JP5643038B2 - 回転電機用ロータ - Google Patents

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Description

本発明は、ロータシャフトを貫通せしめて該ロータシャフトに固定されるロータコアと、該ロータコアの外周の周方向に等間隔をあけた複数箇所に配置される複数の磁石と、それらの磁石を嵌合せしめる円筒部を有して前記ロータコアに固定される金属管とを備える回転電機用ロータに関する。
ロータの回転時の遠心力によって磁石がロータコアの外周から飛散しないようにするために、ロータコアの外周に配置される複数の磁石を嵌合せしめる円筒部を有する金属管が、ロータコアに固定されるようにしたものが、特許文献1で知られている。
特開平5−344669号公報
上記特許文献1で開示されたものでは、金属管が備える円筒部の一端が半径方向内方に折り曲げ成形されることで、前記円筒部の一端から半径方向内方に張り出す鍔部が前記円筒部に一体に設けられており、ロータコアの一端に当接、固定された端板もしくはロータコアの一端に鍔部を当接係合せしめた状態の円筒部の他端を半径方向内方に折り曲げて、前記ロータコアの他端に当接、固定された他の端板にかしめ係合せしめることによって、金属管をロータコアに固定するようにしている。
ところがロータ回転時に磁石に作用する遠心力によって、金属管の円筒部にはその半径方向内方から外方に向けての力が各磁石から加わることになり、円筒部の一端部および鍔部の連設部の角部、ならびに円筒部の他端部および折り曲げ部の連設部の角部には応力が集中するので、ロータの高回転時に金属管の耐久性に課題が生じている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、金属管の耐久性を高めるようにしつつ該金属管をロータコアに固定し得るようにした回転電機用ロータを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、ロータシャフトを貫通せしめて該ロータシャフトに固定されるロータコアと、該ロータコアの外周の周方向に等間隔をあけた複数箇所に配置される複数の磁石と、それらの磁石を嵌合せしめる円筒部を有して前記ロータコアに固定される金属管とを備える回転電機用ロータにおいて、前記金属管は、前記円筒部の一端から半径方向内方側に張り出すとともに先端部を前記ロータコアの軸方向一端面に当接せしめる鍔部を一体に有し、前記ロータシャフトには、前記ロータコアの軸方向一端面に近接、対向して該ロータコアとの間に前記鍔部の前記先端部を挟持、固定する端板が圧入され、前記鍔部には、前記ロータシャフトの軸線を含む縦断面では前記円筒部の一端から軸方向外方に膨らんだ環状の曲面部分が設けられ、前記曲面部分は、前記磁石及び前記ロータコアの軸方向一端面よりも軸方向外方に該曲面部分が突出し且つその突出端が前記ロータコアの軸方向で前記端板の外側面と内側面との間に収まるように形成されることを第1の特徴とする。
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記ロータシャフトの軸線に直交する平面に沿う平面部分が、前記曲面部分に連な前記鍔部の先端部として形成され、該平面部分の一側面と他側面前記ロータコアの軸方向一端面と前記端板の前記内側面にそれぞれ当接することことを第2の特徴とする。
本発明の第1の特徴によれば、金属管は、複数の磁石を嵌合せしめる円筒部と、円筒部の一端から半径方向内方側に張り出すとともに先端部をロータコアの軸方向一端面に当接せしめる鍔部を一体に有しており、ロータシャフトには、ロータコアの軸方向一端面に近接、対向してロータコアとの間に鍔部の先端部を挟持、固定する端板が圧入され、前記鍔部には、円筒部の一端から軸方向外方に膨らんだ環状の曲面部分が設けられていて、この曲面部分は、磁石及びロータコアの軸方向一端面よりも軸方向外方に該曲面部分が突出し且つその突出端がロータコアの軸方向で端板の外側面と内側面との間に収まるように形成されるので、ロータ回転時に磁石に作用する遠心力によって金属管の円筒部および鍔部の連設部に作用する応力は、曲面部分の曲面形状によって大幅に緩和されることになり、従来のものに比べて金属管の耐久性が向上し、ロータの高回転化が可能となる。また金属管の薄肉化が可能となり、ロータの周囲のステータと、ロータコアの外周に配設される磁石との間のエアギャップを小さく設定することができ、回転電機をモータとしたときにその出力トルク向上が可能となり、しかもロータの慣性モーメントを小さくすることができ、ロータの応答性向上が可能となる。さらにロータコアの軸方向一端面に近接、対向してロータシャフトに圧入される端板と、ロータコアとの間に前記鍔部の先端部が挟持されることで金属管がロータコアに固定されるので、ロータコアの外周の磁石に、金属管をロータコアに固定するための力の一部が作用することがないようにして、金属管を容易にかつ確実にロータコアに固定することができる。
また本発明の第2の特徴によれば、ータコアに対する金属管の軸方向位置を精度よく定めることができる。
ブラシレスモータの縦断面図である。 図1の2−2線断面図である。 図1の3矢示部拡大図である。
以下、本発明の実施の形態について、添付の図1〜図3を参照しながら説明すると、先ず図1において、回転電機であるブラシレスモータは、モータケース5で回転自在に支承されたロータシャフト8に設けられるロータ9と、該ロータ9を囲繞するようにして前記モータケース5に固定されるステータ10とを備える。
前記モータケース5は、軸方向一端を開放するとともに端壁6aを軸方向他端に有して有底円筒状に形成されるケース主体6と、該ケース主体6の一端開口部を閉じるようにして前記ケース主体6に複数のねじ部材11…で締結される蓋部材7とで構成される。前記蓋部材7には第1支持孔12が設けられ、ケース主体6の前記端壁6aには第1支持孔12と同軸の第2支持孔13が設けられており、前記ロータシャフト8は第1および第2支持孔12,13を貫通する。しかも第1支持孔12の内周およびロータシャフト8の外周間には、第1ボールベアリング14と、第1ボールベアリング14よりも軸方向外方に配置される環状の第1シール部材15とが介装され、第2支持孔13の内周およびロータシャフト8の外周間には、第2ボールベアリング16が介設される。
前記ケース主体6の端壁6aには、カバー17が複数のねじ部材18…で締結される。前記カバー17および前記モータケース5間で前記ロータシャフト8にはレゾルバ20の一部を構成するレゾルバ用ロータ21が固定され、レゾルバ用ロータ21とともにレゾルバ20を構成するレゾルバ用ステータ22は、前記レゾルバ用ロータ21を囲繞してホルダ23に固定される。このホルダ23は前記端壁6aおよび前記カバー17間に挟持され、ホルダ23および端壁6a間には環状の第2シール部材24が介装され、前記ホルダ23および前記カバー17間には環状の第3シール部材25が介装される。
前記ブラシレスモータのステータ10は、複数の鋼板が積層されて成るとともに前記モータケース5のケース主体6に複数のボルト26…による締結によって固着されるステータコア27と、該ステータコア27に装着される合成樹脂製のボビン28と、Y結線で結ばれるようにして前記ボビン28に巻き掛けられるU相、V相およびW相のコイル29…とで構成される。
而してU相、V相およびW相のコイル29…は、前記ステータ10の周方向に等間隔をあけた位置で前記ボビン28に順次巻装されており、それらの各相のコイル29…に電力を供給するための給電ユニット30が、前記ケース主体6および前記蓋部材7間に挟持される。
前記給電ユニット30は、U相、V相およびW相のコイル29…の一端側のコイル端末がそれぞれ個別的に接続されるU相用の導電部材31、V相用の導電部材32およびW相用の導電部材33と、U相、V相およびW相のコイル29…の他端側のコイル端末が共通に接続される中性点用の導電部材34と、それらの導電部材31〜34の一部を埋封せしめる樹脂製の被覆部材35とで構成されるものであり、前記各導電部材31〜34は金属製である。
前記給電ユニット30の被覆部材35および前記ケース主体6間には環状の第4シール部材36が介装され、前記給電ユニット30の被覆部材35および前記蓋部材7間には環状の第5シール部材37が介装される。
図2を併せて参照して、ロータ9は、ロータシャフト8を貫通せしめて該ロータシャフト8に固定されるロータコア38と、該ロータコア38の外周の周方向に等間隔をあけた複数箇所(この実施の形態では周方向に等間隔をあけた6箇所)に配置される複数の磁石39,39…と、それらの磁石39,39…をたとえば圧入等によって嵌合せしめる円筒部40aを有して前記ロータコア38に固定される金属管40とを備える。
前記ロータコア38は、複数の鋼板が積層されて成るものであり、このロータコア38の外周の周方向に等間隔をあけた6箇所には、軸方向に延びる凹部41,41…が形成され、前記磁石39,39…の一部はそれらの凹部41,41…に嵌合される。
図3を併せて参照して、前記金属管40は、前記円筒部40aの一端から半径方向内方側に張り出すとともに先端部を前記ロータコア38の軸方向一端面に当接せしめる鍔部40bを一体に有しており、その鍔部40bには、前記ロータシャフト8の軸線を含む縦断面では前記円筒部40aの一端から軸方向外方に膨らんだ環状の曲面部分40baが設けられ、該曲面部分40baは、前記磁石39及び前記ロータコア38の軸方向一端面38aよりも軸方向外方に突出し且つその突出端40batがロータコア38の軸方向で後述する第1端板42の外側面42oと内側面42iとの間に収まるようにして形成される。
また前記ロータシャフト8の軸線に直交する平面に沿う平面部分40bbが、前記曲面部分40baに連な前記鍔部40bの先端部として形成されており、その平面部分40bbの一側面と他側面前記ロータコア38の軸方向一端面38aと第1端板42の前記内側面42iにそれぞれ当接する。
前記ロータシャフト8には、前記ロータコア38の一端に近接、対向する第1端板42と、第1端板42との間に前記ロータコア38を挟む第2端板43とが圧入される。而して第1および第2端板42,43は、その中央部に短円筒部42a,43aを一体に有するようにして磁性材料によって形成されるものであり、短円筒部42a,43aにロータシャフト8が圧入される。
しかも第1端板42と、前記ロータコア38の軸方向一端面38aとの間に金属管40における鍔部40bの先端部すなわち平面部分40bbが挟持され、それによってロータコア38がロータシャフト8に固定される。
本発明の実施の形態の作用について説明すると、該ロータコア38の外周の周方向に等間隔をあけた複数箇所に配置される複数の磁石39,39…を嵌合せしめる円筒部40aを有する金属管40は、前記円筒部40aの一端から半径方向内方側に張り出す鍔部40bを一体に有し、前記ロータコア38の一端に近接、対向して前記ロータシャフトに圧入される第1端板42と、前記ロータコア38との間に前記鍔部40bの先端部が挟持されることで前記金属管40が前記ロータコア38に固定されるので、ロータコア38の外周の磁石39,39…に、金属管40をロータコア38に固定するための力の一部が作用することがないようにして、金属管40を容易にかつ確実にロータコア38に固定することができる。
また第1端板42が磁性材から成るので、磁石39,39…から出る磁束の一部が第1端板42を介して短絡することになり、ロータ9の軸方向に磁束が漏れることが抑制され、ブラシレスモータに隣接したレゾルバ20等の機器に漏れ磁束による影響が及ぶことを抑制することができる。
また第1端板42との間に前記ロータコア38を挟む第2端板43が前記ロータシャフト8に圧入されるので、ロータコア38がロータシャフト8に圧入される2つの端板42,43間に挟持されることになり、ロータコア38のロータシャフト8からの抜け出しを確実に防止することができる。
また金属管40の鍔部40bには、前記ロータシャフト8の軸線を含む縦断面では前記円筒部40aの一端から軸方向外方に膨らんだ曲面部分40baが設けられ、該曲面部分40baは、前記ロータコア38の軸方向一端面よりも軸方向外方に突出して形成されるので、ロータの回転時に磁石39,39…に作用する遠心力によって金属管40の円筒部40aおよび鍔部40bの連設部に作用する応力は、曲面部分40baの曲面形状によって大幅に緩和されることになり、従来のものに比べて金属管40の耐久性が向上し、ロータ9の高回転化が可能となる。また金属管40の薄肉化が可能となり、ロータ9の周囲のステータ10と、ロータコア38の外周に配設される磁石39,39…との間のエアギャップを小さく設定することができ、ブラシレスモータの出力トルク向上が可能となる。またロータ9の慣性モーメントを小さくすることができ、ロータ9の応答性向上が可能となる。
さらにロータシャフト8の軸線に直交する平面に沿う平面部分40bbが、前記曲面部分40baに連なって前記鍔部40bの先端部に形成され、該平面部分40bbが前記ロータコア38の軸方向一端面に当接するので、ロータコア38に対する金属管40の軸方向位置を精度よく定めることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
8・・・・ロータシャフト
9・・・・ロータ
38・・・ロータコア
38a・・ロータコアの軸方向一端面
39・・・磁石
40・・・金属管
40a・・・円筒部
40b・・・鍔部
40ba・・曲面部分
40bat・・曲面部分の突出端
40bb・・平面部分(先端部)
42・・・・第1端板(端板)
42i・・・内側面
42o・・・外側面

Claims (2)

  1. ロータシャフト(8)を貫通せしめて該ロータシャフト(8)に固定されるロータコア(38)と、該ロータコア(38)の外周の周方向に等間隔をあけた複数箇所に配置される複数の磁石(39)と、それらの磁石(39)を嵌合せしめる円筒部(40a)を有して前記ロータコア(38)に固定される金属管(40)とを備える回転電機用ロータにおいて、
    前記金属管(40)は、前記円筒部(40a)の一端から半径方向内方側に張り出すとともに先端部(40bb)を前記ロータコア(38)の軸方向一端面(38a)に当接せしめる鍔部(40b)を一体に有し、
    前記ロータシャフト(8)には、前記ロータコア(38)の軸方向一端面(38a)に近接、対向して該ロータコア(38)との間に前記鍔部(40b)の前記先端部(40bb)を挟持、固定する端板(42)が圧入され、
    前記鍔部(40b)には、前記ロータシャフト(8)の軸線を含む縦断面では前記円筒部(40a)の一端から軸方向外方に膨らんだ環状の曲面部分(40ba)が設けられ、 前記曲面部分(40ba)は、前記磁石(39)及び前記ロータコア(38)の軸方向一端面(38a)よりも軸方向外方に該曲面部分(40ba)が突出し且つその突出端(40bat)が前記ロータコア(38)の軸方向で前記端板(42)の外側面(42o)と内側面(42i)との間に収まるように形成されることを特徴とする、回転電機用ロータ。
  2. 前記ロータシャフト(8)の軸線に直交する平面に沿う平面部分(40bb)が、前記曲面部分(40ba)に連な前記鍔部(40b)の前記先端部として形成され、
    該平面部分(40bb)の一側面と他側面前記ロータコア(38)の軸方向一端面(38a)と前記端板(42)の前記内側面(42i)にそれぞれ当接することを特徴とする請求項1記載の回転電機用ロータ。
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