JP5642026B2 - 滑沢用水溶液 - Google Patents

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本発明は,例えば歯科医療において使用する印象材を用いて,口腔内又は模型材より印象体を採得して石こう模型や石こう系埋没材模型を得る場合に,表面が滑沢できれいな模型面あるいは埋没材面を得るための滑沢剤,滑沢用水溶液及びそれらを用いた表面が滑沢できれいな模型又は埋没材の製造方法に関するものである。
歯科の臨床で印象体採得の手順は,初めに印象材を流動性のある内に専用のトレーに盛り口腔内に挿入して,硬化させる。その後,印象体を撤去する。又は寒天印象材を専用のシリンジで口腔内に注入した後,印象材を挿入して連合させ,印象材を硬化させた後に,これらを口腔内から撤去する。この時口腔組織の形状を再現した凹型が得られる。このようにして得られた凹型を印象あるいは陰型という。歯科用の模型又は印象材を製造するために使用する印象材の例は,アルギン酸塩印象材,歯科用寒天印象材及びシリコーン印象材である。
次に,この印象体に石こう泥を流し込み,精密な模型を作製する。これを主模型という。様々な種類の印象材と石こう泥を用いて歯列模型を作製した後,これに適合する様々な技工物を作製する。ところが,特に,コロイド系印象材(アルギン酸塩印象材や歯科用寒天印象材等)を使用して,口腔内を印象採得し,模型を作製した場合,歯科用寒天印象材部分の模型表面の荒れがしばしば起こる。
また,近年院内感染の観点から印象を一定時間除菌液に浸漬することや,除菌剤をスプレーすることで印象体を除菌することがある。これらの消毒・除菌剤の影響により模型表面の荒れが起こることもある。
また,歯科技工を行う際,複模型を作製することがある。複模型とは,主模型を最後まで残したい時に,その主模型を複印象して作製する作業用の模型をいう。複模型作製時に使用する印象材にも,例えば,アルギン酸塩印象材,シリコーン印象材や及び複模型用寒天印象材が用いられる。
複模型は,主模型から印象材を用いて採取した印象体に,例えば,石こう,石こう系埋没材,又はリン酸塩系埋没材を注入して作製される。複模型を作製するために,複模型用寒天印象材が広く使用されている。特に,複模型用寒天印象材を用いて複模型を製造した場合に,複模型表面の荒れが起こることがある。
現在,ハイドロコロイド系印象材(例えば,アルギン酸塩印象材,歯科用寒天印象材,及び複模型用寒天印象材)を使用して模型を作製するときに生ずる模型表面の荒れを解決する有効な技術は無い。
特許文献1には,水溶性カルシウム塩及び消毒液を含有するコロイド系印象(アルギン酸塩印象材や歯科用寒天印象材)の消毒・固定用組成物が開示されている。この文献は,水溶性カルシウム塩の石こう硬化促進作用を利用して石こう模型の表面荒れを防止する技術を開示している。しかし,この文献には,本発明の滑沢剤が用いられておらず,また滑沢剤水溶液のpHを調整することによる表面改良技術が開示されていない。また,この文献は,本来,除菌を目的とする技術を開示する文献であるため複模型用寒天印象材の表面改良技術については何も開示されていない。
特許文献2には,消毒剤と金属塩の固定材とを含有する印象用調整材が開示されている。この文献は,印象の消毒によって生じる石こう模型の表面荒れを防止するために金属塩固定材を使用する技術を開示している。しかし,特許文献2では,本発明の滑沢剤が用いられておらず,また滑沢剤水溶液のpHを調整することによる表面改良技術が開示されていない。また,この文献は,本来,除菌を目的とする技術を開示する文献であるため複模型用寒天印象材の表面改良についての効果が不明である。
特許文献3には,コロイド系印象材に使用する組成物で,A)アルカリ金属ケイ酸塩とB)非キレート性の酸のアルカリ金属塩を含有する組成物が開示されている。この文献は,表面荒れや寸法変化を抑制する技術を開示している。しかし,この文献では,本発明の滑沢剤が用いられておらず,また滑沢剤水溶液のpHを調整することによる表面改良技術が開示されていない。
特許文献4には,水溶性アルコールと,1価の金属塩と多価の金属塩を含む水溶液のスプレー式除菌液が開示されている。この文献は,スプレーすることで簡便に印象体を除菌でき,且つアルギン酸塩印象材の寸法変化を抑制することに重点を置いたものである。すなわち,この文献では,本発明の滑沢剤が用いられておらず,また滑沢剤水溶液のpHを調整することによる表面改良技術が開示されていない。
特許文献5には,軽量石こうボードの製造方法の中で発泡石こうスラリーの泡のサイズを調整するための添加剤として硫酸カリウムアルミニウム,硫酸アンモニウムアルミニウムが使用されている。しかしながら,この文献では,これらの物質が滑沢剤として用いられていない。また,この文献には,滑沢剤水溶液のpHを調整することによる表面改良技術が開示されていない。
特許文献6には,グラウト用セメント組成物及びグラウト材料の促進剤として硫酸カリウムアルミニウムが使用されている。しかしながら,この文献では,硫酸カリウムアルミニウムが滑沢剤として用いられていない。また,この文献には,滑沢剤水溶液のpHを調整することによる表面改良技術が開示されていない。
特許文献7には,像形成用組成物,及び像形成用組成物を用いた立体像の製造方法及び3次元構造体の製造方法における硬化促進剤として,硫酸カリウムアルミニウム,硫酸ナトリウムアルミニウム,又は硫酸アンモニウムアルミニウムが使用されている。この文献は,これらの物質により,立体像の強度を高めることができるとされている。しかしながら,この文献では,これらの物質が滑沢剤として用いられていない。また,この文献には,滑沢剤水溶液のpHを調整することによる表面改良技術が開示されていない。
特開平7−196432号公報 特開平7−33620号公報 特開2006−335697号公報 特開2009−35489号公報 国際公開WO2004−039749号パンフレット 特開2007−191332号公報 国際公開WO2007−122804号パンフレット
これまで説明したとおり,主模型の作製に使用される印象材として,アルギン酸塩印象材や歯科用寒天印象材等が使用される。そして,印象体に注入する硬質石こうや超硬質石こうと印象材との相性により模型表面が荒れることがある。模型の表面が荒れると後に作製される技工物の寸法精度に影響を及ぼすことがあり,模型そのものの破損にも繋がる。本発明の目的は,模型表面の荒れを防ぐために印象材と模型材の両方から改善する方法を提供することにある。
上記以外にも口腔内から採得された印象体を消毒・除菌することで,模型表面が荒れることがある。従来アルギン酸塩印象材の場合,硫酸カリウム等の塩類水溶液中に浸漬し模型表面の荒れを防いでいたが不十分である。また寒天印象材には効果が見られなかった。そこで,本発明は,口腔内から採得した印象に使用することで,模型表面の荒れを防ぐことができる滑沢剤を提供することを目的とする。
また,近年は複模型作製の機会が主模型の保存という観点から,矯正・義歯床等だけでなく補綴物全般にまで増えている。その際アルギン酸塩印象材及びシリコーン印象材は単回使用であるのに対して,複模型用寒天印象材は温度変化により硬化するので再利用が可能で安価なため使用されることが多くなってきた。
しかし,複模型用寒天印象材は口腔内で使用される印象材とは異なり,反転した複模型(石こう,石こう系埋没材,リン酸塩系埋没材等)の表面が荒れやすいものが多い。複模型の表面が荒れると,後の技工操作によって作製する技工物の精度に悪影響がある。特許文献で挙げた印象用除菌液は,口腔内から採得された印象体に使用されるものであり,複模型用寒天印象材には使用されない。そこで,本発明は主模型から採った印象体にも使用することができ,複模型表面の荒れを防ぐことができる滑沢剤を提供することを目的とする。
本発明の第1の側面は,滑沢剤に関する。この滑沢剤は,石こう模型又は石こう系埋没材模型の表面を滑沢化させるための剤である。本発明の滑沢剤は,硫酸カリウムアルミニウム,硫酸アルミニウム,硫酸アンモニウム鉄,硫酸アルミニウムアンモニウム,硫酸アンモニウムクロム,硫酸アルミニウムナトリウム,及びこれらの溶媒和物からなる群より選ばれる1種類又は2種以上を含有する。
本発明の第2の側面は,滑沢用水溶液に関する。この滑沢用水溶液は,石こう模型又は石こう系埋没材模型の表面を滑沢化させるための水溶液である。そして,滑沢用水溶液は,本発明の滑沢剤を含む。本発明の滑沢剤は,硫酸カリウムアルミニウム,硫酸アルミニウム,硫酸アンモニウム鉄,硫酸アルミニウムアンモニウム,硫酸アンモニウムクロム,硫酸アルミニウムナトリウム,及びこれらの溶媒和物からなる群より選ばれる1種類又は2種以上を0.01質量%以上含む。滑沢用水溶液の酸性度は,pH4以下である。
本発明の第3の側面は,石こう模型又は石こう系埋没材模型の製造方法に関する。この方法の第1の態様は,印象体に滑沢用水溶液を塗布するものである。印象体に本発明の滑沢用水溶液を塗布することで後述する実施例により実証されたとおり,表面が滑らかな石こう模型や石こう系埋没材模型を得ることができる。
この態様の石こう模型又は石こう系埋没材模型の製造方法は,滑沢用水溶液塗布工程と,注入工程と,石こう模型又は埋没材模型取得工程とを含む。滑沢用水溶液塗布工程は,滑沢用水溶液を印象体に塗布する工程である。注入工程は,印象体に,水と練和した石こう泥又は石こう系埋没材泥を注入する工程である。石こう模型又は埋没材模型取得工程は,石こう泥又は石こう系埋没材泥を硬化させた後に,印象体から取り出し,石こう模型又は石こう系埋没材模型を得る工程である。そして,滑沢用水溶液は,先に説明したものである。
本発明の第3の側面は,石こう又は石こう系埋没材の製造方法の第2の態様は,石こう又は石こう系埋没材原料を練和する際に,水ではなく,本発明の滑沢用水溶液を用いて練和するものである。
この態様の石こう模型又は石こう系埋没材模型の製造方法は,練和工程と,注入工程と,石こう模型又は埋没材模型取得工程とを含む。練和工程は,石こう又は石こう系埋没材原料を滑沢用水溶液と練和し,石こう泥又は石こう系埋没材泥を得る工程である。注入工程は,石こう泥又は石こう系埋没材泥を印象体に注入する工程である。石こう模型又は埋没材模型取得工程は,石こう泥又は石こう系埋没材泥を硬化させた後に,印象体から取り出し,石こう模型又は石こう系埋没材模型を得る工程である。そして,滑沢用水溶液は,先に説明したものである。
本発明の第3の側面は,石こう又は石こう系埋没材の製造方法の第3の態様は,石こう又は石こう系埋没材原料に本発明の滑沢剤成分を混合した後に,水を用いて練和するものである。
この態様の石こう模型又は石こう系埋没材模型の製造方法は,混和工程と,練和工程と,注入工程と,石こう模型又は埋没材模型取得工程とを含む。混和工程は,石こう又は石こう系埋没材原料と滑沢剤成分とを混和する工程である。練和工程は,石こう又は石こう系埋没材原料と水とを練和し,石こう泥又は石こう系埋没材泥を得る工程である。注入工程は,石こう泥又は石こう系埋没材泥を印象体に注入する工程である。石こう模型又は埋没材模型取得工程は,石こう泥又は石こう系埋没材泥を硬化させた後に,印象体から取り出し,石こう模型又は石こう系埋没材模型を得る工程である。そして,滑沢剤成分は,硫酸カリウムアルミニウム,硫酸アルミニウム,硫酸アンモニウム鉄,硫酸アルミニウムアンモニウム,硫酸アンモニウムクロム,硫酸アルミニウムナトリウム,及びこれらの溶媒和物からなる群より選ばれる1種類又は2種以上を含有する粉末である。滑沢剤成分は,練和工程において練和に用いられた水に溶解した場合,pH4以下となるものが好ましい。
本発明の滑沢用水溶液は,実施例により実証された通り,石こう模型又は石こう系埋没材模型の表面を滑沢化させることができる。
図1は,硫酸カリウムアルミニウム12水塩を添加しpH3.0の状態にて製造された石こう系埋没材模型の図面に替わる写真である。 図2は,比較例により得られた石こう系埋没材模型の図面に替わる写真である。
本発明の第1の側面は,滑沢剤に関する。この滑沢剤は,石こう模型又は石こう系埋没材模型の表面を滑沢化させるための剤である。本発明の滑沢剤は,硫酸カリウムアルミニウム,硫酸アルミニウム,硫酸アンモニウム鉄,硫酸アルミニウムアンモニウム,硫酸アンモニウムクロム,硫酸アルミニウムナトリウム,及びこれらの溶媒和物からなる群より選ばれる1種類又は2種以上を含有する。溶媒和物の例は,水和物である。水和物には,1水和物,2水和物の他,当業者に公知な水和物を全て含む。本発明の滑沢剤は,原料や水に混和又は練和されることで,上記の滑沢剤を生ずる上記の化合物の誘導体や,前記の化合物に保護基がついた化合物をも含む。本発明の滑沢剤は,粉末であってもよい。粉末状の本発明の滑沢剤を滑沢剤成分ともよぶ。これは,本発明の滑沢剤は,水の存在下において,石こう模型又は石こう系埋没材模型の表面を滑沢化する効果を発揮するためである。そして,後述するとおり,本発明の滑沢剤は,石こう原料又は石こう系埋没材原料と混合して用いられても良い。また,溶媒(例えば水)に本発明の滑沢剤を溶解させて,滑沢用水溶液又は滑沢用溶液としてもよい。後述の通り,本発明の滑沢剤は,石こう模型又は石こう系埋没材に含めることができる公知の副組剤を含んでも良い。副組剤とは,石こう原料又は石こう系埋没材原料に含まれる石こう成分及び滑沢剤以外の成分を意味する。副組剤の例は,防腐剤,界面活性剤,酸化防止剤,防錆剤及び着色剤である。
本発明の第2の側面は,滑沢用水溶液に関する。この滑沢用水溶液は,石こう模型又は石こう系埋没材模型の表面を滑沢化させるための水溶液である。
本発明の滑沢用水溶液は,本発明の滑沢剤を有効成分として,有効量含む。本発明の滑沢剤は,硫酸カリウムアルミニウム,硫酸アルミニウム,硫酸アンモニウム鉄,硫酸アルミニウムアンモニウム,硫酸アンモニウムクロム,硫酸アルミニウムナトリウム,及びこれらの溶媒和物からなる群より選ばれる1種類又は2種以上である。具体的な本発明の滑沢剤の例は,硫酸カリウムアルミニウム,硫酸アンモニウム鉄,硫酸アルミニウムアンモニウム及びこれらの水和物である。硫酸アンモニウム鉄の例は,硫酸アンモニウム鉄(II),硫酸アンモニウム鉄(III)及びそれらの溶媒和物であり,それらの溶媒和物の例は,硫酸アンモニウム鉄(II)6水塩(硫酸第一鉄アンモニウム六水和物)及び硫酸アンモニウム鉄(III)12水塩(硫酸第二鉄アンモニウム十二水和物)である。実施例に基づけば,これらの中で硫酸アルミニウムアンモニウム,硫酸アンモニウム鉄,硫酸カリウムアルミニウム又はそれらの水和物を有効成分として含む滑沢用水溶液が最も有効である。
本発明の滑沢用水溶液は,上記の本発明の滑沢剤を0.01質量%以上含む。本発明の滑沢用水溶液中の滑沢剤の含有量は,0.01質量%以上50質量%以下でもよいし,0.1質量%以上40質量%以下でもよく,0.5質量%以上10質量%以下でもよい。
滑沢用水溶液の酸性度は,pH4以下である。滑沢用水溶液の酸性度の例は,pH1以上pH4以下であり,pH2以上4以下でもよいし,pH2以上pH3.5以下でもよい。滑沢用水溶液の酸性度は,本発明の滑沢剤の濃度により調整してもよいし,滑沢剤を構成する化合物の種類により調整してもよい。さらに,滑沢用水溶液の酸性度は,pH調整剤により調整してもよい。
滑沢用水溶液は,上記の有効成分のほか,滑沢用水溶液に含めることができる成分を適宜含んでもよい。そのような成分の例は,防腐剤,界面活性剤,酸化防止剤,防錆剤及び着色剤である。
本発明の第3の側面は,石こう又は石こう系埋没材の製造方法に関する。本発明の第3の側面に関する石こう又は石こう系埋没材の製造方法の第1の態様は,印象に滑沢用水溶液を塗布するものである。
例えば,歯科技工技術において,口腔内の形状又は主模型の印象を採る(ステップ101)。主模型を作製するため,たとえばまず口腔内の印象を採る。この口腔内の印象を採る際,例えば,アルギン酸塩印象材,又は連合印象用寒天印象材が用いられる。本発明は,口腔内の印象体を製造するための印象材として,アルギン酸塩印象材,又は連合印象用寒天印象材を用いた場合に特に好適に用いることができる。また,口腔内の印象体を用いて,複模型である主模型を作製する場合,技工用寒天印象材が用いられる。本発明は,技工用寒天印象材を用いた印象体の場合も,好適に用いることができる。
アルギン酸塩印象材は,アルギン酸塩を含む公知の剤である。アルギン酸塩印象材は,たとえば,特開2008-063261 号公報,特開2007-262010号公報,特開2006-273720号公報,特開2005-206541号公報,特開2004-113332号公報,特開2003-192519号公報,特開2002-161014号公報,特開2002-114621号公報,特開2002-104917号公報,特開2002-104916号公報,特開2002-104915号公報,特開2002-087922号公報に開示されたものを適宜用いることができる。
連合印象は,材質の異なる2種の歯科用印象材料を重ね合わせる連合印象材である。連合印象用寒天印象材の例は,寒天・アルジネート連合印象である。連合印象の例は,特開2009-131536号公報,及び特開2009-106672号公報に開示されている。寒天印象材は,例えば,特開2008-056578号公報,特開2006-176462号公報,特開2004-033140号公報,特開2002-330980号公報,特開2001-261518号公報,特開平08-127510号公報,及び特開平07-118118号公報に開示されている。
この態様の方法は,滑沢用水溶液塗布工程(ステップ102)と,注入工程(ステップ103)と,石こう模型又は埋没材取得工程(ステップ104)とを含む。
滑沢用水溶液塗布工程(ステップ102)は,滑沢用水溶液を印象体に塗布するための工程である。滑沢用水溶液を印象体に塗布する方法の例は,浸漬塗布,スプレー塗布,スピンコート塗布,及び刷毛やローラを用いた塗布である。これらの中では,印象体を滑沢用水溶液に浸漬するものが好ましい。
滑沢用水溶液は,石こう模型又は石こう系埋没材模型の表面を滑沢化させるための,滑沢剤を含有する水溶液である。滑沢剤は,硫酸カリウムアルミニウム,硫酸アルミニウム,硫酸アンモニウム鉄,硫酸アルミニウムアンモニウム,硫酸アンモニウムクロム,硫酸アルミニウムナトリウム,及びこれらの溶媒和物からなる群より選ばれる1種類又は2種以上である。滑沢用水溶液は,滑沢剤を0.01質量%以上含み,pH4以下である。滑沢用水溶液は,先に説明したものを適宜用いることができる。
注入工程(ステップ103)は,滑沢用水溶液塗布工程において滑沢用水溶液が塗布された印象体に,水と練和した石こう泥又は石こう系埋没材泥を注入する工程である。石こう又は石こう系埋没材原料と水は公知の方法に基づいて練和することができる。石こう又は石こう系埋没材原料に,先に説明した滑沢用水溶液を用いて練和してもよい。また,石こう又は石こう系埋没材原料に,滑沢剤成分を混和し,水又は滑沢用水溶液を用いて練和してもよい。石こう泥又は石こう系埋没材泥は,泥上になった石こう又は石こう系埋没材を意味する。泥状とは,固化していないものの液体より低い流動性を有する状態を意味し,石こうの分野において公知の状態である。
石こう系埋没材原料は公知であり,石こう系埋没材原料として,例えば,特開2008-035907号公報,特開2004-073609号公報,特開2003-335613号公報,特開2002-336276号公報,特開2001-353166号公報,及び特開平11-226695号公報に開示されたものを適宜用いることができる。石こう系埋没材原料は,石こうを含む埋没材である。石こうの例は,α半水石膏及び又はβ半水石膏である。石こう系埋没材原料は,耐熱材が含まれてもよい。耐熱材の例は,シリカ及びはクリストバライトである。石こう系埋没材原料は,さらに硬化促進剤又は硬化遅延剤を含んでも良い。硬化時間調整用の硬化促進剤の例は,二水石こう微粉末及び塩類(たとえば,食塩)である。硬化遅延剤の例は,カルボン酸塩(クエン酸ナトリウム)である。石こう系埋没材原料は,例えば,減水剤をさらに含んでもよい。
石こう模型又は埋没材模型取得工程(ステップ104)は,注入工程により注入した石こう泥又は石こう系埋没材泥を硬化させた後に,印象体から硬化した石こう模型又は石こう系埋没材模型を取り出し,石こう模型又は石こう系埋没材模型を得る工程である。
本発明の第3の側面の第2の態様は,石こう又は石こう系印象材原料を練和する際に,水ではなく,本発明の滑沢用水溶液を用いて練和するものである。
この態様は,練和工程(ステップ201)と,注入工程(ステップ202)と,埋没材模型取得工程(ステップ203)とを含む。印象体は,先に説明したステップ101と同様にして得ることができる。
この態様の練和工程(ステップ201)は,石こう原料又は石こう系埋没材原料を滑沢用水溶液と練和する工程である。石こう又は石こう系埋没材原料に本発明の滑沢用水溶液を混合すると,石こう又は石こう系埋没材原料が硬化する。この練和工程は,遅延剤を添加する工程を含むことが好ましい。遅延剤の例は,クエン酸ナトリウム,グルタミン酸ソーダ,グリセリン,アルコール,リン酸塩,カルボン酸,オキシカルボン酸,タンパク質系のリターダーのいずれか又は2種以上である。遅延剤を添加する方法の例は,練和液に遅延剤を溶解させることで,遅延剤を添加する方法,及び石こう原料又は石こう系埋没材原料に粉体状態の遅延剤を混合する方法である。
滑沢用水溶液は,先に説明したものを適宜用いることができる。滑沢用水溶液の量は,石こう又は石こう系埋没材原料の混水量に合わせて適宜調整すればよい。遅延剤は,滑沢用水溶液の添加濃度と同量を添加することが好ましい。
この態様の注入工程(ステップ202)及び埋没材模型取得工程(ステップ203)は,それぞれ第1の態様の注入工程(ステップ103)及び石こう模型又は埋没材模型取得工程(ステップ104)と同様の工程とすればよい。
本発明の第3の側面の第3の態様は,石こう又は石こう系埋没材原料に本発明の滑沢剤成分を混合した後に,水を用いて練和するものである。
この態様は,混和工程(ステップ301)と,練和工程(ステップ302)と,注入工程(ステップ303)と,石こう模型又は埋没材模型取得工程(ステップ304)とを含む。印象体は,先に説明したステップ101と同様にして得ることができる。
混和工程(ステップ301)は,石こう又は石こう系埋没材原料と滑沢剤成分とを混和する工程である。石こう又は石こう系埋没材原料に添加する本発明の滑沢剤の量は,適宜調整すればよい。滑沢剤成分は,硫酸カリウムアルミニウム,硫酸アルミニウム,硫酸アンモニウム鉄,硫酸アルミニウムアンモニウム,硫酸アンモニウムクロム,硫酸アルミニウムナトリウム,及びこれらの溶媒和物からなる群より選ばれる1種類又は2種以上を含有する粉末である。滑沢剤成分は,練和工程において練和に用いられた水に溶解した場合,pH4以下となる。この混和工程は,例えば,滑沢剤成分とともに粉末状の遅延剤を添加する工程を含んでもよい。遅延剤は,滑沢用水溶液の添加濃度と同量を添加することが好ましい。
練和工程(ステップ302)は,混和工程で滑沢剤成分と混和した石こう又は石こう系埋没材原料に水を添加し,練和する工程である。混和工程で添加された滑沢剤成分は,この工程における水と練和されることで,滑沢剤としての機能を発揮するものであってもよい。混和工程で滑沢剤成分と混和した石こう又は石こう系埋没材原料に,本発明の滑沢用水溶液を添加して,練和してもよい。もっとも,混和工程で滑沢剤成分とともに,粉末状の遅延剤が添加されている場合,例えば,練和工程において添加された水分により,遅延剤としての効果を発揮する。特に,混和工程で滑沢剤成分とともに,粉末状の遅延剤が添加されない場合,練和工程は,遅延剤を添加する工程を含むことが好ましい。遅延剤を添加する方法の例は,練和液に遅延剤を溶解させることで,遅延剤を添加する方法,及び石こう原料又は石こう系埋没材原料に粉体状態の遅延剤を混合する方法である。
この態様の注入工程(ステップ202)及び埋没材模型取得工程(ステップ203)は,それぞれ第1の態様の注入工程(ステップ103)及び石こう模型又は埋没材模型取得工程(ステップ104)と同様の工程とすればよい。
以下に実施例に基づいて本発明を説明する。しかしながら,本発明は,以下に説明する実施例に限定されず,当業者に自明な範囲で適宜調整したものも本発明に含まれる。
表1に本実施例で用いた模型材,表2に印象材を示す。
Figure 0005642026
Figure 0005642026
模型面の面荒れ評価基準は,以下の通りとした。
◎:模型表面は荒れが無く滑沢で固い。
○:模型表面は荒れが無く綺麗である。
△:模型表面は若干粉を吹いた様な外観で表面一層が柔らかく荒れがある。
×:模型表面に剥がれた部分があるか,ひどく粉を吹いた様な外観で,表面は柔らかく荒れている。
本実施例は,歯科用寒天印象材「紫陽花」を用いた。この寒天を,てきおん君カートリッジ(登録商標)(株式会社ヨシダ製,TEG−10)にて溶解させた。その後,溶解させた寒天を,専用のシリンジで内径21mm×厚み3mmのリング内に少し盛り上がるまで流し込み,ガラスの平板の印象を採った。採取した印象体を表3に示す表面改良材に10秒間浸漬させてから水洗した。比較例は水洗のみとした。処理した印象体に石こう泥を注入し反転した模型表面を評価した。これらの結果を表3に示した。
Figure 0005642026
表3から,例えば硫酸カリウムアルミニウムを含む水溶液は,pH5以下であれば,寒天印象材や石こう模型材の表面が荒れることを効果的に防止できることがわかる。表3から,pH3.5以下の場合に,より効果が大きいことがわかる。
実施例2では,複模型用寒天印象材「デュプリゲル」(登録商標)を用いた。この寒天を,90℃で湯煎して溶解させ,60℃まで徐冷後,内径21mm×厚み3mmのリング内に流し込み,ガラスの平板の印象を採った。採取した印象体を表4に示す表面改良材に10秒間浸漬させてから水洗した。比較例は水洗のみとした。処理した印象体に石こう泥および埋没材泥を注入し反転した模型表面を評価した。これらの結果を表4に示した。
Figure 0005642026
表4から,硫酸カリウムアルミニウムを含む水溶液は,pH5以下の場合に複模型用寒天印象材の表面が荒れる事態を防止できることがわかる。さらに,pH3.5以下の場合は,表面の荒れを防止する作用が強いことがわかった。また,硫酸アンモニウム鉄(III)を含む水溶液は,pH4以下の場合に複模型用寒天印象材の表面が荒れる事態を効果的に防止できることがわかる。硫酸アルミニウムアンモニウムを含む水溶液は,pH6以下の場合に複模型用寒天印象材の表面が荒れる事態を防止でき,pH3.2以下の場合に表面の荒れを防止する作用が強いことがわかる。
図1は,硫酸カリウムアルミニウム12水塩を添加しpH3.0の状態にて製造された石こう系埋没材模型の図面に替わる写真である。図2は,比較例により得られた石こう系埋没材模型の図面に替わる写真である。図1及び図2を比較すると,本発明の滑沢剤を添加することで,得られる石こう系埋没材模型の表面が圧倒的に滑らかになることが示された。
実施例3では,滑沢剤を添加した模型材を印象体に注入し反転した模型面を評価した。模型材は,歯科用硬質石膏を用い,遅延剤にはクエン酸ナトリウムを添加した。歯科用寒天印象材「紫陽花」は,てきおん君カートリッジ(登録商標)(株式会社ヨシダ製,TEG−10)にて溶解させた。その後,溶解させた寒天を,専用のシリンジで内径21mm×厚み3mmのリング内に少し盛り上がるまで流し込み,ガラスの平板の印象を採った。複模型用寒天印象材「デュプリゲル」(登録商標)は,90℃で湯煎して溶解させ,60℃まで徐冷後,内径21mm×厚み3mmのリング内に流し込み,ガラスの平板の印象を採った。
Figure 0005642026
以上の結果より,印象体を本発明の滑沢用水溶液に短時間浸漬することで,得られる模型表面の荒れを改善でき,表面の荒れのない滑沢な模型が作製できたといえる。また,滑沢剤を混合した模型材を使用することで,表面荒れのない滑沢な模型が作製できたと言える。
本発明の滑沢用水溶液は,石こう模型又は石こう系埋没材模型の表面を滑沢化させることができるので,石こうに関する産業において利用され得る。

Claims (1)

  1. 石こう又は石こう系埋没材原料と滑沢剤成分とを混和する混和工程と,
    前記混和工程で滑沢剤成分と混和した石こう又は石こう系埋没材原料と水とを練和し,石こう泥又は石こう系埋没材泥を得る練和工程と,
    前記練和工程で得た前記石こう泥又は前記石こう系埋没材泥を印象体に注入する注入工程と,
    前記注入工程により注入した前記石こう泥又は前記石こう系埋没材泥を硬化させた後に,印象体から取り出し,石こう模型又は石こう系埋没材模型を得る石こう模型又は埋没材模型取得工程と,を含む,石こう模型又は石こう系埋没材模型の製造方法であって,
    前記滑沢剤成分は,
    硫酸カリウムアルミニウム,硫酸アルミニウム,硫酸アンモニウム鉄,硫酸アルミニウムアンモニウム,硫酸アンモニウムクロム,硫酸アルミニウムナトリウム,及びこれらの溶媒和物からなる群より選ばれる1種類又は2種以上を含有する粉末であり,
    前記滑沢剤成分が前記練和工程において練和に用いられた水に溶解した場合,pH4以下となる,
    石こう模型又は石こう系埋没材模型の製造方法。
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