JP5641291B2 - 凸版印刷用インキング装置及び電子デバイスと電子デバイス製造方法 - Google Patents

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本発明は、例えば、高分子有機EL材料を溶剤に溶解してなるインキを基板上に印刷することにより高分子系有機ELディスプレイパネル等を製造する印刷機に使用する凸版印刷用インキング装置及び電子デバイスとその電子デバイス製造方法に関する。
近年、コンピュータの情報表示用あるいはテレビジョン画面表示用として、軽量で高効率のフラットパネルディスプレイの研究開発が進められている。従来から主流といわれてきたディスプレイは、輝度と色再現性に優れたブラウン管(CRT)であったが、ブラウン管は重量が大きく奥行き寸法もかなり大きいことから、今日では、薄型のフラットパネルディスプレイとしての液晶パネルディスプレイあるいはプラズマパネルディスプレイが商品化され、一部の商品ではそれに置き換えが顕著に進みつつある。
しかし、液晶パネルディスプレイでは、視野角が狭く、高速画素信号に対して応答性が充分でないという欠点がある。また、プラズマパネルディスプレイでは、消費電力が大きいことから、現在以上に大型化することは技術的解決課題が多いという問題があった。
これらの課題に対して、最近、有機発光材料を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子とする)が注目されている。有機EL素子は、有機化合物を発光材料として用いることから、自発光であっても応答速度が高速であり、更に視野角依存性が無い低消費電力のフラットパネルディスプレイを実現できるメリットがあるものとして期待が大きい。
この種の有機EL素子の一般的構造は図4に示すようになっている。有機EL素子20は、透明なガラス基板21上に、ITO(インジウムスズ酸化物)からなる透明の画素電極(陽極)22と、ホール輸送層23と、発光層24と、金属の陰極25とを、例えば真空蒸着法などで順次成膜してなる。このような重層構造の有機EL素子20では、画素電極22(陽極)と陰極25との間に電圧を印加すると、画素電極22から注入されたキャリアとしてのホール(正孔)がホール輸送層23を経て移動し、発光層24において、それら電子―正孔対の再結合が生じ、そこから所定波長の光を発し、この光を透明のガラス基板21の外側から観察することができるようになる。
上記有機EL素子の発光層の作製方法としては、有機発光材料を印刷で形成する種々の方法が研究されており、その一つに凸版印刷法を挙げることができる。以下の特許文献1〜3には凸版印刷法を用いた有機ELディスプレイの作製についての記載がある。
特開平10−77467号公報 特開2001−155858号公報 特開2004−322329号公報
この種の凸版印刷法では、凸版にインキを供給するインキ供給基材としてアニロックスロールを用いるようにしているが、このアニロックスロールは、金属シリンダー等のロールの外周面に微細な凹部を形成したものであり、微細な凹部にインキを補充しながらその凹部に保持されたインキを、凸版の凸部に供給することにより印刷を行なうようになっている。
しかし、一般に、有機発光体は、目的とする溶剤への溶解度合が低く、目的とする印刷に充分な固形比が得られない低粘度であるから、アニロックスロールの凹部からインキを凸版の凸部に受理させて保持させることは通常のアニロックスロールと凸版との組み合わせでは困難であった。有機発光体インキを保持する力が低い、従前のアニロックスロールを用いて、有機EL素子を作製すると、粘度の低い有機発光体インキが凸版に転写され難く、凸版にインキを効率よく供給できないという問題が発生していた。
そこで、本願の発明者は、有機EL素子といった低粘度のインキを使用して印刷する場合であっても使用可能なアニロックスロールを考えた。すなわち、アニロックスロールのようなインキング装置の表面における凸部に撥インク性を付与し、インキング装置の表面における凹部に親インク性を付与することにより、微細な加工がなされたアニロックスロールであっても短絡のない発光素子を形成することが可能であることを見出した。
そして、本発明としては、凸版の凸部に低粘度のインキを供給するためのインキ供給基材としての凸版印刷用インキング装置及び電子デバイスと電子デバイス製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、凸版印刷に用いる凸版にインキを補充するためのインキング装置において、該インキング装置の表面に凸部と凹部を形成し、上記凸部の表面を上記インキに対して撥液性とし、上記凹部の表面が上記インキに対して親液性となるように該インキング装置の表面を処理したことを特徴とする凸版印刷用インキング装置である。
請求項2に係る発明は、上記インキング装置の表面における凸部の表面にインキに対する撥液性を高める表面処理層を形成し、この表面処理層によりインキング装置の素材に用いられている材料に比べて上記凸部の表面の、インキに対する撥液性を高めたことを特徴とする請求項1に記載の凸版印刷用インキング装置である。
請求項3に係る発明は、上記インキング装置がアニロックスロールであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の凸版印刷用インキング装置である。
請求項4に係る発明は、上記凸部の表面の表面処理剤が、少なくともニッケル原子またはフッ素原子を含むことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の凸版印刷用インキング装置である。
請求項5に係る発明は、上記凸部の表面処理層が無電解ニッケルめっきにポリテトラフルオロエチレンを共析させためっき膜であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の凸版印刷用インキング装置である。
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の凸版印刷用インキング装置を少なくとも1回用い、電子デバイスの層を形成するインキを凸版へ供給する工程を有することを特徴とする電子デバイスの製造方法である。
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする電子デバイスである。
請求項8に係る発明は、上記電子デバイスが有機エレクトロニクスルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項7に記載の電子デバイスである。
本発明によれば、被転写基板や版表面に対して特殊な加工を施すことなく、アニロックスロールのようなインキング装置から凸版への充分なインキ転写量を容易に得ることが可能になる。
ところで、例えば、有機EL素子の一部を形成する有機発光層を凸版印刷法により形成する場合において、目的とする被転写基板は、正孔輸送層や電子輸送層といった、有機EL素子の一層を構成する薄膜が形成されている場合がほとんどであり、これらの物理的性質を変えることなく、該表面の濡れ性を変化させることは困難である。また、凸版側表面の濡れ性を表面処理剤等により変化させることもできるが、この場合、版表面に施された加工は、凸版が被転写基板もしくはアニロックスロールと強く接するために、印刷を繰り返すうちに表面処理の効果が低減してしまい、再び表面処理をするか、表面処理された版と全交換する必要が出てくる。
一方、本発明では、インキング装置の例えばアニロックスロールのみの表面性を変化させるようにしている。このため、被転写体を加工する必要が無い。また、アニロックスロールの凹部の内面は、凸版の凸部等と接触することはほとんどないことから、印刷を繰り返した場合であっても、その表面処理の効果の劣化が少なく、良好な印刷を継続することが可能となる。
本発明の一実施形態に使用されるアニロックスロールの概略的構成を示し、(a)は版との接触面から見た一部の平面図、(b)は(a)のA−A線に沿って横断した上記アニロックスロールの一部の断面図である。 本発明の一実施形態に使用されるアニロックスロールの形成過程を概略的に示す説明図であり、(a)は表面処理前のアニロックスロールの一部の断面図であり、(b)はフォトレジストパターニング後のアニロックスロールの一部の断面図であり、(c)はめっき後のアニロックスロールの一部の断面図であり、(d)は表面処理後のアニロックスロールの一部の断面図である。 本発明の一実施形態に係るインキング装置を用いた有機EL素子製造装置を概略的に示す説明図である。 上記有機EL素子製造装置により製造された有機EL素子の断面図である。
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明はこの一形態に限るものでない。
図1中、符号10は、凸版印刷用インキング装置としてのインキング基体であるところのアニロックスロールを示す。このアニロックスロール10の表面には凹部1と凸部2が形成されている。この凹部1と凸部2の配置は図1(a)に示すように、凹部1の面積が凸部2の面積よりも大きい配置であり、かつ凹部1と凸部2とが互に隣接する状態に配置されている。また、凹部1の占有面積の方が凸部2の占有面積よりも大きくなるように配置されている。ここでの凹部1は等辺多角形であり、その凹部1の多角形周辺に凸部2が立ち上がり形成されている。また、凹部1の平面形状は六角形であり、凹部1はいわば蜂の巣状に配置される。凹部1と凸部2とはアニロックスロール10の表面において均一に配置されている。
同図1(b)に示すように、アニロックスロール10の表面における凸部2の表面にはインキに対する撥液性を高めるための表面処理剤により撥インキ性表面層3が形成されている。つまり、凸部2の表面は撥インキ性表面層3を形成することによりアニロックスロール10の基材の材料に左右されない撥液性の特性を備える。また、凹部1の表面はインキに対して親液性となるように表面処理が施されている。ここでの凹部1の表面はアニロックスロール10の表面基層を形成する基材自体の特性で親液性となるようにしている。
このアニロックスロール10は、例えば、図2(a)〜(d)の手順による工程で作ることができる。まず、図2(a)に示すように、外表面を微細な凹凸を持つように加工したアニロックスロール素材を用意する。図2(a)はその表面処理前のアニロックスロール素材を示し、そのアニロックスロール10は外表面に凹部1と凸部2とを形成している。このアニロックスロール10の少なくとも凹部1と凸部2とを形成する素材(基材)の材質としては金属棒を中心とした公知のアニロックスロールであってもよい。また、アニロックスロール素材の表面にのみ凹部1と凸部2とを形成する基材層を形成するようにしてもよいが、アニロックスロールの素材表面にクロムめっき加工されたもの、アニロックスロール素材の表面にセラミックス加工されたものや、その他の公知のものを用いてもよい。ただし、印刷に対する耐久性などの観点から、金属元素を含む硬質な材料により形成されたアニロックスロールを用いることが好ましい。また、アニロックスロール10の表面層に微細な凹部1を形成する場合、薬剤によるエッチングや、高出力レーザーを用いたアブレーションなどといった公知の方法を用いることもできる。
次に、アニロックスロール10の表面処理の方法の一例について説明する。まず、図2(b)に示すように、初めに凹凸の表面にポジ型ドライフィルム4をラミネートし、このドライフィルム4のフォトレジスト膜に対し、マスクを用いた露光、現像、リンス、硬化の工程を施す。なお、ドライフィルム4としては既知のものでもよいが、その厚みはアニロックスロール10の外表面における凹凸の高さと同じくらいのものが好ましい。
次に、図2(c)に示すように、被処理対象物の表面に対し、金属めっき皮膜中にフッ素樹脂としてテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、TPFAと呼ぶ。)が共析されてなる複合めっき皮膜を形成する。これにより、凸部2の表面には撥インキ性表面層3が形成される。なお、TPFAは、平均粒径0.05〜40mmの粉粒状或いは短繊維状等の形態でめっき液に添加し得る。また、TPFAのめっき液中への添加量はめっき液当り10〜500ppmとすることが好ましい。また、必要によりTPFAに加えて他のフッ素樹脂をめっき液中に分散し、この他のフッ素樹脂をTPFAと一諸にめっき皮膜中に分散、共析させるようにしても差支えない。
上記TPFA複合めっき皮膜は、電気めっき法、無電解めっき法のいずれによっても得ることができる。この場合、めっき液の種類は析出させるべき金属、最終製品の用途等に応じて適宜選定可能であり、特に制限がない。例示すると、ワット型ニッケル浴、塩化ニッケル高濃度浴、スルフアミン酸ニッケル浴、ホウフッ化ニッケル浴等の電気ニッケルめっき液、硫酸コバルト浴、塩化コバルト浴等の電気コバルトめっき液、硫酸鋼浴、ホウフッ化鋼浴等の電気鋼めっき液、その他鉄、鉄、金6、銀、ニッケル合金、銅合金などの電気めっき液を挙げることができる。また、無電解めっき液としては次亜リン酸塩、ジメチルポラザン等のホウ素化合物、ホルマリンなどを還元剤とする無電解ニッケルめっき液、無電解コバルトめっき液、無電解ニッケル合金めっき液、無電解銅めっき液などを挙げることができる。上記めっき液中には、TPFAをカチオン性に帯電させる水溶性のカチオン性、非イオン性、めっき液中でカチオン性を示す両性界面活性剤の1種又は2種以上を添加することが好ましい。
ここで、カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩、第2、第3アミン類、イミダゾリン類などが挙げられ、非イオン性界面活性剤としてはポリオキシェチレン系、ポリエチレンイミン系、エステル系のもの等が挙げられ、両性界面活性剤としてはカルボン酸系、スルホン系のもの等が挙げられるが、特に分子内にC−F結合を有するフッ素系界面活性剤を用いることが好ましい。なお、上記界面活性剤のめっき液中への添加量は、0.1〜10ppmとすることが好ましい。上記めっき液中には、更にそのめっき液の種類に応じた光沢剤、例えば電気ニッケルめっきの場合にはサッカリンや2−ブチンー1,4−ジオール等の光沢剤を添加することもでき、その他の添加剤なども適宜加えることができる。TPFAが分散しためっき液からTPFA複合めっき皮膜を形成する場合、めっき条件はめっき液の種類に応じた公知の条件が採用し得る。
図2(c)に示すように、PTFT共析めっき処理表面処理を行なって凸部2の表面に撥インキ性表面層3を形成した後、図2(d)に示すように、ドライフィルムレジストを剥離する。この方法により表面処理を行なった場合、アニロックスロール10の凸部の表面は撥液性になる。インキとの接触角が5度以上となるように表面処理が施されると、インキに対する撥液性が顕著になるので好ましい。一方、凹部の表面はインキに対して親液性となっており、インクの保持力が良好となる。
図3は、上述したようなアニロックスロールを用いたインキング装置を組み込んだ有機EL素子製造装置の一例を示すものである。この有機EL素子製造装置では、インキ補充装置11から本発明における凸版15へのインキング装置であるところのアニロックスロール12へ、有機発光材料を含む発光層形成用塗工液(インキ)13の補充を行い、アニロックスロール12に補充された余剰な発光層形成用塗工液13はドクター装置14により除去される。
インキ補充装置11には滴下型の補充装置の他に、ファウンテンロールやスリットコータ、ダイコータ、キャップコータなどのコータやそれらを組み合わせたものなどを用いることができる。また、ドクター装置14にはドクターブレードの他にドクターロールといった公知の物を用いることもできる。
シリンダー17としては印刷に対する機械的強度を有すればよく、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリビニルアルコールなどの公知の合成樹脂、鉄、銅、アルミニウムなどの金属、またはこれらの積層体が挙げられる。中でも、有機溶剤への耐性が高い金属、好ましくはスチールやアルミニウムが好ましい。
凸版15における凸部パターンを形成する樹脂としては、インキに対する耐溶剤性があればよく、ニトリルゴム、シリコーンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリロニロリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴムのようなゴム類:ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリエリレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリビニルアルコールなどの合成樹脂およびこれらの共重合体:セルロース誘導体;フッ素系エラストマー、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ六フッ化ビニリデンおよびこれらの共重合体のようなフッ素樹脂が挙げられる。
そして、この有機EL素子製造装置では、ドクター装置14により余剰な発光層形成用塗工液13が除去された後、凸版15へのインキングを行ない、凸版15へインキングされたインキは被転写体16へ転写して印刷される。被転写体16は、基板上に、透明導電層、ホール注入層等が必要に応じて予め形成されている。被転写体16の基材としては、ガラスの他に水蒸気などに対するバリア性を持ったフィルムなどの透明性基板を用いることができる。被転写体16へ印刷された有機発光材料を含む発光層形成用塗工液13は乾燥することにより有機EL素子における有機発光層を形成する。
図4には上述した有機EL素子製造装置により製造された有機EL素子の一例を示している。この有機EL素子20の発光単位は、透光性基板としてのガラス基板21と、透明導電層としての画素電極22と、ホール輸送層としてのホール注入層23と、発光層としての有機発光層24と、金属等の陰極層25とを具備する。
この有機EL素子20の一単位において、透光性基板としてはガラス基板21の他にプラスチック製のフィルムまたはシートを用いることができる。特にプラスチック製のフィルムを用いれば、巻き取りにより有機発光素子の製造が可能となり、安価に有機EL素子を提供できる。そのプラスチックとしては、例えば、ポリエリレンテレフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート等を用いることができる。また、透光性基板には、透明導電層としての画素電極22を成膜しない側にセラミック蒸着フィルムやポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物等の外のガスバリア性フィルムを積層してもよい。
透明導電層22をなす材料としては、インジウムと錫の複合酸化物(以下、ITOという。)が挙げられる。また、アルミニウム、金、銀等の金属が半透明状に蒸着されたものや、ポリアニリン等の有機化合物などを挙げることができる。
ホール輸送層23をなす材料としては、ポリアニリン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物等の導電性高分子材料を用いても良い。
有機発光層24は有機発光体を含有する層であり、電圧の印加により発光する層である。有機発光材料としては、例えば、クマリン系、ペリレン系、ピラン系、アンスロン系、ポルフィン系、キナクリドン系、N,N‘−ジアルキル置換キナクリドン系、ナフタルイミド系、N,N‘−ジアリール置換ピロロピロール系、イリジウム錯体系等の有機溶剤に可溶な有機発光材料や該有機発光材料をポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアリーレンビニレン系やポリフルオレン系などの高分子有機発光材料が挙げられる。
上述した有機発光素子を、本発明における、例えば図3に示したような有機EL素子製造装置を用いて製造するにあたっては、被転写体16として透光性基板21上に透明導電層としての画素電極22と、ホール輸送層23を積層した被転写基板を用い、塗工液として有機発光材料を含む塗工液13を用いる。
有機発光材料を含む塗工液は、上述のように凸版の凸部へ供給され、上述の被転写基板へ印刷される。有機発光材料を溶解または分散させるような、塗工液に用いられる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエチレン、水などの単独またはこれらの混合溶媒などが挙げられる。特に、芳香族系溶媒およびハロゲン系溶剤は有機発光材料を溶かすのに優れている。
また、有機発光材料を含む塗工液13の印刷を行なった後、上述の陰極層25を形成する。この陰極層25の形成には真空蒸着法の他にインクジェット法といった公知の手段を用いることができる。
本発明では上記のようなインキング装置を少なくとも1回用いる工程を有する製造方法を提供し、これによって、有機EL素子のような電子デバイスを提供することができる。
(実施例1)
以下、本発明を実施例および比較例により更に説明するが、本発明は下記の例に制限されない。
[有機発光材料を含む塗工液の調製]
高分子蛍光体をキシレンに塗工液濃度が1.0重量%となるように溶解させ、発光層形成用塗工液を調製した。ここで高分子蛍光体とは、ポリ(パラフェニレンビニレン)誘導体からなる発光材料を示す。
[被転写基板の作製]
150mm角、厚さ0.4mmのガラス基板上に表面抵抗率15ΩのITOを成膜した基材(ジオマテック(株)製)に、スピンコーターを用いてホール注入層としてポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(以下、PEDOT/PSSと呼ぶ。)を100nm膜厚で成膜した。さらにこの成膜されたPEDOT/PSS薄膜を減圧下100℃で1時間乾燥することで、被転写基板を作製した。
[撥インキ性を持ったアニロックスロールの作製]
鉄を中心とし、最表層がクロムめっきとなるように加工されたセル角度60度、ハニカムパターン、800線(line/inch)のアニロックスロールをUVオゾン洗浄した。(株)シミズ製のフォトレジスト4をアニロックロール表面に塗布した後、このフォトレジスト膜に対してマスクを用いた露光、現像、リンス、硬化の工程を得て図2に示すようなレジストパターンとしてのフィルル4を形成する。その後、Ni−PTFE(4フッ化ポリエチレン)のNi共析めっきを電解法により実施し、図2(c)に示すようにCrめっきの表面に共析めっき層を1.5μmの膜厚に形成した。そして、図2(d)に示すように、ドライフォトレジスト剥離液とIPAリンス液によりドライフィルムレジストを除去し、最後に、360℃加熱処理を実施することによりNi−PTFEの共析めっき層の最表面にPTFEの擬似表面層を形成してアニロックスロールを完成した。
[有機EL素子の作製]
上記アニロックスロールを、フッ素系エラストマーを主成分とする凸版を有する枚葉式の印刷機に固定した。これと上記の有機発光材料を含む塗工液を用いて、被転写板に対して印刷を行なった。発光層の印刷を行なった後、130℃で1時間乾燥を行なった。印刷したパターンは膜厚が131nmであった。乾燥の後、印刷により形成した発光層上にカルシウムを10nm成膜し、さらにその上に銀を300nm成膜し、その上に銀を300nm真空蒸着して有機EL素子を作製した。この有機EL素子の発光特性をみたところ、パターン箇所内全面において5Vで83cd/m2の均一な発光が得られた。
(比較例1)
[撥インキ性を持たないアニロックスロールの場合]
鉄を中心とし、最表面がセラミックスとなるように加工されたセル角度60度、ハニカムパターン、800線(line/inch)のアニロックスロールを、フッ素系エラストマーを主成分とする凸版を有する枚葉式の印刷機に固定した。これと上記の有機発光材料を含む塗工液を用いて、被転写基板に対し印刷を行った。
なお、上記の撥インキ性の付与は行なわなかった。発光層の印刷を行なった後、130℃で1時間乾燥を行なった。印刷したパターンは膜厚が15nmであった。乾燥の後、印刷により形成した発光層上にカルシウムを10nm成膜し、さらにその上に銀を300nm真空蒸着して有機EL素子を作製した。この有機EL素子に電圧を印加したところ、短絡により均一な発光が得られなかった。
以上は、本発明の好ましい実施形態および変形例について説明したが、本発明は、上述のものに限るものではなく、他の形態についても考えられる。また、それらを様々に組み合わせることも可能である。
本発明は、高品位の高分子有機ELパネル製造の際に使用可能である。
1…アニロックスロールにおける凹部、2…アニロックスロールにおける凸部、
3…撥インキ性表面層、4…ドライフィルムレジスト、10…アニロックスロール、
11…インキ補充装置、12…表面処理したアニロックスロール、
13…有機材料を含む塗工液、14…ドクター装置、15…凸版、16…被転写体、
17…シリンダー、20…発光単位、21…透明性基板、22…透明導電層、
23…ホール注入層、24…有機発光層、25…陰極層。

Claims (6)

  1. 凸版印刷に用いる凸版にインキを補充するためのインキング装置において、該インキング装置の表面に凸部と凹部を形成し、上記凸部の表面を上記インキに対して撥液性とし、上記凹部の表面が上記インキに対して親液性となるように該インキング装置の表面を処理したことを特徴とする凸版印刷用インキング装置。
  2. 上記インキング装置の表面における凸部の表面にインキに対する撥液性を高める表面処理層を形成し、この表面処理層によりインキング装置の素材に用いられている材料に比べて上記凸部の表面の、インキに対する撥液性を高めたことを特徴とする請求項1に記載の凸版印刷用インキング装置。
  3. 上記インキング装置がアニロックスロールであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の凸版印刷用インキング装置。
  4. 上記凸部の表面の表面処理剤が、少なくともニッケル原子またはフッ素原子を含むことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の凸版印刷用インキング装置。
  5. 上記凸部の表面処理層が無電解ニッケルめっきにポリテトラフルオロエチレンを共析させためっき膜であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の凸版印刷用インキング装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の凸版印刷用インキング装置を少なくとも1回用い、電子デバイスの層を形成するインキを凸版へ供給する工程を有することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
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