JP2013070891A - 歯科用石こう粉末 - Google Patents
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Abstract
【課題】 硬化膨張抑制剤の影響を受けることなく表面性状が滑沢な硬化体を得ることが可能な歯科用石こう粉末を提供する。
【解決手段】 半水石こう,硬化遅延剤,減水剤,硬化膨張抑制剤として酒石酸カリウムを含む混合物に、粒径が0.1〜20μmのシリカが含まれていることを特徴とする歯科用石こう粉末とする。このとき、粒径が0.1〜20μmのシリカが5〜20重量部含まれていることが好ましい。より好ましくは5〜15重量部である。
【選択図】 なし
【解決手段】 半水石こう,硬化遅延剤,減水剤,硬化膨張抑制剤として酒石酸カリウムを含む混合物に、粒径が0.1〜20μmのシリカが含まれていることを特徴とする歯科用石こう粉末とする。このとき、粒径が0.1〜20μmのシリカが5〜20重量部含まれていることが好ましい。より好ましくは5〜15重量部である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、歯科模型用材料,義歯の作製時に埋没用材料として使用される歯科用石こう粉末に関する。より詳細には、シリカ粉末を適量配合することにより硬化体の表面性状を改善させた歯科用石こう粉末に関する。
歯科分野においては、口腔内に装着されるインレー,クラウン,ブリッジ,部分床義歯,全部床義歯等の各種歯科補綴物を作製する際に、その型材として歯科用石こうが使用されている。
歯科用石こうは、通常、半水石こうであるα−半水石こう(硬質石こう)及び/またはβ−半水石こう(焼石こう)を主成分とし、粉末の形態で提供されている。歯科医や技工士等は使用時に所定量の歯科用石こう組成物の粉末と練和用の水とをゴム製の小型ボウル(ラバーボウル)に採取し、専用のスパチュラを用いて練和し、石こうスラリーとした後に、模型用として使用する場合には口腔内の印象採得した陰型内に注入して硬化させ口腔内状態を再現した作業用模型や顎模型を作製する。義歯埋没用として使用する場合には、歯科用フラスコ内に注入して蝋義歯を埋没する目的で使用されている。作業用模型や顎模型は歯科補綴物を作製する際の基本となるものであり、作製される歯科補綴物の精度を考慮すると、歯科用石こうには硬化前後で寸法変化が少ないこと及び硬化体の表面性状が滑沢であることが強く要求されている。
歯科用石こう粉末中には硫酸塩や酒石酸塩等の硬化膨張抑制剤が配合されている。歯科用石こう粉末への硬化膨張抑制剤の添加は、硬化膨張を小さくして精度を高めるためであるものの、一方でアルギン酸塩系印象材や寒天印象材との相性が悪く、歯科用石こうの硬化体表面を荒らしてしまうことがある。そのため、各種歯科補綴物の精度を考慮すると、表面が滑らかな石こう硬化体を得るためには硬化膨張抑制剤の添加量はできる限り減らすことが望ましい。しかしながら、硬化前後での寸法変化への影響を考慮すると硬化膨張抑制剤の添加量を減らすことはできないという矛盾がある。
そこで、歯科用石こうの硬化体表面を滑沢にするために、樹脂成分の各種添加物を歯科用石こうに加える技術が開示されている(例えば、特許文献1〜特許文献4参照。)。
しかしながら、このような樹脂成分を添加した歯科用石こうは、輸送時における熱の影響や湿気の影響を受けやすく「保存安定性」が悪いという問題がある。また、樹脂成分の中には、においが強いものが多く、使用者や術者に不快感を与えてしまう虞がある。
しかしながら、このような樹脂成分を添加した歯科用石こうは、輸送時における熱の影響や湿気の影響を受けやすく「保存安定性」が悪いという問題がある。また、樹脂成分の中には、においが強いものが多く、使用者や術者に不快感を与えてしまう虞がある。
本発明は、硬化膨張抑制剤の影響を受けることなく表面性状が滑沢な硬化体を得ることが可能な歯科用石こう粉末を提供することを課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、硬化前後での寸法変化を抑えるために硬化膨張抑制剤として酒石酸カリウムを使用し、同時に歯科用石こう粉末中に特定の粒子径を有するシリカ粉末を配合すると、歯科用石こうが硬化した際に二水石こうの針状結晶の間にシリカが入り込んだ状態で存在するので、その結果、歯科用石こうの硬化体表面の凹凸が埋まるため、硬化体の表面が滑らかとなることを究明して本発明を完成した。
即ち、本発明に係る歯科用石こう粉末は、半水石こう,硬化遅延剤,減水剤,硬化膨張抑制剤としての酒石酸カリウムを含む混合物に、粒径が0.1〜20μmのシリカが含まれていることを特徴とする歯科用石こう粉末である。
本発明は、硬化膨張を効果的に抑制しながらも硬化体の表面性状が滑沢な歯科用石こうの硬化体を得ることが可能な歯科用石こう粉末である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。半水石こう,硬化遅延剤,減水剤,硬化膨張抑制剤としての酒石酸カリウムを含む混合物に、粒径が0.1〜20μmのシリカを含ませる方法は、例えば、歯科用石こう粉末の製造時における半水石こうの粉砕過程で、ミルの中に粒径が0.1〜20μmのシリカを歯科用石こう粉末中に添加する方法がある。歯科用石こう粉末中に分散させたシリカは、歯科用石こう粉末と水が練和され硬化すると硬化体中でシリカが歯科用石こう硬化体の二水石こうの針状結晶の間に入り込み、歯科用石こう硬化体の表面凹凸が埋まることで硬化体の表面性状が滑らかとなる。そのため、シリカ粉末の配合量は、半水石こう,硬化遅延剤,減水剤,硬化膨張抑制剤として酒石酸カリウムを含む混合物100重量部に対し、5〜20重量部であることが好ましく、5重量部未満であっても20重量部を超えても効果が低下する。より好ましくは5〜15重量部である。
粒径が0.1〜20μmのシリカは、石英,トリディマイト,クリストバライト,コーサイト,スティショバイト,衝撃石英から選ばれる1種または2種以上を例示することができる。中でもその効果から鑑みて石英が最も好ましい。
本発明に係る歯科用石こう粉末に用いられる半水石こうは、α−半水石こう,β−半水石こう,α−半水石こうとβ−半水石こうとの組み合わせがある。硬化体の圧縮強度は混水比によって著しい影響を受け、混水比が低いほど高い圧縮強度が得られる。従って、模型用材料として使用する場合等の高い強度が要求される際には、α−半水石こう単独またはα−半水石こうとβ−半水石こうとの組み合わせでもα−半水石こうの割合が多い低混水比のものが用いられ、義歯床作製の場合の義歯埋没用材料として使用する場合等の適度な強度と破砕しやすさが必要とされる際には、β−半水石こう単独またはα−半水石こうとβ−半水石こうとの組み合わせでもβ−半水石こうの割合の多い高混水比のものが用いられる。
歯科用石こう粉末は、模型材料,義歯埋没用材料等の使用目的に応じて操作性や物理的性質が設定されるのであるが、半水石こう自体は硬化が速いため、通常、硬化遅延剤が加えられている。硬化遅延剤としては、クエン酸塩,ホウ酸塩,カルボン酸塩,酢酸塩等の塩類や、デン粉,アラビアゴム,カルボキシメチルセルロース,ゼラチン等の水溶性高分子等の公知の硬化遅延剤が使用可能であり、通常、半水石こう粉末100重量部に対して0.00001〜0.2重量部含有される。
微妙な硬化時間の調整が必要とされる場合には、更に硬化促進剤が用いられることがある。硬化促進剤としては、塩化ナトリウム,硫酸カリウム等の無機塩や二水石こう微粉末等の公知の硬化促進剤が使用でき、通常、配合する場合は、半水石こう粉末100重量部に対して0.001〜2重量部含有される。
本発明においては酒石酸カリウムを硬化膨張抑制剤として使用する。酒石酸カリウムは粒径が0.1〜20μmのシリカと組み合わせることによって硬化膨張を抑制する効果と硬化体の表面を滑らかにする効果を高い次元で両立させることができる。硬化膨張抑制剤は半水石こう粉末100重量部に対して0.01〜1重量部含有されることが好ましい。本発明に係る歯科用石こう粉末には、その他、必要に応じて公知の着色剤や軽量化材が含有されていてもよい。
減水剤としては、アルキルベンゼンスルフォン酸塩としてドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム等が使用できる。また、アルキル硫酸塩としては、ラウリル硫酸ナトリウム,ラウリル硫酸カリウム,ミリスチル硫酸ナトリウム,セチル硫酸ナトリウム,ステアリン酸ナトリウム等の従来から使用されている物質が使用可能である。
以下、本発明に係る歯科用石こう粉末の実施例を挙げ詳細に説明する。
<実施例1〜7,比較例1〜5>
各実施例の配合及び特性は表1及び表2に纏めて示した。また各比較例の配合及び特性は表3及び表4に纏めて示した。
<実施例1〜7,比較例1〜5>
各実施例の配合及び特性は表1及び表2に纏めて示した。また各比較例の配合及び特性は表3及び表4に纏めて示した。
<特性の試験>
実施例,比較例の歯科用石こう粉末は、JIS T6605「歯科用硬質石こう」及びJIS T6604「歯科用焼石こう」に定められた方法により物理的性質(硬化時間及び線硬化膨張)を測定した。
実施例,比較例の歯科用石こう粉末は、JIS T6605「歯科用硬質石こう」及びJIS T6604「歯科用焼石こう」に定められた方法により物理的性質(硬化時間及び線硬化膨張)を測定した。
<印象材に対する表面粗さ>
評価に用いた印象材は、市販のアルジネート系印象材(商品名 アローマファインプラス,ジーシー社製)及び市販のシリコーン系印象材(商品名 フュージョンII,ジーシー社製)を用いた。
各実施例,比較例において、印象材を用いてアクリル板面(平滑面)の印象を採取した。次に、その印象面に歯科用石こう粉末と水を混合した石こうスラリー(練和物)を注入し、室温で60分間静置し硬化させた後、得られた石こう硬化体の印象材と接触していた面の表面粗さ(RzJIS;十点平均粗さ)を表面粗さ計サーフコーダSE−40D(Kosaka Laboratory Ltd.)を用いて測定した。
評価に用いた印象材は、市販のアルジネート系印象材(商品名 アローマファインプラス,ジーシー社製)及び市販のシリコーン系印象材(商品名 フュージョンII,ジーシー社製)を用いた。
各実施例,比較例において、印象材を用いてアクリル板面(平滑面)の印象を採取した。次に、その印象面に歯科用石こう粉末と水を混合した石こうスラリー(練和物)を注入し、室温で60分間静置し硬化させた後、得られた石こう硬化体の印象材と接触していた面の表面粗さ(RzJIS;十点平均粗さ)を表面粗さ計サーフコーダSE−40D(Kosaka Laboratory Ltd.)を用いて測定した。
Claims (3)
- 半水石こう,硬化遅延剤,減水剤,硬化膨張抑制剤として酒石酸カリウムを含む混合物に、粒径が0.1〜20μmのシリカが含まれていることを特徴とする歯科用石こう粉末。
- 粒径が0.1〜20μmのシリカが、半水石こう,硬化遅延剤,減水剤,硬化膨張抑制剤として酒石酸カリウムを含む混合物100重量部に対して5〜20重量部含まれている請求項1に記載の歯科用石こう粉末。
- シリカが、石英,トリディマイト,クリストバライト,コーサイト,スティショバイト,衝撃石英から選ばれる1種または2種以上である請求項1または2に記載の歯科用石こう粉末。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011213613A JP2013070891A (ja) | 2011-09-29 | 2011-09-29 | 歯科用石こう粉末 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2011213613A JP2013070891A (ja) | 2011-09-29 | 2011-09-29 | 歯科用石こう粉末 |
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Country Status (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113666704A (zh) * | 2021-08-23 | 2021-11-19 | 深圳市青青源科技有限公司 | 可改善牙科石膏掉粉的方法 |
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2011
- 2011-09-29 JP JP2011213613A patent/JP2013070891A/ja not_active Withdrawn
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