結果が、前記体動信号検出装置を介して前記被験者に伝達されることを特徴とする前項1〜5のいずれか1項に記載の体動信号についての情報処理方法。
7.前記繰り返しリズム運動が、歩行であることを特徴とする前項1〜6のいずれか1項に記載の体動信号についての情報処理方法。
8.前記情報処理装置により抽出された結果からパーキンソン病の重症度を評価することを特徴とする前項1〜7のいずれか1項に記載の体動信号についての情報処理方法。
9.被験者が携帯することにより、少なくとも人の体の繰り返しリズム運動を非侵襲的かつ連続的に計測する体動信号検出部で体動信号情報を検出する体動信号検出装置と、
前記体動信号検出装置で得られた前記体動信号情報について、情報処理を行い、前記情報処理にて得られた結果を抽出する情報処理装置とをそなえ、
前記情報処理装置が、
前記体動信号情報についてパターンマッチング処理を施して、前記リズム運動に関するリズム周期候補としてのリズム周期候補波を抽出する周期候補抽出部と、
前記体動信号情報について−1回以上積分を行って運動軌道を取得し、前記運動軌道についての粗視化を行って補助波を作成する補助波作成部と、
前記周期候補抽出部で抽出されたリズム周期候補波と、前記補助波作成部で得られた補助波とを重ね合わせ、前記補助波内でピークを有するリズム周期候補波の周期を真の周期として選択する周期選択部とを有することを特徴とする、体動信号についての情報処理システム。
10.前記周期選択部は、前記補助波内で最大のピークを有するリズム周期候補波の周期を真の周期として選択することを特徴とする前項9記載の体動信号についての情報処理システム。
11.前記情報処理装置が前記体動信号検出装置とは別に設けられて、
前記体動信号検出装置が、前記体動信号検出装置に対し着脱自在に設けられて前記体動信号情報を記録する情報収集部を有するとともに、
前記情報処理装置が、前記体動信号検出装置から取り外されて前記体動信号情報を記録した前記情報収集部からの前記体動信号情報を情報処理のために取り込む情報取込部を有していることを特徴とする前項9または前項10に記載の体動信号についての情報処理システム。
12.前記体動信号検出装置と前記情報処理装置とが通信手段を介して接続されて、
前記体動信号検出装置が、前記体動信号情報を記録する情報収集部を有するとともに、
前記情報処理装置が、前記通信手段を介して伝送されてきた、前記情報収集部に蓄積された前記体動信号情報を取り込む情報取込部を有していることを特徴とする前項9または前項10に記載の体動信号についての情報処理システム。
13.前記体動信号検出装置が前記情報処理装置とは別に設けられて、
前記体動信号検出装置が、前記情報処理装置により抽出された結果を、前記被験者に伝達する伝達部を有していることを特徴とする前項9〜12のいずれか1項に記載の体動信号についての情報処理システム。
14.前記体動信号検出装置が前記情報処理装置と一体に設けられて、前記被験者が携帯可能に構成されていることを特徴とする前項9または前項10記載の体動信号についての情報処理システム。
15.前記情報処理装置により抽出された結果を、出力する出力部が設けられたことを特徴とする前項9〜14のいずれか1項に記載の体動信号についての情報処理システム。
16.前記情報処理装置により抽出された結果からパーキンソン病の重症度を評価する評価装置を有することを特徴とする前項9〜15のいずれか1項に記載の体動信号についての情報処理システム。
17.被験者が少なくとも人の体の繰り返しリズム運動を非侵襲的かつ連続的に計測する体動信号検出部を有する体動信号検出装置を携帯することにより得られた体動信号情報について、情報処理を行い、前記情報処理にて得られた結果を抽出する情報処理装置であって、
前記体動信号情報についてパターンマッチング処理を施して、前記リズム運動に関するリズム周期候補としてのリズム周期候補波を抽出する周期候補抽出部と、
前記体動信号情報について−1回以上積分を行って運動軌道を取得し、前記運動軌道についての粗視化を行って補助波を作成する補助波作成部と、
上記の周期候補抽出部で抽出されたリズム周期候補波と、上記の補助波作成部で得られた補助波とを重ね合わせ、前記補助波内でピークを有するリズム周期候補波の周期を真の周期として選択する周期選択部とを有することを特徴とする、体動信号についての情報処理装置。
18.前記周期選択部は、前記補助波内で最大のピークを有するリズム周期候補波の周期を真の周期として選択することを特徴とする前項17記載の情報処理装置。
19.前記情報処理装置により抽出された結果からパーキンソン病の重症度を評価する評価装置が、前記情報処理装置に付設されたことを特徴とする前項17または前項18に記載の情報処理装置。
20.前項17記載の情報処理装置にて得られた結果を表示する表示部をそなえたことを特徴とする表示装置。
21.前項17記載の情報処理装置にて得られた結果を表示部に表示する表示工程を含むことを特徴とする表示方法。
22.被験者が少なくとも人の体の繰り返しリズム運動を非侵襲的かつ連続的に計測する体動信号検出部を有する体動信号検出装置を携帯することにより得られた体動信号情報について、情報処理装置において所要の処理工程を含む情報処理を行い、前記情報処理にて得られた結果を抽出する、体動信号についての情報処理方法に使用されるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記コンピュータに、
前記体動信号情報についてパターンマッチング処理を施して、前記リズム運動に関するリズム周期候補としてのリズム周期候補波を抽出する周期候補抽出工程と、
前記体動信号情報について−1回以上積分を行って運動軌道を取得し、前記運動軌道についての粗視化を行って補助波を作成する補助波作成工程と、
上記の周期候補抽出工程で抽出されたリズム周期候補波と、上記の補助波作成工程で得られた補助波とを重ね合わせ、前記補助波内でピークを有するリズム周期候補波の周期を真の周期として選択する周期選択工程とを実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
23.前記周期選択工程は、前記補助波内で最大のピークを有するリズム周期候補波の周期を真の周期として選択するように前記コンピュータを実行させることを特徴とする前項22記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
24.被験者が少なくとも人の体の繰り返しリズム運動を非侵襲的かつ連続的に計測する体動信号検出部を有する体動信号検出装置を携帯することにより得られた体動信号情報について、情報処理装置において所要の処理工程を含む情報処理を行い、前記情報処理にて得られた結果を抽出する、体動信号についての情報処理方法に使用されるプログラムあって、
コンピュータに、
前記体動信号情報についてパターンマッチング処理を施して、前記リズム運動に関するリズム周期候補としてのリズム周期候補波を抽出する周期候補抽出工程と、
前記体動信号情報について−1回以上積分を行って運動軌道を取得し、前記運動軌道についての粗視化を行って補助波を作成する補助波作成工程と、
上記の周期候補抽出工程で抽出されたリズム周期候補波と、上記の補助波作成工程で得られた補助波とを重ね合わせ、前記補助波内でピークを有するリズム周期候補波の周期を真の周期として選択する周期選択工程とを実行させるためのプログラム。
25.前記周期選択工程は、前記補助波内で最大のピークを有するリズム周期候補波の周期を真の周期として選択するように前記コンピュータを実行させることを特徴とする前項24記載のプログラム。
26.前項1の体動信号についての情報処理方法に用いられることを特徴とする、体動信号検出装置。
27.前項1の体動信号についての情報処理方法に用いられる体動信号を取得することを特徴とする、体動信号の検出方法。
28.前項1の体動信号についての情報処理方法により得られた結果を出力するために用いられることを特徴とする、出力装置。
29.前項1の体動信号についての情報処理方法により得られた結果を出力することを特徴とする、出力方法。
30.被験者が少なくとも人の体の繰り返しリズム運動を非侵襲的かつ連続的に計測する体動信号検出部を有する体動信号検出装置を携帯することにより得られた体動信号情報について、情報処理装置において以下の(1)〜(3)の工程を含む情報処理を行い、前記情報処理にて得られた結果を抽出することを特徴とする、疾病の診断方法。
(1)前記体動信号情報についてパターンマッチング処理を施して、前記リズム運動に関するリズム周期候補としてのリズム周期候補波を抽出する周期候補抽出工程;
(2)前記体動信号情報について−1回以上積分を行って運動軌道を取得し、前記運動軌道についての粗視化を行って補助波を作成する補助波作成工程;
(3)上記の周期候補抽出工程で抽出されたリズム周期候補波と、上記の補助波作成工程で得られた補助波とを重ね合わせ、前記補助波内でピークを有するリズム周期候補波の周期を真の周期として選択する周期選択工程。
31.前記疾病が、パーキンソン病、脳卒中、脊髄損傷、脳性麻痺、脊髄形成異常症、筋ジストロフィー、変形性関節症、関節リウマチ、多発性硬化症、アルコール中毒、認知症および水頭症のいずれか1であることを特徴とする、前項30に記載の診断方法。
32.前記疾病が、パーキンソン病であり、
前記情報処理装置により抽出された結果からパーキンソン病の重症度を評価することを特徴とする前項30に記載の診断方法。
33.被験者が携帯することにより、少なくとも人の体の繰り返しリズム運動を非侵襲的かつ連続的に計測する体動信号検出部で体動信号情報を検出する体動信号検出装置と、
前記体動信号検出装置で得られた前記体動信号情報について、情報処理を行い、前記情報処理にて得られた結果を抽出する情報処理装置とをそなえ、
前記情報処理装置が、
前記体動信号情報についてパターンマッチング処理を施して、前記リズム運動に関するリズム周期候補としてのリズム周期候補波を抽出する周期候補抽出部と、
前記体動信号情報について−1回以上積分を行って運動軌道を取得し、前記運動軌道についての粗視化を行って補助波を作成する補助波作成部と、
前記周期候補抽出部で抽出されたリズム周期候補波と、前記補助波作成部で得られた補助波とを重ね合わせ、前記補助波内でピークを有するリズム周期候補波の周期を真の周期として選択する周期選択部とを有することを特徴とする、疾病の診断システム。
34.前記疾病が、パーキンソン病、脳卒中、脊髄損傷、脳性麻痺、脊髄形成異常症、筋ジストロフィー、変形性関節症、関節リウマチ、多発性硬化症、アルコール中毒、認知症および水頭症のいずれか1であることを特徴とする、前項33に記載の診断システム。
35.前記疾病が、パーキンソン病であり、
前記情報処理装置により抽出された結果からパーキンソン病の重症度を評価する評価装置を有することを特徴とする前項33に記載の診断システム。
36.被験者が少なくとも人の体の繰り返しリズム運動を非侵襲的かつ連続的に計測する体動信号検出部を有する体動信号検出装置を携帯することにより得られた体動信号情報について、情報処理を行い、前記情報処理にて得られた結果を抽出する疾病の診断装置であって、
前記体動信号情報についてパターンマッチング処理を施して、前記リズム運動に関するリズム周期候補としてのリズム周期候補波を抽出する周期候補抽出部と、
前記体動信号情報について−1回以上積分を行って運動軌道を取得し、前記運動軌道についての粗視化を行って補助波を作成する補助波作成部と、
上記の周期候補抽出工部で抽出されたリズム周期候補波と、上記の補助波作成部で得られた補助波とを重ね合わせ、前記補助波内でピークを有するリズム周期候補波の周期を真の周期として選択する周期選択部とを有することを特徴とする、疾病の診断装置。
本発明によれば、繰り返しリズム運動の周期を、正確に測定することができる。したがって、通院時および回診時等、医師の診察時のみではなく、日常的に連続してパーキンソン病等の患者の体の動きの情報を計測し、記録・保存することが可能となる。
さらに、本発明によれば、パーキンソン病等の患者の病態を正確に把握することができ、パーキンソン病等の疾病または病気の重症度または病態の変化をきめ細かく評価することが可能となる。また当該評価に基づいて薬物療法等の処置を適切なタイミングで施すことが可能となるため、病気の治療およびコントロール、並びに患者のQOL向上につながる。
図1は、本発明に係るシステムの構成の一例を示すブロック図である。 図2は、本発明に係るシステムの構成の一例を示すブロック図である。 図3は、本発明に係るパターンマッチングの過程の一例を説明する図である。 図4(A)および(B)は、本発明に係るパターンマッチングにより、リズム周期の候補を抽出した一例を示すグラフである。 図5(A)および(B)は、本発明の周期候補抽出工程により、リズム周期の候補を抽出した一例を示すグラフである。 図6(A)および(B)は、本発明の補助波作成工程により、補助波を作成した一例を示すグラフである。 図7(A)および(B)は、本発明に係る、スケール決定方法の一例を説明するグラフである。 歩行軌道のパターンの一例を示す図である。 図9(A)および(B)は、本発明に係る歩行タイプの判定方法の一例を説明する図である。 図10(A)および(B)は、本発明に係る歩行タイプの判定方法の一例を説明する図である。 図11(A)および(B)は、本発明の補助波作成工程により、補助波を作成した一例を示すグラフである。 図12は、異方性の一例を示す図である。 図13は、時定数の変化に対する分散およびスケールの変化の一例を示す図である。 図14は、時定数の変化に対する分散の変化の一例を示す図である。 図15は、本発明の一実施形態としてのパーキンソン病の評価装置において、繰り返しリズム運動の突然のリズムの異常の検出方法の一例を説明するフローチャートである。 図16は、本発明の一実施形態としてのパーキンソン病の評価装置において、繰り返しリズム運動の突然のリズムの異常の検出方法の一例を説明するグラフである。 図17(A)および(B)は、本発明の実施例1において歩行リズムのピーク位置を選択したグラフである。 図18(A)および(B)は、本発明の比較例1において歩行リズムのピーク位置を選択したグラフである。 図19(A)および(B)は、本発明の実施例2において歩行リズムのピーク位置を選択したグラフである。 図20(A)および(B)は、本発明の比較例2において歩行リズムのピーク位置を選択したグラフである。 図21(A)および(B)は、本発明の実施例3において歩行周期と加速度との相関を示すグラフである。 図22(A)および(B)は、本発明の実施例4において歩行リズムのピーク位置を選択したグラフである。 図23(A)および(B)は、本発明の実施例5において歩行リズムのピーク位置を選択したグラフである。 図24(A)および(B)は、本発明の実施例5において歩行リズムのピーク位置を選択したグラフである。
以下に例示する装置、システムおよび方法等は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を逸脱しない限り、これらの内容に特定はされない。
本発明の一実施形態としてのパーキンソン病等の評価に用いて好適な体動信号についての情報処理方法(以下、単に「本測定方法」という場合がある。)は、体動信号情報に基づいて繰り返しリズム運動の周期(以下、「リズム周期」という場合がある。)を、正確に測定することを特徴とするものである。
本測定方法は、被験者が少なくとも人の体の繰り返しリズム運動を非侵襲的かつ連続的に計測する体動信号検出部を有する体動信号検出装置を携帯することにより得られた体動信号について、情報処理装置により
(1)前記体動信号情報についてパターンマッチング処理を施して、前記リズム運動に関するリズム周期候補としてのリズム周期候補波を抽出する周期候補抽出工程、
(2)前記体動信号情報について−1回以上積分を行って運動軌道を取得し、前記運動軌道についての粗視化を行って補助波を作成する補助波作成工程、
(3)上記の周期候補抽出工程で抽出されたリズム周期候補波と、上記の補助波作成工程で得られた補助波とを重ね合わせ、前記補助波内でピークを有するリズム周期候補波の周期を真の周期として選択する周期選択工程
を含む情報処理を行い、得られた結果を抽出することを特徴とする方法である。
本測定方法によれば、繰り返しリズム運動の周期を、正確に測定することができる。したがって、被験者の日常生活時の様子もモニターすることが可能であり、例えば、被験者若しくは患者自身、または医師が、体動検出装置により取得された体動信号(以下、「体動信号情報」という場合もある)または該体動信号を情報処理した情報から、パーキンソン病等の疾病または病気の重症度または病態の変化を正確に判断することが可能となる。
図1は、実施態様の一例にかかる体動信号についての情報処理システム(以下、単に「本システム」という場合がある。)の構成を示す図である。本システム1は、例えば、体動信号検出装置10および情報処理部(情報処理装置)13をそなえる。
体動信号検出装置10と情報処理部13とは、通信可能に接続されている。なお、体動信号検出装置10と情報処理部13とは、図2に示すように、インターネットを介して接続されていてもよい。
また、体動信号検出装置10と情報処理部13とは、無線LAN(Local Area Network)およびBluetooth(登録商標)等の無線を介して接続されていてもよい。すなわち、体動信号検出装置10と情報処理部13とは、無線または有線等である通信手段を介して、通信可能に接続されている。
本測定方法に用いられる体動信号検出装置10は、少なくとも体動信号検出部11を有する。該体動信号検出部11は、体の繰り返しリズム運動、例えば、力の変化、空間的な身体の位置の変化、身体から発する音、電磁波等の波および微細エネルギーの変化並びに身体の周りにおける場の変化等を体動信号情報として非侵襲的かつ連続的に測定し得る手段であれば特に制限はない。ここで、非侵襲的とは、例えば、被験者の体に傷をつけないこと、または被験者に対して負担を与えないことを意味する。
体動信号検出部11により体動信号情報を測定する時間としては、通常連続して1時間以上が好ましく、12時間以上がより好ましく、24時間以上がさらに好ましい。これにより、パーキンソン病等の患者を含む被験者の体の動きの情報を計測し、正確に病態を把握すること等が可能となる。
体動信号検出部11が検出する体動信号情報(以下、「生体信号情報」という場合もある)は、例えば、繰り返しリズム運動、つまり、人の随意運動による繰り返しリズム運動に伴うリズムである。
繰り返しリズム運動とは、ある周期を持って繰り返す運動であればいずれのリズムでもよいが、具体的には、例えば、歩行リズム、足踏みのリズム、拍手のリズム、咀嚼のリズム、貧乏ゆすりのリズム、眼球運動のリズムおよびまばたきのリズム等をいう。本発明においては特に歩行リズムを検出することが好ましい。歩行リズムを検出することにより、パーキンソン病等の疾病または病気の重症度または病状の変化等を正確に把握することが可能となる。
上記体動信号情報を検出する機器については、検出する信号の種類に応じて適宜選択され、例えば、小型の加速度センサー、速度センサーおよび位置センサー等が挙げられる。通常、歩行リズムを検出する場合には、体の動きの加速度を測定する加速度センサーが好ましく用いられる。
加速度センサーとしては、一軸〜三軸のものを任意に用いることができるが、歩行時における鉛直方向、水平前後方向および水平左右方向の三方向へ作用する加速度を検出するための三軸加速度センサーを用いることが好ましい。
また、本測定方法で用いられる体動信号検出装置10は、前記体動信号検出部11により取得された体動信号を記録する情報収集部12を有していてもよい。体動信号検出部11及び情報収集部12は通常、図1,2に示すように、同一の筐体内(例えば、体動信号検出装置10)に収められるが、例えば、検出方法に応じて、体動信号検出部11のみ独立していてもよい。
すなわち、例えば、体動信号検出装置10は、体動信号検出部11をそなえるが、情報収集部12をそなえなくともよい。この場合、体動信号検出部11で検出された体動信号情報を、情報収集部12が、例えば、インターネット等の有線、または無線LANおよびBluetooth等の無線で受信し格納するような構成等とすることができる。
また、この場合、体動信号検出装置10は、体動信号検出部11が検出した体動信号情報を、無線または有線を介して、情報収集部12へ送信する機能をそなえる。さらに、情報処理部13が着脱自在か否かに関わらず、体動信号検出部11及び情報収集部12が同一の筐体内に収められる場合には、例えば、体動信号検出装置10は、情報収集部12に記録された体動信号情報を、情報処理部13へ送信する機能をそなえる。
より具体的には、体動信号検出装置10は、体動信号情報を無線または有線等の通信手段を介して、体動信号情報を、情報処理部13の入力装置30(後述)へ伝送する機能をそなえる。これらの機能は、周知の種々の手法により実現され、例えば、体動信号検出装置10がそなえる図示しない中央演算部および体動信号検出装置10の内部または外部の記憶装置に格納されたプログラムを実行することにより実現される。
上記体動信号検出装置10は、例えば、携帯可能に構成され、上記体動信号検出装置10の被験者への取り付け位置は、体の動きを検知できる部位であり、被験者に違和感を与えることなく取り付けられる位置であれば、特に制限はない。ただし、携帯性の観点から被験者が普段身につけているもの、例えば、眼鏡、帽子、服、靴、ベルト、時計、鞄、アクセサリー、携帯端末および携帯オーディオ機器等に、装着、接続または格納するようにして取り付けることが好ましい。
なお、体動信号検出部11として上記加速度センサーを用い、被験者の歩行リズムを体動信号情報として得る場合等には、被験者の腰部付近に取り付けることが好ましい。
また、連続的な計測の観点から体動信号検出装置10は常時身に取り付けていることが好ましいが、装着が被験者の生活の利便性を乱す場合、並びに被験者の体の動き、特に繰り返しリズム運動の頻度が少なくなる時間帯、例えば、入浴中および就寝時は、一時的に体動信号検出装置10を取り外せる構成とすることもできる。
体動信号検出部11から得られた体動信号情報は、体動信号検出装置10が、情報収集部12を有している場合には、情報収集部12に記録・保存される。情報収集部12としては、例えば、図1に示すように、体動信号検出部11からの信号を入力する入力装置20、入力装置20に接続された中央演算装置22、記憶装置24および出力装置26等を備えるものとすることができるが、これに限定されるものではなく、任意に変更することができる。
例えば、情報収集部12は、図1に示す例では、3つの入力装置20をそなえているが、1または2の入力装置20をそなえることとしてもよいし、4以上の入力装置20をそなえることとしてもよい。また、例えば、情報収集部12は、中央演算装置22をそなえなくともよい。さらに、例えば、情報収集部12は、出力装置26をそなえなくともよい。
前記情報収集部12としては、体動信号検出装置10内に取り外し不可能に格納されているものであってもよいが、例えば、メモリーカード等のリムーバブルメディア等、取り外し可能なものであってもよい。すなわち、情報収集部12は、例えば、体動信号検出装置10に対して着脱自在に設けられて、体動信号情報を記録する。
記憶装置24は、例えば、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)およびフラッシュメモリ等の各種情報を記憶可能な記憶装置である。記憶装置24は、具体的には、例えば、体動信号検出部11から得られた体動信号情報を記憶する。
入力装置20は、例えば、体動信号検出部11と通信可能に接続されるインターフェースである。また、入力装置20は、例えば、体動信号検出装置10から送られてきた体動信号情報を一時的に保持する。
中央演算装置22は、例えば、記憶装置24に記憶された各種のプログラムを実行することにより種々の演算または制御を行ない、これにより、各種機能を実現する処理装置である。
出力装置26は、情報処理部13にて得られた解析結果を出力するものであり、例えば、モニタ等である。
本測定方法は、上記体動信号検出部11により取得された体動信号を情報処理部13にて分析する。情報処理部13は上記体動信号検出部11または情報収集部12と同一の筐体(例えば、体動信号検出装置10)内に収められていてもよく、また該筐体とは異なる、例えば、外部のコンピュータ等に組み込まれていてもよく、後述する処理を行なうためのプログラムが組み込まれたもの等とすることができる。
本測定方法において、便宜上、図示は省略するが、体動信号検出部11、情報収集部12および情報処理部13がそれぞれ別個に形成されていてもよい。この場合、体動信号検出部11、情報収集部12および情報処理部13のそれぞれの間でのデータの授受は、有線または無線で行なってもよく、また情報収集部12に記録・保存されたデータを、各種記録メディア等を介して情報処理部13へ授受してもよい。
また情報収集部12が、体動信号検出装置10に含まれるが、取り外し可能に形成されており、該情報収集部12を、情報処理部13が収められたコンピュータ等と接続して行なってもよい。この場合は、体動信号検出装置10と情報処理部13との間は、有線および無線等による通信手段で接続されていなくても、データの授受が可能である。
以下、情報収集部12が体動信号検出装置10に対し着脱自在である場合は、体動信号検出装置10と情報処理部13との間は、有線および無線等による通信手段で接続されていなくても、データの授受が可能である点は同様である。
また、情報処理部13により抽出された結果は、体動信号検出装置10へ周知の方法にて送付される構成も好ましい。また、当該結果を被験者の担当医師へ送付する構成も好ましい。該送付の方法はいずれのものでもよいが、具体的には、当該結果を情報処理部13であるコンピュータと有線または無線により接続された端末へ電子データとして送付する方法等が好ましい。
情報処理部13は、例えば、PC(Personal Computer)等であり、入力装置30、中央演算装置31、記憶装置32および出力装置33をそなえるものとすることができるが、これに限定されるものではなく、任意に変更することができる。入力装置30、中央演算装置31、記憶装置32および出力装置33は、それぞれ通信可能に接続されていることが好ましい。
入力装置30は、例えば、体動信号検出装置10または情報収集部12と無線または有線等の通信手段を介して通信可能に接続されるインターフェースである。例えば、入力装置30には、体動信号検出装置10から取り外され、送達された情報収集部12が接続されることで、情報収集部12に記録された体動信号情報を情報処理部13に取り込む。この場合、中央演算装置31は、情報収集部12に記憶された体動信号情報を読み出し、各種の処理を行なう。
また、例えば、体動信号検出装置10から、情報収集部12に記録された体動信号情報が、無線または有線等である通信手段を介して送信(伝送)される場合には、伝送された体動信号情報は、入力装置30に入力されることで、情報処理部13に取り込まれる。この場合、中央演算装置31は、入力装置30に入力された体動信号情報を用いて、各種の処理を行なう。すなわち、入力装置30は、体動信号情報を取り込む情報取込部として機能する。
記憶装置32は、例えば、RAM、ROM(Read Only Memory)、HDD、SSDおよびフラッシュメモリ等の各種情報を記憶可能な記憶装置である。
出力装置33は、例えば、中央演算装置31にて得られた種々の処理結果を出力する表示部をそなえたものであり、例えば、モニタ等である。また、例えば、出力装置33は、情報処理部13と別に設けられていてもよい。
中央演算装置31は、例えば、記憶装置32に記憶された各種のプログラムを実行することにより種々の演算または制御を行ない、これにより、各種機能を実現する処理装置である。
例えば、中央演算装置31は、記憶装置32に記憶されたプログラムを実行することで、周期候補抽出部311、補助波作成部312、周期選択部313および評価部314として機能する。
すなわち、前記プログラムは、例えば、後述する周期候補抽出部311によって実行される周期候補抽出工程、補助波作成部312によって実行される補助波作成工程、周期選択部313によって実行される周期選択工程および評価部314によって実行される評価工程を、中央演算装置31に実行させるためのプログラムである。
周期候補抽出部311は、例えば、入力装置30によって取り込まれた体動信号情報を用いてパターンマッチング(自己相関法等)を行なうことにより、リズム周期の候補を抽出する。すなわち、周期候補抽出部311は、体動信号情報についてパターンマッチング処理を施して、リズム運動に関するリズム周期候補としてのリズム周期候補波を抽出する周期候補抽出部として機能する。
補助波作成部312は、例えば、入力装置30によって取り込まれた体動信号情報を用いて、この体動信号情報を−1回以上積分して運動軌道を取得し、この運動軌道について粗視化を行なうことにより、真のリズム周期(正確なリズム周期)決定のための補助波を作成する。すなわち、補助波作成部312は、体動信号情報について−1回以上積分を行なって運動軌道を取得し、該運動軌道についての粗視化を行なって補助波を作成する補助波作成部として機能する。
周期選択部313は、例えば、周期候補抽出部311によって抽出されたリズム周期候補の波形と、補助波作成部312よって作成された補助波とを重ね合わせて、補助波に囲まれた領域内の1のピークの間隔を真のリズム周期として選択する。
例えば、周期選択部313は、補助波に囲まれた領域内の最大のピークの間隔を真のリズム周期として選択する。言い換えれば、周期選択部313は、補助波に囲まれた領域内で最大のピークを有するリズム周期候補波の周期を真のリズム周期として選択する。
すなわち、周期選択部313は、周期候補抽出部で抽出されたリズム周期候補波と、補助波作成部で得られた補助波とを重ね合わせ、補助波内でピークを有するリズム周期候補波の周期を真の周期(以下、「真のリズム周期」という場合もある。)として選択する周期選択部として機能する。
評価部314は、例えば、周期選択部313によって選択された真のリズム周期に基づいて、パーキンソン病を評価するための処理を行なう。例えば、評価部314は、周期選択部313によって選択された真のリズム周期に基づいて、パーキンソン病の重症度を評価する。
本測定方法の1つの態様について図1を用いて説明する。まず、被験者が携帯する体動信号検出部11が、被験者の連続的な体動信号情報を検出し、当該体動信号情報が情報収集部12に送られて、記録・保存される。当該体動信号情報を情報処理部13が読み出して解析を行う。
前記解析により抽出された結果は、例えば、出力装置33および出力装置26等の適当な出力装置に出力される。この抽出された結果が出力装置26に出力される場合は、抽出された結果は情報処理部13から体動信号検出装置10へ伝送された後に、出力装置26から出力される。
なお、上記情報処理部13における体動信号情報の解析および評価は、体動信号情報の計測または記録・保存とリアルタイムで行なってもよいが、例えば、体動信号情報を一定時間計測し、記録・保存した後に、解析および評価を行なってもよい。
例えば、体動信号情報をリアルタイムで評価し、患者(被験者)に報知する形態とすれば、患者は病気が悪化した場合、その報知を受けて即座に薬を服用したり、通院する等の適切な行動をとることができる。
また、例えば、体動信号情報を一定時間蓄積した後、評価し、患者の通院時に評価結果を担当医師に報知する形態とすれば、医師は病気の日内変動および薬の効き目等をその場で定量的に把握でき、容易に的確な今後の治療方針を決めることが可能となる。
本測定方法では、情報処理部13にて、情報収集部12に記録された体動信号情報をデータ解析し、パーキンソン病の状態、具体的には、例えば、パーキンソン病の重症度または病態の変化を評価するための情報を抽出する。
情報処理部13としては、例えば、入力装置30、入力装置に接続された中央演算装置31、記憶装置32および出力装置33等を備えるものとすることができるが、これらに限定されるものではなく、適宜変更することができる。
上記のような構成を有する情報処理部13においては、例えば、情報収集部12から入力されるデータおよび情報処理部13内の記憶装置32に記憶されたデータ等を読み込み、中央演算装置31で下記のような処理を行なうもの等とすることができる。
情報処理部13は、以下の工程を含む情報処理を行う。まず、周期候補抽出部311は、情報収集部12により記録された体動信号を読み出してパターンマッチング(自己相関法等)を行うことにより、リズム周期の候補を抽出する(周期候補抽出工程)。
パターンマッチングは公知の通常用いられるパターンマッチング法またはテンプレートマッチング法を用いることができる。具体的には、例えば、画像処理工学(末松良一・山田宏尚著、コロナ社)等に記載の方法が用いられる。
まず、体動信号として、3軸の加速度信号を得た場合では、周期候補抽出部311は、これらの信号から適当な基準波を選び出し、元データとのマッチングを行う。基準波とは、体動信号のある一定の幅のデータをいい、どの信号を基準波とするかはいずれのものでもよい。
例えば、歩行等の繰り返しリズム運動によれば、加速度信号はピークを有する波形となるが、このピークを中心とする一定時間の信号を基準波とすることは必ずしも必要ではなく、中心位置をピークとなる時間とずらして基準波としてもよい。
ただし、基準波の中心位置をランダムに選択してパターンマッチングを行い、リズム周期候補の強度の和が最大のものを、最適な中心位置として基準波を選択することも好ましい。基準波の幅については後述するスケール決定のプロセスで決定された時間スケールSから最適な幅としてS/2を用いるのが好ましい。
具体的には、例えば、基準波の座標を、式(i)として、以下の式(ii)で3次元の自己相関係数を計算することができる(図3)。
Figure 0005644304
ここで、p個のx、y、zはそれぞれの平均値がゼロになっているとする。
Figure 0005644304
上記の自己相関係数は、いわゆるスカラー量であり、座標系のとり方に依存しない。すなわち、体動測定中にデバイスが装着部位(例えば、ベルト、ポケットおよびかばん)内で回転のずれをおこしても同じ値となる点で好ましい。
図4を用いて、パターンマッチングについて説明する。図4(A)は、体動情報収集部により記録された3次元の加速度データを下式(iii)で絶対値に変換した波形である。
Figure 0005644304
この加速度波形から、図4(A)の*印を中心とした幅0.5秒の領域を基準波として選択し、上記式に基づいてパターンマッチングを行い、リズム周期候補を求めたのが図4(B)である。また、基準波のピーク位置を、実際の加速度信号のピークとはずらして選択した(図5(A)中の*印)場合を図5(B)に示すが、この場合も同様にリズム周期候補を抽出することができる[図5(B)]。
次に、補助波作成部312は、情報収集部12にて記録された体動信号を読み出して、該体動信号を−1回以上積分して運動軌道を取得する。積分回数は、例えば、−1回以上、5回以下であることが好ましい。すなわち、積分回数は−1、0、1、2、3、4および5回であることが好ましく、2〜3回であることがより好ましい。ここで、−1回の積分とは1次の微分を意味する。
補助波作成部312は、取得された運動軌道について粗視化を行うことにより、真のリズム周期決定のための補助波を作成する[補助波作成工程:図6(B)参照]。ここで、図6(B)において、矩形波のような幅の広い波形が補助波であり、図6(A)は、図4(A)と同様の図である。補助波は上記で取得された運動軌道から時間スケールSを決定し、このスケールで運動軌道を粗視化することで得られる。
軌道が示す主要な周期運動に関する時間サイズおよび空間サイズのことをここではスケールと呼ぶ。このスケールを活用すれば、パターンマッチングおよび運動軌道の粗視化を効率よく行うことができる。スケールは、具体的には、例えば、以下のようにして決定することができる。
補助波作成部312は、加速度を2回積分して得られた運動軌道を用いて、適当な時間領域T(ここでは2秒)を設定し、その時間帯におけるスケールを求める。時間領域Tは、目的とするリズム周期以上の値であればどのような値に設定してもかまわない。例えば、歩行リズムの場合は、通常1秒程度の周期なので、時間領域Tはそれ以上であれば十分であるが、事前に周期を想定することによる誤差をなくすため、2秒以上に設定するのが好ましい。
補助波作成部312は、まず、0〜Tの間で時間幅tを細かく変化させ、その時間幅だけ隔たった上記軌道上の2点間の距離の平均値D(t)を求める。具体的には、時間幅をt、加速度データの測定時間間隔をdtとし、t+Ndt≦T<t+(N+1)dtなる整数Nが存在するとき、時刻0と時刻tとにおける2点間の距離、時刻dtと時刻t+dtとにおける2点間の距離、時刻2dtと時刻t+2dtとにおける2点間の距離、すなわち、時刻ndtと時刻t+ndtとにおける2点間の距離(n=0,1,・・・N)をN+1個求め、求められたN+1個の距離の平均をD(t)とする。
次に、補助波作成部312は、時間0〜tの区間についてD(t)の最大値MAXD(t)を求める[図7(A),(B)の実線グラフ]。具体的には、補助波作成部312は、時刻t0を、0≦t0≦tの間で変化させたときのD(t0)の最大値を求め、この最大値をMAXD(t)とする。補助波作成部312は、最後にMAXD(t)−D(t)を計算する[図7(A),(B)の破線グラフ]。
体動信号として、例えば、歩行の軌道は大別して次の二つのパターンに分けることができる(図8)。まず、前後方向に比べ左右方向の変動幅が大きく、羽を広げたような軌道を「蛾」タイプ、その反対の羽を閉じたような軌道を「蝶」タイプとする。
両者の判定は、補助波作成部312によって、以下の情報を数値化して自動的かつ正確に行う。蛾タイプの場合、軌道の主成分分析から得られる主軸[図9(A)の破線]が二つの羽を貫く方向になるので、この軸の周りの回転対称性が低くなる[図9(A)参照]。反対に蝶タイプの場合は、主軸[図10(A)の破線]が羽の平面と平行になるので、回転対称性は高い[図10(A)参照]。
補助波作成部312は、例えば、主軸と垂直な平面を作成し、この平面を横切る軌道を該平面上にプロットし、その点が原点からみて角度180度以内の範囲に集中していれば蛾タイプと判定する[図9(B)]。
より具体的には、補助波作成部312は、例えば、主軸と垂直で、かつ原点[図9(A),図10(A)中の*印]を通る平面を作成し、軌道がこの平面と交差する点(以下、交差点と呼ぶ場合がある)を該平面上にプロットし、全ての交差点が原点からみて角度180度以内の範囲に存在していれば蛾タイプと判定する[図9(B)]。
図9(B)に示す例では、原点からみた交差点の方向を矢印で示している。図9(B)に示す例において、全ての矢印が、おおよそ150度から210度の領域、すなわち60度の間に集中していることがわかる。すなわち、全ての交差点が原点からみて角度180度以内の範囲に存在しているため、補助波作成部312は、歩行の軌道が蛾タイプと判定することができる。
一方、蝶タイプの場合は、交差点は原点からみて180度以内に局在することがない[図10(B)]。すなわち、全ての交差点が原点からみて角度180度以内の範囲に存在していないため、補助波作成部312は、歩行の軌道が蝶タイプと判定することができる。
蝶タイプについては、補助波作成部312は、MAXD(t)が一定になる最初の時間[図7(A)の*、ここでは0.23秒]の4倍を時間スケールとして取得する。それはMAXD(t)−D(t)のピーク位置(図7(A)の○、ここでは0.93秒)と一致する。なお、この時間スケールは時間領域Tにおける平均歩行周期にも相当する。また、一定となるMAXT(t)の値[図7(A)では470、単位は0.1mm]が空間スケールである。
蛾タイプについてはMAXD(t)が一定になるまでの変化がゆるやかになるので[図7(B)]、補助波作成部312は、MAXD(t)−D(t)のピーク位置[図7(B)では0.98秒]を時間スケールとする。
ただし、蛾タイプの場合、補助波を作成する上で時間スケールを詳細に設定する必要は必ずしも無い。例えば、図11(A),(B)は時間スケールとしてそれぞれ1秒、0.6秒を設定した場合の補助波である。いずれもきれいな矩形波であり、実用的にはどちらを用いても問題ない。
歩行が突然変調する場合に対応するため、このようなスケールはこまめに、例えば、1秒間隔で求めると良い。
上記スケールで運動軌道を粗視化する方法については、粗視化とはものごとを粗く視るという物理用語で、細かく測定したデータについて一定間隔毎に平均値をとる、積算する、代表値をとるなどの方法がある。
具体的には、補助波作成部312は、例えば、軌道座標時系列(式(iv))から粗視化として以下のベクトル時系列(式(v))を求め、このデータについて基準点ベクトル(=幅ゼロの基準波)と他時間でのベクトルとの内積を計算して補助波を作成することができる。
Figure 0005644304
Figure 0005644304
本実施形態の一例では、上述の如く補助波を作成しているが、これに限定されるものではない。他の補助波作成方法の一例について以下に述べる。この方法は、補助波作成部312が、体動信号情報に対して−1回積分または1回積分を行なうことで運動軌道を取得する場合に用いられることが好ましい。
また、以下に述べる補助波作成方法は、超タイプおよび蛾タイプの歩行の軌道に共通して適用することができる。まず、補助波作成部312は、例えば、入力装置30によって取り込まれた体動信号情報を−1回または1回以上積分することで運動軌道を求める。
より具体的には、例えば、上下方向、前後方向および左右方向の3軸の体動信号情報のうち左右方向についての体動信号情報に対して−1回または1回以上積分を行なうことで、左右方向の運動軌道を求める。
次に、補助波作成部312は、左右方向の運動軌道を時定数(フィルタ時定数)Aによるローパスフィルタで平滑化する。ここで、ローパスフィルタとしては、例えば、具体的には時間幅(フィルタ時定数)Aの移動平均フィルタを用いることが好ましい。
また、ローパスフィルタとしては、ゼロ位相移動平均フィルタを用いることがより好ましい。ゼロ位相移動平均フィルタとは、位相ずれが0である移動平均フィルタを指す。なお、ゼロ位相移動平均フィルタは既知の種々の手法を用いて実現可能であり、詳細な説明は省略する。
時間幅Aは、ある時間A0以下の範囲(0≦A≦A0)で細かく変化させる。このA0は目的とするリズム周期(例えば、歩行のリズム周期)の半分程度の時間に設定しておくが、設定の妥当性は後述の方法で判断する。
次に、補助波作成部312は、ローパスフィルタによって平滑化した信号について時刻aを中心とした時間幅Aの領域、すなわち、時間領域a−A/2≦a1≦a+A/2において、信号の異方性を算出する。
異方性は時系列信号がプラスの値に偏っているか、マイナスの値に偏っているかを定量化したものであり、例えば、以下の二つの方法で計算できるが、この方法に限られるものではない。
(1)データのうち、正の値を持つデータの平均値をP、負の値を持つデータの平均値をMとしたとき、異方性=(P+M)/(P−M),
(2)データのうち、正の値を持つデータの数をP、負の値を持つデータの数をMとしたとき、異方性=(M−P)/(P+M)。
図12は、時刻aに対する異方性の変化の一例を示した図である。こうして得られた異方性の時系列データについて、補助波作成部312は、異方性の値が負から正(または正から負)の方向へゼロラインを横切る隣り合う2点を抽出する(図12の●)。
そして、補助波作成部312は、このような2点間の時間間隔について、平均値(スケール)およびそのCV(標準偏差/平均値:Coefficient of Variation)を求める。フィルタ時定数Aを変化させた場合のCVとスケールとをプロットし、CVが最小値を示すときのスケールを粗視化のための時間スケールBとして決定する。
図13は、フィルタ時定数Aに対するCVおよび時間スケールBの変化の一例を示す図である。図13の例ではCVが最小値となるのはA=0.52秒であり、そのときのスケールは1.27秒である。なお、この時間スケールBは平均歩行周期に相当する。ここでスケールとは、異方性の波形(図12)がゼロラインを横切る平均の時間間隔のことなので、スケールは、言い換えれば異方性の波形の平均周期に相当する。また、CVはこの時間間隔のばらつき、すなわち異方性の波形がどれだけ規則的であるかどうか、を示す。従って、CVが最小となる点は異方性の波形が最も規則的に(周期的に)変化する場合に相当する。すなわち、CVが最小となる場合の異方性の波形は、もとの左右方向の歩行軌道から主たる周期成分を抽出したものに相当する。従って、このときの時間スケールB(すなわち異方性の波形の平均周期)はもとの歩行波形の平均周期に相当する。
図13ではA0=0.6秒と設定したが、これはリズム周期(時間スケール)の約半分なので、A0の設定が妥当であったと判断できる。反対に、得られた時間スケールがA0の2倍よりも小さければ、A0の設定値が低すぎたと判断し、A0をより大きい値に設定しなおして上記計算を繰り返す。
ここで、A0=0.6秒は、得られたスケールB(すなわち平均歩行周期)1.27秒の半分以下なので、A0の設定は妥当と判断した。A0がスケールBの半分の場合にA0の設定が妥当と判断するのは以下の理由のためである。例えばA0が歩行周期と同程度とすると、そのような時定数を用いて前述のローパスフィルタ処理を行なうと、フィルタ処理後の波形の値はほとんどゼロになってしまいローパスフィルタ処理を行なう意味がなく、そのため、A(≦A0)は平均歩行周期より小さくする必要がある。また、計算の効率からA0はなるべく小さく設定したい。さらに、Aが歩行周期の半分程度だと、フィルタ処理により、後述するように上下方向や前後方向の運動に起因する高周波の成分(左右方向の周期の半分の周期の成分)が消えるので、左右方向の周期(=歩行周期)を正確に取り出すことができる。従ってA0を平均歩行周期の半分程度に設定し、A0以下の値であるAにてフィルタ処理を行うのが好ましいのである。
ここで、以下、運動軌道波形Xを時定数A1のローパスフィルタで平滑化し、時間幅A2にて異方性評価に基づく補助波Yを求める方法をY=F(X,A1,A2)と略記する。この記載によれば上述の処理はY=F(X,A,A)と記すことができる。
次に、補助波作成部312は、得られた時間スケールをBとするとき、左右方向の運動軌道波形XをZ=F(X,B/2,B1)によって粗視化し、異方性評価に基づく補助波Zを作成する。ここでB1はB/2以下の値であり、B1=B/4であることが好ましい。
なお、3軸の加速度信号(体動信号情報)のうちどれが左右方向についての信号かが不明のときは、補助波作成部312は、以下のようにして決定する。
補助波作成部312は、3軸方向全ての運動軌道を求め、3軸方向(x、y、z)の運動軌道について、上述の方法によりフィルタ時定数AとCVとの関係を求める。図14は、フィルタ時定数Aに対するCVの変化の一例を示す図である。3軸方向全ての運動軌道について、それぞれ最小点を抽出する(図14の*)。この3点のうち、フィルタ時定数が最も大きい点を与えるものが左右方向の信号である(図14における実線)。前述のように、CVが最小となる異方性の波形とは、もとの歩行軌道をローパスフィルタで平滑化して、最も周期性の高い波形を取り出したものに相当する。このような異方性の波形を得るためには、もとの歩行軌道の主たる周期が長ければ長いほど、より大きな時定数のフィルタをかける必要がある。歩行リズムにおいては、左右方向の周期(歩行周期)がおおよそ1秒程度であるのに対し、上下方向や前後方向の周期はその半分になる。従って、左右方向の歩行軌道のフィルタリングによって最も周期性の高い異方性の波形を取り出すためには、上下方向や前後方向に比べてより大きい時定数を用いる必要がある。この性質を逆に利用して、最適の(CVが最小となる)時定数が最も大きくなるような異方性の波形を与えるのは、左右方向の歩行軌道であると判断できる。
また、計測装置の装着位置がずれているために、3軸方向が左右、前後、上下と完全に一致しない場合は、補助波作成部312は、原点から発するあらゆる方向のベクトルについてそれに沿った運動軌道を求め、この軌道について図14のようなプロットを作成して、その最小点のフィルタ時定数が最も大きくなるようなベクトルを左右方向として選択する。
補助波はほぼ2値的に変動する矩形波であるので、特別な閾値等のパラメータをまったく導入せずに、ピーク位置を一意に決めるのを助けてくれる。補助波が得られたら、周期選択部313は、これを周期候補抽出工程で得られたリズム周期候補の波形と重ね合わせて、例えば、補助波に囲まれた領域内で最大のピークを有するリズム周期候補波の周期を真のリズム周期として選択する。
なお、周期選択部313は、補助波に囲まれた領域内で複数のピークを有する場合には、最大のピークを有するリズム周期候補の周期を真のリズム周期として選択してもよいし、最大のピーク以外のピークを有するリズム周期候補波の周期を真のリズム周期として選択してもよい。これは、周期候補抽出工程で得られたリズム周期候補は、補助波に囲まれた領域内でピークが最大でないものであっても、実際のリズム運動のリズム周期である可能性があるからである。
例えば、周期選択部313が、正しく得られたリズム周期を適当出力装置に出力することで、このようにして正しく得られたリズム周期は、適当な出力装置により出力される。例えば、正しく得られたリズム周期は、適当な出力装置がそなえる表示部により表示される(表示工程)。
なお、この表示工程は、例えば、適当な出力装置がそなえる演算装置が、適当な出力装置の内部または外部にそなえられた記憶装置に格納された所定のプログラムを実行することで実現される。
ここで、適当な出力装置とは、例えば、情報処理部13がそなえる出力装置33でもよいし、情報処理部13以外がそなえる出力装置、例えば、出力装置26とは異なる体動信号検出装置10がそなえる出力装置(図示省略)、並びにパーキンソン病等の被験者、その家族およびその医師が有するモニタ等の出力装置等の情報処理部13外部の出力装置であってもよい。
すなわち、適当な出力装置は、情報処理部13により抽出された結果を出力する出力部として機能し、更には、情報処理装置によって得られた結果を表示する表示部をそなえた表示装置として機能する。
なお、出力装置26とは異なる体動信号検出装置10がそなえる出力装置またはパーキンソン病等の被験者、その家族およびその医師等が有するモニタ等の出力装置に、正しく得られたリズム周期を出力させる場合には、例えば、情報処理部13は、有線、無線およびメディア等の記録媒体を介して、出力装置26とは異なる体動信号検出装置10がそなえる出力装置またはパーキンソン病等の被験者、その家族およびその医師等が有するモニタ等の出力装置に対して正しく得られたリズム周期を伝達する。
すなわち、情報処理装置により抽出された結果が、体動信号検出装置を介して被験者に伝達される。言い換えれば、出力装置26とは異なる体動信号検出装置10がそなえる出力装置は、情報処理装置により抽出された結果を、被験者に伝達する伝達部として機能する。
なお、正しく得られたリズム周期を伝達する機能は、周知の種々の手法により実現され、例えば、中央演算装置31が、記憶装置32に格納されたプログラムを実行することにより実現される。ここで、適当な出力装置により出力されるこの出力値は、リズム周期の時間依存性または活動量との相関として出力することも好ましい。
また、情報処理部13は、例えば、以下のようにパーキンソン病を評価するための処理を行うこともできる。具体的には、例えば、情報処理部13がそなえる中央演算装置31が、記憶装置32に格納された所定のプロラムを実行することで、評価部314として機能する。
すなわち、評価部314は、例えば、評価工程として、後述する比較工程、第1解析工程、第2解析工程、第3解析工程、第4解析工程、第5解析工程、第1出力工程、第2出力工程、第3出力工程および第4出力工程を実行する。
なお、情報処理部13とは別に、中央演算装置および記憶装置等をそなえた他の情報処理装置が、所定のプロラムを実行することで、評価部314を実現してもよい。この場合、例えば、情報処理部13が、正しく得られたリズム周期を、他の情報処理装置に対して、有線、無線およびメディア等の記録媒体を介して、伝達し、他の情報処理装置の評価部314は、この情報に基づいて、パーキンソン病を評価するための処理を行なう。
すなわち、情報処理部13または他の情報処理装置の評価部314は、パーキンソン病の重症度を評価する、情報処理部13に付設された評価装置として機能する。ここで、情報処理部13に付設された評価装置とは、評価装置が、情報処理部13内に存在すること、および、情報処理部13に接続されていることを指す。
例えば、歩行リズムから算出された歩行リズム周期(歩行周期)またはその平均値を時系列で比較し(比較工程)、リズム周期またはその平均値が減少し始めたらその旨等を、例えば、出力装置33に出力表示する(第1出力工程)。
また、反対に減少していたリズム周期またはその平均値が増加して、もとのレベルに戻ったらその旨等を、例えば、出力装置33に出力表示する(第2出力工程)。
また、例えば、リズム周期等が減少し始めたら、その旨を出力部に出力し(第3出力工程)、出力部が患者および医師等に報知するものとしてもよい。報知を行うことにより、例えば、患者は薬を服用することができる。また、医師による診断または治療を受けていない潜在的なパーキンソン病患者またはその家族に、異常の発生の報知がなされることにより、患者は通院する等の適切な行動をとることができる。
また服薬後、さらに生体信号情報を解析して、リズム周期またはその平均値が正常レベルとなり、安定すれば、薬効があると判断し(第1解析工程)、その旨等を同様に出力部に出力してもよい(第4出力工程)。出力部が患者等に報知を行うことによって、患者は病態が安定したとの安心感を得ることが可能となる。
また情報処理部13は、上記リズム周期またはその平均値の時間変動に基づいて、病態の時間変化を評価することも可能である。病態の時間変化とは、例えば、1日の時間帯に依存して病態が変化することをいう。
時間変動に基づいて、病態の時間変化を解析(第2解析工程)することにより、例えば、24時間のうち、いつの時間帯に症状が出やすい等を患者および医師等が把握すること等が可能となる。
また情報処理部13は、リズム周期の所定の時間内の時間変動パターンに基づいてパーキンソン病の重症度の判定を行う(第3解析工程)ものとしてもよい。具体的には、上記リズム周期、またはリズム周期の平均値の時間変化を長時間、例えば、10時間以上にわたって追跡する。
歩行周期がほぼ一定でゆらぎが少なければ、重症度は低く、病態は安定していると判定する。
歩行周期のゆらぎが大きいが、それが投薬に依存するものである場合、すなわち投薬によって歩行周期が増加(または減少)し薬効が切れると歩行周期が減少(または増加)する場合は軽症ではないがよくコントロールされていると判定する。
歩行周期が投薬のタイミングと無関係に大きくゆらいでいる場合は、病態がほとんどコントロールされていないと判定することができる。
また、情報処理部13はリズム周期とリズムの波形に基づいて、パーキンソン病の状態を評価するものであってもよい。本例においては特に、リズム周期とリズムの波形に基づいて、繰り返しリズム運動の突然のリズム周期の異常を検出する機能を備えていることが好ましい。
このような突然のリズム周期の異常の検出についても、例えば、情報処理部13における中央演算装置31で、情報収集部12から入力されるデータ、および情報処理部13内の記憶装置32に記憶されたデータ等について演算・処理することにより行なうことができる。
突然のリズム(歩行リズム)周期の異常を検出する方法について、図15のフローチャートを例に説明する。
体動信号検出部11が体動信号情報として、例えば、歩行リズムを計測し(ステップS131)、データを情報収集部12に記録・保存する。
情報処理部13は、情報収集部12からデータを得て、リズム波形からリズム周期を求める(ステップS132)。
リズム周期の求め方は、上述したとおりである。情報処理部13は、この時々刻々変化するリズム周期を解析し、リズム周期が大きく減少するかを判定する(ステップS133:第4解析工程)。
リズム周期に大きな減少がみられなければ(ステップS133のNOルート参照)リズムに突然の異常はないと判断する。
リズム周期に減少が見られた場合(ステップS133のYESルート参照)には、さらにリズム波形が予め定められた所定の波形と一致しているかどうかを判定する(ステップS134:第5解析工程)。
リズム波形が、所定の波形と一致していれば(ステップS134のYESルート参照)突然の異常があると判断する。
予め定められた所定の波形としては、例えば、小刻み歩行等の異常な歩行に伴う波形とすることができ、パーキンソン病で共通的に見られる波形または患者特有の異常な歩行波形をデータベースとしてあらかじめ情報処理部13、または評価装置内に備えられた記憶部等(例えば、記憶装置32)に記憶させておくことができる。
一方、リズム波形が、所定の波形と一致していなければ(ステップS134のNOルート参照)異常はないと判断する。
ここで、ステップS133における歩行周期の減少判定方法は、例えば、以下の方法とすることができる。これについて、図16を用いて説明する。
ある時間T0において、リズム周期の減少があるかどうかを判定する場合、T0以前の所定の期間T1内における歩行のリズム周期の平均値M1を求める。次に、T0以降の所定の期間T2内における歩行のリズム周期の平均値M2を求める。
T1及びT2としては適当な長さの時間を設定する。例えば、1秒以上10秒以下の値とすることができる。このようにして求めた歩行のリズム周期の平均値M1及びM2の間に、所定の係数α(0<α<1)を用いて、M2<M1×αの関係が成立すれば歩行のリズム周期の減少があると判定する。
またステップS134では、例えば、公知のパターンマッチングの手法を用いて、歩行波形が所定の波形と一致またはきわめて類似しているかを判断すればよい。
このような突然の異常の発生が、情報処理部13によって検出された場合、異常の発生を出力部等によりリアルタイムで患者に報知する形態をとれば、その報知を受けて患者は即座に薬を服用したり、運動を控えたり等の適切な処置をとることができる。
パーキンソン病のための薬としては、例えば、L−ドーパ、抗コリン剤、塩酸アマンタジン、麦角・非麦角アルカロイド、塩酸セレギリンおよびL−ドプス等が挙げられる。
また、突然の異常が出現する時間帯および頻度を医師に報知する形態をとれば、医師は患者の病態の日内変動および重症度を正確に把握することができる。また、医師による診断または治療を受けていない潜在的なパーキンソン病患者およびその家族等に、異常の発生の報知がなされることにより、患者は通院する等、適切な行動をとることができる。
出力部としては、情報処理部13によって評価された結果等を、患者または医師に報知可能なものであれば特に制限はない。例えば、アラームおよび振動等によって、状態の変化または突然の異常について報知するもの等であってもよく、またディスプレイに病態の時間変動または重症度の評価結果を表示するもの等であってもよい。
また、この出力部は、独立した装置であってもよいし、所定の装置等の内部にそなえられることとしてもよい。例えば、出力部は、体動信号検出装置10内にそなえられてもよいし、情報処理部13内にそなえられてもよい。また、出力部として出力装置33を用いてもよい。
ここで、情報処理部13は出力部に対して、例えば、有線または無線を介して、異常の発生等を示す情報を伝達する。
(その他)
歩行に関与する神経系、筋肉および骨格などに疾患または障害があると、歩行に異常をきたすため、歩行障害の様子から、歩行障害の原因の特定または疾患の診断・評価が可能となる。言い換えれば、歩行のリズム周期から、歩行障害の原因の特定または疾患の診断・評価が可能となる。
従って、正確に歩行のリズム周期を測定することで、パーキンソン病以外にも、例えば、脳卒中、脊髄損傷、脳性麻痺、脊髄形成異常症、筋ジストロフィー、変形性関節症、関節リウマチ、多発性硬化症、アルコール中毒、認知症および水頭症等の歩行に関与する、神経系、筋肉および骨格などに障害を引き起こす種々の疾病または病気の診断または評価が可能である。
情報処理部13にそなえられる中央演算装置31等の各機能を実現するための種々のプログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(例えば、CD−ROM、CD−RおよびCD−RW等)、DVD(例えば、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R、DVD+R、DVD−RW、DVD+RWおよびHD DVD等)、ブルーレイディスク、磁気ディスク、光ディスクおよび光磁気ディスク等の、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。
そして、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し格納して用いる。又、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスクおよび光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信経路を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
なお、本実施形態において、コンピュータとは、ハードウェアとオペレーティングシステムとを含む概念であり、オペレーティングシステムの制御の下で動作するハードウェアを意味している。
又、オペレーティングシステムが不要でアプリケーションプログラム単独でハードウェアを動作させるような場合には、そのハードウェア自体がコンピュータに相当する。ハードウェアは、少なくとも、中央演算装置等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み取るための手段とをそなえており、本実施形態においては、情報処理部13が中央演算装置31をそなえたコンピュータとしての機能を有しているのである。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
携帯型の加速度計測装置(8×6×2cm)により安定な自立歩行が可能なパーキンソン病患者の体の動きを測定した。計測装置としては、3軸の加速度センサー(測定範囲±5G)を体動信号検出部11として搭載しているものを用いた。加速度波形は計測装置本体にミニSDカード(情報収集部)を装着して記録した。これをシークレットベルトに入れて被験者の腰部に装着し、サンプリング周波数100Hzで計測した。
得られた3軸の加速度時系列データx(t)、y(t)、z(t)から幅500msecの基準波を選び、自己相関法による周期候補抽出工程と、補助波作成工程とを施して真のリズム周期を選択した。時系列グラフの一部を図17に示す。図17(A)が加速度の絶対値のプロット、図17(B)が抽出されたリズム周期候補と、補助波である。
図17(A)に示すように、補助波内で最大のピークを有するリズム周期候補波の周期を真のリズム周期として選択した[図17(A)内の*印]。ここで、選択されたリズム周期は実際の歩行のリズム周期と一致していることが確認できた。したがって、本発明の方法により歩行のリズム周期を正しく選択できることがわかった。
[比較例1]
実施例1で得られたリズム周期候補について従来よく用いられているような閾値を用いた判別法を適用してリズム周期選択を行った(図18)。図18(A)は、加速度の絶対値のプロットであり、図18(B)は、抽出されたリズム周期候補と閾値である。
図18(B)に示すように、閾値のラインを超えているリズム周期候補がリズム周期として選択された。この方法では図18(B)中の×印のピークを有するリズム周期候補波が、誤ったピーク位置として選択されてしまった。閾値を増加させて×印を排除しようとすると、今度は選ぶべき真のリズム周期もいくつか排除されてしまった。いずれにせよ閾値法では真のリズム周期を選択することができなかった。
[実施例2]
実施例1と同様の手順で安定な自立歩行が可能なパーキンソン病患者の体の動きを測定した(図19)。幅500msecの基準波[図19(A)および図20(A)中、中心位置を○印で示す]を選定して、自己相関法によりリズム周期候補を抽出した[図19(B)]。続いて、図19(B)に示すように、補助波を作成し、補助波で囲まれた部分から最大の自己相関係数を持つピーク位置を持つリズム周期を真のリズム周期として選んだ[図19(A)内の*印]。
図19(B)に示すように、ピークが正しく決定されていることがわかった。特に基準波との相関値が低い図19(A)中、□印の二つのピークが正しく選ばれていた。このピークを有するリズム周期候補波が基準波と低い相関を示すのは、歩行の態様が時間352秒を境に急変しているからである。したがって、本発明の方法によれば、このような歩行の突然の変調にも追随して歩行のリズム周期を精度よく検出できることがわかった。
[比較例2]
実施例2で抽出された各リズム周期候補を中心とする幅500msecの波を取り出し、自己相関法によりお互いの相関係数を計算した。このようにして全てのリズム周期候補中のピーク同士の類似度(統計学的な言葉では距離)が得られる。その値を基にしてK−means法(Seber,G.A.F.Multivariate Observations.Hoboken,NJ:John Wiley&Sons,Inc.,1984)でクラスタリング解析を行った(図20)。これにより選定されたピークを図20(B)に示す。図20(B)よりリズム周期が正しく得られていないことがわかった。
[実施例3]
実施例1と同様の手順ですくみ足を示すパーキンソン病患者の1日の体の動きを測定した。加速度信号から1秒ごとにスケールを求め、このスケールに基づいてリズム周期候補の抽出と補助波の作成を行い、両者の情報から歩行によるピーク位置を決定した。隣り合うピーク位置の間隔から一歩ごとの歩行リズム周期を算出した。こうして得られた歩行周期について5分間隔で平均値を求めた。また、歩行している際の加速度の絶対値の平均を同じく5分間隔で求めた。加速度の絶対値は人の活動量の良い指標となる。
図21(A),(B)内の*印が両者の相関をプロットしたものである(近似曲線を実線で示す)。破線は健常者のラインである。正常な歩行では、歩行周期が減少すると歩行に伴う加速度は増加するので右下がりの曲線となる。
図21(A)はLevodopaを投与する前の患者の測定結果であり、健常者のラインから著しくずれていた。一方、図21(B)はLevodopaを約1ヶ月投与して病状に改善が見られた後の測定結果であり、健常者のラインに近づいていた。したがって、本発明の方法によれば、正しく得られたリズム周期と活動量との相関を視覚的に表示することにより、パーキンソン病の状態および薬効を的確に把握できることがわかった。
[実施例4]
計測装置をナップザックに入れ、右肩にかけて歩いた際の加速度を100Hzで計測した(図22)。絶対値加速度波形[図22(A)]および自己相関係数[図22(B)]からはもはやどれが同じ足に起因する歩行であるかを見分けることができない。
しかし、この場合にも図22(A)に示すように、補助波を考慮することにより、正しいリズム周期を選択することができた[図22(A)内の*印]。したがって、本発明の方法によれば、デバイスの装着部位によらず、正確に歩行のリズム周期を測定できることがわかった。
[実施例5]
計測装置を腹部中央に装着し、右足から踏み出して11歩歩いたときの加速度を100Hzで計測した。左右方向の加速度信号を−1回積分(すなわち微分)した波形を運動軌道とし、異方性評価に基づく補助波を作成して歩行ピークを決定した(図23)。
図23(A)は、左右方向の加速度信号の一例を示し、図23(B)は、図23(A)に示す左右方向の加速度信号から求められた異方性評価に基づく補助波およびリズム周期の候補の一例を示す図である。図23(A)に示すように、左足ステップによる歩行ピークを正しく抽出することができた[図23(A)内の*印]。
次に前記加速度信号を1回積分した波形を運動軌道とし、異方性評価に基づく補助波を作成して歩行ピークを決定した(図24)。図24(A)は、左右方向の加速度信号の一例を示し、図24(B)は、図24(A)に示す左右方向の加速度信号から求められた異方性評価に基づく補助波およびリズム周期の候補の一例を示す図である。
図24(A)に示すように、右足ステップによる歩行ピークを正しく抽出することができた[図24(A)内の*印]。
前記加速度信号を−1回積分および1回積分したいずれの場合も、補助波を上下反転させたものを新たな補助波とすれば、反対の足のステップに基づくピークを選ぶこともできた。
これらの結果から、本発明の方法によれば、−1回積分、または1回積分波形を用いることにより、左右のステップを判別(同定)できることがわかった。
10 体動信号検出装置
11 体動信号検出部
12 情報収集部
13 情報処理部
20 入力装置
22 中央演算装置
24 記憶装置
26 出力装置
30 入力装置
31 中央演算装置
32 記憶装置
33 出力装置
311 周期候補抽出部
312 補助波作成部
313 周期選択部
314 評価部

Claims (3)

  1. 被験者が少なくとも人の体の繰り返しリズム運動を非侵襲的かつ連続的に計測する体動信号検出部を有する体動信号検出装置を携帯することにより得られた体動信号情報について、情報処理装置において以下の(1)〜(3)の工程を含む情報処理を行い、前記情報処理にて得られた結果を抽出することを特徴とする、体動信号についての情報処理方法。
    (1)前記体動信号情報の中から選び出された基準波情報を用いて自己相関係数を計算する自己相関法によるパターンマッチング処理を施して、前記リズム運動に関するリズム周期候補としてのリズム周期候補波を抽出する周期候補抽出工程;
    (2)前記体動信号情報について2回または3回積分を行って運動軌道を取得し、前記運動軌道から時間スケールを決定し、前記時間スケールで前記運動軌道の粗視化を行って補助波を作成する補助波作成工程;
    (3)前記周期候補抽出工程で抽出されたリズム周期候補波と、前記補助波作成工程で得られた補助波とを重ね合わせ、前記補助波内でピークを有するリズム周期候補波の周期を真の周期として選択する周期選択工程。
  2. 被験者が少なくとも人の体の繰り返しリズム運動を非侵襲的かつ連続的に計測する体動信号検出部を有する体動信号検出装置を携帯することにより得られた体動信号情報について、情報処理を行い、前記情報処理にて得られた結果を抽出する情報処理装置であって、
    前記体動信号情報の中から選び出された基準波情報を用いて自己相関係数を計算する自己相関法によるパターンマッチング処理を施して、前記リズム運動に関するリズム周期候補としてのリズム周期候補波を抽出する周期候補抽出部と、
    前記体動信号情報について2回または3回積分を行って運動軌道を取得し、前記運動軌道から時間スケールを決定し、前記時間スケールで前記運動軌道の粗視化を行って補助波を作成する補助波作成部と、
    上記の周期候補抽出部で抽出されたリズム周期候補波と、上記の補助波作成部で得られた補助波とを重ね合わせ、前記補助波内でピークを有するリズム周期候補波の周期を真の周期として選択する周期選択部とを有することを特徴とする、体動信号についての情報処理装置。
  3. 請求項2記載の情報処理装置と、
    前記情報処理装置からの前期真の周期と、異常な歩行に伴う波形の周期との比較によりパーキンソン病の重症度を評価する評価装置とを備えたことを特徴とする、パーキンソン病の診断装置。
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