JP5642011B2 - 有機電界発光素子の作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は有機電界発光素子の作製方法に関する。
有機電界発光素子(以下、「素子」、「有機EL素子」ともいう)は、低電圧駆動で高輝度の発光が得られることから活発に研究開発が行われている。有機電界発光素子は、一対の電極間に有機層を有し、陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが有機層において再結合し、生成した励起子のエネルギーを発光に利用するものである。
そして、有機電界発光素子の作製などにおける蒸着による有機層の形成に際しては、均一な製膜、有機材料の分解の防止などの課題があり、種々の検討がなされている。
特許文献1では、蒸着装置において、蒸着源と被蒸着構造体との間に相対線形移動を提供する手段を導入するなど蒸着装置についての検討、特許文献2では、高温、高圧による有機材料の変質を防止すべく、所定の基板−蒸着源間の距離、蒸着速度における場合などの吐出孔についての検討がなされている。また、特許文献3では、複合膜を良好に形成すべく、蒸着時の低製膜速度におけるコントロール性を高め、有機材料を高温に晒さないように、蒸着源を2つ以上用いること、特許文献4では、蒸着材料をその熱分解温度以下で蒸着を行うなどの検討がなされている。
一方で、従来の有機電界発光素子は、一般的に高電圧で駆動時には発光効率が低下することが知られていたが、蒸着方法との関連性については、なんら議論されていなかった。
特開2003−7464号公報 特開2004−27251号公報 特開2008−108611号公報 特開2003−257643号公報
本発明は、高い発光効率とともに、高電圧での駆動時でも発光効率の低下が抑制された有機電界発光素子の作製方法を提供する。また、前記作製方法により作製された有機電界発光素子、前記素子を有する表示装置及び照明装置を提供する。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、前記課題が下記の手段により達成されることを見出した。
〔1〕
陽極、発光層、発光層に隣接する有機層、陰極をこの順に含む有機電界発光素子の作製方法であって、
前記発光層上への前記有機層の蒸着による形成に際し、
前記有機層を構成する成分のうち、1×10−2Paにおける昇華開始温度が最も高い成分について、その昇華開始温度Tb(℃)が、前記発光層に最も多く含まれる成分のガラス転移温度をTem(℃)とした時に、0.60≧Tem/Tb≧0.30を満足し、
前記有機層を製膜する際の蒸着源と前記発光層の表面との距離をL(cm)とした時、2.0≦Tb/L≦80を満足する条件にて、前記有機層の蒸着を行うことを特徴とする有機電界発光素子の作製方法。
〔2〕
前記有機層を蒸着する際の蒸着速度が0.2〜1.5Å/sであることを特徴とする〔1〕に記載の有機電界発光素子の作製方法。
〔3〕
前記発光層が、発光材料として、燐光発光材料を含有することを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の有機電界発光素子の作製方法。
〔4〕
前記発光層が、発光材料として、平板状材料を含有することを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子の作製方法。
〔5〕
前記発光層が、ホスト材料として平板状材料を更に含むことを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子の作製方法。
〔6〕
前記発光層中の発光材料の配向度が0.6以上であることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子の作製方法。
〔7〕
前記1×10−2Paにおける昇華開始温度が最も高い成分が、電子輸送材料であることを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子の作製方法。
〔8〕
前記発光層に最も多く含まれる成分が、ホスト材料であることを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子の作製方法。
〔9〕
〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の作製方法により作製された有機電界発光素子。
〔10〕
〔9〕に記載の素子を用いた表示装置。
〔11〕
〔9〕に記載の素子を用いた照明装置。
本発明の有機電界発光素子の作製方法によれば、蒸着によっても、発光層へのダメージが少なく、良好な発光層を維持しつつ、発光層の上層として密着性が良好な有機層を形成することができ、高い発光効率とともに、高電圧時でも効率の低下が抑制されるなど優れた性能を有する有機電解発光素子を提供することができる。更に、該有機電界発光素子を含む表示装置及び照明装置を提供することができる。
従来の素子においては、効率を高めた場合においても、駆動電圧が高電圧になるにともない効率は低下することが一般的であった。本発明は、本発明の方法により、高電圧側での駆動においても良好な効率を維持できる素子を提供するものであり、素子の一般的な効率の向上とは本質的に異なる効果を奏するものである。
本発明に係る有機電界発光素子の構成の一例を示す概略図である。 本発明に係る発光装置の一例を示す概略図である。 本発明に係る照明装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本発明において、置換基群A、置換基群Bを下記のように定義する。
(置換基群A)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントリルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミダゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(芳香族ヘテロ環基も包含し、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子であり、具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、キノリル、フリル、チエニル、セレノフェニル、テルロフェニル、ピペリジル、ピペリジノ、モルホリノ、ピロリジル、ピロリジノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基、シロリル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)、ホスホリル基(例えばジフェニルホスホリル基、ジメチルホスホリル基などが挙げられる。)が挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
(置換基群B)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントリルなどが挙げられる。)、シアノ基、ヘテロ環基(芳香族ヘテロ環基も包含し、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子であり、具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、キノリル、フリル、チエニル、セレノフェニル、テルロフェニル、ピペリジル、ピペリジノ、モルホリノ、ピロリジル、ピロリジノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基、シロリル基などが挙げられる。)が挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、前記置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
〔有機電界発光素子の作製方法〕
本発明は、有機電界発光素子の作製における発光層上への有機層の蒸着による形成において、有機層を構成する成分のうち、昇華開始温度が最も高い成分の昇華開始温度Tbに基づき、蒸着源と発光層表面との距離Lを設定すること(2.0≦Tb/L≦80)、そして、発光層に最も多く含まれる成分のガラス転移点Temとの関係で、有機層中の昇華開始温度が最も高い成分について、昇華開始温度Tbを所定の関係(0.60≧Tem/Tb≧0.30)を満足するものを使用することにより、高電圧での駆動時でも発光効率の低下が抑制されることを見出したものである。なお、高電圧での駆動時とは、例えば、電流密度25mA・cmでの駆動時である。
このような効果の理由については、上記のように、有機層中の成分の昇華開始温度に基づき、蒸着源と発光層表面との距離Lを設定していること、そして、発光層に最も多く含まれる成分のガラス転移点Temを考慮して、有機層中の成分の昇華開始温度を所定の範囲のものとすることで、熱衝撃による発光層へのダメージが抑制され、良好な発光層を維持しつつ、そして、発光層への密着が良好な有機層を形成できているためと推測している。
従来の素子の高電圧負荷における効率低下は、上層の蒸着による形成の際の発光層の損傷に起因しており、その損傷は高電圧負荷の条件になるほど、効率低下として顕在化しているのではないかと推測している。
なお、2.0≦Tb/L≦80の関係式は、以下の知見に基づき見出されたものである。
一般に、光が点光源である場合、距離rだけ離れた面は面積4πrの範囲が照らされるため、点光源の光量に対し、面上の任意の点が受ける光量(=エネルギー量)は光源との距離の2乗に反比例することが知られている。
基板上の被蒸着面のある範囲が任意の時間内に有機材料の衝突を受ける確率についても、上記の点光源の例と同様に距離の2乗に反比例して小さくなる事が推測される。
従って、発光層界面の表面の分子が、更なる有機層形成のための有機材料の衝突を受け、そのエネルギーを熱伝導などで緩和する前に次の分子が衝突することが、界面形状の粗雑化を引き起こしていると推測できるが、この衝突は、距離の2乗に反比例して小さくなる事が推測され、そして、それによる被蒸着面のダメージも、距離の二乗に反比例すると考えられる。
なお、るつぼなど蒸着源から昇華した有機材料はある熱エネルギーを持って基板に到達し、その基板付近でのエネルギーは昇華直後とほぼ変わらない。これは通常真空蒸着を行う条件下(10−3Pa以下)では、残留した気体分子及び有機材料分子同士が衝突して冷却される機会がほとんどないとされるためである。
本発明の作製方法においては、蒸着する有機材料の昇華開始温度に応じて、距離の二乗の範囲を所定の範囲とすることにより、被蒸着面のダメージの減少とともに、蒸着層の密着性の向上を図ることができた。
なお、密着性の向上については、上記関係式とともに、発光層を構成する材料のガラス転移点Temとの関係で、有機層の成分の昇華開始温度Tbを所定の範囲とすることで、更に発光層と有機層との密着性を良好なものとすることができ、本発明の効果に寄与しているものと推測している。有機層の蒸着による熱衝撃に対して発光層材料のガラス転移点が高すぎる場合には、電荷輸送に効果的な密着性の高い界面の形成が阻害され、本発明の効果が阻害される。
また、蒸着速度(蒸着レート)について、ある値よりも小さくすれば、上記推定メカニズムと同様に基板付近での分子濃度が薄くなり、同様の効果が得られるように思われた。
蒸着速度は、基板付近に配置した水晶子に付着する有機材料の重量を妥当な膜厚値に変換することで得られる数値であり、蒸着速度を大きくする場合は通常、るつぼやボートに流す電流値を大きくしてより大きな熱をかけることで蒸発量を増やす事が一般的である。
しかしながら、基板と蒸着源との距離を変えずに単に蒸着速度を変えるだけでは本発明の効果は得られない事がわかった。これは、単純に蒸着速度を落とすとボートに加わる熱が小さくなり、昇華した分子がボートから受ける輻射熱までもが小さくなるため、同程度の分子濃度になっても密着性のよい界面が得られないことが原因と推察している。
一方で、本発明の作製方法に従い、被蒸着面との距離と昇華開始温度を満たした上で、更に蒸着速度をある一定の範囲になるよう蒸着することで、より高い効果が得られることがわかった。
本発明の有機電界発光素子の作製方法について、より詳細に説明する。
本発明は、陽極、発光層、発光層に隣接する有機層、陰極をこの順に含む有機電界発光素子の作製方法を提供する。本発明の有機電界発光素子の作製方法は、有機層である発光層上に、有機層を蒸着により形成する際に、特定の条件下での蒸着を行うことを特徴とするものであり、作製される電界発光素子における他の構成は任意であり、例えば、発光層、そして発光層に隣接して形成される有機層以外にも、有機層を有していてもよい。
本発明の作製方法においては、発光層上への有機層の蒸着による形成に際し、有機層を構成する成分のうち、1×10−2Paにおける昇華開始温度が最も高い成分について、その昇華開始温度Tb(℃)が、発光層に最も多く含まれる成分のガラス転移温度をTem(℃)とした時に、0.60≧Tem/Tb≧0.30を満足し、
前記有機層を製膜する際の蒸着源と前記発光層の表面との距離をL(cm)とした時、2.0≦Tb/L≦80を満足する条件にて、有機層の蒸着を行うことを特徴としている。
昇華開始温度は、減圧下での重量減少曲線をサンプル量20mgで測定し、重量減少率−5%点(−5%点は材料が昇華・蒸発を開始した温度であるとみなす)の温度(T(−5%))を計測することで、材料の昇華開始温度を求めることができる。
ガラス転移温度は、示差走査熱量計を用いて測定する事ができる。ガラス状サンプルを加熱することで、ガラス転移点に相当するピークとその温度を測定する。
蒸着源と発光層の表面との距離L(cm)とは、蒸着源の開口部と発光層表面との距離を意味する。
蒸着源は、蒸着に使用される任意のものが使用できるが、一般的には、そのキャビティ内に有機材料を有し、キャビティ外周に配置されるヒータなど任意の加熱手段により加熱されることで、有機材料を昇華、キャビティ上部の開口部より、被蒸着面へ導入され、蒸着が行われる。
Temは、一般的に材料膜の膜質安定性を付与するために高いことが望まれる。有機電界発光素子用材料として用いられる材料のガラス転移温度は20〜350℃であり、本発明で使用する材料においては70〜250℃が好ましい。
Tbは、一般的に、材料の分解温度を超えない範囲で適宜選択され、120〜500℃であり、本発明で使用する材料においては170〜400℃であることが好ましい。
Lは、一般的に2〜100cmの間で、基板サイズや蒸着レートにより適宜選択される。
蒸着速度は、一般的に0.05〜50Å/sであり、均一膜を形成する観点、又は蒸着源に過剰な温度負荷をかけない観点から0.05〜10Å/s〜が好ましく、0.1〜5Å/sがより好ましく、0.2〜1.5Å/sが特に好ましい。
なお、前記有機層は、1×10−2Paにおける昇華開始温度が最も高い成分を5〜100質量%含有することが好ましく、50〜100質量%含有することがより好ましい。
本発明の作製方法において、発光層における発光材料及び/又はホスト材料として、平板状材料を使用する場合に、高電圧下での効率低下の抑制について効果が顕著であることがわかった。
なお、発光層に燐光材料を使用した場合、燐光材料は励起子の濃度が上がるにつれて励起子同士の距離が短くなり三重項消滅を起こすため、高電圧下で効率が低下する傾向が顕著であったが、本発明の作製方法により、これを抑制し高電圧下で効率を良好なものにすることができる。
また、発光層中の発光材料の配向度が高い場合(例えば、配向度0.6以上)に、発光層上への蒸着などによる有機膜の形成の際に、損傷を受けやすいと考えられ、本発明における蒸着方法は、発光材料の配向度が高い発光層に対して、特に有益な効果をもたらすものといえる。
なお、配向度の上限は一般的には1.0である。
また、配向度は、素子の発光効率向上や、電荷輸送の円滑化の点で、0.4〜1.0が好ましい。
発光層中の発光材料の配向度は、発光層と同一の組成で石英上に蒸着製膜した膜の配向度を意味し、その配向度は、上述のようにして形成した膜(発光層)を、ATR−IRの変角測定することにより算出した。
図1は、本発明に係る有機電界発光素子の構成の一例を示している。図1に示される本発明に係る有機電界発光素子10は、支持基板2上において、陽極3と陰極9との間に発光層6が挟まれている。具体的には、陽極3と陰極9との間に正孔注入層4、正孔輸送層5、発光層6、正孔ブロック層7、及び電子輸送層8がこの順に積層されている。
発光素子の性質上、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明若しくは半透明であることが好ましい。
<有機電界発光素子の層構成>
有機電界発光素子が有する有機層の構成としては、特に制限はなく、有機電界発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記陽極上に又は前記陰極上に形成されるのが好ましい。この場合、有機層は、前記陽極又は前記陰極上の前面又は一面に形成される。
有機層の形状、大きさ、及び厚み等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
具体的な層構成として、下記が挙げられるが本発明はこれらの構成に限定されるものではない。
・陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極。
有機電界発光素子の素子構成、基板、陰極及び陽極については、例えば、特開2008−270736号公報に詳述されており、該公報に記載の事項を本発明に適用することができる。
<基板>
本発明で使用する基板としては、有機層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
<陽極>
陽極は、通常、有機層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
<陰極>
陰極は、通常、有機層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
基板、陽極、陰極については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0070〕〜〔0089〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
<有機層>
本発明における有機層について説明する。
−有機層の形成−
本発明の有機電界発光素子において、陰極側で発光層上に隣接して形成する有機層以外の各有機層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法、スピンコート法、バーコート法、インクジェット法、スプレー法等の溶液塗布プロセスによっても好適に形成することができる。液塗布プロセスを使用することで、生産性の向上、有機EL素子の大面積化などにつながることが考えられる。
乾式法としては蒸着法、スパッタ法等が使用でき、湿式法としてはディッピング法、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法、スプレーコート法、インクジェット法等が使用可能である。
これらの成膜法は有機層の材料に応じて適宜選択できる。湿式法により製膜した場合は製膜した後に乾燥してもよい。乾燥は塗布層が損傷しないように温度、圧力等の条件を選択して行う。
上記湿式製膜法(塗布プロセス)で用いる塗布液は通常、有機層の材料と、それを溶解又は分散するための溶剤からなる。溶剤は特に限定されず、有機層に用いる材料に応じて選択すればよい。
有機電界発光素子用材料を塗布液として用いる場合、塗布液中の含有量は、全固形分を基準として、0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.3〜40質量%、更に好ましくは0.3〜30質量%である。粘度は、一般的には1〜30mPa・s、より好ましくは1.5〜20mPa・s、更に好ましくは1.5〜15mPa・sである。
塗布液は、有機電界発光素子用材料を所定の有機溶媒に溶解し、フィルター濾過した後、所定の支持体又は層上に塗布して用いることが好ましい。フィルター濾過に用いるフィルターのポアサイズは2.0μm以下、より好ましくは0.5μm以下、更に好ましくは0.3μm以下のポリテトラフロロエチレン(PTFE)製、ポリエチレン製、又はナイロン製のものが好ましい。
溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、アミド系溶媒等の公知の有機溶媒を挙げることができる。
芳香族炭化水素系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、クメンエチルベンゼン、メチルプロピルベンゼン、メチルイソプロピルベンゼン、等が挙げられ、トルエン、キシレン、クメン、トリメチルベンゼンがより好ましい。芳香族炭化水素系溶媒の比誘電率は通常、3以下である。
アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、ブタノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等が挙げられ、ブタノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノールがより好ましい。アルコール系溶媒の比誘電率は通常、10〜40である。
ケトン系溶媒としては、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート等が挙げられ、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレンカーボネートが好ましい。ケトン系溶媒の比誘電率は通常、10〜90である。
脂肪族炭化水素系溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン等が挙げられ、オクタン、デカンが好ましい。脂肪族炭化水素系溶媒の比誘電率は通常、1.5〜2.0である。
アミド系溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチル正孔ムアミド、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられ、N−メチル−2−ピロリドン、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが好ましい。アミド系溶媒の比誘電率は通常、30〜40である。
上記溶剤を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
また、芳香族炭化水素系溶媒(以下、“第一の溶媒”ともいう)と、第一の溶媒より比誘電率の高い第二の溶媒とを混合して使用してもよい。
第二の溶媒としては、アルコール系溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒を使用することが好ましく、アルコール系溶媒を使用することがより好ましい。
第一の溶媒と第二の溶媒との混合比(質量)は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜70/30である。第一の溶媒を60質量%以上含有する混合溶媒が好ましい。
有機層形成用塗布液に、重合性基を有する化合物を含有し、該重合性基を有する化合物の重合反応により有機層を形成するポリマーを形成する場合には、有機膜の塗布後、加熱又は光照射することにより、重合反応が進行し、ポリマーを形成することができる。
塗布後の加熱温度及び時間は、重合反応が進行する限り特に限定されないが、加熱温度は一般的に100℃〜200℃であり、好ましくは120℃〜160℃がより好ましい。
加熱時間は一般的に1分〜120分であり、1分〜60分が好ましく、より好ましくは1分〜30分である。
また、UV照射による重合反応、白金触媒による重合反応、塩化鉄などの鉄触媒による重合反応等が挙げられる。これら重合方法は、加熱による重合方法と併用してもよい。
(発光層)
<発光材料>
本発明における発光層が含有する発光材料は、特に限定されず、例えば、蛍光発光材料、燐光発光材料などが挙げられるが、燐光発光材料が好ましい。
(蛍光発光材料)
蛍光発光材料の例としては、例えば、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、縮合芳香族化合物、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサジン誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリルアミン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノール誘導体の錯体やピロメテン誘導体の錯体に代表される各種錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン誘導体、ピレン誘導体などの化合物等が挙げられる。
(燐光発光材料)
燐光発光材料としては、例えば、US6303238B1、US6097147、WO00/57676、WO00/70655、WO01/08230、WO01/39234A2、WO01/41512A1、WO02/02714A2、WO02/15645A1、WO02/44189A1、WO05/19373A2、特開2001−247859、特開2002−302671、特開2002−117978、特開2003−133074、特開2002−235076、特開2003−123982、特開2002−170684、EP1211257、特開2002−226495、特開2002−234894、特開2001−247859、特開2001−298470、特開2002−173674、特開2002−203678、特開2002−203679、特開2004−357791、特開2006−256999、特開2007−19462、特開2007−84635、特開2007−96259等の特許文献に記載の燐光発光化合物などが挙げられ、中でも、更に好ましい発光性ドーパントとしては、Ir錯体、Pt錯体、Cu錯体、Re錯体、W錯体、Rh錯体、Ru錯体、Pd錯体、Os錯体、Eu錯体、Tb錯体、Gd錯体、Dy錯体、及びCe錯体が挙げられる。特に好ましくは、Ir錯体、Pt錯体、又はRe錯体であり、中でも金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含むIr錯体、Pt錯体、又はRe錯体が好ましい。更に、発光効率、駆動耐久性、色度等の観点で、3座以上の多座配位子を含むIr錯体、Pt錯体、又はRe錯体が特に好ましい。
また、発光材料は、平板状材料であることが好ましく、材料の単分子計算構造において、分子が内接する最も体積が小さい直方体を想定し、この3辺の長さを、長い順にx、y、zとしたとき、x>3zかつy>2zである材料を平板状材料として定義する。
平板状材料である発光材料としては、例えば、後述の白金錯体が挙げられる。
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、2nm〜500nmであるのが好ましく、中でも、外部量子効率の観点で、3nm〜200nmであるのがより好ましく、5nm〜100nmであるのが更に好ましい。
本発明の素子における発光層は、発光材料のみで構成されていても良く、ホスト材料と発光材料の混合層とした構成でも良い。発光材料は蛍光発光材料でも燐光発光材料であっても良く、ドーパントは一種であっても二種以上であっても良い。ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は一種であっても二種以上であっても良く、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。
更に、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいても良い。
また、発光層は一層であっても二層以上の多層であってもよい。また、それぞれの発光層が異なる発光色で発光してもよい。
また、発光層において、発光材料以外のホスト材料などが平板状材料であることも、発光材料の配向度をより高める観点から好ましい。
また、本発明における発光層が含有する発光材料としては、以下に述べるような、白金錯体、イリジウム錯体、又はピレン誘導体が好ましい。
発光層中の白金錯体又はイリジウム錯体の含有量は、発光層を形成する全化合物の質量に対して、0.1質量%〜30質量%が好ましく、1質量%〜20質量%がより好ましく、5質量%〜15質量%が特に好ましい。
発光層中のピレン誘導体は、発光層を形成する全化合物の質量に対して、0.1質量%〜30質量%含有されることが好ましく、発光色を良化させる観点から1質量%〜12質量%含有されることがより好ましく、2質量%〜10質量%含有されることが更に好ましい。
*発光材料を金属錯体とその他で分けました。
前記白金錯体としては、一般式(C−1)で表される白金錯体であることが好ましい。
Figure 0005642011
式中、Q、Q、Q及びQは、それぞれ独立に、Ptに配位する配位子を表す。L、L及びLは、それぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表す。
一般式(C−1)について説明する。
、Q、Q及びQは、それぞれ独立に、Ptに配位する配位子を表す。この時、Q、Q、Q及びQとPtの結合は、共有結合、イオン結合、配位結合などいずれであってもよい。
、Q、Q及びQ中のPtに結合する原子としては、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子が好ましく、Q、Q、Q及びQ中のPtに結合する原子の内、少なくとも一つが炭素原子であることが好ましく、二つが炭素原子であることがより好ましく、二つが炭素原子で、二つが窒素原子であることが特に好ましい。
炭素原子でPtに結合するQ、Q、Q及びQとしては、アニオン性の配位子でも中性の配位子でもよく、アニオン性の配位子としてはビニル配位子、芳香族炭化水素環配位子(例えばベンゼン配位子、ナフタレン配位子、アントラセン配位子、フェナントレン配位子など)、ヘテロ環配位子(例えばフラン配位子、チオフェン配位子、ピリジン配位子、ピラジン配位子、ピリミジン配位子、ピリダジン配位子、トリアジン配位子、チアゾール配位子、オキサゾール配位子、ピロール配位子、イミダゾール配位子、ピラゾール配位子、トリアゾール配位子、オキサジアゾール配位子、チアジアゾール配位子、及び、それらを含む縮環体(例えばキノリン配位子、ベンゾチアゾール配位子など))が挙げられる。中性の配位子としてはカルベン配位子が挙げられる。
窒素原子でPtに結合するQ、Q、Q及びQとしては、中性の配位子でもアニオン性の配位子でもよく、中性の配位子としては含窒素芳香族ヘテロ環配位子(ピリジン配位子、ピラジン配位子、ピリミジン配位子、ピリダジン配位子、トリアジン配位子、イミダゾール配位子、ピラゾール配位子、トリアゾール配位子、オキサゾール配位子、チアゾール配位子及びそれらを含む縮環体(例えばキノリン配位子、ベンゾイミダゾール配位子など))、アミン配位子、ニトリル配位子、イミン配位子が挙げられる。アニオン性の配位子としては、アミノ配位子、イミノ配位子、含窒素芳香族ヘテロ環配位子(ピロール配位子、イミダゾール配位子、トリアゾール配位子及びそれらを含む縮環体(例えはインドール配位子、ベンゾイミダゾール配位子など))が挙げられる。
酸素原子でPtに結合するQ、Q、Q及びQとしては、中性の配位子でもアニオン性の配位子でもよく、中性の配位子としてはエーテル配位子、ケトン配位子、エステル配位子、アミド配位子、含酸素ヘテロ環配位子(フラン配位子、オキサゾール配位子及びそれらを含む縮環体(ベンゾオキサゾール配位子など))が挙げられる。アニオン性の配位子としては、アルコキシ配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ配位子、アシルオキシ配位子、シリルオキシ配位子などが挙げられる。
硫黄原子でPtに結合するQ、Q、Q及びQとしては、中性の配位子でもアニオン性の配位子でもよく、中性の配位子としてはチオエーテル配位子、チオケトン配位子、チオエステル配位子、チオアミド配位子、含硫黄ヘテロ環配位子(チオフェン配位子、チアゾール配位子及びそれらを含む縮環体(ベンゾチアゾール配位子など))が挙げられる。アニオン性の配位子としては、アルキルメルカプト配位子、アリールメルカプト配位子、ヘテロアリールメルカプト配位子などが挙げられる。
リン原子でPtに結合するQ、Q、Q及びQとしては、中性の配位子でもアニオン性の配位子でもよく、中性の配位子としてはホスフィン配位子、リン酸エステル配位子、亜リン酸エステル配位子、含リンヘテロ環配位子(ホスフィニン配位子など)が挙げられ、アニオン性の配位子としては、ホスフィノ配位子、ホスフィニル配位子、ホスホリル配位子などが挙げられる。
、Q、Q及びQで表される配位子は、置換基を有していてもよく、置換基としては前記置換基群Aとして挙げたものが適宜適用できる。また置換基同士が連結していてもよい。QとQが有する置換基同士が連結した場合、一般式(C−1)で表される白金錯体は環状四座配位子のPt錯体になる。
、Q、Q及びQで表される配位子として好ましくは、炭素原子でPtに結合する芳香族炭化水素環配位子、炭素原子でPtに結合する芳香族ヘテロ環配位子、窒素原子でPtに結合する含窒素芳香族ヘテロ環配位子、アシルオキシ配位子、アルコキシ配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ配位子、シリルオキシ配位子であり、より好ましくは、炭素原子でPtに結合する芳香族炭化水素環配位子、炭素原子でPtに結合する芳香族ヘテロ環配位子、窒素原子でPtに結合する含窒素芳香族ヘテロ環配位子、アシルオキシ配位子、アリールオキシ配位子であり、更に好ましくは炭素原子でPtに結合する芳香族炭化水素環配位子、炭素原子でPtに結合する芳香族ヘテロ環配位子、窒素原子でPtに結合する含窒素芳香族ヘテロ環配位子、アシルオキシ配位子である。
、L及びLは、単結合、二重結合、二価の連結基、又はこれらの組合せからなる基を表す。L、L及びLで表される二価の連結基としては、アルキレン基(メチレン、エチレン、プロピレンなど)、アリーレン基(フェニレン、ナフタレンジイル)、ヘテロアリーレン基(ピリジンジイル、チオフェンジイルなど)、イミノ基(−NR−)(フェニルイミノ基など)、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、ホスフィニデン基(−PR−)(フェニルホスフィニデン基など)、シリレン基(−SiRR’−)(ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基など)、カルボニル基、又はこれらを組み合わせたものが挙げられる。これらの連結基は、更に置換基を有していてもよい。R及びR’はそれぞれ独立に、置換基を表す。これら置換基としては前記置換基群Aとして挙げたものが適用できる。該置換基が複数ある場合には、該置換基同士は互いに連結して環を形成してもよい。
錯体の安定性及び発光量子収率の観点から、L及びLとして好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、イミノ基、オキシ基、チオ基、シリレン基であり、より好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基、イミノ基であり、更に好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基であり、更に好ましくは、単結合、メチレン基、フェニレン基であり、更により好ましくは単結合、2つの水素原子が置換されたメチレン基であり、特に好ましくは単結合、ジメチルメチレン基、最も好ましくは単結合である。
として好ましくはアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、イミノ基、オキシ基、チオ基、シリレン基、カルボニル基であり、より好ましくはアルキレン基、アリーレン基、イミノ基であり、更に好ましくはアルキレン基、イミノ基であり、特に好ましくはメチレン基、イミノ基である。これらは置換基を有していてもよく、該置換基としては前記置換基群Aとして挙げたものが適用できる。該置換基が複数ある場合には、該置換基同士は互いに連結して環を形成してもよい。
として更に好ましくは単結合、2つの水素原子が置換されたメチレン基、置換されてもよいアリールイミノ基であり、更に好ましくはジメチルメチレン基、エチルメチルメチレン基、メチルプロピルメチレン基、イソブチルメチルメチレン基、シクロヘキサンジイル基、シクロペンタンジイル基、フルオロメチルメチレン基、フェニルイミノ基であり、特に好ましくはジメチルメチレン基、フェニルイミノ基である。これらの基は可能であれば更に前記置換基群Aで挙げた基で置換されていてもよい。
一般式(C−1)で表される白金錯体のうち、好ましい態様としては、下記一般式(C−2)で表される白金錯体が挙げられる。
Figure 0005642011
式中、L21は単結合又は二価の連結基を表す。A21、A22、B21、及びB22は、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。ただし、A21、A22、B21、及びB22のうち2つ以上は窒素原子を表す。Z21、Z22、Z23、及びZ24は、それぞれ独立に、ベンゼン環又は含窒素芳香族ヘテロ環を表す。
一般式(C−2)について説明する。
21は単結合又は二価の連結基を表し、好ましい範囲は前記一般式(C−1)中のLと同様である。
21、A22、B21、B22はそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表すが、そのうち2つ以上は窒素原子を表す。更に、A21、A22、B21、B22のうち、2つ又は3つが窒素原子を表すことが好ましく、2つが窒素原子を表すことがより好ましい。錯体の安定性の観点から、A21及びA22が窒素原子を表す、又は、B21及びB22が窒素原子であることを表すことが好ましい。
21、Z22、Z23、Z24は、それぞれ独立にベンゼン環又は含窒素芳香族ヘテロ環を表す。
21、Z22、Z23、Z24で表される含窒素芳香族ヘテロ環としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環などが挙げられる。
配向性及び有機電界発光素子用材料としての安定性の観点から、Z21、Z22で表される環として好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、ピラゾール環であり、より好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピラゾール環である。
錯体の安定性、発光波長制御及び発光量子収率の観点から、Z23、Z24で表される環として好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、ピラゾール環であり、より好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピラゾール環であり、更に好ましくはベンゼン環、ピリジン環である。
前記Z21、Z22、Z23、Z24で表されるベンゼン環、含窒素芳香族ヘテロ環は置換基を有していてもよく、炭素原子上の置換基としては前記置換基群Aが、窒素原子上の置換基としては前記置換基群Bが適用できる。
炭素原子上の置換基として好ましくはアルキル基、フルオロアルキル基、アリール基、へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリル基、シアノ基、又はハロゲン原子であり、アルキル基、フルオロアルキル基、アリール基、アリールオキシ基、へテロ環基、ジアリールアミノ基、アルコキシ基、シアノ基、又はハロゲン原子がより好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、フッ素原子、又はシアノ基が更に好ましい。
前記アルキル基としては、炭素数1〜20の置換又は無置換のアルキル基を表し、直鎖、分岐、環状いずれの構造であってもよい。前記アルキル基としては、炭素数1〜12が好ましく、例えば、メチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、炭素数6〜10の置換又は無置換のアリール基を表し、縮環していてもよく、例えば、フェニル基、トルイル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記フルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基が好ましい。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜20の置換又は無置換のアルコキシ基を表し、直鎖、分岐、環状いずれの構造であってもよい。前記アルコキシ基としては、炭素数1〜12が好ましく、例えば、メトキシ基、ブチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、s−オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基などが挙げられる。
前記へテロ環基としては、炭素数6〜10の置換又は無置換の含窒素芳香族へテロ環基を表し、縮環していてもよく、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、カルバゾール環などが挙げられ、カルバゾール環が好ましい。
前記ジアリールアミノ基としては、炭素数6〜10の置換又は無置換のジアリールアミノ基を表し、縮環していてもよく、ジフェニルアミノ基、ジトルイルアミノ基、ジナフチルアミノ基などが挙げられる。
前記ジアルキルアミノ基としては、炭素数2〜20の置換又は無置換のジアルキルアミノ基を表し、直鎖、分岐、環状いずれの構造であってもよい。前記ジアルキルアミノ基としては、炭素数2〜12が好ましく、具体的には、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、ジデシルアミノ基、ジドデシルアミノ基、ジt−ブチルアミノ基、ジt−アミルアミノ基、ジs−ブチルアミノ基などが挙げられる。
前記アリールオキシ基としては、炭素数6〜10の置換又は無置換のアリールオキシ基を表し、縮環していてもよく、フェニルオキシ基、トルイルオキシ基、ナフチルオキシ基などが挙げられる。
前記シリル基としては、炭素数3〜24の炭素原子で置換されたシリル基を表し、トリアルキルシリル基、アリールジアルキルシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基のいずれであってもよい。前記シリル基としては、炭素数3〜18が好ましく、具体的には、例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
これらの中でも、直鎖状アルキル基及び直鎖状アルキル基を置換基として有する前記置換基が好ましい。
置換基は発光波長や電位の制御のために適宜選択されるが、長波長化させる場合には電子供与性基、芳香環基が好ましく、例えばアルキル基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリール基、芳香族ヘテロ環基などが選択される。また短波長化させる場合には電子求引性基が好ましく、例えばフッ素原子、シアノ基、トリフルオロアルキル基などが選択される。
窒素原子上の置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、又は芳香族ヘテロ環基であり、錯体の安定性の観点からアルキル基、又はアリール基が好ましい。
21、Z22、Z23、Z24上の置換基同士は連結して縮合環を形成していてもよく、形成される環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。Z23とZ24が有する置換基同士が連結した場合、一般式(C−2)で表される白金錯体は環状四座配位子のPt錯体になる。
一般式(C−2)で表される白金錯体のうち、より好ましい態様の一つは下記一般式(C−3)で表される白金錯体である。
(C−3)
Figure 0005642011
式中、A301〜A313は、それぞれ独立に、C−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。L31は単結合又は二価の連結基を表す。Y、Z、Mは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、ZとYのいずれか一方が、窒素原子である。
一般式(C−3)について説明する。
31は一般式(C−2)におけるL21と同義であり、また好ましい範囲も同様である。
301〜A306はそれぞれ独立にC−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rで表される置換基としては、前記置換基群Aとして挙げたものが適用できる。
301〜A306として好ましくはC−Rであり、R同士が互いに連結して環を形成していてもよい。A301〜A306がC−Rである場合に、A302、A305のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、トリフルオロアルキル基、アリール基、へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリル基、シアノ基、又はハロゲン原子であり、水素原子、アルキル基、トリフルオロアルキル基、アリール基、へテロ環基、ジアリールアミノ基、アルコキシ基、シアノ基、又はハロゲン原子がより好ましく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はシアノ基が更に好ましく、水素原子が特に好ましい。該アルキル基、及びアリール基は更に置換基を有してもよく、該置換基としてはアルキル基、アリール基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子、フルオロアルキル基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子、フルオロアルキル基(好ましくはトリフルオロメチル基)であり、更に好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)である。A302、A305がC−Rである場合、該A302、A305のRとしては、素子の耐久性向上の観点からはアリール基が好ましく、発光波長が短いという観点では水素原子、アルキル基、アミノ基、アルコキシ基、フッ素原子、シアノ基が好ましい。
301、A303、A304、A306のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子であり、特に好ましくは水素原子である。
307、A308、A309及びA310は、それぞれ独立に、C−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rで表される置換基としては、前記置換基群Aとして挙げたものが適用できる。A307、A308、A309及びA310がC−Rである場合に、Rとして好ましくは水素原子、アルキル基、トリフルオロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルオキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、トリフルオロアルキル基、アリール基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、フッ素原子、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子である。また可能な場合は置換基同士が連結して縮環構造を形成してもよい。発光波長を短波長側にシフトさせる場合、A308が窒素原子であることが好ましい。
一般式(C−3)において2つの炭素原子とA307、A308、A309及びA310から形成される6員環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環が挙げられ、より好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環であり、特に好ましくはベンゼン環、ピリジン環である。前記6員環が、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環(特に好ましくはピリジン環)であることにより、ベンゼン環と比較して、金属−炭素結合を形成する位置に存在する水素原子の酸性度が向上する為、より金属錯体を形成しやすくなる点で有利である。
311、A312及びA313は、それぞれ独立に、C−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rで表される置換基としては、前記置換基群Aとして挙げたものが適用できる。A311、A312及びA313がC−Rである場合に、Rとして好ましくは水素原子、アルキル基、トリフルオロアルキル基、アリール基、へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、トリフルオロアルキル基、アリール基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、フッ素原子、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子である。また可能な場合は置換基同士が連結して、縮環構造を形成してもよい。
311、A312及びA313のうち少なくとも一つは窒素原子であることが好ましく、特にA311が窒素原子であることが好ましい。
一般式(C−3)で表される白金錯体のうち、より好ましい態様の一つは下記一般式(C−3−1)で表される白金錯体である。
Figure 0005642011
式中、X、Y、Z、Mは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。ただし、ZとYのいずれか一方は窒素原子である。Yが窒素原子のときは、Xは炭素原子である。m、n、p、及びqは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。Arは置換又は無置換のアリール基を表す。R〜R及びR30は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、シアノ基、シリル基、ヘテロ環基を表す。m、n、p、qが2以上の場合、複数のR、R、R及びR30は各々隣同士が互いに連結して環状構造を形成してもよい。Qは、炭素原子又は窒素原子である。
一般式(C−3−1)について説明する。
X、Y、Zは、炭素原子又は窒素原子を表し、ZとYのいずれか一方が、窒素原子であり、Yが窒素原子のときは、Xは炭素原子である。好ましくは、Zが炭素原子、Yが窒素原子、Xが炭素原子である。
m、n、pは、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。これらの中でも、mは0〜2が好ましく、0〜1がより好ましい。nは0〜2が好ましく、0〜1がより好ましい。pは0〜2が好ましく、0〜1がより好ましい。
〜Rは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、シアノ基、シリル基、又はヘテロ環基を表す。
前記アルキル基としては、炭素数1〜20の置換又は無置換のアルキル基を表し、直鎖、分岐、環状いずれの構造であってもよい。前記アルキル基としては、炭素数1〜12が好ましく、具体的には、例えば、メチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、炭素数6〜10の置換又は無置換のアリール基を表し、縮環していてもよく、例えば、フェニル基、トルイル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜20の置換又は無置換のアルコキシ基を表し、直鎖、分岐、環状いずれの構造であってもよい。前記アルコキシ基としては、炭素数1〜12が好ましく、具体的には、例えば、メトキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、s−オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基などが挙げられる。
前記アリールオキシ基としては、炭素数6〜10の置換又は無置換のアリールオキシ基を表し、縮環していてもよく、フェニルオキシ基、トルイルオキシ基、ナフチルオキシ基などが挙げられる。
前記シリル基としては、炭素数3〜24の炭化水素基で置換されたシリル基を表し、トリアルキルシリル基、アリールジアルキルシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基のいずれであってもよい。前記シリル基としては、炭素数3〜18が好ましく、具体的には、例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基などが挙げられる。
前記へテロ環基としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。
これらの中でも、直鎖状アルキル基、又はアルキル基以外の基の場合にはアルキル基を置換基として有することが好ましい。
また、R及びRとしては、アルキル基、アリール基、フッ素原子、シアノ基又はシリル基であることが好ましく、アルキル基又はアリール基であることがより好ましく、フェニル基であることが好ましい。
は、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、メチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基がより好ましく、メチル基、トリフルオロメチル基が更に好ましい。
Arが表すアリール基としては、フェニル基、ナフチル基を挙げることができ、フェニル基であることが好ましい。Arが表すアリール基は更に置換基を有しても良く、該置換基としてはアルキル基、アリール基、シアノ基、アミノ基、フッ素原子、フルオロアルキル基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、アミノ基、フッ素原子、フルオロアルキル基(好ましくはトリフルオロメチル基)であり、更に好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子)である。Arとしてより好ましくは、置換基を有するフェニル基であり、該置換基としては、メチル基、t−ブチル基、4−ペンチル−シクロヘキシル基、4−ペンチル−シクロヘキシルメトキシ基などが好ましい。
m、n、pが2以上の場合、複数のR〜Rは各々隣同士で互いに連結して環状構造を形成してもよい。
M、Qとしては、それぞれ独立に炭素原子又は窒素原子である。
qは、0〜3の整数を表し、0〜2の整数が好ましい。
30は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、シアノ基、シリル基、ヘテロ環基を表す。
前記アルキル基としては、炭素数1〜20の置換又は無置換のアルキル基を表し、直鎖、分岐、環状いずれの構造であってもよい。前記アルキル基としては、炭素数1〜12が好ましく、具体的には、例えば、メチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、n−ブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、s−ブチル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、炭素数6〜10の置換又は無置換のアリール基を表し、縮環していてもよく、例えば、フェニル基、トルイル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜20の置換又は無置換のアルコキシ基を表し、直鎖、分岐、環状いずれの構造であってもよい。前記アルコキシ基としては、炭素数1〜12が好ましく、具体的には、例えば、メトキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、s−オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基などが挙げられる。
前記アリールオキシ基としては、炭素数6〜10の置換又は無置換のアリールオキシ基を表し、縮環していてもよく、具体的には、フェニルオキシ基、トルイルオキシ基、ナフチルオキシ基などが挙げられる。
前記シリル基は、炭素数3〜24の炭素原子で置換されたシリル基を表し、トリアルキルシリル基、アリールジアルキルシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基のいずれであってもよい。前記シリル基としては、炭素数3〜18が好ましく、具体的には、例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基などが挙げられる。
前記へテロ環基としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。
30としては、フッ素原子が好ましい。
アススペクト比の観点からは、R30は、鎖状アルキル基、又はアルキル基以外の基の場合にはアルキル基を置換基として有することが好ましい。
一般式(C−2)で表される白金錯体のうち、より好ましい態様の一つは下記一般式(C−4)で表される白金錯体である。
Figure 0005642011
式中、A401〜A414はそれぞれ独立にC−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。L41は単結合又は二価の連結基を表す。
一般式(C−4)について説明する。
401〜A414はそれぞれ独立にC−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rで表される置換基としては、前記置換基群Aとして挙げたものが適用できる。
401〜A406として好ましくはC−Rであり、R同士が互いに連結して環を形成していても良い。A401〜A406がC−Rである場合に、A402、A405のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子であり、特に好ましくは水素原子、アルキル基である。A401、A403、A404、A406のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子であり、特に好ましく水素原子である。
41は、前記一般式(C−2)におけるL21と同義であり、また好ましい範囲も同様である。
407〜A414としては、A407〜A410とA411〜A414のそれぞれにおいて、窒素原子の数は、0〜2が好ましく、0〜1がより好ましい。
407〜A414がC−Rを表す場合に、A408、A412のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、トリフルオロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、トリフルオロアルキル基、アルキル基、アリール基、フッ素原子、シアノ基であり、特に好ましくは、水素原子、フェニル基、トリフルオロアルキル基、シアノ基である。A407、A409、A411、A413のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、トリフルオロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、トリフルオロアルキル基、フッ素原子、シアノ基であり、特に好ましく水素原子、フェニル基、フッ素原子である。A410、A414のRとして好ましくは水素原子、フッ素原子であり、より好ましくは水素原子である。A407〜A409、A411〜A413のいずれかがC−Rを表す場合に、R同士が互いに連結して環を形成していてもよく、形成される環としては例えばベンゼン環、ピリジン環が挙げられる。
一般式(C−2)で表される白金錯体のうち、より好ましい態様の一つは下記一般式(C−5)で表される白金錯体である。
Figure 0005642011
式中、A501〜A512は、それぞれ独立に、C−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。L51は単結合又は二価の連結基を表す。Y及びZはそれぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表し、少なくとも一方が、窒素原子である。
一般式(C−5)について説明する。A501〜A506及びL51は、前記一般式(C−4)におけるA401〜A406及びL41と同義であり、好ましい範囲も同様である。
507、A508、A509、A510、A511及びA512は、それぞれ独立に、C−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rで表される置換基としては、前記置換基群Aとして挙げたものが適用できる。A507、A508、A509、A510、A511及びA512がC−Rである場合に、Rとして好ましくは水素原子、アルキル基、トリフルオロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルオキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、トリフルオロアルキル基、アリール基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、フッ素原子、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子である。また可能な場合は置換基同士が連結して、縮環構造を形成してもよい。
507、A508、及びA509のうちの少なくとも一つ、A510、A511及びA512のうち少なくとも一つは窒素原子である態様も好ましく、この態様の場合にはA510又はA507が窒素原子であることが好ましい。
一般式(C−5)で表される白金錯体のうち、より好ましい態様の一つは下記一般式(C−5−1)で表される白金錯体である。
Figure 0005642011
式中、X、Y、及びZは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。ただし、ZとYのいずれか一方は、窒素原子である。Yが窒素原子のときは、Xは、炭素原子である。m、n、p、及びqは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。Arは置換又は無置換のアリール基を表す。R〜Rは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、シアノ基、シリル基、ヘテロ環基を表す。m、n、p、qが2以上の場合、複数のR〜Rは各々隣同士が互いに連結して環状構造を形成してもよい。
一般式(C−5−1)について説明する。
X、Y、Zは、炭素原子又は窒素原子を表し、ZとYのいずれか一方が、窒素原子である。Yが窒素原子のときは、Xは炭素原子である。好ましくは、Zが炭素原子、Yが窒素原子、Xが炭素原子である。
m、n、p、qは、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。これらの中でも、mは0〜2が好ましく、0〜1がより好ましい。nは0〜2が好ましく、0〜1がより好ましい。pは0〜2が好ましく、0〜1がより好ましい。qは0〜2が好ましく、0〜1がより好ましい。
〜Rは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、シアノ基、シリル基、又はヘテロ環基を表す。
前記アルキル基としては、炭素数1〜20の置換又は無置換のアルキル基を表し、直鎖、分岐、環状いずれの構造であってもよい。前記アルキル基としては、炭素数1〜12が好ましく、具体的には、例えばメチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、炭素数6〜10の置換又は無置換のアリール基を表し、縮環していてもよく、例えば、フェニル基、トルイル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜20の置換又は無置換のアルコキシ基を表し、直鎖、分岐、環状いずれの構造であってもよい。前記アルコキシ基としては、炭素数1〜12が好ましく、具体的には、例えば、メトキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、s−オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基などが挙げられる。
前記アリールオキシ基としては、炭素数6〜10の置換又は無置換のアリールオキシ基を表し、縮環していてもよく、フェニルオキシ基、トルイルオキシ基、ナフチルオキシ基などが挙げられる。
前記シリル基としては、炭素数3〜24の炭化水素基で置換されたシリル基を表し、トリアルキルシリル基、アリールジアルキルシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基のいずれであってもよい。前記シリル基としては、炭素数3〜18が好ましく、具体的には、例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基などが挙げられる。
前記へテロ環基としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。
これらの中でも、直鎖状アルキル基、又はアルキル基以外の基の場合にはアルキル基を置換基として有することが好ましい。
また、R及びRとしては、アルキル基、アリール基、フッ素原子、シアノ基又はシリル基であることが好ましく、アルキル基又はアリール基であることがより好ましい。
及びRは、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、メチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基がより好ましく、メチル基、トリフルオロメチル基が更に好ましい。
Arが表すアリール基としては、フェニル基、ナフチル基を挙げることができ、フェニル基であることが好ましい。Arが表すアリール基は更に置換基を有しても良く、該置換基としてはアルキル基、アリール基、シアノ基、アミノ基、フッ素原子、フルオロアルキル基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、アミノ基、フッ素原子、フルオロアルキル基(好ましくはトリフルオロメチル基)であり、更に好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子である。Arとしてより好ましくは、置換基を有するフェニル基であり、該置換基としては、メチル基、t−ブチル基、4−メチル−シクロヘキシル基などが好ましい。
m、n、p、q、が2以上の場合、複数のR〜Rは各々隣同士で互いに連結して環状構造を形成してもよい。
一般式(C−2)で表される白金錯体のうち、より好ましい態様の一つは下記一般式(C−6)で表される白金錯体である。
Figure 0005642011
式中、X、Y、及びZは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。ただし、ZとYのいずれか一方は、窒素原子である。Yが窒素原子のときは、Xは炭素原子である。r、s、t、及びuは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。R〜Rは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、シアノ基、シリル基、ヘテロ環基を表す。r、s、t、uが2以上の場合、複数のR〜Rは各々隣同士で互いに連結して環状構造を形成してもよい。W及びWは、それぞれ独立に、アルキル基を表し、互いに結合して環状構造を形成してもよい。
一般式(C−6)について説明する。
X、Y、Zは、一般式(C−5−1)のX、Y、Zと同義であり、好ましい範囲も同じである。
〜Rは、一般式(C−5−1)のR〜Rと同義である。
及びRとしては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、フッ素原子、シアノ基が好ましい。
及びRが表すアルキル基としては、置換基を有してもよい、メチル基、ブチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基などが好ましい。
及びRが表すアルコキシ基としては、デシルオキシ基が好ましい。
及びRが表すアリール基としては、置換基を有してもよいフェニル基が好ましく、該置換基としては、アルキル基が好ましく、プロピル基、ブチル基がより好ましい。
及びRは、アルキル基又はアリール基であることが好ましい。
r、s、t、u、は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。これらの中でも、rは0〜2が好ましく、0又は1がより好ましい。sは0〜2が好ましく、0又は1がより好ましい。tは0又は1が好ましく、uは0又は1が好ましい。
r、s、t、u、が2以上の場合、複数のR〜Rは各々隣同士で互いに連結して環状構造を形成してもよい。該環状構造としては、ベンゼン環、ベンゾフラン環、及びZを有する6員環とともにフルオレン環などを形成する構造が挙げられる。
とWとしては、炭素数1〜10のアルキル基を表し、互いに結合して環状構造を形成してもよい。
とWが表すアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、ペンチル基などが挙げられ、メチル基が好ましい。
また、WとWが結合して形成する環状構造としては、シクロヘキシル環状構造が挙げられる。
とWとしては、メチル基であるか、互いに結合してシクロヘキシル環状構造を形成することが好ましい。
一般式(C−1)で表される白金錯体のうち、より好ましい別の態様は下記一般式(C−7)で表される白金錯体である。
Figure 0005642011
式中、L61は単結合又は二価の連結基を表す。A61は炭素原子又は窒素原子を表す。Z61、Z62は、それぞれ独立に、含窒素芳香族ヘテロ環を表す。Z63はベンゼン環又は芳香族ヘテロ環を表す。QはPtに結合するアニオン性の非環状配位子である。
一般式(C−7)について説明する。
61は、単結合又は二価の連結基を表し、好ましい範囲は前記一般式(C−1)中のLと同様である
61は炭素原子又は窒素原子を表す。錯体の安定性の観点及び錯体の発光量子収率の観点からA61は炭素原子であることが好ましい。
61、Z62は、それぞれ前記一般式(C−2)におけるZ21、Z22と同義であり、また好ましい範囲も同様である。Z63は、前記一般式(C−2)におけるZ23と同義であり、また好ましい範囲も同様である。
QはPtに結合するアニオン性の非環状配位子である。非環状配位子とはPtに結合する原子が配位子の状態で環を形成していないものである。Q中のPtに結合する原子としては、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましく、窒素原子、酸素原子がより好ましく、酸素原子が最も好ましい。
炭素原子でPtに結合するQとしてはビニル配位子が挙げられる。窒素原子でPtに結合するQとしてはアミノ配位子、イミノ配位子が挙げられる。酸素原子でPtに結合するQとしては、アルコキシ配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ配位子、アシルオキシ配位子、シリルオキシ配位子、カルボキシル配位子、リン酸配位子、スルホン酸配位子などが挙げられる。硫黄原子でPtに結合するQとしては、アルキルメルカプト配位子、アリールメルカプト配位子、ヘテロアリールメルカプト配位子、チオカルボン酸配位子などが挙げられる。
Qで表される配位子は、置換基を有していてもよく、置換基としては前記置換基群Aとして挙げたものが適宜適用できる。また置換基同士が連結していても良い。
Qで表される配位子として好ましくは酸素原子でPtに結合する配位子であり、より好ましくはアシルオキシ配位子、アルコキシ配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ配位子、シリルオキシ配位子であり、更に、好ましくはアシルオキシ配位子である。
一般式(C−7)で表される白金錯体のうち、より好ましい態様の一つは下記一般式(C−8)で表される白金錯体である。
(C−8)
Figure 0005642011
式中、A701〜A710は、それぞれ独立に、C−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。L71は単結合又は二価の連結基を表す。QはPtに結合するアニオン性の非環状配位子である。
一般式(C−8)について説明する。
71は、前記一般式(C−6)中のL61と同義であり、また好ましい範囲も同様である。A701〜A710は一般式(C−4)におけるA401〜A410と同義であり、また好ましい範囲も同様である。Yは一般式(C−6)におけるそれと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
一般式(C−1)で表される白金錯体のうち、別の好ましい態様の1つとして下記一般式(C−9)で表される白金錯体が挙げられる。
(C−9)
Figure 0005642011
式中、A及びBは、環状構造を表し、Aは芳香環を表し、Bは芳香族ヘテロ環を表す。A及びBの一方が環を形成するとき、他方は環を形成しなくてもよい。R13〜R16は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、シリル基、又はヘテロ環基を表し、R14とR15、R13とR16は、互いに結合して環状構造を形成してもよい。
一般式(C−9)について説明する。
Aは芳香環を表す。芳香環としては、芳香族炭化水素環、芳香族ヘテロ環が挙げられ、芳香族炭化水素環が好ましい。Aが表す芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましい。Aが表す芳香族ヘテロ環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、キノリン環が好ましい。
Bは芳香族ヘテロ環を表す。Bが表す芳香族ヘテロ環としては、ピリジン環、ピリミジン環が好ましい。
A及びBの組合せとしては、Aがベンゼン環でBが非環(環を形成しない)、Aがナフタレン環でBが非環であることが好ましく、Aがベンゼン環かつBがピリジン環、又はAが非環かつBがピリジン環であることより好ましい。
13〜R16は、水素原子、アルキル基、アリール基、シリル基、ヘテロ環基を表し、R14とR15、R13とR16は、互いに結合して環状構造を形成してもよい。
前記アルキル基としては、炭素数1〜20の置換又は無置換のアルキル基を表し、直鎖、分岐、環状いずれの構造であってもよい。前記アルキル基としては、炭素数1〜12が好ましく、例えばメチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、炭素数6〜10の置換又は無置換のアリール基を表し、縮環していてもよく、例えば、フェニル基、トルイル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記シリル基としては、炭素数3〜24の炭素原子で置換されたシリル基を表し、トリアルキルシリル基、アリールジアルキルシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基のいずれであってもよい。前記シリル基としては、炭素数3〜18が好ましく、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基などが挙げられる。
前記へテロ環基としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。
13、R14、R15、R16は、置換又は無置換のアリール基、又はR13とR16、R14とR15がそれぞれ結合した芳香環であることが好ましい。該芳香環としては、ベンゼン環が挙げられる。該芳香環は更に置換基を有していてもよく、例えば、アルキル基(メチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基など)等が挙げられる。
これらの中でも、分子サイズの観点でR13とR16、R14とR15、がそれぞれ結合した芳香環が好ましい。
一般式(C−9)で表される化合物のより好ましい態様としては、下記一般式(C−9−1)の化合物が挙げられる。
Figure 0005642011
式中、Bは、芳香族の6員ヘテロ環を形成してもよい。
17〜R26は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、シアノ基、シリル基、ヘテロ環基を表し、R17とR18、R18とR19、R19とR20、R21とR22、R22とR23、R23とR24、R25とR26は互いに結合して環状構造を形成してもよい。R17〜R26が表す、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シアノ基、シリル基、ヘテロ環基の好ましい例は、R13〜R26が表す各基の例と同じである。
17、R20、R21、R24は、水素原子、アルキル基が好ましい。
18、R19、R22、R23は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、フッ素原子、シアノ基、シリル基が好ましく、アルキル基、アルコキ基がより好ましく、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基が更に好ましい。
25〜R26は、水素原子、アルキル基、フッ素原子、又はR25とR26が結合した芳香環が好ましい。
Bが表す芳香族6員ヘテロ環としては、ピリジン環、ピリミジン環が好ましく、ピリジン環がより好ましい。該環には置換基を有していてもよく、置換基としてはアルキル基(メチル基、ブチル基)、アリール基(フェニル基)が挙げられる。
アススペクト比の観点からは、R17〜R26は、鎖状アルキル基、又はアルキル基以外の基の場合にはアルキル基を置換基として有することが好ましい。
一般式(C−1)で表される白金錯体としては、一般式(C−2)、(C−7)、及び(C−9)のいずれかで表される白金錯体であることが好ましく、一般式(C−2)又は(C−9)で表される白金錯体であることがより好ましい。一般式(C−2)で表される白金錯体は、一般式(C−3)、(C−4)、(C−5)、及び(C−6)のいずれかで表される白金錯体であることが好ましく、一般式(C−3−1)、(C−5−1)、及び(C−6)のいずれかで表される白金錯体であることがより好ましく、一般式(C−5−1)又は(C−6)で表される白金錯体であることが特に好ましい。
一般式(C−1)で表される白金錯体として具体的には、特開2005−310733号公報の〔0143〕〜〔0152〕、〔0157〕〜〔0158〕、〔0162〕〜〔0168〕に記載の化合物、特開2006−256999号公報の〔0065〕〜〔0083〕に記載の化合物、特開2006−93542号公報の〔0065〕〜〔0090〕に記載の化合物、特開2007−73891号公報の〔0063〕〜〔0071〕に記載の化合物、特開2007−324309号公報の〔0079〕〜〔0083〕に記載の化合物、特開2006−93542号公報の〔0065〕〜〔0090〕に記載の化合物、特開2007−96255号公報の〔0055〕〜〔0071〕に記載の化合物、特開2006−313796号公報の〔0043〕〜〔0046〕に記載の化合物が挙げられる。
以下に、一般式(C−1)で表される白金錯体、及びその他の白金錯体を例示する。なお、例示化合物におけるアルキル基及びアルキル基は直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基を含むものとし、好ましくは直鎖アルキル基である。
Figure 0005642011
Figure 0005642011
Figure 0005642011
一般式(C−1)で表される白金錯体は、例えば、Journal of Organic Chemistry 53,786,(1988)、G.R.Newkome et al.)の、789頁、左段53行〜右段7行に記載の方法、790頁、左段18行〜38行に記載の方法、790頁、右段19行〜30行に記載の方法及びその組み合わせ、Chemische Berichte 113,2749(1980)、H.Lexyほか)の、2752頁、26行〜35行に記載の方法等、種々の手法で合成できる。
例えば、配位子、又はその解離体と金属化合物を溶媒(例えば、ハロゲン系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキサイド系溶媒、水などが挙げられる)の存在下、若しくは、溶媒非存在下、塩基の存在下(無機、有機の種々の塩基、例えば、ナトリウムメトキシド、t−ブトキシカリウム、トリエチルアミン、炭酸カリウムなどが挙げられる)、若しくは、塩基非存在下、室温以下、若しくは加熱し(通常の加熱以外にもマイクロウェーブで加熱する手法も有効である)得ることができる。
[イリジウム錯体]
イリジウム錯体としては、以下に示す一般式(E−1)で表されるイリジウム錯体を用いることが好ましい。
一般式(E−1)について説明する。
Figure 0005642011
一般式(E−1)中、Z及びZはそれぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。
はZと窒素原子と共に5又は6員のヘテロ環を形成する原子群を表す。
はZと炭素原子と共に5又は6員環を形成する原子群を表す。
(X−Y)はモノアニオン性の二座配位子を表す。
E1は1〜3の整数を表す。
E1は1〜3の整数を表し、好ましくは2又は3である。
及びZはそれぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。Z及びZとして好ましくは炭素原子である。
はZと窒素原子と共に5又は6員のヘテロ環を形成する原子群を表す。A、Z及び窒素原子を含む5又は6員のヘテロ環としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環などが挙げられる。
錯体の安定性、発光波長制御及び発光量子収率の観点から、A、Z及び窒素原子で形成される5又は6員のヘテロ環として好ましくは、ピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、ピラゾール環であり、より好ましくはピリジン環、イミダゾール環、ピラジン環であり、更に好ましくはピリジン環、イミダゾール環であり、最も好ましくはピリジン環である。
前記A、Z及び窒素原子で形成される5又は6員のヘテロ環は置換基を有していてもよく、炭素原子上の置換基としては前記置換基群Aが、窒素原子上の置換基としては前記置換基群Bが適用できる。炭素上の置換基として好ましくはアルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルコキシ基、シアノ基、フッ素原子である。
置換基は発光波長や電位の制御のために適宜選択されるが、短波長化させる場合には電子供与性基、フッ素原子、芳香環基が好ましく、例えばアルキル基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、フッ素原子、アリール基、芳香族ヘテロ環基などが選択される。また長波長化させる場合には電子求引性基が好ましく、例えばシアノ基、ペルフルオロアルキル基などが選択される。
窒素上の置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、芳香族ヘテロ環基であり、錯体の安定性の観点からアルキル基、アリール基が好ましい。
前記置換基同士は連結して縮合環を形成していてもよく、形成される環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。これら形成される環は置換基を有していてもよく、置換基としては前述の炭素原子上の置換基、窒素原子上の置換基が挙げられる。
はZと炭素原子を含む5又は6員環を表す。B、Z及び炭素原子で形成される5又は6員環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。
錯体の安定性、発光波長制御及び発光量子収率の観点からB、Z及び炭素原子で形成される5又は6員環として好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チオフェン環であり、より好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピラゾール環であり、更に好ましくはベンゼン環、ピリジン環である。
前記B、Z及び炭素原子で形成される5又は6員環は置換基を有していてもよく、炭素原子上の置換基としては前記置換基群Aが、窒素原子上の置換基としては前記置換基群Bが適用できる。炭素上の置換基として好ましくはアルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルコキシ基、シアノ基、フッ素原子である。
置換基は発光波長や電位の制御のために適宜選択されるが、長波長化させる場合には電子供与性基、芳香環基が好ましく、例えばアルキル基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリール基、芳香族ヘテロ環基などが選択される。また短波長化させる場合には電子求引性基が好ましく、例えばフッ素原子、シアノ基、ペルフルオロアルキル基などが選択される。
窒素上の置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、芳香族ヘテロ環基であり、錯体の安定性の観点からアルキル基、アリール基が好ましい。前記置換基同士は連結して縮合環を形成していてもよく、形成される環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。これら形成される環は置換基を有していてもよく、置換基としては前述の炭素原子上の置換基、窒素原子上の置換基が挙げられる。
また前記A、Z及び窒素原子で形成される5又は6員のヘテロ環の置換基と、前記B、Z及び炭素原子で形成される5又は6員環の置換基とが連結して、前述と同様の縮合環を形成していてもよい。
(X−Y)で表される配位子としては、従来公知の金属錯体に用いられる種々の公知の配位子があるが、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」Springer−Verlag社 H.Yersin著 1987年発行、「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社 山本明夫著 1982年発行等に記載の配位子(例えば、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、含窒素ヘテロアリール配位子(例えば、ビピリジル、フェナントロリンなど)、ジケトン配位子(例えば、アセチルアセトンなど)が挙げられる。(X−Y)で表される配位子として好ましくは、ジケトン類あるいはピコリン酸誘導体であり、錯体の安定性と高い発光効率が得られる観点から以下に示されるアセチルアセトネート(acac)であることが最も好ましい。
Figure 0005642011
*はイリジウムへの配位位置を表す。
(X−Y)で表される配位子としては下記一般式(l−1)〜(l−15)が好ましいが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005642011
Figure 0005642011
*は一般式(E−1)におけるイリジウムへの配位位置を表す。Rx、Ry及びRzはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。
Rx、Ry及びRzが置換基を表す場合、該置換基としては前記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。好ましくは、Rx、Rzはそれぞれ独立にアルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、アリール基のいずれかであり、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基、フッ素原子、置換されていても良いフェニル基であり、最も好ましくはメチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、フェニル基である。Ryは好ましくは水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、アリール基のいずれかであり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、置換されていても良いフェニル基であり、最も好ましくは水素原子、メチル基のいずれかである。これら配位子は素子中で電荷を輸送したり励起によって電子が集中する部位ではないと考えられるため、Rx、Ry、Rzは化学的に安定な置換基であれば良く、本発明の効果にも影響を及ぼさない。
一般式(I−15)におけるRI1〜RI4は置換基群Aから選ばれる置換基を表し、BはCR又は窒素原子を表す。Rは水素原子、置換基群Aから選ばれる置換基を表す。RI5〜RI7は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−CN、ペルフルオロアルキル基、トリフルオロビニル基、−COR’、−C(O)R’、−NR’、−NO、−OR’、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Aを有していてもよい。R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。*は一般式(E−1)におけるイリジウムへの配位位置を表す。
I1、RI5、RI6、RI7は、任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R”、−OR”、−N(R”)、−SR”、−C(O)R”、−C(O)OR”、−C(O)N(R”)、−CN、−NO、−SO、−SOR”、−SOR”、又は−SOR”を表し、R”はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
I1〜RI7の好ましい範囲は、後述の一般式(E−3)におけるRT1〜RT7の好ましい範囲と同様である。Bとして好ましくはCRであり、Rとして好ましくは水素原子、アリール基であり、より好ましくは水素原子、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリール基(例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等)であり、特に好ましくは水素原子、フェニル基である。
(X−Y)としてより好ましくは(I−1)、(I−4)、(I−15)であり、特に好ましくは(I−1)、(I−15)である。これらの配位子を有する錯体は、対応する配位子前駆体を用いることで公知の合成例と同様に合成できる。例えば国際公開2009−073245号46ページに記載の方法と同様に、市販のジフルオロアセチルアセトンを用いて以下に示す方法で合成する事ができる。
一般式(E−1)で表されるIr錯体の好ましい態様は、一般式(E−2)で表されるIr錯体である。
Figure 0005642011
一般式(E−2)中、AE1〜AE8はそれぞれ独立に、窒素原子又はC−Rを表す。
は水素原子又は置換基を表す。
(X−Y)はモノアニオン性の二座配位子を表す。
E2は1〜3の整数を表す。
E1〜AE8はそれぞれ独立に、窒素原子又はC−Rを表す。Rは水素原子又は置換基を表し、R同士が互いに連結して環を形成していてもよい。形成される環としては、前述の一般式(E−1)において述べた縮合環と同様のものが挙げられる。Rで表される置換基としては、前記置換基群Aとして挙げたものが適用できる。
E1〜AE4として好ましくはC−Rであり、AE1〜AE4がC−Rである場合に、AE3のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、又はシアノ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はフッ素原子であり、特に好ましく水素原子、又はフッ素原子であり、AE1、AE2及びAE4のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、又はシアノ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はフッ素原子であり、特に好ましく水素原子である。
E5〜AE8として好ましくはC−Rであり、AE5〜AE8がC−Rである場合に、Rとして好ましくは水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルオキシ基、シアノ基、又はフッ素原子であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、又はフッ素原子であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、トリフルオロメチル基、又はフッ素原子である。また可能な場合は置換基同士が連結して縮環構造を形成してもよい。発光波長を短波長側にシフトさせる場合、AE6が窒素原子であることが好ましい。
(X−Y)、及びnE2は一般式(E−1)における(X−Y)、及びnE1と同義であり好ましい範囲も同様である。
前記一般式(E−2)で表される化合物のより好ましい形態は、下記一般式(E−3)で表される化合物である。
Figure 0005642011
一般式(E−3)中、RT1、RT2、RT3、RT4、RT5、RT6及びRT7は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−CN、ペルフルオロアルキル基、トリフルオロビニル基、−COR’’’、−C(O)R’’’、−NR’’’、−NO、−OR’’’、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。R’’’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
AはCR’’’’又は窒素原子を表し、R’’’’は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−CN、ペルフルオロアルキル基、トリフルオロビニル基、−COR’’’’’、−C(O)R’’’’’、−NR’’’’’、−NO、−OR’’’’’、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。R’’’’’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
T1〜RT7、及びR’’’’は、任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。これらのうち、RT1とRT7、又はRT5とRT6で縮環してベンゼン環を形成する場合が好ましく、RT5とRT6で縮環してベンゼン環を形成する場合が特に好ましい。
置換基Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R”、−OR”、−N(R”)、−SR”、−C(O)R”、−C(O)OR”、−C(O)N(R”)、−CN、−NO、−SO、−SOR”、−SOR”、又は−SOR”を表し、R”はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
(X−Y)は、モノアニオン性の二座配位子を表す。nE3は1〜3の整数を表す。
T1〜RT7、及びR’’’’で表されるアルキル基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基Zを挙げることができる。RT1〜RT7、及びR’’’’で表されるアルキル基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルキル基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜6のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、i−プロピル基、シクロヘキシル基、t−ブチル基等が挙げられ、メチル基が特に好ましい。
T1〜RT7、及びR’’’’で表されるシクロアルキル基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基Zを挙げることができる。RT1〜RT7、及びR’’’’で表されるシクロアルキル基として、好ましくは環員数4〜7のシクロアルキル基であり、より好ましくは総炭素原子数5〜6のシクロアルキル基であり、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
T1〜RT7、及びR’’’’で表されるアルケニル基としては好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、1−プロペニル、1−イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。
T1〜RT7、及びR’’’’で表されるアルキニル基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばエチニル、プロパルギル、1−プロピニル、3−ペンチニルなどが挙げられる。
T1〜RT7、及びR’’’’で表されるペルフルオロアルキル基は、前述のアルキル基の全ての水素原子がフッ素原子に置き換えられたものが挙げられる。
T1〜RT7、及びR’’’’で表されるアリール基としては、好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基が特に好ましい。
T1〜RT7、及びR’’’’で表されるヘテロアリール基としては、好ましくは、炭素数5〜8のヘテロアリール基であり、より好ましくは、5又は6員の置換若しくは無置換のヘテロアリール基であり、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、ピロリル基、インドリル基、フリル基、ベンゾフリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、ベンズオキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、イソチアゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、チアジアゾリル基、イソオキサゾリル基、ベンズイソオキサゾリル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、イミダゾリジニル基、チアゾリニル基、スルホラニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、7ピリドインドリル基などが挙げられる。好ましい例としては、ピリジル基、ピリミジニル基、イミダゾリル基、チエニル基であり、より好ましくは、ピリジル基、ピリミジニル基である。
T1〜RT7、及びR’’’’として好ましくは、水素原子、アルキル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ペルフルオロアルキル基、ジアルキルアミノ基、フッ素原子、アリール基、ヘテロアリール基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、アリール基であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基である。置換基Zとしては、アルキル基、アルコキシ基、フッ素原子、シアノ基、ジアルキルアミノ基が好ましく、水素原子がより好ましい。
T1〜RT7、及びR’’’’は任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。形成されるシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールの定義及び好ましい範囲はRT1〜RT7、及びR’’’’で定義したシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基と同じである。
E3は2又は3であることが好ましい。錯体中の配位子の種類は1〜2種類から構成されることが好ましい。
(X−Y)は、一般式(E−1)における(X−Y)と同義であり好ましい範囲も同様である。
前記一般式(E−3)で表される化合物の好ましい形態の一つは、下記一般式(E−4)で表される化合物である。
Figure 0005642011
一般式(E−4)におけるRT1〜RT4、A、(X−Y)及びnE4は、一般式(E−3)におけるRT1〜RT4、A、(X−Y)及びnE3と同義であり、好ましい範囲も同様である。R’〜R’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、ペルフルオロアルキル基、トリフルオロビニル基、−COR’’’’’、−C(O)R’’’’’、−NR’’’’’、−NO、−OR’’’’’、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。R’’’’’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
’〜R’は、任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R”、−OR”、−N(R”)、−SR”、−C(O)R”、−C(O)OR”、−C(O)N(R”)、−CN、−NO、−SO、−SOR”、−SOR”、又は−SOR”を表し、R”はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
また、R’〜R’における好ましい範囲は、一般式(E−3)におけるRT1〜RT7、R’’’’と同様である。またAがCR’’’’を表すと共に、RT1〜RT4、R’’’’、及びR’〜R’のうち、0〜2つがアルキル基又はフェニル基で残りが全て水素原子である場合が特に好ましく、RT1〜RT4、R’’’’、及びR’〜R’のうち、0〜2つがアルキル基で残りが全て水素原子である場合が更に好ましい。
前記一般式(E−3)で表される化合物の好ましい別の形態は、下記一般式(E−5)で表される化合物である。
Figure 0005642011
一般式(E−5)におけるRT2〜RT6、A、(X−Y)及びnE5は、一般式(E−3)におけるRT2〜RT6、A、(X−Y)及びnE3と同義であり、好ましい範囲も同様である。R’〜R’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、ペルフルオロアルキル基、トリフルオロビニル基、−COR’’’’’、−C(O)R’’’’’、−NR’’’’’、−NO、−OR’’’’’、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。R’’’’’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
T5、RT6、R’〜R’は、任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R”、−OR”、−N(R”)、−SR”、−C(O)R”、−C(O)OR”、−C(O)N(R”)、−CN、−NO、−SO、−SOR”、−SOR”、又は−SOR”を表し、R”はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
また、R’〜R’における好ましい範囲は、一般式(E−3)におけるRT1〜RT7、R’’’’と同様である。またAがCR’’’’を表すと共に、RT2〜RT6、R’’’’、及びR’〜R’のうち、0〜2つがアルキル基又はフェニル基で残りが全て水素原子である場合が特に好ましく、RT2〜RT6、R’’’’、及びR’〜R’のうち、0〜2つがアルキル基で残りが全て水素原子である場合が更に好ましい。
一般式(E−4)又は(E−5)で表される燐光発光材料を用いる場合、一般式(1)で表される化合物は、発光層又は電子輸送層に含有されることが好ましく、発光層に含有されることがより好ましい。
一般式(E−1)で表される化合物の好ましい具体例を以下に列挙するが、以下に限定されるものではない。
Figure 0005642011
Figure 0005642011
Figure 0005642011
上記一般式(E−1)で表される化合物として例示した化合物は、特開2009−99783号公報に記載の方法や、米国特許7279232号等に記載の種々の方法で合成できる。合成後、カラムクロマトグラフィー、再結晶等による精製を行った後、昇華精製により精製することが好ましい。昇華精製により、有機不純物を分離できるだけでなく、無機塩や残留溶媒等を効果的に取り除くことができる。
一般式(E−1)で表される化合物は、発光層に含有されることが好ましいが、その用途が限定されることはなく、更に有機層内のいずれの層に更に含有されてもよい。
[ピレン誘導体]
ピレン誘導体としては、従来から知られているピレン誘導体を使用できるが、下記一般式(P−1)で表される化合物(以下、「化合物(P−1)」ともいう)が好ましく使用される。
Figure 0005642011
式中、R 〜R 10は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いシリル基、置換基を有していても良いヘテロ環基、置換基を有していても良いアルキルアミノ基、又は置換基を有していても良いアリールアミノ基を表し、R 〜R 10の少なくとも1つは水素原子以外の基である。
<R 〜R 10
(置換基R 〜R 10の種類)
〜R 10はそれぞれ独立に水素原子、若しくは置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いシリル基、置換基を有していても良いヘテロ環基、置換基を有していても良いアルキルアミノ基、置換基を有していても良いアリールアミノ基を表す。これらは互いに結合して縮環しても良い。
〜R 10の少なくとも1つは水素原子以外の基である。
〜R 10の2以上が水素原子以外の基である場合、該複数の水素原子以外の基は同一であっても異なっても良い。合成の容易さの点では同一であることが好ましく、発光波長のチューニングが可能な点では異なることが好ましい。
また、高い発光効率を得るという点で、R 〜R 10の水素原子以外の基は、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、置換基を有していても良いシリル基であることが好ましく、特に置換基を有していても良い芳香族炭化水素基であることが好ましい。また、半値幅の狭い発光を得るという点では、R 〜R 10の水素原子以外の基は、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有しても良いアリールアミノ基、置換基を有していても良いヘテロ環基が好ましく、発光波長の長いものを得るという点では、R 、R 〜R 、R 〜R 10が水素原子以外の基として、置換基を有していても良い芳香族炭化水素、置換基を有していても良いヘテロ環基であることが好ましい。
〜R 10が表す芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜16のものが好ましく、これらは単環基に何ら限定されず、縮合多環式炭化水素基であっても良い。芳香族炭化水素基の具体例としてはフェニル基、ビフェニル基、フェナントリル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基等が挙げられる。
〜R 10が表すアルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、具体例としてはi−プロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
シリル基としては、炭素数3〜20のものが好ましく、具体例としてはトリメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチルブチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、メチルジブチルシリル基等が挙げられる。
〜R 10が表すヘテロ環基としては、炭素数3〜10のものが好ましく、具体例としてはピリジル基、チエニル基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピラゾイル基、イミダゾイル基、フェニルカルバゾイル基等が挙げられる。
〜R 10が表すアルキルアミノ基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、具体例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基等が挙げられる。
〜R 10が表すアリールアミノ基としては、炭素数6〜30のものが好ましく、具体例としては、ジフェニルアミノ基、カルバゾイル基、フェニルナフチルアミノ基等が挙げられる。
これらの基が有しても良い置換基としては、アリール基、アリールアミノ基、アルキル基、パーフルオロアルキル基、ハライド基、カルボキシル基、シアノ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、カルボン酸基、ヘテロ環基などが挙げられる。好ましくは、炭素数6〜16のアリール基、炭素数12〜30のアリールアミノ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基、フルオライド基、炭素数1〜10のオキシカルボニル基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜16のアリールオキシ基、炭素数2〜16のカルボニル基、炭素数5〜20のヘテロ環基などが挙げられる。
該置換基のうち、炭素数6〜16のアリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基などが挙げられる。
炭素数12〜30のアリールアミノ基の例としては、ジフェニルアミノ基、カルバゾイル基、フェニルカルバゾイル基などが挙げられる。
炭素数1〜12のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、i−プロピル基、ネオペンチオル基、t−ブチル基などが挙げられる。
炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基の例としては、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
炭素数1〜10のオキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。
炭素数1〜10のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
炭素数6〜16のアリールオキシ基の例としては、フェニルオキシ基などが挙げられる。
炭素数2〜16のカルボニル基の例としては、アセチル基、フェニルカルボニル基などが挙げられる。
炭素数3〜20のヘテロ環基の例としては、ピリジル基、チエニル基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピラゾイル基、イミダゾイル基などが挙げられる。
以上に説明したR 〜R 10及びR 〜R 10が有しても良い置換基のうち、アリールアミノ基やアルコキシ基などの電子供与性の基、チエニル基、ベンゾチエニル基などのヘテロ環基は、化合物(P−1)の発光波長の長波長化に寄与する。よってR 〜R 10やR 〜R 10が有しても良い置換基として、これらの置換基を選択することによって、緑色発光を呈するものを得ることもできる。
なお、化合物(P−1)のうち、特に好ましいものは、次の一般式(P−1a)、(P−1b)、(P−1c)、(P−1d)、又は(P−1e)で表される化合物である。一般式(P−1a)、(P−1b)、(P−1c)、(P−1d)、(P−1e)において、R 〜R 10は一般式(P−1)におけるR 〜R 10と同義である。また、一般式(P−1c)におけるR とR 、R とR 、一般式(P−1d)におけるR とR 10、R とR 、一般式(P−1e)におけるR とR 10、R とR は互いに結合して環を形成する。ここで形成される環としては、5又は6員環が好ましい。
Figure 0005642011
Figure 0005642011
以下に、本発明で使用できるピレン誘導体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005642011
Figure 0005642011
Figure 0005642011
Figure 0005642011
Figure 0005642011
Figure 0005642011
Figure 0005642011
Figure 0005642011
Figure 0005642011
一般式(P−1a)〜(P−1e)で表されるピレン誘導体は、下記スキームに従い合成することができる。
Figure 0005642011
上記スキーム中、R 〜R 10は一般式(P−1)におけるR 〜R 10と同義である。Xはハロゲン原子を表す。
<ホスト材料>
前記発光層は、更にホスト材料を含む事が好ましい。前記発光層に最も多く含まれる成分が、ホスト材料であることが好ましい。ホスト材料としては、正孔輸送性ホスト材料であっても、電子輸送性ホスト材料であってもよいが、正孔輸送性ホスト材料を用いることができる。
本発明に用いられるホスト材料として、以下の化合物を含有していても良い。例えば、ピロール、インドール、カルバゾール(例えばCBP(4,4’−ジ(9−カルバゾイル)ビフェニル))、アザインドール、アザカルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレン、ペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体及びそれらの誘導体(置換基や縮環を有していてもよい)等を挙げることができる。
本発明の作製方法においては、ホスト材料として、後述しているようなカルバゾール化合物及びトリフェニレン化合物が好ましく、トリフェニレン化合物が更に好ましい。
また、ホスト材料についても、発光材料におけるように平板状材料であることが好ましく、例えば、後述するトリフェニレン化合物が挙げられる。
本発明における発光層において、前記ホスト材料三重項最低励起エネルギー(Tエネルギー)が、前記燐光発光材料のTエネルギーより高いことが色純度、発光効率、駆動耐久性の点で好ましい。
また、本発明におけるホスト化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、発光効率、駆動電圧の観点から、発光層を形成する全化合物質量に対して15質量%以上95質量%以下であることが好ましい。
本発明においては、ホスト材料として、カルバゾール化合物である一般式(4−1)又は(4−2)で表される化合物の少なくとも1つ以上を含むことが好ましい。
一般式(4−1)又は(4−2)で表される化合物は発光層中に30〜99質量%含まれることが好ましく、40〜97質量%含まれることが好ましく、50〜95質量%含まれることが特に好ましい。また、一般式(4−1)又は(4−2)で表される化合物を、複数の有機層に用いる場合はそれぞれの層において、上記の範囲で含有することが好ましい。
一般式(4−1)又は(4−2)で表される化合物は、いずれかの有機層に、一種類のみを含有していてもよく、複数の一般式(4−1)又は(4−2)で表される化合物を任意の割合で組み合わせて含有していてもよい。
前記ホスト材料は下記一般式(4−1)又は(4−2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005642011
(一般式(4−1)及び(4−2)中、d、eは0〜3の整数を表し、少なくとも一方は1以上である。fは1〜4の整数を表す。Rは置換基を表し、Rは複数存在する場合、Rは互いに異なっていても同じでも良い。また、Rの少なくとも1つは下記一般式(5)で表されるカルバゾール基を表す。)
Figure 0005642011
(一般式(5)中、Rはそれぞれ独立に置換基を表す。gは0〜8の整数を表す。)
はそれぞれ独立に置換基を表し、具体的にはハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、又は一般式(5)で表される置換基である。Rが一般式(5)を表さない場合、好ましくは炭素数10以下のアルキル基、炭素数10以下の置換又は無置換のアリール基であり、更に好ましくは炭素数6以下のアルキル基である。
はそれぞれ独立に置換基を表し、具体的にはハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基であり、好ましくは炭素数10以下のアルキル基、炭素数10以下の置換又は無置換のアリール基であり、更に好ましくは炭素数6以下のアルキル基である。
gは0〜8の整数を表し、電荷輸送を担うカルバゾール骨格を遮蔽しすぎない観点から0〜4が好ましい。また、合成容易さの観点から、カルバゾールが置換基を有する場合、窒素原子に対し、対称になるように置換基を持つものが好ましい。
一般式(4−1)において、電荷輸送能を保持する観点で、dとeの和は2以上である事が好ましい。また、他方のベンゼン環に対しRがメタで置換することが好ましい。その理由として、オルト置換では隣り合う置換基の立体障害が大きいため結合が開裂しやすく、耐久性が低くなる。また、パラ置換では分子形状が剛直な棒状へと近づき、結晶化しやすくなるため高温条件での素子劣化が起こりやすくなる。具体的には以下の構造で表される化合物である事が好ましい。
Figure 0005642011
上記式において、Rは一般式(4−1)におけるRと同義であり、h及びiはそれぞれ独立に、0又は1であり、0が好ましい。
はそれぞれ独立に置換基を表す。gは0〜8の整数を表す。
一般式(4−2)において、電荷輸送能を保持する観点で、fは2以上である事が好ましい。fが2又は3の場合、同様の観点からRが互いにメタで置換することが好ましい。具体的には以下の構造で表される化合物である事が好ましい。
Figure 0005642011
上記式においてRはそれぞれ独立に置換基を表す。gは0〜8の整数を表す。
一般式(4−1)及び(4−2)が水素原子を有する場合、水素の同位体(重水素原子等)も含む。この場合化合物中の全ての水素原子が水素同位体に置き換わっていてもよく、また一部が水素同位体を含む化合物である混合物でもよい。好ましくは一般式(5)におけるRが重水素によって置換されたものであり、特に好ましくは以下の構造が挙げられる。
Figure 0005642011
更に置換基を構成する原子は、その同位体も含んでいることを表す。
一般式(4−1)及び(4−2)で表される化合物は、種々の公知の合成法を組み合わせて合成することが可能である。 最も一般的には、カルバゾール化合物に関してはアリールヒドラジンとシクロヘキサン誘導体との縮合体のアザーコープ転位反応の後、脱水素芳香族化による合成(L.F.Tieze,Th.Eicher著、高野、小笠原訳、精密有機合成、339頁(南江堂刊))が挙げられる。また、得られたカルバゾール化合物とハロゲン化アリール化合物のパラジウム触媒を用いるカップリング反応に関してはテトラヘドロン・レターズ39巻617頁(1998年)、同39巻2367頁(1998年)及び同40巻6393頁(1999年)等に記載の方法が挙げられる。反応温度、反応時間については特に限定されることはなく、前記文献に記載の条件が適用できる。また、mCPなどのいくつかの化合物は市販されているものを好適に用いる事ができる。
本発明の一般式(4−1)及び(4−2)で表される化合物は、真空蒸着プロセスで薄層を形成することが好ましいが、溶液塗布などのウェットプロセスも好適に用いることが出来る。化合物の分子量は、蒸着適性や溶解性の観点から2000以下であることが好ましく、1200以下であることがより好ましく、800以下であることが特に好ましい。
また蒸着適性の観点では、分子量が小さすぎると蒸気圧が小さくなり、気相から固相への変化がおきず、有機層を形成することが困難となるので、250以上が好ましく、300以上が特に好ましい。
一般式(4−1)及び(4−2)は、以下に示す構造若しくはその水素原子が1つ以上重水素原子で置換された化合物であることが好ましい。
Figure 0005642011
上記式においてR及びRはそれぞれ独立に置換基を表す。
以下に、本発明における一般式(4−1)及び(4−2)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005642011
Figure 0005642011
Figure 0005642011
Figure 0005642011
Figure 0005642011
Figure 0005642011
Figure 0005642011
また、ホスト材料として、芳香族炭化水素化合物も好ましく、トリフェニレン化合物である下記一般式(Tp−1)で表される炭化水素化合物(以下単に「炭化水素化合物」と称する場合がある)が好ましい。
一般式(Tp−1)で表される炭化水素化合物は炭素原子と水素原子のみからなり、化学的安定性の点で優れるため、駆動耐久性が高く、高輝度駆動時の各種変化がおきにくいという効果を奏する。
一般式(Tp−1)で表される炭化水素化合物は、分子量が400〜1200の範囲であることが好ましく、より好ましくは400〜1000であり、更に好ましくは400〜800である。分子量が400以上であれば良質なアモルファス薄膜が形成でき、分子量が1200以下であると溶媒への溶解性や昇華及び蒸着適正の面で好ましい。
一般式(Tp−1)で表される炭化水素化合物はその用途が限定されることはなく、発光層に隣接する有機層だけでなく有機層内のいずれの層に更に含有されてもよい。
Figure 0005642011
(一般式(Tp−1)において、R12〜R23はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、又は、シアノ基、アルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基で置換されていてもよいフェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基であるか、又は、これらを組み合わせてなる基を表す。ただし、R12〜R23が全て水素原子になることはない。)
12〜R23が表すアルキル基としては、置換基若しくは無置換の、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、又はtert−ブチル基である。
12〜R23として好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基(これらは更にアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基で置換されていてもよい)で置換されていてもよい、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基であることが更に好ましい。
フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基(これらは更にアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基で置換されていてもよい)で置換されていてもよい、ベンゼン環であることが特に好ましい。
一般式(Tp−1)におけるアリール環の総数は2〜8個であることが好ましく、3〜5個であることが好ましい。この範囲とすることで、良質なアモルファス薄膜が形成でき、溶媒への溶解性や昇華及び蒸着適正が良好になる。
12〜R23は、それぞれ独立に、総炭素数が20〜50であることが好ましく、総炭素数が20〜36であることがより好ましい。この範囲とすることで、良質なアモルファス薄膜が形成でき、溶媒への溶解性や昇華及び蒸着適正が良好になる。
本発明の一の態様において、前記一般式(Tp−1)で表される炭化水素化合物は下記一般式(Tp−2)で表される炭化水素化合物であることが好ましい。
Figure 0005642011
(一般式(Tp−2)中、複数のArは同一であり、シアノ基、アルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、又はトリフェニレニル基で置換されていてもよいフェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、トリフェニレニル基、又はこれらを組み合わせてなる基を表す。)
Arが表すアルキル基及びアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、又はトリフェニレニル基で置換されていてもよいフェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、又はトリフェニレニル基としては、R12〜R23で挙げたものと同義であり、好ましいものも同様である。
本発明の他の態様において、前記一般式(Tp−1)で表される炭化水素化合物は、下記一般式(Tp−3)で表される炭化水素化合物であることが好ましい。
Figure 0005642011
(一般式(Tp−3)中、Lは、シアノ基、アルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、又はトリフェニレニル基で置換されていてもよいフェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、トリフェニレニル基又はこれらを組み合わせて成るn価の連結基を表す。nは1〜6の整数を表す。)
Lが表すn価の連結基を形成するアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、又はトリフェニレニル基としては、R12〜R23で挙げたものと同義である。
Lとして好ましくは、アルキル基又はベンゼン環で置換されていてもよいベンゼン環、フルオレン環、又はこれらを組み合わせて成るn価の連結基である。
以下にLの好ましい具体例を挙げるがこれらに限定されるものではない。なお具体例中*でトリフェニレン環と結合する。
Figure 0005642011
nは1〜5であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
本発明の他の態様において、前記一般式(Tp−1)で表される炭化水素化合物は、下記一般式(Tp−4)で表される炭化水素化合物であることが好ましい。
Figure 0005642011
(一般式(Tp−4)において、複数存在する場合のArは同一であり、Arはシアノ基、アルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリフェニレニル基、又はこれらを組み合わせてなる基を表す。p、及びqはそれぞれ独立に0又は1を表すが、pとqが同時に0になることはない。p、及びqが0を表す場合、Arは水素原子を表す。)
Arとして好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリフェニレニル基を組み合わせてなる基であり、より好ましくは、メチル基、t−ブチル基、フェニル基、トリフェニレニル基を組み合わせてなる基である。
Arは、メタ位が炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリフェニレニル基、又はこれらを組み合わせてなる基で置換されたベンゼン環であることが特に好ましい。
本発明にかかる炭化水素化合物を有機電界発光素子の発光層のホスト材料や発光層に隣接する層の電荷輸送材料として使用する場合、発光材料より薄膜状態でのエネルギーギャップ(発光材料が燐光発光材料の場合には、薄膜状態での最低励起三重項(T)エネルギー)が大きいと、発光がクエンチしてしまうことを防ぎ、効率向上に有利である。一方、化合物の化学的安定性の観点からは、エネルギーギャップ及びTエネルギーは大き過ぎない方が好ましい。一般式(Tp−1)で表される炭化水素化合物の膜状態でのTエネルギーは、52kcal/mol以上80kcal/mol以下であることが好ましく、55kcal/mol以上68kcal/mol)以下であることがより好ましく、58kcal/mol以上63kcal/mol以下であることが更に好ましい。特に、発光材料として燐光発光材料を用いる場合には、Tエネルギーが上記範囲となることが好ましい。
エネルギーは、材料の薄膜の燐光発光スペクトルを測定し、その短波長端から求めることができる。例えば、洗浄した石英ガラス基板上に、材料を真空蒸着法により約50nmの膜厚に成膜し、薄膜の燐光発光スペクトルを液体窒素温度下でF−7000日立分光蛍光光度計(日立ハイテクノロジーズ)を用いて測定する。得られた発光スペクトルの短波長側の立ち上がり波長をエネルギー単位に換算することによりTエネルギーを求めることができる。
以下に、本発明にかかる芳香族炭化水素化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005642011
Figure 0005642011
Figure 0005642011
Figure 0005642011
上記本発明にかかる芳香族炭化水素化合物として例示した化合物は、国際公開第05/013388号パンフレット、国際公開第06/130598号パンフレット、国際公開第09/021107号パンフレットに記載の方法で合成できる。
合成後、カラムクロマトグラフィー、再結晶等による精製を行った後、昇華精製により精製することが好ましい。昇華精製により、有機不純物を分離できるだけでなく、無機塩や残留溶媒等を効果的に取り除くことができる。
なお、芳香族炭化水素化合物は、発光層以外にも、発光層と陰極の間の発光層に隣接する有機層に含有されることがより好ましいが、その用途が限定されることはなく、有機層内のいずれの層に更に含有されてもよい。本発明にかかる芳香族炭化水素化合物の導入層としては、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電荷ブロック層のいずれか、若しくは複数に含有することができる。
芳香族炭化水素化合物が含有される、発光層と陰極の間の発光層に隣接する有機層は電荷ブロック層又は電子輸送層であることが好ましく、電荷ブロック層であることがより好ましい。
芳香族炭化水素化合物を発光層に隣接する層に含有することで、素子の効率と耐久性が向上する。発光層が励起されると励起子が発光層と隣接層の界面に偏り、隣接層を破壊する現象が起こるが、芳香族炭化水素化合物は耐久性の高い構造を有しているため、励起子により破壊されにくいため、上記のような効果が得られると考えられる。
芳香族炭化水素化合物は合成容易さの観点から炭素原子と水素原子のみからなることが好ましい。
芳香族炭化水素化合物を発光層以外の層に含有させる場合は、70〜100質量%含まれることが好ましく、85〜100質量%含まれることがより好ましい。芳香族炭化水素化合物を発光層に含有させる場合は、発光層の全質量に対して0.1〜99質量%含ませることが好ましく、1〜95質量%含ませることがより好ましく、10〜95質量%含ませることが更に好ましい。
本発明の発光素子において、芳香族炭化水素化合物は発光層と陰極の間の発光層に隣接する有機層に含有されるが、その用途が限定されることはなく、有機層内のいずれの層に更に含有されてもよい。芳香族炭化水素化合物の導入層としては、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電荷ブロック層のいずれか、若しくは複数に含有することができる。
芳香族炭化水素化合物が含有される発光層と陰極の間の発光層に隣接する有機層は電荷ブロック層又は電子輸送層であることが好ましく、電子輸送層であることがより好ましい。
有機電界発光素子を高温駆動時や素子駆動中の発熱に対して安定して動作させる観点から、本発明にかかる芳香族炭化水素化合物のガラス転移温度(Tg)は60℃以上400℃以下であることが好ましく、65℃以上300℃以下であることがより好ましく、80℃以上180℃以下であることが更に好ましい。
また、ホスト材料として、配列状態の規則性がより高くなるという理由から、平面性の高いホスト材料(以下、“平板状ホスト化合物”ともいう)であることが好ましく、具体的にはアスペクト比が3以上の形状を有する化合物がより好ましい。
アスペクト比とは、化合物の分子直径と分子厚みとの比(分子直径/分子厚み)である。
配向性の観点から、本発明に用いるホスト材料はアスペクト比が3以上であることが好ましく、アスペクト比が3.5以上であることがより好ましい。
ここで、分子直径とは最も長い分子長を意味し、理論計算により下記のように規定される。ここでいう理論計算は、密度汎関数法を用いて行い、具体的には、Gaussian03(米ガウシアン社)を用いて、基底関数:6−31G、交換相関汎関数:B3LYP/LANL2DZにて、構造最適化計算を行う。構造最適化計算により得られた最適化構造を用い、最も長い分子長のボール&スティック表示における長さをホスト材料の分子直径と定義する。
また、分子厚みとは、上記分子直径をx軸と仮定し、その状態でy軸方向の分子長さが最大となるようにy軸をとり、該x及びy軸と直交する方向をz軸としたときの、該z軸方向の分子の厚みを意味する。分子厚みについても、分子直径と同様の手法で求められ、ボール&スティック表示における分子の厚み方向の長さを分子厚みと定義する。
〔ホスト材料の含有場所、含有濃度〕
本発明において、上記一般式(T−I)で表されるトリフェニレン誘導体は、発光層に含有されることが好ましいが、その用途が限定されることはなく、有機層内のいずれの層に更に含有されてもよく、例えば、一般式(T−I)で表されるトリフェニレン誘導体の導入層として、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電荷ブロック層のいずれかを挙げることができる。
一般式(T−I)で表されるトリフェニレン誘導体を発光層以外の層に更に含有させる場合は、70〜100質量%含まれることが好ましく、85〜100質量%含まれることがより好ましい。
(電荷輸送層)
電荷輸送層とは、有機電界発光素子に電圧を印加した際に電荷移動が起こる層をいう。
具体的には正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、電子輸送層又は電子注入層が挙げられる。
−正孔注入層、正孔輸送層−
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。
本発明に関し、有機層として、電子受容性ドーパントを含有する正孔注入層又は正孔輸送層を含むことが好ましい。
−電子注入層、電子輸送層−
電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。
正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0165〕〜〔0167〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
−正孔ブロック層−
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機層として、正孔ブロック層を設けることができる。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の例としては、アルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−キノリノラト)4−フェニルフェノレート(Aluminum(III)bis(2−methyl−8−quinolinato)4−phenylphenolate(BAlqと略記する))等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(2,9−Dimethyl−4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline(BCPと略記する))等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。
正孔ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
正孔ブロック層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
−電子ブロック層−
電子ブロック層は、陰極側から発光層に輸送された電子が、陽極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陽極側で隣接する有機層として、電子ブロック層を設けることができる。
電子ブロック層を構成する有機化合物の例としては、例えば前述の正孔輸送材料として挙げたものが適用できる。
電子ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
電子ブロック層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
本発明の有機電界素子の作製方法においては、発光層上に蒸着により形成される有機層について、前記有機層を構成する成分のうち、1×10−2Paにおける昇華開始温度が最も高い成分について、その昇華開始温度Tb(℃)が、発光層に最も多く含まれる成分のガラス転移温度をTem(℃)とした時に、0.60≧Tem/Tb≧0.30を満足するものであるかぎり、特に限定されるものではないが、前記有機層は、電子輸送層又は電子注入層など電荷輸送層であることが好ましく、電子輸送材料又は電子注入材料を含有することが好ましく、また電子輸送層であることがより好ましく、電子輸送材料を含有することがより好ましい。
1×10−2Paにおける昇華開始温度が最も高い成分が電子輸送材料であることが好ましい。
該層を構成する成分のうち、1×10−2Paにおける昇華開始温度が最も高い成分としては、例えば、カルバソール化合物、トリフェニレン化合物、イミダゾピリジン化合物を包含する下記一般式(O−1)で表される化合物、Alqなどがより好ましく、一般式(O−1)で表される化合物が更に好ましい。
カルバソール化合物及びトリフェニレン化合物としては、先にホスト材料として記載したものが挙げられる。
〔一般式(O−1)で表される化合物〕
Figure 0005642011
一般式(O−1)中、RO1は、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
O1〜AO4はそれぞれ独立に、C−R又はNを表す。
は水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、複数のRは同じでも異なっていても良い。
O1は、アリール環又はヘテロアリール環からなる二価〜六価の連結基を表す。
O1は2〜6の整数を表す。
複数存在するRO1、AO1〜AO4はそれぞれ同じでも異なっていても良い。
O1は、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、又はヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)を表し、これらは前述の置換基Zを有していても良い。RO1として好ましくはアリール基、又はヘテロアリール基であり、より好ましくはアリール基である。RO1のアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、アルキル基又はアリール基が挙げられ、アリール基がより好ましい。RO1のアリール基が複数の置換基を有する場合、該複数の置換基は互いに結合して5又は6員環を形成していても良い。RO1のアリール基は、好ましくは置換基Zを有していてもよいフェニル基であり、より好ましくはアルキル基又はアリール基が置換していてもよいフェニル基であり、更に好ましくは無置換のフェニル基又は2−フェニルフェニル基である。
O1〜AO4はそれぞれ独立に、C−R又はNを表す。AO1〜AO4のうち、0〜2つがN原子であることが好ましく、0又は1つがN原子であるのがより好ましい。AO1〜AO4の全てがC−Rであるか、又はAO1がN原子で、AO2〜AO4がC−Rであることが好ましく、AO1がN原子で、AO2〜AO4がC−Rであることがより好ましく、AO1がN原子で、AO2〜AO4がC−Rであり、Rが全て水素原子であることが更に好ましい。
は水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、又はヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)を表し、これらは前述の置換基Zを有していても良い。また複数のRは同じでも異なっていても良い。Rとして好ましくは水素原子又はアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
O1は、アリール環(好ましくは炭素数6〜30)又はヘテロアリール環(好ましくは炭素数4〜12)からなる二価〜六価の連結基を表す。LO1として好ましくは、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アリールトリイル基、又はヘテロアリールトリイル基であり、より好ましくはフェニレン基、ビフェニレン基、又はベンゼントリイル基であり、更に好ましくはビフェニレン基、又はベンゼントリイル基である。LO1は前述の置換基Zを有していても良く、置換基を有する場合の置換基としてはアルキル基、アリール基、又はシアノ基が好ましい。LO1の具体例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 0005642011
O1は2〜6の整数を表し、好ましくは2〜4の整数であり、より好ましくは2又は3である。素子効率の観点では最も好ましくは3であり、素子の耐久性の観点では最も好ましくは2である。
一般式(O−1)で表される化合物は、より好ましくは下記一般式(O−2)で表される化合物である。
Figure 0005642011
一般式(O−2)中、RO1はアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
O2〜RO4はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
O1〜AO4はそれぞれ独立に、C−R又はNを表す。
は水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、複数のRは同じでも異なっていても良い。
複数存在するRO1、AO1〜AO4はそれぞれ同じでも異なっていても良い。
O1及びAO1〜AO4は、前記一般式(O−1)中のRO1及びAO1〜AO4と同義であり、またそれらの好ましい範囲も同様である。
02〜R04はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、又はヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)を表し、これらは前述の置換基Zを有していても良い。R02〜R04として好ましくは水素原子、アルキル基、又はアリール基であり、より好ましくは水素原子、又はアリール基であり、最も好ましくは水素原子である。
一般式(O−1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005642011
Figure 0005642011
上記一般式(O−1)で表される化合物は、電子輸送材料として好ましいが、その用途が限定されることはなく、有機層内のいずれの層に更に含有されてもよい。本発明にかかる一般式(O−1)で表される化合物の導入層としては、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電荷ブロック層のいずれか、若しくは複数に含有することができる。
一般式(O−1)で表される化合物が含有される、発光層と陰極の間の発光層に隣接する有機層は電荷ブロック層又は電子輸送層であることが好ましく、電子輸送層であることがより好ましい。
一般式(O−1)で表される化合物を発光層以外の層に含有させる場合は、70〜100質量%含まれることが好ましく、85〜100質量%含まれることがより好ましい。一般式(O−1)で表される化合物を発光層に含有させる場合は、発光層の全質量に対して0.1〜99質量%含ませることが好ましく、1〜95質量%含ませることがより好ましく、10〜95質量%含ませることがより好ましい。
一般式(O−1)で表される化合物は、分子量が400〜2000の範囲であることが好ましく、より好ましくは500〜1500であり、更に好ましくは600〜1000である。分子量が400以上であれば膜質の良好な膜が得られ、分子量が2000以下であると蒸着適性や溶解性の面で好ましい。
本発明にかかる一般式(O−1)で表される化合物を、有機電界発光素子の発光層のホスト材料や発光層に隣接する層の電荷輸送材料として使用する場合、発光材料より薄膜状態でのエネルギーギャップ(発光材料が燐光発光材料の場合には、薄膜状態での最低励起三重項(T)エネルギー)が大きいと、発光がクエンチしてしまうことを防ぎ、効率向上に有利である。一方、化合物の化学的安定性の観点からは、エネルギーギャップ及びTエネルギーは大き過ぎない方が好ましい。一般式(O−1)で表される化合物の膜状態でのTエネルギーは、52kcal/mol以上80kcal/mol以下であることが好ましく、55kcal/mol以上68kcal/mol)以下であることがより好ましく、58kcal/mol以上63kcal/mol以下であることが更に好ましい。特に、発光材料として燐光発光材料を用いる場合には、Tエネルギーが上記範囲となることが好ましい。
有機電界発光素子を高温駆動時や素子駆動中の発熱に対して安定して動作させる観点から、一般式(O−1)で表される化合物のガラス転移温度(Tg)は80℃以上400℃以下であることが好ましく、100℃以上400℃以下であることがより好ましく、120℃以上400℃以下であることが更に好ましい。
一般式(O−1)で表される化合物として例示した化合物は、国際公開第05/013388号パンフレット、国際公開第06/130598号パンフレット、国際公開第09/021107号パンフレット、US2009/0009065、国際公開第09/008311号パンフレット及び国際公開第04/018587号パンフレットに記載の方法で合成できる。
合成後、カラムクロマトグラフィー、再結晶等による精製を行った後、昇華精製により精製することが好ましい。昇華精製により、有機不純物を分離できるだけでなく、無機塩や残留溶媒等を効果的に取り除くことができる。
<保護層>
本発明において、有機EL素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0169〕〜〔0170〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
<封止容器>
本発明の素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
封止容器については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0171〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
(駆動)
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書等に記載の駆動方法を適用することができる。
本発明の発光素子は、種々の公知の工夫により、光取り出し効率を向上させることができる。例えば、基板表面形状を加工する(例えば微細な凹凸パターンを形成する)、基板・ITO層・有機層の屈折率を制御する、基板・ITO層・有機層の膜厚を制御すること等により、光の取り出し効率を向上させ、外部量子効率を向上させることが可能である。
本発明の発光素子は、陽極側から発光を取り出す、いわゆるトップエミッション方式であっても良い。
本発明における有機EL素子は、共振器構造を有しても良い。例えば、透明基板上に、屈折率の異なる複数の積層膜よりなる多層膜ミラー、透明又は半透明電極、発光層、及び金属電極を重ね合わせて有する。発光層で生じた光は多層膜ミラーと金属電極を反射板としてその間で反射を繰り返し共振する。
別の好ましい態様では、透明基板上に、透明又は半透明電極と金属電極がそれぞれ反射板として機能して、発光層で生じた光はその間で反射を繰り返し共振する。
共振構造を形成するためには、2つの反射板の有効屈折率、反射板間の各層の屈折率と厚みから決定される光路長を所望の共振波長の得るのに最適な値となるよう調整される。
第一の態様の場合の計算式は特開平9−180883号明細書に記載されている。第2の態様の場合の計算式は特開2004−127795号明細書に記載されている。
本発明の有機電界発光素子の外部量子効率としては、5%以上が好ましく、7%以上がより好ましい。外部量子効率の数値は20℃で素子を駆動したときの外部量子効率の最大値、若しくは、20℃で素子を駆動したときの100〜300cd/m付近での外部量子効率の値を用いることができる。
本発明の有機電界発光素子の内部量子効率は、30%以上であることが好ましく、50%以上が更に好ましく、70%以上が更に好ましい。素子の内部量子効率は、外部量子効率を光取り出し効率で除して算出される。通常の有機EL素子では光取り出し効率は約20%であるが、基板の形状、電極の形状、有機層の膜厚、無機層の膜厚、有機層の屈折率、無機層の屈折率等を工夫することにより、光取り出し効率を20%以上にすることが可能である。
本発明の有機電界発光素子は、350nm以上700nm以下に極大発光波長(発光スペクトルの最大強度波長)を有するものが好ましく、より好ましくは350nm以上600nm以下、更に好ましくは400nm以上520nm以下、特に好ましくは400nm以上470nm以下である。
(本発明の発光素子の用途)
本発明の発光素子は、発光装置、ピクセル、表示素子、表示装置、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、照明装置、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、又は光通信等に好適に利用できる。特に、発光装置、照明装置、表示装置等の発光輝度が高い領域で駆動されるデバイスに好ましく用いられる。
次に、図2を参照して本発明の発光装置について説明する。
本発明の発光装置は、前記有機電界発光素子を用いてなる。
図2は、本発明の発光装置の一例を概略的に示した断面図である。
図2の発光装置20は、透明基板(支持基板)2、有機電界発光素子10、封止容器16等により構成されている。
有機電界発光素子10は、基板2上に、陽極(第一電極)3、有機層11、陰極(第二電極)9が順次積層されて構成されている。また、陰極9上には、保護層12が積層されており、更に、保護層12上には接着層14を介して封止容器16が設けられている。なお、各電極3、9の一部、隔壁、絶縁層等は省略されている。
ここで、接着層14としては、エポキシ樹脂等の光硬化型接着剤や熱硬化型接着剤を用いることができ、例えば熱硬化性の接着シートを用いることもできる。
本発明の発光装置の用途は特に制限されるものではなく、例えば、照明装置のほか、テレビ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、電子ペーパ等の表示装置とすることができる。
(照明装置)
次に、図3を参照して本発明の実施形態に係る照明装置について説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る照明装置の一例を概略的に示した断面図である。
本発明の実施形態に係る照明装置40は、図3に示すように、前述した有機EL素子10と、光散乱部材30とを備えている。より具体的には、照明装置40は、有機EL素子10の基板2と光散乱部材30とが接触するように構成されている。
光散乱部材30は、光を散乱できるものであれば特に制限されないが、図3においては、透明基板31に微粒子32が分散した部材とされている。透明基板31としては、例えば、ガラス基板を好適に挙げることができる。微粒子32としては、透明樹脂微粒子を好適に挙げることができる。ガラス基板及び透明樹脂微粒子としては、いずれも、公知のものを使用できる。このような照明装置40は、有機電界発光素子10からの発光が散乱部材30の光入射面30Aに入射されると、入射光を光散乱部材30により散乱させ、散乱光を光出射面30Bから照明光として出射するものである。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に制限されるものではない。
<発光材料E−4の合成>
下記スキームに従って、発光材料E−4を合成した。
Figure 0005642011
(化合物1aの合成)
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド(1.6g)、4,5−ジメチル−1,2−フェニレンジアミン(0.73g)のエタノール溶液(30ml)に酢酸5滴を1ml駒込ピペットで滴下し、80℃で6時間反応させた。析出した固体を濾取し、エタノールで再結晶することにより、化合物1a(2.0g)を得た。
(発光材料E−4の合成)
化合物1a(0.9g)、酢酸ナトリウム(0.19g)のアセトニトリル溶液(30ml)に、PtCl(0.61g)のDMSO溶液(15ml)を80℃にて滴下し、7時間反応させた。反応液を濾過し、THFで再結晶することにより、発光材料E−4(1.04g)を得た。なお、化合物の同定は元素分析、NMR及びMASSスペクトルにより行い、所望の化合物が得られていることを確認した。外観は黄色固体であった。
(実施例1−1〜1−34及び比較例1−1〜1−21)
1.有機電界発光素子作製
有機電界発光素子の作製に用いた材料は全て昇華精製を行い、高速液体クロマトグラフィー(東ソーTSKgel ODS−100Z)により純度(254nmの吸収強度面積比)が99.9%以上であることを確認した。
厚み0.5mm、2.5cm角のITO膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極(ITO膜:膜厚70nm)上に真空蒸着法にて以下の有機化合物層を順次蒸着した。
第1層:2−TANTA及びF−TCNQ(質量比99.7:0.3);膜厚160nm
第2層:NPD;膜厚30nm
第3層(発光層): 表1に示す発光層材料1及び2(表1に示す発光層材料1及び2の合計に対する発光層材料2の割合(質量%));膜厚30nm
第4層(電子輸送層): 表1に示す電子輸送材料;膜厚5nm
第5層:Alq;膜厚35nm
この上に、フッ化リチウム0.1nm及び金属アルミニウム100nmをこの順に蒸着し陰極とした。
この積層体を、大気に触れさせることなく、窒素ガスで置換したグローブボックス内に入れ、ガラス製の封止缶及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ(株)製)を用いて封止し、有機電界発光素子を得た。
なお、電子輸送層の蒸着については、表1に示す蒸着源と被蒸着面(発光層表面)との距離Lにて蒸着を行った。
また、発光層に最も多く含まれる成分である発光層材料1のガラス転移温度Tem、電子輸送層における昇華開始温度が最も高い成分である表1に示す電子輸送材料の1×10−2Paにおける昇華開始温度Tbを表1に示した。
ガラス転移温度Tem及び昇華開始温度Tbは以下のようにして測定した。
ガラス転移温度は、示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社社製:DSC6220)によりサンプルを加熱測定し、得られたガラス転移ピークの低温側立ち上がりの温度を読み取った。
昇華開始温度は1×10−2Paでの重量減少曲線をサンプル量20mgで測定し、重量減少率−5%点(サンプルの純度はいずれもHPLC面積比で97%以上であるため、−5%点は材料が昇華・蒸発を開始した温度であるとみなした。)の温度を計測した。なお全ての測定は毎分1℃の割合で昇温し計測している。
発光層は、表1に示すように、発光層材料1(H−1〜H−5)及び発光層材料2(E−1〜E−5)を用い、電子輸送層は、電子輸送材料A〜Hを用いた。
(比較例2−1)
<正孔輸送層形成用塗布液Aの調製>
下記化合物A1を電子工業用キシレンに溶解させ、全固形分濃度0.4質量%とし、これを0.22μmのポアサイズを有するPTFEフィルターでろ過して、正孔輸送層形成用塗布液Aを調製した。
Figure 0005642011
<発光層形成用塗布液Aの調製>
91質量%のホスト化合物H−1と、9質量%の発光材料E−1とを、メチルエチルケトン(MEK)に溶解させ、固形分濃度1.0質量%とし、これを0.22μmのポアサイズを有するPTFEフィルターでろ過して、発光層形成用塗布液Aを調製した。
<素子作製>
25mm×25mm×0.7mmのガラス基板上にITOを150nmの厚みで蒸着し成膜したものを透明支持基板とした。
この透明支持基板を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。
このITO付ガラス基板上に、下記構造式で表されるPTPDES(重量平均分子量Mw=13,100、ケミプロ化成製。nは括弧内の構造の繰り返し数を意味し、整数である。)2質量部を電子工業用シクロヘキサノン(関東化学製)98質量部に溶解し、厚みが約40nmとなるようにスピンコート(2500rpm、20秒間)した後、120℃で10分間乾燥と160℃で60分間アニール処理することで、正孔注入層を成膜した。
Figure 0005642011
前記正孔注入層上に、上記のように調整した正孔輸送層形成用塗布液Aを、厚みが約10nmとなるようにスピンコート(1500rpm、20秒間)した後、120℃で30分間乾燥させることで、正孔輸送層を成膜した。
前記正孔輸送層上に上記のように調製した発光層形成用塗布液Aをグローブボックス(露点−68度、酸素濃度10ppm)内で厚みが約30nmとなるようにスピンコート(1500rpm、20秒間)し、発光層とした。
次いで、発光層上に、電子輸送層として、真空蒸着法にて、表2に示す電子輸送材料を表2に示す蒸着源と被蒸着面(発光層表面)との距離Lとして、膜厚5nmとなるように形成した。
前記電子輸送層上に、電子注入層としてフッ化リチウム(LiF)を、厚みが1nmとなるように真空蒸着法にて形成した。更に金属アルミニウムを70nm蒸着し、陰極とした。
以上により作製した積層体を、アルゴンガスで置換したグロ−ブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ(株)製)を用いて封止することで、比較例2−1の有機電界発光素子を作製した。
(実施例2−1〜2−12及び比較例2−2〜2−6)
比較例2−1における発光層形成用塗布液Aの調製において、発光材料E−1及びホスト化合物H−1の代わりに以下の表2に記載の発光材料及びホスト材料を使用し、電子輸送層の蒸着については、表2に示す蒸着源と被蒸着面(発光層表面)との距離Lにて蒸着を行った以外は、比較例2−1と同様にして実施例2−1〜2−12及び比較例2−2〜2−6の有機電界発光素子を得た。
なお、発光層に最も多く含まれる成分である発光層材料1のガラス転移温度、電子輸送層における昇華開始温度が最も高い成分である表2に示す電子輸送材料の1×10−2Paにおける昇華開始温度を表2に示した。
(実施例3−1〜3−6)
比較例2−1における発光層形成用塗布液Aの調製において、発光材料E−1及びホスト化合物H−1の代わりに以下の表3に記載の発光材料及びホスト材料を使用し、電子輸送層の蒸着については、表3に示す蒸着源と被蒸着面(発光層表面)との距離Lにて蒸着を行った以外は、比較例2−1と同様にして実施例3−1〜3−6の有機電界発光素子を得た。
なお、発光層に最も多く含まれる成分である発光層材料1のガラス転移温度、電子輸送層における昇華開始温度が最も高い成分である表1に示す電子輸送材料の1×10−2Paにおける昇華開始温度、発光層中の発光材料の配向度を表3に示した。
配向度については、洗浄した石英基板を蒸着装置に入れ、上述の発光層と同じ材料及び組成の発光材料とホスト材料を共蒸着させた膜を作成し、これをATR−IRを用いて変角測定することにより算出した該膜中の発光材料のオーダーパラメータ(配向度)の値を表3に記載した。
2.評価
<EQE(相対値)>
外部量子効率を、東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400を用いて、直流電圧を各素子に印加し発光させ、その輝度をトプコン社製輝度計BM−8を用いて測定した。発光スペクトルと発光波長は浜松ホトニクス製スペクトルアナライザーPMA−11を用いて測定した。これらを元に輝度が1000cd/m付近の外部量子効率を輝度換算法により算出した。
表1においては比較例1−1の素子、表2においては比較例2−1の素子についての値を1として相対値で示した。
また、表3においては実施例3−1の素子についての値を1として相対値で示した。
<EQE比>
素子に印加する直流電圧を低電圧から高電圧に変化させることにより、電流密度を0.025〜25mA/cmまで変化させた時の外部量子効率について、最低効率E1と最高効率E2の比(E1/E2)を求め、結果を表1〜3に示した。EQE比の数値が高いほど、高電圧での駆動時においても、発光効率が優れていることを示す。
Figure 0005642011
Figure 0005642011
Figure 0005642011
Figure 0005642011
表1〜3の結果から、発光層及びその上層の有機層について同様の組成であるとき、本発明の有機電界発光素子の作製方法による実施例が、比較例に対し、EQEが高い値を示し、高電圧での駆動時においても発光効率が優れていることが分かる。
また、実施例1−4〜1−6、及び実施例1−23〜1−25のように、発光材料の濃度が低いほど、EQEが高い値を示す事がわかった。
上方の有機層の昇華開始温度がほぼ同等である場合、電子輸送材料C又はFに比較してE又はGを用いた方がEQEが高い(実施例1−13〜1−18)。このことより、電子輸送材料の骨格はトリフェニレン構造を有するものが好ましい事がわかる。
実施例1−21と1−22を比較するとわかるように、発光材料としてりん光性金属錯体を用いた素子は大きくEQEが向上する。
発光材料として平板状骨格を有するE−4を用いた素子は、そうでない発光材料E−2を用いた素子と比較して、高輝度と低輝度でのEQE比が高く、広い範囲での効率維持に優れている(実施例1−22、1−28)。更に平板状骨格を有するH−5を発光層のホスト材料として用いることで、高いEQEと、高いEQE比の維持を達成する事ができる(実施例1−32、1−33)。
Figure 0005642011
Figure 0005642011
Figure 0005642011
Figure 0005642011

Figure 0005642011
2・・・基板
3・・・陽極
4・・・正孔注入層
5・・・正孔輸送層
6・・・発光層
7・・・正孔ブロック層
8・・・電子輸送層
9・・・陰極
10・・・有機電界発光素子
11・・・有機層
12・・・保護層
14・・・接着層
16・・・封止容器
20・・・発光装置
30・・・光散乱部材
30A・・・光入射面
30B・・・光出射面
31・・・透明基板
32・・・微粒子
40・・・照明装置

Claims (8)

  1. 陽極、発光層、発光層に隣接する有機層、陰極をこの順に含む有機電界発光素子の作製方法であって、
    前記発光層上への前記有機層の蒸着による形成に際し、
    前記有機層を構成する成分のうち、1×10−2Paにおける昇華開始温度が最も高い成分について、その昇華開始温度Tb(℃)が、前記発光層に最も多く含まれる成分のガラス転移温度をTem(℃)とした時に、0.60≧Tem/Tb≧0.30を満足し、
    前記有機層を製膜する際の蒸着源と前記発光層の表面との距離をL(cm)とした時、2.0≦Tb/L≦80を満足する条件にて、前記有機層の蒸着を行うことを特徴とする有機電界発光素子の作製方法。
  2. 前記有機層を蒸着する際の蒸着速度が0.2〜1.5Å/sであることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子の作製方法。
  3. 前記発光層が、発光材料として、燐光発光材料を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の有機電界発光素子の作製方法。
  4. 前記発光層が、発光材料として、平板状材料を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機電界発光素子の作製方法。
  5. 前記発光層が、ホスト材料として平板状材料を更に含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機電界発光素子の作製方法。
  6. 前記発光層中の発光材料の配向度が0.6以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機電界発光素子の作製方法。
  7. 前記1×10−2Paにおける昇華開始温度が最も高い成分が、電子輸送材料であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機電界発光素子の作製方法。
  8. 前記発光層に最も多く含まれる成分が、ホスト材料であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機電界発光素子の作製方法。
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