JP5643168B2 - 基地局装置、無線通信方法、及び無線通信システム - Google Patents
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Description
また、他の形態として、1つの基地局に複数の中継局が無線接続された構成(無線中継システム)をとることもできる。この場合は、基地局が制御局となり、中継局がアンテナとなり、全体として分散アンテナシステムを構成することになるが、基地局と中継局とが無線により接続される点で大きく異なる構成である。
いずれの場合も、複数のアンテナ(中継局)が受信端末側で各信号が同位相で合成されるように送信するコヒーレント伝送を行う。以下、その詳細な説明を行う。
(無線中継システム)
図19は、従来技術における無線中継システムの概要を示す図である。
図19に示すように、無線中継システムは、送信局901と、N1個の中継局902−1〜902−N1と、受信局903とを具備している。送信局901は、受信局903宛ての無線パケットを一旦中継局902−1〜902−N1に対して送信する。中継局902−1〜902−N1は、送信局901から受信した信号に対して各種受信信号処理を行い、送信局901が送信した無線パケットを再生(復元)する。次に、各中継局902−1〜902−N1は、再生した同一の無線パケットを同時刻に受信局903に対して送信する。この際、各中継局902−1〜902−N1は、それぞれが送信した信号が受信局903において同一の位相で受信されるように、送信信号の位相を調整する。受信局903では、各中継局902−1〜902−N1から送信された信号全てが伝送路で合成されて受信される。この際、各中継局902−1〜902−N1から送信された信号が、受信局903において同程度の受信電力で受信されるとするならば、合成された後の信号は、合成される前の信号に対して振幅でN1倍となる。また、受信電力は、振幅の2乗に比例するため(N1)2倍となる。
つまり、中継局902−1〜902−N1の総送信電力を一定としているにもかかわらず、1局で中継する場合と比較して受信局903における受信電力がN1倍となり、回線利得として10×Log10N1[dB]を稼ぐことが可能になる。
図20は、従来技術における分散アンテナシステムの概要を示す図である。
図20に示すように、分散アンテナシステムは、協調的な通信を行う3つのセル911−1〜911−3を形成するリモート基地局912−1〜912−3と、複数の端末装置913−1〜913−6と、光ファイバ915を介して各リモート基地局912−1〜912−3に接続された制御局914とを具備している。なお、各リモート基地局912−1〜912−3と制御局914とを接続する光ファイバ915は、同軸ケーブルなどであってもよい。
ここで、リモート基地局912−1〜912−3それぞれと端末装置913−4との間のチャネル情報が既知であれば、リモート基地局912−1〜912−3は、それぞれが端末装置913−4宛てに送信する際に、各リモート基地局912−1〜912−3から送信された信号が端末装置913−4において同位相となるように送信ウエイト乗算を施すことができる。この場合、端末装置913−4において受信される信号は、同位相合成されるので受信電力が増加する。その結果、端末装置913−4における通信特性が改善される。このような、同位相合成を行うための信号処理の制御は全て制御局914で実施され、リモート基地局912−1〜912−3は制御局914の指示に従い動作する。
コヒーレント伝送を行うためには、送受信局間のチャネルの状態を把握する必要がある。これは、複数の送信局又は中継局から送信された信号が同位相で受信局に届くようにするために、送信局及び中継局において、受信局との間のチャネルの状態を把握し、チャネルの状態に応じた送信ウエイトを用いて信号を送信するためである。
しかし、後述する換算処理(キャリブレーション処理)を実施することで、バックワードリンクのチャネル情報からフォワードリンクの情報を換算推定することが可能である。なお、以降の説明においては、先の説明における「リモート基地局」及び「中継局」を区別しない場合は「無線モジュール」と呼ぶことにする。
端末装置は、各無線モジュールから送信された無線パケットを受信し、受信した無線パケットに含まれているプリアンブル信号などを用いてチャネル推定を実施する(ステップS903)。端末装置では、このチャネル推定結果を「制御情報収容用の無線パケット」に収容し、無線モジュールに送信する(ステップS904)。
無線モジュールは、端末装置が送信した「制御情報収容用の無線パケット」を受信し、チャネル情報を取得する(ステップS905)。更に、無線モジュールは、受信したチャネル情報をメモリに保存し、チャネル情報に関するデータベースを構築し(ステップS906)、処理を終了する(ステップS907)。
無線モジュールは、端末装置から送信された無線パケットを受信し、無線パケットに含まれているプリアンブル信号などを用いてチャネル推定を実施する(ステップS910)。無線モジュールは、このバックワードリンクにおけるチャネル情報の推定結果に、換算処理を施し、フォワードリンク側のチャネル情報を取得する(ステップS911)。
更に、無線モジュールは、端末装置から受信したバックワードリンクにおけるチャネル情報と、変換処理により得られたフォワードリンクにおけるチャネル情報とをメモリに保存し、チャネル情報を記憶するデータベースを構築し(ステップS912)、処理を終了する(ステップS913)。
従来技術におけるコヒーレント伝送の信号処理について、以下に簡単に説明する。
まず、端末装置に対してコヒーレント伝送を行う無線通信装置の構成について説明する。無線通信装置は、送信を行う機能と、受信を行う機能とを備えるのが一般的で、特にチャネル情報のフィードバックを行う際には両方の機能を同時に利用することになる。ここでは、説明の便宜上、無線通信装置の送信側の機能と、受信側の機能とを分けて説明する。
図22は、従来技術における無線通信装置のダウンリンクに係る送信側の構成の一例を示す概略ブロック図である。同図に示すように、無線通信装置は、ダウンリンク(フォワードリンク)に係る構成として、制御局装置92と、光ファイバ96−1〜96−N2を介して接続されたリモート基地局としての無線モジュール97−1〜97−N2とを具備している。
また、送信信号処理回路921は、生成したサンプリングデータを各無線モジュール97−1〜97−N2において送信する送信信号を、無線モジュール97−1〜97−N2に対応するD/A変換器922−1〜922−N2に出力する。
ミキサ924−1〜924−N2は、ローカル発振器923から入力される局部発振信号と、D/A変換器922−1〜922−N2から入力されるアナログ信号とを乗算して、無線周波数の信号にアップコンバートする。
E/O変換器926−1〜926−N2は、フィルタ925−1〜925−N2が生成した電気的な信号を光信号に変換し、光ファイバ96−1〜96−N2を介して無線モジュール97−1〜97−N2に送信する。無線モジュール97−1〜97−N2に送信する信号を、E/O変換器926−1〜926−N2を用いて光信号に変換することにより、信号のレベル損失やノイズ混入を防ぐことができる。
送信ウエイト算出回路928は、チャネル情報取得回路927から入力されたチャネル情報に基づいて、送信ウエイトを算出し、算出した送信ウエイトを送信ウエイト記憶回路929に記憶させる。
このダウンリンクのチャネル情報を取得する処理は定期的に行われ、常に最新の送信ウエイト情報が送信ウエイト記憶回路929に記憶されている。
また、送信信号処理回路921は、送信ウエイト記憶回路929に記憶されている送信ウエイトのうち、アンテナ素子973−1〜973−N2それぞれと宛先局の端末装置との組合せに対応する送信ウエイトを各周波数成分毎に読み出し(ステップS923−1〜S923−N2)、読み出した送信ウエイトを送信信号に各周波数成分毎に乗算する(ステップS924−1〜S924−N2)。
各無線モジュール97−1〜97−N2は、制御局装置92から転送された信号を各アンテナ素子973−1〜973−N2を介して送信し(ステップS927−1〜S927−N2)、送信処理を終了させる(ステップS928−1〜S928−N2)。
図24は、従来技術における無線通信装置のアップリンクに係る受信側の構成の一例を示す概略ブロック図である。同図に示すように、無線通信装置は、アップリンク(バックワードリンク)に係る構成として、ダウンリンクに係る構成と同様に、制御局装置92と、光ファイバ93−1〜93−N2を介して接続されたリモート基地局としての無線モジュール97−1〜97−N2とを具備している。
制御局装置92は、図22に示した構成に加えて、O/E変換器931−1〜931−N2、ミキサ932−1〜932−N2、ローカル発振器933(ローカル発振器923と共用することも可能)、フィルタ934−1〜934−N2、A/D(Analogue/Digital:アナログ/デジタル)変換器935−1〜935−N2、チャネル情報推定回路936、受信ウエイト算出回路937、及び受信信号処理回路938を更に備えている。
無線モジュール97−1〜97−N2は、図22に示した構成に加えて、ローノイズアンプ(Low Noise Amplifier:LN2A)974−1〜974−N2、及びE/O変換器975−1〜975−N2を備えている。
E/O変換器975−1〜975−N2は、ローノイズアンプ974−1〜974−N2から入力された電気的な信号を光信号に変換して、光ファイバ96−1〜96−N2を介して制御局装置92に送信する。
ミキサ932−1〜932−N2は、O/E変換器931−1〜931−N2から出力される電気信号と、ローカル発振器933から出力される局部発振信号とを乗算し、無線周波数の信号からベースバンドの信号にダウンコンバートする。
ミキサ932−1〜932−N2においてダウンコンバートされた信号には、受信すべきチャネルの帯域外の周波数成分も含まれる。そこで、フィルタ934−1〜934−N2は、ミキサ932−1〜932−N2においてダウンコンバートされた信号から、受信すべきチャネルの帯域外の周波数成分を除去する。
チャネル情報推定回路936は、入力されたデジタル・ベースバンド信号に含まれるチャネル推定用の信号に基づいて、各無線モジュール97−1〜97−N2それぞれと端末装置との間のチャネル情報を推定し、推定したチャネル情報を受信ウエイト算出回路937に出力する。
受信ウエイト算出回路937は、チャネル情報推定回路936から出力されたチャネル情報に基づいて、受信ウエイトを算出して受信信号処理回路938に出力する。
受信ウエイト算出回路937は、チャネル情報推定回路936から出力される各周波数成分毎のチャネル情報に基づいて、各周波数成分毎の受信ウエイトを算出する(ステップS933−1〜S933−N2)。
なお、コヒーレント伝送と類似の技術として、多数のアンテナ素子を用いたフェーズドアレーアンテナ技術がある(例えば、非特許文献3)。図26は、フェーズドアレーアンテナの原理を示す図である。同図には、5つのアンテナ素子961−1〜961−5が、互いに間隔dを隔てて直線状に配置されているフェーズドアレーアンテナが示されている。フェーズドアレーアンテナにおいてアンテナ素子961−1〜961−5の配列方向に対して角度θ方向の指向性を形成する場合、その方向に対してアンテナ素子961−1〜961−5ごとの経路長差がdCosθであることを考慮して、同位相合成するように各アンテナ素子961−1〜961−5を用いて送受信する信号それぞれに対して調整を行えばよい。
フェーズドアレーアンテナでは、このようにして、所定の角度方向に対するアンテナ利得を稼ぐことができる。なお、一般には、指向性利得が最大となるメインローブ方向の周りに細かな利得のうねりを示すサブローブが生じるため、その影響を低減しメインローブを安定的に運用するために、アンテナ素子961−1〜961−5の間隔dをλ/2以下にする。
例えば、100局の無線モジュールを利用して20[dB]の回線利得を稼ぐ場合について考える。通信において、20[dB]を前提として無線通信装置等の回路を設計するため、ひとつの無線モジュールと端末装置との間のチャネル推定を行う際には、通信時に比べて20[dB]劣化した環境でチャネル推定を行わなければならない。例えば、実際の通信における所要SNRが10[dB]であったとすると、チャネル推定は−10[dB]という雑音が支配的な環境で実施しなければならない。しかし、このような雑音が支配的な環境では、推定した極めて不確かなチャネル情報から送信ウエイトを求めても同位相合成を実現することはできない。
都市部のように自動車の往来が常に絶えない環境を想定すると、チャネルの状況は時間と共に変動する。仮にチャネル推定精度が所望のレベルにありチャネルのフィードバックが可能な場合であっても、チャネルのフィードバックに要するオーバーヘッドによる伝送効率の低下を考慮すれば、チャネルをフィードバックする周期は比較的長めに設定する必要があり、この結果、実際の送受信時刻よりも過去のチャネル情報を基にした送受信ウエイトを利用することになる。しかし、チャネルの時変動により最適な送受信ウエイトは変化するため、期待する回線利得は得られないことがあり、通信が不安定化してしまうという問題がある。
このように、短周期の平均化と長周期の平均化とを組合わせることにより、超低SNR環境であっても所望の精度のチャネル情報を取得可能とすると共に、周波数オフセットによる影響や時変動によるチャネル情報(および、チャネル情報をもとに算出される送信ウエイト及び受信ウエイト)の不安定化を低減させることができる。基地局装置は、受信ウエイトを用いて、複数のアンテナ素子を介して端末装置から受信した複数の信号を合成する際の位相の同期精度を高めることができると共に、端末装置は、基地局装置において送信ウエイトを用いて複数のアンテナ素子から送信された信号が伝搬路上で合成される際に、高い精度で位相が揃えられた信号として受信することができる。その結果、無線通信システムにおける通信品質を向上させることができる。
本発明の本質は、基地局装置が、基地局装置に備えられている多数の無線モジュールと、端末装置との間のチャネルの特性を示すチャネル情報の推定値を長時間に渡って測定し、チャネル情報の推定値の平均値に基づいて送信ウエイト及び受信ウエイトを算出することにある。これにより、基地局装置は、多数の無線モジュールと端末装置との間のチャネルに生じる時変動の影響を低減しながら、コヒーレント伝送による回線利得の向上を図ることができる。
本発明では、各無線モジュールと端末装置との見通しが必ずしも確保できている必要はないが、無線モジュールと端末装置とは比較的高所に固定されていることが推奨される。この場合、各無線モジュールと端末装置との間の伝送路(チャネル)は、「直接的な見通し波」と、固定的な巨大な建築物等による「安定した反射波」と、地上(低所)付近の車や人などの「移動を伴う物体からの多重反射波」とが混在したものとみなすことができる。この場合、「直接的な見通し波」と「安定した反射波」とは、「移動を伴う物体からの多重反射波」に比べ、受信レベルが相対的に高く、更に時変動が小さい。一方、「移動を伴う物体からの多重反射波」は、「直接的な見通し波」と「安定した反射波」とに比べ、受信レベルが低く、時変動が大きく激しい。
また、各無線モジュールのアンテナ素子とアンテナ素子の間隔が、通信の搬送波周波数の波長よりも小さくなると、アンテナ素子間の相互結合により想定している信号の同位相合成が乱される可能性があるが、1波長以上の間隔がアンテナ素子相互に確保されていれば、この問題は回避できる。
これまでの説明においては、各無線モジュールが物理的に制御局などと異なる場所に離散的に配置されていたために、アンテナ素子とほぼ一体型の無線モジュールを意図して「無線モジュール」という用語で様々な説明を行っていたが、本発明においては制御局と多数の無線モジュールが1箇所に集約され、一般的にはひとつの基地局装置という形態が自然であるため、その実現の構成によっては「無線モジュール」という表現が適切でない場合がありうる。
図1は、本発明に係る無線通信システムが具備する基地局装置の設置例を示す図である。同図において、符号11は基地局装置が設置されている建築物を示し、符号12−1〜12−2は端末装置を示し、符号13−1〜13−4は基地局装置が備えているアンテナ素子を示し、符号14−1〜14−3は地上の移動体を示し、符号15−1〜15−2は大型の建築物(当然、静止状態)を示している。
多数の微弱かつランダムな波を合成すると、その結果得られる信号は、安定的な入射波に対して相対的に信号強度が小さい。したがって、「安定的な入射波」に「ランダムな多重反射波」を合成して得られる「時変動する入射波」は、「安定的な入射波」の周りに微小な誤差が加わった信号と見ることができる。
図2は、本発明に係る基地局装置が行う信号合成の動作例を示す図である。ここでは、一例として、図1における端末装置12−1から送信された信号を、基地局装置のアンテナ素子13−1〜13−4にて受信した際に、適切な受信ウエイトを用いて合成する場合を示している。
基地局装置のアンテナ素子13−1〜13−4では、「時変動する入射波」を受信している。これらを合成する際に用いる受信ウエイトは、「安定的な入射波」を基準にして、各アンテナ素子での信号が同位相合成されるように定められている。図2において点線で示した信号は、「安定的な入射波」に対して受信ウエイトを乗算し、各アンテナ素子13−1〜13−4で位相が同位相に揃えられた信号である。
このように本発明のポイントは、リアルタイムのチャネル情報を用いて厳密な同位相合成を目指す代わりに、厳密な送受信ウエイトからは若干の誤差を伴う送受信ウエイトであったとしてもある程度の誤差以内に抑えられる送受信ウエイトを用い、多数のアンテナ素子を用いて合成することで統計的な効果により安定的かつ高い回線利得を引き出す準最適な同位相合成を目指す点にある。
本発明に係る基地局装置は、「安定的な入射波」に基づく統計的な信号の同位相合成を行うための送受信ウエイトを用いることが特徴であるが、この「安定的な入射波」に対応したチャネル推定の概要について、ここで説明しておく。
先ほども説明した通り、基地局装置は、移動体において反射しランダムに変動する多重反射波の影響を取り除くことで「安定的な入射波」に関する成分を抽出する。基地局装置は、多数のアンテナ素子による統計的な効果を得る前段として、各アンテナ素子においても「安定的な入射波」に関する成分を抽出するために、基地局装置の各アンテナ素子と端末装置のアンテナ素子との間の個々のチャネルのチャネル推定を長時間に渡り実施し、その結果を平均化することで「安定的な入射波」に対応したチャネル情報を取得する。
更に、実際の誤差の分布は、チャネル推定誤差の範囲18の円内に一様に分布するのではなく、平均値である長時間平均のチャネル推定値16の近傍ほど分布の密度が高いと推定される。したがって、長時間平均のチャネル推定値16に近づけるためには、移動体の配置の相関が少なくなる離散的な時間で多数回行ったチャネル推定により得られたチャネル情報を平均化することが好ましい。
送信と受信との間が非同期で周波数誤差が伴う場合、仮に空間上のチャネル情報に時変動がない場合でも、異なる時刻に測定するチャネル情報は、その時間差と周波数誤差とに依存する形で複素位相成分が変動する。
このとき、アンテナ素子#1の複素位相φ1を用いて、全てのアンテナ素子に複素位相−φ1のオフセットを加えると、オフセットによる補正後のアンテナ素子#kのチャネル情報としてAk・Exp{(φk−φ1)j}が得られる。空間上のチャネル情報が不変であるならば、この補正後のチャネル情報は基地局装置と端末装置とのクロック信号及び局部発振信号の周波数誤差の影響(すなわち複素位相の初期位相の不確定性の影響)を受けない。以降の説明では、この初期位相の不確定性除去のための補正後のチャネル情報を「(チャネル情報の)相対成分」と呼ぶことにする。
図4は、本発明におけるトレーニング信号の例を示す図である。同図において符号1−1〜1−3は一般的なOFDMシンボルを示し、符号2−1〜2−3はガードインターバルを含まない有効な信号領域を示し、符号3−1〜3−3は本発明におけるトレーニング信号を示し、符号4−1〜4−3は信号の末尾領域を示し、符号5−1〜5−3はガードインターバルを示し、符号6−1〜6−3は実際のチャネル推定に用いる信号周期を示している。なお、OFDM信号は、複数のサブキャリア成分を含むが、本図ではあるサブキャリアひとつを抜き出して正弦波として図示している。
なお、このトレーニング信号を用いたチャネル平均化においては、複数の連続する区間6−1、区間6−2、区間6−3の比較的短時間平均を行うことになるが、この「比較的短時間」の定量的な意味は、基地局装置と端末装置との間のクロック信号及び局部発振信号の周波数誤差に依存する影響(厳密には、下記に示す周波数誤差補償処理後に残る、残留周波数誤差の影響)を無視できる範囲での平均化を意味する。
例えば、中心周波数が2.4[GHz]の局部発振信号において、ローカル発振器の周波数誤差が1p.p.m.である場合、局部発振信号の周波数誤差の最大値は2.4[kHz]である。つまり、416μ秒で位相が2π回転してしまう誤差である。このとき、平均化を行う時間長の中で周波数誤差に伴う複素位相の回転が1周期(2π)の1/10以内に抑えたいと考えるならば、平均化に使える時間長は約40μ秒となる。
しかし、広域をサービスエリアにするWiMAXの例を見れば、長遅延波の影響を排除するための1シンボル周期は約100μ秒に設定されており、平均化処理を行う時間としては十分ではない。これらの問題を解決するために、ここでは周波数誤差を補償するための以下の補正処理を行う。
また、サンプリング周期をΔtと表し、1シンボルの周期をTとすると、1周期のデータ数はN=T/Δtで与えられる。このとき、時刻t=m’・Δtとし、更に、mとMとをm=mod(m’,N)、M=Int(m’/N)とすれば、サンプリングデータS(t)を離散的な時刻により定められる数列{S(M) m}と表記できる。ここで、関数「mod」は、m’をNで除算した際の余りを求める関数である。また、関数「Int」は、m’をNで除算した際の商(整数部)を求める関数である。
更に、サンプリングデータS(t)を理想的に周波数補償した数列を{S(M) m・Exp(−2πjΔf・Δt・[M×N+m]}と表記できる。ここで、全体としてM0シンボル周期のサンプリングを行なうものとする。
以上は基地局装置と端末装置との間の局部発振信号の周波数誤差に伴う補正の説明である。一般には上述の周波数誤差の補償において、クロック信号の周波数誤差も合わせて補償されるため、これ以上の補償処理は必要ないが、クロック信号の周波数誤差についても簡単に説明を加えておく。
WiMAX(登録商標)の例では、チャネル情報の平均化を行う測定時間を5m秒とした場合にこの時間長はシンボル周期の50倍の時間長となるので、十分に加算・平均化により信号のSNRを改善することが可能になり、取得した情報を用いて更に離散時間で平均化することにより、移動体からのランダムな多重反射波の影響も除去できる。
実際の無線通信装置では、送信側の信号処理において、送信の直前にハイパワーアンプにて信号増幅を行うことが多い。この場合、ハイパワーアンプの個体差により増幅率に誤差があると共に、ハイパワーアンプ内で複素位相がハイパワーアンプごとに異なる値で回転する場合がある。
同様に、受信側の信号処理において、受信の直後にローノイズアンプにて信号増幅を行うことが多い。この場合、ローノイズアンプの個体差により増幅率に誤差があると共に、ローノイズアンプ内で複素位相がローノイズアンプごとに異なる値で回転する場合がある。
ここでは、基地局装置においてチャネル情報に影響を与える機能のみを抽出したため、図示した以外の構成は省略したが、無線モジュール25−1〜25−3にはその他の機能も含まれる。また、信号がハイパワーアンプ21−1〜21−3それぞれを通過する際に、振幅及び複素位相がZHPA#1(fk)、ZHPA#2(fk)、ZHPA#3(fk)変化するものとする。また、信号がローノイズアンプ22−1〜22−3それぞれを通過する際に、振幅及び複素位相がZLNA#1(fk)、ZLNA#2(fk)、ZLNA#3(fk)変化するものとする。ここでは一般的な条件として周波数依存性があるものとし、第k周波数成分に対する周波数「(fk)」の表記を行っている。
同様に、無線モジュール25−2から無線モジュール25−3に信号を送信する際のチャネル情報は、空間上のh2(fk)にハイパワーアンプ21−2の通過に伴う変化を示す係数ZHPA#2(fk)、及びローノイズアンプ22−3の通過に伴う変化を示す係数ZLNA#3(fk)が乗算された値として観測される。
同様に、無線モジュール25−3から送信された信号を無線モジュール25−2にて受信する場合、チャネル情報は空間上のh2(fk)にハイパワーアンプ21−3の通過に伴う変化を示す係数ZHPA#3(fk)と、ローノイズアンプ22−2の通過に伴う変化を示す係数ZLNA#2(fk)とが乗算された値として観測される。
しかし、基地局装置はダウンリンクにおけるチャネル情報を直接求めることができない。そこで、アップリンクのチャネル情報から換算することで、ダウンリンクのチャネル情報を取得する。この換算のためには、各アンテナ素子24−1〜24−3に接続されているローノイズアンプ22−1〜22−3及びハイパワーアンプ21−1〜21−3の個体差の影響をキャンセルする必要がある。
図6(A)は、無線モジュール25−3と無線モジュール25−1とを同軸ケーブルで接続した構成を示している。図6(B)は、無線モジュール25−3と無線モジュール25−2とを同軸ケーブルで接続した構成を示している。図5が実際の空間上を信号が伝搬した状態を示しているのに対して、図6がアンテナ素子を介さずに同軸ケーブル上を信号が伝搬した状態を示している。
このとき、無線モジュール25−1から無線モジュール25−3へのチャネル情報は、ZHPA#1(fk)・h0(fk)・ZLNA#3(fk)で表される。無線モジュール25−2から無線モジュール25−3へのチャネル情報は、ZHPA#2(fk)・h0(fk)・ZLNA#3(fk)で表される。
また、無線モジュール25−3から無線モジュール25−1へのチャネル情報は、ZHPA#3(fk)・h0(fk)・ZLNA#1(fk)で表され、無線モジュール25−3から無線モジュール25−2へのチャネル情報は、ZHPA#3(fk)・h0(fk)・ZLNA#2(fk)で表される。
このように、式(5)及び式(6)に相当するキャリブレーション係数を基地局装置の製造段階において取得しておき、これらを基地局装置内に記憶しておくことにより、これらのキャリブレーショ係数を用いてアップリンクのチャネル情報からダウンリンクのチャネル情報を算出することができる。
以上の動作原理のもと、具体的な実施形態について以下に説明を行う。
本発明に係る第1の実施形態では、複数のアンテナ素子を備える基地局装置と、基地局装置と通信をする少なくとも1つの端末装置を具備する無線通信システムを例にして説明を行う。以下、基地局装置における受信(アップリンク)に係る構成と、送信(ダウンリンク)に係る構成とに分けて説明する。
送受信ウエイト算出部120は、チャネル情報短時間平均回路121、相対成分取得回路122、チャネル情報長時間平均回路123、受信ウエイト算出回路124、受信ウエイト記憶回路125、キャリブレーション回路126、送信ウエイト算出回路127、送信ウエイト記憶回路128、及びキャリブレーション係数記憶回路129を有している。
また、絶対的な時刻の同期の他にも、基地局装置100と端末装置との間の大まかな距離が分かっていれば、その距離に相当する伝搬遅延を端末装置に事前に設定しておき、端末装置は、基地局装置100のタイミングの基準となる信号の受信時刻に対し、所定のオフセットとして伝搬遅延を減算した時間にアップリンクの信号を送信開始するようにしてもよい。
このように、GPSを用いた絶対時刻の同期ないしはタイム・アライメント制御等のいずれかの手段で把握したタイミングで基地局装置100は受信処理を開始し、シンボルタイミングも既知として処理を行うことが可能である。これらのタイミング制御、アクセス制御、TDDスイッチ102−1〜102−Kの切替え、受信ウエイトを読み出すときにおける送信元である端末装置情報の提供など、これらを合わせて全て通信制御回路109が制御・管理を行う。
受信ウエイト算出回路124は、チャネル情報長時間平均回路123が出力したチャネル情報に基づいて、受信ウエイトを算出し、算出した受信ウエイトを受信ウエイト記憶回路125に出力する。受信ウエイト記憶回路125は、受信ウエイト算出回路124が算出した受信ウエイトを記憶する。
送信信号処理回路141は、基地局装置100においてOFDM(A)変調方式が用いられる場合、サブキャリアごとの信号の変調処理を行う。送信信号処理回路141は、送信ウエイト記憶回路128に記憶されている送信ウエイトのうち、宛先の端末装置に対応した送信ウエイトを読み出し、変調処理を行ったサブキャリアごとの信号に対し、読み出した送信ウエイトをサブキャリアごとに乗算する。
また、送信信号処理回路141は、基地局装置100においてSC−FDEが用いられる場合、シングルキャリアの変調処理が施された信号を、送信信号のブロック単位でFFTにより各周波数成分に分離する。送信信号処理回路141は、送信ウエイト記憶回路128に記憶されている送信ウエイトのうち、宛先の端末装置に対応した送信ウエイトを読み出し、周波数成分に分離した信号に対し、読み出した送信ウエイトを周波数成分ごとに乗算する。
また、送信信号処理回路141は、OFDM(A)変調方式及びSC−FDEのいずれが用いられる場合においても、送信ウエイトを乗算したアンテナ素子毎の各周波数成分の信号にIFFT処理を施し、周波数軸上から時間軸上の信号に変換し、更にガードインターバルを付与し、送信すべきデジタル・ベースバンド信号を生成する。なお、デジタル・ベースバンド信号は、アンテナ素子101−1〜101−Kそれぞれに対応し、個別に信号処理される。
ローカル発振器143は、アップコンバートに用いられる局部発振信号であって所定の周波数を有する局部発振信号をミキサ144−1〜144−Kに出力する。
ミキサ144−1〜144−Kは、D/A変換器142−1〜142−Kから入力されるアナログ信号に対し、ローカル発振器143から入力される局部発振信号を乗算して無線周波数にアップコンバートした信号をフィルタ145−1〜145−Kに出力する。なお、ミキサ144−1〜144−Kに入力される局部発振信号は同一の信号であり、周波数及び位相がそろった局部発振信号が各ミキサ144−1〜144−Kに入力される。
ハイパワーアンプ146−1〜146−Kは、フィルタ145−1〜145−Kから入力される信号を増幅し、TDDスイッチ102−1〜102−Kを介してアンテナ素子101−1〜101−Kより送信する。
通信制御回路109は、更に、送信タイミングや、宛先の端末装置の管理、TDDスイッチ102−1〜102−Kの切替えの制御を行う。
以下、図9から図13を用いて、本実施形態の基地局装置100におけるチャネル推定から送信ウエイト及び受信ウエイトの算出までの処理を説明する。これらの一連処理は、端末装置と通信を開始する前に行うことが基本であるが、一旦、これらの処理を行った上で、逐次学習を行いながらチャネル情報の精度の向上、すなわち送信ウエイト及び受信ウエイトの精度の向上を図ることも可能である。
また、基地局装置100は、ブロードバンドサービスの中で利用されることを想定し、ある程度の帯域幅で通信を行う場合を対象とした。このため、OFDM変調方式(OFDMAを含む)や、SC−FDE等の通信方式が用いられることを想定し、ブロック単位で各周波数成分を分離して信号処理をする説明を行っている。
このようにして求めたアップリンクのチャネル情報に対し、キャリブレーション係数を乗算してダウンリンクのチャネル情報を取得し(図12)、アップリンク及びダウンリンクのチャネル情報に基づいて送信ウエイト及び受信ウエイトを算出する(図13)。
以下、各処理を説明する。
基地局装置100において、チャネル情報短時間平均回路121は、端末装置から短時間平均化用のチャネル推定のトレーニング信号の受信が開始されると(ステップS101)、サンプリングのカウンタとしてのm及びMをゼロにリセットする(ステップS102)。ここで、カウンタとは、式(1)におけるm、Mのことであり、第Mシンボルの第mサンプルの意味である。チャネル情報短時間平均回路121は、A/D変換器107−1〜107−Kから入力されるトレーニング信号に対してサンプリングを行い、サンプリングした信号をS(M) mとする(ステップS103)。
一方、カウンタmがデータ数Nと一致した場合(ステップS105:Yes)、チャネル情報短時間平均回路121は、1シンボル分のサンプリングが完了したとみなし、次のシンボルをサンプリングするために、カウンタmに0を代入し、カウンタMに「1」を加算する(ステップS106)。
一方、一続きのサンプリングが完了した場合(ステップS107:Yes)、チャネル情報短時間平均回路121は、式(3)を用いて^S(M,M’)を算出し(ステップS108)、式(4)の解ないしは式(2)を最大にする周波数誤差Δfを算出する(ステップS109)。
チャネル情報短時間平均回路121は、短時間平均されたサンプリングデータ〜Smに対してFFTを行い、各周波数成分の情報を算出し(ステップS111)、短時間平均化の処理を終了する(ステップS112)。
なお、周波数誤差Δfが無視可能なほどに小さいことが事前に分かっている場合(設計上、この様な設定となっている場合)、ないしは短時間平均化を行う時間(T×M0)が十分に短く設定されている場合には、周波数誤差Δfの補正に相当する処理S108およびS109を省略し、Δf=0として処理S110を直接実施することも可能である。
チャネル情報短時間平均回路121は、アンテナ素子101−1〜101−Kごとに、上述の短時間平均化の処理を行い、各アンテナ素子101−1〜101−Kで受信した信号に含まれる異なる周期を有する各周波数成分のトレーニング信号をFFTにて周波数成分毎に分離し、分離したトレーニング信号から各アンテナ素子101−1〜101−Kと端末装置との間のアップリンクにおける各周波数成分のチャネル情報を取得する。
相対成分取得回路122は、算出したオフセット値e−jφを各アンテナ素子101−1〜101−Kに対応する第k周波数成分^h(k) 1、…、^h(k) Kに乗算し(ステップS124−1〜S124−K)、相対的な複素位相関係を示すチャネル情報〜h(k) 1,…〜h(k) Kを求め、処理を終了する(ステップS125−1〜S125−K)。
上述のように、相対成分取得回路122は、第1のアンテナ素子101−1のチャネル情報を基準として、各アンテナ素子101−1〜101−Kの相対的なチャネル情報〜h(k) 1,…〜h(k) Kを算出する。なお、相対成分取得回路122は、全ての周波数成分ごとに上記のステップS121−1〜ステップS125−Kまでの処理を行い、全ての周波数成分における短時間平均のチャネル情報の相対成分〜h(k) 1,…,〜h(k) Kを算出する。
チャネル情報長時間平均回路123は、1回目からQ回目の短時間平均化処理(相対成分取得を含む)が完了すると(ステップS131−1〜131−Q)、相対成分取得回路122から短時間平均のチャネル情報〜h(k) 1 [q],…〜h(k) K [q](q=1,…,Q)が入力される(ステップS132−1〜S132−Q)。ここで、短時間平均のチャネル情報の相対成分〜h(k) 1 [q]は、q回目に算出された第1のアンテナ素子101−1の第k周波数成分に対するチャネル情報である。なお、長時間平均化処理の対象になる回数Qは、無線通信システムを運用する環境などに基づいて予め定められる。
チャネル情報長時間平均回路123は、次式(9)を用いて、長時間平均のチャネル情報h(k) i(i=1,…,K)を算出する(ステップS133)。
以上の処理により、アップリンクのチャネル情報が直接的に取得できる。また、本実施形態では、相対成分取得処理(図10)を行っているので、1回目からQ回目までの各短時間平均処理における位相のずれの影響を受けることなく長時間平均のチャネル情報を算出することができる。
キャリブレーション回路126は、入力されたチャネル情報h(k) iと、読み出したキャリブレーション係数C(k) iとを乗算し(ステップS144)、乗算結果をダウンリンクのチャネル情報として、処理を終了する(ステップS145)。
キャリブレーション回路126は、各アンテナ素子101−1〜101−Kそれぞれに対して、周波数成分ごとに上述のステップS142からステップS144の処理を行う。
送信ウエイト算出回路127は、入力されたチャネル情報h(k) iの複素共役(h(k) i)*を算出し、算出した複素共役(h(k) i)*をチャネル情報h(k) iの絶対値で除算した値を送信ウエイトw(k) iにする(ステップS153)。すなわち、送信ウエイト算出回路127は、次式(10)を用いて、送信ウエイトw(k) iを算出する。
送信ウエイト算出回路127は、各アンテナ素子101−1〜101−Kそれぞれに対して、周波数成分ごとに上述のステップS152からステップS153の処理を行う。
なお、受信ウエイト算出回路124は、送信ウエイト算出回路127と同様の演算により、チャネル情報長時間平均回路123から入力されるチャネル情報h(k) iから受信ウエイトを算出し、算出した受信ウエイトを受信ウエイト記憶回路125に記憶させる。
なお、一般に複数のアンテナで受信した場合の信号合成のためのウエイトとしては、フェージング等の影響によりアンテナ毎の信号の受信レベルに大きな差が見られる場合があり、その場合には受信レベルの低いアンテナ素子の受信信号の雑音の影響を抑制するために、以下に示す最大比合成のウエイトを用いることが多い。したがって、本実施形態では式(10)の代わりに、以下に示す式(11)を用いることも可能である。
なお、送受信ウエイトは、各アンテナ毎のウエイトの値を各要素の成分として構成されるベクトル(ウエイトベクトル)の示す方向が実効的な意味を持つ。このため、あるウエイトベクトルに所定の係数を乗算したベクトルは方向的には同一であるため、各アンテナ素子毎に一定の係数が乗算されたウエイトベクトルは乗算される係数に依存せずにすべて等価である。つまり、式(10)や式(11)で与えられる各ベクトルの成分全体に共通の係数が乗算されたウエイトは、全て本発明におけるウエイトと等価なものである。
次に、基地局装置100における信号の送受信処理について図を参照して説明する。
図14は、本実施形態における基地局装置100の送信処理を示すフローチャートである。先にも触れたが、ここではOFDM(OFDMA)変調方式ないしはSC−FDEを用いている場合について説明する。
基地局装置100において、送信処理が開始されると(ステップS161)、送信信号処理回路141は、各周波数成分の送信信号の生成を行う(ステップS162)。
無線パケットが複数シンボルまたは複数ブロックにわたる場合には、OFDMシンボルやSC−FDEのブロック単位での処理がシンボル数ないしブロック数分だけ引き続き実施されることで無線パケット全体の送信信号処理が実施される。
送信信号処理回路141は、各アンテナ素子101−1〜101−Kで送信する送信信号ごとに、ステップS162において生成した各周波数成分に分離した送信信号と、送信に用いるアンテナ素子に対応した各周波数成分の送信ウエイトとを乗算する(ステップS164−1〜164−K)。
ここで、所定の受信信号処理とは、ローノイズアンプ103−1〜103−Kによる受信信号の増幅と、ミキサ105−1〜105−Kによる無線周波数からベースバンド周波数への周波数変換と、フィルタ106−1〜106−Kによる帯域外信号の除去と、A/D変換器107−1〜107−Kによるサンプリング、受信信号処理回路108によるシンボルタイミングの推定とシンボルごとのサンプリングデータの区分け、ガードインターバルの除去等を含む。
受信信号処理回路108は、送信元の端末装置に対応したアンテナ素子101−1〜101−Kそれぞれの各周波数成分の受信ウエイトを受信ウエイト記憶回路125から読み出し(ステップS173−1〜173−K)、読み出した受信ウエイトと、周波数成分ごとに分離した受信信号とを乗算する(ステップS174−1〜S174−K)。
ここで、ステップS176の受信信号処理とは、OFDM(A)変調方式が用いられている場合、サブキャリアごとの復調処理を意味し、SC−FDEが用いられている場合、各周波数成分の受信信号に対し周波数軸上での信号等化処理を施し、その信号をIFFT処理で合成した信号に対するシングルキャリアの復調処理を意味する。更には、必要に応じて誤り訂正の復号処理などを実施してもよい。当然ながら、MACレイヤ等の信号処理も行われるが、公知の技術による処理と変わらないためここでは省略する。
第1の実施形態における基地局装置100では、アップリンクにおけるチャネル情報を取得する際に図9に示した短時間平均処理を実施する構成を説明した。しかし、これは(課題1)への対応を前提とするものであった。例えば、回線設計的にはチャネル推定は実施可能なレベルであるが、より高い伝送レートでの通信のために、回線利得を更に得るための手段として基地局装置100を用いる場合には、必ずしも短時間平均を行う必要はない。この場合、アップリンクのチャネル情報を取得する短時間平均化処理(図9)は、単に、チャネル推定処理に置き換えることができる。
チャネル推定回路221は、公知の技術を用いて、A/D変換器107−1〜107−Kから入力される信号に基づいてアップリンクのチャネル情報を取得する。
なお、基地局装置200におけるダウンリンクに係る構成(送信側)は、第1の実施形態の基地局装置100と同じ構成であるので、その説明を省略する。
基地局装置200において、チャネル推定回路221は、アンテナ素子101−1〜101−Kを介して受信された受信信号が入力されると(ステップS201)、サンプリングのカウンタとしてのmにゼロを代入してリセットする(ステップS202)。ここでのカウンタとは、OFDMシンボルの第mサンプルの意味である。
チャネル推定回路221は、入力された信号に対してサンプリングを行い、この信号をサンプリングデータSmとし(ステップS203)、カウンタmに「1」を加算し(ステップS204)、カウンタmとサンプル数Nとが一致しているか否かを判定する(ステップS205)。ここで、Nは1シンボルのサンプル数であり、予め定められた値である。
また、複数シンボルのトレーニング信号を利用し、図17の信号処理を複数回実施し、実施後の各周波数成分ごとのチャネル推定結果を平均化し、チャネル推定精度を高めても構わない。同様に、複数シンボルのトレーニング信号に対し、図9のステップS108およびステップS109を省略した処理と同様に、複数シンボルでサンプリングデータを時間軸上で平均化したのちにFFTにより各周波数成分のチャネル情報を取得するステップS206を実施する構成としても構わない。
第1の実施形態における基地局装置100では、アップリンクのチャネル情報からダウンリンクのチャネル情報を算出する際に、式(5)及び式(6)に示したキャリブレーション係数を用いる構成を説明した。しかし、先にも説明したが、ローノイズアンプ103−1〜103−K、フィルタ106−1〜106−K、ハイパワーアンプ146−1〜146−K、フィルタ145−1〜145−Kなどにおける周波数成分ごとの複素位相の回転量のアップリンクとダウンリンクの間の相対値(複素位相の角度差)が全てのアンテナ素子に対応する回路で一定値になるようにアナログ的な信号処理で調整を行ってある場合(例えば、アップリンクとダウンリンクの複素位相が一定値となるように調整していても良い)、キャリブレーション係数を用いた処理を行なう必要はない。この場合、ダウンリンクのチャネル情報を取得する処理(図12)は、省略することができ、上りリンクのチャネル情報とダウンリンクのチャネル情報とが等価になるので、送信ウエイトと受信ウエイトとは共通の値になる。
また、送受信ウエイト算出部320は、基地局装置100が備えている送信ウエイト算出回路127及び送信ウエイト記憶回路128と、受信ウエイト算出回路124及び受信ウエイト記憶回路125とを送受信で共用化した送受信ウエイト算出回路324及び送受信ウエイト記憶回路325を備えている。
なお、基地局装置300におけるダウンリンクに係る構成(送信側)は、送信信号処理回路141が送受信ウエイト記憶回路325から送受信ウエイトを読み出す点が基地局装置100と異なり、他の構成は同じであるので説明を省略する。
また、SC−FDEに関しても様々な運用上のバリエーションが存在するが、送信側で送信ウエイトを乗算し、各アンテナ素子から送信された信号が空間上で合成された後の受信信号処理、及び受信側で受信ウエイトを乗算し、各アンテナ素子の信号が加算合成された後の受信信号処理のいずれにおいても、従来のSC−FDEと何ら変更点はないために、全てのバリエーションのSC−FDEに適用可能である。
2−1、2−2、2−3 有効な信号領域
3−1、3−2、3−3 トレーニング信号
4−1、4−2、4−3 末尾領域
5−1、5−2、5−3 ガードインターバル
6−1、6−26−3 信号周期
11、15−1、15−2、15−3 建築物
12−1、12−2 端末装置
13−1、13−2、13−3、13−4 アンテナ素子
14−1、14−2、14−3 地上の移動体
16 長時間平均のチャネル推定値に対応するベクトル
17−1、17−2、17−3、17−4 短時間平均のチャネル情報に対応するベクトル
18 チャネル推定誤差の範囲
21−1、21−2、21−3 ハイパワーアンプ(HPA)
22−1、22−2、22−3 ローノイズアンプ(LNA)
23−1、23−2、23−3 時分割スイッチ(TDD−SW)
24−1、24−2、24−3 アンテナ素子
25−1、25−2、25−3 無線モジュール
26−1、26−2、26−3 アンテナ端子
27 同軸ケーブル
92 制御局装置
96−1、96−2、96−N2 光ファイバ
97、97−1、97−2、97−N2 無線モジュール
100、200、300 基地局装置
101、101−1、101−2、101−K、973−1、973−2、973−N2、961−1、961−2、961−3、961−4、961−5 アンテナ素子
102−1、102−2、102−K TDDスイッチ
103−1、103−2、103−K、974−1、974−2、974−N2 ローノイズアンプ(LNA)
104、143、923、933 ローカル発振器
105−1、105−2、105−K、144−1、144−2、144−K、924−1、924−2、924−N2、932−1、932−2、932−N2 ミキサ
106−1、106−2、106−K、145−1、145−2、145−K、925−1、925−2、925−N2、934−1、934−2、934−N2 フィルタ
107−1、107−2、107−K、935−1、935−2、935−N2 A/D変換器
108、938 受信信号処理回路(受信信号処理部)
109 通信制御回路
120、220、320 送受信ウエイト算出部
121 チャネル情報短時間平均回路(チャネル情報取得部)
122 相対成分取得回路(相対成分取得部)
123 チャネル情報長時間平均回路(チャネル情報平均部)
124、937 受信ウエイト算出回路(受信ウエイト算出部)
125 受信ウエイト記憶回路
126 キャリブレーション回路(ダウンリンクチャネル情報算出部)
127、928 送信ウエイト算出回路(送信ウエイト算出部)
128、929 送信ウエイト記憶回路
129 キャリブレーション係数記憶回路(キャリブレーション係数記憶部)
141、921 送信信号処理回路(送信信号処理部)
142−1、142−2、142−K、922−1、922−2、922−N2 D/A変換器
146−1、146−2、146−K、972−1、972−2、972−N2 ハイパワーアンプ(HPA)
221 チャネル推定回路
324 送受信ウエイト算出回路
325 送受信ウエイト記憶回路
901 送信局
902、902−1、902−N1 中継局
903 受信局
911−1、911−2、911−3 セル
912−1、912−2、912−3 リモート基地局
913−1、913−2、913−3、913−4、913−5、913−6 端末装置
914 制御局
915 光ファイバ
926−1、926−2、926−N2、975−1、975−2、975−N2 E/O変換器
927 チャネル情報取得回路
936 チャネル情報推定回路
971−1、971−2、971−N2、931−1、931−2、931−N2 O/E変換器
Claims (11)
- 複数のアンテナ素子を備えた基地局装置と、該基地局装置と無線通信を行う端末装置を具備する無線通信システムにおける基地局装置であって、
前記アンテナ素子ごとに、前記端末装置から受信したトレーニング信号に基づいてアンテナ素子と前記端末装置との間のアップリンクにおける各周波数成分のチャネル情報を取得するチャネル情報取得部と、
複数の前記アンテナ素子のうち一つのアンテナ素子に対応する各周波数成分のチャネル情報の複素位相を基準として、他のアンテナ素子それぞれに対応する各周波数成分のチャネル情報の複素位相から前記基準とした各周波数成分のチャネル情報の複素位相を補正した相対的なチャネル情報を算出する相対成分取得部と、
前記アンテナ素子それぞれに対する各周波数成分ごとに、前記相対成分取得部が複数回に亘って算出した前記アンテナ素子それぞれに対する各周波数成分の相対的なチャネル情報の平均値を算出し、算出した平均値を平均的なチャネル情報として出力するチャネル情報平均部と、
前記アンテナ素子それぞれに対する各周波数成分ごとに、前記平均的なチャネル情報から受信ウエイトを算出する受信ウエイト算出部と、
前記アンテナ素子ごとに、該アンテナ素子を介して前記端末装置から受信した受信信号を周波数成分ごとの信号に分離し、分離した信号それぞれに該信号に対応するアンテナ素子及び周波数成分の組合せに対応する前記受信ウエイトを乗算し、前記受信ウエイトが乗算された信号を全てのアンテナ素子に亘り周波数成分ごとに加算合成して受信処理を行う受信信号処理部と
を備えることを特徴とする基地局装置。 - 請求項1に記載の基地局装置において、
前記端末装置は、複数の周期に亘るトレーニング信号を送信し、
前記チャネル情報取得部は、前記アンテナ素子ごとに、前記トレーニング信号を周期ごとに分離して合成し、合成したトレーニング信号に基づいて前記アップリンクにおける各周波数成分のチャネル情報を取得する
ことを特徴とする基地局装置。 - 請求項1又は請求項2のいずれかに記載の基地局装置において、
前記アンテナ素子ごとに、該アンテナ素子と前記端末装置との間のアップリンクにおけるチャネル情報からダウンリンクにおけるチャネル情報を算出するキャリブレーション係数を各周波数成分ごとに記憶しているキャリブレーション係数記憶部と、
前記チャネル情報平均部が算出した前記アンテナ素子それぞれに対する各周波数成分の平均的なチャネル情報ごとに、対応する前記アンテナ素子及び周波数成分の組合せに対応するキャリブレーション係数を乗じてダウンリンクにおけるチャネル情報を算出するダウンリンクチャネル情報算出部と、
前記アンテナ素子それぞれに対する各周波数成分ごとに、前記ダウンリンクにおけるチャネル情報から送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出部と、
前記端末装置に送信する送信信号を周波数成分ごとの信号に分離し、分離した信号ごとに、該信号の周波数成分と該信号を送信する前記アンテナ素子との組合せに対応する前記送信ウエイトを乗じ、送信ウエイトを乗じた周波数成分ごとの信号を時間軸上の信号に変換して前記アンテナ素子それぞれから送信する送信信号処理部と
を更に備えることを特徴とする基地局装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の基地局装置において、
前記受信信号処理部が前記受信信号を周波数成分ごとの信号に分離するFFT処理における、ポイント数をNとし、サンプリング周期をΔtとし、前記受信信号に含まれるシンボルの周期をT(=N×Δt)とし、自装置においてダウンコンバートに用いる第1の局部発振信号と、前記端末装置においてアップコンバートに用いる第2の局部発振信号との周波数誤差をΔfとした場合、
前記チャネル情報取得部は、
前記受信信号から複数のシンボル周期だけ連続したトレーニング信号を抽出し、
前記トレーニング信号に対して前記周期TのM0倍(M0は2以上の整数)の期間に亘ってサンプリングデータを取得し、
前記サンプリングデータにおいて第m’番目のサンプリングデータのm’をポイント数Nで除算した際の剰余mと商Mとを用いてS(M) mと表記した場合に、前記サンプリングデータそれぞれに係数Exp(−2πjΔf・Δt・[M×N+m])を乗算した値をmの示す値ごとに加算平均化した値である式(A1)で表される値と、該値の複素共役との積の和である式(A2)で表される値を算出し、式(A2)を最大にする周波数誤差Δfを算出し、
ことを特徴とする基地局装置。 - 請求項3に記載の基地局装置において、
各周波数成分において、アップリンクにおける各チャネル情報と、ダウンリンクにおける各チャネル情報とにおける複素位相の回転量の相対的な関係が前記複数のアンテナ素子間で一定である場合、
前記送信信号処理部は、前記キャリブレーション係数がすべてのアンテナ素子及び周波数成分で1とみなして処理を行う
ことを特徴とする基地局装置。 - 複数のアンテナ素子を備えた基地局装置と、該基地局装置と無線通信を行う端末装置を具備する無線通信システムにおける無線通信方法であって、
前記アンテナ素子ごとに、前記端末装置から受信したトレーニング信号に基づいてアンテナ素子と前記端末装置との間のアップリンクにおける各周波数成分のチャネル情報を取得するチャネル情報取得ステップと、
複数の前記アンテナ素子のうち一つのアンテナ素子に対応する各周波数成分のチャネル情報の複素位相を基準として、他のアンテナ素子それぞれに対応する各周波数成分のチャネル情報の複素位相から前記基準とした各周波数成分のチャネル情報の複素位相を補正した相対的なチャネル情報を算出する相対成分取得ステップと、
前記アンテナ素子それぞれに対する各周波数成分ごとに、前記相対成分取得ステップにおいて複数回に亘って算出した前記アンテナ素子それぞれに対する各周波数成分の相対的なチャネル情報の平均値を算出し、算出した平均値を平均的なチャネル情報として出力するチャネル情報平均ステップと、
前記アンテナ素子それぞれに対する各周波数成分ごとに、前記平均的なチャネル情報から受信ウエイトを算出する受信ウエイト算出ステップと、
前記アンテナ素子ごとに、該アンテナ素子を介して前記端末装置から受信した受信信号を周波数成分ごとの信号に分離し、分離した信号それぞれに該信号に対応するアンテナ素子及び周波数成分の組合せに対応する前記受信ウエイトを乗算し、前記受信ウエイトが乗算された信号を全てのアンテナ素子に亘り周波数成分ごとに加算合成して受信処理を行う受信信号処理ステップと
を備えることを特徴とする無線通信方法。 - 請求項6に記載の無線通信方法において、
前記端末装置は、複数の周期に亘るトレーニング信号を送信し、
前記チャネル情報取得ステップにおいて、前記アンテナ素子ごとに、前記トレーニング信号を周期ごとに分離して合成し、合成したトレーニング信号に基づいて前記アップリンクにおける各周波数成分のチャネル情報を取得する
ことを特徴とする無線通信方法。 - 請求項6又は請求項7のいずれかに記載の無線通信方法において、
前記基地局装置は、前記アンテナ素子ごとに、該アンテナ素子と前記端末装置との間のアップリンクにおけるチャネル情報からダウンリンクにおけるチャネル情報を算出するキャリブレーション係数を各周波数成分ごとに記憶しているキャリブレーション係数記憶部を更に備え、
前記チャネル情報平均ステップにおいて算出した前記アンテナ素子それぞれに対する各周波数成分の平均的なチャネル情報ごとに、対応する前記アンテナ素子及び周波数成分の組合せに対応するキャリブレーション係数を乗じてダウンリンクにおけるチャネル情報を算出するダウンリンクチャネル情報算出ステップと、
前記アンテナ素子それぞれに対する各周波数成分ごとに、前記ダウンリンクにおけるチャネル情報から送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出ステップと、
前記端末装置に送信する送信信号を周波数成分ごとの信号に分離し、分離した信号ごとに、該信号の周波数成分と該信号を送信する前記アンテナ素子との組合せに対応する前記送信ウエイトを乗じ、送信ウエイトを乗じた周波数成分ごとの信号を時間軸上の信号に変換して前記アンテナ素子それぞれから送信する送信信号処理ステップと
を更に有することを特徴とする無線通信方法。 - 請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の無線通信方法において、
前記受信信号処理ステップにおいて、前記受信信号を周波数成分ごとの信号に分離するFFT処理における、ポイント数をNとし、サンプリング周期をΔtとし、前記受信信号に含まれるシンボルの周期をT(=N×Δt)とし、自装置においてダウンコンバートに用いる第1の局部発振信号と、前記端末装置においてアップコンバートに用いる第2の局部発振信号との周波数誤差をΔfとした場合、
前記チャネル情報取得ステップでは、
前記受信信号から複数のシンボル周期だけ連続したトレーニング信号を抽出し、
前記トレーニング信号に対して前記周期TのM0倍(M0は2以上の整数)の期間に亘ってサンプリングデータを取得し、
前記サンプリングデータにおいて第m’番目のサンプリングデータのm’をポイント数Nで除算した際の剰余mと商Mとを用いてS(M) mと表記した場合に、前記サンプリングデータそれぞれに係数Exp(−2πjΔf・Δt・[M×N+m])を乗算した値をmの示す値ごとに加算平均化した値である式(B1)で表される値と、該値の複素共役との積の和である式(B2)で表される値を算出し、式(B2)を最大にする周波数誤差Δfを算出し、
ことを特徴とする無線通信方法。 - 請求項8に記載の無線通信方法において、
各周波数成分において、アップリンクにおける各チャネル情報と、ダウンリンクにおける各チャネル情報とにおける複素位相の回転量の相対的な関係が前記複数のアンテナ素子間で一定である場合、
前記送信信号処理ステップでは、前記キャリブレーション係数がすべてのアンテナ素子及び周波数成分で1とみなして処理を行う
ことを特徴とする無線通信方法。 - 複数のアンテナ素子を備えた基地局装置と、該基地局装置と無線通信を行う端末装置を具備する無線通信システムであって、
前記基地局装置は、
前記アンテナ素子ごとに、前記端末装置から受信したトレーニング信号に基づいてアンテナ素子と前記端末装置との間のアップリンクにおける各周波数成分のチャネル情報を取得するチャネル情報取得部と、
複数の前記アンテナ素子のうち一つのアンテナ素子に対応する各周波数成分のチャネル情報の複素位相を基準として、他のアンテナ素子それぞれに対応する各周波数成分のチャネル情報の複素位相から前記基準とした各周波数成分のチャネル情報の複素位相を補正した相対的なチャネル情報を算出する相対成分取得部と、
前記アンテナ素子それぞれに対する各周波数成分ごとに、前記相対成分取得部が複数回に亘って算出した前記アンテナ素子それぞれに対する各周波数成分の相対的なチャネル情報の平均値を算出し、算出した平均値を平均的なチャネル情報として出力するチャネル情報平均部と、
前記アンテナ素子それぞれに対する各周波数成分ごとに、前記平均的なチャネル情報から受信ウエイトを算出する受信ウエイト算出部と、
前記アンテナ素子ごとに、該アンテナ素子を介して前記端末装置から受信した受信信号を周波数成分ごとの信号に分離し、分離した信号それぞれに該信号に対応するアンテナ素子及び周波数成分の組合せに対応する前記受信ウエイトを乗算し、前記受信ウエイトが乗算された信号を全てのアンテナ素子に亘り周波数成分ごとに加算合成して受信処理を行う受信信号処理部と
を備える
ことを特徴とする無線通信システム。
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