以下、図面を参照しつつ、本発明を各実施形態に基づいて説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
(第1の実施形態)
図1〜4を参照して、本実施形態に係るプレス成形装置10は、概説すれば、板材210の表裏両面側に向かい合わせて配置される相対的に接近離反移動可能な一対の薄肉用プレス型(プレス型に相当する)15と、一対の薄肉用プレス型15に設けられ板材210を板厚方向に対して拘束自在な第1の拘束手段40および第2の拘束手段50と、一対の薄肉用プレス型15の接近移動を第1の拘束手段40と第2の拘束手段50の相対的な離反移動に変換する変換手段70と、を有している(図1を参照)。そして、第1の拘束手段40と第2の拘束手段50を相対的に離反移動させて板材210を引っ張ることによって、第1の拘束手段40および第2の拘束手段50がそれぞれ拘束する部位よりも板厚が減少した薄肉部223を成形する(図4を参照)。
実施形態に係る板材、予備成形品、プレス成形品について説明する。
図5(A)、(B)を参照して、板材210には板厚が一定の鋼板を利用している。薄肉用プレス型15によって板材210を引き伸ばして母材の板厚よりも板厚が小さい薄肉部223を成形している。
板材210を引き伸ばす際、第1の拘束手段40および第2の拘束手段50によって板材210の一部を板厚方向に対して拘束させている。拘束した部位に対して板厚方向に対して圧力を付与している(図3をも参照)。第1の拘束手段40および第2の拘束手段50を相対的に離反移動させる際、拘束した部位221は引き伸ばされない。このため、拘束した部位221は、薄肉成形前後において母材と同程度の板厚を維持することになる(図4をも参照)。
明細書中の説明において、薄肉化される前の板材210の板厚と同程度の板厚が維持される部位を厚肉部221と称する。厚肉部221よりも板厚が小さい部位を薄肉部223と称する。また、薄肉成形した板材210のことを予備成形品220と称する。
図6および図7を参照して、薄肉成形した予備成形品220に対して成形品形状を付与してプレス成形品230に成形している。成形品形状の付与は、成形用プレス型100によるプレス成形によって行っている。
図8を参照して、プレス成形品230と他物品250とを溶接によって接合し、製品300を製造している。プレス成形品230において厚肉部221に相当する部位を他物品250との溶接を行うための溶接部231に設定している。他物品250との接合を行う部位には応力が集中し易いため、比較的高い剛性を持たせることが望ましい。そこで、厚肉部221に相当する部位を溶接部231に設定することによって、応力集中に伴う製品300の破損を効果的に防止している。
次に、実施形態に係るプレス成形装置について説明する。
図1を参照して、薄肉用プレス型15は、下型30と、下型30に対して接近離反移動可能に設けられた上型20とを備えている。薄肉用プレス型15には、成形対象部材を上型と下型とによって挟み込んでプレス成形を行う既存のプレス型を転用している。
板材210を拘束するための第1の拘束手段40は、薄肉用プレス型15の上型20に設けられた第1上ホルダ41と、薄肉用プレス型15の下型30に設けられた第1下ホルダ43とを備えている。
板材210を拘束するための第2の拘束手段50は、薄肉用プレス型15の上型20に設けられた第2上ホルダ51と、薄肉用プレス型15の下型30に設けられた第2下ホルダ53とを備えている。
薄肉用プレス型15の上型20を下型30に向けて接近移動させて、第1上ホルダ41と第1下ホルダ43との間に板材210の外周縁部を含む第1の縁部211を挟み込ませている(図3をも参照)。上型20を下型30に向けて接近移動させる際、第1上ホルダ41に設けられたロック穴61内に第1下ホルダ43に設けられた突出部63を挿入して、第1上ホルダ41と第1下ホルダ43とを連結させている。
第2上ホルダ51と第2下ホルダ53との間には、板材210の外周縁部の一部を含む第2の縁部212を挟み込ませている。薄肉用プレス型15の上型20を下型30に向けて接近移動させると、第2上ホルダ51に設けられたロック穴61内に第2下ホルダ53に設けられた突出部63が挿入する。これによって、第2上ホルダ51と第2下ホルダ53とを連結させている。
第1下ホルダ43の突出部63および第2下ホルダ53の突出部63には、板材210の側面を当接させて配置している。薄肉用プレス型15による成形を行う際、板材210が面方向に位置ずれすることを防止するためである。
第1下ホルダ43および第2下ホルダ53は、薄肉用プレス型15の下型30に設置した支持部65上に配置している。支持部65はスプリングクッション67によって上型20に向けて押圧している。薄肉用プレス型15の上型20が下型30に向けて接近移動すると、上型20に設けられた各ホルダ41、51と下型30に設けられた各ホルダ43、53とがそれぞれ連結されることになる(図3をも参照)。この状態でさらに薄肉用プレス型15の上型20を下型30に向けて移動させると、上型20の移動方向と逆向きに駆動されたスプリングクッション67からの押圧力が板材210に対して付与される。スプリングクッション67が付与する押圧力によって、板材210を板厚方向に対して拘束する拘束力を駆動させている。
第1上ホルダ41および第2上ホルダ51のそれぞれは、スライド機構69を介して薄肉用プレス型15の上型20に取り付けている。第1下ホルダ43および第2下ホルダ53のそれぞれは、スライド機構69を介して薄肉用プレス型15の下型30に取り付けている。
第1上ホルダ41および第1下ホルダ43は図1中において右方向へスライド移動可能に取り付けており(図4をも参照)、第2上ホルダ51および第2下ホルダ53は図1中において左方向へスライド移動可能に取り付けている。
薄肉用プレス型15の上型20を下型30へ向かわせる移動を第1の拘束手段40および第2の拘束手段50のスライド移動に変換する変換手段70は、上型20に設置した第1上カム71および下型30に設置した第1下カム73と、上型20に設置した第1上カム75および下型30に設置した第2下カム77とによってそれぞれ構成している。
第1上カム71は、スライド機構69を介して上型20に取り付けている。さらに、第1上ホルダ41に連結させて設置している。
第2上カム75は、スライド機構69を介して上型20に取り付けている。さらに、第2上ホルダ51に連結させて設置している。
第1下カム73は、第1上カム71に向き合うように下型30に取り付けている。
第2下カム77は、第2上カム75に向き合うように下型30に取り付けている。
薄肉用プレス型15の上型20の下型30へ向かう接近移動に伴って第1上カム71の傾斜面79aが第1下カム73の傾斜面79bに当接する(図3をも参照)。当接した状態でさらに上型20を下型30へ向けて移動させることによって、第1上カム71を傾斜面79bに沿わせて移動させることが可能になる。第1上カム71の傾斜面79bに沿う移動に連動して、第1上カム71に連結させた第1上ホルダ41がスライド移動する(図4をも参照)。薄肉用プレス型15の上型20が下型30へ向かう接近移動を、第1上カム71および第1下カム73を介して第1上ホルダ41のスライド移動に変換させることが可能になっている。
第1上ホルダ41のスライド移動は、第1上ホルダ41に連結された第1下ホルダ43のスライド移動を駆動する(図4をも参照)。このため、第1上ホルダ41および第1下ホルダ43が第1の拘束手段40として一体的にスライド移動することになる。
第2上カム75および第2下カム77は、第1上カム71および第1下カム73と同様の原理によって薄肉用プレス型15の上型20が下型30へ向かう接近移動を第2の拘束手段50のスライド移動に変換する。
図6(A)、(B)を参照して、予備成形品220に対して成形品形状を付与する成形用プレス型100は、相対的に接近離反移動可能な上型110と下型120とを有する。図示例では、上型110が下型120に対して接近離反移動する。上型110および下型120はそれぞれ、成形品形状に合致する形状に形成された成形面111、121を備えている。
成形用プレス型100の上型110と下型120との間に薄肉成形された予備成形品220を配置し、上型110を下型120に対して接近移動させて挟み込ませる。予備成形品220に成形品形状を付与して、プレス成形品230を取得することが可能になっている。
次に、本実施形態に係るプレス成形方法、およびプレス成形品の製造方法について説明する。
図2〜4を参照して、板材210の成形に際し、薄肉用プレス型15の上型20の下型30に向かう接近移動に伴って、第1の拘束手段40および第2の拘束手段50によって板材210を板厚方向に対して拘束させる。板材210を拘束しつつ、第1の拘束手段40と第2の拘束手段50を相対的に離反移動させて板材210を引っ張る(図4を参照)。板材210を引っ張ることによって、第1の拘束手段40および第2の拘束手段50がそれぞれ拘束する部位211、212よりも板厚が減少した薄肉部223を成形し、予備成形品220を取得する。そして、成形された予備成形品220に対して成形品形状を付与するプレス成形を行うことによって、プレス成形品230を取得する(図6(A)、(B)をも参照)。以下、詳細に説明する。なお、中心線cを基準にして左右対称に各工程が行われるため、各図において装置左側半分の図示を省略して装置右側半分を図示しながら各工程の説明を行う。
図2を参照して、まず、薄肉用プレス型15を開いた状態とし、下型30に設けられた第1下ホルダ43および第2下ホルダ53に板材210を略水平にセットする。
図3を参照して、薄肉用プレス型15の上型20を下型30に向けて接近移動させる。第1の拘束手段40および第2の拘束手段50によって板材210を板厚方向に対して拘束させる。第1下ホルダ43および第2下ホルダ53を支持するスプリングクッション67からの押圧力によって、板材210を拘束する拘束力を駆動させる。
薄肉用プレス型15の上型20の下型30に向かう接近移動に伴って、第1上カム71の傾斜面79aと第1下カム73の傾斜面79bが当接する。
図4を参照して、第1上カム71の傾斜面79aと第1下カム73の傾斜面79bが当接した状態で上型20を下型30に向けてさらに移動させる。上型20の下型30に向かう接近移動は、変換手段70を介して第1の拘束手段40および第2の拘束手段50のスライド移動に変換させる。
第1の拘束手段40および第2の拘束手段50は、板材210に対して拘束力を付与した状態を維持しつつ、図中左右方向に向けて離反移動する。第1の拘束手段40および第2の拘束手段50を離反移動させて板材210を引っ張る。板材210の中心位置213周辺を引き伸ばしの起点にして板材210を引き伸ばして、薄肉部223を成形する。
板材210において板厚方向に対して拘束された第1の縁部211および第2の縁部212は、薄肉成形前と同程度の板厚を有する厚肉部221をなす。第1の縁部211および第2の縁部212から中間位置213に向けて板厚が徐々に減少した断面形状を有する予備成形品220を取得することが可能になる。
このように、本実施形態に係るプレス成形方法にあっては、板材210を面方向に引き伸ばして薄肉成形を行うことが可能になっているため、予備成形品220に曲げ癖を付けることなく、予備成形品220の表面を滑らかな面形状に成形することができる。このため、予備成形品220の成形品質を向上させることができ、予備成形品220を成形して得られるプレス成形品230の成形品質、ひいては、当該プレス成形品230を適用した製品300の品質向上を図ることができる。薄肉用プレス型15の上型20が下型30に向かう接近移動によって板材210を引っ張る動作を駆動させて薄肉成形を行うことを可能にしているため、薄肉用プレス型15の上型20を下型30に向けて移動させる1アクションによって薄肉成形を行うことができ、生産性を向上させてコストの低減を図ることができる。薄肉用プレス型15に既存のプレス型を転用しているため、設備投資費を削減させることが可能になっている。
図6(A)、(B)を参照して、薄肉部223を成形した予備成形品220に成形品形状を付与する。
成形用プレス型100を開いた状態として、予備成形品220をセットする。
成形用プレス型100の上型110を下型120に対して接近移動させて、プレス成形を行う。
図7を参照して、プレス成形によって、成形品形状が付与されたプレス成形品230を取得する。プレス成形品230は、車両用部品の一部をなすリアメンバを構成する。プレス成形品230の一部に薄肉化された部位を成形しているため、母材と同程度の板厚を全域に有する成形品を利用する場合と比較して、材料費を削減させることができる。くわえて、比較的面積の小さな板材210を引き伸ばし、成形品形状を付与することが可能な面積を増加させているため、材料費をより削減することが可能になっている。
図8を参照して、予備成形品220の厚肉部221に相当する部位、つまり薄肉成形を行う際に第1の拘束手段40および第2の拘束手段50によってそれぞれ拘束させていた第1の縁部211および第2の縁部212に相当する部位を溶接部231として、他物品250との溶接を行う。車両用部品である製品としてのエクステンションメンバ300を完成させる。
プレス成形品230において溶接部231に適用されない部位を薄肉化しているため、製品の軽量化を図ることが可能になっている。厚肉部221に相当する部位を溶接部231に設定しているため、溶接部231における剛性を確保することができる。
以上のように、本実施形態にあっては、薄肉用プレス型15の上型20の下型30に向かう接近移動に伴わせて、板材210を引き伸ばして薄肉部223を成形させることができる。板材210を引き伸ばして薄肉成形を行うことが可能になっているため、予備成形品220に曲げ癖を付けることなく、予備成形品220の表面を滑らかな面形状に成形することができる。このため、予備成形品220の成形品質を向上させることができ、予備成形品220を成形して得られるプレス成形品230の成形品質、ひいては、当該プレス成形品230を適用した製品300の品質向上を図ることができる。さらに、薄肉用プレス型15の上型20を下型30に向けて移動させる1アクションによって薄肉成形を行うことが可能になっているため、生産性を向上させてコストの低減を図ることができる。薄肉用プレス型15に既存のプレス型を転用することが可能になっているため、設備投資費を削減することができる。
プレス成形品230の一部に薄肉化された部位を成形しているため、母材と同程度の板厚を全域に有する成形品を利用する場合と比較して、材料費を削減させることができる。比較的面積の小さな板材210を引き伸ばすことによって、成形品形状を付与することが可能な面積を増加させているため、材料費をより削減することが可能になっている。
プレス成形品230において溶接部231に適用されない部位を薄肉化しているため、製品300の軽量化を図ることができる。厚肉部221に相当する部位を溶接部231に設定しているため、溶接部231における剛性を確保することができる。
(変形例)
第1の実施形態の変形例にあっては、第1の拘束手段40によって第1の縁部211以外の部位を拘束させ、第2の拘束部材50によって第2の縁部212以外の部位を拘束させている。上述した第1の実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、説明を一部省略する。
本変形例に係るプレス成形方法について説明する。
図9を参照して、薄肉用プレス型15の上型20の下型30に向かう接近移動に伴わせて、第1上ホルダ41と第1下ホルダ43との間において板材210を挟み込む。板材210に対して板厚方向に対して拘束力を付与する。
図10を参照して、上型20をさらに下型30へ向けて接近移動させる。変換手段70を介して、第1の拘束手段40および第2の拘束手段50を互いに離反移動させる。
第1の拘束手段40および第2の拘束手段50は、板材210を板厚方向に対して拘束しつつ、互いに離反移動して板材210を引っ張る。板材210を引き伸ばして薄肉部223を成形させる。第1の拘束手段40が拘束する部位および第2の拘束手段50が拘束する部位は、薄肉成形前の板厚と同程度の板厚を有する厚肉部221をなす。
このように、第1の縁部211および第2の縁部212以外の部位において板材210を板厚方向に対して拘束しながら薄肉成形を行う場合においても、上述した第1の実施形態と同様に、薄肉部223および厚肉部221が成形された予備成形品220を取得することが可能になっている。板材210を拘束する部位を適宜変更させることによって、薄肉部223および厚肉部221を成形させる位置を比較的自由に設定することが可能になっている。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るプレス成形装置10は、板材210を板厚方向に対して挟持することによって薄肉化を抑制する挟持力を付与する挟持手段80を有している。このような点において上述した第1の実施形態と相違する。第1の実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、説明を一部省略する。
図11〜15を参照して、第2の実施形態に係るプレス成形装置10は、薄肉成形に際し、第1の拘束手段40が拘束する部位211と第2の拘束手段50が拘束する部位212との間に位置する部位を挟持手段80によって挟持させて薄肉化を抑制させることが可能になっている(図14を参照)。
挟持手段80は、板材210の表裏両面側に向かい合わせて配置された第1の挟持部材81と、第2の挟持部材82とを有している。
第1の挟持部材81は、下型30に突出するように上型20に一体的に取り付けたパットによって構成している。上型20の下型30に向かう接近移動に伴って第2の挟持部材82との間において板材210を挟持し、薄肉化を抑制する挟持力を付与することを可能にしている。
第2の挟持部材82は、上型20に向けて押圧力を付与するように下型30に保持したパットによって構成している。第2の挟持部材81には、板材210を挟持する挟持力を調整するための調節手段90を設けている。
調節手段90には、スプリングクッションを利用している。調節手段90には、ガスクッションやプレス型に設置されるクッション部材等を利用することも可能である。
挟持部材80は、第1の拘束手段40と第2の拘束手段50が板材210を拘束した状態において板材210との間に隙間gを形成するように配置している(図12を参照)。
本実施形態に係るプレス成形方法について説明する。
図12を参照して、板材210を下型30の第1下ホルダ43にセットする。薄肉用プレス型15の上型20を下型30に向けて接近移動させる。
図13を参照して、上型20を下型30に向けてさらに接近移動させる。第1の挟持部材81が板材210に当接して、板材210を第2の挟持部材82に向けて押圧する。
図14を参照して、上型20を下型30に向けてさらに接近移動させる。第1の縁部211および第2の縁部212を拘束しながら板材210を引っ張って引き伸ばす。第1の縁部211と第2の縁部212の中間位置213を引き伸ばしの起点として板材210を引き伸ばす。
第1の挟持部材81が板材210を下型30に向けて押圧しつつ、調節手段90が第2の挟持部材82を板材210に向けて押圧する。板材210の薄肉化を抑制する挟持力が駆動され、薄肉化の進行が抑制される。
板材210と挟持手段80との間に設けた隙間gによって、薄肉成形を開始するタイミングと薄肉化を抑制する挟持力を付与するタイミングとをずらしている。
図15を参照して、上型20を下型30に向けてさらに移動させる。挟持手段80によって挟持した部位と第1の縁部211との間に位置する部位を引き伸ばしの起点として、板材210をさらに引き伸ばす。
板材210が引き伸ばされる起点を一定の位置からずらすことなく薄肉成形を行う場合、板材210の伸長率が比較的小さい段階で破断が生じてしまう。本実施形態にあっては、挟持手段80を設置することによって、所定の板厚まで薄肉化された部位に板厚方向に対して挟持力を付与して薄肉化を抑制させることを可能にしている。挟持手段80が挟持する部位以外の部位を板材210の引き伸ばしの起点とすることが可能になるため、板材210の破断を防止しつつ板材210をより長く引き伸ばすことができる。プレス成形品230、およびこれを適用した製品300に必要とされる長手方向の寸法をより確実に確保することができる。
薄肉用プレス型15の上型20に第1の挟持部材81を設置し、第1の挟持部材81に向かい合わせて第2の挟持部材82を下型30に設置している。調節手段90によって上型20に向かう押圧力を調整して第2の挟持部材82を配置している。このため、薄肉用プレス型15の上型20の下型30に向かう接近移動によって、薄肉化を抑制させるための挟持力を駆動させることが可能になっている。既存のプレス型を転用した薄肉用プレス型15に挟持手段80を付加した簡素な構成によって薄肉化を抑制させる機能を発揮させることが可能なため、設備投資費を削減することができる。
板材210と第2の挟持部材82との間に設けた隙間gによって、薄肉成形を開始するタイミングに遅らせて薄肉化を抑制する挟持力を駆動させることができる。薄肉化を進行させた後に挟持力を付与して薄肉化を抑制させることによって、薄肉部における板厚を比較的自由に設定することができる。
上述した第1の実施形態と同様に、予備成形品220に曲げ癖を付けることなく、予備成形品220の表面を滑らかな面形状に成形することができ、予備成形品220の成形品質を向上させることができる。薄肉用プレス型15の上型20を下型30に向けて移動させる1アクションによって薄肉成形を行うことが可能になっているため、生産性を向上させてコストの低減を図ることができる。薄肉用プレス型15に既存のプレス型を転用させることができ、設備投資費を削減することが可能になっている。
薄肉成形された予備成形品220に成形品形状を付与して、プレス成形品230を取得することができる。厚肉部221に相当する部位が他物品250との接合を行うための溶接部231をなすプレス成形品230を取得することができる。
(変形例)
第2の実施形態に係る変形例にあっては、第2の挟持部材82を板材210との間に隙間を設けずに配置している。薄肉化を抑制する挟持力を駆動するタイミングを、板材210と第1の挟持部材81との間の隙間gと、第2の挟持部材82が板材210を押圧する押圧力とによって調整している。上述した第2の実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、説明を一部省略する。
本変形例に係るプレス成形方法について説明する。
図16を参照して、板材210を薄肉用プレス型15にセットする。第2の挟持部材82に板材210を当接させて配置する。
図17を参照して、薄肉用プレス型15の上型20を下型30に向けて接近移動させる。第1の挟持部材81と第2の挟持部材82によって板材210を挟み込ませる。
図18を参照して、薄肉成形の進行に合わせて薄肉化を抑制する挟持力が駆動されるように、第2の挟持部材82を押圧する押圧力を調節手段90によって調整している。このため、挟持手段80による板材210の挟み込みに関わらず、板材210の中心位置213周辺の薄肉化が進行する。
上型20を下型30に向けてさらに移動させる。第1の挟持部材81が板材210に付与する押圧力が大きくなると、挟持手段80から薄肉化を抑制する挟持力が駆動される。
挟持手段80が挟持した部位以外の部位を板材210の引き伸ばしの起点にして、板材210をさらに引き伸ばすことができる。
このように、第2の挟持部材82を板材210に向けて押圧する押圧力を調整することによって、薄肉成形を開始するタイミングに遅らせて薄肉化を抑制する挟持力を駆動させることができる。任意の板厚まで薄肉化を進行させた後に薄肉化を抑制する挟持力を付与することができる。
挟持手段80によって板材210を挟持させる位置は、適宜変更することが可能である。第1の拘束手段40が拘束する部位と第2の拘束手段50が拘束する部位の中間位置213以外の部位を挟持させる構成にしてもよい。実施形態において示したように板材210の中間位置における薄肉化を抑制させることによって、薄肉化が顕著に進行する部位からの破断を好適に防止することが可能になる。
挟持手段80によって薄肉化を抑制する挟持力を駆動させるタイミングの調整は、挟持手段80と板材210との間に隙間を形成させることなく、挟持部材80が付与する挟持力を調整する形態のみを採用することも可能である。
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係るプレス成形装置10は、板材210を板厚方向に対して挟持するための挟持手段80を板材210の面方向に沿って複数個配列している。このような点において、上述した第2の実施形態と相違する。第2の実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、説明を一部省略する。
図19〜23を参照して、挟持手段80を構成する第2の挟持部材82は、板材210の面方向にパットを分割して形成した複数個のブロック85a、85b、85cを含んでいる。1個の第1の挟持部材81に対して複数個に分割された第2の挟持部材82を利用することによって、板材210の挟持点を3点に増加させている。このようにして、擬似的に3つの挟持手段を構成させている。
各ブロック85a、85b、85cが付与する押圧力を調整する調節部材90a、90b、90cには、スプリングクッションを利用している。各調節部材90a、90b、90cによって、各ブロック85a、85b、85cから板材210に対して同一の押圧力が付与されるように挟持力を調整させている。
挟持手段90と板材210との間には、隙間g、g1、g2、g3をそれぞれ形成させている。ブロック85a、85b、85cと板材210との間の隙間の寸法は、第1の拘束手段40が拘束する部位211と第2の拘束手段50が拘束する部位212の中間位置213に近い側のブロック85bの方が、遠い側のブロック85a、85cよりも小さくなるように設定している(図19を参照)。ブロック85aと板材210との間の隙間g1の寸法とブロック85cと板材210との間の隙間g2の寸法は、同程度に設定している。
本実施形態に係るプレス成形方法について説明する。
図19を参照して、板材210を下型30の第1下ホルダ43にセットする。薄肉用プレス型15の上型20を下型30に向けて接近移動させる。
図20を参照して、薄肉用プレス型15の上型20を下型30に向けてさらに接近移動させる。第1の挟持部材81が板材210に当接して、板材210を第2の挟持部材82に向けて押圧する。
図21を参照して、第1の縁部211および第2の縁部212を拘束しながら板材210を引っ張って引き伸ばす。板材210に薄肉部223を成形させる。
薄肉成形を開始するタイミングに遅れて、第1の挟持部材81とブロック85bとによって板材210を板厚方向に対して挟持する。板材210を板厚方向に対して挟持する挟持力を駆動し、薄肉化の進行を抑制させる。
第1の挟持部材81とブロック85bとによって挟持した部位に隣接する部位を引き伸ばしの起点にして、板材210をさらに引き伸ばす。
図22を参照して、薄肉用プレス型15の上型20を下型30へ向けてさらに移動させる。第1の挟持部材81とブロック85a、85cとの間において板材210を挟持させる。第1の挟持部材81とブロック85bとによる薄肉化を抑制する挟持力が駆動されるタイミングに遅れて、第1の挟持部材81とブロック85a、85cとによる挟持力が駆動される。板材210の引き伸ばしの起点が、ブロック85a、85cによって挟持した部位から第1の縁部211の側および第2の縁部212の側へ移動する。
図23を参照して、薄肉用プレス型15の上型20を下型30へ向けてさらに移動させる。板材210の引き伸ばしの起点を、第1の挟持部材81とブロック85a、85b、85cとによってそれぞれ挟持した部位から第1の縁部211の側および第2の縁部212の側へ移動させているため、板材210の破断を好適に防止しつつ、板材210をさらに引き伸ばすことが可能になる。
このように、板材210の面方向に配列した複数個の挟持手段90ごとに薄肉化を抑制する挟持力を付与させることによって、板材210に破断が生じることを好適に防止しつつ、長手方向により長い寸法を有する予備成形品220を成形することが可能になる。
複数個の挟持手段のそれぞれに調節手段90を設けているため、薄肉用プレス型15の上型20の下型30に向かう接近移動に伴わせて、それぞれの挟持手段から個別的に薄肉化を抑制する挟持力を駆動させることができる。
板材210と挟持手段80との間に隙間g、g1、g2、g3を設けることによって、薄肉成形が開始するタイミングに遅らせて薄肉化を抑制する挟持力を付与することが可能になっている。挟持手段80を構成する各ブロック85a、85b、85cと板材210との間の隙間の寸法差を異ならせることによって、各ブロック85a、85b、85cから薄肉化を抑制する挟持力が駆動されるタイミングを任意に設定することができる。ブロック85a、85b、85cごとに薄肉化を抑制する挟持力を付与するタイミングを調整することが可能になっているため、薄肉化された予備成形品220の断面形状を比較的自由な断面形状に成形することができる。
第2の実施形態と同様に、既存のプレス型を転用した薄肉用プレス型15に複数個の挟持手段80を付加した簡素な構成によって薄肉化を抑制させる機能を発揮させることができ、設備投資費を削減することができる。
第1の実施形態と同様に、予備成形品220に曲げ癖を付けることなく、予備成形品220の表面を滑らかな面形状に成形することができ、予備成形品220の成形品質を向上させることができる。薄肉用プレス型15の上型20を下型30に向けて移動させる1アクションによって薄肉成形を行うことが可能になっているため、生産性を向上させてコストの低減を図ることができる。薄肉用プレス型15に既存のプレス型を転用させることができ、設備投資費を削減することが可能になっている。
薄肉成形された予備成形品220に成形品形状を付与して、プレス成形品230を取得することができる。厚肉部221に相当する部位が他物品250との接合を行うための溶接部231をなすプレス成形品230を取得することができる。
(変形例)
第3の実施形態に係る変形例にあっては、第2の挟持部材82をなすブロック85a、85b、85cを板材210との間に隙間を形成させずに配置している。各ブロック85a、85b、85cが薄肉化を抑制する挟持力を駆動するタイミングを各ブロック85a、85b、85cが板材210を押圧する押圧力によって調整している。上述した第3の実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、説明を一部省略する。
図24を参照して、ブロック85a、85b、85cのそれぞれを個別に板材210に向けて押圧する押圧力は、第1の拘束手段40が拘束する部位211と第2の拘束手段50が拘束する部位212の中間位置213に近い側のブロック85bの方が、遠い側のブロック85a、85cよりも大きくなるように設定している。押圧力の調整は、調節手段90a、90b、90cによって行っている。
本変形例に係るプレス成形方法について説明する。
図24を参照して、板材210を薄肉用プレス型15にセットする。板材210は、各ブロック85a、85b、85cに当接させて配置する。
図25を参照して、薄肉用プレス型15の上型20を下型30に向けて移動させる。第1の挟持部材81と各ブロック85a、85b、85cとによって、板材210を挟持する。
薄肉成形の進行に合わせてブロック85bから薄肉化を抑制する挟持力を駆動させる。第1の挟持部材81とブロック85bによって挟持した部位の薄肉化を抑制させる。この際、押圧力を小さく設定したブロック85a、85cからは薄肉化を抑制する挟持力が駆動されない。したがって、ブロック85a、85cよって挟み込まれた部位を起点にして板材210が引き伸ばされ始める。
図26を参照して、薄肉用プレス型15の上型20を下型30に向けてさらに移動させる。第1の挟持部材81が板材210に付与する押圧力が大きくなると、ブロック85a、85cから薄肉化を抑制する挟持力が駆動される。ブロック85bによる薄肉化を抑制する挟持力の駆動に遅れて、ブロック85a、85cによる薄肉化を抑制する挟持力を駆動させることが可能になる。
このように、第2の挟持部材82を板材210に向けて押圧する押圧力を調整することによって、各ブロック85a、85b、85cが薄肉化を抑制する挟持力を駆動するタイミングを任意に設定することができる。ブロック85a、85b、85cごとに薄肉化を抑制する挟持力を付与するタイミングを調整することが可能なため、薄肉化された予備成形品220の断面形状を比較的自由に成形することができる。
3つのブロック85a、85b、85cによって3つの挟持点において挟持力を付与する形態で説明をしたが、挟持点の数、および挟持手段の数は特に限定されるものではなく、さらに増加させることも可能である。また、2点での挟持を行う構成とすることも可能である。
上述した各実施形態は適宜変更することが可能である。
薄肉用プレス型15の上型20の下型30への接近移動によって一連の薄肉成形を行う形態を説明したが、下型を上型へ接近移動させて薄肉成形を行う形態とすることも可能である。
第1の拘束手段40と第2の拘束手段50を互いに離反移動させて板材210を引っ張る形態で説明をしたが、一方の挟持手段のみを他方の挟持手段から離反移動させて板材を引っ張って薄肉成形を行う形態とすることも可能である。
拘束手段の設置数は1組のみに限定されるものではなく、相対離反移動可能な拘束手段をさらに設置して、多数箇所において同時に拘束および引っ張りを行うことも可能である。また、プレス型と別体にして設けられた拘束手段をプレス型の接近離反移動に伴わせて駆動させて拘束力を板材に付与する形態とすることも可能である。
第2の実施形態に示す挟持手段80によって板材210の薄肉化を抑制させる効果を好適に発揮させることできる挟持力の検討を行なった結果を説明する。
図27〜30には、挟持手段80が板材210に対して付与するパット圧(面圧)と薄肉化を抑制させる効果との関係について検討を行った結果を示す。
板材210に対して付与するパット圧を変化させて、パット圧と板材210の各部位における薄肉率との関係について検討した。
図27(A)は、挟持手段80による挟持を行わずに薄肉成形をした場合における各部の薄肉率を表わしている。
第1の拘束手段40によって第1の縁部211を拘束させ、第2の拘束手段50によって第2の縁部212を拘束させた。図中において、薄肉率の最も大きな部位を第1部位225、第1部位225よりも薄肉率が小さな部位を第2部位226、第2部位226よりも薄肉率が小さな部位を第3部位227、第3部位227よりも薄肉率が小さな部位を第4部位228として表わしている。
板材210において引き伸ばしの起点となる中心位置に近い第1部位225は薄肉率が他の部位よりも大きくなっている。中心位置から離れて位置する部位ほど薄肉率が小さくなっている。中心位置周辺に位置する第1部位225から薄肉化に伴う破断が生じ易くなっていることが確認できる。
図27(B)は、挟持手段80によって板厚方向に対して0.5kgf/mm2程度のパット圧を付与した場合における各部の薄肉率を表わしている。
図27(A)に示す例と同様に、板材210の中心位置周辺に薄肉率が最も大きな第1部位225が形成されており、その周囲を囲むように第2部位226が形成されていることがわかる。板材210全体における薄肉率の分布は挟持手段80を用いずに薄肉成形を行う場合とほぼ一致している。このことより、挟持手段80による薄肉化の抑制効果が十分に発揮されていないことが確認できる。
図28(A)は、挟持手段80によって板厚方向に対して1.0kgf/mm2程度のパット圧を付与した場合における各部の薄肉率を表わしている。
挟持手段80によって挟持した部位には、第1部位225に相当する部位が形成されておらず、第2部位226および第3部位227に相当する部位のみが形成されていることがわかる。挟持手段80が引き伸ばしに伴って発生する応力を緩和する機能が発揮されていることが確認できる。
図28(B)は、挟持手段80によって板厚方向に対して1.5kgf/mm2程度のパット圧を付与したした場合における各部の薄肉率を表わしている。
挟持手段80が挟持した部位には、第1部位225に相当する部位および第2部位226に相当する部位が形成されないことがわかる。薄肉化抑制の効果が図28(A)に示す場合よりも十分に発揮されていることが確認できる。
図29は、挟持手段80が付与するパット圧と板材210の薄肉率との関係を示す。挟持手段80が挟持した部位における薄肉率の最大値(プロット■)と、挟持手段80が挟持した部位における薄肉率の最小値(プロット◆)とを示している。例えば、パット圧が0.5kgf/mm2時には、薄肉率の最大値が50%程度(もとの板厚よりも50%の板厚)の部位と、薄肉率の最小値が20%程度(もとの板厚よりも80%の板厚)の部位とが板材210に形成されていることになる。
図30は、図29に示される薄肉率の最大値と薄肉率の最小値の差とパット圧との関係を示す。
図27(B)にも示したように、挟持手段80が付与するパット圧が小さい場合には、挟持手段80による薄肉化の抑制効果が十分に発揮されない。このため、板材210が引き伸ばされる起点となる中心位置周辺に薄肉率が比較的大きな部位が形成されることになる。よって、当該部位における薄肉率と他の部位との薄肉率の差が大きくなる。
一方、パット圧を一定圧以上に付与した場合には、板材210の中心位置周辺での薄肉化の進行を抑制させることが可能になる。このため、薄肉率の最大値と薄肉率の最小値の差を小さくすることができる。図29および図30に示すように、パット圧を0.8kgf/mm2程度以上付与することによって、薄肉率の最大値と薄肉率の最小値との差を比較的小さくすることができる。
このように、挟持手段が付与するパット圧を所定の閾値以上に設定することによって、薄肉化を抑制させる効果を十分に発揮させることが可能なことを確認できた。薄肉化を抑制することによって、挟持手段が挟持する範囲内における薄肉率の最大値と薄肉率の最小値との差を小さくすることができ、均一な板厚で薄肉部を成形させることが可能なことを確認できた。また、例えば、板材に対してパット圧を0.8kgf/mm2程度付与することによって、薄肉率の最大値と薄肉率の最小値との差を比較的小さくすることができることを確認できた。
次に、挟持手段80が板材210の中心位置を挟持する場合において、薄肉化を好適に抑制することが可能な挟持位置について検討した結果を説明する。
図31(A)、(B)を参照して、板材210には、長手方向の寸法d、短手方向の寸法wの鋼板を設定した。
第1の拘束手段40によって、板材210を長手方向の寸法aで挟み込ませた。第2の拘束手段50によって、板材210を長手方向の寸法aで挟みこませた。挟持手段80によって、板材210を長手方向の寸法cで挟持した。挟持手段80が付与するパット圧を一定とし、第1の拘束手段40と第2の拘束手段50との間の長手方向の間隔bに対する挟持手段80が挟持する幅cの比率を変化させて、挟持手段80による薄肉化の抑制効果について検討した。
図32を参照して、縦軸は板材210の中心位置における薄肉率を示し、横軸は第1の拘束手段40と第2の拘束手段50との間の長手方向の間隔bに対する挟持手段80が挟持する幅cの比率を示す。
挟持手段80が挟持する幅cが小さいと、板材210の面方向における中心位置に十分な挟持力が付与されない。このため、挟持手段80による薄肉化を抑制する効果が十分に発揮されず、薄肉率が大きくなることが確認できる。間隔bに対する幅cの比率が大きくなるにしたがって、薄肉化を抑制する効果が高まることが確認できる。
図示されるように、間隔bに対する幅cの比率が60%を超えるまでは薄肉化を抑制する効果が向上し、60%を超えると薄肉化を抑制する効果はほぼ一定となることが確認できる。
このように、第1の拘束手段40と第2の拘束手段50との間の長手方向の間隔bに対する挟持手段80が挟持する幅cの比率を60%以上とすることによって、挟持手段80による薄肉化抑制の効果を十分に発揮させることができることを確認できた。挟持手段80の形状等を変更する場合においても上記の条件を満たすような設計を行うことによって、薄肉化抑制の効果を十分に発揮させることが可能になることが確認できた。