JP5639960B2 - 連続鋳造鋳型 - Google Patents

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本発明は、対向配置される長辺と、長辺の間に横移動可能に対向配置される短辺とを備えた連続鋳造鋳型に関する。
従来、連続鋳造鋳型では、対向配置された一対の長辺間の間隔は、長辺の湯面位置(メニスカス位置)から長辺の下端位置まで、同じ割合で狭まっていた(即ち、長辺の内表面にシングルテーパを形成した長辺シングルテーパ鋳型となっていた)。このため、溶鋼の凝固過程においては、鋳片の引き抜き方向へ向けて、鋳型の長辺内側面と溶鋼の長辺接触面側に形成される長辺側凝固シェルとの間に隙間が生じていた。これにより、鋳片の長辺側コーナー部の冷却効果が他の部分より低下し、鋳片コーナー部における鋳片の凝固遅れ(コーナー凝固遅れ)が発生し、鋳片コーナー割れ等の品質異常を招いていた。そこで、鋳片コーナー部の凝固遅れを防止して、コーナー凝固遅れに伴う鋳片コーナー割れ等の品質異常を防止するために、長辺の内表面に鋳片の鋳造方向に対向する内幅が鋳片の凝固収縮形状に応じて狭まるようにマルチテーパを形成した連続鋳造鋳型(長辺マルチテーパ鋳型)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−49385号公報
長辺シングルテーパ鋳型では、図20に示すように、長辺中央領域は長辺側凝固シェルと常に接触しているが、長辺中央領域が受ける接触面圧は溶鋼静圧程度であるため小さい。また、鋳片のコーナー部にはコーナーエアギャップが形成されるので、長辺側の鋳型コーナー部が受ける接触面圧も小さくなっている。これに対して、長辺マルチテーパ鋳型では、図21に示すように、長辺中央領域が長辺側凝固シェルを介して受ける接触面圧は溶鋼静圧程度であるため小さいが、長辺側の鋳型コーナー部は常に長辺側凝固シェルのコーナー部と接触し、かつ、長辺側凝固シェルのコーナー部には短辺に対向して形成された短辺側凝固シェルが連接しているため、短辺シェル反力が発生する。このため、長辺側の鋳型コーナー部が受ける接触面圧は非常に大きくなる。その結果、長辺中央領域に設けた補強皮膜の磨耗進行速度に比べて、長辺側の鋳型コーナー部に設けた補強皮膜の磨耗進行速度は非常に大きくなって、長辺側の鋳型コーナー部では早期に補強皮膜が消失するという問題が生じる。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、対向配置される長辺の間に短辺を横移動可能に対向配置した際に、長辺側の鋳型コーナー部となる長辺の短辺移動領域における補強皮膜の早期の消失を防止することが可能な連続鋳造鋳型を提供することを目的とする。
前記目的に沿う発明に係る連続鋳造鋳型は、対向配置される長辺と、該長辺の間に横移動可能に対向配置される短辺とを有し、対向する前記長辺の内幅が鋳片の引き抜かれる下方へ向けて狭まるマルチテーパが前記長辺の内側に形成され、かつ前記長辺の内側全面には耐磨耗性の補強皮膜が形成された連続鋳造鋳型において、
前記長辺の下側に形成された前記補強皮膜の厚みを、前記長辺の上側に形成された前記補強皮膜の厚みより厚くすると共に、
前記長辺に前記短辺が当接する短辺移動領域の下側に形成された前記補強皮膜の厚みを、前記長辺の高さをHとして、前記補強皮膜の下端から(1/3〜4/5)Hの距離に相当する範囲で、前記長辺の中央領域の下側に形成された前記補強皮膜の厚みより厚くしている。
発明に係る連続鋳造鋳型において、前記補強皮膜は硬質めっきとすることが好ましい。
ここで、前記硬質めっきはNiめっき又はNi系合金めっき、又はCo−Ni系合金めっきのいずれか1とすることができる。
発明に係る連続鋳造鋳型において、前記補強皮膜は溶射皮膜とすることが好ましい。
ここで、前記溶射皮膜はNi又はCoをベースとしたCr−Si−B系の合金とすることができる。
また、前記溶射皮膜はCo、Ni、又はCo−Ni系の合金に、炭化物、窒化物、及び硼化物のいずれか1又は2以上を添加することもできる。
発明に係る連続鋳造鋳型においては、長辺の下側に形成された補強皮膜の厚みを、長辺の上側に形成された補強皮膜の厚みより厚くするので、連続鋳造鋳型内での鋳片冷却の進行により、連続鋳造鋳型内で下方に向かうほど長辺に接触する鋳片(凝固シェル)の硬度が高くなって、長辺の下側に形成した補強皮膜の磨耗の進行が大きくなっても、補強皮膜の消失が早期に発生することを防止できる。また、長辺に短辺が当接して長辺側の鋳型コーナー部となる短辺移動領域の補強皮膜の厚みを、長辺の中央領域に形成された補強皮膜の厚みより厚くしたので、長辺側の鋳型コーナー部に、長辺側凝固シェルのコーナー部が接触して非常に大きな接触面圧が鋳造時常に加わることで補強皮膜の磨耗の進行が、中央領域に形成された補強皮膜の磨耗の進行より大きくても、短辺移動領域の補強皮膜の消失が早期に発生することを防止できる。その結果、長辺(連続鋳造鋳型)の寿命が短くなることを防止できる。
更に、長辺の中央領域の下側に形成される補強皮膜の厚みに比較して、長辺の短辺移動領域の下側に形成される補強皮膜を厚くすることで、連続鋳造鋳型に熱衝撃が加わっても、補強皮膜にヒートクラックが発生する虞を小さくすることができると共に、長辺の製造コストが大幅に上昇することを防止できる。
発明に係る連続鋳造鋳型において、補強皮膜が硬質めっきからなる場合、擦り疵の発生を防止することができると共に、耐摩耗性を向上することができる。
そして、硬質めっきが、Niめっき又はNi系合金めっきである場合、熱衝撃で補強皮膜にヒートクラックが発生するのを容易に防止できる。また硬質めっきが、Co−Ni系合金めっきである場合、補強皮膜の耐摩耗性が向上し、連続鋳造鋳型の寿命の延長が可能になる。
発明に係る連続鋳造鋳型において、補強皮膜が溶射皮膜からなる場合、補強皮膜の厚み調整が容易にできる。
そして、溶射皮膜がNi又はCoをベースとしたCr−Si−B系の合金からなる場合、ヒュージング処理を行うことで、補強皮膜の緻密化、長辺との結合性を高めることができ、補強皮膜の寿命を延ばすことができる。
また、溶射皮膜がCo、Ni、又はCo−Ni系の合金に、炭化物、窒化物、及び硼化物のいずれか1又は2以上を添加した場合、擦り疵の発生防止、耐摩耗性の向上を更に図ることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る連続鋳造鋳型の斜視図である。 (A)は同連続鋳造鋳型の一方の長辺の斜視図、(B)は(A)のP−P矢視断面図、(C)は(A)のQ−Q矢視断面図である。 図2(B)の拡大図である。 同連続鋳造鋳型の長辺を構成する長辺母材の斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係る連続鋳造鋳型の斜視図である。 (A)は同連続鋳造鋳型の一方の長辺の斜視図、(B)は(A)のR−R矢視断面図、(C)は(A)のS−S矢視断面図である。 図6(B)の拡大図である。 同連続鋳造鋳型の長辺を構成する長辺母材の斜視図である。 (A)、(B)はそれぞれ、同連続鋳造鋳型の第1、第2の変形例に係る長辺の断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る連続鋳造鋳型の斜視図である。 (A)は同連続鋳造鋳型の一方の長辺の斜視図、(B)は(A)のU−U矢視断面図、(C)は(A)のV−V矢視断面図である。 図11(B)の拡大図である。 同連続鋳造鋳型の長辺を構成する長辺母材の斜視図である。 (A)、(B)はそれぞれ、同連続鋳造鋳型の第1、第2の変形例に係る長辺の断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る連続鋳造鋳型の斜視図である。 (A)は同連続鋳造鋳型の一方の長辺の斜視図、(B)は(A)のM−M矢視断面図、(C)は(A)のN−N矢視断面図である。 図16(B)の拡大図である。 同連続鋳造鋳型の長辺を構成する長辺母材の斜視図である。 (A)、(B)はそれぞれ、同連続鋳造鋳型の第1、第2の変形例に係る長辺の断面図である。 従来の長辺シングルテーパ鋳型の説明図である。 従来の長辺マルチテーパ鋳型の説明図である。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1、図2(A)、(B)、(C)に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る連続鋳造鋳型10は、対向配置される長辺12、13と、長辺12、13の間に横移動可能に対向配置される短辺14、15とを有して、上下方向(鋳造方向)に貫通した空間部11を形成し、空間部11に溶鋼16(図3参照)を供給して冷却しながら鋳片(図示せず)を製造するものであり、対向する長辺12、13の内幅が鋳片の引き抜かれる下方へ向けて狭まるマルチテーパが長辺12、13の内側に形成されている。そして、長辺12、13の内側には耐磨耗性の補強皮膜17が形成され、長辺12、13に短辺14、15がそれぞれ当接する短辺移動領域に形成された移動部補強皮膜18、19(補強皮膜17の一部)の厚みTS1は、長辺12、13の中央領域に形成された中央部補強皮膜20(補強皮膜17の残部)の厚みTC1より厚くしている。以下、詳細に説明する。
長辺12、13及び短辺14、15の外表面(溶鋼16と接する面とは反対側の面)側には、上下方向(鋳造方向)に並べて配置される複数のボルト(図示せず)からなる締結手段群を介して図示しないバックプレートがそれぞれ取付けられている。これにより、バックプレートの下部に設けられた給水部(図示せず)から、長辺12、13と短辺14、15の外面側に設けられた図示しない多数の導水溝に冷却水を流すことで、長辺12、13及び短辺14、15の冷却を行うと共に空間部11に供給した溶鋼16の冷却を行なって鋳片を製造することができる。
短辺14、15は、例えば、厚みが5mm以上100mm以下程度、幅が50mm以上300mm以下程度で、上下方向の長さが600mm以上1200mm以下程度である。また、長辺12、13は、厚さ(補強皮膜17を含めた厚さ)が、例えば5mm以上100mm以下程度、対向配置される一対の短辺14、15の間隔(鋳片と接触する幅)を、600mm以上3000mm以下の範囲で変更可能とすることのできる幅を有し、上下方向の長さは短辺14、15と同程度である。これにより、例えば、幅が600mm以上3000mm以下程度、厚みが50mm以上300mm以下程度のスラブを製造できる。なお、一対の長辺12、13は面対称であるため、以下、図1に示す長辺12の構成を説明する。
図3に示すように、長辺12の内表面側において、長辺12の幅方向に亘って、溶鋼16の溶鋼湯面位置(メニスカス位置、単に湯面位置という場合もある)を上位置P1とし、上位置P1から300mm以上下方の位置を下位置P2として空間部11側へ張り出す膨出部21からなるマルチテーパが形成されている。この溶鋼湯面位置は、長辺12の上端位置を基点として、下方へ50mm以上150mm以下の範囲内(ここでは、100mm程度)にある。なお、膨出部21の空間部11側への張り出し量は僅かであるが、説明の便宜上、図1〜図3においては、誇張して示している。
膨出部21の上位置P1を、湯面位置としたのは、溶鋼16の冷却の起点位置だからである。また、膨出部21の下位置P2を、上位置P1から下方へ300mm以上の位置としたのは、溶鋼16の鋳型接触面側に形成される凝固シェルと長辺12の内表面との間に隙間が生じる範囲が、この範囲内であることによる。以上のことから、膨出部21の形成位置を、溶鋼16の湯面位置を上位置P1とし、上位置P1から下方へ300mm以上の下位置P2までとしたが、下位置P2を、上位置P1から500mm以上下方の位置、更には長辺12、13の下端位置とすることが好ましい。
膨出部21の縦断面の内表面輪郭線は、上位置P1から下位置P2まで3つ以上8つ以下(本実施の形態では、3つ)の連続する直線部L1〜L3で構成されており、長辺12の内表面が、傾斜角度の異なる3段以上8段以下の傾斜面で構成されている。ここで、膨出部を構成する直線部が3つ未満(2つ以下)の場合、直線部の数が少な過ぎて、膨出部の縦断面形状が、部分的に突出する極端な形状となり、鋳片との接触抵抗が大きくなって、膨出部に摩耗損傷が発生し易くなる。一方、直線部の数が8つを超える(9つ以上)場合、直線部の数が多過ぎて、膨出部の加工が複雑となり、製造コストの増大を招く。以上のことから、膨出部21を、3つの直線部L1〜L3で構成したが、直線部の数の下限を4つとすることが好ましく、また上限を6つとすることが好ましい。
直線部L1〜L3については、最上の直線部L1と、この直線部L1に隣接する上から2番目の直線部L2のなす角θ1、この直線部L2と上から3番目の直線部L3のなす角θ2を、それぞれ174度以上179.97度以下の範囲内としている。なお、各角θ1、θ2は、同一角度であるが、異なる角度にしてもよい。ここで、隣り合う直線部のなす角θが174度未満の場合、膨出部の側断面視した形状が、部分的に突出する極端な形状となり、鋳片との接触抵抗が大きくなって、膨出部に摩耗損傷が発生し易くなる。一方、隣り合う直線部のなす角θが179.97度を超える場合、直線部の数が多くなって膨出部の加工が複雑となり、製造コストの増大を招く。以上のことから、隣り合う直線部L1〜L3のなす角θ1、θ2を、それぞれ174度以上179.97度以下の範囲内としたが、下限を178.0度、更には179.0度とすることが好ましく、上限を179.90度とすることが好ましい。
上記した最上の直線部L1と次の直線部L2の連接箇所X1と、直線部L2と次の直線部L3の連接箇所X2と、下位置P2は、長辺12の上端位置から、長辺12の上下方向に異なる間隔S1〜S3で設けられている。なお、各連接箇所X1、X2と下位置P2は、長辺12の上下方向の一部又は全部について、均等な間隔Sで設けてもよい。ここで、均等な間隔Sとは、各間隔の平均値に対して、±20%(好ましくは±5%)の範囲内で、各間隔が異なる場合も含む。
図3に示すように、上位置P1と下位置P2を結ぶ直線L4を底辺とする膨出部21の最大高さh(上から1番目の直線部L1と2番目の直線部L2との連接箇所X1の高さ)を、0.2mm以上5mm以下の範囲内としている。ここで、最大高さhが0.2mm未満の場合、膨出部の空間部側への張り出し量が小さ過ぎて、膨出部の表面形状がスラブの凝固収縮に追従できず、膨出部の表面と溶鋼の鋳型接触面側に形成される凝固シェルとの間に隙間が生じる。一方、最大高さhが5mmを超える場合、膨出部の縦断面が、部分的に突出する極端な形状となり、鋳片との接触抵抗が大きくなって、膨出部に摩耗損傷が発生し易くなる。以上のことから、膨出部21の最大高さhを0.2mm以上5mm以下の範囲内としたが、下限を0.5mm、更には0.55mmとすることが好ましく、上限を2.5mm、更には2.2mmとすることが好ましい。
以上に示した膨出部の形成位置、膨出部を構成する直線部の数、隣り合う直線部のなす角、及び膨出部の最大高さh(即ち、マルチテーパの形成位置及び形状)は、以下に示す条件を考慮したり、また実際に測定した結果を基にして、3次元の鋳片の凝固収縮及び鋳型の熱変形を考慮したFEM解析(有限要素法を用いた解析)により、前記した範囲内で決定するのがよい。
1)鋳片の形状、鋳片のサイズ、又は鋳込み条件(例えば、鋳込み温度、引き抜き速度、鋳型冷却条件等)。
2)鋳込み鋼種の成分に由来する物理量(例えば、液相温度、固相温度、変態温度、線膨張率、剛性値等)。
3)鋳型と鋳片との間の接触熱移動量(鋳片の収縮量は、この量に大きく影響される)。
この接触熱移動量については、特開2008−49385号公報に開示されているため、その詳細内容については省略する。
長辺12、13は、銅又は銅合金で形成された長辺母材22と、長辺母材22の内表面上に形成された補強皮膜17とを有している。また、短辺14、15は、銅又は銅合金で形成された短辺母材23と、短辺母材23の内表面上に形成された補強皮膜24(例えば厚みTC1)とを有している。
ここで、長辺母材22の縦断面の内表面輪郭線は、長辺12、13の縦断面の内表面輪郭線と同一形状となっている。そして、図2(A)〜(B)、図4に示すように、長辺母材22では、長辺母材22の外表面(長辺12、13をバックプレートにそれぞれ取付けた場合にバックプレート側となる表面)を基準として、長辺12、13の移動部補強皮膜18、19(厚みTS1)が形成される移動部下地領域(長辺母材22の幅方向両側)25、26の内表面輪郭線は、長辺12、13の中央部補強皮膜20(厚みTC1)が形成される中央部下地領域(長辺母材22の幅方向中央部)27の内表面輪郭線に対して、TS1−TC1の距離だけ外表面側に位置している(即ち、移動部下地領域25、26の厚みは、中央部下地領域27の厚みに対して、TS1−TC1だけ薄くなっている)。
このため、始めに、長辺母材22の移動部下地領域25、26のみに補強皮膜を中央部下地領域27と同一高さとなるまで形成し、次いで、移動部下地領域25、26及び中央部下地領域27に補強皮膜を厚みTC1だけ形成する。これにより、長辺母材22の移動部下地領域25、26には最終的に厚みTS1の移動部補強皮膜18、19が形成され、長辺母材22の中央部下地領域27には厚みTC1の中央部補強皮膜20が形成されることになって、内表面に補強皮膜17が形成される。そして、補強皮膜17表面の仕上げ加工を行うことにより、長辺12、13が得られる。
ここで、補強皮膜17には、例えば、Niめっき、Ni系合金めっき、又はCo−Ni系合金めっきのいずれか1からなる硬質めっきを使用する。ここで、Niめっき又はNi系合金めっきを使用すると、熱衝撃で補強皮膜にヒートクラックが発生するのを防止することができ、連続鋳造鋳型の耐熱衝撃抵抗性を向上させることができる。
また、Co−Ni系合金めっきを使用すると、補強皮膜も耐摩耗性が向上して、連続鋳造鋳型の寿命を延長することができる。
また、補強皮膜17には、Ni又はCoをベースとしたCr−Si−B系の合金からなる溶射皮膜、あるいはCo、Ni、又はCo−Ni系の合金に、炭化物(例えばWC)、窒化物(例えばTiN)、及び硼化物(例えばCrB)のいずれか1又は2以上を添加した溶射皮膜を使用することもできる。補強皮膜17を溶射皮膜とすると、補強皮膜17の厚み調整が容易にできる。そして、Ni又はCoをベースとしたCr−Si−B系の合金からなる溶射皮膜を使用する場合、ヒュージング処理を行うことで、補強皮膜17の緻密化、補強皮膜17と長辺母材22との結合性を高めることができ、補強皮膜17の寿命を延ばすことができる。一方、Co、Ni、又はCo−Ni系の合金に、炭化物、窒化物、及び硼化物のいずれか1又は2以上を添加したものからなる溶射皮膜を使用する場合、補強皮膜17に発生する擦り疵の防止、補強皮膜17の耐摩耗性の向上を更に図ることができる。
なお、他の実施の形態の補強皮膜においても、補強皮膜17と同様に形成することができる。
続いて、本発明の第1の実施の形態に係る連続鋳造鋳型10の作用について説明する。
対向配置する長辺12、13の間に短辺14、15を横移動可能に対向配置する場合、
長辺12、13に短辺14、15が当接して長辺12、13側の鋳型コーナー部となる短辺移動領域に形成された移動部補強皮膜18、19の厚みTS1を、長辺の中央領域に形成された中央部補強皮膜20の厚みTC1より厚くしたので、移動部補強皮膜18、19に、長辺側凝固シェルのコーナー部が接触して非常に大きな接触面圧が鋳造中常に加わることで移動部補強皮膜18、19の磨耗の進行が、長辺12、13の中央領域に形成された中央部補強皮膜20の磨耗の進行より大きくなっても、移動部補強皮膜18、19の消失が早期に発生することを防止できる。その結果、長辺12、13(連続鋳造鋳型10)の寿命が短くなることを防止することができる。
また、長辺12、13の中央領域に形成される中央部補強皮膜20の厚みTC1に比較して、長辺12、13の短辺移動領域に形成される移動部補強皮膜18、19の厚みTS1を厚くすることで、連続鋳造する際、連続鋳造鋳型10内に貯留される溶鋼16の溶鋼湯面位置の近傍域にヒートクラックが発生することを防止できると共に、連続鋳造鋳型10内に溶鋼16を注入する際に発生する熱衝撃により、補強皮膜17にヒートクラックが発生する虞を小さくすることができる。
更に、長辺12、13の中央領域に形成される中央部補強皮膜20の厚みTC1に比較して、長辺12、13の短辺移動領域に形成される移動部補強皮膜18、19の厚みTS1を厚くすることは、長辺12、13の内側に形成する補強皮膜の厚みを全てTS1とする場合に比べて補強皮膜の形成工程に要する時間を短縮することができ、長辺12、13(連続鋳造鋳型10)の製造コストが大幅に上昇することを防止できる。
図5、図6(A)、(B)、(C)に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る連続鋳造鋳型28は、対向配置される長辺29、30と、長辺29、30の間に横移動可能に対向配置される短辺31、32とを有して、上下方向(鋳造方向)に貫通した空間部33を形成し、空間部33に溶鋼34(図7参照)を供給して冷却しながら鋳片(図示せず)を製造するものであり、対向する長辺29、30の内幅が鋳片の引き抜かれる下方へ向けて狭まるマルチテーパが長辺29、30の内側に形成され、長辺29、30の内側には耐磨耗性の補強皮膜35が形成されている。
補強皮膜35では、長辺29、30の下側に形成された下側補強皮膜36の厚みを、長辺29、30の上側に形成され上側補強皮膜37の厚みより厚くすると共に、長辺29、30に短辺31、32がそれぞれ当接する短辺移動領域の下側に形成された移動部下側補強皮膜38、39の厚みを、長辺29、30の中央領域の下側に形成された中央部下側補強皮膜40の厚みより厚くしている。また、移動部下側補強皮膜38、39の厚みが、中央部下側補強皮膜40の厚みより厚くなっている範囲は、例えば、移動部下側補強皮膜38、39の下端から、長辺29、30の高さをHとした場合、(1/3〜4/5)Hの距離に相当する範囲である。そして、下側補強皮膜36は移動部下側補強皮膜38、39と中央部下側補強皮膜40で構成され、上側補強皮膜37は移動部下側補強皮膜38の上側に形成された移動部上側補強皮膜41と、移動部下側補強皮膜39の上側に形成された移動部上側補強皮膜42と、中央部下側補強皮膜40の上側に形成された中央部上側補強皮膜43で構成される。なお、移動部上側補強皮膜41、42及び中央部上側補強皮膜43の厚さは同一となっており、移動部下側補強皮膜38、39及び中央部下側補強皮膜40の厚さは、それぞれ下端に向かって補強皮膜の厚さが徐々に増加している。
ここで、長辺29、30及び短辺31、32は、それぞれ第1の実施の形態の長辺12、13及び短辺14、15と同じ構成(形状)とすることができるので、長辺29、30及び短辺31、32の詳細な説明は省略する。また、図7に示すように、長辺29、30の内表面側に設けるマルチテーパを形成して空間部33側へ張り出す膨出部21aの構成も、第1の実施の形態の長辺12、13の内表面側に形成した膨出部21と同一の構成とすることができるので、膨出部21の構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付して、膨出部21aの詳細な説明は省略する。更に、補強皮膜35の素材構成は、補強皮膜17の素材構成と同一とすることができるので、補強皮膜35の素材構成に関する説明は省略する。したがって、本発明の第2の実施の形態に係る連続鋳造鋳型28の特徴である、長辺29、30の内側に形成する補強皮膜35の構成について、以下詳細に説明する。
長辺29、30は、銅又は銅合金で形成された長辺母材44の内表面上に補強皮膜35を形成することにより構成されているので、補強皮膜35の表面輪郭線は長辺29、30の縦断面の内表面輪郭線と同一形状となる。このため、図6(A)〜(C)、図8に示すように、長辺母材44の外表面(長辺29、30をバックプレートにそれぞれ取付けた場合にバックプレート側となる表面)を基準とすると、長辺母材44の縦断面の内表面輪郭線において、上側補強皮膜37が形成される上側下地領域45の上側下地表面輪郭線46は、上側補強皮膜37の上側表面輪郭線47と同一形状となって、上側下地表面輪郭線46は上側表面輪郭線47に対して、上側補強皮膜37の厚さの距離だけ外表面側に位置している。
一方、移動部下側補強皮膜38、39の厚さは下端に向かって徐々に増加するように形成されているので、長辺母材44の縦断面の内表面輪郭線において、移動部下側補強皮膜38、39がそれぞれ形成される移動部下側下地領域48、49の移動部下側下地表面輪郭線50は、下側補強皮膜36の下側表面輪郭線51に対して、移動部下側補強皮膜38、39の厚さに相当する距離だけ外表面側に位置している。また、中央部下側補強皮膜40の厚さは下端に向かって徐々に増加するように形成されているので、長辺母材44の縦断面の内表面輪郭線において、中央部下側補強皮膜40が形成される中央部下側下地領域52の中央部下側下地表面輪郭線52aは、下側補強皮膜36の下側表面輪郭線51に対して、中央部下側補強皮膜40の厚さに相当する距離だけ外表面側に位置している。そして、移動部下側補強皮膜38、39の厚みは、中央部下側補強皮膜40の厚みより厚くなるように形成するので、移動部下側補強皮膜38、39の下端の厚みをTS2、中央部下側補強皮膜40の下端の厚みをTC2(TC2<TS2)とすると、移動部下側下地領域48、49の下端の厚さは、中央部下側下地領域52の下端の厚さに対してTS2−TC2だけ薄くなっている。
このため、長辺母材44の上に補強皮膜35形成する場合、始めに、長辺母材44の移動部下側下地領域48、49のみに補強皮膜を中央部下側下地領域52と同一高さとなるまで形成し、次いで、長辺母材44の上側全面に上側補強皮膜37を設定された厚さとなるように形成する。続いて、形成した上側補強皮膜37の上に更に補強皮膜が形成されない状態とし、中央部下側下地領域52の下端の厚さがTC2となるまで下側に補強皮膜を形成する。そして、長辺母材44に形成された補強皮膜の表面を仕上げ加工することにより、長辺母材44の上に補強皮膜35が形成された長辺29、30が得られる。
図9(A)に、第2の実施の形態に係る連続鋳造鋳型28の第1の変形例に係る長辺53の断面図を示す。長辺53は、長辺29、30と比較して、長辺53の短辺移動領域の下側に設けられる移動部下側補強皮膜54が形成される移動部下側下地領域55(長辺53の高さHの1/3〜4/5の距離に相当する範囲の厚みが中央部下側補強皮膜40の厚みより厚くなっている)において、移動部下側下地領域55の下端から(1/10〜2/3)Hの距離に相当する範囲の厚さを、移動部下側下地領域48、49の下端の厚さと同一にして、長辺53の下端から(1/10〜2/3)Hの距離に相当する範囲に形成される移動部下側補強皮膜54の厚みを、長辺29、30の移動部下側補強皮膜38、39の下端の厚みTS2と同一厚さとしていることが特徴となっている。なお、移動部下側下地領域55において、移動部下側下地領域55の下端から(1/10〜2/3)Hの距離を超える範囲の厚さは、移動部下側下地領域48、49の下端から(1/10〜2/3)Hの距離を超える範囲の厚さと同一である。
図9(B)に、第2の実施の形態に係る連続鋳造鋳型28の第2の変形例に係る長辺56の断面図を示す。長辺56は、長辺29、30と比較して、長辺56の短辺移動領域の下側に設けられる移動部下側補強皮膜57が形成される移動部下側下地領域58(長辺56の高さHの1/3〜4/5の距離に相当する範囲の厚みが中央部下側補強皮膜40の厚みより厚くなっている)において、移動部下側下地領域58の下端から、長辺56の高さHの1/10〜2/3の距離に相当する範囲の厚さを、移動部下側下地領域48、49の下端の厚さと同一にして、長辺56の下端から、長辺56の高さHの1/10〜2/3の距離に相当する範囲に形成される移動部下側補強皮膜57の厚みを、長辺29、30の移動部下側補強皮膜38、39の下端の厚みTS2と同一厚さとしていることが特徴となっている。なお、移動部下側下地領域58において、移動部下側下地領域58の下端から(1/10〜2/3)Hの距離を超え(1/3〜4/5)H以下の範囲の厚さは徐々に増加して、移動部下側下地領域48、49の下端から(1/3〜4/5)Hの距離における厚さに一致する。
なお、本発明の第2の実施の形態に係る連続鋳造鋳型28の作用は、第1の実施の形態に係る連続鋳造鋳型10の作用と同様なので、詳細な説明は省略する。
図10、図11(A)、(B)、(C)に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る連続鋳造鋳型59は、対向配置される長辺60、61と、長辺60、61の間に横移動可能に対向配置される短辺62、63とを有して、上下方向(鋳造方向)に貫通した空間部64を形成し、空間部64に溶鋼65(図12参照)を供給して冷却しながら鋳片(図示せず)を製造するものであり、対向する長辺60、61の内幅が鋳片の引き抜かれる下方へ向けて狭まるマルチテーパが長辺60、61の内側に形成され、長辺60、61の内側には耐磨耗性の補強皮膜66が形成されている。ここで、連続鋳造鋳型59は、第2の実施の形態に係る連続鋳造鋳型28と比較して、補強皮膜66が長辺60、61の中央領域の上部を除いた部分に形成されていることが特徴となっている。このため、連続鋳造鋳型28の長辺29、30に形成した補強皮膜35の構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付して説明を省略し、長辺60、61の上側に形成され上側補強皮膜67に関してのみ説明する。
長辺60、61は、銅又は銅合金で形成された長辺母材68の内表面上に補強皮膜66を形成することにより構成されている。ここで、上側補強皮膜67は、移動部下側補強皮膜38の上側に形成された移動部上側補強皮膜69と、移動部下側補強皮膜39の上側に形成された移動部上側補強皮膜70と、中央部下側補強皮膜40の上側に形成された中央部上側補強皮膜71で構成される。なお、移動部上側補強皮膜69、70及び中央部上側補強皮膜71の厚さは同一となっている。そして、長辺母材68には、長辺60、61を形成した際に、中央部上側補強皮膜71の上側で、かつ、移動部上側補強皮膜69、70の間にあって、長辺60、61の内面となる側に突出して移動部上側補強皮膜69、70の表面と連接して一つの平面を形成する母材露出面72を備えた突出部73が設けられている。
図13に示すように、移動部下側補強皮膜38、39がそれぞれ形成される移動部下側下地領域48、49の上側にあって、移動部上側補強皮膜69、70がそれぞれ形成される移動部上側下地領域74、75の移動部上側下地表面輪郭線76は、上側補強皮膜67の上側表面輪郭線と同一形状となっている。また、中央部上側補強皮膜71が形成される中央部上側下地領域77の表面は、中央部上側下地領域77の両側に位置する移動部上側下地領域74、75の表面と連接して一つの平面を形成している。このため、中央部上側下地領域77の表面輪郭線は、中央部上側下地領域77の両側に位置する移動部上側下地領域74、75の移動部上側下地表面輪郭線76と同一形状となっている。なお、母材露出面72の表面輪郭線は、母材露出面72の両側に位置する移動部上側下地領域74、75の移動部上側下地表面輪郭線76と同一形状となっており、移動部上側下地表面輪郭線76は、母材露出面72の表面輪郭線に対して、移動部上側補強皮膜69、70の厚さに相当する距離だけ外表面側に位置している。
したがって、長辺母材68の上に補強皮膜66を形成する場合、始めに、長辺母材68の移動部下側下地領域48、49のみに補強皮膜を中央部下側下地領域52と同一高さとなるまで形成し、次いで、長辺母材68において、母材露出面72を除いた領域に上側補強皮膜67を設定された厚さとなるように形成する。続いて、形成した上側補強皮膜67の上に更に補強皮膜が形成されない状態とし、中央部下側下地領域52の下端の厚さがTC2となるまで下側に補強皮膜を形成する。そして、長辺母材68に形成された補強皮膜の表面を仕上げ加工することにより、長辺母材68の上に補強皮膜66が形成された長辺60、61が得られる。
図14(A)に、第3の実施の形態に係る連続鋳造鋳型59の第1の変形例に係る長辺78の断面図を示す。長辺78は、長辺60、61と比較して、長辺78の短辺移動領域の下側に設けられる移動部下側補強皮膜79が形成される移動部下側下地領域80(長辺78の高さをHとした場合、長辺78の下端から(1/3〜4/5)Hの距離に相当する範囲の厚みが中央部下側補強皮膜40の厚みより厚くなっている)において、移動部下側下地領域80の下端から(1/10〜2/3)Hの距離に相当する範囲の厚さを、移動部下側下地領域48、49の下端の厚さと同一にして、長辺78の下端から(1/10〜2/3)Hの距離に相当する範囲に形成される移動部下側補強皮膜79の厚みを、長辺60、61の移動部下側補強皮膜38、39の下端の厚みTS2と同一厚さとしていることが特徴となっている。なお、移動部下側下地領域80において、移動部下側下地領域80の下端から(1/10〜2/3)Hの距離を超える範囲の厚さは、移動部下側下地領域48、49の下端から(1/10〜2/3)Hの距離を超える範囲の厚さと同一である。
図14(B)に、第の実施の形態に係る連続鋳造鋳型59の第2の変形例に係る長辺81の断面図を示す。長辺81は、長辺60、61と比較して、長辺81の短辺移動領域の下側に設けられる移動部下側補強皮膜82が形成される移動部下側下地領域83(長辺81の高さをHとした場合、長辺81の下端から(1/3〜4/5)Hの距離に相当する範囲の厚みが中央部下側補強皮膜40の厚みより厚くなっている)において、移動部下側下地領域83の下端から、長辺81の高さHの1/10〜2/3の距離に相当する範囲の厚さを、移動部下側下地領域48、49の下端の厚さと同一にして、長辺81の下端から、(1/10〜2/3)Hの距離に相当する範囲に形成される移動部下側補強皮膜82の厚みを、長辺60、61の移動部下側補強皮膜38、39の下端の厚みTS2と同一厚さとしていることが特徴となっている。なお、移動部下側下地領域83において、移動部下側下地領域83の下端から(1/10〜2/3)Hの距離を超え(1/3〜4/5)H以下の範囲の厚さは徐々に増加して、移動部下側下地領域48、49の下端から(1/3〜4/5)Hの距離における厚さに一致する。
なお、本発明の第3の実施の形態に係る連続鋳造鋳型59の作用は、第1の実施の形態に係る連続鋳造鋳型10の作用と同様なので、詳細な説明は省略する。
図15、図16(A)、(B)、(C)に示すように、本発明の第4の実施の形態に係る連続鋳造鋳型84は、対向配置される長辺85、86と、長辺85、86の間に横移動可能に対向配置される短辺87、88とを有して、上下方向(鋳造方向)に貫通した空間部89を形成し、空間部89に溶鋼90(図17参照)を供給して冷却しながら鋳片(図示せず)を製造するものであり、対向する長辺85、86の内幅が鋳片の引き抜かれる下方へ向けて狭まるマルチテーパが長辺85、86の内側に形成され、長辺85、86の内側には耐磨耗性の補強皮膜91が形成されている。ここで、連続鋳造鋳型84は、第2の実施の形態に係る連続鋳造鋳型28と比較して、補強皮膜91が長辺85、86の上部を除いて形成されていることが特徴となっている。このため、連続鋳造鋳型28の長辺29、30に形成した補強皮膜35の構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付して説明を省略し、長辺85、86の上側に形成され上側補強皮膜92に関してのみ説明する。
長辺85、86は、銅又は銅合金で形成された長辺母材93の内表面上に補強皮膜91を形成することにより構成されている。ここで、上側補強皮膜92は、移動部下側補強皮膜38の上側に形成された移動部上側補強皮膜94と、移動部下側補強皮膜39の上側に形成された移動部上側補強皮膜95と、中央部下側補強皮膜40の上側に形成された中央部上側補強皮膜96で構成される。なお、移動部上側補強皮膜94、95及び中央部上側補強皮膜96の厚さは同一となっている。そして、長辺母材93には、長辺85、86を形成した際に、移動部上側補強皮膜94、95及び中央部上側補強皮膜96の上側にあって、長辺85、86の内面となる側に突出する母材露出面97を備えた突出部98が設けられている。ここで、移動部上側補強皮膜94、95の上先端は同一高さ位置となっており、中央部上側補強皮膜96の上先端は移動部上側補強皮膜94、95の上先端より下方に位置しており、中央部上側補強皮膜96に連接する突出部98の中央下部の両側には、移動部上側補強皮膜94、95の上部が連接して配置されている。
図18に示すように、移動部下側補強皮膜38、39がそれぞれ形成される移動部下側下地領域48、49の上側に位置し、かつ、突出部98の両側領域の下側に位置して、移動部上側補強皮膜94、95がそれぞれ形成される移動部上側下地領域99、100の表面において、中央部上側補強皮膜96が形成される中央部上側下地領域102の表面の両側に位置する部位は、中央部上側下地領域102の表面と連接して一つの平面を形成している。このため、中央部上側下地領域102の表面輪郭線は、中央部上側下地領域102の両側に位置する移動部上側下地領域99、100の移動部上側下地表面輪郭線101と同一形状となっている。そして、母材露出面97の表面輪郭線は、長辺85、86の上部の表面輪郭線と一致し、移動部上側下地領域99、100の移動部上側下地表面輪郭線101及び中央部上側下地領域102の表面輪郭線の形状は、上側補強皮膜92の表面輪郭線の形状と一致している。その結果、移動部上側下地領域99、100において、突出部98の中央下部の両側に位置する移動部上側補強皮膜94、95が形成される部位の表面輪郭線は、突出部98の中央下部の表面輪郭線に対して、移動部上側補強皮膜94、95の厚さに相当する距離だけ外表面側に位置している。
したがって、長辺母材93の上に補強皮膜91を形成する場合、始めに、長辺母材93の移動部下側下地領域48、49のみに補強皮膜を中央部下側下地領域52と同一高さとなるまで形成し、次いで、長辺母材93において、母材露出面97を除いた領域に上側補強皮膜92を設定された厚さとなるように形成する。続いて、形成した上側補強皮膜92の上に更に補強皮膜が形成されない状態とし、中央部下側下地領域52の下端の厚さがTC2となるまで下側に補強皮膜を形成する。そして、長辺母材93に形成された補強皮膜の表面を仕上げ加工することにより、長辺母材93の上に補強皮膜91が形成された長辺85、86が得られる。
図19(A)に、第4の実施の形態に係る連続鋳造鋳型84の第1の変形例に係る長辺103の断面図を示す。長辺103は、長辺85、86と比較して、長辺103の短辺移動領域の下側に設けられる移動部下側補強皮膜104が形成される移動部下側下地領域105(長辺103の高さをHとした場合、長辺103の下端から(1/3〜4/5)Hの距離に相当する範囲の厚みが中央部下側補強皮膜40の厚みより厚くなっている)において、移動部下側下地領域105の下端から(1/10〜2/3)Hの距離に相当する範囲の厚さを、移動部下側下地領域48、49の下端の厚さと同一にして、長辺103の下端から(1/10〜2/3)Hの距離に相当する範囲に形成される移動部下側補強皮膜104の厚みを、長辺85、86の移動部下側補強皮膜38、39の下端の厚みTS2と同一厚さとしていることが特徴となっている。なお、移動部下側下地領域105において、移動部下側下地領域105の下端から(1/10〜2/3)Hの距離を超える範囲の厚さは、移動部下側下地領域48、49の下端から(1/10〜2/3)Hの距離を超える範囲の厚さと同一である。
図19(B)に、第の実施の形態に係る連続鋳造鋳型84の第2の変形例に係る長辺106の断面図を示す。長辺106は、長辺85、86と比較して、長辺106の短辺移動領域の下側に設けられる移動部下側補強皮膜107が形成される移動部下側下地領域108(長辺106の高さをHとした場合、長辺106の下端から(1/3〜4/5)Hの距離に相当する範囲の厚みが中央部下側補強皮膜40の厚みより厚くなっている)において、移動部下側下地領域108の下端から(1/10〜2/3)Hの距離に相当する範囲の厚さを、移動部下側下地領域48、49の下端の厚さと同一にして、長辺106の下端から(1/10〜2/3)Hの距離に相当する範囲に形成される移動部下側補強皮膜107の厚みを、長辺85、86の移動部下側補強皮膜38、39の下端の厚みTS2と同一厚さとしていることが特徴となっている。なお、移動部下側下地領域108において、移動部下側下地領域108の下端から(1/10〜2/3)Hの距離を超え(1/3〜4/5)H以下の範囲の厚さは徐々に増加して、移動部下側下地領域48、49の下端から(1/3〜4/5)Hの距離における厚さに一致する。
なお、本発明の第4の実施の形態に係る連続鋳造鋳型84の作用は、第1の実施の形態に係る連続鋳造鋳型10の作用と同様なので、詳細な説明は省略する。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、長辺の内側に形成されたマルチテーパは、前記した例に限定されず、傾斜角度の異なる複数の面が連続して形成されるものであれば本発明に適用可能である。
更に、本実施の形態とその他の実施の形態や変形例にそれぞれ含まれる構成要素を組合わせたものも、本発明に含まれる。例えば、本実施の形態では、移動部補強皮膜の材質と中央部補強皮膜の材質は同一とした、移動部補強皮膜と中央部補強皮膜はそれぞれ異なる材質とすることができる。更に、移動部補強皮膜と中央部補強皮膜の一方を硬質めっき、他方を溶射皮膜とすることもできる。
10:連続鋳造鋳型、11:空間部、12、13:長辺、14、15:短辺、16:溶鋼、17:補強皮膜、18、19:移動部補強皮膜、20:中央部補強皮膜、21、21a:膨出部、22:長辺母材、23:短辺母材、24:補強皮膜、25、26:移動部下地領域、27:中央部下地領域、28:連続鋳造鋳型、29、30:長辺、31、32:短辺、33:空間部、34:溶鋼、35:補強皮膜、36:下側補強皮膜、37:上側補強皮膜、38、39:移動部下側補強皮膜、40:中央部下側補強皮膜、41:移動部上側補強皮膜、42:移動部上側補強皮膜、43:中央部上側補強皮膜、44:長辺母材、45:上側下地領域、46:上側下地表面輪郭線、47:上側表面輪郭線、48、49:移動部下側下地領域、50:移動部下側下地表面輪郭線、51:下側表面輪郭線、52:中央部下側下地領域、52a:中央部下側下地表面輪郭線、53:長辺、54:移動部下側補強皮膜、55:移動部下側下地領域、56:長辺、57:移動部下側補強皮膜、58:移動部下側下地領域、59:連続鋳造鋳型、60、61:長辺、62、63:短辺、64:空間部、65:溶鋼、66:補強皮膜、67:上側補強皮膜、68:長辺母材、69:移動部上側補強皮膜、70:移動部上側補強皮膜、71:中央部上側補強皮膜、72:母材露出面、73:突出部、74、75:移動部上側下地領域、76:移動部上側下地表面輪郭線、77:中央部上側下地領域、78:長辺、79:移動部下側補強皮膜、80:移動部下側下地領域、81:長辺、82:移動部下側補強皮膜、83:移動部下側下地領域、84:連続鋳造鋳型、85、86:長辺、87、88:短辺、89:空間部、90:溶鋼、91:補強皮膜、92:上側補強皮膜、93:長辺母材、94:移動部上側補強皮膜、95:移動部上側補強皮膜、96:中央部上側補強皮膜、97:母材露出面、98:突出部、99、100:移動部上側下地領域、101:移動部上側下地表面輪郭線、102:中央部上側下地領域、103:長辺、104:移動部下側補強皮膜、105:移動部下側下地領域、106:長辺、107:移動部下側補強皮膜、108:移動部下側下地領域

Claims (6)

  1. 対向配置される長辺と、該長辺の間に横移動可能に対向配置される短辺とを有し、対向する前記長辺の内幅が鋳片の引き抜かれる下方へ向けて狭まるマルチテーパが前記長辺の内側に形成され、かつ前記長辺の内側全面には耐磨耗性の補強皮膜が形成された連続鋳造鋳型において、
    前記長辺の下側に形成された前記補強皮膜の厚みを、前記長辺の上側に形成された前記補強皮膜の厚みより厚くすると共に、
    前記長辺に前記短辺が当接する短辺移動領域の下側に形成された前記補強皮膜の厚みを、前記長辺の高さをHとして、前記補強皮膜の下端から(1/3〜4/5)Hの距離に相当する範囲で、前記長辺の中央領域の下側に形成された前記補強皮膜の厚みより厚くしたことを特徴とする連続鋳造鋳型。
  2. 請求項記載の連続鋳造鋳型において、前記補強皮膜は硬質めっきからなることを特徴とする連続鋳造鋳型。
  3. 請求項記載の連続鋳造鋳型において、前記硬質めっきはNiめっき、Ni系合金めっき、又はCo−Ni系合金めっきのいずれか1であることを特徴とする連続鋳造鋳型。
  4. 請求項記載の連続鋳造鋳型において、前記補強皮膜は溶射皮膜からなることを特徴とする連続鋳造鋳型。
  5. 請求項記載の連続鋳造鋳型において、前記溶射皮膜はNi又はCoをベースとしたCr−Si−B系の合金からなることを特徴とする連続鋳造鋳型。
  6. 請求項記載の連続鋳造鋳型において、前記溶射皮膜はCo、Ni、又はCo−Ni系の合金に、炭化物、窒化物、及び硼化物のいずれか1又は2以上を添加したことを特徴とする連続鋳造鋳型。
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