JP5616378B2 - 基地局装置、無線通信方法、及び無線通信システム - Google Patents
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Description
また、他の形態として、1つの基地局に複数の中継局が無線接続された構成(無線中継システム)をとることもできる。この場合は、基地局が制御局となり、中継局がアンテナないしは無線モジュールとなり、全体として分散アンテナシステムを構成することになるが、基地局と中継局とが無線により接続される点で異なる構成である。
いずれの場合も、複数のアンテナ(中継局)が受信端末側で各信号が同位相で合成されるように送信するコヒーレント伝送を行う。以下、その詳細な説明を行う。
(無線中継システム)
図2は、従来技術における無線中継システムの概要を示す図である。
同図に示すように、無線中継システムは、送信局901と、N1個の中継局902−1〜902−N1と、受信局903とを具備している。送信局901は、受信局903宛ての無線パケットを一旦中継局902−1〜902−N1に対して送信する。中継局902−1〜902−N1は、送信局901から受信した信号に対して各種受信信号処理を行い、送信局901が送信した無線パケットを再生(復元)する。次に、各中継局902−1〜902−N1は、再生した同一の無線パケットを同時刻に受信局903に対して送信する。この際、各中継局902−1〜902−N1は、それぞれが送信した信号が受信局903において同一の位相で受信されるように、送信信号の位相を調整する。受信局903では、各中継局902−1〜902−N1から送信された信号全てが伝送路上で合成されて受信される。この際、各中継局902−1〜902−N1から送信された信号が、受信局903において同程度の受信電力で受信されるとするならば、合成された後の信号は、合成される前の信号に対して振幅でN1倍となる。また、受信電力は、振幅の2乗に比例するため(N1)2倍となる。
つまり、中継局902−1〜902−N1の総送信電力を一定としているにもかかわらず、1局で中継する場合と比較して受信局903における受信電力がN1倍となり、回線利得として10×Log10N1[dB]を稼ぐことが可能になる。
図3は、従来技術における分散アンテナシステムの概要を示す図である。
同図に示すように、分散アンテナシステムは、協調的な通信を行う3つのセル911−1〜911−3を形成するリモート基地局912−1〜912−3と、複数の端末装置913−1〜913−6と、光ファイバ915を介して各リモート基地局912−1〜912−3に接続された制御局914とを具備している。なお、各リモート基地局912−1〜912−3と制御局914とを接続する光ファイバ915は、同軸ケーブルなどであってもよい。また、ここでは3つのセル911−1〜911−3と3つのリモート基地局912−1〜912−3を想定して説明を行うが、一般的には3以外の数であっても良い。
ここで、リモート基地局912−1〜912−3それぞれと端末装置913−4との間のチャネル情報が既知であれば、リモート基地局912−1〜912−3は、それぞれが端末装置913−4宛てに送信する際に、各リモート基地局912−1〜912−3から送信された信号が端末装置913−4において同位相となるように送信ウエイト乗算を施すことができる。この場合、端末装置913−4において受信される信号は、同位相合成されるので受信電力が増加する。その結果、端末装置913−4における通信特性が改善される。このような、同位相合成を行うための信号処理の制御は全て制御局914で実施され、リモート基地局912−1〜912−3は制御局914の指示に従い動作する。
コヒーレント伝送を行うためには、送受信局間のチャネルの状態を把握する必要がある。これは、複数の送信局又は中継局から送信された信号が同位相で受信局に届くようにするために、送信局及び中継局において、受信局との間のチャネルの状態を把握し、チャネルの状態に応じた送信ウエイトを用いて信号を送信するためである。
しかし、後述する換算処理(キャリブレーション処理)を実施することで、バックワードリンクのチャネル情報からフォワードリンクの情報を換算推定することが可能である。なお、以降の説明においては、先の説明における「リモート基地局」及び「中継局」を区別しない場合は「無線モジュール」と呼ぶことにする。
端末装置は、各無線モジュールから送信された無線パケットを受信し、受信した無線パケットに含まれているプリアンブル信号などを用いてチャネル推定を実施する(ステップS903)。端末装置では、このチャネル推定結果を「制御情報収容用の無線パケット」に収容し、無線モジュールに送信する(ステップS904)。
無線モジュールは、端末装置が送信した「制御情報収容用の無線パケット」を受信し、チャネル情報を取得する(ステップS905)。更に、無線モジュールは、受信したチャネル情報をメモリに保存し、チャネル情報に関するデータベースを構築し(ステップS906)、処理を終了する(ステップS907)。
無線モジュールは、端末装置から送信された無線パケットを受信し、無線パケットに含まれているプリアンブル信号などを用いてチャネル推定を実施する(ステップS910)。無線モジュールは、このバックワードリンクにおけるチャネル情報の推定結果に、換算処理を施し、フォワードリンク側のチャネル情報を取得する(ステップS911)。
更に、無線モジュールは、端末装置から受信したバックワードリンクにおけるチャネル情報と、変換処理により得られたフォワードリンクにおけるチャネル情報とをメモリに保存し、チャネル情報を記憶するデータベースを構築し(ステップS912)、処理を終了する(ステップS913)。
従来技術におけるコヒーレント伝送の信号処理について、以下に簡単に説明する。
まず、端末装置に対してコヒーレント伝送を行う無線通信装置の構成について説明する。無線通信装置は、送信を行う機能と、受信を行う機能とを備えるのが一般的で、特にチャネル情報のフィードバックを行う際には両方の機能を同時に利用することになる。ここでは、説明の便宜上、無線通信装置の送信側の機能と、受信側の機能とを分けて説明する。
また、本発明に係わる信号処理は物理層が中心となっており、無線通信装置におけるMAC層以上の上位レイヤの処理はここでは本質的ではない。このため、MAC層以上の信号処理については省略し、送信側及び受信側の装置構成例の右側におけるデータの入出力は、基本的にはMAC層側の機能ブロックとのデータの入出力に相当し、MAC層側の構成はここでは図示せずに省略する。
更には、分散アンテナシステムを例にとる場合には、先にも説明したように、通常は複数の端末局との間で同時に同一周波数軸上における空間多重を行い周波数資源の有効利用を図るが、この空間多重機能に関する説明は後述するマルチユーザMIMO技術の説明において行うものとし、ここでは説明を省略する。
図5は、従来技術における無線通信装置のダウンリンクに係る送信側の構成の一例を示す概略ブロック図である。同図に示すように、無線通信装置は、ダウンリンク(フォワードリンク)に係る構成として、制御局装置92と、光ファイバ96−1〜96−N2を介して接続されたリモート基地局としての無線モジュール97−1〜97−N2とを具備している。また、ここではOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)変調方式及びSC−FDE(Single Carrier Frequency Domain Equalization:周波数領域等化シングルキャリア伝送)方式を用いる場合を例にとり説明を行う。なお、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)方式は、物理レイヤにおける処理は基本的にOFDM変調方式を利用しているため、下記の説明ではOFDMとOFDMAは同等の方式として扱うことにする。
D/A変換器923−1〜923−N2、ミキサ925−1〜925−N2、フィルタ926−1〜926−N2、及びE/O変換器927−1〜927−N2は、無線モジュール97−1〜97−N2に対応して設けられている。
また、送信信号処理回路921は、生成した周波数成分ごとの送信信号をIFFT&GI付与回路922−1〜922−N2に出力する。IFFT&GI付与回路922−1〜922−N2は各周波数成分の信号を合成し、周波数軸上の信号から時間軸上の信号に変換するとともに、ガードインターバルを付与する。このように処理された時間軸上の信号は、各無線モジュール97−1〜97−N2において送信する送信信号として、無線モジュール97−1〜97−N2に対応するD/A変換器923−1〜923−N2に出力される。
ミキサ925−1〜925−N2は、ローカル発振器924から入力される局部発振信号と、D/A変換器923−1〜923−N2から入力されるアナログ信号とを乗算して、無線周波数の信号にアップコンバートする。
E/O変換器927−1〜927−N2は、フィルタ926−1〜926−N2が生成した電気的な信号を光信号に変換し、光ファイバ96−1〜96−N2を介して無線モジュール97−1〜97−N2に送信する。無線モジュール97−1〜97−N2に送信する信号を、E/O変換器927−1〜927−N22を用いて光信号に変換することにより、信号のレベル損失やノイズ混入を防ぐことができる。
送信ウエイト算出回路943は、信号送信の都度、チャネル情報記憶回路942から読み出したチャネル情報に基づいて、各周波数成分の送信ウエイトを算出する。
このダウンリンクのチャネル情報を取得及び記憶する処理は定期的に行われ、常に最新のチャネル情報がチャネル情報記憶回路942に記憶されている。
また、送信信号処理回路921は、送信ウエイト算出回路943が算出した送信ウエイトを送信信号に周波数成分ごとに乗算する(ステップS923−1〜S923−N2)。
各無線モジュール97−1〜97−N2は、制御局装置92から転送された信号を各アンテナ素子973−1〜973−N2を介して送信し(ステップS926−1〜S926−N2)、送信処理を終了させる(ステップS927−1〜S927−N2)。
図7は、従来技術における無線通信装置のアップリンクに係る受信側の構成の一例を示す概略ブロック図である。同図に示すように、無線通信装置は、アップリンク(バックワードリンク)に係る構成として、ダウンリンクに係る構成と同様に、制御局装置92と、光ファイバ96−1〜96−N2を介して接続されたリモート基地局としての無線モジュール97−1〜97−N2とを具備している。
制御局装置92は、図5に示した構成に加えて、O/E変換器931−1〜931−N2、ミキサ932−1〜932−N2、ローカル発振器933(ローカル発振器924と共用することも可能)、フィルタ934−1〜934−N2、A/D(Analogue/Digital:アナログ/デジタル)変換器935−1〜935−N2、FFT回路936−1〜936−N2、チャネル情報推定回路937、受信ウエイト算出回路938、及び受信信号処理回路939を更に備えている。
無線モジュール97−1〜97−N2は、図5に示した構成に加えて、ローノイズアンプ(Low Noise Amplifier:LNA)974−1〜974−N2、及びE/O変換器975−1〜975−N2を備えている。
E/O変換器975−1〜975−N2は、ローノイズアンプ974−1〜974−N2から入力された電気的な信号を光信号に変換して、光ファイバ96−1〜96−N2を介して制御局装置92に送信する。
ミキサ932−1〜932−N2は、O/E変換器931−1〜931−N2から出力される電気信号と、ローカル発振器933から出力される局部発振信号とを乗算し、無線周波数の信号からベースバンドの信号にダウンコンバートする。
ミキサ932−1〜932−N2においてダウンコンバートされた信号には、受信すべきチャネルの帯域外の周波数成分も含まれる。そこで、フィルタ934−1〜934−N2は、ミキサ932−1〜932−N2においてダウンコンバートされた信号から、受信すべきチャネルの帯域外の周波数成分を除去する。
FFT回路936−1〜936−N2により変換された周波数軸上の信号は、受信信号処理回路939に集約され、ここで周波数成分ごとに所定の受信ウエイトが乗算され、更に合成される。受信信号処理回路939は、OFDM(A)変調方式が用いられている場合、信号に対してサブキャリアごとの復調処理を行い、SC−FDE方式が用いられている場合、各周波数成分の信号に対し周波数軸上での信号等化処理を施し、その信号をIFFT処理で合成した信号に対する復調処理を行う。これらの復調処理によって再生されたデータをMAC層側に出力する。
チャネル情報推定回路937は、入力されたデジタル・ベースバンド信号に含まれるチャネル推定用の信号に基づいて、各無線モジュール97−1〜97−N2それぞれと端末装置との間のチャネル情報を周波数成分ごとに推定し、推定したチャネル情報を受信ウエイト算出回路938に出力する。
受信ウエイト算出回路938は、チャネル情報推定回路937から出力されたチャネル情報に基づいて、受信ウエイトを算出して受信信号処理回路939に出力する。
受信ウエイト算出回路938は、チャネル情報推定回路937から出力される無線モジュール97−1〜97−N2において受信した信号に対する周波数成分ごとのチャネル情報に基づいて、各周波数成分の受信ウエイトを算出し(ステップS935)、更にこの算出された受信ウエイトを受信信号処理回路939に出力する。
なお、コヒーレント伝送と類似の技術として、多数のアンテナ素子を用いたフェーズドアレーアンテナ技術がある(例えば、非特許文献3)。
図9は、フェーズドアレーアンテナの原理を示す図である。同図には、5つのアンテナ素子961−1〜961−5が、互いに間隔dを隔てて直線状に配置されているフェーズドアレーアンテナが示されている。フェーズドアレーアンテナにおいてアンテナ素子961−1〜961−5の配列方向に対して角度θ方向の指向性を形成する場合、その方向に対してアンテナ素子961−1〜961−5ごとの経路長差がdCosθであることを考慮して、同位相合成するように各アンテナ素子961−1〜961−5を用いて送受信する信号それぞれに対して調整を行えばよい。
フェーズドアレーアンテナでは、このようにして、所定の角度方向に対するアンテナ利得を稼ぐことができる。なお、一般には、指向性利得が最大となるメインローブ方向の周りに細かな利得のうねりを示すサブローブが生じるため、その影響を低減しメインローブを安定的に運用するために、アンテナ素子961−1〜961−5の間隔dをλ/2以下にする。
(マルチユーザMIMOの概要)
コヒーレント伝送や、フェーズドアレーアンテナ技術は、基本的に回線利得を改善する技術であり、広域のサービスエリアを一つの基地局でカバーする際の回線容量を増大させるためには、別の無線通信技術が必要となる。一方で周波数資源は限りがあるために、ここでは限られた資源を高い周波数利用効率で利用するための技術として、例えば非特許文献4にて検討されているマルチユーザMIMO技術について説明をする。
この場合、マルチユーザMIMOシステム全体として、次式(1)の関係が成り立つ。
すると、式(3)に示す9行9列の行列H[all]・Wは、3行3列の部分行列を用いて、次式(4)のように表すことができる。
まず、第1ステップとして、端末装置802−2、802−3に対する6つの行ベクトルh4〜h9が張る6次元部分空間における6つの基底ベクトルe4〜e9を求める。求める方法は、グラムシュミットの直交化法の他、様々な方法があるが、ここでは例としてグラムシュミットの直交化法を例に説明する。
まず、一つの行ベクトルh4に着目し、この方向で絶対値が1のベクトルを基底ベクトルe4とする。基底ベクトルe4は次式(6)として表される。
次に、行ベクトルh5に着目し、この行ベクトルの中から基底ベクトルe4方向の成分をキャンセルした行ベクトルh5’を求めた後、更に規格化する。行ベクトルh5’と基底ベクトルe5とは、次式(7−1)及び式(7−2)で表される。
次に、第2ステップとして、端末装置802−1に対する送信ウエイトベクトルw1〜w3を求める。まず、行ベクトルh1〜h3から、基底ベクトルe4〜e9が張る6次元部分空間の成分をキャンセルする。具体的には、次式(9)で表される。
なお、3つのベクトルの選び方は如何なる方法でも構わないが、例えば特異値分解を行って得られるユニタリー行列を構成する3つの直交ベクトルを用いれば、他の端末装置802に干渉を与えない部分空間内に限定された固有モード伝送が可能になり、効率的な伝送が可能になる。
以上が送信ウエイト行列Wの求め方である。
なお、チャネル情報は一般的には周波数成分ごとに異なるため、広帯域の信号、例えばOFDM変調方式を用いた信号であれば、周波数成分ごと、すなわちサブキャリアごとに同様の送信ウエイトを算出することになる。またここでは、端末装置802−1〜802−3がそれぞれアンテナを3素子ずつ備えている場合を例に取り説明したため、ステップS808にて〜Hmainの各行ベクトルが張る部分空間の直交基底ベクトルを算出する処理を含んでいたが、端末装置が1本のアンテナのみを備える場合には、ステップS808は単に〜Hmainに相当する行ベクトルを規格化することに対応する。
図12は、マルチユーザMIMOシステムにおける基地局装置80の構成の一例を示す概略ブロック図である。同図に示すように、基地局装置80は、送信部81、受信部85、インタフェース回路87、MAC層処理回路88、及び通信制御回路820を備えている。MAC層処理回路88はスケジューリング処理回路881を有している。
基地局装置80は、インタフェース回路87を介して、外部機器ないしはネットワークとのデータの入出力を行う。インタフェース回路87は、入力されるデータのうち、無線回線上で転送すべきデータを検出し、検出したデータをMAC層処理回路88に出力する。MAC層処理回路88は、基地局装置80全体の動作の管理制御を行う通信制御回路820の指示に従い、MAC層に関する処理を行う。ここで、MAC層に関する処理には、インタフェース回路87で入出力されるデータと、無線回線上で送受信されるデータの変換、MAC層のヘッダ情報の付与などが含まれる。この処理の中で、スケジューリング処理回路881は、マルチユーザMIMO伝送において同時に空間多重を行う端末装置の組み合わせを含む各種スケジューリング処理を行う。スケジューリング処理回路881は、スケジューリング結果を通信制御回路820に出力する。
マルチユーザMIMOでは、複数の端末装置宛に一度に信号を送信するため、複数系統の信号系列がMAC層処理回路88から送信部81に出力される。
送信ウエイト処理部830は、チャネル情報取得回路831と、チャネル情報記憶回路832と、マルチユーザMIMO(MU−MIMO)送信ウエイト算出回路833とを備えている。
ここで、同図における送信信号処理回路811−1〜811−Lの添え字のLは、同時に空間多重を行う多重数を表す。また、加算合成回路812−1〜812−Kからアンテナ素子819−1〜819−Kまでの回路の添え字のKは、基地局装置80が備えるアンテナ系統数を表す。
なお、送信信号処理回路811−1〜811−Lで乗算される送信ウエイトは、信号送信処理時に、送信ウエイト処理部830に備えられているマルチユーザMIMO送信ウエイト算出回路833より取得する。送信ウエイト処理部830では、チャネル情報取得回路831で別途チャネル情報を取得しておき、これを逐次更新しながら、チャネル情報記憶回路832に記憶する。信号の送信時にマルチユーザMIMO送信ウエイト算出回路833は、宛先局に対応したチャネル情報をチャネル情報記憶回路832から読み出し、読み出したチャネル情報を基に送信ウエイトを算出する。マルチユーザMIMO送信ウエイト算出回路833は、算出した送信ウエイトを送信信号処理回路811−1〜811−Lに出力する。
また、宛先局の管理や、全体のタイミング制御など、全体の通信に係る制御を通信制御回路820が管理する。上述の送信ウエイトの算出に係る信号処理を行う送信ウエイト処理部830に対し、通信制御回路820は宛先局等を示す情報を出力する。
受信ウエイト処理部860は、チャネル情報推定回路861と、マルチユーザMIMO(MU−MIMO)受信ウエイト算出回路862とを備えている。
ここで、異なる受信信号処理回路858−1〜858−Lでは、異なる信号系列の信号処理が行われる。また、MAC層処理回路88は、MAC層に関する処理(例えば、インタフェース回路87に対して入出力するデータと、無線回線上で送受信されるデータとの変換、MAC層のヘッダ情報の終端など)を行う。この処理の中でスケジューリング処理回路811は、マルチユーザMIMO伝送において同時に空間多重を行う端末装置の組み合わせを含む各種スケジューリング処理を行い、スケジューリング結果を通信制御回路820に出力する。MAC層処理回路88にて処理された受信データは、インタフェース回路87を介して外部機器ないしはネットワークに出力される。
また、送信元の端末装置の管理や、全体のタイミング制御など、全体の通信に係る制御を通信制御回路820が管理する。また、上述の受信ウエイトの算出に係る信号処理を行う受信ウエイト処理部860に対し、通信制御回路820から送信元の端末装置等を示す情報が入力される。
図15は、マルチユーザMIMOにおける基地局装置80の送信処理を示すフローチャートである。マルチユーザMIMOでは、データの送信とは別に行うダウンリンクのチャネル情報のフィードバックが定期的になされている。チャネル情報取得回路831はダウンリンクにおけるチャネル情報を取得すると(ステップS831)、端末装置ごとに各周波数成分のチャネル情報をチャネル情報記憶回路832に記憶させる(ステップS832)。ステップS831及びステップS832の処理は、逐次行われる。
マルチユーザMIMO送信ウエイト算出回路833は、読み出したチャネル情報を基に、先に示した処理によりマルチユーザMIMO用の送信ウエイトを周波数成分ごとに算出する(ステップS823)。ステップS822及びステップS823の処理とは別に、送信信号処理回路811−1〜811−Lは、宛先ごとの送信すべきデータに対し、各種変調処理等の送信信号処理により、宛先局ごとに各周波数成分の送信信号を生成する(ステップS824)。
図16は、マルチユーザMIMOにおける基地局装置80の受信処理を示すフローチャートである。まず、第1から第Kのアンテナ素子851−1〜851−Kにて信号を受信する(ステップS841−1〜S841−K)。ここでの受信とは、受信した信号ないしそれをダウンコンバートした信号に対し、アナログ/デジタル変換を施す処理までを含む。以降の信号処理は、デジタル化された受信信号に対する処理を意味する。
続いて、各アンテナ素子851−1〜851−Kに対応する受信信号に対し、FFT回路857−1〜857−Kによる各周波数成分への分離等の信号処理を行う(ステップS841−1〜S842−K)。更に、チャネル情報推定回路861は、無線パケットに付与されていた既知のパターンのプリアンブル信号の受信状態より、各周波数成分のチャネル推定を実施する(ステップS843−1〜S843−K)。ここで、伝搬路上での信号の減衰、及び複素位相の回転状態を把握する。このステップS843−1〜S843−Kで行うチャネル推定では、ステップS843−1、S843−2、・・・、S843−Kを個別に示した通り、空間多重される信号系列ごとに個別にチャネル推定を行う必要がある。この個別のチャネル推定とは、送信元の端末装置それぞれから送信された信号を分離可能な状態で行う必要がある。OFDM変調方式を例に取れば、一般的には空間多重数と同数のシンボル数のチャネル推定用のプリアンブル信号が必要となる。各端末装置は空間多重数と同数のシンボル数(ないしはそれ以上)で且つそれぞれが異なるパターンのプリアンブル信号を付与して信号送信を行い、基地局装置80はそのパターンの違いを利用して、ステップS843−1〜S843−Kにて個別のチャネル推定を行うことになる。
ここで、受信ウエイトは、空間多重された信号系列ごとに用意されているため、ステップS845−1〜845−Lにおける乗算結果は、空間多重された信号系列ごとに別々の結果となる。それぞれの信号系列の信号は、各アンテナ素子851−1〜851−Kの信号が周波数成分ごとに加算合成され(ステップS846−1〜846−L)、合成された信号系列に対して、第1信号系列の信号処理(ステップS847−1)から第L信号系列の信号処理(ステップS847−L)までの処理が行われ、処理を終了する(ステップS848−1〜S848−L)。
上述したコヒーレント伝送及び分散アンテナシステムでは、チャネル情報が送信側で既知である必要がある。そのため、実際のシステムでは、以下の要求条件をクリアする必要がある。
例えば、100局の無線モジュールを利用して20[dB]の回線利得を稼ぐ場合について考える。通信において、20[dB]の回線利得改善を前提として無線通信装置等の回路を設計するため、一つの無線モジュールと端末装置との間のチャネル推定を行う際には、通信時に比べて20[dB]劣化した環境でチャネル推定を行わなければならない。例えば、実際の通信における所要SNRが10[dB]であったとすると、チャネル推定はSNRが−10[dB]という雑音が支配的な環境で実施しなければならない。しかし、このような雑音が支配的な環境では、推定した極めて不確かなチャネル情報から送信ウエイトを求めても同位相合成を実現することはできない。
都市部のように自動車の往来が常に絶えない環境を想定すると、チャネルの状況は時間とともに変動する。仮にチャネル推定精度が所望のレベルにありチャネルのフィードバックが可能な場合であっても、チャネルのフィードバックに要するオーバーヘッドによる伝送効率の低下を考慮すれば、チャネルをフィードバックする周期は比較的長めに設定する必要があり、この結果、実際の送受信時刻よりも過去のチャネル情報を基にした送受信ウエイトを利用することになる。しかし、チャネルの時変動により最適な送受信ウエイトは変化するため、期待する回線利得は得られないことがあり、通信が不安定化してしまうという問題がある。したがって、実際のシステムでは、このチャネル時変動に対する対策技術の確立が求められている。
上記の要求条件をクリアできる状況であったとしても、20[dB]などの高い回線利得を稼ぐことが可能である場合、非常に広域のエリアを一括してサービスエリアとすることができるようになるため、広域のエリア内に位置する多数の端末装置で周波数資源を共用しなければならない。エリアが広くなり周波数資源を共用する端末装置数が増えると、1台の端末装置あたりのスループットが結果的に低下する。端末装置あたりのスループットを所定の値以上にするには、システム全体におけるスループットを高める必要がある。しかし、周波数資源は限られているため、通信に利用する周波数帯域を広げることはできない。つまり、周波数利用効率を高めることで、1台の端末装置あたりのスループットを向上させる必要がある。つまり、この様な環境での利用におけるシステムの大容量化技術の確立が求められる。
例えば、超多数(例えば、100本)のアンテナ素子を用いたマルチユーザMIMO伝送では、送信ウエイト及び受信ウエイトの算出において、「総送信アンテナ素子数」×「総受信アンテナ素子数」の行列を扱うことになり、この行列のサイズの増加に合わせてデータの送受信ごとに求められる送信ウエイト及び受信ウエイトの算出に対する影響が大きくなる。一般に、逆行列算出や特異値分解等の演算処理量(具体的には、回路として構成する際に加算回路に比べて乗算回路は回路規模が大きくなるため、乗算回数ないし除算回数を基準として評価される)は、行列サイズの3乗に比例して増加するといわれている。一般的に想定されるマルチユーザMIMOに用いられるアンテナ素子数に対して1桁以上多いアンテナ素子の数を用いる場合、要求される演算量は1000倍以上になってしまう。また、チャネルが時変動する環境であれば、データの送受信ごとに送信ウエイト又は受信ウエイトを算出する必要があるので、逐次、演算負荷による影響は著しく大きくなる。すなわち、送信ウエイト及び受信ウエイトの算出に要する時間が長くなり、空間多重化を効率よく行うことが困難になってしまうという問題がある。
そしてこの場合、制御に用いるチャネル情報とその瞬間のチャネル情報の間の差分が大きいと、特性の劣化を引き起こすことになる。この特性劣化とは、例えば正確なチャネル情報が把握できていれば期待されていた希望信号対干渉信号電力比(Signal to Interference Power Ratio;SIR)特性が劣化することを意味する。この干渉電力は雑音電力と同様に特性を支配することになり、実際に空間多重によりどの程度まで周波数利用効率を向上し大容量化できるかは、このSIR特性ないしは雑音電力を加味したSINR(Signal to Interference and Noise Power Ratio)特性によって決まることになる。しかし、そのチャネル情報の差分がどの程度であるかを把握することなしに制御を行えば、通信が不安定化し、システムの大容量化を行なうことはできない。
本発明の本質は、基地局装置が、基地局装置に備えられている多数の無線モジュールと、端末装置との間のチャネルの特性を示すチャネル情報の推定値を長時間に亘って測定し、チャネル情報の推定値の平均値に基づいて算出した送信ウエイト及び受信ウエイトを用いることにより、複数の無線モジュールを用いてチャネル時変動の影響を低減させながら、同位相合成を用いたコヒーレント伝送に伴う回線利得の獲得と、ピンポイントで同位相合成となる地域以外での低い回線利得を利用した与・被干渉の低減を利用した高次の空間多重を実現することにある。さらに、この高次の空間多重においては、チャネル情報の推定値の平均値と逐次のチャネル情報との差分により特性が劣化することになる。そこで、このチャネル情報の時変動に関する統計量を時変動指標として算出し、実運用中の特性が所望の特性になる様に、空間多重数ないしは伝送モード(多値変調の変調多値数や誤り訂正の符号化率などの組み合わせで決まる変調方式)の最適化制御を行い、通信品質と高い周波数利用効率を両立することで、より効果的な運用が可能になる。
本発明では、各無線モジュールと端末装置との見通しが必ずしも確保できている必要はないが、無線モジュールと端末装置とは比較的高所に固定されていることが推奨される。この場合、各無線モジュールと端末装置との間の伝送路(チャネル)は、「直接的な見通し波」と、固定的な巨大な建築物等による「安定した反射波」と、地上(低所)付近の車や人などの「移動を伴う物体からの多重反射波」とが混在したものとみなすことができる。この場合、「直接的な見通し波」と「安定した反射波」とは、「移動を伴う物体からの多重反射波」に比べ、受信レベルが相対的に高く、更に時変動が小さい。一方、「移動を伴う物体からの多重反射波」は、「直接的な見通し波」と「安定した反射波」とに比べ、受信レベルが低く、時変動が大きく激しい。
また、各無線モジュールのアンテナ素子とアンテナ素子の間隔が、通信の搬送波周波数の波長よりも小さくなると、アンテナ素子間の相互結合により想定している信号の同位相合成が乱される可能性があるが、概ね1波長以上の間隔がアンテナ素子相互に確保されていれば、この問題は回避できる。
これまでの説明においては、各無線モジュールが物理的に制御局などと異なる場所に離散的に配置されていたために、アンテナ素子とほぼ一体型の無線モジュールを意図して「無線モジュール」という用語で様々な説明を行っていたが、本発明においては制御局と多数の無線モジュールが1箇所に集約され、一般的には一つの基地局装置という形態が自然であるため、その実現の構成によっては「無線モジュール」という表現が適切でない場合がありうる。
図17は、本発明に係る無線通信システムが具備する基地局装置の設置例を示す図である。同図において、符号11は基地局装置が設置されている建築物を示し、符号12−1〜12−2は端末装置を示し、符号13−1〜13−4は基地局装置が備えているアンテナ素子を示し、符号14−1〜14−3は地上の移動体を示し、符号15−1〜15−2は大型の建築物(当然、静止状態)を示している。
多数の微弱かつランダムな波を合成すると、その結果得られる信号は、安定的な入射波に対して相対的に信号強度が小さい。したがって、「安定的な入射波」に「ランダムな多重反射波」を合成して得られる「時変動する入射波」は、「安定的な入射波」の周りに微小な誤差が加わった信号と見ることができる。
図18は、本発明に係る基地局装置が行う信号合成の動作例を示す図である。ここでは、一例として、図17における端末装置12−1から送信された信号を、基地局装置のアンテナ素子13−1〜13−4にて受信した際に、適切な受信ウエイトを用いて合成する場合を示している。
基地局装置のアンテナ素子13−1〜13−4では、「時変動する入射波」を受信している。これらを合成する際に用いる受信ウエイトは、「安定的な入射波」を基準にして、各アンテナ素子での信号が同位相合成されるように定められている。図18において点線で示した信号は、「安定的な入射波」に対して受信ウエイトを乗算し、各アンテナ素子13−1〜13−4で位相が同位相に揃えられた信号である。
ここで、図17及び図18の説明においては、あくまでも簡単のために基地局装置側に4本のアンテナ素子を備える場合について説明を行ったが、以下に示すように、本発明では非常に多数のアンテナ素子を備えることで統計的な効果を得ることが可能になる。
通常、アンテナの本数が膨大な場合に、一般的なマルチユーザMIMO技術で空間多重を行う際、アンテナの本数の3乗に比例する信号処理の演算量が見込まれるため、回路規模的に現実的な数のアンテナ素子による運用が強いられてきた。特に、重要なのはある端末装置への信号が他の端末装置に対して干渉とならないようにするためのヌル制御であるが、本発明においてはこのヌル制御を実現するための送受信ウエイトの算出をリアルタイムで行う必要がなく、事前に算出したウエイトを読み出す形で通信における信号処理を実現できる。このため、多数のアンテナ素子を利用しながらも、運用中の演算量及び回路規模を抑えた高次の空間多重が実現可能である。更には、本発明では上述のヌル制御を行わずとも、もともとある程度高いSIRを確保することができ、このためチャネル時変動により多少ヌル制御が破れてもSIR値は比較的高いままで、安定的に空間多重を行うことができるという特徴も併せ持つ。
更に本発明では、送受信ウエイトはチャネルの時変動を意識することなく固定的な値となるため、例えば通信サービスの運用開始前に事前に取得しておけば、データの送受信を行うサービス運用時には、個々に演算をすることなく単純にメモリに記憶された送受信ウエイトを読み出すだけで良いため、通信に用いるアンテナ素子数を膨大な数に増やしたとしても信号処理の負荷を低く抑えることが可能であり、この点が第2の重要なポイントである。
更に本発明では、通信の都度、送受信ウエイトの算出のために個別のアンテナ素子間のチャネル推定を行わないので、空間多重数と同数のチャネル推定用のプリアンブル信号を付与する必要がない。このため、OFDM変調方式を用いる場合を例に取れば、従来であれば10多重の空間多重のためには異なる10シンボルのチャネル推定用のプリアンブル信号が必要であったが、本発明では空間多重数に依存せずに1シンボルのチャネル推定用のプリアンブル信号で足りることになる。この結果、MACレイヤの効率の低下を抑えて高次の空間多重を実施することが可能となり、この点が第3の重要なポイントである。
以上の動作原理に対し、詳細な実施形態の説明の前に、これらを実現するための補足事項を以下に簡単に整理しておく。
本発明に係る基地局装置は、「安定的な入射波」に基づく統計的な信号の同位相合成を行うための送受信ウエイトを用いることが特徴であるが、この「安定的な入射波」に対応したチャネル推定の概要について、ここで説明しておく。
先ほども説明した通り、基地局装置は、移動体において反射しランダムに変動する多重反射波の影響を取り除くことで「安定的な入射波」に関する成分を抽出する。基地局装置は、多数のアンテナ素子による統計的な効果を得る前段として、各アンテナ素子においても「安定的な入射波」に関する成分を抽出するために、基地局装置の各アンテナ素子と端末装置のアンテナ素子との間の個々のチャネルのチャネル推定を長時間に亘り実施し、その結果を平均化することで「安定的な入射波」に対応したチャネル情報を取得する。
更に、実際の誤差の分布は、チャネル推定誤差の範囲18の円内に一様に分布するのではなく、平均値である長時間平均のチャネル推定値16の近傍ほど分布の密度が高いと推察される。したがって、長時間平均のチャネル推定値16に近づけるためには、移動体の配置の相関が少なくなる離散的な時間で多数回行ったチャネル推定により得られたチャネル情報を平均化することが好ましい。
送信と受信との間が非同期で周波数誤差が伴う場合、仮に空間上のチャネル情報に時変動がない場合でも、異なる時刻に測定するチャネル情報は、その時間差と周波数誤差とに依存する形で複素位相成分が変動する。
このとき、アンテナ素子#1の複素位相φ1 (k)を用いて、全てのアンテナ素子に複素位相−φ1 (k)のオフセットを加えると、オフセットによる補正後のアンテナ素子#kのチャネル情報としてAi・Exp{(φi (k)−φ1 (k))j}が得られる。空間上のチャネル情報が不変であるならば、この補正後のチャネル情報は基地局装置と端末装置とのクロック信号及び局部発振信号の周波数誤差の影響(すなわち複素位相の初期位相の不確定性の影響)を受けない。以降の説明では、この初期位相の不確定性除去のための補正後のチャネル情報を「(チャネル情報の)相対成分」と呼ぶことにする。なお、この補正は周波数成分ごとに個別に行うものとする。
図20は、本発明におけるトレーニング信号の例を示す図である。同図において符号1−1〜1−3は一般的なOFDMシンボルを示し、符号2−1〜2−3はガードインターバルを含まない有効な信号領域を示し、符号3−1〜3−3は本発明におけるトレーニング信号を示し、符号4−1〜4−3は信号の末尾領域を示し、符号5−1〜5−3はガードインターバルを示し、符号6−1〜6−3は実際のチャネル推定に用いる信号周期を示している。なお、OFDM信号は、複数のサブキャリア成分を含むが、本図ではあるサブキャリア一つを抜き出して正弦波として図示している。
なお、このトレーニング信号を用いたチャネル平均化においては、複数の連続する区間6−1、区間6−2、区間6−3の比較的短時間平均を行うことになるが、この「比較的短時間」の定量的な意味は、基地局装置と端末装置との間のクロック信号及び局部発振信号の周波数誤差に依存する影響(厳密には、下記に示す周波数誤差補償処理後に残る、残留周波数誤差の影響)を無視できる範囲での平均化を意味する。
例えば、中心周波数が2.4[GHz]の局部発振信号において、ローカル発振器の周波数誤差が1p.p.m.である場合、局部発振信号の周波数誤差の最大値は2.4[kHz]である。つまり、416μ秒で位相が2π回転してしまう誤差である。このとき、平均化を行う時間長の中で周波数誤差に伴う複素位相の回転が1周期(2π)の1/10以内に抑えたいと考えるならば、平均化に使える時間長は約40μ秒となる。
しかし、広域をサービスエリアにするWiMAXの例を見れば、長遅延波の影響を排除するための1シンボル周期は約100μ秒に設定されており、平均化処理を行う時間としては十分ではない。これらの問題を解決するために、ここでは周波数誤差を補償するための以下の補正処理を行う。
また、サンプリング周期をΔtと表し、1シンボルの周期をTとすると、1周期のデータ数はN=T/Δtで与えられる。このとき、時刻t=m’・Δtとし、更に、mとMとをm=mod(m’,N)、M=Int(m’/N)とすれば、サンプリングデータS(t)を離散的な時刻により定められる数列{S(M) m}と表記できる。ここで、関数「mod」は、m’をNで除算した際の余りを求める関数である。また、関数「Int」は、m’をNで除算した際の商(整数部)を求める関数である。
更に、サンプリングデータS(t)を理想的に周波数補償した数列を{S(M) m・Exp(−2πjΔf・Δt・[M×N+m]}と表記できる。ここで、全体としてM0シンボル周期のサンプリングを行うものとする。
以上は基地局と端末局のローカル発振器の周波数誤差に伴う補正の説明である。同様にクロック周波数誤差により、シンボルタイミングのずれの問題も考慮する必要がある。先ほどの説明と同様、1p.p.m.の周波数誤差を伴うシステムを想定すると、1秒という測定時間を想定した場合にこの期間に発生するシンボルタイミングの累積時間誤差は1μ秒程度になる。
WiMAXの例では、チャネル情報の平均化を行う測定時間を5m秒とした場合にこの時間長はシンボル周期の50倍の時間長となるので、十分に加算・平均化により信号のSNRを改善することが可能になり、取得した情報を用いて更に離散時間で平均化することにより、移動体からのランダムな多重反射波の影響も除去できる。
実際の無線通信装置では、送信側の信号処理において、送信の直前にハイパワーアンプにて信号増幅を行うことが多い。この場合、ハイパワーアンプの個体差により増幅率に誤差があるとともに、ハイパワーアンプ内で複素位相がハイパワーアンプごとに異なる値で回転する場合がある。同様に、受信側の信号処理において、受信の直後にローノイズアンプにて信号増幅を行うことが多い。この場合、ローノイズアンプの個体差により増幅率に誤差があるとともに、ローノイズアンプ内で複素位相がローノイズアンプごとに異なる値で回転する場合がある。
ここでは、基地局装置においてチャネル情報に影響を与える機能のみを抽出したため、図示した以外の構成は省略したが、無線モジュール25−1〜25−3にはその他の機能も含まれる。また、信号がハイパワーアンプ21−1〜21−3それぞれを通過する際に、振幅及び複素位相がZHPA#1(fk)、ZHPA#2(fk)、ZHPA#3(fk)変化するものとする。また、信号がローノイズアンプ22−1〜22−3それぞれを通過する際に、振幅及び複素位相がZLNA#1(fk)、ZLNA#2(fk)、ZLNA#3(fk)変化するものとする。ここでは一般的な条件として周波数依存性があるものとし、第k周波数成分に対する周波数「(fk)」の表記を行っている。
同様に、無線モジュール25−2から無線モジュール25−3に信号を送信する際のチャネル情報は、空間上のh2(fk)にハイパワーアンプ21−2の通過に伴う変化を示す係数ZHPA#2(fk)、及びローノイズアンプ22−3の通過に伴う変化を示す係数ZLNA#3(fk)が乗算された値として観測される。
同様に、無線モジュール25−3から送信された信号を無線モジュール25−2にて受信する場合、チャネル情報は空間上のh2(fk)にハイパワーアンプ21−3の通過に伴う変化を示す係数ZHPA#3(fk)と、ローノイズアンプ22−2の通過に伴う変化を示す係数ZLNA#2(fk)とが乗算された値として観測される。
しかし、基地局装置はダウンリンクにおけるチャネル情報を直接求めることができない。そこで、アップリンクのチャネル情報から換算することで、ダウンリンクのチャネル情報を取得する。この換算のためには、各アンテナ素子24−1〜24−3に接続されているローノイズアンプ22−1〜22−3及びハイパワーアンプ21−1〜21−3の個体差の影響をキャンセルする必要がある。
図22(A)は、無線モジュール25−3と無線モジュール25−1とを同軸ケーブルで接続した構成を示している。図22(B)は、無線モジュール25−3と無線モジュール25−2とを同軸ケーブルで接続した構成を示している。図21が実際の空間上を信号が伝搬した状態を示しているのに対して、図22がアンテナ素子を介さずに同軸ケーブル上を信号が伝搬した状態を示している。
このとき、無線モジュール25−1から無線モジュール25−3へのチャネル情報は、ZHPA#1(fk)・h0(fk)・ZLNA#3(fk)で表される。無線モジュール25−2から無線モジュール25−3へのチャネル情報は、ZHPA#2(fk)・h0(fk)・ZLNA#3(fk)で表される。
また、無線モジュール25−3から無線モジュール25−1へのチャネル情報は、ZHPA#3(fk)・h0(fk)・ZLNA#1(fk)で表され、無線モジュール25−3から無線モジュール25−2へのチャネル情報は、ZHPA#3(fk)・h0(fk)・ZLNA#2(fk)で表される。
このように、式(14)及び式(15)に相当するキャリブレーション係数を基地局装置の製造段階において取得しておき、これらを基地局装置内に記憶しておくことにより、これらのキャリブレーショ係数を用いてアップリンクのチャネル情報からダウンリンクのチャネル情報を算出することができる。
本発明の動作原理についてのここまでの説明では、チャネル情報の短時間平均化処理、相対成分取得、長時間平均化処理、及び送受信ウエイトの取得に関するそれぞれの説明と、それらに付随するキャリブレーションや周波数誤差等に関する説明を行なってきた。これらの技術を用いることで、より高次の空間多重に関する処理を、リアルタイム処理可能、かつ、簡易な制御で実現することができるようになる。しかし、実際の運用においては、基地局装置が固定的な送受信ウエイトを用いて端末装置間の信号の分離を行う際に、チャネルの時変動等の影響を受けて完全な信号分離が行えず、残留的な干渉信号が残ることになる。この信号がSINR特性の劣化を引き起こし、当初見込んでいた品質での通信を妨げることになる。
同様に、同一周波数成分上で空間多重する信号系列数(空間多重する端末数)が多いと、当然ながらその分、SINR特性も劣化する。一般的には、多重数が2倍になると、残留干渉電力も2倍になる。
さらに全く同様に、例えば時変動の階級値がSIRに換算して27dBであったとする。この場合、目標のSIR値の15dBまでには12dBのマージンがあり、先ほどの例のさらに2倍の16台の端末装置を空間多重しても、合成後のSIR値は15dBとなり、SINR値としては12dBとなるから通信品質を満足することになる。
(1)の場合であれば、式(18)のxi、yi、ziを固定値と見なし、x0を端末装置に想定する最低SNR値、y0を時変動指標から換算される端末装置に想定する最低SIR値、z0を端末装置に想定する伝送モードの最大所要SINR値とすれば、多重数mは以下の条件を満たせば良い。
また、以上の説明では時変動指標からSIR値に換算する際に階級化されたテーブルを用いるとして説明したが、式(18)から式(20)のx、y、zは一般的な値として扱うことが可能であることから、時変動指標を引数とする冪乗や指数関数などを合成した多項式などでSIR値を近似的に表すことが可能な換算式を取得して利用することにより、必ずしも階級化を行わずとも、同等の処理を実施することが可能である。
また更に、例えば符号分割多元接続(CDMA:Code Division Multiple Access)などの伝送技術において、相互に干渉となりうる信号の受信レベルを調整するための手段として、送信電力制御を用いることがある。これは、基地局装置の近くの端末装置からの受信信号とサービスエリアの端に位置する遠くの端末装置からの受信信号が混在した場合、仮に符号分割を行ったとしても相互の信号の受信電力に差がありすぎると、十分な干渉抑圧ができないという課題に対し、各端末装置と基地局装置の間の伝搬損失を見積もり、アップリンクでの信号が全ての端末装置で同程度の受信信号レベルとなる様に端末装置側の送信電力を調整するという技術である。本発明においても、この様な受信信号のレベル差は相互の与・被干渉の抑制において好ましくない影響を与える場合が多く、端末装置側で送信電力制御を行うことが予想される。この様な場合、アップリンクにおける各端末装置のSNR特性はほぼ一定となる。その際には、式(18)および式(20)のxiが送信電力制御を考慮した回線設計上の所定の固定値として扱えば良い。ただし、ダウンリンクに関しては特に送信電力制御を行う必要はないため、SNRを表すxiの値は、送信電力のアップリンク/ダウンリンクの非対称性がある場合には、アップリンクとダウンリンクとで異なる値で管理する必要がある。
本発明は、チャネルの時変動量の推定と通信品質管理制御に係わる技術と、その背景技術の組み合わせにより構成される。本発明の具体的な実施形態を説明する前に、その実施形態のベースとなる背景技術の構成例を先に説明する。
本発明の背景技術の第1の構成例では、複数のアンテナ素子を備える基地局装置と、基地局装置と通信をする複数の端末装置を具備する無線通信システムを例にして説明を行う。
図23は、本発明背景技術の第1の構成例における基地局装置10の構成を示す概略ブロック図である。同図に示すように、基地局装置10は、受信部100、送信部140、送受信ウエイト算出部120a、インタフェース回路170、MAC層処理回路180および通信制御回路110を備えている。MAC層処理回路180はスケジューリング処理回路181を有している。
基地局装置10は、インタフェース回路170を介して、外部機器ないしはネットワークとのデータの入出力を行う。インタフェース回路170は、入力されるデータのうち、無線回線上で転送すべきデータを検出し、検出したデータをMAC層処理回路180に出力する。MAC層処理回路180は、基地局装置10全体の動作の管理制御を行う通信制御回路110の指示に従い、MAC層に関する処理を行う。ここで、MAC層に関する処理には、インタフェース回路170で入出力されるデータと、無線回線上で送受信されるデータの変換、MAC層のヘッダ情報の付与などが含まれる。この処理の中で、スケジューリング処理回路181は、マルチユーザMIMO伝送において同時に空間多重を行う端末装置の組み合わせを含む各種スケジューリング処理を行う。スケジューリング処理回路181は、スケジューリング結果を通信制御回路110に出力する。
マルチユーザMIMOでは、複数の端末装置宛に一度に信号を送信するため、複数系統の信号系列がMAC層処理回路180から送信部140に出力される。また、複数の端末装置から送信された複数系統の信号系列が受信部100からMAC層処理回路180に出力される。送受信ウエイト算出部120aは、受信部100と送信部140とが空間多重してデータを送受信する際に用いる受信ウエイト及び送信ウエイトを管理する。
以下、基地局装置10における受信(アップリンク)に係る構成(受信部100)と、送信(ダウンリンク)に係る構成(送信部140)とに分けて説明する。
ここで、「通常のデータ通信信号と異なるチャネル推定用のトレーニング信号」とは、本構成例において送受信ウエイトの算出に用いるチャネル情報の推定処理において使用される図20に示すトレーニング信号3−1〜3−3信号であって、無線通信におけるユーザ・データないしは各種制御情報を収容した無線パケットとは全く異なる信号である。本背景技術では一部の構成例を除き、通常のデータ通信とは異なる信号処理(以下の図27に示すチャネル情報の短時間平均化処理等)を行う必要があり、この信号は図20にて説明したとおり、従来のOFDM信号等とは異なるため、信号処理の内容も微妙に異なる。このため、FFT回路108−1〜108−Kでは、この通常のデータ通信信号と異なるチャネル推定用のトレーニング信号に対しては、FFTに伴う一連の処理を施さず、デジタル・ベースバンド信号のまま送受信ウエイト算出部120aに出力し、送受信ウエイト算出部120aにおいてFFTを含む処理を実施する機能が実装されているものとしている。ただ、詳細は後述するが、ここに記載された機能を実現するために、他の機能ブロックに同等の処理を実施することで代替することは当然可能であり、それも本背景技術の実現方法の一部であるとみなす。
また、絶対的な時刻の同期の他にも、基地局装置10と端末装置との間の大まかな距離が分かっていれば、その距離に相当する伝搬遅延を端末装置に事前に設定しておき、端末装置は、基地局装置10のタイミングの基準となる信号の受信時刻に対し、所定のオフセットとして伝搬遅延を減算した時間にアップリンクの信号を送信開始するようにしてもよい。
このように、GPSを用いた絶対時刻の同期ないしはタイム・アライメント制御等のいずれかの手段で把握したタイミングで基地局装置10は受信処理を開始し、シンボルタイミングも既知として処理を行うことが可能である。これらのタイミング制御、アクセス制御、TDDスイッチ102−1〜102−Kの切替え、受信ウエイトを読み出すときにおける送信元である端末装置情報の提供など、これらを合わせて全て通信制御回路110が制御・管理を行う。
図25は、本発明背景技術の第1の構成例における送受信ウエイト算出部120aの構成例を示す概略ブロック図である。同図に示すように、送受信ウエイト算出部120aは、チャネル情報短時間平均回路121、相対成分取得回路122、チャネル情報長時間平均回路123、マルチユーザMIMO(MU−MIMO)受信ウエイト算出回路124a、マルチユーザMIMO(MU−MIMO)受信ウエイト記憶回路125a、キャリブレーション回路126、マルチユーザMIMO(MU−MIMO)送信ウエイト算出回路127a、マルチユーザMIMO(MU−MIMO)送信ウエイト記憶回路128a、及びキャリブレーション係数記憶回路129を有している。なお、以下に示す説明におけるチャネル情報、送受信ウエイト、キャリブレーション係数等は、全て周波数成分ごとに異なるものであり、それらは周波数成分ごとに個別に算出、処理、記録、管理されるものである。
キャリブレーション係数記憶回路129には、アンテナ素子101−1〜101−Kごとに、アップリングのチャネル情報から、ダウンリンクのチャネル情報を算出する際に用いる各周波数成分におけるキャリブレーション係数を予め記憶している。
また、送信信号処理回路141−1〜141−Lは、基地局装置10においてSC−FDEが用いられる場合、シングルキャリアの変調処理が施された信号を、送信信号のブロック単位でFFTにより各周波数成分に分離する。送信信号処理回路141−1〜141−Lは、マルチユーザMIMO送信ウエイト記憶回路128aに記憶されている送信ウエイトのうち、宛先の端末装置に対応した送信ウエイトを読み出し、周波数成分に分離した信号に対し、読み出した送信ウエイトを周波数成分ごとに乗算する。
その後、送信信号処理回路141−1〜141−Lは、OFDM(A)変調方式及びSC−FDEのいずれが用いられる場合においても、送信ウエイトを乗算したアンテナ素子ごとの各周波数成分の信号を加算合成回路142−1〜142−Kに出力する。加算合成回路142−1〜142−Kは、送信信号処理回路141−1〜141−Lが生成した信号を周波数成分ごとに合成し、IFFT&GI付与回路143−1〜143−Kに出力する。IFFT&GI付与回路143−1〜143−Kは、加算合成回路142−1〜142−Kにおいて合成された信号に対しIFFT処理を施し、周波数軸上から時間軸上の信号に変換し、更にガードインターバルを付与し、必要に応じて波形整形を行い送信すべきデジタル・ベースバンド信号を生成し、D/A変換器144−1〜144−Kに出力する。なお、デジタル・ベースバンド信号は、アンテナ素子101−1〜101−Kそれぞれに対応し、個別に信号処理される。
ローカル発振器145は、アップコンバートに用いられる局部発振信号であって所定の周波数を有する局部発振信号をミキサ146−1〜146−Kに出力する。
ミキサ146−1〜146−Kは、D/A変換器144−1〜144−Kから入力されるアナログ信号に対し、ローカル発振器145から入力される局部発振信号を乗算して無線周波数にアップコンバートした信号をフィルタ147−1〜147−Kに出力する。なお、ミキサ146−1〜146−Kに入力される局部発振信号は同一の信号であり、周波数及び位相がそろった局部発振信号が各ミキサ146−1〜146−Kに入力される。
ハイパワーアンプ148−1〜148−Kは、フィルタ147−1〜147−Kから入力される信号を増幅し、TDDスイッチ102−1〜102−Kを介してアンテナ素子101−1〜101−Kより送信する。
通信制御回路110は、更に、送信タイミングや、宛先の端末装置の管理、TDDスイッチ102−1〜102−Kの切替えの制御を行う。
以下、図27から図31を用いて、本構成例の基地局装置10におけるチャネル推定から送信ウエイト及び受信ウエイトの算出までの処理を説明する。これらの一連処理は、端末装置と通信を開始する前に行うことが基本であるが、一旦、これらの処理を行った上で、逐次学習を行いながらチャネル情報の精度の向上、すなわち送信ウエイト及び受信ウエイトの精度の向上を図ることも可能である。
また、基地局装置10は、ブロードバンドサービスの中で利用されることを想定し、ある程度の帯域幅で通信を行う場合を対象とした。このため、OFDM(A)変調方式や、SC−FDE等の通信方式が用いられることを想定し、ブロック単位で各周波数成分を分離して信号処理をする説明を行っている。
このようにして求めたアップリンクのチャネル情報に対し、キャリブレーション係数を乗算してダウンリンクのチャネル情報を取得し(図30)、アップリンク及びダウンリンクのチャネル情報に基づいて送信ウエイト及び受信ウエイトを算出する(図31)。
以下、各処理を説明する。
基地局装置10において、チャネル情報短時間平均回路121は、端末装置から短時間平均化用のチャネル推定のトレーニング信号の受信が開始されると(ステップS101)、サンプリングのカウンタとしてのm及びMをゼロにリセットする(ステップS102)。ここで、カウンタとは、式(10)におけるm、Mのことであり、第Mシンボルの第mサンプルの意味である。チャネル情報短時間平均回路121は、FFT回路108−1〜108−Kから入力されるトレーニング信号に対してサンプリングを行い、サンプリングした信号をS(M) mとする(ステップS103)。
一方、カウンタmがデータ数Nと一致した場合(ステップS105:Yes)、チャネル情報短時間平均回路121は、1シンボル分のサンプリングが完了したとみなし、次のシンボルをサンプリングするために、カウンタmに0を代入し、カウンタMに「1」を加算する(ステップS106)。
一方、一続きのサンプリングが完了した場合(ステップS107:Yes)、チャネル情報短時間平均回路121は、式(12)を用いて^S(M,M’)を算出し(ステップS108)、式(13)の解ないしは式(11)を最大にする周波数誤差Δfを算出する(ステップS109)。
チャネル情報短時間平均回路121は、短時間平均されたサンプリングデータ〜Smに対してFFTを行い、各周波数成分の情報を算出し(ステップS111)、短時間平均化の処理を終了する(ステップS112)。
なお、周波数誤差Δfが無視可能なほどに小さいことが事前に分かっている場合(設計上、この様な設定となっている場合)、ないしは短時間平均化を行う時間(T×M0)が十分に短く設定されている場合には、周波数誤差Δfの補正に相当する処理S108及びS109を省略し、Δf=0として処理S110を直接実施することも可能である。
チャネル情報短時間平均回路121は、アンテナ素子101−1〜101−Kごとに、複数の周期に亘るトレーニング信号を周期ごとに分離し、分離した各トレーニング信号を合成して短時間の平均化処理を行う。更に、各アンテナ素子101−1〜101−Kで受信した信号に含まれる異なる周期を有する各周波数成分の信号をFFTにて周波数成分ごとに分離し、分離した周波数成分ごとの信号から各アンテナ素子101−1〜101−Kと端末装置との間のアップリンクにおける各周波数成分のチャネル情報を取得する。
相対成分取得回路122は、算出した第k周波数成分に対するオフセット値e−jφ(k)を各アンテナ素子101−1〜101−Kに対応する第k周波数成分^h(k) 1、…、^h(k) Kに乗算し(ステップS124−1〜S124−K)、相対的な複素位相関係を示すチャネル情報〜h(k) 1,…〜h(k) Kを求め、処理を終了する(ステップS125−1〜S125−K)。
上述のように、相対成分取得回路122は、第1のアンテナ素子101−1のチャネル情報を基準として、各アンテナ素子101−1〜101−Kの相対的なチャネル情報〜h(k) 1,…〜h(k) Kを算出する。なお、相対成分取得回路122は、端末装置ごとに、全ての周波数成分について上記のステップS121−1〜ステップS125−Kまでの処理を行い、各端末装置に対する全ての周波数成分における短時間平均のチャネル情報の相対成分〜h(k) 1,…,〜h(k) Kを算出する。
チャネル情報長時間平均回路123は、1回目からQ回目の短時間平均化処理(相対成分取得を含む)が完了すると(ステップS131−1〜131−Q)、相対成分取得回路122から短時間平均のチャネル情報の相対成分〜h(k) 1 [q],…〜h(k) K [q](q=1,…,Q)が入力される(ステップS132−1〜S132−Q)。ここで、短時間平均のチャネル情報の相対成分〜h(k) 1 [q]は、q回目に算出された第1のアンテナ素子101−1の第k周波数成分に対するチャネル情報の相対成分である。したがって、ステップS132−1〜S132−Qは時間的に異なるタイミングで行われる処理に相当する。なお、長時間平均化処理の対象になる回数Qは、無線通信システムを運用する環境などに基づいて予め定められる。
また、チャネル情報長時間平均回路123は、次式(21)を用いて、長時間平均のチャネル情報h(k) i(i=1,…,K)を算出する(ステップS133)。なお、ステップS132−1〜S132−Qは時間的に異なるタイミングで処理が完了するため、長時間平均化処理であるステップS133の実施までの間、このチャネル情報の相対成分を一時的にメモリに記憶しておき、一度にステップS133を実施しても構わない。ないしは、ステップS133のΣによる総和の個々の加算処理を、ステップS132−1〜S132−Qの個々の処理が完了ごとに実施し、次の処理までの間メモリに記憶しておいて、加算の都度、それらを読み出してステップS133を実施しても構わない。
以上の処理により、アップリンクのチャネル情報が直接的に取得できる。また、本構成例では、相対成分取得処理(図28)を行っているので、1回目からQ回目までの各短時間平均処理における位相のずれの影響を受けることなく長時間平均のチャネル情報を算出することができる。なお、上述のチャネル情報h(k) i等の右肩の添え字kは周波数成分を識別する番号(サブキャリア番号)を表している。
キャリブレーション回路126は、入力されたチャネル情報h(k) iと、読み出したキャリブレーション係数C(k) iとを乗算し(ステップS144)、乗算結果をダウンリンクのチャネル情報として、処理を終了する(ステップS145)。この場合も、後述の図31を用いて説明する送信ウエイトの算出は、ここで取得したダウンリンクのチャネル情報を用いて行われることになるが、これらの処理を行うにあたり一時的にメモリに記憶しておいても構わない。
キャリブレーション回路126は、各アンテナ素子101−1〜101−Kそれぞれに対して、周波数成分ごとに上述のステップS142からステップS144の処理を行う。
マルチユーザMIMO送信ウエイト算出回路127aは、ステップS153−1〜153−SからステップS155−1〜S155−Sまでの処理を全ての周波数成分に対して行う。
なお、送受信ウエイトは、アンテナ素子ごとのウエイトの値を各要素の成分として構成されるベクトル(ウエイトベクトル)の示す方向が実効的な意味をもつ。このため、あるウエイトベクトルに所定の係数を乗算したベクトルは方向的には同一であるため、アンテナ素子ごとに一定の係数が乗算されたウエイトベクトルは乗算される係数に依存せずに全て等価である。つまり、式(22)から式(24−2)などで与えられる行列の各行ベクトルないしは列ベクトル(従来からの公知の技術により求められる送受信ウエイトベクトル)の成分全体に共通の係数が乗算されたウエイトは、全て本発明背景技術におけるウエイトと等価なものである。
図31に関する以上の説明は送信ウエイトの算出に関するものであったが、受信ウエイトに関しても対応する回路(例えば、キャリブレーション回路126に対してチャネル情報長時間平均回路123、マルチユーザMIMO送信ウエイト算出回路127aに対してマルチユーザMIMO受信ウエイト算出回路124a、マルチユーザMIMO送信ウエイト記憶回路128aに対してマルチユーザMIMO受信ウエイト記憶回路125a)に置き換えて、同様の処理を行うことで受信ウエイトの算出処理を実施することができる。
次に、基地局装置10における信号の送信処理について図を参照して説明する。
図32は、本発明背景技術の第1の構成例における基地局装置10の送信処理を示すフローチャートである。先にも触れたが、ここではOFDM(A)変調方式ないしはSC−FDEを用いている場合について説明する。
基地局装置10において、送信処理が開始されると(ステップS161)、通信制御回路110またはスケジューリング処理回路181が公知の技術を用いて空間多重の対象となる端末装置を選択する(ステップS162)。なお、ここでは同時に空間多重する端末装置の選択方法、すなわちスケジューリング方法の詳細についての説明を省略する。送信信号処理回路141−1〜141−Lは、入力されるデータ入力#1〜#Lから各周波数成分の送信信号の生成を行う(ステップS163)。
送信信号処理回路141−1〜141−Lは、それぞれが各アンテナ素子101−1〜101−Kで送信する送信信号ごとに、ステップS163において生成した各周波数成分に分離した送信信号と、ステップS164において読み出した各周波数成分の送信ウエイトとを乗算し、加算合成回路142−1〜142−Kに出力する(ステップS165)。
これらの一連の処理(ステップS163からステップS167−1〜S167−K)は、無線パケットが複数シンボル又は複数ブロックに亘る場合には、OFDMシンボルやSC−FDEのブロック単位での処理がシンボル数ないしブロック数分だけ引き続き実施されることで無線パケット全体の送信信号処理が実施される。
また、送信ウエイトは図31に関連して説明したように、マルチユーザMIMO送信ウエイト記憶回路128aにて管理されている端末装置の組み合わせパターンは必ずしも全ての端末装置の組み合わせを含むわけではないため、この場合にはスケジューリング処理回路181がステップS162にて行う端末装置の組み合わせ選択では、マルチユーザMIMO送信ウエイト記憶回路128aにて管理されている端末装置の組み合わせパターンに対応した端末を選ぶことになる。
また、このようにして送信された信号は、各端末装置のアンテナ素子において、基地局装置10のアンテナ素子101−1〜101−Kから送信された信号が、周波数成分ごとに概ね同位相(厳密には、与・被干渉回避のヌル制御により、完全な同位相合成からは若干ずれている)で受信されることになる。各端末装置において受信された信号は、特に基地局装置10が行う各種信号処理を意識することなく受信できる通常の信号として処理することが可能である。
また、送信信号処理回路141−1〜141−LがステップS163において行うチャネル推定用信号等のオーバーヘッド情報(プリアンブル信号)の付与においては、複数の端末装置に対して共通のパターンの信号を利用することが可能である。これはステップS165において行う送信ウエイトの乗算により、各端末装置において他の端末装置宛の信号が十分に抑圧された状態で受信可能となるために、各端末装置に個別のプリアンブル信号を割り当てる必要がないからである。この結果、高次の空間多重を行いながらも、空間多重数に依存したシンボル数のプリアンブル信号を付与する必要が無くなり、MACレイヤの効率の低下を抑えることが可能となる。
図33は、本発明背景技術の第1の構成例における基地局装置10の受信処理を示すフローチャートである。端末装置が送信する信号は、本構成例における基地局装置10が実施する各種信号処理を意識することなく、通常の信号として送信される。ここでは、同時に空間多重する端末装置の選択方法、即ちスケジューリング方法の詳細は省略するが、MAC層処理回路180は公知の技術を用いて、空間多重してデータを伝送する端末装置を選択する。
これと並行して、割り当て指示(端末装置への送信指示)を行った所定のタイミングから各アンテナ素子101−1〜101−Kを介して信号を受信する(ステップS174−1〜S174−K)。ここでの受信とは、受信した信号ないしそれをダウンコンバートした信号に対し、アナログ/デジタル変換を施す処理までを含む。その後、FFT回路108−1〜108−Kにてシンボル単位で信号を抽出し、ガードインターバルを除去してFFT処理を実施し、時間軸上の信号を周波数軸上の信号に変換するなどの各種の受信信号処理を実施する(ステップS175−1〜175−K)。
ここで、所定の受信信号処理とは、空間多重された信号を信号分離した後の処理である。したがって、通常のSISO通信と同様の信号処理である。また、受信信号処理には、OFDM(A)変調方式が用いられている場合、サブキャリアごとの復調処理を含み、SC−FDEが用いられている場合、各周波数成分の受信信号に対し周波数軸上での信号等化処理を施し、その信号をIFFT処理で合成した信号に対するシングルキャリアの復調処理を含む。更には、必要に応じて誤り訂正の復号処理などを実施してもよい。当然ながら、以上の処理の後段でMACレイヤ等の信号処理も行われるが、公知の技術による処理と変わらないためここでは省略する。
また、送信処理においても説明したように、マルチユーザMIMO受信ウエイト記憶回路125aにて管理されている端末装置の組み合わせパターンは必ずしも全ての端末装置の組み合わせを含むわけではないため、この場合にはスケジューリング処理回路181がステップS172にて行う端末装置の組み合わせ選択では、マルチユーザMIMO受信ウエイト記憶回路125aにて管理されている端末装置の組み合わせパターンに対応した端末を選ぶことになる。
これにより、端末装置とアンテナ素子101−1〜101−Kとの間のチャネル情報の取得が困難なほどに、各アンテナ素子101−1〜101−Kによる回線利得が不足する環境であっても、各アンテナ素子101−1〜101−Kから送信された信号が端末装置において同位相合成される送信ウエイトを算出することができる。
これに対して、本構成例における基地局装置10は、信号を受信する都度、空間多重された信号系列を分離するための受信ウエイトを生成するための情報取得を目的としてチャネル推定をし、推定結果から受信ウエイトを算出することは不要である。この点が図14に示した基地局装置80の受信部85とは本質的に異なる。特に、基地局装置10では、長時間平均を行った多数のアンテナ素子101−1〜101−Kに対応するチャネル情報、及び端末装置の組み合わせを基に、事前に算出した受信ウエイトを用いる。
従来のマルチユーザMIMO技術において信号を受信する都度受信ウエイトを算出するのは、空間多重されている各信号系列(データ入力#1〜#L)からの干渉信号の強度が無視できないレベルであり、これを抑圧するためにヌル制御として他の端末装置の信号を合成時にキャンセルする係数を算出する必要があるからである。この信号抑圧のための信号処理が先に示した(擬似)逆行列などの算出であるが、行列サイズの3乗に比例して演算負荷が増大し、リアルタイム処理が不可能になる傾向にある。
本構成例における基地局装置10は、端末装置の組み合わせが定まると、当該組み合わせに対応した受信ウエイトを読み出して受信信号処理を行うのみでよいので、受信ウエイト算出演算に関してリアルタイム処理を必要としない(すなわち受信ウエイトはメモリからの単純な読み出しだけでよい)ため、膨大なアンテナ素子数を想定しても現実的なハードウエア構成で実現可能である。
また、マルチユーザMIMO送信ウエイト記憶回路128aに端末装置の組み合わせごとに算出した送信ウエイトを予め記憶させておくことにより、空間多重してデータを送信する際に、端末装置の組み合わせに対応する送信ウエイトを読み出し、送信信号処理を行うため、送信の都度、送信ウエイトを算出することなく、空間多重してデータを送信することができ、簡易な処理で膨大なアンテナ素子数を用いた高次の空間多重を実現し、その結果としてダウンリンクの周波数利用効率を向上させることができる。
上述した背景技術の第1の構成例では、基地局装置10は、ヌル制御を伴う指向性制御を行っているが、本構成例では、ヌル制御を伴わない指向制御により与干渉及び被干渉を抑圧する。本構成例では、第1の構成例との差分を中心に説明する。
上述の第1の構成例の説明において、図23〜図24および図26に関する送信部140および受信部100の構成の例、図27〜図30に示したチャネル情報取得に係わるフローチャートの説明を行なったが、これらは第2の構成例においても共通であり、変更はない。主なる差分は、送受信ウエイトの算出方法が同時に空間多重する端末装置の組み合わせに依存しない方法に変更になった点である。それに関連して、送受信ウエイト算出部120aの構成例を示す図25、送信ウエイトおよび受信ウエイトの算出処理を示す図31、送信処理を示すフローチャートである図32、受信処理を示すフローチャートである図33が、それぞれ対応する内容に変更となっている。
同図に示す送受信ウエイト算出部120bが、図24に示す基地局装置10と異なる点は、マルチユーザMIMO(MU−MIMO)受信ウエイト算出回路124a、マルチユーザMIMO(MU−MIMO)受信ウエイト記憶回路125a、マルチユーザMIMO(MU−MIMO)送信ウエイト算出回路127a、マルチユーザMIMO(MU−MIMO)送信ウエイト記憶回路128aに代えて、受信ウエイト算出回路124b、受信ウエイト記憶回路125b、送信ウエイト算出回路127b、送信ウエイト記憶回路128bを備える点である。
受信ウエイト算出回路124bは、チャネル情報長時間平均回路123が出力したチャネル情報に基づいて、端末装置ごとに受信ウエイトを算出し、算出した受信ウエイトを受信ウエイト記憶回路125bに出力する。受信ウエイト記憶回路125bは、受信ウエイト算出回路124bが算出した受信ウエイトを記憶する。
本構成例の基地局装置10におけるアップリンクのチャネル情報を取得する短時間平均化処理は、図27に示す第1の構成例と同様である。
また、本構成例の基地局装置10におけるアップリンクのチャネル情報の相対成分を取得する相対成分取得処理は、図28に示す第1の構成例と同様である。
また、本構成例の基地局装置10におけるアップリンクのチャネル情報の長時間平均化処理は、図29に示す第1の構成例と同様である。
また、本構成例の基地局装置10におけるダウンリンクのチャネル情報を取得する処理は、図30に示す第1の構成例と同様である。
送信ウエイト算出回路127bは、処理を開始すると(ステップS451)、第iのアンテナ素子101−iにおける第k周波数成分のチャネル情報h(k) iがキャリブレーション回路126から入力される(ステップS452)。
送信ウエイト算出回路127bは、キャリブレーション回路126から入力されたチャネル情報h(k) iの複素共役(h(k) i)*を算出し、算出した複素共役(h(k) i)*をチャネル情報h(k) iの絶対値で除算した値を送信ウエイトw(k) iにする(ステップS453)。すなわち、送信ウエイト算出回路127bは、次式(25)を用いて、送信ウエイトw(k) iを算出する(ステップS453)。
送信ウエイト算出回路127bは、各アンテナ素子101−1〜101−Kそれぞれに対して、周波数成分ごとに全ての端末装置に対して上述のステップS452からステップS453の処理を行う。
なお、受信ウエイト算出回路124bは、送信ウエイト算出回路127bと同様の演算により、チャネル情報長時間平均回路123から入力されるチャネル情報h(k) iから受信ウエイトを算出し、算出した受信ウエイトを受信ウエイト記憶回路125bに記憶させる。
なお、一般に複数のアンテナで受信した場合の信号合成のためのウエイトとしては、フェージング等の影響によりアンテナごとの信号の受信レベルに大きな差が見られる場合があり、その場合には受信レベルの低いアンテナ素子の受信信号の雑音の影響を抑制するために、以下に示す最大比合成のウエイトを用いることが多い。したがって、本構成例では式(25)の代わりに、以下に示す式(26)を用いることも可能である。
なお、送受信ウエイトは、アンテナ素子ごとのウエイトの値を各要素の成分として構成されるベクトル(ウエイトベクトル)の示す方向が実効的な意味をもつ。このため、あるウエイトベクトルに所定の係数を乗算したベクトルは方向的には同一であるため、アンテナ素子ごとに一定の係数が乗算されたウエイトベクトルは乗算される係数に依存せずに全て等価である。つまり、式(25)や式(26)で与えられる各ベクトルの成分全体に共通の係数が乗算されたウエイトは、全て本発明背景技術におけるウエイトと等価なものである。
図35に関する以上の説明は送信ウエイトの算出に関するものであったが、受信ウエイトに関しても対応する回路(例えば、キャリブレーション回路126に対してチャネル情報長時間平均回路123、送信ウエイト算出回路127bに対して受信ウエイト算出回路124b、送信ウエイト記憶回路128bに対して受信ウエイト記憶回路125b)に置き換えて、同様の処理を行うことで受信ウエイトの算出処理を実施することができる。
次に、本構成例の基地局装置10における信号の送信処理について図を参照して説明する。
図36は、本構成例における基地局装置10の送信処理を示すフローチャートである。ここではOFDM(OFDMA)変調ないしはSC−FDEを用いている場合について説明する。
ステップS461〜ステップS462の処理は、図32に示す第1の構成例の送信処理におけるステップS161〜ステップS162の処理と同様である。送信信号処理回路141−1〜141−Lは、入力されるデータ入力#1〜#Lから各周波数成分の送信信号の生成を行う(ステップS463−1〜S463−L)。ステップS463−1〜S463−Lにおいて、送信信号処理回路141−1〜141−Lが行う処理は、図32に示すステップS163と同様である。
送信信号処理回路141−1〜141−Lは、それぞれが各アンテナ素子101−1〜101−Kで送信する信号ごとに、ステップS463−1〜S463−Lにおいて生成した各周波数成分に分離した信号と、ステップS464−1〜S464−Lにおいて読み出した各周波数成分の送信ウエイトとを乗算し、加算合成回路142−1〜142−Kに出力する(ステップS465−1〜S465−L)。
若干補足すると、背景技術第1の構成例に関する図32におけるステップS163からステップS165の処理は、各端末装置宛の送信信号を要素とする送信信号ベクトルに、送信ウエイトにより構成される送信ウエイト行列を乗算する処理に対応する。その送信ウエイト行列は、空間多重を行う端末装置の組み合わせが異なると、全ての行列要素が全く異なるものとなる。一方で、本構成例におけるステップS463−1〜S463−L、ステップS464−1〜S464−L、及び、ステップS465−1〜S465−Lの処理では、単純に各端末装置宛の信号に対し端末装置に固有の係数を送信ウエイトとして乗算し、それを各アンテナ素子から送信する処理に相当し、同時に空間多重する端末局を意識することのない独立な処理で対応可能である。
これにより、送信する都度、送信ウエイトを算出することなく、任意の端末局の組み合わせに対する送信処理を行うことができる。全ての端末装置の数MからN個を選び出す組み合わせはMCNだけあり、「M」や「N」の値が大きいとその組み合わせの数は天文学的な膨大な数になるのであるが、利用する送信ウエイトが端末装置の組み合わせに依存しないということは、その天文学的な数の全てのバリエーションに対しても対処可能であることを意味している。同時に、送信ウエイト記憶回路128bに記憶すべき情報量は、周波数成分の数(例えばサブキャリア数)×収容する端末装置数の送信ウエイトベクトルのみで良く、端末装置数が増えた場合においても送信ウエイト記憶回路128bの記憶容量の増加を抑制することができるという特徴も併せ持つ。
また、このようにして送信された信号は、各端末装置のアンテナ素子において、基地局装置10のアンテナ素子101−1〜101−Kから送信された信号が、周波数成分ごとに同位相で受信されることになる。各端末装置において受信された信号は、特に基地局装置10が行う各種信号処理を意識することなく受信できる通常の信号として処理することが可能である。
また、ステップS463−1〜S463−Lにおいて行うチャネル推定用信号等のオーバーヘッド情報(プリアンブル信号)の付与においては、複数の端末装置に対して共通のパターンの信号を利用することが可能である。これはステップS465−1〜S465−Lにおいて行う送信ウエイトの乗算により、各端末装置において他の端末装置宛の信号が十分に抑圧された状態で受信可能となるために、各端末装置に個別のプリアンブル信号を割り当てる必要がないからである。この結果、高次の空間多重を行いながらも、空間多重数に依存したシンボル数のプリアンブル信号を付与する必要が無くなり、MACレイヤの効率の低下を抑えることが可能となる。
図37は、本発明背景技術の第2の構成例における基地局装置10の受信処理を示すフローチャートである。
ステップS471〜ステップS473までの処理は、図33に示す第1の構成例の受信処理におけるステップS171〜ステップS173までの処理と同様である。
ステップS478−1〜S478−L以降の処理は、図33に示すステップS178−1〜178−K以降の処理と同様である。
なお、ステップS476の処理は、図33に示すステップS176に対応する処理であるが、図33に示すステップS176の処理では同時に空間多重する端末装置の組み合わせに依存した受信ウエイトを読み出すのに対し、ステップS476の処理では端末装置の組み合わせを意識せずに、単純に各端末装置に対応した受信ウエイトを端末装置毎に個別に読み出せば良い。このため、上記の送信処理で説明したのと同様に、任意の端末局の組み合わせに対する受信処理を行うことができる。また、端末装置数が増えた場合においても、受信ウエイト記憶回路125bの記憶容量の増加を抑制することができる。
以上が、本発明背景技術の構成例の説明である。以下に、これらの構成例に共通な補足事項を示しておく。
第1および第2の構成例における基地局装置10では、アップリンクにおけるチャネル情報を取得する際に図27に示した短時間平均処理を実施する構成を説明した。しかし、これは(要求条件1)への対応を前提とするものであった。例えば、回線設計的にはチャネル推定は実施可能なレベルであるが、より高い伝送レートでの通信のために、回線利得を更に得るための手段として基地局装置10を用いる場合には、必ずしも短時間平均を行う必要はない。この場合、アップリンクのチャネル情報を取得する短時間平均化処理(図27)は、単に、チャネル推定処理に置き換えることができる。
さらにこの場合、各周波数成分の必ずしも全てのアンテナ素子において複素位相の回転量が同一(ないしは、キャリブレーション係数が1)である必要はなく、この条件が一部の少数のアンテナ素子において例外的に満たされない状況であっても、少なくとも半数以上のアンテナ素子でこの条件を満たしていれば、全体として本発明の意図する動作を実現することは可能である。
また、SC−FDEに関しても様々な運用上のバリエーションが存在するが、送信側で送信ウエイトを乗算し、各アンテナ素子から送信された信号が空間上で合成された後の受信信号処理、及び受信側で受信ウエイトを乗算し、各アンテナ素子の信号が加算合成された後の受信信号処理のいずれにおいても、上述の各構成例では従来のSC−FDEで行われる処理をそのまま適用する構成としているために、全てのバリエーションのSC−FDEに適用可能である。
また同様に、本発明背景技術においてはデータ通信の際に用いるチャネル推定用のプリアンブル信号は全ての端末装置において共通のプリアンブル信号とすることは可能であるが、一部の端末装置で他のプリアンブル信号を用いる構成とすることも当然ながら可能であり、少なくとも複数の端末装置に対して同時に空間多重して信号を送受信する際に共通のプリアンブルを用いたとすれば、それは本発明背景技術の意図する動作に相当する。
図38は、上述の本発明背景技術の各構成例においてアップリンクのチャネル情報の相対成分を取得する他の相対成分取得処理を示すフローチャートである。同図に示す処理と図28に示した処理との差分は、相対成分の取得の際に用いる複素位相のオフセット値φ(k)を、特定のアンテナ素子101−1の複素位相を基準とする代わりに、ステップS193において全てのアンテナ素子101−1〜101−Kの複素位相(すなわち0〜2πで表される角度)の平均値を用いる点である。ステップS122−1〜122−Kにてアンテナ素子101−1〜101−Kに対応するチャネル情報における第k周波数成分^h(k) 1,…,^h(k) Kを基に、次式(27)を用いて第k周波数成分に対する全アンテナの複素位相の平均値φ(k)を求め、これをステップS124−1〜S124−Kにて用いることで相対成分の取得を実現する。なお、このオフセット値は周波数成分ごとに個別に求める。
個々のアンテナ素子101−1〜101−Kの複素位相成分は誤差を含む場合においても、式(27)では誤差の平均化を行うことになるので、結果的に精度の高い相対成分を求めることができる。
また、例えば式(27)ではチャネル情報^h(k) iの複素位相を抽出する処理を行っているが、チャネル情報^h(k) iの実数部と虚数部の比率から複素位相の角度情報を取得し、その角度情報を基に式(27)と等価な値を算出することも可能である。これは数式的には異なる処理に見えるが、数学的には全く等価な処理であり、全ての演算処理に対しこのような数学的に等価な代替の手段で処理を代用することも当然ながら可能である。
また同様に第2の構成例における基地局装置10では、図28に示すアップリンクのチャネル情報の相対成分の取得後の処理として、図29に示す長時間平均化処理を行なった後、図35に示す送受信ウエイト算出処理を行なっていた。しかし、式(25)ないし式(26)で示すウエイトは単純な複素位相成分の抽出に相当する。そのため、図28に示す相対成分の取得後に、図29で算出した長時間平均化後のチャネル情報h(k) iに代えて取得した長時間平均化前の各相対成分を用いて図35に示す送受信ウエイト算出処理を実施し、その後、図29のステップS131−1〜S131−Qにおいて個々の短時間平均化チャネル情報に代えて図35で算出した受信ウエイトを利用する(ステップS133における長時間平均化の対象をこの受信ウエイトに置き換える)ことでも近似的に同等の長時間平均の受信ウエイトを取得することが可能である。つまり、先の第1及び第2の構成例では長時間平均化の対象となる物理量はチャネル情報の相対成分であったが、チャネル情報の相対成分から算出した受信ウエイトを長時間平均化の対象となる物理量に置き換えることも可能である。
更に、図17に示した本発明に係る無線通信システムが具備する基地局装置の設置例では、端末装置12−1〜12−2は1本のアンテナを備えるものとして図示したが、端末装置が複数のアンテナを備えていたとしても同様の処理を行うことは可能である。原理的には、端末装置12−1〜12−2が複数本のアンテナを備えていれば、一つの端末局に複数の信号系列を空間多重することも可能である。この場合、端末装置12−1〜12−2の各アンテナを個々の端末局のアンテナ素子と見なすことで、本発明背景技術を同様に実施することが可能である。ただし、本発明では端末装置12−1〜12−2と基地局装置のアンテナ素子13−1〜13−4は相互に見通し環境であることを想定しているため、一般的には基地局と一つの端末局の間でMIMO伝送を行うことは困難(第2固有値以降がゼロに近づく)であることが多い。そこで端末局が複数本のアンテナを備えている場合には、実際には単一信号系列の送受信を複数アンテナのダイバーシチ構成として運用するのが現実的である。この場合には、複数のアンテナを適当なウエイトで合成することで、仮想的な1本のアンテナとみなすことが可能であり、この仮想的な1本のアンテナとの間で同様の処理を実現すれば、全く同様に本発明背景技術を適用することが可能である。
また更に、以上の動作原理及び本発明背景技術の構成例の説明の中では、各アンテナ素子に対応したチャネル情報や送受信ウエイトについて述べてきたが、各アンテナ素子のチャネル情報ないしは送受信ウエイトを成分として構成されるベクトルは、そのベクトルの示す方向が実効的な意味をもつ。このため、あるベクトルに所定の係数を乗算したベクトルは方向的には同一であるため、アンテナ素子ごとに一定の係数が乗算されたベクトルは乗算される係数に依存せずに全て等価な意味合いをもつことになる。
一方で、本発明の前提条件で説明した通り、基地局装置と端末装置のアンテナはそれぞれ見通し環境ないしは見通し環境に近い環境を想定しているため、各アンテナ素子で受信される信号の強度及び振幅は概ね一定の値となっていることが期待される。このため、例えば各アンテナ素子のチャネル情報のベクトルは、実効的にはベクトルの各成分の絶対値はそれほど大きな意味を持たず、チャネル情報の値を規格化した値(チャネル情報をその絶対値で除算して得られる複素数)が有意な情報となる。このため、以上の動作原理及びの説明の中で用いられた「チャネル情報」を、近似的に「チャネル情報の値を規格化した値」とみなした処理は本発明及び本発明の背景技術と全く等価なものであり、その意味で上述の「チャネル情報」とは広義の意味で「チャネル情報の値を規格化した値」までを含むものとする。
また更に、本明細書においては説明の都合上、「行ベクトル」と「列ベクトル」をあまり区別することなく扱っている。例えば、式(3)におけるチャネル情報ベクトルhiは行ベクトルであり、送信ウエイトベクトルwjは列ベクトルである。ベクトルの並びの方向を統一する厳密な数学上の表記であれば、「転置」などの記号などを使って表記すべきであるが、本発明の実施において必要な情報はベクトルの各成分の値であり、そのベクトルが行ベクトルか列ベクトルであるかはあまり意味を持たないため、理解の容易さを優先して「行ベクトル」と「列ベクトル」を区別しない説明としている。
以上の動作原理のもと、具体的な本発明の実施形態について以下に説明を行う。本発明の実施形態は、本発明背景技術との組み合わせで実施されるものであり、その際には上述の複数の構成例のいずれと組み合わせることも可能である。
図39は、本発明の第1の実施形態における基地局装置50の構成を示す概略ブロック図である。この図において、図23に示す背景技術の第1の構成例における基地局装置10と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示すように、基地局装置50は、受信部100、送信部140、送受信ウエイト算出部520、インタフェース回路170、MAC層処理回路180、通信制御回路110、及び記憶回路115を備えている。MAC層処理回路180は、スケジューリング処理回路181を有している。同図に示す基地局装置50と、図23に示す背景技術の第1の構成例における基地局装置10との構成上の差分は、送受信ウエイト算出部120aに代えて送受信ウエイト算出部520を備えている点、さらに記憶回路115を備えている点である。
まず背景技術において説明したように、基地局装置50は、長時間平均化したチャネル情報に基づいて送信ウエイト及び受信ウエイトを算出し、これらを利用して空間多重により通信を行う。ところが実際には、この平均化したチャネル情報に基づく送信ウエイト及び受信ウエイトを使用しても、チャネルの時変動により、例えば背景技術第1の構成例を用いた場合であっても送受信ウエイトによるヌル制御が破れるため、端末装置間の相互干渉が発生し、その分だけSIR特性が劣化する。このように、実際のサービス運用中はチャネル時変動の影響を受けることになる。
以下に、そのチャネル時変動の程度を評価する方法を示す。
上述した図29において、チャネル情報長時間平均回路123は、各アンテナ素子101−1〜101−Kごとに、ステップS132−1〜S132−Qのそれぞれの処理の機会に各周波数成分のチャネル情報の相対成分〜h(k) i [q]をスケジューリング情報取得回路131に出力しており(ここでは図示されていない)、スケジューリング情報取得回路131は、これらの情報を事前に記憶しておく。さらに、チャネル情報長時間平均回路123は、ステップS133においては、各周波数成分のチャネル情報の相対成分〜h(k) i [q]のそれぞれを平均化した長時間平均のチャネル情報h(k) iを算出する長時間平均化を行う(ステップS511)。ステップS133(ステップS511)の処理に続けて、チャネル情報長時間平均回路123は、この長時間平均化で得られた平均値のチャネル情報の相対成分h(k) iをスケジューリング情報取得回路131に出力する。スケジューリング情報取得回路131は、入力された平均値のチャネル情報の相対成分h(k) iをもとに、毎回のチャネル推定測定値(相対成分)と平均値との誤差の絶対値の2乗を以下の次式(28)で平均化し、各アンテナ素子101−iについてのサブキャリアk毎の平均時変動{Δ(k) i}ave 2を算出する。
スケジューリング処理回路181は、残りの候補があると判断した場合には(ステップS616:YES)、ステップS612に戻り、新たな端末装置の追加の可否をステップS612〜ステップS616を繰り返し行なうことで継続する。
以上、第1の実施形態では、時変動指標の階級値ないしは階級値をSIR値に換算した情報をもとに式(18)、式(19)、式(20)等を用いて空間多重数およびまたは適応変調の最適化を図っていた。しかし、スケジューリング処理はリアルタイムで高速に処理することが求められている場合が多く、様々な情報を固定的に扱うことで大幅な簡易化を図ることが考えられる。この様な条件下では、時変動指標の階級値を直接、空間多重の多重数ないしは最適な伝送モードに変換するテーブルを事前に作成し、基地局装置50は、そのデータテーブルを参照して割り当てを決定する構成とすることも可能である。
基地局装置50の記憶回路115は、予め時変動指標の階級値と許容空間多重数とを対応付けた許容多重数変換データテーブルを記憶している。これらは、別途行うシミュレーション等により時変動指標の値がどの程度の干渉量に匹敵するかの推定SIR値の換算を行い、さらに伝送モードに加え最低SNR値を仮定した上で、式(19)等により許容多重数を対応付ける。逆にこの対応付けに合わせて、時変動指標の階級値の刻み幅、階級値などを許容多重数的にキリの良い値(許容多重数が切り替わる境界値)として最適化しても良い。
これにより、信号受信時、通信制御回路110は、受信信号処理回路109−l(l=1〜L)に対応した端末装置についてスケジューリング処理回路181が決定した許容空間多重数および割り当て端末情報を取得し、受信信号処理回路109−l(l=1〜L)に指示する。受信信号処理回路109−lは、自回路に対応した端末装置の受信信号の受信処理を行う。
また、信号送信時、通信制御回路110は、送信信号処理回路141−l(l=1〜L)に対応した端末装置についてスケジューリング処理回路181が決定した許容空間多重数および割り当て端末情報を取得し、送信信号処理回路141−lに指示する。送信信号処理回路141−l(l=1〜L)は、自回路に対応した端末装置の送信信号の送信処理を行う。
また、スケジューリング処理回路181は、ほぼ同程度の許容空間多重数の端末装置についてグルーピングし、このグルーピングした端末装置に対して同時に信号受信又は信号送信を行うよう、スケジューリングすることで、伝送効率を向上することもできる。
基地局装置50の記憶回路115は、予め時変動指標の階級値と許容伝送モードとを対応付けた許容伝送モード変換データテーブルを記憶している。これらは、別途行うシミュレーション等により時変動指標の値がどの程度の干渉量に匹敵するかの推定SIR値の換算を行い、さらに多重数の上限値に加え最低SNR値を仮定した上で、式(20)等により最適伝送モードを対応付ける。逆にこの対応付けに合わせて、時変動指標の階級値の刻み幅、階級値などを伝送モード的にキリの良い値として最適化しても良い。
これにより、信号受信時、通信制御回路110は、受信信号処理回路109−l(l=1〜L)に対応した端末装置についてスケジューリング処理回路181が決定した伝送モードおよび割り当て端末情報を取得し、受信信号処理回路109−lに指示する。受信信号処理回路109−l(l=1〜L)は、自回路に対応した端末装置の受信信号の受信処理を行う。
また、信号送信時、通信制御回路110は、送信信号処理回路141−l(l=1〜L)に対応した端末装置についてスケジューリング処理回路181が決定した伝送モードおよび割り当て端末情報を取得し、送信信号処理回路141−lに指示する。送信信号処理回路141−l(l=1〜L)は、自回路に対応した端末装置の伝送モードによって送信信号の送信処理を行う。
また、スケジューリング処理回路181は、同じ許容伝送モードの端末装置についてグルーピングし、このグルーピングした端末装置に対して同時に信号受信又は信号送信を行うよう、スケジューリングすることで、伝送効率を向上することもできる。
以上の第1および第2の実施形態では、送受信ウエイト算出回路520内のチャネル情報長時間平均回路123がサービス運用開始前に事前に取得した情報をもとに時変動指標を算出していた。この場合、端末装置毎の統計的なチャネルの時変動の大きさに応じた空間多重数およびまたは適応変調の最適化を行っていたが、チャネル情報の平均値と実際のチャネル情報との差は時間と共に大きく変るため、リアルタイムでその変動に追従できることが好ましい。例えば、道路からの反射波が無視できない場合、深夜や早朝であれば車の量が少ないので平均値との差が小さいことが予想されるが、交通量が多い時間帯は車や歩行者により随時チャネル情報が変動する。このため、第3の実施形態では、逐次の情報を用いてリアルタイムで時変動指標を更新し、この更新された情報を用いて空間多重数およびまたは適応変調の最適化を行うこととする。なお、以下の処理における時変動指標の算出処理は、スケジューリング処理回路181の代わりに通信制御回路110が処理を行なうものとしても同等の動作を実現することができる。
基地局装置50の受信信号処理回路109−l(l=1〜L、lは信号系列毎に振られた識別番号)は、図33のステップS178−lにおいて各信号系統の受信信号を信号分離する。この後、ステップS179−lにおいて受信信号処理回路109−l(l=1〜L)は受信信号処理を行うが(ステップS521)、この受信信号処理の最初に、分離した受信信号毎に、当該受信信号に含まれるプリアンブル信号を利用してチャネル推定を行う(ステップS522)。受信信号処理回路109−lは、このチャネル推定結果を周波数成分毎にスケジューリング処理回路181に出力する。スケジューリング処理回路181は、ステップS522において得られたチャネル推定結果を利用して、以下の手順で時変動指標を算出する。
なお、本発明における基地局装置の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、送信ウエイト及び受信ウエイト、並びに送受信ウエイトを算出する処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウエアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。更に「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
2−1、2−2、2−3 有効な信号領域
3−1、3−2、3−3 トレーニング信号
4−1、4−2、4−3 末尾領域
5−1、5−2、5−3 ガードインターバル
6−1、6−2、6−3 信号周期
10 基地局装置
11 建築物
12−1、12−2 端末装置
13−1、13−2、13−3、13−4 基地局装置のアンテナ素子
14−1、14−2、14−3 地上の移動体
15−1、15−2、15−3 建築物
16 長時間平均のチャネル情報に対応するベクトル
17−1、17−2、17−3、17−4 短時間平均のチャネル情報に対応するベクトル
18 チャネル推定誤差の範囲
21−1、21−2、21−3 ハイパワーアンプ(HPA)
22−1、22−2、22−3 ローノイズアンプ(LNA)
23−1、23−2、23−3 時分割スイッチ(TDD−SW)
24−1、24−2、24−3 アンテナ素子
25−1、25−2、25−3 無線モジュール
26−1、26−2、26−3 アンテナ端子
27 同軸ケーブル
50 基地局装置
80 基地局装置
81 送信部
85 受信部
87 インタフェース回路
88 MAC層処理回路
92 制御局装置
96−1、96−2、96−N2 光ファイバ
97−1、97−2、97−N2 無線モジュール
100 受信部
101−1、101−2、101−K アンテナ素子
102−1、102−2、102−K TDDスイッチ
103−1、103−2、103−K ローノイズアンプ(LNA)
104 ローカル発振器
105−1、105−2、105−K ミキサ
106−1、106−2、106−K フィルタ
107−1、107−2、107−K A/D変換器
108−1、108−2、108−K FFT回路
109−1、109−2、109−L 受信信号処理回路(受信信号処理部)
110 通信制御回路(通信制御部)
115 記憶回路
120a、120b 送受信ウエイト算出部
121 チャネル情報短時間平均回路(チャネル情報取得部)
122 相対成分取得回路(相対成分取得部)
123 チャネル情報長時間平均回路(チャネル情報平均部)
124a マルチユーザMIMO受信ウエイト算出回路(受信ウエイト演算部)
124b 受信ウエイト算出回路(受信ウエイト演算部)
125a マルチユーザMIMO受信ウエイト記憶回路
125b 受信ウエイト記憶回路
126 キャリブレーション回路(ダウンリンクチャネル情報算出部)
127a マルチユーザMIMO送信ウエイト算出回路(送信ウエイト算出部)
127b 送信ウエイト算出回路(送信ウエイト算出部)
128a マルチユーザMIMO送信ウエイト記憶回路
128b 送信ウエイト記憶回路
129 キャリブレーション係数記憶回路(キャリブレーション係数記憶部)
131 スケジューリング情報取得回路(時変動指標算出部)
140 送信部
141−1、141−2、141−L 送信信号処理回路(送信信号処理部)
142−1、142−2、142−K 加算合成回路
143−1、143−2、143−K IFFT&GI付与回路
144−1、144−2、144−K D/A変換器
145 ローカル発振器
146−1、146−2、146−K ミキサ
147−1、147−2、147−K フィルタ
148−1、148−2、148−K ハイパワーアンプ(HPA)
170 インタフェース回路
180 MAC層処理回路
181 スケジューリング処理回路(スケジューリング処理部)
520 送受信ウエイト算出部
801 基地局装置
802−1、802−2、802−3 端末装置
811−1、811−2、811−L 送信信号処理回路
812−1、812−2、812−K 加算合成回路
813−1、813−2、813−K IFFT&GI付与回路
814−1、814−2、814−K D/A変換器
815 ローカル発振器
816−1、816−2、816−K ミキサ
817−1、817−2、817−K フィルタ
818−1、818−2、818−K ハイパワーアンプ(HPA)
819−1、819−2、819−K アンテナ素子
820 通信制御回路
830 送信ウエイト処理部
831 チャネル情報取得回路
832 チャネル情報記憶回路
833 マルチユーザMIMO送信ウエイト算出回路
851−1、851−2、851−K アンテナ素子
852−1、852−2、852−K ローノイズアンプ(LNA)
853 ローカル発振器
854−1、854−2、854−K ミキサ
855−1、855−2、855−K フィルタ
856−1、856−2、856−K A/D変換器
857−1、857−2、857−K FFT回路
858−1、858−2、858−L 受信信号処理回路
860 受信ウエイト処理部
861 チャネル情報推定回路
862 マルチユーザMIMO受信ウエイト算出回路
881 スケジューリング処理回路
901 送信局
902−1、902−N1 中継局
903 受信局
911−1、911−2、911−3 セル
912−1、912−2、912−3 リモート基地局
913−1、913−2、913−3、913−4、913−5、913−6 端末装置
914 制御局
915 光ファイバ
921 送信信号処理回路
922−1、922−2、922−N2 IFFT&GI付与回路
923−1、923−2、923−N2 D/A変換器
924 ローカル発振器
925−1、925−2、925−N2 ミキサ
926−1、926−2、926−N2 フィルタ
927−1、927−2、927−N2 E/O変換器
931−1、931−2、931−N2 O/E変換器
932−1、932−2、932−N2 ミキサ
933 ローカル発振器
934−1、934−2、934−N2 フィルタ
935−1、935−2、935−N2 A/D変換器
936−1、936−2、936−N2 FFT回路
937 チャネル情報推定回路
938 受信ウエイト算出回路
939 受信信号処理回路
941 チャネル情報取得回路
942 チャネル情報記憶回路
943 送信ウエイト算出回路
961−1、961−2、961−3、961−4、961−5 アンテナ素子
971−1、971−2、971−N2 O/E変換器
972−1、972−2、972−N2 ハイパワーアンプ(HPA)
973−1、973−2、973−N2 アンテナ素子
974−1、974−2、974−N2 ローノイズアンプ(LNA)
975−1、975−2、975−N2 E/O変換器
Claims (7)
- 複数のアンテナ素子を備えた基地局装置と、該基地局装置と無線通信を行う複数の端末装置を具備し、前記基地局装置と少なくとも2つの前記端末装置とが同一周波数成分上で同一時刻に空間多重伝送を行うことが可能な無線通信システムにおける基地局装置であって、
前記端末装置ごとに、該端末装置から受信したトレーニング信号に基づいて、該端末装置と複数の前記アンテナ素子それぞれとの間のアップリンクにおける各周波数成分のチャネル情報を取得するチャネル情報取得部と、
前記端末装置ごとに、前記アンテナ素子に対応する各周波数成分のチャネル情報の複素位相を基に算出される複素位相を基準として、個々の前記アンテナ素子それぞれに対応する各周波数成分のチャネル情報の複素位相から前記基準とした各周波数成分のチャネル情報の複素位相を補正した相対的なチャネル情報を算出する相対成分取得部と、
前記端末装置ごとに、前記相対成分取得部が複数回に亘って算出した前記アンテナ素子それぞれに対する各周波数成分のチャネル情報から得られる物理量の平均値を算出し、該平均値に基づいて、前記端末装置ごとに、複数の前記アンテナ素子それぞれに対する各周波数成分における空間多重伝送のための受信ウエイトを算出する受信ウエイト演算部と、
前記アンテナ素子ごとに該アンテナ素子を介して前記端末装置から受信した受信信号を周波数成分ごとに分離し、前記受信信号の送信元である前記端末装置に対応した各周波数成分の前記受信ウエイトと前記周波数成分ごとに分離した受信信号とを乗算し、前記受信ウエイトが乗算された受信信号を複数の前記アンテナ素子に亘り周波数成分ごとに加算合成して合成受信信号を生成し、該合成受信信号に含まれるプリアンブル信号を用いて周波数成分毎に該合成受信信号のチャネル推定を行うとともに該合成受信信号の受信処理を前記端末装置ごとに行う受信信号処理部と、
前記端末装置ごとに、前記相対成分取得部により算出された前記相対的なチャネル情報又は前記受信信号処理部にて行なう前記合成受信信号のチャネル推定により得られたチャネル情報のいずれかに対し、複数回に亘る平均値と個々の測定値との差分とに基づいて時変動指標を算出する時変動指標算出部と、
前記端末装置毎の伝送モードと多重数を決定するスケジューリング処理部とを備え、
前記スケジューリング処理部は、前記時変動指標算出部により算出された前記時変動指標に応じて前記端末装置毎の前記伝送モードと前記多重数の一方又は両方を決定し、
前記受信信号処理部は、前記スケジューリング処理部が決定した前記端末装置の前記伝送モードと前記多重数に従って前記受信信号の受信処理を行う、
ことを特徴とする基地局装置。 - 前記時変動指標算出部は、
前記相対成分取得部により算出された個々の前記相対的なチャネル情報と、前記相対成分取得部により複数回に亘って算出された前記相対的なチャネル情報の平均値との差分の絶対値をα乗(α>0)した値を算出し、さらに算出した該値を前記相対的なチャネル情報の平均値の絶対値のα乗で除算し、除算により得られた値を、複数の周波数成分、複数のアンテナ素子および複数回の個別の測定に亘って平均化した値を時変動指標として出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。 - 前記時変動指標算出部は、
前記受信信号処理部が生成した前記合成受信信号のチャネル推定により得られたチャネル情報の平均値または前記平均値の近似値と、個別の推定で得られたチャネル情報との差分の絶対値をα乗(α>0)した値を算出し、さらに算出した該値を前記チャネル情報の平均値または平均値の近似値の絶対値のα乗で除算し、除算により得られた値を、チャネル推定がなされた複数の周波数成分および複数回の個別の推定に亘って平均した値またはその平均した値の近似値を時変動指標として出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。 - 前記アンテナ素子ごとに、該アンテナ素子と前記端末装置との間のアップリンクにおけるチャネル情報からダウンリンクにおけるチャネル情報を算出する際に用いるキャリブレーション係数を周波数成分ごとに記憶しているキャリブレーション係数記憶部と、
前記端末装置ごとに、前記相対成分取得部が複数回に亘って算出した前記アンテナ素子それぞれに対する各周波数成分の相対的なチャネル情報の平均値を算出するチャネル情報平均部と、
前記チャネル情報平均部が前記端末装置ごとに算出した前記アンテナ素子それぞれに対する各周波数成分の平均的なチャネル情報それぞれに、前記アンテナ素子及び周波数成分の組み合わせに対応するキャリブレーション係数を乗じてダウンリンクにおけるチャネル情報を算出するダウンリンクチャネル情報算出部と、
前記ダウンリンクチャネル情報算出部が算出したダウンリンクにおける前記アンテナ素子それぞれに対する各周波数成分のチャネル情報から、前記アンテナ素子それぞれに対する各周波数成分の空間多重伝送のための送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出部と、
データの送信先として選択された前記端末装置ごとに、該端末装置に送信する送信信号を周波数成分ごとの信号に分離し、分離した信号それぞれに対し、データの送信先となる前記端末装置に対応した各周波数成分の前記送信ウエイトを乗じ、宛先となる複数の前記端末装置に対する該信号を前記アンテナ素子ごとに合成し、該合成された信号を前記選択された端末装置に対して前記アンテナ素子それぞれから同時に送信する送信信号処理部と
を更に備え、
前記送信信号処理部は、前記スケジューリング処理部が前記端末装置について決定した前記端末装置の前記伝送モードと前記多重数に従ってデータの送信先となる前記端末装置に送信する前記送信信号を生成する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基地局装置。 - 前記スケジューリング処理部は、同時にデータの受信を行う前記端末装置の組、又は、同時にデータの送信を行う前記端末装置の組を決定するスケジューリング処理に先行して前記端末装置ごとに時変動指標をもとに前記伝送モードと前記多重数の一方または両方に関する利用条件を事前に設定し、該利用条件に基づいて前記スケジューリング処理を行う、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の基地局装置。 - 複数のアンテナ素子を備えた基地局装置と、該基地局装置と無線通信を行う複数の端末装置を具備し、前記基地局装置と少なくとも2つの前記端末装置とが同一周波数成分上で同一時刻に空間多重伝送を行うことが可能な無線通信システムにおける無線通信方法であって、
前記端末装置ごとに、該端末装置から受信したトレーニング信号に基づいて、該端末装置と複数の前記アンテナ素子それぞれとの間のアップリンクにおける各周波数成分のチャネル情報を取得するチャネル情報取得ステップと、
前記端末装置ごとに、前記アンテナ素子に対応する各周波数成分のチャネル情報の複素位相を基に算出される複素位相を基準として、個々の前記アンテナ素子それぞれに対応する各周波数成分のチャネル情報の複素位相から前記基準とした各周波数成分のチャネル情報の複素位相を補正した相対的なチャネル情報を算出する相対成分取得ステップと、
前記端末装置ごとに、前記相対成分取得ステップにおいて複数回に亘って算出した前記アンテナ素子それぞれに対する各周波数成分のチャネル情報から得られる物理量の平均値を算出し、該平均値に基づいて、前記端末装置ごとに、複数の前記アンテナ素子それぞれに対する各周波数成分における空間多重伝送のための受信ウエイトを算出する受信ウエイト演算ステップと、
前記アンテナ素子ごとに該アンテナ素子を介して前記端末装置から受信した受信信号を周波数成分ごとに分離し、前記受信信号の送信元である前記端末装置に対応した各周波数成分の前記受信ウエイトと前記周波数成分ごとに分離した受信信号とを乗算し、前記受信ウエイトが乗算された受信信号を複数の前記アンテナ素子に亘り周波数成分ごとに加算合成して合成受信信号を生成し、該合成受信信号に含まれるプリアンブル信号を用いて周波数成分毎に該合成受信信号のチャネル推定を行うとともに該合成受信信号の受信処理を前記端末装置ごとに行う受信信号処理ステップと、
前記端末装置ごとに、前記相対成分取得ステップにおいて算出された前記相対的なチャネル情報又は前記受信信号処理ステップにおいて前記合成受信信号のチャネル推定により得られたチャネル情報のいずれかに対し、複数回に亘る平均値と個々の測定値との差分とに基づいて時変動指標を算出する時変動指標算出ステップと、
前記端末装置毎の伝送モードと多重数を決定するスケジューリング処理ステップとを有し、
前記スケジューリング処理ステップにおいては、前記時変動指標算出ステップにおいて算出された前記時変動指標に応じて前記端末装置毎の前記伝送モードと前記多重数の一方又は両方を決定し、
前記受信信号処理ステップにおいては、前記スケジューリング処理ステップにおいて決定した前記端末装置の前記伝送モードと前記多重数に従って前記受信信号の受信処理を行う、
ことを特徴とする無線通信方法。 - 複数のアンテナ素子を備えた基地局装置と、該基地局装置と無線通信を行う複数の端末装置を具備し、前記基地局装置と少なくとも2つの前記端末装置とが同一周波数成分上で同一時刻に空間多重伝送を行うことが可能な無線通信システムであって、
前記基地局装置は、
前記端末装置ごとに、該端末装置から受信したトレーニング信号に基づいて、該端末装置と複数の前記アンテナ素子それぞれとの間のアップリンクにおける各周波数成分のチャネル情報を取得するチャネル情報取得部と、
前記端末装置ごとに、前記アンテナ素子に対応する各周波数成分のチャネル情報の複素位相を基に算出される複素位相を基準として、個々の前記アンテナ素子それぞれに対応する各周波数成分のチャネル情報の複素位相から前記基準とした各周波数成分のチャネル情報の複素位相を補正した相対的なチャネル情報を算出する相対成分取得部と、
前記端末装置ごとに、前記相対成分取得部が複数回に亘って算出した前記アンテナ素子それぞれに対する各周波数成分のチャネル情報から得られる物理量の平均値を算出し、該平均値に基づいて、前記端末装置ごとに、複数の前記アンテナ素子それぞれに対する各周波数成分における空間多重伝送のための受信ウエイトを算出する受信ウエイト演算部と、
前記アンテナ素子ごとに該アンテナ素子を介して前記端末装置から受信した受信信号を周波数成分ごとに分離し、前記受信信号の送信元である前記端末装置に対応した各周波数成分の前記受信ウエイトと前記周波数成分ごとに分離した受信信号とを乗算し、前記受信ウエイトが乗算された受信信号を複数の前記アンテナ素子に亘り周波数成分ごとに加算合成して合成受信信号を生成し、該合成受信信号に含まれるプリアンブル信号を用いて周波数成分毎に該合成受信信号のチャネル推定を行うとともに該合成受信信号の受信処理を前記端末装置ごとに行う受信信号処理部と、
前記端末装置ごとに、前記相対成分取得部により算出された前記相対的なチャネル情報又は前記受信信号処理部にて行なう前記合成受信信号のチャネル推定により得られたチャネル情報のいずれかに対し、複数回に亘る平均値と個々の測定値との差分とに基づいて時変動指標を算出する時変動指標算出部と、
前記端末装置毎の伝送モードと多重数の一方又は両方を決定するスケジューリング処理部とを備え、
前記スケジューリング処理部は、前記時変動指標算出部により算出された前記時変動指標に応じて前記端末装置毎の前記伝送モードと前記多重数の一方又は両方を決定し、
前記受信信号処理部は、前記スケジューリング処理部が決定した前記端末装置の前記伝送モードと前記多重数に従って前記受信信号の受信処理を行う、
ことを特徴とする無線通信システム。
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