JP5643919B2 - 音響発生器、音響発生装置及び電子機器 - Google Patents

音響発生器、音響発生装置及び電子機器 Download PDF

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Description

開示の実施形態は、音響発生器、音響発生装置及び電子機器に関する。
従来、圧電スピーカに代表される音響発生器は、小型で薄型のスピーカとして利用できることが知られている。かかる音響発生器は、携帯電話機や薄型テレビなどをはじめとする電子機器に組み込まれるスピーカとして使用することができる。
音響発生器としては、例えば、振動体と、該振動体に設けられた圧電振動素子とを備えたものがある(例えば特許文献1を参照)。これは、圧電振動素子によって振動体を振動させ、振動体の共振現象を利用して音を発生させる構成となっている。
特開2004−23436号公報
しかしながら、上記した音響発生器のように、振動体自体の共振で音圧を発生させる構成では、音圧の周波数特性における共振ピークとディップ(共振ピーク間の谷間)との差により、音圧の周波数変動が出るおそれがあった。そして、そのことで音質向上を妨げる可能性があった。
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、音圧の周波数特性における共振ピークとディップとの差を低減して音圧の周波数変動を可及的に抑制し、音質を向上させることのできる音響発生器、音響発生装置及び電子機器を提供することを目的とする。
実施形態の一態様に係る音響発生器は、振動体と、該振動体上に設けられた励振器と、を有し、前記励振器が、前記振動体側の表面に位置する当該振動体と対向する面側に第1電極を備え、該第1電極の表面には凸部または凹部がランダムに設けられている。
また、他の一態様に係る音響発生器は、振動体と、該振動体上に設けられ、電気信号が入力されて振動する励振器と、を有し、前記励振器は、前記振動体と対向する面に隣接する側面側に第2電極を備え、前記振動体側の表面に位置する前記第2電極の表面には凸部または凹部が設けられている。
実施形態の一態様の音響発生器によれば、励振器が、振動体側の表面に位置する振動体と対向する面側に第1電極を備え、第1電極の表面には凸部または凹部がランダムに設けられていることにより、音圧の周波数特性における共振ピークとディップとの差を低減して音圧の周波数変動を可及的に抑制し、音質を向上させることができる。
また、他の一態様の音響発生器によれば、励振器は、振動体と対向する面に隣接する側面側に第2電極を備え、振動体側の表面に位置する第2電極の表面には凸部または凹部が設けられていることにより、音圧の周波数特性における共振ピークとディップとの差を低減して音圧の周波数変動を可及的に抑制し、音質を向上させることができる。
図1Aは、第1の実施形態に係る音響発生器の模式平面図である。 図1Bは、図1AのA−A’線断面図である。 図1Cは、図1AのB−B’線断面図である。 図2は、図1に示す圧電振動素子における凸部の配置例を示す模式図である。 図3は、図1に示す圧電振動素子における凸部の別の配置例を示す模式図である。 図4は、図1に示す圧電振動素子における凸部の別の配置例を示す模式図である。 図5は、図1に示す圧電振動素子における凸部の別の配置例を示す模式図である。 図6は、図1に示す圧電振動素子における凸部の別の配置例を示す模式図である。 図7は、音響発生装置のブロック図である。 図8は、電子機器のブロック図である。 図9は、第2の実施形態に係る音響発生器を示す図1AのB−B’線断面図である。 図10は、図9に示す圧電振動素子における凹部の配置例を示す模式図である。 図11は、図9に示す圧電振動素子における凹部の別の配置例を示す模式図である。 図12は、第3の実施形態に係る音響発生器を構成する圧電振動素子における凸部および凹部の配置例を示す模式図である。 図13Aは、各実施形態の変形例に係る音響発生器の模式平面図である。 図13Bは、図13AのC−C’線断面図である。
以下、添付図面を参照して、本願の開示する音響発生器、音響発生装置及び電子機器の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
(第1の実施形態)
図1Aは、第1の実施形態に係る音響発生器1を振動体10の主面に垂直な方向から見た模式平面図、図1Bは、図1AのA−A’線断面図、図1Cは、図1AのB−B’線断面図である。なお、図1Bおよび図1Cにおいては、理解を容易にするために、音響発生器1を上下方向に拡張し、デフォルメして示している。
図1A〜図1Cに示すように、第1の実施形態に係る音響発生器1は、振動体10と、電気信号が入力されて振動する励振器の一例である圧電振動素子20と、枠体30とを備える。かかる音響発生器1は、いわゆる圧電スピーカと呼ばれ、振動体10自体の共振現象を用いて音圧を発生させる。
振動体10は、樹脂、金属、紙などの種々の材料を用いて形成することができる。例えば、厚さ10〜200μmのポリエチレン、ポリイミド、ポリプロピレンなどの樹脂フィルムにより薄板状の振動体10を構成することができる。樹脂フィルムは金属板などに比べて弾性率および機械的なQ値の低い材料であるため、振動体10を樹脂フィルムにより構成することで、振動体10を大きな振幅で屈曲振動させ、音圧の周波数特性における共振ピークの幅を広く、高さを低くして共振ピークとディップとの差を低減することができる。
圧電振動素子20は、バイモルフ型の積層型圧電振動素子である。例えば圧電振動素子20は、積層体21と、積層体21の上面および下面に形成された表面電極層22,23と、積層体21の内部電極層24の端面が露出する側面に形成された外部電極25,26とを備える。そして、外部電極25,26にはリード端子27a,27bが接続される。
積層体21は、セラミックスからなる4層の圧電体層28a,28b,28c,28dと、3層の内部電極層24とが交互に積層されて形成される。また、圧電振動素子20は、上面側および下面側の主面を矩形状としており、圧電体層28aと28b、圧電体層28cと28dは、それぞれ厚み方向に互いに異なる向きに分極されており、圧電体層28bと28cは同じ向きに分極されている。
したがって、リード端子27a,27bを介して圧電振動素子20に電圧が印加された場合、例えば圧電振動素子20の下面側、換言すれば振動体10側の圧電体層28c,28dは縮む一方、上面側の圧電体層28a,28bは伸びるように変形する。このように、圧電振動素子20の上面側の圧電体層28a,28bと下面側の圧電体層28c,28dとが、相反する伸縮挙動を示し、その結果、圧電振動素子20がバイモルフ型の屈曲振動をすることにより、振動体10に一定の振動を与えて音を発生させることができる。
このように、圧電振動素子20がバイモルフ型の積層型圧電振動素子であり、圧電振動素子20自体が単独で屈曲振動することから、振動体10の材質によらず、例えば柔らかい振動体10であっても強い振動を発生させることができ、少数の圧電振動素子20により充分な音圧を得ることができる。
ここで、圧電体層28a,28b,28c,28dを構成する材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛、Bi層状化合物、タングステンブロンズ構造化合物などの非鉛系圧電体材料などの、従来から用いられている圧電セラミックスを用いることができる。
また、内部電極層24の材料は、金属、例えば銀とパラジウムを主成分とする。なお、内部電極層24には圧電体層28a,28b,28c,28dを構成するセラミック成分を含有しても良く、これにより、圧電体層28a,28b,28c,28dと内部電極層24,24,24との熱膨張差による応力を低減した圧電振動素子20を得ることができる。
また、表面電極層22,23と外部電極25,26は、金属、例えば銀などを主成分とする。また、ガラス成分を含有しても良い。ガラス成分を含有させることによって、圧電体層28a,28b,28c,28dや内部電極層24と、表面電極層22,23または外部電極25,26との間に強固な密着力を得ることができる。ガラス成分の含有量は、たとえば20体積%以下とすればよい。
また、リード端子27a,27bに接続する配線としては、圧電振動素子20の低背化を図るために、銅またはアルミニウムなどの金属箔を樹脂フィルムで挟んだフレキシブル配線を用いるのが好ましい。
このように構成された圧電振動素子20は、振動体10の一方の面10a(以下、上面10aと記載する)に接合層40を介して接合される。これら圧電振動素子20と振動体10との間の接合層40の厚みは、比較的薄く、例えば0.02μm以上20μm以下とされる。このように、接合層40の厚みが20μm以下である場合、積層体21の振動を振動体10に伝達しやすくすることができる。
接合層40は、例えばエポキシ系樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル系樹脂などの公知のものを使用できるが、これに限定されるものではない。また、接合層40に使用する樹脂の硬化方法としては、熱硬化、光硬化や嫌気性硬化などのいずれの方法を用いてもよい。
枠体30は、振動体10の外周部に設けられ、振動体10を保持して振動の固定端を形成する役割を担っている。例えば、図1Bおよび図1Cに示すように、共に矩形形状の上枠部材30aと下枠部材30bとを、上下に接合して枠体30を構成している。そして、上枠部材30aと下枠部材30bとの間に振動体10の外周部を挟み込み、所定の張力を付与した状態で固定している。したがって、長期間使用してもたわみなどの変形の少ない振動体10を備えた音響発生器1となる。
枠体30の厚みおよび材質は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、機械的強度および耐食性に優れているという理由から、例えば厚さ100〜5000μmのステンレス製の材料を用いる。
なお、本実施形態に係る音響発生器1では、枠体30は上枠部材30aと下枠部材30bとで構成されているが、片側だけであっても良い。すなわち、枠体30は、上枠部材30aまたは下枠部材30bのどちらか一方を備えていれば良い。
また、本実施形態に係る音響発生器1においては、枠体30と圧電振動素子20(励振器)との間の振動体10上に設けられた被覆層50を備えている。図1Bおよび図1Cに示す例では、圧電振動素子20および振動体10の上面10aが、樹脂である被覆層50によって被覆されている。具体的には、枠体30の上枠部材30aの枠内に樹脂を流し込んで、枠体30の枠内に充填された被覆層50が、圧電振動素子20を埋設するように、かつ圧電振動素子20および振動体10の上面10aを被覆するように構成される。なお、図1Aでは、理解を容易にするため、被覆層50の図示を省略した。
被覆層50を形成する樹脂は、例えばエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂やゴムなどであるが、これらは例示であって限定されるものではない。このように、圧電振動素子20を被覆層50で被覆することにより、適度なダンピング効果を誘発させることができ、共振現象の抑制と共に、共振ピークとディップとの差をより小さく抑えることができるため好ましい。さらに、圧電振動素子20を外部環境から保護することもできる。
なお、本実施形態に係る音響発生器1では、振動体10の上面10a全てが被覆層50により被覆されるが、全てが被覆される必要はない。すなわち、音響発生器1は、圧電振動素子20と、この圧電振動素子20が設けられる振動体10の上面10aの少なくとも一部とが被覆層50により被覆されていればよい。
さらに、圧電振動素子20は、振動体10側の表面に凸部29を有し、これにより音圧の周波数特性における共振ピークとディップとの差を低減して音圧の周波数変動を可及的に抑制し、音質を向上させるようにする。かかる凸部29について、以下に詳説する。
図2は、図1に示す圧電振動素子20における凸部29の配置例を示す模式図である。なお、図2及び以下に表面電極層23について説明する図では、表面電極層23のうち、図1Bに示す外部電極25に接続された部分を示したものであり、外部電極26に接続された部分については図示を省略した。また、凸部の形状を見易くするために、図2及び以下に表面電極層23について説明する図では、圧電振動素子20の振動体10と対向する面20a1を上側にして示している。
図1B,図1C,図2に示すように、圧電振動素子20(励振器)は振動体10と対向する面20a1側に表面電極層23(第1電極)を備え、圧電振動素子20(励振器)の凸部29を有する振動体10側の表面が表面電極層23(第1電極)の表面である。すなわち、凸部29は、内部電極層24と圧電体層28a,28b,28c,28dとからなる積層体21と振動体10との間に設けられた表面電極層23に、圧電振動素子20の振動体10と対向する面20a1から振動体10側に向けて突出するように形成されている。
上述したように、圧電振動素子20は、表面電極層23の表面に凸部29を有することから、振動体10と圧電振動素子20との間において接合層40の厚さが局所的に相違する。このように、圧電振動素子20の凸部29を有する部分と、凸部29を有しない部分とで、圧電振動素子20よりもエネルギー損失の大きい接合層40の厚さが異なることから、圧電振動素子20から振動体10へ伝わる振動エネルギーの損失の割合が変化し、共振周波数が分散し、広い周波数領域にわたって振動体10の共振周波数における音圧のピーク形状をなだらかにできる。これにより、音圧の周波数特性における共振ピークとディップとの差を低減して音圧の周波数変動を可及的に抑制でき、音質を向上させることができる。
また、凸部29において振動体10との間の接合層40が極端に薄い場合、凸部29近傍において振動体10の張力が局所的に変化し、共振周波数が分散し、さらに音圧のピーク形状がなだらかになる。
また、表面電極層23の表面に配置された凸部29は、圧電振動素子20を振動体10に接合する接合層40に埋設される。このように、凸部29が接合層40に埋設されることで、圧電振動素子20と振動体10との接合強度を向上させる、いわゆるアンカー効果を得ることができる。これにより、圧電振動素子20が振動体10から剥がれ難くなり、結果として音響発生器1の耐久性を向上させることができる。
また、図1B,図1C,図2に示す表面電極層23では、図1B,図1Cに示す面20a1側の外周部分に、ほぼ同一形状の凸部29が配置されているが、互いに異なる形状であっても良い。例えば、図3に示すように、凸部29とほぼ同一形状の凸部29aのほか、凸部29aとは異なる凸部29bを表面電極層23の一部に設けても良い。
このように、凸部29の形状を互いに異ならせることにより、凸部29を有する部分と凸部29を有しない部分とにおける振動体10の振動方向における接着層40の厚みが局所的に相違するだけでなく、凸部29aと凸部29bとにおける接合層40の厚さの分布も局所的に変わる。このため、圧電振動素子20から振動体10へ伝わる振動エネルギーの損失の割合が変わるため、音圧の周波数特性における共振ピークとディップとの差を低減して音圧の周波数変動を可及的に抑制でき、音質を向上させることができる。
また、上述した各構成では、凸部29はいずれも椀状又は瘤状に突出したいわゆるバンプ形状であったが、異なる形状であっても良い。例えば、図4に示すように、表面電極層23の表面に沿った方向にある長さを有する断面凸状の凸部29を設けても良い。また、例えば、図5に示すように、表面電極層23の表面の外周部分を囲むように形成される断面凸状の凸部29を設けても良い。かかる構成によれば、凸部29の数が比較的少なくても圧電振動素子20から振動体10へ伝わる振動エネルギーの損失の割合が変わり、音圧の周波数特性における共振ピークとディップとの差を低減して音圧の周波数変動を可及的に抑制でき、音質を向上させることができる。なお、凸部29として図示した形状は一例であって、その形状については何ら制限するものではない。
また、上述した各構成では、凸部29はそれぞれ、表面電極層23の表面に沿った方向に何らかの対称性を有するが、非対称であっても良く、例えば、図6に示すように回転対称性や鏡面対称性などの対称性を持たないランダムな配置としても良い。これにより、振動源である圧電振動素子20自体の共振周波数を、凸部29の配置に対称性を持たせた場合に比べてさらに分散させることができ、共振ピークとディップとの差をより一層低減して音圧の周波数変動を抑制することができる。
上述してきたように、第1の実施形態に係る圧電振動素子20は、振動体10側の表面に凸部29を有することから、圧電振動素子20から振動体10へ伝わる振動エネルギーの損失の割合が変わる。したがって、本実施形態においては、凸部29によって共振周波数が分散し、広い周波数領域にわたって振動体10の共振周波数における音圧のピーク形状をなだらかにできる。これにより、音圧の周波数特性における共振ピークとディップとの差を低減して音圧の周波数変動を可及的に抑制でき、音質を向上させることができる。なお、凸部29の高さとしては、例えば1〜30μm、凸部29の起点を断面で見た幅としては例えば1〜50μmである。
また、図7に示すように、上述してきた構成の音響発生器1を、共鳴ボックス200に収容することにより音響発生装置2を構成することができる。共鳴ボックス200は、音響発生器1を収容する筐体であり、音響発生器1の発する音響を共鳴させて筐体面から音波として放射する。かかる音響発生装置2は、スピーカとして単独で用いることができる他、例えば、各種電子機器3へ好適に組み込むことが可能である。
上述してきたように、振動体の共振を利用したスピーカでは不利であった音圧の周波数特性における共振ピークとディップとの差を低減させることができるため、本実施形態に係る音響発生器1は、携帯電話機や薄型テレビ、あるいはタブレット端末などの電子機器3へ好適に組み込むことが可能である。
なお、音響発生器1が組み込まれる対象となりうる電子機器3としては、前述の携帯電話機や薄型テレビ、あるいはタブレット端末などに限らず、例えば、冷蔵庫、電子レンジ、掃除機、洗濯機などのように、従来、音質については重視されなかった家電製品も含まれる。
ここで、上述した音響発生器1を備える電子機器3について、図8を参照しながら簡単に説明する。図8は、電子機器3のブロック図である。電子機器3は、上述してきた音響発生器1と、音響発生器1に接続された電子回路と、音響発生器1および電子回路を収容する筐体300とを備える。
具体的には、図8に示すように、電子機器3は、制御回路301と、信号処理回路302と、入力装置としての無線回路303とを含む電子回路と、アンテナ304と、これらを収容する筐体300とを備える。なお、無線による入力装置を図8に図示しているが、通常の電気配線による信号入力としても当然設けることができる。
なお、ここでは、電子機器3が備える他の電子部材(例えば、ディスプレイ、マイク、スピーカなどのデバイスや回路)については記載を省略した。また、図8では、1つの音響発生器1を例示したが、2つ以上の音響発生器1やその他の発信器を設けることもできる。
制御回路301は、信号処理回路302を介して無線回路303を含む電子機器3全体を制御する。音響発生器1への出力信号は、信号処理回路302から入力される。そして、制御回路301は、無線回路303へ入力された信号を、信号処理回路302を制御することによって音声信号Sを生成し、音響発生器1に対して出力する。
このようにして、図8に示す電子機器3は、小型かつ薄型である音響発生器1を組み込みながらも、共振ピークとディップとの差を低減して音圧の周波数変動を可及的に抑制し、周波数の低い低音領域をはじめ、高音領域においても、全体的に音質の向上を図ることができる。
なお、図8においては、音響出力デバイスとして音響発生器1を直接搭載した電子機器3を例示したが、音響出力デバイスとしては、例えば音響発生器1を筐体に収容した音響発生装置2を搭載した構成であってもよい。
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に係る音響発生器1を示す図1AのB−B’線断面図、図10は、図9に示す圧電振動素子20における凹部の配置例を示す模式図である。なお、図9においては、理解を容易にするために、音響発生器1を上下方向に拡張し、デフォルメして示している。なお、図1A〜図1Cに示す第1の実施形態と同じ構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図9,図10に示す圧電振動素子20は、振動体10側の表面に、振動体10側に向けて開口する凹部39を有する。具体的には、圧電振動素子20(励振器)は振動体10と対向する面側に表面電極層23(第1電極)を備え、圧電振動素子20(励振器)の凹部39を有する振動体10側の表面が表面電極層23(第1電極)の表面である。すなわち、凹部39は、表面電極層23の、圧電振動素子20の振動体10と対向する面20a1に形成される。
上述したように、圧電振動素子20は、表面電極層23の表面に凹部39が形成されていることから、圧電振動素子20から振動体10へ伝わる振動エネルギーの損失の割合が変わる。したがって、圧電振動素子20においては、凹部39によって共振周波数が分散し、広い周波数領域にわたって振動体10の共振周波数における音圧のピーク形状をなだらかにできる。これにより、音圧の周波数特性における共振ピークとディップとの差を低減して音圧の周波数変動を可及的に抑制でき、音質を向上させることができる。特に、変位が大きい圧電振動素子20の周辺部(振動体10と対向する面20a1の周縁部)または中央部(振動体10と対向する面20a1の中央部)に凹部を設けることで、変位の大きい部分でエネルギー損失の大きい接着層40の厚さが厚く、振動エネルギーを効果的に損失させて共振ピークの形状をなだらかにすることができる。
また、図10に示す表面電極層23では、凹部39が、断面弧状の形状で配置されるが、凹部39の形状を異ならせても良い。例えば、図11に示すように、表面電極層23の表面をくさび状または角錐状に切り出した形状であっても良い。なお、凹部39として図示した形状は一例であって、その形状については何ら制限するものではない。
また、上述した各構成では、凹部39はそれぞれ、表面電極層23の表面に沿った方向に何らかの対称性を有するが、例えば、非対称であっても良く、表面電極層23の表面に沿った方向に回転対称性や鏡面対称性などの対称性を持たないようランダムに凹部39を配置しても良い。
上述したように、第2の実施形態によれば、表面電極層23の表面に凹部39が形成されていることから、圧電振動素子20から振動体10へ伝わる振動エネルギーの損失の割合が変わるため、音圧の周波数特性における共振ピークとディップとの差を低減して音圧の周波数変動を可及的に抑制でき、音質を向上させることができる。
なお、凹部39の深さとしては、例えば0.5μmから表面電極層23の厚みまでの範囲、凹みの断面で見た幅としては例えば1〜50μmである。
(第3の実施形態)
上述してきた各構成では、表面電極層23の表面に凸部29または凹部39のいずれかを配置したものを示したが、凸部29および凹部39の両方を配置しても良い。例えば、図12に示すように、表面電極層23の表面において、その外周部分のうち、その一部に凹部39を、残りの部分に凸部29を、それぞれ配置するようにしても良い。
このように、表面電極層23の表面に凸部29および凹部39の両方を配置することにより、圧電振動素子20から振動体10への振動の伝わり方がさらに変わる。したがって、圧電振動素子20においては、凸部29および凹部39によって共振周波数が分散し、広い周波数領域にわたって振動体10の共振周波数における音圧のピーク形状をなだらかにできる。これにより、音圧の周波数特性における共振ピークとディップとの差をさらに低減して音圧の周波数変動を可及的に抑制でき、音質を向上させることができる。
また、図4に示す形態は、表面電極層23の表面(振動体10と対向する面20a1)が凸部29および凹部からなる構成ともいえるが、このような場合においては、任意の断面を見たときの隣り合う凸部29と凹部のそれぞれの頂点または底(最下点)に接する接線と接線との間の距離が、例えば1μm以上で表面電極層23の厚みプラス30μmの範囲内で適宜設定される。
また、上述した各実施形態では、凸部29および/または凹部39は、表面電極層23の表面に設けられているが、圧電振動素子20の、振動体10と対向する面20a1側に形成されていれば制限はない。
さらに、圧電振動素子20(励振器)は、振動体10と対向する面に隣接する側面側に外部電極25,26(第2電極)を備え、外部電極25,26(第2電極)の表面に凸部29または凹部39を備えていても良い。具体的には、外部電極25,26の振動体10と対向する面20a1に近い側に凸部29または凹部39があって良く、例えばこの凸部29または凹部39まで接合層40がかかることで接合強度を向上させることができる。
これまで述べた実施形態は、表面電極層23または外部電極25,26の表面に凸部29または凹部39が設けられた例であるが、これらの例に限定されず、面20a1に相当する積層体21の表面(図における下面)に設けられても良い。例えば、積層体21の下面に表面電極層23が形成されていない場合において、最下層となる圧電体層の下面に凸部29または凹部39が設けられても良い。
また、振動体10と対向する面20a1側に設けられた複数の部材によって凸部29または凹部39が構成されていても良い。
このように、面20a1側に凸部29および/または凹部39を有すると、振動体10と圧電振動素子20との間において接合層40の厚さが局所的に相違する。このため、圧電振動素子20の凸部29および/または凹部39を有する部分と、凸部29および凹部39を有しない部分とで、圧電振動素子20から振動体10へ伝わる振動エネルギーの損失の割合が変わる。
したがって、凸部29および/または凹部39によって共振周波数が分散し、広い周波数領域にわたって振動体10の共振周波数における音圧のピーク形状をなだらかにできる。これにより、音圧の周波数特性における共振ピークとディップとの差を低減して音圧の周波数変動を可及的に抑制でき、音質を向上させることができる。
また、凸部29が表面電極層23または外部電極25,26に配置される場合には、凸部29を、金属を主成分として構成しても良い。また、凸部29および/または凹部39が、表面電極層23または外部電極25,26の表面に設けられる場合には、当該表面電極層23または外部電極25,26の一部として一体に形成されても良い。
また、上述した実施形態では、圧電振動素子20および振動体10が被覆層50によって被覆されるようにしたが、これに限られるものではなく、被覆層50を備えない構成であってもよい。
また、上述した実施形態では、一つの圧電振動素子20を振動体10上に配置したものを例示したが、例えば、次に示すように、2個以上の圧電振動素子を配置しても構わない。
図13Aは、各実施形態の変形例に係る音響発生器の模式平面図、図13Bは、図13AのC−C’線断面図である。なお、理解を容易にするために、図13Bにおいては、圧電振動素子20,120の断面構造を省略している。
図13A,図13Bに示すように、振動体10上に複数の圧電振動素子20(励振器)が設けられ、複数の圧電振動素子20(励振器)の少なくとも一つが、振動体10側の表面に凸部29または凹部39を備えた圧電振動素子20(励振器)である構成としても良い。具体的には、一方の圧電振動素子20の表面に凸部29および/または凹部を設け、他方の圧電振動素子120の表面には凸部および/または凹部を設けない構成としても良い。さらに、一方の圧電振動素子20の表面には凸部29を設け、他方の圧電振動素子120の表面には凹部を設けても良い。
また、図13A,図13Bでは圧電振動素子20を振動体10の上面10a(または上面10aの反対側に位置する下面)の同一面上に配置したものを示したが、上面10aおよび下面の両面に配置してもよい。また、圧電振動素子20を平面視で矩形形状としたが、正方形であってもよい。また、振動体10の振動面の略中央に圧電振動素子20を配置したものを例示したが、振動体10の振動面中心から偏倚した位置に圧電振動素子20を配置しても構わない。
また、圧電振動素子20として、いわゆるバイモルフ型の積層型を例示したが、ユニモルフ型の圧電振動素子を用いることもできる。
なお、本実施形態では、励振器が圧電振動素子である場合を例に挙げて説明したが、励振器は圧電素子に限定されるものではなく、電気信号が入力されて屈曲振動し、振動体を共振させる機能を有しているものであれば良い。例えば、スピーカを振動させる励振器としてよく知られた電磁型の励振器などであっても構わない。なお、電磁型の励振器は、電気信号をコイルに流して薄い鉄板を振動させるようなものである。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1 音響発生器
2 音響発生装置
3 電子機器
10 振動体
20 圧電振動素子(励振器)
29 凸部
30 枠体
39 凹部
40 接合層
50 被覆層
200 共鳴ボックス(筐体)
300 筐体
301 制御回路
302 信号処理回路
303 無線回路
304 アンテナ

Claims (10)

  1. 振動体と、
    該振動体上に設けられ、電気信号が入力されて振動する励振器と、
    を有し、
    前記励振器は、前記振動体側の表面に位置する当該振動体と対向する面側に第1電極を備え、該第1電極の表面には凸部または凹部がランダムに設けられていることを特徴とする音響発生器。
  2. 振動体と、
    該振動体上に設けられ、電気信号が入力されて振動する励振器と、
    を有し、
    前記励振器は、前記振動体と対向する面に隣接する側面側に第2電極を備え、前記振動体側の表面に位置する前記第2電極の表面に凸部または凹部が設けられていることを特徴とする音響発生器。
  3. 前記励振器は前記振動体上に接合層を介して接合されており、該接合層が前記第2電極の表面に設けられた凸部または凹部までかかっていることを特徴とする請求項2に記載の音響発生器。
  4. 前記振動体上に複数の前記励振器が設けられ、
    前記複数の励振器の少なくとも一つが、前記凸部または前記凹部を備えた励振器であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の音響発生器。
  5. 前記凸部は、金属を主成分とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の音響発生器。
  6. 前記励振器が圧電振動素子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の音響発生器。
  7. 前記励振器がバイモルフ型の積層型圧電振動素子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の音響発生器。
  8. 前記振動体の外周部に設けられた枠体と、前記枠体と前記励振器との間の前記振動体上に設けられた被覆層とをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の音響発生器。
  9. 請求項1〜8のいずれか一つに記載の音響発生器と、
    該音響発生器を収容する筐体と
    を備えることを特徴とする音響発生装置。
  10. 請求項1〜8のいずれか一つに記載の音響発生器と、
    該音響発生器に接続された電子回路と、
    該電子回路および前記音響発生器を収容する筐体と
    を備え、
    前記音響発生器から音響を発生させる機能を有すること
    を特徴とする電子機器。
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