JP5638147B2 - 成膜方法及び成膜装置 - Google Patents
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Description
また以下に示す工程を経ることによって、機能性薄膜の一例としての防汚膜を成膜する技術が知られている(特許文献1)。その方法は、まず基板ホルダの基板保持面の全体に亘って処理対象である複数の基板を保持させた後、該基板ホルダを真空チャンバ内で回転させる。次にこの回転を維持した状態で、複数の基板のすべてにイオンを連続して照射(イオンの全面照射)した後、イオン照射によって表面凹凸が形成された基板のすべてに、防汚膜の形成原料からなる成膜材料を蒸発させて付着させる(成膜材料の全面供給)。以上の工程により、複数の基板すべての凹凸形成面に防汚膜を堆積させる方法である。この手法によれば、実用に耐えうる耐摩耗性を備えた防汚膜を成膜することができるが(特許文献1の段落0029)、近年、防汚膜に対する耐摩耗性のさらなる向上が望まれている。
回転している基体保持手段の基体保持面に保持されるすべての基体の一部にあたる複数の基体からなる特定の基体群(例えばA3に属する基体群)に対して、該基体群以外の他の基体群に対するよりも多い量の、前記薄膜の成膜材料を付着させる成膜手段を用い、
複数の基体を前記基体保持面に保持させた状態で前記基体保持手段を回転させながら前記成膜手段を継続して作動させることにより、移動しているすべての或いは一部の各基体に対する前記成膜材料の付着量を時間とともに変化させながら、移動しているすべての基体に成膜材料を付着させ、前記成膜材料からなる前記薄膜を堆積させることを特徴とした成膜方法が提供される。
回転している基体保持手段の基体保持面に保持されるすべての基体の一部にあたる複数の基体からなる特定の基体群(例えばA3に属する基体群)に対して、該基体群以外の他の基体群に対するよりも多い量の、前記薄膜の成膜材料を付着させる成膜手段と、
回転している基体保持手段の基体保持面に保持されるすべての基体の一部にあたる複数の基体からなる特定の基体群(例えばA2に属する基体群)のみにエネルギー粒子を照射させる照射手段とを用い、
複数の基体を前記基体保持面に保持させた状態で前記基体保持手段を回転させながら前記成膜手段と前記照射手段を継続して作動させることにより、移動しているすべての或いは一部の各基体に対する前記成膜材料の付着量を時間とともに変化させながら、移動しているすべての基体に成膜材料を付着させ、かつすべての或いは一部の各基体に対して、一時的に、前記エネルギー粒子が照射されない時間を確保しながら、移動している基体に付着した成膜材料にエネルギー粒子を照射させ、前記成膜材料からなり、アシスト効果が与えられた前記薄膜を堆積させることを特徴とした成膜方法が提供される。
(1)薄膜堆積時にアシスト効果を与えるための、成膜手段の作動とともに作動させる成膜アシスト手段、
(2)成膜対象である各基体の表面をクリーニングするための、成膜手段の作動開始前に作動させるクリーニング手段。
回転している基体保持手段の基体保持面に保持されるすべての基体の一部にあたる複数の基体からなる特定の基体群(例えばA3に属する基体群)に対して、該基体群以外の他の基体群に対するよりも多い量の成膜材料を付着させることが可能となる構成で前記真空容器内に設置された成膜手段と、
回転している基体保持手段の基体保持面に保持されるすべての基体の一部にあたる複数の基体からなる特定の基体群(例えばA2に属する基体群)のみにエネルギー粒子を照射させることが可能となる構成、配置及び/又は向きで前記真空容器内に設置された照射手段とを有する成膜装置が提供される。
本発明によれば、移動しているすべての或いは一部の各基体に対して成膜材料が時間的にパルス状に高密度で供給される。このパルス状に密度の高い成膜材料の供給により、各基体表面のエネルギー状態の活性化が促進される。この後、多粒子間の相互作用を通して各基体の表面は熱平衡状態へと到達する(thermalization)確率が高くなる。これにより、回転している基体保持手段の基体保持面に保持されるすべての基体に多い量の成膜材料を付着(成膜材料の全面供給)させる従来手法と比較して、基体とその上に堆積する薄膜との間での結合力をより高めることができ、その結果、複数の基体のすべてに諸性能(機能性薄膜における耐摩耗性、光学薄膜における光学特性)に優れた薄膜を形成することができる。
この態様によれば、上記成膜材料の部分供給による効果に加え、移動しているすべての或いは一部の各基体に対してエネルギー粒子が時間的にパルス状に高密度で照射される。成膜材料の部分供給とともに、このパルス状に密度の高いエネルギー粒子を照射することにより、各基体表面のエネルギー状態の活性化促進に加え、各基体表面に堆積する成膜粒子のエネルギー状態の活性化も促進され、各基体の表面に堆積した成膜粒子が熱平衡状態へと到達する確率がより一層高くなる。その結果、複数の基体のすべてに、諸性能(前出)に優れた薄膜を形成することがより一層容易になることが期待できる。
また本発明において「パルス状」とは次の意味で用いる。すなわち、成膜手段が作動している間は常に基体保持手段に向けて成膜材料が供給されてはいるが、移動している複数の各基体の一部(例えば「基準基体X」とする)に着目した場合、継続して供給される成膜材料は、その付着量が時間とともに変化し、ある時間は基準基体Xに対して多く付着し、その後のある時間は基準基体Xに対して少ない量しか付着されない。照射手段が作動している間は常に基体保持手段に向けてエネルギー粒子が照射されてはいるが、移動している複数の各基体の一部(基準基体Y。このYは上記Xと同一であるか否かは問わない)に着目した場合、継続して照射されるエネルギー粒子は、ある時間だけ基準基体Yに照射され、その後のある時間は基準基体Yに照射されない。つまり基準基体Yに対してエネルギー粒子が照射されない時間帯が存在する。
<<第1実施形態>>
図1に示すように、本例の成膜装置1は、縦置き円筒状の真空容器10を含む。
図2及び図6に示すように、イオンビームの照射領域である第2領域(A2)と成膜材料の供給領域である第1領域(A3)とは別配置でもよいし、あるいは同一配置とすることもできる。また図2及び図6に示すように、第2領域(A2)と第1領域(A3)とは、一方が他方の一部又は全部と重複する配置とすることもできる。
なお、第2領域(A2)と第1領域(A3)の配置例を、図10〜図23に示す。この中で、より好ましい配置は図11、図14の場合である。
次に、成膜装置1を用いた成膜方法の一例(光学薄膜の成膜方法)を説明する。
本例では、光学薄膜の一例として、光学フィルタ薄膜を成膜する場合を例示する。本例において成膜される光学フィルタ薄膜は、高屈折率物質と低屈折率物質とを交互に積層させて成摸しているが、一種類若しくは複数種類の蒸発物質(成膜材料)からなる光学フィルタの成膜に対しても本発明は適用でき、その場合、蒸着源34の数や配置を適宜変更可能である。
すなわち本例では、回転途中の各基板14の成膜面に対し、蒸着源34から成膜材料を飛散させる工程と、イオン源38から引き出される導入ガス(ここでは酸素)のイオンビームを照射する工程と、電子を照射する工程とが並行して行われる(成膜処理)。
すなわち、基板ホルダ12の回転に伴って移動するすべての基板14に対し、蒸着源34から成膜材料の蒸発物を所定時間(T3。後述)の間、パルス状に放出して成膜処理を行う(成膜材料の部分供給)。さらに本例では、こうした成膜材料の部分供給は、斜めからの部分照射によるイオンビームの成膜アシストを伴う。以上が本例の特徴である。
イオン源38へ導入するガス種としては、少なくとも酸素を含んでいればよい。場合によってはさらにアルゴンを含んだ、アルゴンと酸素との混合ガスとする。上記ガス種の導入量(混合ガスである場合には合計導入量)は、例えば1sccm以上、好ましくは5sccm以上、より好ましくは20sccm以上であり、かつ例えば100sccm以下、好ましくは70sccm以下、より好ましくは50sccm以下である。「sccm」とは、「standard cubic centimeter/minutes」の略で、0℃、101.3kPa(1気圧)における1分間あたりに流れるガスの体積を示す。
イオンの照射電流(I)は、例えば50mA以上、好ましくは100mA以上、より好ましくは200mA以上、さらに好ましくは300mA以上であって、例えば1000mA以下、好ましくは800mA以下、より好ましくは600mA以下である。
またこれに加え、基板ホルダ12の回転に伴って、前記基準基板が、A2領域に入ってから出ていくまでの時間を「t5」とし、A2領域を出てから次にA2領域に入る直前までの時間を「t6」としたとき、t5<t6となるように、A2領域の大きさ、配置、及び/又は、基板ホルダ12の回転速度を決定することが好ましい。t5<t6、つまり基準基板に対し、照射されている時間がイオン照射されていない時間よりも短くなるように、A2領域の大きさ等を設定することで、より効率的で適切なイオン照射による成膜アシストが可能となる。
ちなみに、t3とt4の合計(t3+t4)及びt5とt6の合計(t5+t6)は、基板ホルダ12が一回転する時間であり、本例では、好ましくは0.6秒〜20秒程度に設定される。つまり基板ホルダ12の回転速度は3〜100rpm程度に設定される。好ましくは5〜60rpm、より好ましくは10〜40rpmで基板ホルダ12を回転させることもできる。
ニュートラライザ40へ導入するガス種としては、例えばアルゴンである。上記ガス種の導入量は、例えば10〜100sccm、好ましくは30〜50sccmである。電子の加速電圧は、例えば20〜80V、好ましくは30〜70Vである。電子電流は、イオン電流以上の電流が供給されるような電流であればよい。
なお、多い量の成膜材料が付着する成膜材料の付着領域A3は、基板ホルダ12の下面全域A1よりも小さい(A3<A1)。イオンビームの照射領域A2は、基板ホルダ12の下面全域A1よりも小さい(A2<A1)。
パルス状に密度の高い成膜材料の供給により、各基板14の表面のエネルギー状態の活性化が促進される。この後、多粒子間の相互作用を通して各基板14の表面は熱平衡状態へと到達する確率が高くなる。これにより、回転している基体保持手段の基体保持面の全体に亘り保持されるすべての基体に多い量の成膜材料を付着(成膜材料の全面供給)させる従来手法と比較して、基板14とその上に堆積する薄膜との間での結合力をより高めることができ、その結果、複数の基板14のすべてに諸性能(本例では、光学薄膜における光学特性)に優れた薄膜を形成することができる。
これに加え、パルス状に密度の高いイオンビームの同時照射により、上述した各基板14の表面のエネルギー状態の活性化促進に加え、各基板14の表面に堆積する成膜粒子のエネルギー状態の活性化も促進される。これにより、各基板14の表面に堆積した成膜粒子が熱平衡状態へと到達する確率がより一層高くなる。その結果、複数の基板14のすべてに、諸性能(前出)により一層優れた薄膜を形成することができる。
安定サイトに静止した蒸着分子に対してその後再びイオンが照射されても、静止した蒸着分子が安定サイトから動き出すことはなく、結果として緻密で良質な薄膜が得られることになるものと考えられる。すなわち、薄膜が緻密になり、且つ、組成的な均一性が向上すると共に、薄膜組織の歪みの低減を図ることができる。こうして、成膜された組織が良好な均一性を有することで、屈折率の変動が少なく、光の吸収係数が一定以下で安定する光学フィルタを得ることができる。
次に、成膜装置1を用いた成膜方法の他の例(機能性薄膜の成膜方法)を説明する。
本例では、機能性薄膜の一例として、有機物で構成される防汚膜を成膜する場合を例示する。なお、防汚膜は、撥水性、撥油性を有する膜であり、油汚れの付着を防止する機能を有する。ここで、「油汚れの付着を防止する」とは、単に油汚れが付着しないだけでなく、たとえ付着しても簡単に拭き取れることを意味する。すなわち、防汚膜は撥油性を維持する。
多孔質セラミック又は金属繊維又は細線の塊に疎水性反応性有機化合物を含浸させる場合、まず疎水性反応性有機化合物の有機溶媒溶液を作製し、浸漬法、滴下法、スプレー法等により溶液を多孔質セラミック又は金属繊維又は細線に含浸させた後、有機溶媒を揮発させる。疎水性反応性有機化合物は反応性基(加水分解性基)を有するので、不活性有機溶媒を使用するのが好ましい。
すなわち本例では、回転途中の各基板14の成膜面に対し、蒸着源34から成膜材料を例えば3〜20分(T3)の間、飛散させ、成膜処理を行う(成膜材料の部分供給)。その結果、個々の基板14表面には防汚膜が、所定厚み(例えば1〜50nm)で形成される。
パルス状に密度の高い成膜材料の供給により、各基板14の表面のエネルギー状態の活性化が促進される。この後、多粒子間の相互作用を通して各基板14の表面は熱平衡状態へと到達する確率が高くなる。これにより、回転している基体保持手段の基体保持面の全体に亘り保持されるすべての基体に多い量の成膜材料を付着(成膜材料の全面供給)させる従来手法と比較して、基板14とその上に堆積する薄膜との間での結合力をより高めることができる。その結果、複数の基板14のすべてに諸性能(本例では、機能性薄膜としての防汚膜の耐摩耗性など)に優れた薄膜を形成することができる。
なお、上述した第2実施形態や第3実施形態では、成膜材料の部分供給に先立ち、コントローラ52を介して、イオン源38の照射電力(パワー)をアイドル状態から所定の照射電力に増大させてシャッタ38aを開き、回転途中の個々の基板14に対してイオンビームを照射してもよい(成膜開始前の、イオンビームの部分照射による基板14表面のクリーニング)。このとき、ニュートラライザ40の作動も開始させる。
ただし、イオンの加速電圧(V)は、例えば50V以上、好ましくは500V以上、より好ましくは700V以上であって、例えば1500V以下、好ましくは1300V以下、より好ましくは1200V以下とする。イオンの照射電流(I)は、例えば50mA以上、好ましくは200mA以上、より好ましくは400mA以上であって、例えば1500mA以下、好ましくは1300mA以下、より好ましくは1200mA以下とする。
ニュートラライザ40の作動条件は、第2実施形態の成膜アシスト(前出)における場合と同じ条件で行ってもよいし、異なる条件で行うこともできる。
各例では、図1に示す成膜装置1(蒸着源34をオフセット。ドーム径D1、高さD2、オフセットD3、角度θ1の設計値は表1参照)を準備し、下記条件で成膜して防汚膜サンプルを得た。なお、基板としてBK7(屈折率n=1.52)を用い、基板ホルダの回転速度(RS)を30rpmとした。
・成膜材料:キャノンオプトロン社製の撥油剤(商品名:OF−SR、成分名:含フッ素有機珪素化合物)。
・T3:500秒(実験例1〜5)。
・T4:100秒(実験例1,実験例1−1)、80秒(実験例2)、290秒(実験例3)、230秒(実験例4)、360秒(実験例5)。
図8に示すように、測定位置によって各測定点での成膜レートが変動していることが理解できる。これは、基板ホルダ12が回転することによって各軌跡上を移動する各測定点について、測定位置によって蒸発物が付着したり付着しなかったりしていることを意味している。各測定点ごとにレート最大値を示す位置(例えば測定点Cでは90°の位置)に、図6の領域A3に相当する蒸着物付着エリアの中心付近が存在する。
・導入ガス種及び導入量:O2を50sccm。
・イオン加速電圧:1000V。
・照射イオン電流:500mA。
・T1:300秒、T2:110秒。
・基板ホルダの中心から560mmオフセットした位置に保持される基板を基準基板としたとき、その基準基板に対する、基板クリーニング時のイオン照射の割合:35%。
・導入ガス種及び導入量:Arを10sccm、
・電子電流:1A。
本例では、図25に示す成膜装置1a(蒸着源34による成膜材料の供給領域とイオン源(図示省略。ニュートラライザも同様に省略)によるイオンビームの照射領域が基板ホルダ12の基板セット面の全域である従来の成膜装置。D1〜D3及びθ1の各設計値は表1参照)を準備した。この成膜装置1aを用いて、実験例1〜5と同一条件で成膜して防汚膜サンプルを得た。なお、本例で用いた成膜装置1aにおいて、成膜材料の供給領域(A3)を基板ホルダ12に対する位置関係で示した様子を図26に示す。
・T3:500秒、T4:500秒。
各例では、実験例1と同一の成膜装置を準備し、下記条件で、光学フィルタ薄膜サンプルを作製した。光学フィルタ薄膜サンプルは、高屈折率膜と低屈折率膜との27層からなる短波長透過フィルタ(Short Wave Pass Filter : SWPF)の多層膜である。基板としてBK7(屈折率n=1.52)を用い、基板ホルダの回転速度(RS)を30rpmとした。
・Ta2O5の成膜速度:0.5nm/秒。
・Ta2O5蒸発物の、T3:2260秒、T4:1620秒。
・SiO2の成膜速度:1.0nm/秒。
・SiO2蒸発物の、T3:1500秒、T4:1075秒。
・導入ガス種及び導入量:O2を50sccm。
・イオン加速電圧:300V。
・照射イオン電流:500mA。
・Ta2O5成膜時の、T5:2260秒、T6:750秒。
・SiO2成膜時の、T5:1500秒、T6:500秒。
・導入ガス種及び導入量:Arを10sccm、
・電子電流:1A。
・導入ガス種及び導入量:O2を50sccm。
・イオン加速電圧:300V。
・照射イオン電流:500mA。
・T1:300秒、T2:100秒。
・基板ホルダの中心から560mmオフセットした位置に保持される基板を基準基板としたとき、その基準基板に対するイオン照射の割合:35%。
・導入ガス種及び導入量:Arを10sccm、
・電子電流:1A。
本例では、実験例6と同様、図25に示す成膜装置1aを準備した。この成膜装置1aを用いて、実験例7と同一条件で成膜して光学フィルタ薄膜サンプルを得た。
・Ta2O5蒸発物の、T3:2260秒、T4:2260秒。
・Ta2O5成膜時の、T5:2260秒、T6:2260秒。
・SiO2蒸発物の、T3:1500秒、T4:1500秒。
・SiO2成膜時の、T5:1500秒、T6:1500秒。
実験例1〜6で得られた防汚膜サンプルの最大擦傷往復回数を測定することによって該サンプルの耐摩耗性を評価した。具体的には、各例の防汚膜サンプルの表面に、1cm2のスチールウール#0000を載せ、1kg/cm2の荷重をかけた状態で、50mmの直線上を1往復1秒の速さで擦傷試験を行った。この擦傷試験の往復100回毎に、試験面(防汚膜面)に、油性マジックペン(有機溶媒型マーカー、商品名:マッキー極細、セブラ社製)で線を描き、この有機溶媒型インクによる線を乾燥布で拭き取れる最大擦傷往復回数を測定した。
なお、成膜材料の部分供給に先立ち、イオンビームの部分照射によって基板表面をクリーニングして形成した実験例1−1サンプルの最大擦傷往復回数は3500回であり、実験例1及び実験例2〜5と比較してさらに耐摩耗性が優れていることが確認できた。
実験例1〜6で得られた防汚膜サンプルの水接触角を測定することによって該サンプルの耐摩耗性を評価した。具体的には、各例の防汚膜サンプルの表面に、1cm2のスチールウール#0000を載せ、1kg/cm2の荷重をかけた状態で、50mmの直線上を1往復1秒の速さで2000回、擦傷を行った後、JIS−R3257のぬれ性試験に準拠した方法で、防汚膜上の水に対する接触角を測定した。より具体的には、試験台に防汚膜サンプルを載置し、擦傷後の防汚膜側に蒸留水を滴下し、静置した状態で水滴の接触角を市販の測定機(DM500、協和界面科学社製)を用いて測定した。
なお、実験例1−1サンプルの水接触角は103度であり、実験例1及び実験例2〜5と比較してさらに耐摩耗性が優れていることが確認できた。
実験例7,7−1,8で得られた光学フィルタ薄膜サンプルの透過分光特性(透過率T)と反射分光特性(反射率R)を測定し、その和(R+T)をグラフ化し、特に波長域450〜550nmでの(R+T)値の平均値をプロット化することによって該サンプルの分光特性を評価した。結果を図27に示す。
その結果、実験例7及び実験例7−1はいずれも、可視光領域の全般で吸収が確認されなかった。特に450nmから550nmの波長域での(R+T)値については、実験例7では99.5%以上であり、薄膜(多層膜)での吸収がほとんどなく、良好な光学特性を持つ薄膜であることが確認できた。実験例7−1では、実験例7の結果以上の99.8%の値が得られ、極めて良好な光学特性を持つ薄膜を形成できていることが確認できた。
これに対し、実験例8では、可視光領域の全般で一部、吸収が確認された。特に450nmから550nmの波長域での(R+T)値が99.1%であり、薄膜(多層膜)での吸収が少し見られ、実験例7及び実験例7−1と比較した場合に光学特性の劣化が確認できた。
Claims (5)
- 回転している基体保持手段の基体保持面に保持された複数の基体のすべてに光学薄膜を堆積させる成膜方法において、
基体保持手段の回転中心である鉛直軸が延びる鉛直方向に沿った基準線に対して、自身の中心と基体保持手段の外縁の最遠点とを結ぶ線の成す角度(θ1)が60度以上となるように配置され、回転している基体保持手段の基体保持面に保持されるすべての基体の一部にあたる複数の基体からなる特定の基体群に対して、該基体群以外の他の基体群に対するよりも多い量(ただし他の基体群に対する成膜材料の付着量がゼロの場合を除く)の、前記薄膜の成膜材料を付着させる成膜手段と、
回転している基体保持手段の基体保持面に保持されるすべての基体の一部にあたる複数の基体からなる特定の基体群のみにエネルギー粒子を照射させる照射手段とを用い、
前記成膜手段よりも上側に配置される前記基体保持面に複数の基体を保持させた状態で前記基体保持手段を回転させながら前記成膜手段と前記照射手段を継続して作動させることにより、
移動しているすべての基体の少なくとも一部に対する成膜材料の時間あたりの付着量の最大値と最小値の比(最大値/最小値)が5超となるように、移動しているすべての或いは一部の各基体に対する成膜材料の付着量を時間とともに変化させながら、移動しているすべての基体に成膜材料を付着させ、かつ移動しているすべての或いは一部の各基体に対して、一時的に、前記エネルギー粒子が照射されない時間を確保しながら、移動している基体に付着した成膜材料にエネルギー粒子を照射させ、前記成膜材料からなり、アシスト効果が与えられた前記薄膜を複数の基体のすべてに堆積させることを特徴とする成膜方法。 - 請求項1記載の成膜方法において、前記成膜手段により前記他の基体群に対するよりも多い量の成膜材料が付着する前記特定の基体群と、前記照射手段によりエネルギー粒子が照射される前記特定の基体群とが重複することがないように、前記成膜材料の付着及び前記エネルギー粒子の照射を行うことを特徴とする成膜方法。
- 請求項1記載の成膜方法において、前記照射手段によりエネルギー粒子が照射される前記特定の基体群が、前記成膜手段により前記他の基体群に対するよりも多い量の成膜材料が付着する前記特定の基体群の少なくとも一部と重複するように、前記成膜材料の付着及び前記エネルギー粒子の照射を行うことを特徴とする成膜方法。
- 回転している基体保持手段の基体保持面に保持された複数の板状基体のすべてに機能性薄膜を堆積させる成膜方法において、
基体保持手段の回転中心である鉛直軸が延びる鉛直方向に沿った基準線に対して、自身の中心と基体保持手段の外縁の最遠点とを結ぶ線の成す角度(θ1)が60度以上となるように配置され、回転している基体保持手段の基体保持面に保持されるすべての基体の一部にあたる複数の基体からなる特定の基体群に対して、該基体群以外の他の基体群に対するよりも多い量(ただし他の基体群に対する成膜材料の付着量がゼロの場合を除く)の、前記薄膜の成膜材料を付着させる成膜手段を用い、
前記成膜手段よりも上側に配置される前記基体保持面に複数の基体を保持させた状態で前記基体保持手段を回転させながら前記成膜手段を継続して作動させることにより、
移動しているすべての基体の少なくとも一部に対する成膜材料の時間あたりの付着量の最大値と最小値の比(最大値/最小値)が5超となるように、移動しているすべての或いは一部の各基体に対する成膜材料の付着量を時間とともに変化させながら、移動しているすべての基体に成膜材料を付着させ、前記成膜材料からなる前記薄膜を複数の基体のすべてに堆積させることを特徴とする成膜方法。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の成膜方法において、基体保持手段の回転速度が3〜100rpmであることを特徴とする成膜方法。
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- 2012-09-26 JP JP2013536339A patent/JP5638147B2/ja active Active
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Title |
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