JP5642213B2 - 工作機械のレベル調整方法及び装置 - Google Patents
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Description
本発明は、工作機械のベッドを工場の床面に対して支持するジャッキのレベル調整方法及び装置に関する。
工作機械の工場の床面に据え付けられる基台となるベッドは、レベル調整可能な支持体またはジャッキによって工場の床面に支持されている。長期間に亘って工作機械の精度を高レベルに維持するためには、工作機械を支持するジャッキのレベル調整を定期的に行う必要がある。従来、こうしたレベル調整は、直線送り軸機構によって移動可能にベッド上に取り付けられたコラムのような移動体に、作業者が水準器を取り付けて、移動体を直線送り軸機構によって移動させながら、任意の位置において傾きを測定することによって、ジャッキのリフト量を決定して行わている。こうした作業は、レベル調整を行った作業者の経験と熟練度によって、夫々の工作機械によって精度がまちまちとなるばかりか、非常に時間を要するものとなっている。
そのため、レベル調整を自動化する技術が開発されている。例えば、特許文献1には、工場の床面のような設置面上に所定間隔で配設され、上下方向に昇降する昇降機構部によってベッド等の被支持体の底面を支持する支持装置が記載されている。この支持装置は、リフト時の駆動モータの負荷を検出することによって、レベル調整を行うようになっている。
また、特許文献2には、水準器の信号によりベース(ベッド)の静的精度を計算し、その静的精度の誤差を補償するために、支持体(ジャッキ)の調節量を計算し、計算した調節量に従い支持点のレベルを調節するアクチュエータを備えたレベル調整装置が開示されている。
特許文献1の支持装置では、ベッド上をコラムのような移動体が移動した時に、ベッドに印加される荷重分布が変化するため、レベル調整しても精度を維持することができない場合も生じうる。他方、特許文献2のレベル調整装置では、X軸方向に配置された4つの支持点によってレベル調整を行うので、ベース(ベッド)のうねりは調節できても、ねじれを調節することはできない。
本発明は上述した従来技術の問題を解決することを技術課題としており、作業者の経験と熟練とを必要とせず、工作機械のレベル調整を簡単かつ高精度に行えるようにすることを目的としている。
上述の課題を解決するために、本発明によれば、第1水平送り軸の案内部を有するベッドと、前記案内部に案内されて前記ベッド上を第1水平送り軸に移動可能に取り付けられた移動体と、前記案内部に沿って前記ベッドの両側部に配置され、床面に対して鉛直方向に移動可能に前記ベッドを支持する複数のジャッキとを備えた工作機械のレベル調整方法において、第1水平送り軸方向の複数の測定位置で前記移動体の第1水平送り軸方向と垂直な第2水平送り軸方向の傾きを水準器によって測定し、該水準器の検出値から第2水平送り軸方向の傾きが予め定められた目標傾きより小さくなるようにレベリング制御装置によって前記測定位置近傍のジャッキを駆動して高さを調整し、その後、第1水平送り軸方向の複数の測定位置で前記移動体の第1水平送り軸方向の傾きを水準器によって測定し、該水準器の測定結果が予め定められた目標傾きより小さくなるように前記レベリング制御装置によって各ジャッキを駆動して高さを調整する工作機械のレベル調整方法が提供される。
また、本発明によれば、第1水平送り軸の案内部を有するベッドと、前記案内部に案内されて前記ベッド上を第1水平送り軸に移動可能に取り付けられた移動体と、前記移動体に載置され該移動体の傾きを測定する水準器とを備えた工作機械のレベル調整装置において、前記案内部に沿って前記ベッドの両側部に配置され、モータにより床面に対して鉛直方向に移動可能に前記ベッドを支持する複数のジャッキと、第1水平送り軸方向の複数の測定位置で前記移動体の第1水平送り軸方向と垂直な第2水平送り軸方向の傾きを前記水準器で測定し、第2水平送り軸方向の傾きが予め定められた目標傾きより小さくなるように前記測定位置近傍のジャッキの高さを調整し、その後、第1水平送り軸方向の複数の測定位置で前記移動体の第1水平送り軸方向の傾きを前記水準器で測定し、測定結果が予め定められた目標傾きより小さくなるように各ジャッキの高さを調整するべく前記ジャッキのモータを制御するレベリング制御装置とを具備する工作機械のレベル調整装置が提供される。
本発明によれば、第2水平送り軸方向(Y軸方向)へのレベル調整と、第1水平送り軸方向(X軸方向)へのレベル調整とを簡単かつ高精度に行えるようになる。また、Y軸方向へのレベル調整と、X軸方向へのレベル調整とを行うことによって、ベッドの捩れ及びうねりを矯正可能となる。
本発明によれば、作業者の経験や熟練度によることなく、傾きの測定結果に基づいてリフト量を演算によって決定可能であるために、常に安定した一定の高精度でレベル調整が可能となる。本発明のレベル調整方法は、容易にプログラム可能であり、工作機械のNC装置と連携するコンピュータのような制御装置や、NC装置のプログラムの一部として組み込んだ制御手段によって実施することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
先ず、図1〜図3を参照すると、本発明によるレベル調整方法を適用する工作機械10が図示されている。工作機械10は、工場の床面に固定される基台となるベッド12、該ベッド12の上面の両側部に平行に水平に延設されたX軸案内面12a沿いに前後方向(X軸方向、図1、2では紙面に沿って左右方向)に移動可能に取り付けられた移動体としての門形のブリッジ14、該ブリッジ14の前面にX軸に対して垂直な水平方向に延設されたY軸案内面14aを介して左右方向(Y軸方向)に移動可能に取り付けられた主軸台16、主軸台16の前面に鉛直方向に延設されたZ軸案内面16aを介して上下方向(Z軸方向)に移動可能に取り付けられた主軸頭18を具備している。本実施の形態では、X軸、Y軸、Z軸が工作機械10の直交3軸の直線送り軸を形成しており、X軸が最大ストローク長を有した第1水平送り軸、Y軸が第2水平送り軸となっている。
先ず、図1〜図3を参照すると、本発明によるレベル調整方法を適用する工作機械10が図示されている。工作機械10は、工場の床面に固定される基台となるベッド12、該ベッド12の上面の両側部に平行に水平に延設されたX軸案内面12a沿いに前後方向(X軸方向、図1、2では紙面に沿って左右方向)に移動可能に取り付けられた移動体としての門形のブリッジ14、該ブリッジ14の前面にX軸に対して垂直な水平方向に延設されたY軸案内面14aを介して左右方向(Y軸方向)に移動可能に取り付けられた主軸台16、主軸台16の前面に鉛直方向に延設されたZ軸案内面16aを介して上下方向(Z軸方向)に移動可能に取り付けられた主軸頭18を具備している。本実施の形態では、X軸、Y軸、Z軸が工作機械10の直交3軸の直線送り軸を形成しており、X軸が最大ストローク長を有した第1水平送り軸、Y軸が第2水平送り軸となっている。
工作機械10は、主軸頭18の下端面に対面するようにベッド12の上面に水平に取り付けられワーク(図示せず)を固定するためのテーブル24を更に具備している。
ベッド12は、最大ストローク長を有した直線送り軸としてのX軸方向に延びる長手方向の中心軸線OMを有しており、該中心軸線OMに平行な両側縁部に沿って配設された複数のジャッキJ1〜J10によって工場の床面上に支持されている。本実施の形態では、ベッド12の側縁部に沿ってジャッキJ1、J3、J5、J7、J9と、ジャッキJ2、J4、J6、J8、J10とが夫々中心軸線OMの方向に等間隔に配置され、かつ、ジャッキJ1、J2、ジャッキJ3、J4、ジャッキJ5、J6、ジャッキJ7、J8、ジャッキJ9、J10は、中心軸線OMに関して対称に配置されている。こうして、ジャッキJ1、J2、ジャッキJ3、J4、ジャッキJ5、J6、ジャッキJ7、J8、ジャッキJ9、J10が、ジャッキ組A、B、C、D、Eを構成する。
ジャッキJ1〜J10は、レベル調整ブロックと、該レベル調整ブロックを駆動するモータM1〜M10とを含むことができる。モータM1〜M10は、図4に示すように、工作機械10のNC装置60と連動するコンピュータのようなレベリング制御装置50によって制御することができる。レベリング制御装置50は、NC装置60や工作機械10の機械制御装置(図示せず)の一部として組み込んでもよい。また、レベリング制御装置50には、ジャッキJ1〜J10のリフト量を測定するためのセンサS1〜S10が接続される。センサS1〜S10は、例えば、ジャッキJ1〜J10の近傍に配設されている渦電流式の非接触式センサとすることができる。
レベル調整を開始する前に、主軸頭18の下端面にブラケットを介して公知のデジタル水準器22が、オペレータの手操作によってX軸方向及びY軸方向に夫々装着される。デジタル水準器22は通信手段52を介してレベリング制御装置50に接続される。通信手段52は、有線通信手段とすることもできるが、ブルートゥースや無線LANのような無線通信手段が好ましい。なお、デジタル水準器22は、ブリッジ14の邪魔にならない場所に、常時取り付けておいてもよい。
図5にレベリング制御装置50をコンピュータによって構成した場合の表示画面の一例を示す。レベリング制御装置50の表示画面70には、ジャッキに関連した情報を示す領域72、測定位置に関連した情報を示す領域74、駆動中のジャッキや、測定位置を工作機械10のベッド12と関連付けてグラフィック表示する領域76、測定時刻を示す領域78、最後にレベル調整を行った時刻を表示する領域80、レベル調整方法の実行中の段階を示す領域82及び測定またはレベル調整工程に異常を検知した場合のアラームを表示する領域84等を含むことができる。
以下、本実施の形態によるレベル調整方法を説明する。
ここで、図1において、ジャッキ組Aを構成するジャッキJ1、J2を結ぶ直線と中心軸線OMとの交点をP1、ジャッキ組Bを構成するジャッキJ3、J4を結ぶ直線と中心軸線OMとの交点をP3、ジャッキ組Cを構成するジャッキJ5、J6を結ぶ直線と中心軸線OMとの交点をP5、ジャッキ組Dを構成するジャッキJ7、J8を結ぶ直線と中心軸線OMとの交点をP7、ジャッキ組Eを構成するジャッキJ9、J10を結ぶ直線と中心軸線OMとの交点をP9とし、交点P1、P3、P5、P7、P9を第1グループの測定位置とする。更に、図1において、中心軸線OMに沿って互いに隣接する交点P1、P3の間の中点をP2、交点P3、P5の間の中点をP4、交点P5、P7の間の中点をP6、交点P7、P9の間の中点をP8とし、これら中点P2、P4、P6、P8を第2グループの測定位置とする。ここで、測定位置となる「交点」、「中点」は、厳密な意味での「交点」、「中点」ではなく、望ましいレベリング精度を考慮して、「交点」、「中点」を含む一定の領域としてもよい。
ここで、図1において、ジャッキ組Aを構成するジャッキJ1、J2を結ぶ直線と中心軸線OMとの交点をP1、ジャッキ組Bを構成するジャッキJ3、J4を結ぶ直線と中心軸線OMとの交点をP3、ジャッキ組Cを構成するジャッキJ5、J6を結ぶ直線と中心軸線OMとの交点をP5、ジャッキ組Dを構成するジャッキJ7、J8を結ぶ直線と中心軸線OMとの交点をP7、ジャッキ組Eを構成するジャッキJ9、J10を結ぶ直線と中心軸線OMとの交点をP9とし、交点P1、P3、P5、P7、P9を第1グループの測定位置とする。更に、図1において、中心軸線OMに沿って互いに隣接する交点P1、P3の間の中点をP2、交点P3、P5の間の中点をP4、交点P5、P7の間の中点をP6、交点P7、P9の間の中点をP8とし、これら中点P2、P4、P6、P8を第2グループの測定位置とする。ここで、測定位置となる「交点」、「中点」は、厳密な意味での「交点」、「中点」ではなく、望ましいレベリング精度を考慮して、「交点」、「中点」を含む一定の領域としてもよい。
本発明によるレベル調整方法では、以下に説明するように、先ず、Y軸方向にレベル調整を行い、次いで、X軸方向にレベル調整を行うようになっている。
Y軸方向のレベル調整は、ベッド12の一方の端部にある最初の測定位置として第1グループに属する測定位置P1におけるY軸方向の傾きの測定から開始される。先ず、主軸頭18の中心軸線Oをベッド12の中心軸線OMと交差するように主軸台16をY軸方向に移動させた状態で、工作機械10のX座標(例えば、工作機械10が持っているX軸方向のデジタルスケールの読み)が測定位置P1となるように、ブリッジ14がX軸方向に移動する。Z軸は、例えばストロークの中点のような予め決めた位置に主軸台16に対して主軸頭18を位置決めしておく。
Y軸方向のレベル調整は、ベッド12の一方の端部にある最初の測定位置として第1グループに属する測定位置P1におけるY軸方向の傾きの測定から開始される。先ず、主軸頭18の中心軸線Oをベッド12の中心軸線OMと交差するように主軸台16をY軸方向に移動させた状態で、工作機械10のX座標(例えば、工作機械10が持っているX軸方向のデジタルスケールの読み)が測定位置P1となるように、ブリッジ14がX軸方向に移動する。Z軸は、例えばストロークの中点のような予め決めた位置に主軸台16に対して主軸頭18を位置決めしておく。
次いで、測定位置P1において、デジタル水準器22によってY軸方向の傾き(μm/m)が測定される。このとき、デジタル水準器22が内蔵する温度センサ(図示せず)またはデジタル水準器22に取り付けた別設の温度センサ(図示せず)によって、デジタル水準器22の温度を測定し、レベリング制御装置50に記憶する。レベル調整作業を開始したときの温度と現在の温度との差が許容温度範囲内にないときには、その旨のアラームを音や図5の画面に表示し、レベル調整を中止するようにできる。水準器は、温度によって測定値が変化する特性があるため、この影響を最小限にするための措置である。
次いで、測定位置P1における測定結果に基づいて、ジャッキJ1、J2の間の傾きが所定値を超えレベル調整が必要と判断される場合には、低い側のジャッキを駆動して、傾きが所定値以下となるようにベッド12を持ち上げる。測定位置P1に対応するジャッキJ1、J2の間の距離は既知であるので、該距離とデジタル水準器22による測定結果から、ジャッキJ1またはJ2のリフト量が演算によって求められる。このとき、一般的に、ジャッキは、その使用範囲としてトータルのリフト量が決まっているので、演算によって得られたリフト量を以ってジャッキJ1またはJ2を駆動したときに、過去に行われたリフト量の累計が使用範囲を越えてしまう場合には、その旨のアラームを音や図5の画面に表示し、レベル調整を中止するようにできる。本実施形態のレベル調整は、ジャッキを持ち上げる方向でのみ行うようにしているため、累積リフト量に上限値がある。
ジャッキJ1またはJ2を駆動する間、ジャッキJ1またはJ2の近傍に設けられたセンサS1またはS2によって、ジャッキJ1またはJ2若しくはベッド12の底面の変位を測定するようにできる。或いは、デジタル水準器22によってリアルタイムに傾きを測定しながらジャッキJ1またはJ2を駆動し、測定値が所定値以下となった時点でジャッキの駆動を停止するようにしてもよい。
測定位置P1における測定の結果、ジャッキJ1、J2の間の傾きが所定値以下の場合には、レベル調整不要と判断して、次の測定位置P3へ移動して上記の工程に従い、ジャッキJ3、J4間のY軸方向のレベル調整が実行される。測定位置P1、P3、P5、P7、P9の全てについて、ベッド12の一方の端部から他方の端部へ、つまり測定位置P1から測定位置P9まで上記工程を繰り返して、Y軸方向のレベル調整が完了する。このように、ベッド12の長手方向の中心軸線OMに垂直な水平方向であるY軸方向のレベル調整を行うことによって、主としてベッド12の中心軸線OM周りの捩れが矯正される。ここで、測定位置P1、P3、P5、P7、P9の傾き測定後まとめて各測定位置のY軸方向のレベル調整を行い、再度各測定位置の傾きを確認するステップをとってもよい。
上記Y軸方向のレベル調整が完了すると、次いで、X軸方向にレベル調整が行われる。既述したように、Y軸方向のレベル調整は、ジャッキ組A、B、C、D、Eにおいて対をなすジャッキJ1、J2;J3、J4;J5、J6;J7、J8;J9、J10の各々のY軸方向の中心である第1グループの測定位置P1、P3、P5、P7、P9において傾きの測定が行われる。これに対して、X軸方向のレベル調整は、第2グループの測定位置P2、P4、P6、P8において、先ずX軸方向の傾きの測定が行われる。
以下、X軸方向のレベル調整方法の実施の形態を説明する。
X軸方向へのレベル調整が開始されると、先ず、移動体としてのブリッジ14が、第2グループに属する複数の測定位置P2、P4、P6、P8のうち最初の測定位置P2へ移動する。これは、Y軸方向のレベル調整の場合と同様に、主軸頭18の中心軸線Oをベッド12の中心軸線OMと交差するように主軸台16をY軸方向に移動させた状態で、工作機械10のX座標が測定位置P2となるように、ブリッジ14をX軸方向に移動させることによって行われる。
X軸方向へのレベル調整が開始されると、先ず、移動体としてのブリッジ14が、第2グループに属する複数の測定位置P2、P4、P6、P8のうち最初の測定位置P2へ移動する。これは、Y軸方向のレベル調整の場合と同様に、主軸頭18の中心軸線Oをベッド12の中心軸線OMと交差するように主軸台16をY軸方向に移動させた状態で、工作機械10のX座標が測定位置P2となるように、ブリッジ14をX軸方向に移動させることによって行われる。
次いで、測定位置P2において、デジタル水準器22によってX軸方向の傾きが測定される。測定位置P2における傾き測定が完了すると、ブリッジ14が次の測定位置P4へ移動して同様にデジタル水準器22による傾き測定が行われる。この工程を繰り返して、X軸方向のレベル調整のための全ての測定位置P2、P4、P6、P8でベッド12のX軸方向の傾きが測定され、レベリング制御装置50に記憶される。なお、傾きの測定に際して、デジタル水準器22の温度を測定し、レベル調整作業開始時の温度との差が許容温度範囲内にないときには、その旨のアラームを音や図5の画面に表示し、レベル調整を中止するようにできることは、Y軸方向のレベル調整の場合と同様である。
X軸方向のレベル調整のための全ての測定位置P2、P4、P6、P8において傾きが測定されると、その測定結果(傾き)と測定位置P2、P4、P6、P8の間隔から、各測定位置P2、P4、P6、P8における相対的な高さが演算される。図6に演算結果の一例を示す。図6に示す例では、ジャッキ組A、B、C、D、E間のX軸方向の距離(つまり、第1グループに属する測定位置P1、P3、P5、P7、P9間の距離)は1100mmであり、各測定位置P2、P4、P6、P8における測定結果は、5.97μm/m、5.68μm/m、-3.88μm/m、-2.84μm/mである。なお、図6の例では、傾きが正(+)の場合は図1、2において右側が高くなっていることを示しており、反対に傾きが負(−)の場合は図1、2において左側が高くなっていることを示している。
測定結果から、図6の例では、ジャッキ組Aの位置が最も高くなっていることが分かる。今、これを基準高さHS=0とすると、基準高さHSに対して、ジャッキ組Bの位置における高さは-6.57μm、ジャッキ組Cの位置では-6.57-6.25=-12.82μm、ジャッキ組Dの位置では-12.82+4.27=-8.55μm、ジャッキ組Eの位置では-8.55+3.12=-5.43μmとなる。こうして、図6の例では、ジャッキ組Cの位置でベッド12は最も低くなっていることが分かる。
表1において、一例として予め定められる目標傾きを0μm/m(水平)とすると、最大となる目標傾きとの差は、測定位置P2における測定値である5.97μm/mである。これは、表1のCASE2に該当し、本実施の形態では、目標傾きから離れている全てのジャッキ組が目標高さまで、つまり基準高さHSまでリフトされる。但し、1回の最大リフト量は10μmに制限される。なお、図6の例とは別に、傾き測定の結果、CASE1に該当する場合、つまり目標傾きとの差の最大値が1〜3μm/mの場合には、目標傾きから最も離れている1つのジャッキ組を構成する一対のジャッキが、目標高さまでリフトされる。
こうして、傾き測定の結果から得られたリフト量を以って、ジャッキ組Aを除く他の全てのジャッキ組B、C、D、Eを構成するジャッキが駆動される。具体的には、ジャッキJ3、J4の双方がリフト量6.57μmを以って駆動され、ジャッキJ5、J6の双方が最大リフト量10μmを以って駆動され、ジャッキJ7、J8の双方がリフト量8.55μmを以って駆動され、ジャッキJ9、J10の双方がリフト量5.43μmを以って駆動される。但し、こうして得られたリフト量を以ってジャッキJ1またはJ2を駆動したときに、過去に行われたリフト量の累計が使用範囲を越えてしまう場合には、その旨のアラームを音や図5の画面に表示し、レベル調整を中止するようにできることは、Y軸方向へのレベル調整に関連して上述したとおりである。なお、本実施形態では、ジャッキを下げる方向に駆動することはない。また、ジャッキ組は複数組ではなく、1つのジャッキ組のみのリフトでもよく、そのときは、リフト量の最も大きいものがリフトされる。
このように、表1に従って、CASE1に該当する目標傾きから最も離れている1つのジャッキ組を駆動した後、或いは、CASE2〜4に該当する目標傾きから離れている全てのジャッキ組(つまり、最も高いジャッキ組を除く他の全てのジャッキ組)を駆動すると、ブリッジ14は再び測定位置P2へ戻り、上記のレベル調整方法の各工程が再び実行され、第2グループに属する測定位置P2、P4、P6、P8の全てにおける測定値が目標傾きの許容誤差範囲に入るまで上記の工程が繰り返される。このように、ベッド12の長手方向の中心軸線OMに平行な水平方向であるX軸方向のレベル調整を行うことによって、主としてベッド12の中心軸線OM方向のうねりが矯正される。目標傾きは、X軸方向のストローク中央部が低い所謂中低傾向、中央部が高い所謂中高傾向等、任意に設定できる。例えば、測定位置P2及びP4で1μm/m、測定位置P6及びP8で−1μm/mに設定してもよい。
また、目標傾きは、測定位置P1〜P9の相対値で設定してもよい。水準器は温度によって測定値が変化する特性があることは、上述したとおりである。一例として、常に温度が一定の割合で上昇している環境を考える。本装置は、測定位置P1〜P9で傾き測定、ジャッキのリフト、測定位置P1〜P9で傾き測定、を繰り返す。目標傾きに絶対値を用いた場合、水準器は温度による測定誤差が常に累積する。それに対して、目標傾きに相対値を用いた場合、水準器の温度による測定誤差の累積が、測定位置P1〜P9における傾き測定の期間のみで起こるため、誤差の影響を小さくすることができる。なお、Y軸方向のレベル調整も同様に、測定位置P1〜P9の相対値で目標傾きを設定してもよい。
ここで、上述の目標傾き0μm/mは絶対値による設定である。測定の結果、最大リフト量が10μm/m以上必要となるような場合は、絶対値を目標とするのがよい。測定の結果、最大リフト量が10μm/m未満で済みそうな場合は、目標傾きを相対値で設定してもよい。つまり、図7のようにジャッキ組Aとジャッキ組Eにおける高さ同士を結んだ直線Hs′を目標傾きとすることである。すると、ジャッキ組Bは2.46μm、ジャッキ組Cは4.60μm、ジャッキ組Dは1.73μm夫々リフトし、ジャッキ組A及びEはリフトしないで済む。結局、X軸は水平から若干傾いた直線Hs′と平行となるが、Y、Z軸は、X軸と互いに直交するように直動すればよいのである。
本実施の形態によるレベル調整によれば、測定された傾きに基づいて目標リフト量を演算により求めているため、渦電流式の非接触変位計のようなセンサによって、ジャッキのリフト量を検知できる。これは水準器の分解能が低く、リフト量に対する傾き変化が顕著に測定できなくても、容易に制御ができるようにするための措置である。
10 工作機械
12 ベッド
14 ブリッジ
16 主軸台
18 主軸頭
22 デジタル水準器
24 テーブル
50 レベリング制御装置
60 NC装置
70 表示画面
J1〜J10 ジャッキ
P1〜P9 測定位置
12 ベッド
14 ブリッジ
16 主軸台
18 主軸頭
22 デジタル水準器
24 テーブル
50 レベリング制御装置
60 NC装置
70 表示画面
J1〜J10 ジャッキ
P1〜P9 測定位置
Claims (4)
- 第1水平送り軸の案内部を有するベッドと、前記案内部に案内されて前記ベッド上を第1水平送り軸に移動可能に取り付けられた移動体と、前記案内部に沿って前記ベッドの両側部に配置され、床面に対して鉛直方向に移動可能に前記ベッドを支持する複数のジャッキとを備えた工作機械のレベル調整方法において、
第1水平送り軸方向の複数の測定位置で前記移動体の第1水平送り軸方向と垂直な第2水平送り軸方向の傾きを水準器によって測定し、該水準器の検出値から第2水平送り軸方向の傾きが予め定められた目標傾きより小さくなるようにレベリング制御装置によって前記測定位置近傍のジャッキを駆動して高さを調整し、
その後、第1水平送り軸方向の複数の測定位置で前記移動体の第1水平送り軸方向の傾きを水準器によって測定し、該水準器の測定結果が予め定められた目標傾きより小さくなるように前記レベリング制御装置によって各ジャッキを駆動して高さを調整することを特徴とした工作機械のレベル調整方法。 - 第1水平送り軸の案内部を有するベッドと、前記案内部に案内されて前記ベッド上を第1水平送り軸に移動可能に取り付けられた移動体と、前記案内部に沿って前記ベッドの両側部に配置され、床面に対して鉛直方向に移動可能に前記ベッドを支持する複数のジャッキとを備えた工作機械のレベル調整方法において、
(1)第1水平送り軸方向の同一位置に配置された前記ベッドの両側部の2つのジャッキを1つのジャッキ組とし、複数のジャッキ組の各々を構成する2つのジャッキを結ぶ第2水平送り軸方向の直線と、前記案内部の前記第1水平送り軸方向の中心軸線との交点近傍を第1グループの測定位置と定義し、
(2)前記第1グループに属する複数の交点近傍のうち隣接する交点近傍間の中間点を第2グループの測定位置と定義し、
(3)前記第1グループに属する測定位置の1つに前記移動体を移動させ、
(4)該移動体に載置された水準器によって、第2水平送り軸方向に傾きを測定し、
(5)該水準器の測定結果に基づいてレベリング制御装置が低い側のジャッキをリフトするように駆動して予め定められた目標傾きより小さな傾きにし、
(6)操作(3)〜(5)を前記第1グループに属する測定位置の全てに関して第1送り軸方向の全域で行い、
(7)その後、前記第2グループに属する測定位置に前記移動体を移動させ、
(8)該移動体に載置された水準器によって、第1水平送り軸方向に傾きを測定し、
(9)操作(7)、(8)を全ての前記第2グループに属する測定位置において行い、
(10)前記水準器と各ジャッキのリフト量を検出するセンサの測定結果に基づいて、前記第2グループの測定位置における傾きが予め定められた目標傾きよりも小さくなるように、レベリング制御装置が前記ジャッキ組の各々を構成する2つのジャッキを同一のリフト量を以ってリフトするように駆動することを特徴とした工作機械のレベル調整方法。 - 前記操作(10)は、
(11)前記第2グループの測定位置における傾きの測定結果に基づき、前記ジャッキ組の各々の相対的な高さを求め、
(12)最も高いジャッキ組を除く他のジャッキ組の各々の高さを、該最も高いジャッキ組の高さに合わせるようにジャッキをリフトすることを含む請求項2に記載の工作機械のレベル調整方法。 - 第1水平送り軸の案内部を有するベッドと、前記案内部に案内されて前記ベッド上を第1水平送り軸に移動可能に取り付けられた移動体と、前記移動体に載置され該移動体の傾きを測定する水準器とを備えた工作機械のレベル調整装置において、
前記案内部に沿って前記ベッドの両側部に配置され、モータにより床面に対して鉛直方向に移動可能に前記ベッドを支持する複数のジャッキと、
第1水平送り軸方向の複数の測定位置で前記移動体の第1水平送り軸方向と垂直な第2水平送り軸方向の傾きを前記水準器で測定し、第2水平送り軸方向の傾きが予め定められた目標傾きより小さくなるように前記測定位置近傍のジャッキの高さを調整し、その後、第1水平送り軸方向の複数の測定位置で前記移動体の第1水平送り軸方向の傾きを前記水準器で測定し、測定結果が予め定められた目標傾きより小さくなるように各ジャッキの高さを調整するべく前記ジャッキのモータを制御するレベリング制御装置と、
を具備することを特徴とした工作機械のレベル調整装置。
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