JP2014123900A - 音響発生器、音響発生装置および電子機器 - Google Patents

音響発生器、音響発生装置および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な音圧の周波数特性を得ることができる音響発生器、音響発生装置および電子機器を提供する。
【解決手段】音響発生器1は、振動体20と、振動体20上に設けられた励振器30とを備える。また、励振器30は、振動体20の主面に垂直な方向から平面視した場合に、励振器30の輪郭が励振器30の重心に対して非対称な形状を有する。
【選択図】図1A

Description

開示の実施形態は、音響発生器、音響発生装置および電子機器に関する。
従来、アクチュエータを用いた音響発生器が知られている。たとえば、特許文献1には、振動板に取り付けた圧電素子に電圧を印加して振動させることによって、振動板を振動させて音響を出力する音響発生器が記載されている。
特開2004−23436号公報
しかしながら、上記した従来の音響発生器は、振動板の共振を積極的に利用するが故に、音圧の周波数特性においてピーク(周囲よりも音圧が高い部分)およびディップ(周囲よりも音圧が低い部分)が生じやすく、良質な音質を得にくいという問題があった。
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、良好な音圧の周波数特性を得ることができる音響発生器、音響発生装置および電子機器を提供することを目的とする。
実施形態の一態様に係る音響発生器は、振動体と、振動体上に設けられた励振器とを備える。また、励振器は、振動体の主面に垂直な方向から平面視した場合に、励振器の輪郭が励振器の重心に対して非対称な形状を有する。
実施形態の一態様によれば、良好な音圧の周波数特性を得ることができる。
図1Aは、第1の実施形態に係る音響発生器の平面視による説明図である。 図1Bは、図1AのA−A’線断面図である。 図2は、圧電振動素子の形状を示す平面視による説明図である。 図3は、音響発生装置のブロック図である。 図4は、電子機器のブロック図である。 図5Aは、圧電振動素子の形状の変形例(その1)を示す平面視による説明図である。 図5Bは、圧電振動素子の形状の変形例(その2)を示す平面視による説明図である。 図5Cは、圧電振動素子の形状の変形例(その3)を示す平面視による説明図である。 図5Dは、圧電振動素子の形状の変形例(その4)を示す平面視による説明図である。 図5Eは、圧電振動素子の形状の変形例(その5)を示す平面視による説明図である。 図5Fは、圧電振動素子の形状の変形例(その6)を示す平面視による説明図である。 図5Gは、圧電振動素子の形状の変形例(その7)を示す平面視による説明図である。 図6Aは、圧電振動素子の配置の変形例(その1)を示す平面視による説明図である。 図6Bは、圧電振動素子の配置の変形例(その2)を示す平面視による説明図である。 図7Aは、第2の実施形態に係る音響発生器の平面視による説明図である。 図7Bは、図7AのB−B’線断面図である。 図8Aは、圧電振動素子の形状の変形例(その8)を示す平面視による説明図である。 図8Bは、圧電振動素子の形状の変形例(その9)を示す平面視による説明図である。 図8Cは、圧電振動素子の形状の変形例(その10)を示す平面視による説明図である。
以下、添付図面を参照して、本願の開示する音響発生器、音響発生装置および電子機器の実施形態について説明する。なお、以下に示す各実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る音響発生器の構成について、図1Aおよび図1Bを用いて説明する。
第1の実施形態に係る音響発生器1は、いわゆる圧電スピーカと呼ばれるものであり、振動体の共振現象を用いて音圧を発生させる構成を備える。具体的には、音響発生器1は、図1Aおよび図1Bに示すように、枠体10と、この枠体10に張設された振動体20と、この振動体20上に設けられた圧電振動素子30とを備える。
なお、図1Aは、第1の実施形態に係る音響発生器1を振動体20の主面に垂直な方向から見た平面視による説明図であり、図1Bは、図1AのA−A’線断面図である。図1Bにおいては、理解を容易にするために、音響発生器1を上下方向に拡張して示している。
振動体20は、樹脂、金属、紙などの種々の材料を用いて形成することができる。例えば、厚さ10〜200μm程度のポリエチレン、ポリイミド、ポリプロピレンなどの樹脂フィルムにより薄板状の振動体20を構成することができる。樹脂フィルムは金属板などに比べて弾性率および機械的なQ値の低い材料であるため、振動体20を樹脂フィルムにより構成することで、振動体20を大きな振幅で屈曲振動させ、音圧の周波数特性における共振ピークの幅を広く、高さを低くして共振ピークとディップとの差を低減することができる。なお、金属と樹脂との複合体を振動体20として用いてもよい。
枠体10は、振動体20を保持して振動の固定端を形成する役割を担っている。たとえば、図1Bに示すように、共に矩形状の上枠部材11と下枠部材12とを、上下に接合して枠体10を構成している。そして、上枠部材11と下枠部材12との間に樹脂フィルムからなる振動体20の外周部を挟み込み、所定の張力を付与した状態で固定している。したがって、長期間使用してもたわみなどの変形の少ない振動体20を備えた音響発生器1となる。
枠体10の厚みおよび材質は、特に限定されるものではないが、第1の実施形態では、機械的強度および耐食性に優れているという理由から、たとえば、厚さ100〜1000μmのステンレス製の材料を用いている。
圧電振動素子30は、積層体33と、この積層体33の上面および下面に形成された表面電極層34、35と、積層体33の内部電極層32の端面が露出する側面に形成された外部電極36、37とを備えている。そして、外部電極36、37にリード端子38、39が接続されている。
積層体33は、セラミックスからなる4層の圧電体層31a、31b、31c、31dと、3層の内部電極層32とが交互に積層されて形成される。また、圧電振動素子30は、上面側および下面側の主面を矩形状としており、圧電体層31aと31b、圧電体層31cと31dは、それぞれ厚み方向に互いに異なる向きに分極されており、圧電体層31bと31cは同じ向きに分極されている。
したがって、リード端子38、39を介して圧電振動素子30に電圧が印加された場合、例えば圧電振動素子30の下面側、換言すれば振動体20側の圧電体層31c、31dは縮む一方、上面側の圧電体層31a、31bは伸びるように変形する。このように、圧電振動素子30の上面側の圧電体層31a、31bと下面側の圧電体層31c、31dとが、相反する伸縮挙動を示し、その結果、圧電振動素子30がバイモルフ型の屈曲振動をすることにより、振動体20に一定の振動を与えて音を発生させることができる。
このように、圧電振動素子30がバイモルフ型の積層型圧電振動素子であり、圧電振動素子30自体が単独で屈曲振動することから、振動体20の材質によらず、例えば柔らかい振動体20であっても強い振動を発生させることができ、少数の圧電振動素子30により充分な音圧を得ることができる。
ここで、圧電体層31a、31b、31c、31dを構成する材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、Bi層状化合物、タングステンブロンズ構造化合物などの非鉛系圧電体材料などの、従来から用いられている圧電セラミックスを用いることができる。
また、内部電極層32の材料は、金属、例えば銀とパラジウムを主成分とする。なお、内部電極層32には圧電体層31a、31b、31c、31dを構成するセラミック成分を含有しても良く、これにより、圧電体層31a、31b、31c、31dと内部電極層32、32、32との熱膨張差による応力を低減した圧電振動素子30を得ることができる。
また、表面電極層34、35と外部電極36、37は、金属、例えば銀などを主成分とする。また、ガラス成分を含有しても良い。ガラス成分を含有させることによって、圧電体層31a、31b、31c、31dや内部電極層32と、表面電極層34、35または外部電極36、37との間に強固な密着力を得ることができる。ガラス成分の含有量は、たとえば20体積%以下とすればよい。
また、リード端子38、39に接続する配線としては、圧電振動素子30の低背化を図るために、銅またはアルミニウムなどの金属箔を樹脂フィルムで挟んだフレキシブル配線を用いるのが好ましい。
また、第1の実施形態に係る音響発生器1は、図1Bに示すように、圧電振動素子30を埋設するように、枠体10内に充填された樹脂製の被覆層40を備える。このように、圧電振動素子30を樹脂製の被覆層40で埋設することにより、適度なダンピング効果を誘発させることができ、共振現象を抑制するとともに、共振ピークとディップとの差をより小さく抑えることができる。さらに、圧電振動素子30を外部環境から保護することもできる。
なお、第1の実施形態では、振動体20の表面全てが被覆層40により被覆されているが、全てが被覆される必要はない。すなわち、音響発生器1は、圧電振動素子30と、この圧電振動素子30が配置されている側の振動体20の表面の少なくとも一部とが被覆層40により被覆されていればよい。
ところで、従来の音響発生器において、圧電振動素子は、平面視において矩形状に形成されていた。すなわち、従来の音響発生器において、圧電振動素子は、対称性の高い平面形状を有していた。
そこで、第1の実施形態に係る音響発生器1では、圧電振動素子30の対称性を従来の圧電振動素子よりも低下させることによって、圧電振動素子30の縮退した振動モードを複数の振動モードに分散させ、共振周波数を分散させることにより、広い周波数領域にわたって振動体20の共振周波数における音圧のピーク形状をなだらかにできる。これにより、音圧の周波数特性における共振ピークとディップの差を低減して音圧の周波数変動を可及的に抑制でき、音質の向上を図ることができる。
かかる圧電振動素子30の形状について図2を参照して説明する。図2は、圧電振動素子30の形状を示す平面視による説明図である。
図2に示すように、圧電振動素子30は、振動体20の主面に垂直な方向から平面視した場合に、圧電振動素子30の輪郭が、圧電振動素子30の重心C1に対して非回転対称な形状を有する。これにより、圧電振動素子30は、平面視において矩形状に形成された圧電振動素子、つまり、重心に対して回転対称な形状を有する圧電振動素子よりも対称性が低下する。したがって、広い周波数領域にわたって振動体20の音圧の周波数特性における共振ピークとディップとの差を低減して音圧の周波数変動を可及的に抑制でき、音質を向上させることができる。
また、図1Bに示すように、圧電振動素子30は、接合層の一例である接着剤層50を介して振動体20に接合される。かかる接着剤層50は、圧電振動素子30よりも熱伝導率が低い部材で形成されることが好ましい。これにより、圧電振動素子30の熱が振動体20へ伝わりにくくなるため、振動体20の局所的な温度変化を少なくすることができる。よって、振動体20の局所的な温度変化に起因する音質の変動を抑えることができる。
接着剤層50の内部には、気孔51、いわゆるボイドが含まれていることが好ましい。
このように、接着剤層50に気孔51を設けることで、接着剤層50内にヤング率の異なる領域が点在するようになることから、その領域において共振のエネルギーが吸収され、共振周波数における音圧のピーク形状がなだらかになる。この結果、音圧の周波数特性における共振ピークとディップとの差が抑制され周波数特性を平坦化することができる。また、振動により発生する応力が気孔51の近辺に集中して圧電振動素子30への応力が緩和されるとともに、圧電振動素子30と振動体20とが剥がれにくくなり耐久性が向上する。気孔51は、接着剤層50内のあらゆる方向からの応力や共振のエネルギーを吸収しやすくするために球状であることが好ましい。
なお、接着剤層50を形成するための接着剤としては、エポキシ系樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル系樹脂などの公知のものを使用できる。接着剤に使用する樹脂の硬化方法としては、熱硬化、光硬化や嫌気性硬化等のいずれの方法を用いても振動体20を作製できる。
また、接着剤層50の厚みは、20μm以下とされている。特には、接着剤層50の厚みは、10μm以下であることが望ましい。このように、接着剤層50の厚みが20μm以下である場合には、積層体33の振動を振動体20に伝えやすくなる。
次に、本実施形態に係る音響発生器1を搭載した音響発生装置について図3を参照して説明する。図3は、音響発生装置のブロック図である。
図3に示すように、上述してきた構成の音響発生器1を、共鳴ボックス400に収納することにより音響発生装置4を構成することができる。共鳴ボックス400は、音響発生器1を収納する筐体であり、音響発生器1の発する音響を共鳴させて筐体面から音波として放射する。かかる音響発生装置4は、スピーカとして単独で用いることができる他、例えば、各種電子機器2へ好適に組み込むことが可能である。
上述してきたように、圧電スピーカでは不利であった音圧の周波数特性における共振ピークとディップとの差を低減させることができるため、本実施形態に係る音響発生器1は、携帯電話機や薄型テレビ、あるいはタブレット端末などの電子機器2へ好適に組み込むことが可能である。
なお、音響発生器1が組み込まれる対象となりうる電子機器2としては、前述の携帯電話機や薄型テレビ、あるいはタブレット端末などに限らず、たとえば、冷蔵庫、電子レンジ、掃除機、洗濯機などのように、従来、音質については重視されなかった家電製品も含まれる。
ここで、上述した音響発生器1を備える電子機器2について、図4を参照しながら簡単に説明する。図4は、電子機器2のブロック図である。電子機器2は、上述してきた音響発生器1と、音響発生器1に接続された電子回路と、音響発生器1および電子回路を収納する筐体200とを備えている。
具体的には、図4に示すように、電子機器2は、音響発生器1と、制御回路21、信号処理回路22および入力装置としての無線回路23を含む電子回路と、アンテナ24と、これらを収納する筐体200とを備えている。なお、無線による入力装置を図4に図示しているが、通常の電気配線による信号入力としても当然設けることができる。
なお、ここでは、電子機器2が備える他の電子部材(たとえば、ディスプレイ、マイク、スピーカなどのデバイスや回路)については記載を省略した。また、図4では、1つの音響発生器1を例示したが、2つ以上の音響発生器1やその他の発振器を設けることもできる。
制御回路21は、信号処理回路22を介して無線回路23を含む電子機器2全体を制御する。音響発生器1への出力信号は、信号処理回路22から入力される。そして、制御回路21は、無線回路23へ入力された信号を、信号処理回路22を制御することによって音声信号Sを生成し、音響発生器1に対して出力する。
このようにして、図4に示す電子機器2は、小型かつ薄型である音響発生器1を組み込みながらも、共振ピークとディップとの差を低減して周波数変動を可及的に抑制し、周波数の低い低音領域をはじめ、高音領域においても全体的に音質の向上を図ることができる。
なお、図4においては、音響出力デバイスとして音響発生器1を直接搭載した電子機器2を例示したが、音響出力デバイスとしては、たとえば音響発生器1を筐体に収納した音響発生装置4を搭載した構成であってもよい。
次に、圧電振動素子の形状の変形例について図5Aおよび図5Bを参照して説明する。図5A〜図5Gは、圧電振動素子の形状の変形例(その1〜その7)を示す平面視による説明図である。
図2に示した圧電振動素子30は、圧電振動素子30の重心C1を通り、かつ、振動体20の主面に対して平行な軸(ここでは、一例としてL11〜L14のみを示す)のうち、軸L13に対して線対称な形状を有している。すなわち、図2では、重心C1に対して非回転対称ではあるが、重心C1を通り、かつ、振動体20の主面に対して平行な軸L13に対しては線対称である圧電振動素子30の例を示した。このような形状としては、たとえば等脚台形や扇型などが挙げられる。
しかし、圧電振動素子は、重心に対して回転対称であるが、重心を通り、かつ、振動体20の主面に対して平行な軸の全てに対して非線対称な形状を有していてもよい。
たとえば、図5Aに示すように、圧電振動素子30Aは、平面視における輪郭が、圧電振動素子30Aの重心C2に対して回転対称であるが、重心C2を通り、かつ、振動体20の主面に対して平行な軸(ここでは、一例としてL21〜L24のみを示す)の全てに対して非線対称な形状を有する。
かかる場合であっても、圧電振動素子30Aは、平面視において矩形状に形成された圧電振動素子よりも対称性が低い。したがって、音圧の周波数特性における共振ピークとディップとの差を低減して音圧の周波数変動を可及的に抑制でき、音質を向上させることができる。このような形状としては、たとえば平行四辺形(長方形、菱形を除く)などが挙げられる。
また、圧電振動素子は、重心に対して非回転対称であり、さらに、重心を通り、かつ、振動体20の主面に対して平行な軸の全てに対しても非線対称な形状を有していてもよい。
たとえば、図5Bに示すように、圧電振動素子30Bは、平面視における輪郭が、重心C3に対して非回転対称であり、さらに、重心C3を通り、かつ、振動体20の主面に対して平行な軸(ここでは、一例としてL31〜L34のみを示す)の全てに対しても非線対称な形状を有する。
このように、対称性を持たない圧電振動素子30Bとすることにより、音圧の周波数特性における共振ピークとディップとの差をより一層低減することができる。したがって、音質の更なる向上を図ることができる。
また、圧電振動素子は、平面視における輪郭の少なくとも1つの角部の形状が、他の角部の形状と異なるように形成されてもよい。かかる場合であっても、圧電振動素子の対称性を低下させることができる。
たとえば、図5Cに示す圧電振動素子30Cは、平面視において4つの角部3a〜3dを有しており、そのうちの1つの角部3aの形状を1/4円弧曲線によるR形状をなした角部とし、残りの角部3b〜3dを直角な角部としている。
このような形状とすることにより、圧電振動素子30Cの平面視における輪郭は、圧電振動素子30Cの重心C4に対して非対称な形状となる。このため、圧電振動素子30Cの対称性を低下させることができる。
なお、図5Cでは、1つの角部3aの形状をR形状とし、残りの角部3b〜3dの形状を直角形状としたが、角部の形状はこれに限ったものではない。
たとえば、図5Dに示す圧電振動素子30Dのように、4つの角部3a1〜3d1のうち、3つの角部3a1〜3c1の形状をR形状とし、残り1つの角部3dの形状を直角形状としてもよい。かかる場合も同様に、圧電振動素子30Dの平面視における輪郭を、圧電振動素子30Dの重心C5に対して非対称な形状とすることができる。
また、図5Eに示す圧電振動素子30Eのように、4つの角部3a2〜3d2の全ての形状をR形状としつつ、そのうちの1つの角部3c2の曲率半径を他の角部3a2、3b2、3d2の曲率半径と異ならせてもよい。かかる場合も同様に、圧電振動素子30Eの平面視における輪郭を、圧電振動素子30Eの重心C6に対して非対称な形状とすることができる。
また、図5C〜図5Eでは、4つの角部のうち少なくとも1つの角部をR形状とすることによって、他の角部の形状と異ならせることとしたが、角部の形状は、必ずしもR形状であることを要しない。
たとえば、図5Fに示す圧電振動素子30Fのように、平面視における輪郭は、4つの角部3a3〜3d3のうちの1つの角部3a3を直線的に切り欠いた形状であってもよい。かかる場合も同様に、圧電振動素子30Fの平面視における輪郭を、圧電振動素子30Fの重心C7に対して非対称な形状とすることができる。
また、図5Gに示す圧電振動素子30Gのように、平面視における輪郭は、4つの角部3a4〜4d4のうちの1つの角部3a4を外方に膨出させた形状であってもよい。かかる場合も同様に、圧電振動素子30Gの平面視における輪郭を、圧電振動素子30Gの重心C8に対して非対称な形状とすることができる。
次に、圧電振動素子の配置の変形例について図6Aおよび図6Bを参照して説明する。図6Aおよび図6Bは、圧電振動素子の配置の変形例(その1、その2)を示す平面視による説明図である。なお、図6Aおよび図6Bでは、圧電振動素子の一例として圧電振動素子30を用いて説明するが、圧電振動素子は他の圧電振動素子30A、30Bであってもよい。
図1Aでは、圧電振動素子30が振動体20の略中心に配置される例、言い換えれば、圧電振動素子30の重心C1が、振動体20の重心と略一致するように圧電振動素子30が配置される例を示した。しかし、圧電振動素子の配置は、図1Aに示したものに限定されない。
たとえば、図6Aに示す音響発生器1Aのように、振動体20の主面に垂直な方向から平面視した場合に、圧電振動素子30の重心C1が、振動体20の重心C9からずれるように圧電振動素子30を振動体20上に配置してもよい。
このように、圧電振動素子30の重心C1を振動体20の重心C9からずれた位置に配置することにより、振動体20、圧電振動素子30および被覆層40(図1B参照)によって構成される複合振動体の対称性を低くすることができる。したがって、複合振動体の共振周波数が分散されて、音圧の周波数変動を可及的に抑制することができ、音質のさらなる向上を図ることができる。
また、図6Bに示す音響発生器1Bのように、振動体20の主面に垂直な方向から平面視した場合に、振動体20の重心C9が圧電振動素子30と重なる位置に圧電振動素子30を配置してもよい。このように、圧電振動素子30の重心C1を振動体20の重心C9からずらしつつ、振動体20の重心C9と重なる位置に圧電振動素子30を配置することにより、音圧の低下を抑えつつ、音圧の周波数変動を可及的に抑制することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る音響発生器の構成について図7Aおよび図7Bを参照して説明する。図7Aは、第2の実施形態に係る音響発生器の平面視による説明図である。また、図7Bは、図7AのB−B’線断面図である。
図7Aに示すように、第2の実施形態に係る音響発生器1Cは、第1の実施形態に係る音響発生器1が備える圧電振動素子30に代えて、圧電振動素子30Hを備える。
圧電振動素子30Hは、平面視略矩形状の本体部61と、この本体部61の外周部に設けられた不定形の凸部62、63とを備える。これにより、圧電振動素子30Hは、振動体20の主面に垂直な方向から平面視した場合に、圧電振動素子30Hの輪郭が、圧電振動素子30Hの重心C10に対して非対称な形状を有する。
このように、圧電振動素子30Hは、平面視矩形状の本体部61の外周部に設けられた不定形の凸部62、63によって、振動体20の主面に垂直な方向から平面視した場合に重心C10に対して非対称となるように構成されてもよい。かかる場合であっても、圧電振動素子30Hの対称性を低下させることができるため、広い周波数領域にわたって振動体20の共振周波数における音圧のピーク形状をなだらかにすることができ、音圧の周波数特性における共振ピークとディップとの差を低減して音圧の周波数変動を可及的に抑制でき、音質を向上させることができる。
また、図7Bに示すように、圧電振動素子30Hは、振動体20の近傍に位置する凸部64、65が、接着剤層50に埋設されていてもよい。このように、圧電振動素子30Hの振動体20側近傍に位置する凸部64、65を接着剤層50に埋設させることにより、圧電振動素子30Hと振動体20との接合強度を向上させる、いわゆるアンカー効果を得ることができる。また、圧電振動素子30Hが振動したときに振動体20との境界に生じる応力を緩和できる。これらの効果により、圧電振動素子30Hが振動体20から剥がれ難くなるため、音響発生器1Cの耐久性を向上させることができる。
なお、凸部64、65の先端部は鋭角に構成されることが好ましい。これにより、凸部64、65は、接着剤層50に突き刺さるような状態で固定されるため、圧電振動素子30Hと振動体20との接合強度をより一層向上させることができる。
次に、圧電振動素子の形状のさらなる変形例について図8A〜図8Cを参照して説明する。図8A〜図8Cは、それぞれ圧電振動素子の形状の変形例(その8〜10)を示す平面視による説明図である。
たとえば、図7Aでは、本体部61の輪郭の各辺のうち長手方向の辺にのみ凸部62、63が設けられる場合の例を示した。しかし、これに限ったものではなく、たとえば図8Aに示す圧電振動素子30Iのように、本体部71の輪郭の全ての辺に対して不定形の凸部72〜77が設けられてもよい。このようにすることで、圧電振動素子30Iの対称性をさらに低下させることができる。
また、図8Aに示すように、本体部61の輪郭には、凹部78が設けられてもよい。かかる凹部78も凸部72〜77と同様に、圧電振動素子30Iの対称性を低下させることができる。
また、図7Aおよび図8Aでは、圧電振動素子の輪郭の少なくとも1つの辺に凹凸が部分的に設けられる場合の例について説明したが、凹凸の配置はこれに限ったものではない。たとえば、図8Bに示す圧電振動素子30Jのように、平面視における輪郭の少なくとも1つの辺の全体に凹凸が設けられていてもよい。
図8Bでは、圧電振動素子30Jの輪郭の各辺81〜84のうち、短手方向の辺81、82にのみが凹凸形状を有する場合の例を示しているが、図8Cに示す圧電振動素子30Kのように、平面視における輪郭の全体にわたって凹凸形状を有していてもよい。
このように、圧電振動素子の輪郭の少なくとも一つの辺全体、または、輪郭全体にわたって凹凸形状を有することにより、圧電振動素子が振動したときに振動体20との境界に生じる応力を緩和できるので、圧電振動素子と振動体20とが剥がれにくくなり耐久性が向上する。
上述した各実施形態では、圧電振動素子として、いわゆるバイモルフ型の積層型圧電振動素子を例示したが、ユニモルフ型の圧電振動素子を用いることもできる。
また、上述してきた各実施形態に係る音響発生器の振動体に、必要に応じダンピング材を適宜設けて、更なる音質の改善を図ることとしてもよい。ダンピング材は、たとえば、シート状のウレタンゴムなどのゴム材料で形成することができ、その形状や大きさは適宜設定すればよい。
また、上述してきた音響発生器では、振動体上に1個の圧電振動素子を配設したものを例示したが、2個以上の圧電振動素子を振動体上に配置しても構わない。
また、上述した各実施形態では、励振器の一例として圧電振動素子を用いる場合を例に挙げて説明したが、励振器は、圧電振動素子に限定されるものではなく、電気信号が入力されて振動する機能を有しているものであれば良い。例えば、スピーカを振動させる励振器としてよく知られた、動電型の励振器や、静電型の励振器や、電磁型の励振器であっても構わない。なお、動電型の励振器は、永久磁石の磁極の間に配置されたコイルに電流を流してコイルを振動させるようなものであり、静電型の励振器は、向き合わせた2つの金属板にバイアスと電気信号とを流して金属板を振動させるようなものであり、電磁型の励振器は、電気信号をコイルに流して薄い鉄板を振動させるようなものである。
このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1 音響発生器
2 電子機器
4 音響発生装置
10 枠体
20 振動体
30 圧電振動素子
40 被覆層
50 接着剤層

Claims (10)

  1. 振動体と、
    該振動体上に設けられた励振器と
    を備え、
    前記励振器は、
    前記振動体の主面に垂直な方向から平面視した場合に、前記励振器の輪郭が該励振器の重心に対して非対称な形状を有すること
    を特徴とする音響発生器。
  2. 前記励振器の輪郭は、凸部または凹部を有すること
    を特徴とする請求項1に記載の音響発生器。
  3. 前記励振器の輪郭は、少なくとも1つの角部の形状が他の角部の形状と異なること
    を特徴とする請求項1または2に記載の音響発生器。
  4. 前記励振器の重心は、
    前記振動体の主面に垂直な方向から平面視した場合に、前記振動体の重心からずれた位置に配置されること
    を特徴とする請求項1、2または3に記載の音響発生器。
  5. 前記励振器は、
    該振動体の主面に垂直な方向から平面視した場合に、前記振動体の重心と重なる位置に配置されること
    を特徴とする請求項4に記載の音響発生器。
  6. 前記励振器は、該励振器よりも熱伝導率が低い接合層を介して前記振動体に接合されること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の音響発生器。
  7. 前記接合層は、気孔を有すること
    を特徴とする請求項6に記載の音響発生器。
  8. 前記励振器は、バイモルフ型の積層型圧電振動素子であること
    を特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の音響発生器。
  9. 請求項1〜8のいずれか一つに記載の音響発生器と、
    該音響発生器を収容する筐体と
    を備えることを特徴とする音響発生装置。
  10. 請求項1〜8のいずれか一つに記載の音響発生器と、
    該音響発生器に接続された電子回路と、
    該電子回路および前記音響発生器を収容する筐体と
    を備え、
    前記音響発生器から音響を発生させる機能を有すること
    を特徴とする電子機器。
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