JP5644191B2 - ポリグリシジルアミノ化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
H2NCH2-R-CH2NH2
(式(1)中、Rはフェニレン基またはシクロヘキシレン基を表わす。)
で表わされるジアミンと
一般式(2)
で表わされるエピハロヒドリンとを反応させたのち、脱ハロゲン化水素反応によって一般式(3)
で表わされるポリグリシジルアミノ化合物を製造する方法は、公知の方法にて工業的規模で製造されている(特許文献1〜2参照)。
ここで得られるポリグリシジルアミノ化合物は、低粘度であり、作業性にすぐれ、且つ耐熱性、接着性、剛性、機械的強さ等の諸物性に極めてすぐれた硬化物を与えるエポキシ樹脂として有用であり、これらの特徴を生かして注型用素材、炭素繊維コンポジット用バインダー、航空宇宙産業用機造材、電気・電子部品用素材、スポーツ用品、重合体架橋剤等の各種用途に広い分野で使用されている。
さらには、前記従来の技術で得られるポリグリシジルアミノ化合物中には、非加水分解性ハロゲンも相当量存在し、上記加水分解性ハロゲンとともにこれらのハロゲンの存在は、特にエレクトロニクス関連分野において当該ポリグリシジルアミノ化合物を使用した場合、基材の劣化や金属の腐触といった致命的な欠陥の原因となる。
これらの問題を解決する方法として、ハロゲン残存量の低いポリグリシジルアミノ化合物が得る方法として、相関移動作用を有する化合物およびハロゲン除去反応剤を使用する方法が提案されている(特許文献3参照)。
1. 下記一般式(1)で表わされるジアミンと下記一般式(2)で表わされるエピハロヒドリンとを反応させたのち、脱ハロゲン化水素反応によって下記一般式(3)で表わされるポリグリシジルアミノ化合物を製造する方法であり、
(I) ジアミンとジアミンに対して化学量論的に過剰のエピハロヒドリンとを水の存在下に反応させる付加反応工程
(II) 工程(I)で得られた付加反応生成物を、相間移動作用を有する化合物のすくなくとも1種の共存下にハロゲン除去反応剤と反応させる第一次脱ハロゲン化水素反応工程
(III) 工程(II)の反応生成物から未反応のエピハロヒドリンを留去して得られる粗ポリグリシジルアミノ化合物を、相間移動作用を有する化合物のすくなくとも1種の共存下にハロゲン除去反応剤で処理する第二次脱ハロゲン化水素反応工程、および
(IV) 工程(III)で得られる脱ハロゲン化水素反応生成物を水洗する工程を全反応行程中に包含するポリグリシジルアミノ化合物の製造方法において、工程(II)及び(III)において用いる該相間移動作用を有する化合物がオニウム塩化合物であり、かつ工程(III)において用いる該ハロゲン除去反応剤がアルカリ金属アルコキシドまたはアルカリ金属フェノキシドであることを特徴とするポリグリシジルアミノ化合物の製造方法。
(1) H2NCH2-R-CH2NH2
(式(1)中、Rはフェニレン基またはシクロヘキシレン基を表わす。)
2. 前記オニウム塩化合物がベンジルトリエチルアンモニウムクロリドである第1項記載のポリグリシジルアミノ化合物の製造方法。
3. 前記アルカリ金属アルコキシドがカリウム-t-ブトキシドである第1項記載のポリグリシジルアミノ化合物の製造方法。
4.前記工程(III)において、粗ポリグリシジルアミノ化合物を溶解させるための溶媒として、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル及びN−メチルピロリドンからなる群より選ばれる1種以上を含有する混合溶媒を用いる第1項記載のポリグリシジルアミノ化合物の製造方法。
5. 前記工程(III)において、粗ポリグリシジルアミノ化合物を溶解させるための溶媒としてジメチルスルホキシドを含有する混合溶媒を用いる第1項記載のポリグリシジルアミノ化合物の製造方法。
また当該水洗工程は、工程(II)で得られた付加反応生成物が過剰のエピハロヒドリンに溶解させたまま実施しても良い。この場合、水洗工程の後に過剰のエピハロヒドリンを留去し、得られた反応生成物を先に挙げた有機溶剤を用いて溶解したのちに工程(III)の第二次脱ハロゲン化水素反応工程に付される。
また、工程(III)の粗ポリグリシジルアミノ化合物を溶解させるための溶媒として、更に他の溶媒を併用してもよい。具体的には、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン等で代表されるいわゆる非プロトン性極性溶媒として知られる化合物が挙げられる。これら溶媒の使用量は、芳香族炭化水素100重量部に対して0〜70重量部、好ましくは0.1〜50重量部の範囲で選ばれる。
(1)全塩素 (ppm)
各サンプルの全塩素を自動試料燃焼装置付イオンクロマトグラフで測定した。
(2)加水分解性塩素(ppm)
精密秤量したサンプル0.5gを0.1N−KOH/MeOH溶液約20mlに溶解させ、 70℃に加熱して約15分反応させた。これに濃HNO30.3mlを添加し、0.001N−AgNO3aq.で電位差滴定した。
(3)粘度(mPa・s)
JIS K7117の手法に従い、サンプルを25℃恒温水槽で一定温度にした後、ブルックフィールド型粘度計にて粘度を測定した。
(4)保存性
サンプルを70℃で10日間加熱した後の増粘倍率とした。
(5)色数
JIS Z8722の手法にて、サンプルのガードナー色数を決定した。
反応器にエピクロロヒドリン740g(8モル)と水36g(2モル)を加え、系に窒素気流(25ml/min)を流しつつ室温下から始めて3.5時間を要してメタキシリレンジアミン136g(1モル)を滴下した。滴下中及び滴下終了後2時間に亘って反応系の温度は35℃に保った。
次いでベンジルトリエチルアンモニウムクロリド50%水溶液3.6g(0.008モルに相当)を添加した後、48%苛性ソーダ水溶液375g(4.5モルに相当)を30分かけて滴下した。さらに、3時間反応温度を35℃に保って第1次脱ハロゲン化水素反応を行なった。
反応終了後、水480g(30モル)を加えて析出した食塩を溶解し、静置、分液した。油層に新たに水240g(15モル)を加えて洗浄し、分液した。次いで、油層から未反応のエピクロロヒドリンを減圧下90℃において留去した。
得られた粗ポリグリシジルメタキシリレンジアミンにトルエン644g(7モル)を添加し、濾紙(No1)を用いて濾過した。油層に反応剤としてカリウム−t−ブトキシド7.2g(0.064モル)、触媒としてベンジルトリエチルアンモニウムクロリド1.8g(0.008モルに相当)を添加し、30℃において1時間を要して第2次脱ハロゲン化水素反応を行なった。
次いで水240g(15モル)を用いて2回油層を水洗した。得られた油層からトルエンを含む揮発分を減圧下110℃を超えない温度で3時間かけて留去した。揮発分を充分除いた後、熱時に桐山ロート(40φ)を用いて濾過した。最終的に330g(収率91.6%)のポリグリシジルメタキシリレンジアミンを得た。
製品分析の結果、全塩素4,600ppm、加水分解性塩素210ppm、粘度1,930mPa・s(25℃)、色数1(ガードナー)、保存性1.4であった。
実施例1において、粗ポリグリシジルメタキシリレンジアミンを溶解する溶剤として、トルエンの代わりにトルエン(520g)とジメチルスルホキシド(130g)との混合溶媒を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。
製品分析の結果、全塩素2,950ppm、加水分解性塩素205ppm、粘度2,420mPa・s(25℃)、色数2(ガードナー)、保存性1.5であった。
実施例1において、第1次脱ハロゲン化水素反応工程を終え、第2次脱ハロゲン化水素反応工程を行うことなく水洗し、エピクロロヒドリンを含む揮発分を留去して最終製品を得る以外は、実施例1と同様の操作を行った。
製品分析の結果、全塩素8,600ppm、加水分解性塩素は1,790ppm、色数1以下(ガードナー)であった。
実施例1において、第2次脱ハロゲン化水素反応工程においてカリウム−t−ブトキシド7.2gに代えて苛性ソーダ12gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。
製品分析の結果、全塩素6,800ppm、加水分解性塩素580ppm、粘度2,230mPa・s(25℃)、色数1以下(ガードナー)、保存性1.3であった。
Claims (4)
- 下記一般式(1)で表わされるジアミンと下記一般式(2)で表わされるエピハロヒドリンとを反応させたのち、脱ハロゲン化水素反応によって下記一般式(3)で表わされるポリグリシジルアミノ化合物を製造する方法であり、
(I) ジアミンとジアミンに対して化学量論的に過剰のエピハロヒドリンとを水の存在下に反応させる付加反応工程
(II) 工程(I)で得られた付加反応生成物を、相間移動作用を有する化合物のすくなくとも1種の共存下にハロゲン除去反応剤と反応させる第一次脱ハロゲン化水素反応工程
(III) 工程(II)の反応生成物から未反応のエピハロヒドリンを留去して得られる粗ポリグリシジルアミノ化合物を、相間移動作用を有する化合物のすくなくとも1種の共存下にハロゲン除去反応剤で処理する第二次脱ハロゲン化水素反応工程、および
(IV) 工程(III)で得られる脱ハロゲン化水素反応生成物を水洗する工程
を全反応行程中に包含するポリグリシジルアミノ化合物の製造方法において、工程(II)及び(III)において用いる該相間移動作用を有する化合物がオニウム塩化合物であり、工程(III)において用いる該ハロゲン除去反応剤がアルカリ金属アルコキシドまたはアルカリ金属フェノキシドであり、かつ工程(III)において、粗ポリグリシジルアミノ化合物を溶解させるための溶媒として、芳香族炭化水素100重量部に対して、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル及びN−メチルピロリドンからなる群より選ばれる1種以上を25〜70重量部の範囲で含有する混合溶媒を用いることを特徴とするポリグリシジルアミノ化合物の製造方法。
(1)H2NCH2-R-CH2NH2
(式(1)中、Rはフェニレン基またはシクロヘキシレン基を表わす。)
- 前記オニウム塩化合物がベンジルトリエチルアンモニウムクロリドである請求項1記載のポリグリシジルアミノ化合物の製造方法。
- 前記アルカリ金属アルコキシドがカリウム-t-ブトキシドである請求項1記載のポリグリシジルアミノ化合物の製造方法。
- 前記工程(III)において、粗ポリグリシジルアミノ化合物を溶解させるための溶媒としてジメチルスルホキシドを含有する混合溶媒を用いる請求項1記載のポリグリシジルアミノ化合物の製造方法。
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