JP5644289B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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本発明は、自動停止・再始動される内燃機関において、排気中に含まれる粒子状物質をフィルタによって捕集するとともに、堆積した粒子状物質を酸化・除去してフィルタを再生するようにした内燃機関の排気浄化装置に関するものである。
近年、予め設定された自動停止条件が成立すると内燃機関を自動的に停止させ、自動停止中に自動再始動条件が成立すると内燃機関を自動的に再始動させる制御が行なわれる車両が普及している。このような車両としては、エコラン(エコノミーランニング)車両、ハイブリッド車両等がある。
これらの車両では、信号待ち等の一時停止時に内燃機関を自動停止させ、車両の再発進時に内燃機関を再始動させる、いわゆるアイドリングストップ制御を行なうことができる。また、ハイブリッド車両では、内燃機関の他に駆動源(例えば電気モータ)を備えるため、車両の走行中においても内燃機関の運転条件等に応じて内燃機関の自動停止や自動再始動の制御を行なうことができる。これらにより、燃費の向上、エミッションの低減を図ることができる。
一方、車両に搭載された内燃機関の排気を浄化する装置として、同排気中に含まれる粒子状物質(Particulate Matter: PM)を排気通路途中のフィルタによって捕集するものが知られている。このフィルタを備える場合には、捕集されたPMの量が増大するにつれてフィルタでの圧力損失が増大する。そこで、フィルタの温度を上昇させてPMを酸化・除去することでフィルタを再生する制御が行なわれる。こうした再生制御としては、例えば排気通路に燃料添加弁を設け、排気中に燃料を直接添加することでフィルタの昇温を図るといった処理や、主燃料噴射時期から遅れた時期に再度燃料噴射を実行する、いわゆるポスト噴射やアフター噴射と呼ばれる副噴射を実行して排気中に燃料を供給することでフィルタの昇温を図るといった処理等が行なわれる。
内燃機関の上記排気浄化装置では、フィルタの保護等のために、そのフィルタの温度を推定することが行なわれる。ただし、内燃機関の自動停止中は、内燃機関の作動中と同様の態様でフィルタの温度を推定すると、推定温度と実際の温度との間に乖離が生ずるおそれがある。そこで、例えば特許文献1では、フィルタの直上流の排気通路又は直下流の排気通路に配置された排気温センサの検出値を利用し、内燃機関の自動停止中のフィルタの温度を推定するようにしている。
ところで、内燃機関の再始動後、直ちにフィルタ再生のための燃料供給を再開するには、フィルタの温度のみならず、内燃機関の自動停止中にフィルタに堆積したPMの量(PM堆積量)を把握し、このPM堆積量に基づいてフィルタへの燃料供給量を算出することが必要となる。
この点、例えば、特許文献2等には、機関運転中のPM堆積量を算出(推定)する技術が開示されている。
特開2010−24848号公報 特表2007−515595号公報
ところが、内燃機関の自動停止中には、機関運転中とは異なり、排気や空気(ディーゼル機関では空気過剰のもとで燃焼が行なわれ、従って排気は多量の過剰空気を含んでいる。)が上記フィルタを通過しなくなる。そのため、特許文献2に記載された技術内容に従って、自動停止中にも機関運転中と同様の態様でPM堆積量を算出(推定)しようとすると、算出(推定)精度が低下するおそれがある。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、内燃機関の自動停止中における粒子状物質の堆積量を高い精度で算出することのできる内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、自動停止条件の成立に応じて運転が自動停止される内燃機関の排気通路に配置され、同内燃機関から前記排気通路を通じて排出される排気中の粒子状物質を捕集するとともに、堆積した前記粒子状物質が酸化されることにより再生されるフィルタと、前記内燃機関の自動停止中には、前記粒子状物質の単位時間当りの酸化量を、前記フィルタの温度に基づき算出する酸化量算出手段と、前記内燃機関の自動停止中には、同自動停止開始時の前記粒子状物質の堆積量、及び前記酸化量算出手段による前記酸化量に基づき、そのときどきの前記粒子状物質の堆積量を算出する堆積量算出手段とを備える内燃機関の排気浄化装置であって、前記酸化量算出手段によって算出される前記酸化量の積算値を算出し、積算値が、前記内燃機関の自動停止開始時に前記フィルタ中に残存する酸素により酸化し得る最大酸化量を越えるときには、前記積算値が前記最大酸化量以下となるように、前記酸化量算出手段によって算出される前記酸化量にガード処理を行う制限手段をさらに備えることを要旨とする。
上記の構成によれば、内燃機関の自動停止中には、フィルタへの排気及び空気の流入が停止する。フィルタ内に残存している酸素により、堆積している粒子状物質が酸化されることで、同フィルタが再生される。粒子状物質の上記酸化により、フィルタに堆積している粒子状物質が少なくなっていく。
一方、内燃機関の自動停止中には、酸化量算出手段により、粒子状物質の単位時間当りの酸化量がフィルタの温度に基づいて算出される。また、自動停止中には、その始動停止の開始時における粒子状物質の堆積量と、酸化量算出手段により算出された酸化量とに基づいて、そのときの堆積量が算出される。このようにして、自動停止中、酸化により減少していく粒子状物質の堆積量が求められる。
ここで、フィルタ中に残存する酸素は、内燃機関の自動停止開始時に最も多く、酸化が進むにつれて少なくなっていく。フィルタ中に残存する酸素のうち酸化に関与し得るものがなくなれば酸化(フィルタの再生)が止まる。粒子状物質の酸化量が「0」となり、堆積量の減少が止まるとともに、酸化量の積算値の増加が止まる。
この点、請求項1に記載の発明では、酸化量算出手段によって算出される酸化量が制限手段において積算される。そして、その積算値が、内燃機関の自動停止開始時にフィルタ中に残存する酸素によって酸化し得る最大酸化量を越えると、上記堆積量の算出に用いられる酸化量は、積算値が最大酸化量を越えないように制限される。
従って、堆積量算出手段により堆積量を算出する際に、過剰な量の酸化量が減算されて、堆積量が実際よりも少なく算出されることが起こりにくくなる。このようにして、内燃機関の自動停止中における粒子状物質の堆積量が高い精度で算出(推定)される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記堆積量算出手段は、前記内燃機関の自動停止中には、同自動停止開始時の前記粒子状物質の堆積量から、単位時間毎に前記酸化量算出手段による前記酸化量を減算することでそのときどきの堆積量を算出するものであることを要旨とする。
上記の構成によれば、堆積量算出手段では、内燃機関の自動停止中には、自動停止開始時の前記粒子状物質の堆積量から、前記酸化量算出手段による前記酸化量、又は制限手段によって制限された酸化量が単位時間毎に減算されることで、そのときの堆積量が算出される。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記制限手段は、前記酸化量の積算値が初めて前記最大酸化量を越えるときには、同最大酸化量と前記酸化量の前回の積算値との偏差を、前記堆積量の算出に用いられる前記酸化量とすることで、前記酸化量の制限を行なうものであることを要旨とする。
上記の構成によれば、酸化量の積算値が初めて最大酸化量を越える場合には、最大酸化量と酸化量の前回の積算値との偏差が、堆積量の算出に用いられる酸化量とされることで、酸化量の制限が行なわれる。この制限された酸化量は、酸化量の積算に用いられれば、積算値が最大酸化量を越えることのない値である。従って、堆積量算出手段において、この制限後の酸化量が堆積量の算出に用いられることで、堆積量がより確実に高い精度で算出される。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1つに記載の発明において、前記最大酸化量としては、少なくとも前記フィルタの容量と、同フィルタでの前記粒子状物質の酸化効率とに基づき決定されたものが用いられることを要旨とする。
内燃機関の自動停止開始時にフィルタ中に残存する酸素の量は、フィルタの容量(容積)に応じた値となる。フィルタの容量が多いほど残存酸素の量が多くなる。また、フィルタ中に残存する酸素のすべてが酸化に関わるわけではなく、酸化に関わる酸素の量は、フィルタでの粒子状物質の酸化効率に応じて異なってくる。このように、最大酸化量は、フィルタの容量とフィルタでの粒子状物質の酸化効率とから大きく影響を受ける。
従って、請求項4に記載の発明によるように、少なくともフィルタの容量とフィルタでの粒子状物質の酸化効率とに基づくことで、精度の高い最大酸化量を決定すること、ひいては、同最大酸化量を用いた酸化量の制限を適正に行なうことが可能となる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記最大酸化量は、前記フィルタの温度に応じて変更されることを要旨とする。
ここで、内燃機関の自動停止開始時にフィルタ中に残存する酸素の量は、一般に、フィルタの温度に応じて異なる。気体の容量は、温度の影響を受けやすいからである。従って、請求項5に記載の発明によるように、フィルタの温度を加味した最大酸化量を用いることで、その最大酸化量がより精度の高いものとなる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1つに記載の発明において、前記酸化量算出手段は、前記フィルタの温度が高いほど、前記単位時間当りの酸化量として大きな値を算出することを要旨とする。
ここで、単位時間当りに酸化される粒子状物質の量は、一般には、フィルタの温度が低いときには少なく、同フィルタの温度が高くなるに従い多くなる傾向にある。従って、請求項6に記載の発明によるように、フィルタの温度が高いほど、単位時間当りの酸化量として大きな値を算出することで、粒子状物質の単位時間当りの酸化量をより高い精度で算出することが可能となる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1つに記載の発明において、前記酸化量算出手段は、前記酸化量の算出に際し、前記フィルタの排気流れ方向についての複数領域での温度のうち最も低いものを前記フィルタの温度として用いることを要旨とする。
内燃機関の自動停止中に、フィルタの排気流れ方向についての複数領域での温度がばらつき、それらの温度のうち、高めの値がフィルタの温度の代表値とされて、その代表値に基づき酸化量算出手段において単位時間当りの酸化量が算出されると、得られる酸化量は、実際の酸化量よりも多めの値となりやすい。この酸化量を減算することで算出される粒子状物質の堆積量は、実際の堆積量よりも少なくなりやすい。この算出された堆積量の粒子状物質を酸化させるために燃料が過不足なく供給された場合、粒子状物質が酸化・除去されずに残るおそれがある。
この点、請求項7に記載の発明では、フィルタの排気流れ方向についての複数領域での温度のうち最も低いものがフィルタの温度の代表値とされる。そして、その代表値に基づき酸化量算出手段において単位時間当りの酸化量が算出されると、得られる酸化量は、実際の酸化量よりも少なめの値となりやすい。この酸化量を減算することで算出される粒子状物質の堆積量は、実際の堆積量よりも多くなりやすい。この算出された堆積量の粒子状物質を酸化させるために燃料が過不足なく供給されることにより、粒子状物質が酸化・除去されずに残ることが抑制される。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記フィルタの外部の排気通路であって、同フィルタの排気入口及び排気出口の少なくとも一方の近傍には排気温センサが配置されており、前記酸化量算出手段は、前記フィルタの前記複数領域のうち前記排気温センサに近い側の端部領域での温度として、同排気温センサの検出値と、同端部領域の隣の領域での温度とに基づき決定されるものを用いることを要旨とする。
内燃機関の自動停止中には、同内燃機関から排気が排出されなくなり、同排気がフィルタを流れなくなる。そのため、内燃機関の運転中とは異なり、フィルタの外部から内部へのエネルギーの流入(熱の供給)が停止する。また、フィルタ内では、隣り合う領域間でエネルギーの移動が停止する。さらに、上記自動停止中には、フィルタの熱は、同フィルタの排気入口から上流側の排気通路へ放出(放熱)されるとともに、排気出口から下流側の排気通路へ放出(放熱)される。こうした放熱により、自動停止中には、フィルタ内部では、上流側及び下流側の各端部領域の温度が機関運転時よりも低くなる。また、放熱により、フィルタにおける排気入口及び排気出口での各温度についても、機関運転時よりも低くなる。
一方、フィルタにおける排気流れ方向についての中間部分では、上記排気入口及び排気出口から比較的遠いことから、放熱が起こりにくい。また、自動停止は、信号待ち等のように短時間で終わるものが多い。そのため、フィルタにおいて、排気流れ方向についての中間部分を構成する領域(上記端部領域の隣の領域もこれに該当する)の温度は、自動停止時にも機関運転時の値に保持可能である。
フィルタの端部領域の温度は、内燃機関の自動停止中には、上記放熱により、排気入口での温度と、隣の領域の温度との中間の温度に徐々に近づいていくものと考えられる。
従って、請求項8に記載の発明によるように、排気温センサの検出値と、端部領域の隣の領域での温度とに基づき決定される温度を、フィルタの複数領域のうち排気温センサに近い側の端部領域での温度とすることで、同温度の算出精度を高めること、ひいては、複数領域での温度のうち最も低いものを算出する際の算出精度を高めることが可能となる。
本発明にかかる内燃機関の排気浄化装置の一実施形態について、その適用対象となるディーゼル機関を模式的に示す概略構成図。 DPFにおける複数の領域と、熱の移動態様との関係を示す説明図。 機関運転中におけるDPF各部の温度と、自動停止時におけるDPF端部の温度との関係を示す説明図。 機関自動停止中のDPF端部の温度を算出(推定)する手順を示すフローチャート。 徐変係数RatedTの決定に用いられるマップのマップ構造を示す略図。 機関自動停止中のPM堆積量を算出する手順を示すフローチャート。 単位時間当りのPM酸化量dgpmstp の決定に用いられるマップのマップ構造を示す略図。
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、車両には、その駆動源として内燃機関が搭載されている。ここでは、内燃機関としてディーゼル機関10が採用されている。
ディーゼル機関10には、燃焼室11内に燃料を噴射する燃料噴射弁12が設けられている。この燃料噴射弁12は、燃料タンク13からサプライポンプ14に至り、かつそのサプライポンプ14を通じて加圧されてコモンレール15に蓄圧された燃料を、燃焼室11に噴射する。また、燃焼室11内では、吸気通路16を通じて導入される吸入空気と上記燃料噴射弁12から噴射される燃料とからなる混合気が燃焼されるとともに、同混合気の燃焼後の排気が排気通路17へ排出される。そして、この混合気の燃焼に伴うピストン18の直線往復運動がコンロッド19を介してクランクシャフト21の回転運動に変換されることによって、当該機関としての動力が得られる。
また、ディーゼル機関10には、同機関を始動させるスタータモータ22が取り付けられている。スタータモータ22は、バッテリ(図示略)から供給される電力によって駆動される。スタータモータ22の駆動軸には、ピニオンギヤ(図示略)が取り付けられている。また、上記クランクシャフト21にはリングギヤ(図示略)が取り付けられている。そして、スタータモータ22の駆動軸の回転がピニオンギヤ及びリングギヤを通じてクランクシャフト21に伝達されることで、ディーゼル機関10がクランキングされて始動させられる。
一方、ディーゼル機関10には、上記排気通路17を流れる排気を浄化するための排気浄化装置が設けられている。排気浄化装置は、排気通路17の途中に配置された酸化触媒(DOCとも呼ばれる)25と、同排気通路17において酸化触媒25の下流側に配置されたディーゼル・パティキュレート・フィルタ(以下「DPF」という)26とを備えている。DPF26は、多孔質材によって形成されており、煤を主成分とする粒子状物質(以下「PM」という)を捕集する。酸化触媒25は、排気中の未燃燃料の酸化反応を促進させる触媒であり、排気温の昇温に用いられる。
排気通路17においてDPF26及び酸化触媒25よりも上流側には燃料添加弁27が設けられている。燃料添加弁27は、燃料供給管28を通じて前記サプライポンプ14に接続されている。この燃料添加弁27の開弁駆動により、排気通路17内に燃料が噴射されて、排気に対して燃料が添加される。
ディーゼル機関10には、その運転状態を検出するための各種センサが設けられている。各種センサの中には、上流側排気温センサ31及び下流側排気温センサ32が含まれている。図1〜図3の少なくとも1つに示すように、上流側排気温センサ31は、排気通路17において、DPF26の排気入口26Iの直上流に配置されており、同DPF26に流入する排気の温度(Tdpfi)を検出する。下流側排気温センサ32は、排気通路17において、DPF26の排気出口26Oの直下流に配置されており、同DPF26から流出する排気の温度(Tdpfo)を検出する。上記両排気温センサ31,32を含む各種センサの出力信号は、電子制御装置35に入力される。
電子制御装置35は、演算処理装置(CPU)、プログラムメモリ(ROM)、データメモリ(RAM)等を有するマイクロコンピュータを備えて構成されており、ディーゼル機関10の運転を総括制御する。この電子制御装置35では、上記両排気温センサ31,32を含む各種センサの出力信号に基づいて、ディーゼル機関10の運転に関する各種状態量を求める。そして、それら求めた状態量に基づいて燃料噴射弁12、サプライポンプ14、燃料添加弁27、スタータモータ22等を駆動して、上記燃焼室11内への燃料噴射量を制御するための燃料噴射量制御、上記DPF26の浄化機能を維持するためのDPF26の再生制御等を実行する。
この再生制御は、DPF26で捕集されて堆積するPMがディーゼル機関10の運転時間とともに増加していくと、排気の流通抵抗が増大し、背圧が上昇し機関出力が低下するため、PMを酸化により除去してDPF26を再生させるために行なわれる制御である。
このDPF26の再生制御に際しては、ディーゼル機関10の運転中に、DPF26に堆積する粒子状物質の量(堆積量)が機関運転状態に基づいて算出(推定)される。そして、算出(推定)された堆積量が所定値以上であることを含む所定の再生条件が満たされると、燃料添加弁27から排気に対し未燃燃料が添加される。排気中の未燃燃料の酸化反応が酸化触媒25によって促進され、その酸化の際に発生した熱によりDPF26が昇温させられ、そのDPF26に捕集されているPMが酸化・除去されて、DPF26が再生される。
また、電子制御装置35は、予め設定された自動停止条件が成立するとディーゼル機関10を自動的に停止させる一方、自動停止中に自動再始動条件が成立するとディーゼル機関10を自動的に再始動させる、自動停止・再始動制御(いわゆるアイドリングストップ制御)を行なう。
自動停止条件としては、例えば、以下のものが挙げられる。
・アクセル操作量が「0」である(アクセルペダルが踏み込まれていない)こと。
・車両の走行速度が所定値以下であること。
・運転者によりブレーキペダルが踏まれていること。
・機関冷却水の温度が所定値以上であること。
・バッテリの充電量が所定値以上であること。
これらの条件がすべて満たされている場合に、電子制御装置35は自動停止条件が成立していると判断する。なお、自動停止条件の成立判断に用いられる各種しきい値は予め実験等によって求められ、電子制御装置35のプログラムメモリ(ROM)に記憶されている。
自動停止条件が成立すると、電子制御装置35は燃料噴射弁12に指令を出し、燃料噴射を停止(フューエルカット)させることでディーゼル機関10を自動停止させる。
また、自動再始動条件としては、上記自動停止条件が満たされなくなる、すなわち、自動停止条件を構成する上記複数の条件のうちの1つでも満たされなくなることが挙げられる。
自動再始動条件が成立すると、電子制御装置35は、燃料噴射弁12及びスタータモータ22に指令を出し、燃料噴射を開始させるとともにスタータモータ22を作動させてクランクシャフト21を回転駆動してクランキングを行い、ディーゼル機関10を自動的に再始動させる。
さらに、電子制御装置35は、ディーゼル機関10の自動停止中にも、DPF26の排気流れ方向についての複数領域での温度を算出(推定)するとともに、PM堆積量を算出(推定)する。ただし、DPF26の温度に関しても、PM堆積量に関しても、ディーゼル機関10の運転中とは異なる態様で算出(推定)するようにしている。
次に、前記のように構成された本実施形態の作用について説明する。
図4のフローチャートは、電子制御装置35が実行する各処理のうち、ディーゼル機関10の自動停止中、DPF26の排気流れ方向についての上流側及び下流側の各端部の温度を算出(推定)するための「DPF端部温度算出ルーチン」を示している。このルーチンは、ディーゼル機関10の自動停止中、所定の演算周期をもって(例えば、所定時間経過毎に)繰り返し実行される。
ここで、DPF26を、図2及び図3に示すように、排気流れ方向に沿って複数領域に区分する。ここでは、複数領域は、排気上流側から排気下流側へ向けて第1領域Z1、第2領域Z2、第3領域Z3及び第4領域Z4からなる。これらの4つの領域Z1〜Z4のうち、最上流に位置する第1領域Z1は、上流側排気温センサ31に近い側の端部領域に該当し、最下流に位置する第4領域Z4は、下流側排気温センサ32に近い側の端部領域に該当する。そして、第1領域Z1の温度Tdpf1、及び第4領域Z4の温度Tdpf4が、算出(推定)の対象とされている。
この算出(推定)に際しては、次の点が考慮されている。
ディーゼル機関10の運転中、第1領域Z1の温度Tdpf1、第2領域Z2の温度Tdpf2、第3領域Z3の温度Tdpf3、及び第4領域Z4の温度Tdpf4は同程度となる。
これに対し、ディーゼル機関10の自動停止中には、同ディーゼル機関10から排気が排出されなくなり、同排気がDPF26を流れなくなる。そのため、ディーゼル機関10の運転中とは異なり、DPF26の外部から内部へのエネルギーの流入(熱の供給)が停止する。また、DPF26では、隣り合う領域間でエネルギーの移動が停止する。
さらに、ディーゼル機関10の自動停止中には、DPF26の熱は、同DPF26の排気入口26Iから上流側の排気通路17Uへ放出(放熱)されるとともに、排気出口26Oから下流側の排気通路17Dへ放出(放熱)される(図2参照)。
こうした放熱により、自動停止中には、DPF26内部では、図3において矢印で示すように、第1領域Z1の温度Tdpf1、及び第4領域Z4の温度Tdpf4が機関運転時よりも低くなる。また、自動停止中には、放熱により、DPF26における排気入口26Iでの温度Tdpfi、及び排気出口26Oでの温度Tdpfoが機関運転時よりも低くなる。
一方、DPF26における排気流れ方向についての中間部分では、上記排気入口26I及び排気出口26Oから比較的遠いことから、放熱が起こりにくい。また、自動停止は、信号待ち等のように短時間で終わるものが多い。そのため、DPF26において、排気流れ方向についての中間部分をそれぞれ構成する第2領域Z2及び第3領域Z3の各温度Tdpf2,Tdpf3は、自動停止時にも機関運転時の値に保持可能であると考えられる。図3では、この保持される温度Tdpf2,Tdpf3が白抜きの丸(○)で示されている。
図3に示すように、上記第1領域Z1の温度Tdpf1は、自動停止中には、上記放熱により、排気入口26Iでの温度Tdpfiと、隣の領域である第2領域Z2の温度Tdpf2との中間の温度に徐々に近づいていく(漸近する)ものと考えられる。この第1領域Z1の温度Tdpf1が、自動停止中に最終的に収束する温度を「最終収束温度Tdpf1f 」というものとする。また、第4領域Z4の温度Tdpf4は、自動停止中には、上記放熱により、排気出口26Oでの温度Tdpfoと、隣の領域である第3領域Z3の温度Tdpf3との中間の温度に徐々に近づいていく(漸近する)ものと考えられる。この第4領域Z4の温度Tdpf4が、自動停止中に最終的に収束する温度を「最終収束温度Tdpf4f 」というものとする。上記最終収束温度Tdpf1f ,Tdpf4f は、図3ではいずれも星印によって示されている。
なお、上記排気入口26Iでの温度Tdpfiとしては、上流側排気温センサ31によって検出される、DPF26に流入する排気の温度(実測値)が用いられてもよいし、推定値が用いられてもよい。また、上記排気出口26Oでの温度Tdpfoとしては、下流側排気温センサ32によって検出される、DPF26から流出する排気の温度(実測値)が用いられてもよいし、推定値が用いられてもよい。上記第2領域Z2の温度Tdpf2、及び第3領域Z3の温度Tdpf3としては、機関運転中に算出された値(推定値)が用いられる。
例えば、図4のDPF端部温度算出ルーチンにおいて、最下流の第4領域Z4の温度Tdpf4を算出(推定)する場合には、ステップ110において、第3領域Z3の温度Tdpf3と、排気出口26Oでの温度Tdpfoとに基づき、第4領域Z4の最終的に収束する温度(最終収束温度Tdpf4f )を次式(1)に従って算出する。
Tdpf4f =(Tdpf3+Tdpfo)/2 ・・・(1)
続くステップ120〜140では、上記最終収束温度Tdpf4f に漸近する第4領域Z4の温度Tdpf4を算出(推定)する処理(徐変処理)を行なう。
この処理のために、ステップ120において徐変係数RatedTを算出する。この算出に際しては、例えば、図5に示すマップを用いることができる。ここで、最終収束温度Tdpf4f と前回の演算周期で求めた第4領域Z4の温度Tdpf4(前回値)との偏差を、偏差ΔTとする。上記マップには、偏差ΔTと徐変係数RatedTとの関係が予め実験等によって規定されている。このマップでは、基本的には偏差ΔTが大きいときには徐変係数RatedTが大きく、偏差ΔTが小さくなるに従い徐変係数RatedTが小さくなるような設定がなされている。このマップによると、第4領域Z4の温度Tdpf4(前回値)が最終収束温度Tdpf4f から遠ざかるほど徐変係数RatedTが大きな値(「1」に近い値)となり、最終収束温度Tdpf4f に近づくに従い徐変係数RatedTが小さな値となる。そして、ステップ120では、上記偏差ΔTに対応する徐変係数RatedTを上記マップから割出す。
次に、ステップ130において、第4領域Z4の温度Tdpf4について、前回の演算周期から今回の演算周期までの間に変化したであろう量(以下「変化量dTdpf4」という)を次式(2)に従って算出する。
dTdpf4=(Tdpf4(前回値)−Tdpf4f )*RatedT ・・・(2)
こうして求められる変化量dTdpf4は、第4領域Z4の温度Tdpf4(前回値)が最終収束温度Tdpf4f から遠ざかるほど大きな値となり、最終収束温度Tdpf4f に近づくに従い小さな値となる。
続いて、ステップ140において、今回の演算周期における第4領域Z4の温度Tdpf4を、次式(3)に従って算出する。
Tdpf4=Tdpf4(前回値)+dTdpf4 ・・・(3)
そして、ステップ140の処理を実行した後、このDPF端部温度算出ルーチンを終える。このようにして、自動停止中も保持されるであろう第3領域Z3の温度Tdpf3と、下流側排気温センサ32によって検出される排気出口26Oでの温度Tdpfoとに基づき、第4領域Z4の温度Tdpf4が算出(推定)される。
なお、ここでは説明を割愛するが、最上流の第1領域Z1の温度Tdpf1についても、上記最下流の第4領域Z4の温度Tdpf4の場合と同様の手順を経て算出される。
一方、図6は、ディーゼル機関10の自動停止中に酸化により減少するPM堆積量gpm を算出(推定)するための「PM堆積量算出ルーチン」を示している。このルーチンは、ディーゼル機関10の自動停止中、所定の演算周期をもって(例えば所定時間経過毎に)繰り返し実行される。
このPM堆積量算出ルーチンが開始されると、電子制御装置35はまずステップ210において、DPF26内の最低温度を算出する。具体的には、DPF26の上述した4つの領域(第1領域Z1、第2領域Z2、第3領域Z3、第4領域Z4)の温度Tdpf1〜温度Tdpf4を相互に比較して、それらのうち最も低いものを選択する。通常は、温度Tdpf1,Tdpf4のいずれか一方が選択される。ここで、第1領域Z1の温度Tdpf1、及び第4領域Z4の温度Tdpf4については、上述した図4のDPF端部温度算出ルーチンによって算出されたものが用いられる。また、第2領域Z2の温度Tdpf2、及び第3領域Z3の温度Tdpf3については、機関運転中に算出されたものが用いられる。そして、選択したものをDPF内最低温度Tdpfminとして設定する。
ここで、DPF内最低温度TdpfminをDPF26の温度の代表値とするのは、次の理由による。
ディーゼル機関10の自動停止中に、DPF26の排気流れ方向についての複数領域での温度がばらつき、それらの温度のうち、高めの値がDPF26の温度の代表値とされて、その代表値に基づき単位時間当りのPM酸化量dgpmstp が算出されると、得られる酸化量は、実際の酸化量よりも多めの値となりやすい。PM酸化量dgpmstp を減算することで算出されるPM堆積量gpm は、実際の堆積量よりも少なくなりやすい。この算出されたPM堆積量gpm のPMを酸化させるために燃料が過不足なく供給された場合、PMが酸化・除去されずに残るおそれがある。
そこで、本実施形態では、DPF26の排気流れ方向についての複数領域での温度のうち最も低いもの(DPF内最低温度Tdpfmin)がDPF26の温度の代表値とされる。そして、その代表値に基づき単位時間当りのPM酸化量dgpmstp が算出されると、得られるPM酸化量dgpmstp は、実際の酸化量よりも少なめの値となりやすい。このPM酸化量dgpmstp を減算することで算出されるPM堆積量gpm は、実際の堆積量よりも多くなりやすい。この算出されたPM堆積量gpm のPMを酸化させるために燃料が過不足なく供給されることにより、PMが酸化・除去されずに残ることが起こりにくい。
次に、ステップ220において、単位時間当りのPM酸化量dgpmstp を算出する。この算出に際しては、例えば、DPF内最低温度Tdpfminとの関係で単位時間当りのPM酸化量dgpmstp が規定された、図7に示すマップが用いられる。このマップでは、基本的にはDPF内最低温度Tdpfminが低いときにはPM酸化量dgpmstp が少なく、DPF内最低温度Tdpfminが高くなるに従いPM酸化量dgpmstp が多くなるような設定がなされている。こうした設定は、DPF26の温度(DPF内最低温度Tdpfmin)が高いほどPMが酸化されやすくなる現象に対応させたものである。なお、一般に、単位時間当りのPM酸化量dgpmstp はDPF26に吸入される酸素の量に依存するが、ディーゼル機関10の自動停止中に用いられる上記図7のマップでは、吸入酸素量が「0」であることを前提として、DPF内最低温度Tdpfminと単位時間当りのPM酸化量dgpmstp との関係が規定されている。そして、ステップ220では、上記ステップ210で算出したDPF内最低温度Tdpfminに対応する単位時間当りのPM酸化量dgpmstp を上記図7のマップから割出す。
ここで、DPF内最低温度Tdpfminは、ディーゼル機関10の自動停止開始時に最も高く、時間の経過とともに低下する。このことから、上記の傾向を有する図7のマップを用いることで、PM酸化量dgpmstp は上記自動停止開始時に最も多く、時間の経過とともに少なくなっていく。
次に、ステップ230において、次式(4)に従って、ディーゼル機関10の自動停止中における、PM酸化量dgpmstp の積算値(以下「PM酸化量積算値gpmstp」という)を算出する。
gpmstp=gpmstp(前回値)+dgpmstp ・・・(4)
算出されるPM酸化量積算値gpmstpは、ディーゼル機関10の自動停止開始後、PM酸化量dgpmstp ずつ増加していくが、その増加の度合いは時間の経過に従い徐々に小さくなっていく。これは、上述したように、DPF内最低温度Tdpfminが自動停止開始後、時間の経過とともに低下し、それに伴い図7のマップから求まるPM酸化量dgpmstp が少なくなるからである。
また、DPF26中に残存する酸素は、ディーゼル機関10の自動停止開始時に最も多く、酸化が進むにつれて少なくなっていく。DPF26中に残存する酸素のうち酸化に関与し得るものがなくなれば酸化(DPF26の再生)が止まる。PM酸化量dgpmstp が「0」となり、PM堆積量gpm の減少が止まるとともに、PM酸化量積算値gpmstpの増加が止まる。
そこで、ステップ240において、上記ステップ230でのPM酸化量積算値gpmstpが、ディーゼル機関10の自動停止開始時にDPF26中に残存する酸素により酸化し得る最大酸化量GPMSTPMAX を越えているかどうかを判定する。
ディーゼル機関10の自動停止開始時にDPF26中に残存する酸素の量は、DPF26の容量(容積)に応じた値となる。DPF26の容量が多いほど残存酸素の量が多くなる。また、DPF26中に残存する酸素のすべてが酸化に関わるわけではなく、酸化に関わる酸素の量は、DPF26でのPMの酸化効率に応じて異なってくる。酸化効率は、DPF26中に残存する酸素のうちどれだけの量の酸素が酸化に関わるかを示す指標であり、実験等によって求めることが可能である。このように、最大酸化量GPMSTPMAX は、DPF26の容量と酸化効率とによって大きく影響を受ける。これらのことから、最大酸化量GPMSTPMAX は、DPF26の容量(容積)と、同DPF26でのPMの酸化効率とに基づき決定されている。本実施形態では、この最大酸化量GPMSTPMAX として、予め設定された値が用いられる。
上記ステップ240の判定条件が満たされていない(gpmstp≦GPMSTPMAX )と、ステップ260へ移行する。ステップ260では、次式(5)に従って、PM堆積量gpm を算出する。
gpm =gpm (前回値)−dgpmstp ・・・(5)
上記式(5)中、gpm (前回値)の初期値は、ディーゼル機関10の自動停止開始時のPM堆積量であり、機関運転時の最後(自動停止する直前)に算出されたものが用いられる。また、dgpmstp には、上述したステップ220で算出した単位時間当りのPM酸化量dgpmstp が用いられる。ステップ260の処理は、このように、ステップ240の判定条件が満たされないときには、PM堆積量gpm (前回値)からPM酸化量dgpmstp が減算される。表現を変えると、ディーゼル機関10の自動停止開始時のPM堆積量から、単位時間毎にPM酸化量dgpmstp が減算されることで、そのときどきのPM堆積量gpm が算出される。そして、ステップ260の処理を実行した後に、このPM堆積量算出ルーチンを終了する。
これに対し、上記ステップ240の判定条件が満たされている(gpmstp>GPMSTPMAX )と、ステップ250へ移行する。ステップ250では、上記ステップ260でのPM堆積量gpm の減算に用いられるPM酸化量dgpmstp を、PM酸化量積算値gpmstpが最大酸化量GPMSTPMAX を越えないように制限する処理(dgpmstp ガード処理)を行なう。
例えば、PM酸化量積算値gpmstpが最大酸化量GPMSTPMAX を初めて越えるときには、dgpmstp ガード処理を次式(6)に従って行なう。
dgpmstp =GPMSTPMAX −gpmstp(前回値) ・・・(6)
上記式(6)によって得られるPM酸化量dgpmstp は、上記ステップ220でマップから割出されたPM酸化量dgpmstp よりも小さい。
次回以降の演算周期では、PM酸化量積算値gpmstpが最大酸化量GPMSTPMAX を越えることとなる。この場合には、dgpmstp ガード処理として、例えば、ステップ260でのPM堆積量gpm の減算に用いられるPM酸化量dgpmstp を「0」に設定する。
そして、上記ステップ250の処理を経た後に、上記ステップ260へ移行する。ステップ260でのPM堆積量gpm の減算に際しては、上記ステップ250で求められたPM酸化量dgpmstp が用いられる。このように、ステップ240の判定条件が満たされるときには、ステップ250の処理を経ることで、PM堆積量gpm の減算に用いられるPM酸化量dgpmstp として、DPF内最低温度Tdpfminに応じたもの(ステップ220で算出されたもの)から、制限されたもの(ステップ250でガード処理されたもの)に差し替えられる。
上記PM堆積量算出ルーチンにおいては、電子制御装置35によるステップ220の処理が酸化量算出手段に相当し、ステップ260の処理が堆積量算出手段に相当し、ステップ230〜250の処理が制限手段に相当する。
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)ディーゼル機関10の自動停止中に、単位時間当りのPM酸化量dgpmstp をDPF26の温度(DPF内最低温度Tdpfmin)に基づき算出する(ステップ220)。また、自動停止開始時のPM堆積量と上記PM酸化量dgpmstp とに基づき(自動停止開始時のPM堆積量から、単位時間毎にPM酸化量dgpmstp を減算することで)、そのときどきのPM堆積量gpm を算出する(ステップ260)。このようにして、酸化により減少していくPM堆積量gpm を求める。
一方で、上記PM酸化量dgpmstp を積算することにより、PM酸化量積算値gpmstpを算出する(ステップ230)。ディーゼル機関10の自動停止開始時にDPF26中に残存する酸素により酸化し得る最大酸化量GPMSTPMAX を設定する。上記PM酸化量積算値gpmstpが最大酸化量GPMSTPMAX を越えるときには、上記PM堆積量gpm の減算に用いられるPM酸化量dgpmstp を、PM酸化量積算値gpmstpが最大酸化量GPMSTPMAX を越えないように制限するようにしている(ステップ240,250)。この制限されたPM酸化量dgpmstp は、酸化量の積算(ステップ230)に用いられれば、そのPM酸化量積算値gpmstpが最大酸化量GPMSTPMAX を越えることのない値である。
そのため、この制限されたPM酸化量dgpmstp をPM堆積量gpm (前回値)から減算することで、そのときのPM堆積量gpm を高い精度で算出することができる。PM堆積量gpm (前回値)から過剰な量のPM酸化量dgpmstp が減算されて、PM堆積量gpm が実際よりも少なく算出されるのを抑制することができる。
そして、この算出されたPM堆積量gpm のPMを酸化させるために燃料を過不足なく供給することで、PMが酸化・除去されずに残るのを抑制することができる。
(2)PM酸化量積算値gpmstpが初めて最大酸化量GPMSTPMAX を越えるときには、最大酸化量GPMSTPMAX とPM酸化量の前回までの積算値(PM酸化量積算値gpmstp(前回値))との偏差を、PM堆積量gpm の減算に用いられるPM酸化量dgpmstp とする。このことをもって、PM酸化量dgpmstp を制限することとしている。この制限されたPM酸化量dgpmstp は、PM酸化量積算値gpmstpの算出に用いられれば、同PM酸化量積算値gpmstpが最大酸化量GPMSTPMAX を越えることのない値である。従って、この制限後のPM酸化量dgpmstp をPM堆積量gpm (前回値)から減算することで、PM堆積量gpm を高い精度で算出することができる。
(3)最大酸化量GPMSTPMAX は、一般に、DPF26の容量と同DPF26でのPMの酸化効率とから大きく影響を受ける。
この点、本実施形態では、最大酸化量GPMSTPMAX として、これらのDPF26の容量と酸化効率とに基づいて決定されたものを用いている。そのため、最大酸化量GPMSTPMAX として、より精度の高い値を決定すること、ひいては、同最大酸化量GPMSTPMAX を用いたPM酸化量dgpmstp の制限を適正に行なうことが可能となる。
(4)単位時間当りのPM酸化量dgpmstp は、一般には、DPF26の温度が低いときには少なく、同DPF26の温度が高くなるに従い多くなる傾向にある。
この点、本実施形態では、DPF26の温度(DPF内最低温度Tdpfmin)が高いほど、単位時間当りのPM酸化量dgpmstp を多くしている。このようにDPF26の温度(DPF内最低温度Tdpfmin)を考慮することで、単位時間当りのPM酸化量dgpmstp をより高い精度で算出することができる。
(5)単位時間当りのPM酸化量dgpmstp の算出に際し、DPF26の排気流れ方向についての複数領域での温度のうち最も低いもの(DPF内最低温度Tdpfmin)を同DPF26の温度の代表値としている。このため、PM酸化量dgpmstp として少なめの値を算出し、PM堆積量gpm として実際の堆積量よりも多めの値を算出することができる。この算出されたPM堆積量gpm のPMを酸化させるために燃料を過不足なく供給することで、PMが酸化・除去されずに残るのを抑制することができる。
(6)ディーゼル機関10の自動停止中には、最上流の第1領域Z1の温度Tdpf1が放熱により、排気入口26Iでの温度Tdpfiと、隣の領域である第2領域Z2の温度Tdpf2との中間の温度(最終収束温度Tdpf1f )に徐々に近づいていく。このことから、本実施形態では、上流側排気温センサ31によって検出される温度Tdpfiと温度Tdpf2とに基づき、温度Tdpf1を算出(推定)するようにしている。
また、第4領域Z4の温度Tdpf4は、自動停止中には、放熱により、排気出口26Oでの温度Tdpfoと、隣の領域である第3領域Z3の温度Tdpf3との中間の温度(最終収束温度Tdpf4f )に徐々に近づいていく。このことから、本実施形態では、下流側排気温センサ32によって検出される温度Tdpfoと温度Tdpf3とに基づき、温度Tdpf4を算出(推定)するようにしている。
このため、温度Tdpf1,温度Tdpf4の算出(推定)精度を高めること、ひいては、複数領域での温度のうち最も低いもの(DPF内最低温度Tdpfmin)を算出する際の算出精度を高めることができる。
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・前記実施形態では、酸化触媒25及びDPF26に対する未燃燃料の供給を、排気通路のDPF26及び酸化触媒25の上流側に設けられた燃料添加弁27から排気に対し燃料を添加することによって行なった。これ代えて、又は、加えて、ディーゼル機関10の燃焼室11での燃料に供される燃料を噴射する燃料噴射弁12から、その燃焼室11内での燃焼に供される燃料の噴射がなされた後の膨張行程又は排気行程中に、ポスト噴射やアフター噴射と呼ばれる副噴射を行なうことで、未燃燃料の供給を行なうようにしてもよい。こうした副噴射による燃料の多くは、燃焼室11内で燃焼されずに排気と一緒に排気通路17へ排出されることから、上記副噴射の実施により、酸化触媒25に対して未燃燃料が供給されるようになる。そうして供給された未燃燃料中の炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)等の成分が排気中や酸化触媒25上で酸化反応されることから、その酸化反応に伴う発熱でDPF26が昇温されることとなる。
・酸化触媒は、上記実施形態のようにDPF26よりも排気上流側に設けられてもよいが、同DPF26に担持されてもよい。
・ディーゼル機関10の自動停止開始時にDPF26中に残存する酸素の量は、一般に、DPF26の温度に応じて異なる。気体の容量は、温度の影響を受けやすいからである。
そこで、上述したDPF26の容量及び酸化効率だけでなく、DPF26の温度(例えば、上記温度Tdpf1〜Tdpf4等)も加味して最大酸化量GPMSTPMAX を決定するようにしてもよい。表現を変えると、最大酸化量GPMSTPMAX としては、DPF26の温度に応じて異なる可変値が用いられてもよい。このようにDPF26の温度を考慮することで、最大酸化量GPMSTPMAX がより精度の高いものとなる。
・前記実施形態とは異なる態様でDPF26の温度を算出(推定)するようにしてもよい。
・DPF26を上記実施形態とは異なる数(3又は5以上)の領域に区分し、各領域の温度を算出(推定)するようにしてもよい。
・前記実施形態では、単位時間当りのPM酸化量dgpmstp の算出に際し、温度Tdpf1〜温度Tdpf4のうち最も低いものをDPF26の温度の代表値として用いたが、最も低いものとは異なるものをDPF26の温度の代表値として用いてもよい。
・前記実施形態では、堆積量算出手段によるPM堆積量gpm の算出処理として、単位時間毎にPM堆積量gpm (前回値)からPM酸化量dgpmstp を減算し、その減算結果をPM堆積量gpm とした。これに代えて、ディーゼル機関10の自動停止中、自動停止開始時のPM堆積量から、単位時間毎にそのときのPM酸化量積算値gpmstpを減算し、その減算結果をPM堆積量gpm としてもよい。
・本発明は、上流側排気温センサ31及び下流側排気温センサ32の一方が割愛された排気浄化装置にも適用可能である。
10…ディーゼル機関(内燃機関)、17,17D,17U…排気通路、26…DPF(フィルタ)、26I…排気入口、26O…排気出口、31…上流側排気温センサ、32…下流側排気温センサ、35…電子制御装置(酸化量算出手段、堆積量算出手段、制限手段)、gpm …PM堆積量、dgpmstp …単位時間当りのPM酸化量、gpmstp…PM酸化量積算値、GPMSTPMAX …最大酸化量、Tdpf1,Tdpf2,Tdpf3,Tdpf4,Tdpfi,Tdpfo…温度、Tdpfmin…DPF内最低温度(フィルタの温度)、Z1…第1領域(端部領域)、Z2…第2領域、Z3…第3領域、Z4…第4領域(端部領域)。

Claims (8)

  1. 自動停止条件の成立に応じて運転が自動停止される内燃機関の排気通路に配置され、同内燃機関から前記排気通路を通じて排出される排気中の粒子状物質を捕集するとともに、堆積した前記粒子状物質が酸化されることにより再生されるフィルタと、
    前記内燃機関の自動停止中には、前記粒子状物質の単位時間当りの酸化量を、前記フィルタの温度に基づき算出する酸化量算出手段と、
    前記内燃機関の自動停止中には、同自動停止開始時の前記粒子状物質の堆積量、及び前記酸化量算出手段による前記酸化量に基づき、そのときどきの前記粒子状物質の堆積量を算出する堆積量算出手段と
    を備える内燃機関の排気浄化装置であって、
    前記酸化量算出手段によって算出される前記酸化量の積算値を算出し、積算値が、前記内燃機関の自動停止開始時に前記フィルタ中に残存する酸素により酸化し得る最大酸化量を越えるときには、前記積算値が前記最大酸化量以下となるように、前記酸化量算出手段によって算出される前記酸化量にガード処理を行う制限手段をさらに備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記堆積量算出手段は、前記内燃機関の自動停止中には、同自動停止開始時の前記粒子状物質の堆積量から、単位時間毎に前記酸化量算出手段による前記酸化量を減算することでそのときどきの堆積量を算出するものである請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 前記制限手段は、前記酸化量の積算値が初めて前記最大酸化量を越えるときには、同最大酸化量と前記酸化量の前回の積算値との偏差を、前記堆積量の算出に用いられる前記酸化量とすることで、前記酸化量の制限を行なうものである請求項1又は2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 前記最大酸化量としては、少なくとも前記フィルタの容量と、同フィルタでの前記粒子状物質の酸化効率とに基づき決定されたものが用いられる請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 前記最大酸化量は、前記フィルタの温度に応じて変更される請求項4に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  6. 前記酸化量算出手段は、前記フィルタの温度が高いほど、前記単位時間当りの酸化量として大きな値を算出する請求項1〜5のいずれか1つに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  7. 前記酸化量算出手段は、前記酸化量の算出に際し、前記フィルタの排気流れ方向についての複数領域での温度のうち最も低いものを前記フィルタの温度として用いる請求項1〜6のいずれか1つに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  8. 前記フィルタの外部の排気通路であって、同フィルタの排気入口及び排気出口の少なくとも一方の近傍には排気温センサが配置されており、
    前記酸化量算出手段は、前記フィルタの前記複数領域のうち前記排気温センサに近い側の端部領域での温度として、同排気温センサの検出値と、同端部領域の隣の領域での温度とに基づき決定されるものを用いる請求項7に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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