以下、本発明に係るロールショップ管理システムを実施するための最良の形態について、図面を用いて具体的に説明する。
[ロールショップPの全体構造]
まず、図1を参照して本実施形態に係るロールショップPの全体構造について説明する。図1は、本実施形態に係るロールショップPの全体構造を概略的に示す平面図である。図4は、複数のロール100を搭載したパレット200の斜視図である。
ロールショップPは、難圧延鋼種(例えばステンレス鋼帯)の冷間圧延を行なうZM圧延機2に付設されている。ZM圧延機2では図4に示すような複数のロール100が使用される。圧延に使用されたロール100のロール表面は磨耗するため、磨耗した旧ロール100のロール表面に加工(研磨及び/又はダル加工)を施した新ロール100に交換する必要がある。ロールショップPには、ZM圧延機2にて使用される多数のロール100が導入されており、一連のロールショップ作業(例えば、ロール搬送、ロール研磨、ダル加工、冷間圧延等)を円滑に実行できるように、ロールショップ作業に必要な作業領域や設備機器などが適宜設けられている。
具体的には、図1に示すようにロールショップ作業に必要な作業領域には、ロール100をロールショップPに導入するための場外エリア20、ロール100を研磨するための研磨エリア30、ロール100をダル加工するためのダルエリア40、ロール100の搬送を中継する入出庫エリア50及びZM圧延機2に対してロール100の供給及び回収を行うための圧延エリア60が含まれる。ロールショップPの略中央部には、ロール100を保管するとともに、場外エリア20、研磨エリア30、ダルエリア40及び入出庫エリア50に対してロール100を入出庫するための自動倉庫70が設置されている。更に、入出庫エリア50と圧延エリア60との間でロール100を搬送するメイントラバーサ90が設置されている。
[ZM圧延機2で使用されるロール100の種別]
ロールショップPは、ZM圧延機2に付設して設けられたロールショップ作業を行うための領域であるが、本実施形態では説明の便宜のため、ZM圧延機2が圧延エリア60内に配置されているものとして説明する。ZM圧延機2は、複数のロール100をクラスタ状に多段配置したゼンジミアミルである。ZM圧延機2を使用して本実施形態の被加工物であるステンレス鋼帯の冷間圧延が行なわれる。
図3を参照して、ZM圧延機2の内部構造について説明する。図3は、ZM圧延機2の内部構造を模式的に示した正面断面図である。図3に示すように、ZM圧延機2の内部には、ステンレス鋼帯(ストリップ)の搬送ラインを挟んで対向するように、径の異なる複数種の鉄製ロール100がクラスタ状に多段配置されている。圧延機上部2aで1セットをなすロール群と、圧延機下部2bで1セットをなすロール群とは、それぞれストリップの搬送ラインを中心に対称となるように配置されている。各ロール群は、それぞれワークロール100a、ファーストロール100b、セカンドロール100c及びバッキングロール100dの組み合わせで構成されている。なお、本実施形態では、ワークロール100a、ファーストロール100b、セカンドロール100c及びバッキングロール100dを区別しないで説明するときは、単にロール100と表記する。
ワークロール100aは、ストリップに直接当接して外圧を付与する。ワークロール100aは、本ロールショップ管理システムにおける管理対象の中心となるロール種別である。本実施形態では、ワークロール100aは、2本セットでZM圧延機2に組み込まれ、圧延機上部2a及び圧延機下部2bにそれぞれ1本ずつ配置される。2本のワークロール100aは、ストリップの搬送ラインをはさむように搬送ラインに近接して配置される。ロールショップPでは、総計1000本のワークロール100aが導入及び管理されている。ワークロール100aのロール長は、1615mmである。ワークロール100aのロール径は、全てのロール種のなかで最も小径の82mmである。
ファーストロール100bは、ワークロール100aに対してストリップ側に向けた外圧を付与するための中間ロールである。本実施形態では、ファーストロール100bは、4本セットでZM圧延機2に組み込まれている。圧延機上部2a及び圧延機下部2bには、各2本のファーストロール100bが、ストリップの搬送ラインに沿って順に配置されている。ワークロール100aは、2本のファーストロール100bとストリップの搬送ラインとの間に配置されている。
セカンドロール100cは、ファーストロール100bに対してストリップ側に向けた外圧を付与するための中間ロールである。本実施形態では、セカンドロール100cは、6本セットでZM圧延機2に組み込まれている。圧延機上部2a及び圧延機下部2bでは、各3本のセカンドロール100cが、ストリップの搬送ライン方向に順に配置されている。2本のファーストロール100bは、3本のファーストロール100bとワークロール100aとの間に配置されている。圧延機上部2a及び圧延機下部2bに配置される各3本のセカンドロール100cのうちで、両側2本がモータ(図示外)によって回転制御されるドライブロールであり、中央1本がZM圧延機2内でフリーランするアイドルロールである。
バッキングロール100dは、セカンドロール100cに対してストリップ側に向けた外圧を付与するためのロールである。本実施形態では、バッキングロール100dは、8本セットでZM圧延機2に組み込まれている。圧延機上部2a及び圧延機下部2bでは、各4本のバッキングロール100dが、ストリップの搬送ライン方向に順に配置されている。3本のセカンドロール100cは、4本のバッキングロール100dと2本のファーストロール100bの間に配置されている。バッキングロール100dは、全てのロール種別のなかでストリップ搬送ラインからみて最も離間した位置に配置されている。
ZM圧延機2に配置される複数のロール100は、ワークロール100a、ファーストロール100b、セカンドロール100c、バッキングロール100dの順でロール径が大きくなっている。つまり、圧延機上部2a及び圧延機下部2bに形成されるロール群は、ストリップの搬送ラインから離間するほど、より径の大きいロール100が種別ごとに並ぶように構成されている。各ロール群では、バッキングロール100dからの外圧が中間ロール(ファーストロール100b及びセカンドロール100c)を介してワークロール100aに加えられる。各ワークロール100aに加えられる圧力により、ストリップの搬送ラインを挟んで対向する一対のワークロール100aの間に高圧力が生じる。モータ(図示外)によりロール100が回転した状態でストリップがワークロール100a間の高圧力下を搬送されることにより、冷間圧延が行なわれる。
[ロール100、ロールタグ15、パレット200及びパレットタグ16]
ZM圧延機2で使用される各ロール100は、ロールショップP内に導入されてから廃却されるまでの間に各作業領域で様々な作業工程に用いられる。各ロール100を1本ずつロール単位で搬送及び保管等を行なうと、作業者の作業負担や管理負荷が大きくなる。そこで、ロールショップPでは、図4に示すように規定数のロール100が搭載されたパレット200を一単位として搬送及び保管等を行う。
図4から図6を参照してロール100及びパレット200について説明する。図5は、ロールエンドカバー110及びロール100の外観を説明するための模式的斜視図である。図6は、ロール100に対してロールエンドカバー110を取り付けた状態の側面断面図である。
ロール100は、図4に示すような略円柱形状の胴部101と、胴部101の軸方向両端に一体形成された図5に示すような略円柱形状の首部102と、胴部101と首部102とをつなぐ略円柱形状の連結部103とにより一体的に構成されている。胴部101は、ロール100ZM圧延機2で使用された場合にストリップ又は他のロール100に当接して圧延を行なう。図5に示すように、首部102の径は、胴部101よりも若干小さく、連結部103の径は首部102よりも若干小さい。首部102及び連結部103の軸方向の長さは、胴部101よりも十分に短い。
図4に示すようにロール100の両端には、ロールエンドカバー110をそれぞれ嵌着することができる。図6に示すように、ロールエンドカバー110は、ゴムにより略円筒形状に成型された本体部111を有する。なお、本体部111は、耐熱性を有する他の非導電性材料によって形成されていてもよい。本体部111の軸方向の一方の端面111aには、ロール100の首部102に対して嵌脱自在な凹状の嵌着部112が形成されている。嵌着部112の開口付近内面には、首部102からの脱落を防ぐための突起112aが配設されている。本体部111には、本体部111の他方の端面111bから嵌着部112内部に貫通した空気逃げ孔115が形成されている。空気逃げ孔115を通じて空気が移動できるため、首部102に嵌着部112を円滑に嵌脱できる。本体部111の他方の端面111bには、円形開口を持ち軸方向に凹設された保持部113が形成されている。保持部113は、他方の端面111bに近い第1の部位113aと、第1の部位113aより奥に配設され、第1の部位113aよりも径の小さな第2の部位113bとにより構成されている。第2の部位113bには、コイン型の無線タグであるロールタグ15が嵌め込まれている。第1の部位113aには、封止栓114が嵌め込まれている。封止栓114により、ロールタグ15が保持部113内から取れ落ちることが防止される。
ロールタグ15は、少なくとも各無線タグに固有のID情報(タグID)を記憶している。そして、ロール100にロールエンドカバー110が取り付けられると、当該ロールエンドカバー110が有するロールタグ15のタグIDが、当該ロール100を他のロール100と区別として一意に識別するための情報として機能する。つまり、ロール100にロールエンドカバー110を取り付けることで、ロール100とロールタグ15とのデータ上の関連付け(所謂、紐付け)を行うことが可能になる。なお、ロールエンドカバー110は、ロール100の両端の首部102にそれぞれ取り付けられるが、ロールタグ15は、いずれか一方のロールエンドカバー110にのみ収容されている。
ロールタグ15をロール100に取り付けことによりロール100に関する各種情報を効率的かつ正確に管理することができる。ロール100に付記された識別情報に基づいてロール100を識別する他に、無線タグに記憶された識別情報を使用してロール100を識別することにより、作業者による識別情報の読み取りが容易となる。更に、無線タグは取り付けられた方向に無関係に識別情報を読み取れるため、ロール100のように転がり易い形状を有する部材の識別が文字による識別に比べて容易となる。なお、ロールタグ15は、ロールエンドカバー110に搭載されてロール100に取り付けられるものであってもよいし、袋に入れて磁石でロール100の側面に取り付けるものであってもよい。ロールタグ15をロール100に取り付ける手段は、ロール100の種類によって異なっていてもよい。
図4に示すように、パレット200は、4本の四角柱状鉄筋が額縁状に連接された台座201を有している。台座201上部は、規定数のワークロール100aを並列に載置可能となっている。台座201には、パレット200の搬送時などにワークロール100aの落下を防止する複数のロールストッパ202を着脱可能である。台座201の側面位置には、無線通信によって書き込み及び/又は読み取り可能な非接触型の記憶媒体であるパレットタグ16が付設されている。
パレットタグ16は、カード型の外形を有する無線タグであって、少なくとも各無線タグに固有のID情報(タグID)を記憶しており、タグIDがパレット200を一意に識別するための情報として機能する。パレット200にパレットタグ16を取り付けることで、両者のデータ上の関連付け(所謂、紐付け)を行うことが可能になる。パレットタグ16をパレット200に取り付けことによりパレット200に関する各種情報を効率的かつ正確に管理することができる。
図4に示すように複数のロール100をパレット200に搭載する場合には、ロールタグ15が収容されたロールエンドカバー110がパレット200の一側面側(図4に示すDS面側)に位置するとともに、ロールタグ15が収容されていないロールエンドカバー110がパレット200の他側面側(図4に示すWS面側)に位置するように、作業者等が各ロール100をパレット200上に載置する。ロールタグ15をパレット200のDS面側に予め位置決めしておくことで、作業者がロールタグ15を読み取る際に混乱をきたすことがない。
パレットタグ16によるパレット200の管理に加えて、ロールタグ15によるロール100の管理を行うことにより、より詳細にロール100に関する情報を管理することができる。
一台のパレット200に搭載されるロール100の規定数はロール径に応じて異なっている。例えば、ワークロール100aの規定数は10本、ファーストロール100bの規定数は4本、セカンドロール100cの規定数は2本である。バッキングロール100dは、全てのロール種別のなかでも最もロール径が及びロール長が大きくロール交換頻度も少ないため、他種ロールとは異なりパレット200に搭載したり自動倉庫70で保管したりすることがない。
以下、ロール100が搭載されているパレット200を「実パレット」、ロール100が搭載されていないパレット200を「空パレット」、として表記上区別することがある。
[各作業領域及び自動倉庫70]
場外エリア20では、ロールショップ作業に用いられる各種部材(ここでは、ロール100やパレット200)の導入や廃却などが行なわれる。場外エリア20には、場外エリア20と自動倉庫70とを繋いでパレット200を搬送する搬送機器である場外入出庫台車21が設けられている。場外入出庫台車21は、場外エリア20から自動倉庫70に進入した位置(倉庫側)と、自動倉庫70から場外エリア20に退出した位置(荷捌き側)との間で移動する。場外入出庫台車21が荷捌き側に位置しているとき、作業者が天井クレーン(図示外)を手動操作することで、場外入出庫台車21に対するパレット200の荷積みや荷卸しが行なわれる。場外入出庫台車21が倉庫側に位置しているとき、場外入出庫台車21と自動倉庫70との間でパレット200の受け渡しが行なわれる。
場外エリア20には、場外入出庫台車21の荷捌き側に近接して定置式タグリーダ80が設置されている。定置式タグリーダ80は、無線タグからの情報を読み取る位置が固定された据置型読取装置である。場外エリア20に設置された定置式タグリーダ80は、場外入出庫台車21が荷捌き側に位置しているときに、場外入出庫台車21に搭載されたパレット200に付設されているパレットタグ16から無線通信によって自動的にタグIDを含む各種情報を読み取り可能に構成されている。パレットタグ16は、台座201の側面位置に設けられているため、定置式タグリーダ80により側方から容易にパレットタグ16を読み取ることができる。
研磨エリア30は、購入直後の新規ロール100や使用済みの旧ロール100などを研磨するための作業領域である。研磨エリア30には、ロール100の表面に対して研磨処理を施す第一研磨機31及び第二研磨機32が設置されている。第一研磨機31及び第二研磨機32は、それぞれ1サイクルの研磨作業につき1本のロール100に対してのみ研磨処理を施すことができる。第一研磨機31及び第二研磨機32に近接して、手動操作で昇降可能なクレーン装置(図示外)が各々設けられている。作業者がクレーン装置を操作することにより、第一研磨機31及び第二研磨機32に対してロール100を設置又は取り外すことができる。
研磨エリア30には、ロール100やパレット200が保留状態で仮置きされる仮置きスペース39が設けられている。更に、研磨エリア30には、研磨入出庫トラバーサ33、第一研磨コンベア34、第二研磨コンベア35、中央研磨コンベア36、研磨待リフタ37及び研磨済リフタ38、の各種搬送機器が配設されている。
研磨入出庫トラバーサ33は、研磨エリア30から自動倉庫70に進入した位置(倉庫側)と、自動倉庫70から研磨エリア30に退出した位置(研磨側)との間で、パレット200を搭載して移動する。研磨入出庫トラバーサ33は、パレット200を搭載して水平面内で旋回可能なターンテーブルで構成された搭載部を有している。研磨入出庫トラバーサ33は、研磨側に位置しているとき、研磨側に接続された第一研磨コンベア34、第二研磨コンベア35又は中央研磨コンベア36の方向に搭載部を適宜旋回させ、パレット200の受け渡しを行う。研磨入出庫トラバーサ33が倉庫側に位置しているときに、自動倉庫70との間でパレット200の受け渡しが行われる。
第一研磨コンベア34は、第一研磨機31側で研磨入出庫トラバーサ33とパレット200の受け渡しを行う。第二研磨コンベア35は、第二研磨機32側で研磨入出庫トラバーサ33とパレット200の受け渡しを行う。中央研磨コンベア36は、第一研磨機31と第二研磨機32との中間位置で研磨入出庫トラバーサ33とパレット200の受け渡しを行う。中央研磨コンベア36は、第一研磨機31と第二研磨機32との略中間位置に延設された搬送ラインを有している。中央研磨コンベア36の搬送ラインの終端側には、研磨入出庫トラバーサ33側から順に研磨待リフタ37及び研磨済リフタ38が配設されている。
研磨待リフタ37は、上段位置と下段位置との間でパレット200を昇降させる。研磨待リフタ37は、下段位置にて中央研磨コンベア36とパレット200の受け渡しを行う。作業者は、クレーン操作によって、上段位置の実パレット200から第一研磨機31及び第二研磨機32へロール100を移載することができる。
研磨済リフタ38は、上段位置と下段位置との間でパレット200を昇降させる。研磨済リフタ38は、下段位置にて研磨待リフタ37とパレット200の受け渡しを行う。作業者は、クレーン操作によって、第一研磨機31及び第二研磨機32から上段位置の空パレット200にロール100を移載することができる。
第一研磨機31、第二研磨機32、第一研磨コンベア34、第二研磨コンベア35のそれぞれに近接して定置式タグリーダ80がそれぞれ設置されている。第一研磨機31及び第二研磨機32に付設された定置式タグリーダ80は、ロールエンドカバー110を載置可能に構成されており、載置されたロールエンドカバー110に搭載されたロールタグ15から、無線通信により自動的にタグIDを読み取る。第一研磨コンベア34に付設された定置式タグリーダ80は、第一研磨コンベア34に搬送されたパレット200のパレットタグ16からタグIDを読み取る。第二研磨コンベア35に付設された定置式タグリーダ80は、第二研磨コンベア35に搬送されたパレット200のパレットタグ16からタグIDを読み取る。
ダルエリア40は、研磨済みのロール100にダル加工を施すための作業領域である。ダルエリア40には、研磨済ロール100の表面処理(ショットブラスト)を行なうダル加工機41が配設されている。ダル加工機41は、1回のダル作業につき1本のロール100に対してのみダル加工を施すことができる。
ダルエリア40には、更に、ダル供給台車42、ダル回収台車43及びダルロール移載機44の各種搬送機器が配設されている。ダル供給台車42及びダル回収台車43は、ダルエリア40と自動倉庫70との間をつないでおり、ダルエリア40から自動倉庫70に進入した位置(倉庫側)と、自動倉庫70からダルエリア40に退出した位置(ダル側)との間で、パレット200を搭載して移動する。ダル供給台車42及びダル回収台車43が、それぞれ倉庫側に位置しているとき、自動倉庫70との間でパレット200の受け渡しが行われる。ダルロール移載機44は、ロール100を一本ずつハンドリングして、旋回動作によって移動させるロボットアームである。ダルロール移載機44は、ダル側に位置しているダル供給台車42に搭載されたパレット200からダル加工機41にロール100を移載する。更に、ダルロール移載機44は、ダル加工機41からロール100をダル側に位置しているダル回収台車43に搭載されたパレット200に移載する。
自動倉庫70は、複数のパレット200(実パレット及び空パレット)を収容するとともに、各作業領域との間でパレット200を入出庫可能に構成されている。自動倉庫70の詳細を図1及び図2を参照して説明する。図2は、自動倉庫70を斜め上方からみた外観斜視図である。
図2に示すように、自動倉庫70は、第一倉庫列70a及び第二倉庫列70bとクレーン71により構成されている。第一倉庫列70a及び第二倉庫列70bは、それぞれ、壁状の枠状構造体であり、二列に並んで対向配置されている。第一倉庫列70a及び第二倉庫列70bは、それぞれ複数の収容棚(ステーションとも称する。)を長手方向(左右方向)及び短手方向(上下方向)に沿ってマトリクス状に配設することにより構成されている。第一倉庫列70a及び第二倉庫列70bのそれぞれにおいて、収容棚は、長手方向に15連並び、各連において短手方向(上下方向)に5段積み重ねられた構成をもつ。1台の収容棚には1台のパレット200を収容することができる。クレーン71は、第一倉庫列70a及び第二倉庫列70bの間隙を自動制御で移動可能なように構成されている。クレーン71は、任意の収容棚に隣接する位置まで移動自在であって、各収容棚に対して1パレット単位でパレット200を格納及び取出を行う。
本実施形態では、第一倉庫列70a及び第二倉庫列70bを、順に1列、2列と数える。第一倉庫列70a及び第二倉庫列70bのそれぞれにおいて、長手方向に沿って端から順に1連、2連、・・・、15連と数える。1連目の収容棚は、場外エリア20側に配設されている。15連目の収容棚は、入出庫エリア50側に配設されている。各連において、下段から上段に向けて1段、2段、・・・、5段と数える。各収容棚の位置(ロケーション)は、「列―連−段」の順で数字表記される。例えば、収容棚「1−7−5」は、1列目、7連目、5段目の収容棚を示す。
第一倉庫列70a及び第二倉庫列70bは、それぞれ、最大75箇所(自動倉庫70全体では最大150箇所)の収容棚を有する。収容棚には、パレット200を実際に保管可能な通常棚と、パレット200を保管不可能な禁止棚が含まれている。禁止棚は、他の搬送機器が進入してクレーン71との間でパレット200の受け渡しが行なわれる位置の収容棚である。具体的には、場外入出庫台車21が入退出する収容棚「2−1−1」、研磨入出庫トラバーサ33が入退出する収容棚「1−5−1」及び「1−5−2」、ダル供給台車42が入退出する収容棚「1−11−1」、ダル回収台車43が入退出する収容棚「1−12−1」、の5箇所が禁止棚である。通常棚は、最大145箇所となる。
図1に示すように、入出庫エリア50は、自動倉庫70の終端位置(15連目)に隣接して設けられた中継領域である。入出庫エリア50は、自動倉庫70から出庫されて圧延エリア60へ供給されるパレット200と、圧延エリア60から回収されて自動倉庫70に入庫されるパレット200とを中継する。入出庫エリア50には、搬送機器である出庫コンベア51及び入庫コンベア52が配設されている。出庫コンベア51は、自動倉庫70から荷受したパレット200をメイントラバーサ90まで片道搬送する。入庫コンベア52は、メイントラバーサ90から荷受したパレット200を自動倉庫70まで片道搬送する。
メイントラバーサ90は、入出庫エリア50と圧延エリア60とを繋いでいる。メイントラバーサ90は、パレット200を1つずつ搭載可能な2つのバッファ(供給部91及び回収部92)を有しているため、最大2つのパレット200を同時に搬送することができる。供給部91及び回収部92は、メイントラバーサ90の移動方向に沿って、並んで配置されている。供給部91は、回収部92よりも圧延エリア60に近くなるように配設されている。
図1に示す圧延エリア60では、被加工物の圧延作業が行われる。
圧延エリア60には、ZM圧延機2及びZM圧延機2で使用されるロール100を交換するための組替台車(チェンジャー)69が設けられている。作業者はチェンジャー69を使用して、ZM圧延機2に形成されたロール交換用開口部(図示外)を介してロール100を一本ずつ引抜き又は挿入することによりロール交換を行う。図24のオペレーションY5に示すように、チェンジャー69は、ロール保持台である供給側上段69a、供給側下段69b、回収側69c及び再利用部69dと、ロール搬送台である組込部69eとから構成される。再利用部69dは、使用済みの旧ロール100をZM圧延機2にて再利用するために仮置きするためのロール保持台である。組込部69eは、ZM圧延機2のロール交換用開口部に挿脱される方向(ZM圧延機2に対する前後方向)に移動可能なロール搬送台である。組込部69eは、各ロール保持台との間でロール100を受け渡し可能に連接されるとともに、ロール100を搭載して前進することで当該ロール100をZM圧延機2内に挿入し、ロール100を搭載して後進することで当該ロール100をZM圧延機2内から抜脱する。チェンジャー69には、ロール100の搭載位置を検出するとともに、検出した位置をZMプロコン4に送信する複数のセンサが設けられている。
圧延エリア60には、更に、チェンジャー69に新ロール100を供給するためのZM供給エリア61、及び、チェンジャー69から旧ロール100を回収するためのZM回収エリア62が作業領域として設けられている。
ZM供給エリア61には、実ストックコンベア63、2台の受渡リフタ64a、64b及びロール供給トラバーサ65の各種搬送機器が配設されている。
実ストックコンベア63の上段位置63a、下段位置63b及び中段位置63cは、1つずつパレット200を収容可能に構成されている。実ストックコンベア63は、上段位置63a、下段位置63b及び中段位置63cの各段において前方位置と後方位置との間でパレット200を前後方向に搬送する。
実ストックコンベア63の後方位置には、昇降可能な受渡リフタ64aがメイントラバーサ90に隣接して設けられている。受渡リフタ64aは、後方位置の実ストックコンベア63の各段とメイントラバーサ90の供給部91との間でパレット200の受け渡しを行う。
実ストックコンベア63の前方位置には、昇降可能な受渡リフタ64bがロール供給トラバーサ65に隣接して設けられている。受渡リフタ64bは、前方位置の実ストックコンベア63の各段と後進位置のロール供給トラバーサ65との間でパレット200の受け渡しを行う。
ロール供給トラバーサ65は、受渡リフタ64bに隣接する後進位置と、チェンジャー69に隣接する前進位置との間で、パレット200を搭載して移動する。ロール供給トラバーサ65は、上段位置65a及び下段位置65bにパレット200の収容部を有しており、最大で2つのパレット200を同時に搬送することができる。ロール供給トラバーサ65が前進位置にあるとき、作業者はロール供給トラバーサ65をチェンジャー69に連結することが可能となる。ロール供給トラバーサ65の上段位置65aは、チェンジャー69の供給側上段69aと連結される。ロール供給トラバーサ65の下段位置65bは、チェンジャー69の供給側下段69bと連結される。
ZM回収エリア62には、空ストックコンベア66、2台の受渡リフタ67a、67b及びロール回収トラバーサ68の各種搬送機器が配設されている。
空ストックコンベア66の上段位置66a、下段位置66b及び中段位置66cは、1つずつパレット200を収容可能に構成されている。空ストックコンベア66は、上段位置66a、下段位置66b及び中段位置66cの各段において前方位置と後方位置との間でパレット200を前後方向に搬送する。
空ストックコンベア66の後方位置には、昇降可能な受渡リフタ67aがメイントラバーサ90に隣接して設けられている。受渡リフタ67aは、後方位置の空ストックコンベア66の各段とメイントラバーサ90の回収部92との間でパレット200の受け渡しを行う。
空ストックコンベア66の前方位置には昇降可能な受渡リフタ67bがロール回収トラバーサ68に隣接して設けられている。受渡リフタ67bは、前方位置の空ストックコンベア66の各段と後進位置のロール回収トラバーサ68との間でパレット200の受け渡しを行う。
ロール回収トラバーサ68は、受渡リフタ67bに隣接する後進位置と、チェンジャー69に隣接する前進位置との間で、パレット200を搭載して移動する。ロール回収トラバーサ68は、1つのパレット200を収容可能な1段の収容部のみを有している。ロール回収トラバーサ68が前進位置にあるときに、作業者はロール回収トラバーサ68をチェンジャー69に連結することが可能となる。チェンジャー69の回収側69cは、ロール回収トラバーサ68と連結される。
作業者がロール供給トラバーサ65からチェンジャー69に新ロール100を移載する場合、ロール供給トラバーサ65とチェンジャー69が連結状態であることを要する。作業者がチェンジャー69からロール回収トラバーサ68に旧ロール100を移載する場合、ロール回収トラバーサ68及びチェンジャー69が連結状態であることを要する。
[ロールショップ管理システム1のシステム構成]
次に、図7を参照して、ロールショップPを管理するロールショップ管理システム1の全体構成について説明する。図7は、ロールショップ管理システム1の全体構成を概略的に示すシステム構成図である。
図7に示すように、ロールショップ管理システム1は、大容量ハードディスクを複数組み合わせた外部記憶装置(RAID;redundant arrays of inexpensive disks)300、ZMプロコン4、複数のPC(personal computer)5、第一研磨機31、第二研磨機32、ダル加工機41、ダルロール移載機44、クレーン制御盤78、周辺制御盤79、複数の定置式タグリーダ80、複数の無線HT(handy terminal)6及び測定器85などが、複数のHUB装置89、無線AP(access point)7、レシーバ87及びトランスミッタ86を介して管理サーバ3に有線通信又は無線通信で接続されたシステム構成をなす。
ロールショップ管理システム1は、ロールショップPに関する各種情報(ロール100やパレット200に関する情報を含む。)の管理機能に加えて、各ロール加工装置(第一研磨機31、第二研磨機32及びダル加工機41)への加工指示、圧延エリア60に対するロール100の供給及び回収、各搬送機器の動作制御などの機能を実現している。
管理サーバ3は、ロールショップ管理システム1の全体制御を司るメインサーバである。管理サーバ3は、CPU(central processing unit)、ROM(read only memory)、RAM(random access memory)、各種入出力装置などを有する。管理サーバ3は、有線通信又は無線通信で接続されている各種機器に指令及び各種情報を送信して動作制御を実行するとともに、有線通信又は無線通信で接続されている各種機器から各種情報を受信する。管理サーバ3は、受信した情報に基づいてロールショップPに関する各種情報の一元管理(具体的には、各種データの入出力、検索、設定等)している。ロールショップPに関する情報は、外部記憶装置300に管理データベース(DB;data base)として記憶されている。管理サーバ3は、外部記憶装置300に記憶された情報に基づいてロールショップ作業に関する各種処理を制御する。本実施形態では、管理サーバ3は、ロールショップPとは異なる場所(例えば、計算機室)に設置されて電気的及び物理的に保護されている。作業者は、管理サーバ3に近接して設けられた管理PC(図示外)により、管理サーバ3を直接操作する。
ZMプロコン4は、ZM圧延機2の動作制御を司るコントローラであり、圧延エリア60内でZM圧延機2に併設されている。ZMプロコン4は、管理サーバ3との間で各種情報を送受信する。例えば、ZMプロコン4は、圧延作業に際してZM圧延機2にて使用されるロール100に関する情報を管理サーバ3から受信する。更に、ZMプロコン4は、圧延作業が終了するとZM圧延機2で使用されたロール100に関する圧延データ(ロール圧延実績)を管理サーバ3に送信する。
複数のPC5は、作業者が管理サーバ3に対して各種指示の入力を行なったり、管理サーバ3から受信した各種情報の出力を行なったりするためのクライアント端末であり、CPU、ROM、RAM、ディスプレイ、キーボード、プリンタなどを有する汎用のパーソナルコンピュータと同一構成をなす。本実施形態では、PC5は、ロールショップPの作業領域ごとに一台ずつ設置されている。複数のPC5は、場外エリア20に設置された場外エリアPC5a、研磨エリア30の第一研磨機31及び第二研磨機32にそれぞれ対応して設置された研磨エリアPC5b及び研磨エリアPC5c、ダルエリア40に設置されたダルエリアPC5d、及び、圧延エリア60に設置された圧延エリアPC5eの計5台からなる。
第一研磨機31、第二研磨機32及びダル加工機41は、管理サーバ3との間で各種情報を送受信可能に構成されるとともに、管理サーバ3の指令に応じて各々の加工処理を実行する。例えば、第一研磨機31及び第二研磨機32は、管理サーバ3から研磨指令を受信すると研磨処理を実行し、研磨処理が終了すると研磨済ロール100に関する情報(ロール研磨実績)を管理サーバ3に送信する。ダル加工機41は、管理サーバ3からダル指令を受信するとダル加工処理を実行し、ダル加工処理が終了するとダル済ロール100に関する情報(ダル加工実績)を管理サーバ3に送信する。
クレーン制御盤78及び周辺制御盤79は、ロールショップPに設置された各種搬送機器を制御するためのプログラマブルロジックコントローラ(PLC;programmable logic controller)であって、自動倉庫70に設置されており、管理サーバ3との間で各種情報を送受信可能に構成されている。
クレーン制御盤78は、自動倉庫70のクレーン71、場外入出庫台車21、研磨入出庫トラバーサ33、第一研磨コンベア34、第二研磨コンベア35、中央研磨コンベア36、ダル供給台車42、ダル回収台車43及びダルロール移載機44を制御対象とし、管理サーバ3の指令に応じて各々の搬送動作を実行する。例えば、クレーン制御盤78は、管理サーバ3から作業指示を受信すると制御対象の搬送機器に搬送処理を実行させ、搬送処理が終了すると作業完了応答とともに現在の状態に関する情報(ステータス情報)を管理サーバ3に送信する。ステータス情報には、各搬送機器の位置情報、動作状況、パレット200の在籍情報が含まれる。
ダルロール移載機44は、クレーン制御盤78と専用のネットワークによって接続されており、クレーン制御盤78を介して管理サーバ3と情報を送受信する。ダルロール移載機44とダル加工機41は接点取り合いの構成となっており、一方が動作中のときは他方が停止することで誤動作が防止されるようになっている(いわゆる、インターロック)。
周辺制御盤79は、出庫コンベア51、入庫コンベア52、実ストックコンベア63、空ストックコンベア66及びメイントラバーサ90の搬送機器を制御対象とし、管理サーバ3の指令に応じて各々の搬送動作を実行する。例えば、周辺制御盤79は、管理サーバ3から作業指示を受信すると制御対象の搬送機器に搬送処理を実行させ、搬送処理が終了すると作業完了応答とともに現在の状態に関する情報(ステータス情報)を管理サーバ3に送信する。ステータス情報には、各搬送機器の位置情報、動作状況、パレット200の在籍情報が含まれる。
複数の無線HT6は、無線タグに対して無線通信で各種情報の読み取り又は/及び書き込みを行う。無線HT6は、作業者が携行可能な小型軽量の端末装置である。無線HT6は、作業者によって直接作業が行われる場外エリア20、研磨エリア30、ダルエリア40及び圧延エリア60にそれぞれ1台ずつ設置されている。無線HT6は、ロールショップPに適宜配置されている無線AP7と無線通信が可能である。各無線AP7はHUB装置89を介して管理サーバ3と有線接続されている。各無線HT6は、いずれかの無線AP7を介して、管理サーバ3との間で各種情報を送受信することができる。更に、無線HT6は、各種情報を表示するディスプレイを有している。
無線HT6は、ロール100のタグIDを読み取るとともに、タグIDを管理サーバ3に送信するタグ読取処理機能を有している。作業領域には、管理サーバ3に送信するためのコマンドを記憶した無線タグ(アクションタグ17)が適宜設置されている。無線HT6は、アクションタグ17のコマンドを読み取るとともに、コマンドを管理サーバ3に送信するコマンド受付処理機能を有している。無線HT6は、印刷されたバーコード情報を読み取るとともに、バーコード情報を管理サーバ3に送信する機能を有している。無線HT6は、管理サーバ3から情報を受信して表示する機能を有する。
ロールショップPの各作業領域には、作業者が直接人手で行なう作業(人介作業)に対応して、コマンドを付記したアクションタグ17が付設されている。アクションタグ17は、パレットタグ16と同様のカード型無線タグであり、各無線タグに固有のタグIDが記憶されている。外部記憶装置300は、各アクションタグ17のタグIDを、アクションタグ17に表記されているコマンドと対応付けて記憶している。例えば、作業者が無線HT6にて「ロール購入」のアクションタグ17が読み取ることにより、無線HT6にて「ロール購入」コマンドが直接入力されなくても、管理サーバ3で自動的に「ロール購入」コマンドが入力されたものと判断される。場外エリア20には、「ロール購入」、「入庫設定(場外)」及び「ロール廃却」のアクションタグ17が付設されている。研磨エリア30には、「ロール移動(TO研磨済リフタ)」のアクションタグ17が付設されている。圧延エリア60には、「圧延使用前ロール移動」及び「圧延使用済ロール移動」のアクションタグ17が付記されている。
研磨エリア30には、測定器85、トランスミッタ86及びレシーバ87から構成される無線式マイクロメータが設けられている。測定器85は、作業者がロール径を実測するための小型マイクロメータである。トランスミッタ86は、測定器85に一体に取り付けられた小型の無線送信機である。レシーバ87は、HUB装置89を介して管理サーバ3と有線接続されるとともに、トランスミッタ86との間でVHS帯での無線通信を行なう無線受信機である。測定器85は、研磨エリア30の第一研磨機31及び第二研磨機32の近傍に置かれており、作業者が測定器85で研磨済ロール100のロール径を計測すると、そのロール径情報がトランスミッタ86からレシーバ87に自動送信され、レシーバ87によって受信されたロール径情報は管理サーバ3に送信される。
複数の定置式タグリーダ80は、場外エリア20に1台及び研磨エリア30に4台設置されている。各定置式タグリーダ80は、HUB装置89を介して管理サーバ3と有線接続されており、各定置式タグリーダ80で読み取られたロールタグ15のタグID及びパレットタグ16のタグIDが自動的に管理サーバ3に送信される。場外エリア20に設置された定置式タグリーダ80は、場外入出庫台車21が荷捌き側に位置しているときに、場外入出庫台車21に搭載されたパレット200に付設されているパレットタグ16からタグIDを読み取り、当該タグIDを管理サーバ3に送信する。第一研磨機31及び第二研磨機32のそれぞれに付設された各定置式タグリーダ80は、ロールタグ15から無線通信により自動的にタグIDを読み取り、当該タグIDを管理サーバ3に送信する。第一研磨コンベア34及び第二研磨コンベア35のそれぞれに付設された定置式タグリーダ80は、パレットタグ16から、無線通信により自動的にタグIDを読み取り、当該タグIDを管理サーバ3に送信する。
複数種のロール100のうちで、ストリップに直接当接して圧延するワークロール100aは、他種ロールと比較してロール交換頻度が極めて高く、かつ、ロールショップPに導入されるロール本数も他種ロールと比較して格段に多い。以下の説明では、管理サーバ3にてワークロール100aに関する各種情報が管理される流れ、及び、ワークロール100aがロールショップPに導入されてから廃棄されるまでの流れを中心に説明する。以下、ロール種別を限定することなく単に「ロール100」と称する場合は、原則としてワークロール100aを指すものとする。
外部記憶装置300に構築された管理DBには、図8のデータ構成図に示された倉庫管理DB310、図9のデータ構成図に示されたパレット管理DB330及び図10のデータ構成図に示されたロール管理DB350が含まれている。
図8に示すように、倉庫管理DB310は、自動倉庫70内に設けられた複数の収容棚を管理するためのデータベースである。倉庫管理DB310は、複数のレコードで構成されている。倉庫管理DB310の各レコードは、ロケーション311、棚状態312、予約状態313、禁止状態314、パレットNo315をデータ項目として有する。ロケーション311は、自動倉庫70内における収容棚の位置を「列―連−段」の形式で示すデータであり、各レコードに対応する収容棚を一意に識別するためのキーとなる。棚状態312は、ロケーション311で示された収容棚にパレット200が収容されているか否かを示すデータである。予約状態313は、ロケーション311で示された収容棚に対してパレット200の入庫予約又は出庫予約がなされているかを示すデータである。禁止状態314は、ロケーション311で示された収容棚が禁止棚と通常棚との何れであるかを示すデータである。パレットNo315は、ロケーション311で示された収容棚に収容されているパレット200に固有の識別番号である。
図9に示すように、パレット管理DB330は、ロールショップPに導入されるパレット200を管理するためのデータベースである。パレット管理DB330は、複数のレコードで構成されている。パレット管理DB330の各レコードは、パレットNo331、パレットタグID332、パレット区分333、パレット状態334、パレット種類335、使用禁止区分336、在籍位置337、ロール径区分338、ロール本数339及びロールNo340の各データ項目で構成されている。データ項目はこれより多くてもよいし、少なくてもよい。
パレットNo331は、パレットNo315と同じくパレット200に固有の識別番号であり、各レコードに対応するパレット200を一意に識別するためのキーとなる。パレットタグID332は、パレットNo331で示されるパレット200とデータ上の関連付け(紐付け)がなされたパレットタグ16に記憶されている固有のID情報である。パレット区分333は、パレットNo331で示されたパレット200に搭載するのに適したロール100の種別を示すデータである。パレット状態334は、パレットNo331で示されたパレット200のロールショップ作業における現在の進捗状態を示すデータである。パレット種類335は、パレットNo331で示されたパレット200にロール100が搭載されているか否かを示すデータである。使用禁止区分336は、パレットNo331で示されたパレット200の使用可否や使用保留などを示すデータである。在籍位置337は、パレットNo331で示されたパレット200の現在位置を示すデータである。ロール径区分338は、パレットNo331で示されたパレット200に搭載されている複数のロール100が予め定められたロール径に応じた区分の何れに属しているかを示すデータである。ロール本数339は、パレットNo331で示されたパレット200に搭載されているロール100の本数を示すデータである。ロールNo340は、パレットNo331で示されたパレット200に搭載されている各ロール100に固有の識別番号であり、パレット200上の搭載位置とともに、各ロール100の識別番号が1本目から順に最大10本目まで設定される。
図10に示すように、ロール管理DB350は、ロールショップPに導入されるロール100を管理するためのデータベースである。ロール管理DB350は、複数のレコードで構成されている。ロール管理DB350の各レコードは、ロールNo351、ロールタグID352、ロール区分353、ロール径区分354、在籍位置355、ロール加工状態356、ロール管理状態357、パレットNo358、パレット内位置359、圧延関連情報360、研磨関連情報361及びダル関連情報362の各データ項目で構成されている。データ項目はこれより多くてもよいし、少なくてもよい。
ロールNo351は、ロールNo340と同じくロール100に固有の識別番号であり、各レコードに対応するロール100を一意に識別するためのキーとなる。ロールタグID352は、ロールNo340で示されたロール100にデータ上の関連付け(紐付け)がなされたロールタグ15に記憶されているユニークなID情報である。ロール区分353は、ロールNo340で示されたロール100の種別を示すデータである。ロール径区分354は、ロール径区分338と同じくロールNo340で示されたロール100が属するロール径区分を示すデータである。在籍位置355は、ロールNo340で示されたロール100の現在位置を示すデータである。ロール加工状態356は、ロールNo340で示されたロール100の現在の加工状態を示すデータである。ロール管理状態357は、ロールNo340で示されたロール100のロールショップ作業における現在の進捗状態を示すデータである。パレットNo358は、パレットNo331と同じくロールNo340で示されたロール100が搭載されているパレット200に固有の識別番号である。パレット内位置359は、ロールNo340で示されたロール100がパレット200内における何れの位置に搭載されているかを示すデータである。圧延関連情報360は、ZM圧延機2で使用されたロールNo340で示されたロール100に関する各種情報(ロール圧延実績など)である。研磨関連情報361は、第一研磨機31及び第二研磨機32で使用されたロールNo340で示されたロール100に関する各種情報(ロール研磨実績など)である。ダル関連情報362は、ダル加工機41で使用されたロールNo340で示されたロール100に関する各種情報(例えば、ダル加工実績など)である。
外部記憶装置300には、ロール100やパレット200の位置データ(トラッキング情報)が記憶されている。トラッキング情報は、各設備機器から管理サーバ3に出力されるステータス情報に応じて更新される。管理サーバ3は、ロール100やパレット200の詳細な現在位置を、トラッキング情報に基づいてトラッキング(追跡)する。
[ロールショップ管理システムの運用制御について]
以下では、上記説明したロールショップ管理システム1(特に、管理サーバ3)にて実行される運用制御について、図11〜図31を参照して説明する。図11は、ロールショップ作業の流れを示すフローチャートである。図12は、ロール導入工程にて実行されるオペレーションVの流れを例示する図である。図13は、図12に引き続いてオペレーションVの流れを例示する図である。図14は、「新規入庫処理」を示すフローチャートである。図15は、「導入ロール設定処理」を示すフローチャートである。図16は、ロール研磨工程にて実行されるオペレーションWの流れを例示する図である。図17は、図16に引き続いてオペレーションWの流れを例示する図である。図18は、「研磨自動入出庫処理」を示すフローチャートである。図19は、「研磨実行処理」を示すフローチャートである。図20は、「ロール移動処理」を示すフローチャートである。図21は、ダル加工工程にて実行されるオペレーションXの流れを例示する図である。図22は、「ダル自動入出庫処理」を示すフローチャートである。図23は、「ダル加工実行処理」を示すフローチャートである。図24は、ロール交換工程にて実行されるオペレーションYの流れを例示する図である。図25は、図24に引き続いてオペレーションYの流れを例示する図である。図26は、図25に引き続いてオペレーションYの流れを例示する図である。図27は、圧延自動入出庫処理を示すフローチャートである。図28は、「圧延使用前ロール移動処理」を示すフローチャートである。図29は、「圧延使用済ロール移動処理」を示すフローチャートである。図30は、ロール廃却工程にて実行されるオペレーションZの流れを例示する図である。図31は、廃却出庫処理を示すフローチャートである。
まず、図11を参照して、ロールショップ管理システム1にて実行される運用制御の概要について説明する。図11に示すように、本実施形態のロールショップ作業は、主として、ロール導入工程、ロール研磨工程、ダル加工工程、ロール交換工程及びロール廃却工程という5つの作業工程(プロセスTと表記する。)で構成され、各作業工程はロールショップ管理システム1の運用制御のもとで実行される。
本実施形態のロールショップ作業の流れを説明すると、まずロール導入工程(プロセスT1)にてロール100がロールショップPに導入される。次に、ロール研磨工程(プロセスT2)にて、第一研磨機31及び第二研磨機32を用いてロール100のロール表面に研磨処理が施される。次に、必要に応じて、ダル加工工程(プロセスT3)にて、ダル加工機41で研磨済みのロール100のロール表面にダル加工が施される。次に、ロール交換工程(プロセスT4)にて、ZM圧延機2に組み込まれている使用済みの旧ロール100が、研磨済み又はダル済みの新ロール(新ロール)100に交換される。次に、ZM圧延機2から交換された旧ロール100が、ロール研磨工程(プロセスT2)にて再び研磨処理が行なわれて再利用され、又は、ロール廃却工程(プロセスT5)にてロールショップPから廃却される。
以下では、ロールショップ管理システム1における各作業工程(プロセスT1〜T5)の運用制御を、作業者や各種機器が実行する一連の動作(オペレーションV、W、X、Y、Zと表記する。)と、管理サーバ3(詳細には、CPU)が実行する一連の内部的処理(Sと表記する。)と、を対比しつつ説明する。また、本実施形態では、10本のロール100(ロールNo「AB340」〜「AB349」)をロールショップ作業に適用した場合を例示して、ロール100がロールショップPに導入されてから廃却されるまでの一連の流れを具体的に説明する。
ロール管理DB350には、新規購入したロール100に関する情報が、あらかじめレコードとして記憶されているものとする。ここでは、ロール管理DB350に、10本の新規ロール100に対応して、ロールNo351「AB340」〜「AB349」が各々設定された10レコードが記憶されている。各レコードのロール区分353は「WR」に設定されている。ロール径区分354は「A」に設定されている。在籍位置355は「場外」に設定されている。ロール加工状態356は「購入」に設定されている。ロール管理状態357は「購入作業中」に設定されている。他のデータ項目は空欄である。
パレット管理DB330には、4つのパレットNo331「W001」〜「W004」が各々設定された4レコードが記憶されており、各レコードにはパレットタグID332「90001」〜「90004」がそれぞれ設定されている。各レコードのパレット区分333は「WR」に設定されている。パレット種類335は「空パレット」に設定されている。使用禁止区分336は「使用可」に設定されている。ロール本数339は「0」に設定されている。パレットNo331が「W001」であるパレット200のパレット状態334は「在庫(場外)」に設定され、在籍位置337は「場外」に設定されている。パレット200「W002」〜「W003」のパレット状態334は「在庫(自動倉庫)」に設定され、在籍位置337は「倉庫内」に設定されている。他のデータ項目が空欄である。
[ロール導入工程]
図12〜図15を参照して、ロールショップ管理システム1におけるロール導入工程(プロセスT1)の運用制御を説明する。本実施形態のロール導入工程では、新規ロール100「AB340」〜「AB349」がパレット200「W001」に搭載されて場外エリア20から自動倉庫70に搬入される場合を例示する。
まず、図12及び図13を参照して、ロール導入工程において、場外エリア20を中心に作業者や各種機器が実行する一連の動作(オペレーションV(V1〜V20))について説明する。
まず、作業者は、図12に示すようにPC5(例えば、場外エリアPC5a)にて購入ロールリストLAを印刷する(V1)。詳細には、PC5から購入ロールリストの印刷指示を受信すると、管理サーバ3にてロール管理DB350を参照してロール管理状態357「購入作業中」となっているロールNo351の一覧リスト(購入ロールリストLA)が作成され、PC5側にて購入ロールリストLAが印刷される。購入ロールリストLAには、ロール導入工程でロールショップPに導入される新規ロール(導入待ロール)100に刻印されているロールNo(ここでは、「AB340」〜「AB349」)とともに、各ロールNoに対応するバーコード情報が示される。
次に、作業者は、導入待ロール100に取り付けるロールエンドカバー110を用意する(V2)。1本のロール100に対して2つのロールエンドカバー110を用意する。2つのロールエンドカバー110のうち1つのロールエンドカバー110にのみロールタグ15が収容されている。
次に、作業者は、場外エリア20に設置された「ロール購入」と表記されたアクションタグ17を無線HT6で読み取る(V3)。無線HT6は、読み取った「ロール購入」コマンドを自動的に管理サーバ3に送信する。
次に、作業者は、導入待ロール100に刻印されているロールNoを確認し、購入ロールリストLAにて当該ロールNoに対応するバーコード情報を無線HT6で読み取る(V4)。無線HT6は、読み取ったバーコード情報に対応するロールNoを自動的に管理サーバ3に送信する。
次に、作業者は、導入待ロール100の両端部にロールエンドカバー110をそれぞれ取り付ける(V5)。
次に、作業者は、取り付けられたロールエンドカバー110に収容されているロールタグ15のタグIDを読み取る(V6)。無線HT6は、読み取ったタグIDを自動的に管理サーバ3に送信する。管理サーバ3は、「ロール購入」コマンド、ロールNo、タグIDを受信すると、ロール管理DB350を更新する。具体的には、受信したロールNo351に対応するロールタグID352に、受信したタグIDを設定し、ロール管理状態357を「購入作業中」から「初回研磨待」に更新する。
作業者は、全ての導入待ロール100について、オペレーションV4〜V6を繰り返し実行する(V7)。
次に、作業者は、パレット200(ここでは、パレットNo「W001」)上に導入待ロール100を荷積みする(V8)。パレット200上には、導入待ロール100が10本並んで配置される。ロール100は、ロールタグ15がパレット200のDS面側に位置するように荷積みされる。
次に、作業者は、図13に示すように導入待ロール100が搭載されたパレット200を、場外エリア20に配設された天井クレーンを用いて場外入出庫台車21上に荷置する(V9)。
場外入出庫台車21上にパレット200が荷置きされると、定置式タグリーダ80が当該パレット200に付設されたパレットタグ16を自動的に読み取る(V10)。
なお、場外入出庫台車21が「搬送中」でない場合、場外入出庫台車21は「入庫モード」又は「出庫モード」に制御される。「入庫モード」では、場外入出庫台車21が荷捌き側に位置しており、パレット200を倉庫側に搬送可能である。「出庫モード」では、場外入出庫台車21が倉庫側に位置しており、パレット200を荷捌き側に搬送可能である。ロール導入工程では「入庫モード」であることを要する。場外入出庫台車21が「出庫モード」のときは、作業者が「入庫モード」に切り換える必要がある。場外エリア20には操作盤28が設けられており、作業者が操作盤28の入庫PBLを押下すると、場外入出庫台車21が倉庫側から荷捌き側に移動して「入庫モード」に切り換えられる。
次に、作業者が無線HT6で「入庫設定(場外)」と表記されたアクションタグ17を読み取る(V11)。
「入庫設定(場外)」のアクションタグ17が読み取られると、無線HT6にロール一覧画面Q1が表示される(V12)。ロール一覧画面Q1には、場外入出庫台車21上のパレット200のパレットNoが表示されるとともに、導入対象ロールの登録欄が設けられている。
次に、作業者は、無線HT6でパレット200に搭載された導入待ロール100のロールタグ15を、所定のタグ読取順に従って1本ずつ読み取る(V13)。パレット200には、DS面側の左端位置から右側に向けてロール位置が昇順に定められている。つまり、DS面左側から順に1本目、2本目・・・10本目と数えられる。作業者は、ロール位置順をタグ読取順として導入待ロール100のロールタグ15を読み取る。
作業者が無線HT6でロールタグ15を読み取るごとに、当該ロールタグ15に紐付けられている導入待ロール100の詳細情報を示すロール詳細画面Q2が無線HT6に表示される(V14)。作業者がロール詳細画面Q2で「ENTER」を入力すると、当該ロール100のロールNo及びロール位置がロール一覧画面Q1に追加される。
作業者が10本目までロールタグ15を順に読み取ると、オペレーションV13〜V14の繰り返しによりロール一覧画面Q1に10本分の導入待ロール100が登録される(V15)。
次に、作業者がロール一覧画面Q1で「ENTER」を入力すると、無線HT6に登録確認画面Q3が表示される(V16)。作業者が登録確認画面Q3で「ENTER」を入力すると、登録完了となる。
導入待ロール100の登録が完了すると、場外エリア20に設けられた完了PBLが点滅する。作業者は、点滅した完了PBLを押下する(V17)。
完了PBLが押下されると、場外入出庫台車21が荷捌き側から倉庫側に移動する(V18)。
自動倉庫70に到着した場外入出庫台車21上のパレット200をクレーン71が荷取りする(V19)。
クレーン71は、荷取りしたパレット200を空き状態の収容棚まで搬送及び格納する(V20)。
以上により、ロール100「AB340」〜「AB349」が順にパレット200「W001」に搭載されたうえで場外エリア20から自動倉庫70に入庫されて、ロールショップPへの導入が実現される。
なお、オペレーションV1〜V7では、導入待ロール100とロールタグ15とを紐付ける場合を説明したが、導入待パレット200とパレットタグ16とを紐付けする作業も同様にして行なう。
次に、図14及び図15を参照して、ロール導入工程(プロセスT1)において管理サーバ3が実行する一連の内部的処理として、場外エリア20から導入待ロール100を入庫させるための「新規入庫処理」、及び、導入待ロール100をパレット200に搭載させるための「導入ロール設定処理」、をそれぞれ説明する。
なお、「新規入庫処理」が実行される前提として、オペレーションV1〜V7により導入待ロール100とロールタグ15との紐付けが実行されているものとする。本実施形態では、ロールNo「AB340」〜「AB349」の導入待ロール100が、順に、タグID「10000」〜「10009」のロールタグ15に紐付けされている。更に、パレットNo「W001]のパレット200は、タグID「90001」のパレットタグ16に紐付けされている。
図14に示す「新規入庫処理」では、まず場外入出庫台車21が「入庫モード」であるか否かが、操作盤28と接続されるクレーン制御盤78からの情報に基づいて判定される(S101)。
場外入出庫台車21が「入庫モード」である場合(S101:YES)、場外入出庫台車21上にパレット200が在席しているか否かが判定される(S103)。場外入出庫台車21にはパレット在席を検出するセンサ(図示外)が設けられており、当該センサの検出信号はクレーン制御盤78に入力される。そのため、作業者が場外入出庫台車21上にパレット200を荷置きすると(V9)、管理サーバ3はクレーン制御盤78からの情報に基づいてパレット在席が「OFF」から「ON」になったことを特定することができる。
場外入出庫台車21が「入庫モード」ではなく、「搬送中」又は「出庫モード」である場合(S101:NO)、又は、場外入出庫台車21上にパレット200が在席していない場合(S103:NO)は、ステップS101に戻る。
場外入出庫台車21上にパレット200が在席している場合(S103:YES)、場外エリア20の定置式タグリーダ80に対して当該パレット(導入待パレット)200に付設されたパレットタグ16の読み取りが指示され(S105)、当該定置式タグリーダ80がパレットタグ16の読み取りを実行する(V10)。
パレットタグ16から正常にタグIDが読み取られると、読み取られたタグIDに対応するパレットNoがパレット管理DB330を参照して取得される(S107)。例えば、定置式タグリーダ80から読み取られたタグIDが「90001」であれば、パレット管理DB330からパレットタグID332「90001」に対応するパレットNo331「W001」が取得される。
次に、自動倉庫70でパレット200を収容可能な収容棚に対して入庫予約を行なう「入庫引当処理」が実行される(S109)。「入庫引当処理」では、管理サーバ3は、倉庫管理DB310にて棚状態312「空棚」、予約状態313「未引当」、禁止状態314「通常棚」の全てに該当する収容棚のロケーション311を検索する。管理サーバ3は、検索でヒットした何れかのロケーション311の収容棚を予約状態313「入庫予約」に更新するとともに、パレットNo315に導入待パレット200を設定する。例えば、ロケーション311が「1−1−1」の収容棚の予約状態313を「入庫予約」に更新するとともに、パレットNo315に「W001」が設定される。
次に、管理サーバ3は、所定の「入庫設定完了条件」が満たされているか判定する(S111)。
所定の「入庫設定完了条件」が満たされている場合、管理サーバ3は、図15に示す後述の「導入ロール設定処理」を実行する(S113)。
次に、管理サーバ3は、完了指示要求をクレーン制御盤78に対して発行する(S115)。完了指示要求が発行されると、クレーン制御盤78は、場外エリア20に設けられた完了PBLを点滅させて、作業者に対して導入待パレット200導入待ロール100の入庫搬送が可能である旨を報知する。
作業者は、任意のタイミングで点滅した完了PBLを押下して(V17)、クレーン制御盤78が管理サーバ3に完了通知を発行する。管理サーバ3は、クレーン制御盤78から完了通知が発行されたか判定する(S117)。
完了通知がない場合は(S117:NO)、ステップS117に戻って待ち状態となる。
クレーン制御盤78から完了通知が発行されると(S117:YES)、管理サーバ3は、場外入出庫台車21の制御指示をクレーン制御盤78に対して発行する(S119)。管理サーバ3から場外入出庫台車21の制御指示が発行されると、クレーン制御盤78は、場外入出庫台車21を制御して導入待パレット200を荷捌き側から倉庫側に搬送させる。管理サーバ3から各種搬送機器の制御指示がクレーン制御盤78又は周辺制御盤79に対して発行されたときは、搬送対象のパレット200のパレット状態334が「搬送中」に更新される。以下、他の入出庫処理においても同様である。
管理サーバ3は、クレーン制御盤78から場外入出庫台車21の搬送動作完了信号を受信すると、クレーン71の制御指示をクレーン制御盤78に対して発行する(S121)。クレーン71の制御指示が発行されると、クレーン制御盤78は、クレーン71を制御して場外入出庫台車21に搭載された導入待パレット200を入庫予約された収容棚に格納する。
最後に、新規「入庫完了設定」として各種DBが更新される(S123)。具体的には、「入庫完了設定」では、倉庫管理DB310において、導入済パレット200が収容された収容棚のレコードの棚状態312が「実棚」に更新され、予約状態313が「未引当」に更新され、当該収容棚に収容された導入済パレット200のパレットNoがパレットNo315に設定される。更に、パレット管理DB330において、導入済パレット200のレコードのパレット状態334が「在庫(自動倉庫)」に更新され、在籍位置337が「倉庫内」に更新される。更に、ロール管理DB350において、各導入済ロール100のレコードの在籍位置355が「倉庫内」に更新され、ロール加工状態356が「検収待」に更新される。例えば、倉庫管理DB310では、導入済パレット200が収容された収容棚「1−1−1」のレコードが、棚状態312「実棚」、予約状態313「未引当」、パレットNo315「W001」に更新される。パレット管理DB330では、導入済パレット200「W001」のレコードが、パレット状態334「在庫(自動倉庫)」、在籍位置337「倉庫内」に更新される。ロール管理DB350では、導入済ロール100「AB340」〜「AB349」のレコードが、それぞれ、在籍位置355「倉庫内」、ロール加工状態356「検収待」に更新される。
「新規入庫処理」では、作業者が場外入出庫台車21上に導入待ロール100を搭載した導入待パレット200を荷置きして完了PBLを押下するだけで、導入待パレット200が自動搬送されて場外エリア20から自動倉庫70に入庫される。そのため、ロール導入工程における作業者の負担を極力低減しつつ、導入待ロール100をロールショップPに迅速且つ正確に導入することができる。
図15に示す「導入ロール設定処理」は、「入庫設定(場外)」コマンドが受け付けられたことを契機として開始される(S131)。すなわち、作業者が無線HT6で「入庫設定(場外)」と表記されたアクションタグ17を読み取ると(V11)、管理サーバ3では「入庫設定(場外)」コマンドの受付ありと判定されて、以下の処理が実行される。
「入庫設定(場外)」コマンドが受け付けられると、無線HT6にロールNoが未入力の導入対象ロール一覧Q1が表示される(S133、V12)。
次に、ロールタグ15のタグIDを受け付けたか否かが判定される(S135)。
作業者が無線HT6でロールタグ15を読み取ることにより(V13)、ロールタグIDが受け付けられると(S135:YES)、「パレット搭載条件」を満たしているか否かが判定される(S137)。「パレット搭載条件」は、導入待ロール(搭載対象ロール)100を導入待パレット200に搭載するための条件である。「パレット搭載条件」は、各管理DBやトラッキング情報等を参照して判定される。具体的には、「パレット搭載条件」には、導入待パレット200に搭載対象ロール100を搭載可能なスペース(空き)があること、搭載対象ロール100が場外エリア20に存在していること、及び、搭載対象ロール100が導入待パレット200に搭載済みの他ロール100と均等であること、などが含まれる。
搭載対象ロール100のロール区分353、ロール径区分354及びロール加工状態356が、導入待パレット200に搭載済みの他ロール100と同じであれば均等であると判定される。なお、ロール100の均等の判断には他の条件が含まれていてもよい。搭載対象ロール100が導入待パレット200上の他ロール100と均等であるか否かは、当該パレット200に搭載された1本目のロール100を基準に判断するものとし、搭載対象ロール100が1本目に相当するときは本判断が行われない。搭載対象ロール100が搭載済みの他ロール100と均等であることを「パレット搭載条件」とすることで、ほぼ均一な複数の導入待ロール100のみを導入待パレット200に搭載することができる。
「パレット搭載条件」を満たさない場合(S137:NO)、管理サーバ3は、無線HT6にエラーを出力させる(S139)。
「パレット搭載条件」を満たす場合(S137:YES)、管理サーバ3は、ロール管理DB350から搭載対象ロール100の詳細情報を取得して無線HT6に送信し、無線HT6に当該詳細情報を示すロール詳細画面Q2(V14)を表示させる(S141)。
作業者がロール詳細画面Q2にて「ENTER」を入力すると、ロール詳細画面Q2に示された搭載対象ロール100が、ロール一覧画面Q1の導入対象ロールの登録欄に追加される(S143)。
次に、追加された導入対象ロール100の総計が10本以上であるか否かが判定される(S145)。
導入対象ロール100の総計が10本未満であれば(S145:NO)、ステップS131に戻る。無線HT6には、作業者がそれまでに追加した10本未満の導入対象ロールが示されたロール一覧画面Q1が表示される。
追加された導入対象ロールの総計が10本以上であれば(S145:YES)、無線HT6に登録確認が表示される(S147)。作業者が10本分の導入待ロール100のロールタグ15を読み取り、導入待ロール100をロール一覧画面Q1に導入対象ロールとして追加すると、無線HT6に登録確認画面Q3が表示される(V15〜V16)。
次に、作業者が登録確認画面Q3にて「ENTER」を入力すると、パレット管理DB330及びロール管理DB350に対するデータ登録が実行されて、複数の導入待ロール100と導入待パレット200との紐付けが実行されるとともに、無線HT6に「入庫設定(場外)」が完了した旨を出力させて「導入ロール設定処理」を終了する(S149)。例えば、パレット管理DB330では、導入待パレット200「W001」について、パレット種類335「実パレット」、ロール本数339「10」、ロールNo340「1本目:AB340」〜「10本目:AB349」が設定される。ロール管理DB350では、導入待ロール100「AB340」〜「AB349」について、パレットNo358「W001」及びパレット内位置359「1」〜「10」がそれぞれ設定される。
「導入ロール設定処理」では、作業者が場外入出庫台車21上のパレット200に搭載されたロール100のロールタグ15を順に無線HT6で読み取るだけで、導入待パレット200と導入待ロール100とのデータ上の関連付けが実現される。「導入ロール設定処理」後、管理サーバ3では、パレット200上に何れのロール100が搭載されているか、及び、各ロール100が何れのパレット200に搭載されているか、などを管理することができる。
なお、ロール一覧画面Q1にて作業者が「ENTER」を入力すると、作業者が追加した導入対象ロールの総計が10本未満であっても登録確認画面Q3が表示され(S147)、ロール本数が端数状態でも登録実行(S149)が可能となる。ロール一覧画面Q1及び登録確認画面Q3にて作業者が「CANCEL」を入力すると、登録実行(S149)が行なわれることなく、「導入ロール設定処理」が終了する。ロール詳細画面Q2にて作業者が「ENTER」を入力すると、導入対象ロールの追加(S143)が行なわれることなく、ステップS133に戻ってロール一覧画面Q1が表示される。
[ロール研磨工程]
図16〜図20を参照して、ロールショップ管理システム1におけるロール研磨工程(プロセスT2)の運用制御を説明する。なお、本実施形態のロール導入工程では、パレット200「W001」に搭載された検収待ロール100「AB340」〜「AB349」が、第一研磨機31を用いてロール表面が研磨処理される場合を例示する。
まず、図16及び図17を参照して、ロール研磨工程において、研磨エリア30を中心に作業者や各種機器が実行する一連の動作(オペレーションW)について説明する。
ロール研磨工程では、研磨エリア30に設けられた各搬送機器が「搬送中」でなく、研磨入出庫トラバーサ33が倉庫側に位置し、研磨待リフタ37が下段位置37aに位置し、かつ、研磨済リフタ38が下段位置38aに位置している設備状態を初期状態とする。初期状態では、第一研磨機31が未使用状態であり、第一研磨機31及び各搬送機器のいずれにもロール100及びパレット200が存在していないものとする(W1)。
なお、ロール研磨工程に際して、管理サーバ3ではロール管理DB350を参照して、研磨待ロールリストが作成される。研磨待ロールリストは、在籍位置355「倉庫内」かつロール管理状態357「研磨待」(初回研磨待を含む。)のレコードに対応するロール(研磨待ロール)100の一覧である。ロール研磨工程では、研磨待ロールリストにおける登録順に、研磨待ロール100が研磨エリア30に供給される。
なお、ネック研磨加工を実行する場合は、管理サーバ3ではロール管理DB350を参照して、ネック研磨待ロールリストが作成される。ネック研磨待ロールリストは、在籍位置355「倉庫内」かつロール管理状態357「ネック研磨待」のレコードに対応するロール(ネック研磨待ロール)100の一覧である。
初期状態(W1)において、自動倉庫70では、クレーン71が研磨待ロールリストに登録された研磨待ロール100(ここでは、ロールNo「AB340」〜「AB349」)を搭載したパレット(研磨待パレット)200(ここでは、パレットNo「W001」)を収容棚から研磨入出庫トラバーサ33まで搬送する。研磨入出庫トラバーサ33上に研磨待パレット200が荷置きされると、研磨入出庫トラバーサ33が倉庫側から研磨側に向けて移動する。研磨入出庫トラバーサ33が研磨側に到着すると、研磨入出庫トラバーサ33は中央研磨コンベア36上に研磨待パレット200を荷渡しする。中央研磨コンベア36は、研磨待リフタ37の下段位置37aに研磨待パレット200を荷渡しする。研磨待リフタ37は、下段位置37aに置かれた研磨待パレット200を上段位置37bまで上昇させる(W2)。
次に、自動倉庫70では、クレーン71が空パレット200(ここでは、パレットNo「W002」とする。)を収容棚から研磨入出庫トラバーサ33まで搬送する。研磨入出庫トラバーサ33及び中央研磨コンベア36は、空パレット200を研磨待リフタ37の下段位置37aまで搬送する。研磨待リフタ37は、下段位置37aから研磨済リフタ38の下段位置38aに空パレット200を荷渡しする。研磨済リフタ38は、下段位置38aに置かれた空パレット200を上段位置38bまで上昇させる(W3)。
次に、作業者は、クレーン操作によって研磨待リフタ37上の研磨待パレット200から1本の研磨待ロール100を第一研磨機31に移載する。作業者は、移載する研磨待ロール100からロールエンドカバー110を取り外し、第一研磨機31に併設された定置式タグリーダ80の上に載置する。定置式タグリーダ80は、載置されたロールエンドカバー110のロールタグ15からタグIDを自動的に読み取る(W4)。
なお、ネック研磨加工の場合、定置式タグリーダ80で読み取られたタグIDに対応するロール100が、ネック研磨待ロール100であれば、ロールエンドカバー110の交換が必要な場合があることを報知するランプが点灯する。
第一研磨機31に研磨待ロール100を設置したのち、作業者が研磨エリア30に設けられた研磨実行PBLを押下する(W5)。
研磨実行PBLが押下されると、第一研磨機31は研磨待ロール100のロール表面に対して1サイクルの研磨処理を実行する(W6)。
研磨処理が終了すると、作業者は第一研磨機31にて研磨処理が施されたロール(研磨済ロール)100のロール径を、測定器85を用いて計測する(W7)。
ロール径測定が終了すると、作業者は研磨済ロール100に定置式タグリーダ80上のロールエンドカバー110を再び取り付ける(W8)。ロールタグ15は、ロール100から取り外し可能なロールエンドカバー110に収容されているため、研磨工程のようにロールエンドカバー110を取り外して加工処理しなければならない工程がロールショップ作業に含まれていても、工程の前後でロールエンドカバー110を着脱することにより、ロール100に関する情報を管理することができる。ロールエンドカバー110を載置可能な定置式タグリーダ80を研磨エリア30に設置することにより、作業者がロールエンドカバー110の取り外しとロールタグ15の読み取りを一度に行うことができるため、作業が簡略化される。
なお、ネック研磨加工の場合は、首部102の径を計測する。ロールエンドカバー110は、首部102の径に応じて形成されているため、管理サーバ3は、首部102の径に応じて作業者にロールエンドカバー110の交換を指示するランプを点灯させる。
次に、作業者は、無線HT6で「ロール移動(TO研磨済リフタ)」と表記されたアクションタグ17を読み取ったうえで(W9)、無線HT6でロールエンドカバー110のロールタグ15を読み取る。
次に、作業者のクレーン操作によって、第一研磨機31から研磨済リフタ38上の空パレット200に研磨済ロール100を移載する(W10)。研磨済リフタ38上の空パレット200に研磨済ロール100を移載する際には、研磨済ロール100を空パレット200のDS面側からみて左詰め(すなわち、所定のロール位置順)となるように、当該パレット200上に隙間無く搭載させる。作業者は、研磨待パレット200に搭載された全ての研磨待ロール100について、オペレーションW4〜W10を1本ずつ繰り返し実行する。
研磨待リフタ37上の研磨待パレット200が空になると(つまり、空パレット200が発生すると)(W11)、研磨エリア30に設けられた研磨待完了PBLが点滅する。
作業者は、点滅した研磨待完了PBLを任意のタイミングで押下する(W12)。
研磨待完了PBLが押下されると、研磨待リフタ37は上段位置37bに置かれた空パレット200を下段位置37aまで下降させる。研磨待リフタ37は、下段位置37aから中央研磨コンベア36に空パレット200を荷渡しする。中央研磨コンベア36は、研磨入出庫トラバーサ33上に空パレット200を荷渡しする。研磨入出庫トラバーサ33上に空パレット200が荷置きされると、研磨入出庫トラバーサ33が研磨側から倉庫側に向けて移動する。研磨入出庫トラバーサ33が倉庫側に到着すると、クレーン71が空パレット200を荷取りして収容棚に格納する(W13)。
研磨済リフタ38上の空パレット200に研磨済ロール100が満載されると(つまり、研磨済ロール100が10本搭載された研磨済パレット200が発生すると)(W14)、研磨エリア30に設けられた研磨済完了PBLが点滅する。
作業者は、点滅した研磨済完了PBLを任意のタイミングで押下する(W15)。
研磨済完了PBLが押下されると、研磨済リフタ38は上段位置38bに置かれた研磨済パレット200を下段位置38aまで下降させる。研磨済リフタ38は、下段位置38aから研磨待リフタ37の下段位置37aに研磨済パレット200を荷渡しする。空パレット200と同様に、研磨待リフタ37、中央研磨コンベア36及び研磨入出庫トラバーサ33が、研磨済パレット200を自動倉庫70まで搬送し、クレーン71が当該研磨済パレット200を荷取りして収容棚に格納する(W16)。
以上により、パレット200「W001」に搭載されたロール100「AB340」〜「AB349」が自動倉庫70から研磨エリア30に供給され、当該ロール100が第一研磨機31にて研磨処理が施されたのちにパレット200「W002」に搭載されて研磨エリア30から自動倉庫70に回収される。
次に、図18〜図20を参照して、ロール研磨工程(プロセスT2)において管理サーバ3が実行する一連の内部的処理として、研磨エリア30に対する研磨待ロール100の供給及び研磨済ロール100の回収を自動運行するための「研磨自動入出庫処理」、研磨待ロール100に対して研磨処理を施すための「研磨実行処理」、及び、研磨済ロール100を研磨前とは異なるパレット200に搭載するための「ロール移動処理」、をそれぞれ説明する。
図18に示す「研磨自動入出庫処理」では、まず研磨待リフタ37に研磨待パレット200を出庫すべき条件(「研磨待パレット出庫条件」)を満たすか否かが、各管理DBやトラッキング情報等を参照して判定される(S201)。具体的には、「研磨待パレット出庫条件」として、自動倉庫70内に研磨待パレット200が存在していること、及び、研磨待リフタ37にパレット200の在席がないこと、などを満たしているか判定される。例えば、初期状態(W1)であれば「研磨待パレット出庫条件」が満たされる(S201:YES)。
「研磨待パレット出庫条件」を満たす場合(S201:YES)、研磨待リフタ37に研磨待パレット200を自動出庫するための「研磨待リフタ出庫処理」が実行される(S203)。「研磨待リフタ出庫処理」では、まず研磨待パレット200の「出庫引当処理」が実行される。例えば、管理サーバ3では、出庫対象の研磨待ロール100(ここでは、ロールNo「AB340」〜「AB349」とする。)を搭載した研磨待パレット200(すなわち、パレットNo「W001」)が、ロール管理DB350を参照して特定される。次に、倉庫管理DB310にて当該研磨待パレット200が格納された収容棚の予約状態313が「出庫予約」に更新されるとともに、パレット管理DB330にて当該研磨待パレット200のパレット状態334が「出庫引当済」に更新される。研磨待パレット200の「出庫引当処理」が完了すると、クレーン71、研磨入出庫トラバーサ33、中央研磨コンベア36及び研磨待リフタ37の各制御指示が、クレーン制御盤78に対して順次発行される。発行された制御指示に応じて各搬送機器が連動して、自動倉庫70内の研磨待パレット200(ここでは、パレットNo「W001」)を研磨待リフタ37の上段位置37bまで搬送する(W2)。
「研磨待パレット出庫条件」を満たさない場合(S201:NO)、研磨済リフタ38に空パレット200を出庫すべき条件(「空パレット出庫条件」)を満たすか否かが、各管理DBやトラッキング情報等を参照して判定される(S205)。具体的には、「空パレット出庫条件」として、自動倉庫70内に空パレット200が存在していること、及び、研磨済リフタ38にパレット200の在席がないこと、などを満たしているか判定される。例えば、オペレーションW2の実行後は「空パレット出庫条件」が満たされる(S205:YES)。
「空パレット出庫条件」を満たす場合(S205:YES)、研磨済リフタ38に空パレット200を自動出庫するための「研磨済リフタ出庫処理」が実行される(S207)。「研磨済リフタ出庫処理」では、まず空パレット200の「出庫引当処理」が実行される。具体的には、管理サーバ3では、倉庫管理DB310にて出庫可能な空パレット200(ここでは、パレットNo「W002」とする。)が棚状態312「実棚」及び予約状態313「未引当」をキーとして検索される。次に、検索された空パレット200が格納された収容棚の予約状態313が「出庫予約」に更新されるとともに、パレット管理DB330にて当該空パレット200のパレット状態334が「出庫引当済」に更新される。空パレット200の「出庫引当処理」が完了すると、クレーン71、研磨入出庫トラバーサ33、中央研磨コンベア36、研磨待リフタ37及び研磨済リフタ38の各制御指示が、クレーン制御盤78に対して順次発行される。発行された制御指示に応じて各搬送機器が連動して、自動倉庫70内の空パレット200(ここでは、パレットNo「W002」)を研磨済リフタ38の上段位置38bまで搬送する(W3)。
「空パレット出庫条件」を満たさない場合(S205:NO)、研磨待リフタ37から空パレット200を入庫すべき条件(「空パレット入庫条件」)を満たすか否かが、各管理DBやトラッキング情報等を参照して判定される(S209)。具体的には、「空パレット入庫条件」として、研磨待リフタ37上に空パレット200が在席していること、及び、自動倉庫70内にパレット200を収容可能な空きスペースがあること、などを満たしているか判定される。例えば、作業者が研磨待ロール100「AB340」〜「AB349」を研磨待リフタ37から第一研磨機31に移載する作業を繰り返して研磨待パレット200「W001」が空になると、後述する「ロール移動処理」(図20)によって当該パレット200のロール本数が「0」に設定されて、「空パレット入庫条件」が満たされる(W4、W11)(S209:YES)。
「空パレット入庫条件」を満たす場合(S209:YES)、研磨待リフタ37から空パレット200を自動入庫するための「研磨待リフタ入庫処理」が実行される(S211)。「研磨待リフタ入庫処理」では、まず空パレット200の「入庫引当処理」が実行される。具体的には、管理サーバ3では、先述の「入庫引当処理」(S109)と同様に、自動倉庫70の空き収容棚に対して空パレット200(ここでは、パレットNo「W001」)の入庫予約がなされる。空パレット200の「入庫引当処理」が完了すると、クレーン制御盤78に対して完了指示要求が発行される。完了指示要求が発行されると、クレーン制御盤78が研磨エリア30に設けられた研磨待完了PBLを点滅させて、作業者に対して空パレット200の入庫搬送が可能である旨を報知する。作業者が研磨待完了PBLを押下すると、研磨待リフタ37、中央研磨コンベア36、研磨入出庫トラバーサ33、クレーン71の各制御指示が、クレーン制御盤78に対して順次発行される。発行された制御指示に応じて各搬送機器が連動して、研磨待リフタ37の上段位置37bに在席する空パレット200を自動倉庫70まで搬送して入庫予約済の収容棚に格納する(W12、13)。「研磨待リフタ入庫処理」が終了すると、「入庫完了設定」が実行されて各種DBが更新される。
次に、「空パレット入庫条件」を満たさない場合(S209:NO)、研磨済リフタ38から研磨済パレット200を入庫すべき条件(「研磨済パレット入庫条件」)を満たすか否かが、各管理DBやトラッキング情報等を参照して判定される(S213)。具体的には、「研磨済パレット入庫条件」として、研磨済リフタ38上に研磨済ロール100を満載した実パレット200が在席していること、及び、自動倉庫70内にパレット200を収容可能な空きスペースがあること、などを満たしているか判定される。例えば、作業者が研磨済ロール100「AB340」〜「AB349」を第一研磨機31から研磨済リフタ38に移載する作業を繰り返して空パレット200「W002」が満載になると、後述する「ロール移動処理」(図20)によって当該パレット200のロール本数が「10」に設定されて、「研磨済パレット入庫条件」が満たされる(W10、W14)(S213:YES)。
「研磨済パレット入庫条件」を満たさない場合は(S213:NO)、ステップS201に戻る。
「研磨済パレット入庫条件」を満たす場合(S213:YES)、研磨済リフタ38から研磨済パレット200を自動入庫するための「研磨済リフタ入庫処理」が実行される(S215)。「研磨済リフタ入庫処理」では、まず研磨済パレット200の「入庫引当処理」が実行される。具体的には、管理サーバ3では、先述の「入庫引当処理」(S109)と同様に、自動倉庫70の空き収容棚に対して研磨済パレット200(ここでは、パレットNo「W002」)の入庫予約がなされる。研磨済パレット200の「入庫引当処理」が完了すると、クレーン制御盤78に対して完了指示要求が発行される。完了指示要求が発行されると、クレーン制御盤78が研磨エリア30に設けられた研磨済完了PBLを点滅させて、作業者に対して研磨済パレット200の入庫搬送が可能である旨を報知する。作業者が研磨済完了PBLを押下すると、研磨済リフタ38、研磨待リフタ37、中央研磨コンベア36、研磨入出庫トラバーサ33、クレーン71の各制御指示が、クレーン制御盤78に対して順次発行される。発行された制御指示に応じて各搬送機器が連動して、研磨済リフタ38の上段位置38bに在席する研磨済パレット200を自動倉庫70まで搬送して入庫予約済の収容棚に格納する(W15、W16)。「研磨済リフタ入庫処理」が終了すると、「入庫完了設定」が実行されて各種DBが更新される。
作業者は、あらかじめPC5(例えば、研磨エリアPC5b)にて、ロール100が圧延エリア60に自動供給されるロール供給パターンを任意に設定する。ロール供給パターンは、外部記憶装置300に記憶される。ロール供給パターンは、例えば、「スムースのみ」、「ダルのみ」及び「交互」に設定される。ロール供給パターンが「スムースのみ」の場合、研磨処理のみが施された「スムース」ロール100が、圧延エリア60に自動供給される。ロール供給パターンが「ダルのみ」の場合、研磨処理及びダル加工処理が施された「ダル」ロール100が、圧延エリア60に自動供給される。ロール供給パターンが「交互」に設定されている場合、ダル加工なしの研磨済ロール100とダル加工ありの研磨済ロール100とを交互に圧延エリア60に供給する。
「研磨済リフタ入庫処理」が終了した研磨済ロール100のロール管理DB350は、ロール供給パターンに応じて更新される。具体的には、ロール供給パターンが「スムースのみ」に設定されている場合、ロール管理状態357が後述する「初回研磨済(研磨済)」から「圧延待」に更新される。ロール供給パターンが「ダルのみ」に設定されている場合、ロール管理状態357が後述する「初回研磨済(研磨済)」から「ダル待」に更新される。ロール供給パターンが「交互」に設定されている場合は、ロール管理状態357に「ダル待」及び「圧延待」が交互に設定される。
このように、「研磨自動入出庫処理」では、研磨待リフタ37に対する研磨待パレット200の供給及び空パレット200の回収と、研磨済リフタ38に対する空パレット200の供給及び研磨済パレット200の回収とが、ほぼ自動運行される。そのため、作業者が研磨待ロール100を出庫させたり研磨済ロール100を入庫させたりする手間が省かれて、ロール研磨工程における研磨待ロール100の供給及び研磨済ロール100の回収を迅速且つ正確に行うことができる。
図19に示す「研磨実行処理」は、第一研磨機31及び第二研磨機32のそれぞれに併設された定置式タグリーダ80で読み取られたタグIDが管理サーバ3で受け付けられたことを契機として開始される(S231)。具体的には、作業者は、第一研磨機31又は第二研磨機32に研磨待ロール100を移載するに際して、第一研磨機31又は第二研磨機32に併設された定置式タグリーダ80上に当該ロール100から取り外したロールエンドカバー110を載置する(W4)。定置式タグリーダ80は、載置されたロールエンドカバー110に収容されたロールタグ15からタグIDを自動的に読み取って管理サーバ3に送信する。管理サーバ3にて当該タグIDの読み取りが受け付けられると、以下の処理が実行される。
まず、第一研磨機31又は第二研磨機32に設置された研磨待ロール100を特定する「研磨ロール認識処理」が実行される(S233)。具体的には、ロール管理DB350を参照して、ステップS231で受け付けられたタグIDに対応する研磨待ロール100が特定される。なお、ネック研磨加工ではネック研磨待ロール100が特定される。
次に、研磨待ロール100が設置された研磨機を特定する「研磨機認識処理」が実行される(S235)。具体的には、管理サーバ3は、タグIDを読み取った定置式タグリーダ80の識別IDによって、第一研磨機31と第二研磨機32との何れに研磨待ロール100が設置されたかを特定する。例えば、第一研磨機31に併設された定置式タグリーダ80に、タグID「10000」のロールタグ15を搭載したロールエンドカバー110が載置されると、定置式タグリーダ80の識別IDから研磨待ロール100が第一研磨機31に設置されたことが特定され、ロール管理DB350を参照して研磨待ロール100のロールNo「AB340」が特定される。
次に、研磨待ロール100に対して研磨処理が実行される前処理として、ロール管理DB350にて各種データが更新される(S237)。具体的には、移動元パレット200「W001」について、ロール本数339が「1」減算され(ここでは「9」)、ロールNo340から「AB340」が削除されて他ロール100のロール位置が更新される(ここでは、「1本目:AB341」〜「9本目:AB349」)。研磨待ロール100について、在籍位置355が「その他」に更新されるとともに、ロール管理状態357が「初回研磨待(研磨待)」から「初回研磨中(研磨中)」に更新される。
次に、第一研磨機31による研磨処理を実行制御するためのプログラムであるロール研磨制御指示が作成されるとともに、第一研磨機31に対して当該ロール研磨制御指示が発行される(S239)。ステップS239では、ロール管理DB350に設定されている研磨待ロール100の詳細情報や、あらかじめ作業者によって設定された研磨内容などに応じて、各研磨待ロール100に応じた最適なプログラム(ロール研磨制御指示)が自動的に作成及び発行される。定置式タグリーダ80によりタグIDを読み取った後に、ロール研磨制御指示が発行されるため、作業者によるロールエンドカバー110の取り外しミスを防止することができる。
ロール研磨制御指示が発行されると、研磨エリア30では第一研磨機31が研磨実行PBLを点滅させて、作業者に対して1サイクルの研磨処理が実行可能となった旨を報知する。作業者が任意のタイミングで研磨実行PBLを押下すると、第一研磨機31はロール研磨制御指示に基づいて研磨待ロール100のロール表面に対して1サイクルの研磨処理を実行する(W5〜W6)。1サイクルの研磨処理が終了すると研磨実行PBLが再び点滅するため、作業者は研磨実行PBLを押下することで一のロール100に対して複数サイクルの研磨処理を施すことができる(再研磨)。ロール100に対する研磨処理が終了すると、第一研磨機31はロール100に対する研磨処理の実績データ(ロール研磨実績)を管理サーバ3に発行する。
管理サーバ3では、第一研磨機31から発行されたロール研磨実績が受け付けられると(S241:YES)、ロール研磨実績が「研磨実績情報」としてロール管理DB350の研磨関連情報361などに設定される。
次に、管理サーバ3は、第一研磨機31から発行されたロール研磨実績を受け付けると、無線式マイクロメータでのロール径測定を完了したか否か判定する(S243)。ロール100に対して研磨処理を行なってロール径が小さくなると、ロール管理DB350に登録されている当該ロール100のロール径区分354を研磨前とは変更しなくてはならないことがあるためロール径の管理が必要となる。管理サーバ3のロール研磨制御指示にて予定されていた研削量と、第一研磨機31での実際の研削量とは、必ずしも一致しない場合があるため、実際のロール径が測定される。作業者は、研磨処理が終了すると研磨済ロール100のロール径を測定器85で規定回数を満たすように測定する(W7)。ワークロール100aの場合、3点においてロール径を測定する。測定器85は、測定したロール径データを自動的に管理サーバ3に送信する。管理サーバ3は、測定器85で計測されたロール径データを規定回数分受信したら、無線式マイクロメータでのロール径測定が完了したと判定する。
管理サーバ3は、ロール径測定が完了済みであれば(S243:YES)、第一研磨機31で発行されたロール研磨実績よりも優先して、測定器85で測定されたロール径データを「ロール径情報」として採用する(S245)。
測定器85でのロール径測定が行なわれない場合、あるいは、測定器85から受信したロール径測定データが異常であった場合は(S243:NO)、第一研磨機31で発行されたロール研磨実績のロール径データを「ロール径情報」として採用する(S247)。
管理サーバ3は、「ロール径情報」に基づいて研磨済ロール100のロール径区分の変更要否が判断する。ロール径区分の変更が必要であれば、管理サーバ3は、ロール管理DB350にて現在のロール径に最適なロール径区分354を設定する(S249)。
このように、「研磨実行処理」(図19)では、作業者が第一研磨機31に研磨待ロール100を設置してサイクル開始PBLを押下するだけで、研磨待ロール100に対して最適な研磨処理が実行されるとともに、管理サーバ3にて自動的に当該研磨処理に関する情報が記録される。そのため、作業者が研磨内容を指示したり研磨処理に関する情報を入力したりする手間が省かれて、ロール100に対する研磨処理を迅速且つ正確に行うことができる。
図20に示す「ロール移動処理」は、「ロール移動(TO研磨済リフタ)」コマンドが受け付けられたことを契機として開始される(S251)。すなわち、作業者が無線HT6で「ロール移動(TO研磨済リフタ)」と表記されたアクションタグ17を読み取ると(W9)、管理サーバ3では「ロール移動(TO研磨済リフタ)」コマンドの受付ありと判定されて、以下の処理が実行される。
まず、研磨済ロール100を第一研磨機31から研磨済リフタ38に移動させる前に、ロール移動先の研磨済リフタ38の状況チェックが行なわれる(S253)。具体的には、パレット管理DB330やトラッキング情報を参照して、研磨済リフタ38上にパレット200が在席しており、かつ、当該パレット200に研磨済ロール100を載置可能な空きスペースがあれば、移動先状況に問題なしと判定される。移動先状況に問題がある場合は、管理サーバ3は、無線HT6にエラーを出力させる。
移動先状況に問題がない場合は、パレット管理DB330を参照して、ロール移動先となる研磨済リフタ38上に在席するパレット200(ここでは、パレットNo「W002」)の詳細情報が無線HT6に表示される(S255)。
次に、管理サーバ3では、タグIDを受け付けたか否かが判定される(S257)。作業者は、無線HT6でロール移動先となるパレット200の状況を確認したうえで、研磨済ロール100を第一研磨機31から研磨済リフタ38に移載する作業を開始する(W10)。作業者が研磨済ロール100を移載する際にロールエンドカバー110のロールタグ15を無線HT6で読み取ると、管理サーバ3ではタグIDの受付ありと判定される。ここでは、ステップS257において、研磨済ロール100「AB340」に対応するタグID「10000」が受け付けられる。
タグIDの受付がない場合(S257:NO)、ステップS257に戻って待ち状態となる。
タグIDが受け付けられると(S257:YES)、当該タグIDに対応する研磨済ロール(移動対象ロール)100を研磨済リフタ38上のパレット(移動先パレット)200に移載するための条件(「パレット移動条件」)を満たすか否かが、各管理DBやトラッキング情報等を参照して判定される(S259)。具体的には、「パレット移動条件」として、移動対象ロール100が移動先パレット200に搭載済みの他のロール100と均等であることが、ロール管理DB350を参照して判定される。移動対象ロール100が移動先パレット200上の他ロール100と均等であるか否かは、当該パレット200に搭載された1本目のロール100を基準に判断するものとし、移動対象ロール100が1本目に相当するときは本判断を行なわない。移動対象ロール100が搭載済みの他ロール100と均等であることを「パレット移動条件」とすることで、ほぼ均一な複数の研磨済ロール100のみを移動先パレット200に搭載することができる。
「パレット移動条件」を満たさない場合(S259:NO)、管理サーバ3は、無線HT6にエラーを出力させる(S261)。
「パレット移動条件」を満たす場合(S259:YES)、ロール管理DB350を参照して、移動対象ロール100の詳細情報が無線HT6に表示される(S263)。
作業者が、無線HT6にて移動対象ロール100の詳細情報を確認したうえで移動実行を指示すると、移動実行設定として各種DBが更新される(S265)。例えば、ロール管理DB350では、移動対象ロール100「AB340」について、ロール加工状態356が「研磨済」に更新され、パレットNo358が「W002」に更新され、ロール管理状態357が「初回研磨中(研磨中)」から「初回研磨済(研磨済)」に更新され、パレット内位置359がパレット200「W002」でのロール位置(ここでは、「1」)に応じて更新される。パレット管理DB330では、移動先パレット200「W002」について、ロール本数339が「1」加算され、ロールNo340「AB340」がロール位置(ここでは「1」)に応じて設定される。移動元パレット200「W001」について、ロール本数339が「1」減算され(ここでは「9」)、ロールNo340から「AB340」が削除されて他ロール100のロール位置が更新される(ここでは、「1本目:AB341」〜「9本目:AB349」)。
このように、「研磨実行処理」(図19)において作業者が無線HT6で研磨待ロール100からロールタグ15を読み取った後に、「ロール移動処理」(図20)において、作業者が無線HT6で移動対象の研磨済ロール100からロールタグ15を読み取ることにより、当該ロール100について移動元パレット(研磨待パレット)200から移動先パレット(空パレット)200に紐付けが更新される。そのため、ロール100が搭載されるパレット200が研磨処理の前後で変化しても、作業者がロール100とパレット200との紐付けをその都度更新するような手間を生じることがなく、第一研磨機31に対するロール100の移載作業を迅速且つ正確に行うことができる。
[ダル加工工程]
図21〜図23を参照して、ロールショップ管理システム1におけるダル加工工程(プロセスT3)の運用制御を説明する。なお、本実施形態のダル加工工程では、パレット200「W002」に搭載された研磨済ロール100「AB340」〜「AB349」が、ダル加工機41を用いてロール表面にダル加工が施される場合を例示する。
まず、図21を参照して、ダル加工工程において、ダルエリア40を中心に作業者や各種機器が実行する一連の動作(オペレーションX)について説明する。ダル加工工程では、ダルエリア40に設けられた各搬送機器が「搬送中」でなく、ダル供給台車42及びダル回収台車43が倉庫側に位置している設備状態を初期状態とする。初期状態では、ダル加工機41が未使用状態であり、ダル加工機41及び各搬送機器のいずれにもロール100及びパレット200が存在していないものとする(X1)。
なお、ダル加工工程に際して、管理サーバ3ではロール管理DB350を参照して、在籍位置355「倉庫内」かつロール管理状態357「ダル待」のレコードに対応するロール(ダル待ロール)100の一覧であるダル待ロールリストが作成される。ダル加工工程では、ダル待ロールリストへの登録順に基づいて、ダル待ロール100がダルエリア40に順次供給される。
初期状態において、自動倉庫70のクレーン71は、ダル待ロールリストに登録されたダル待ロール100(ここでは、ロールNo「AB340」〜「AB349」)を搭載したパレット(ダル待パレット)200(ここでは、パレットNo「W002」)を収容棚からダル供給台車42に搬送する。ダル供給台車42上にダル待パレット200が荷置きされると、ダル供給台車42が倉庫側からダル側に移動する(X2)。
次に、クレーン71は、空パレット200(ここでは、パレットNo「W003」)を収容棚からダル回収台車43に搬送する。ダル回収台車43上に空パレット200が荷置きされると、ダル回収台車43が倉庫側からダル側に移動する(X3)。
ダルエリア40のダルロール移載機44は、ダル供給台車42上のダル待パレット200から1本のダル待ロール100を荷取りする(X4)。ダルロール移載機44は、ダル待パレット200のDS面右側(10本目のロール位置)から順に、ダル待ロール100を荷取りする。
ダルロール移載機44は旋回動作によってダル待ロール100を搬送して、ダル加工機41上に設置する(X5)。
ダル加工機41にダル待ロール100が供給されると、ダル加工機41は当該ロール100に対してショットブラストを行なってロール表面にダル加工を施す(X6)。
ダル加工機41でのダル加工処理が終了すると、ダルロール移載機44はダル加工機41からダル済ロール100を荷取りし、旋回動作によってダル済ロール100を搬送してダル回収台車43上の空パレット200に荷置きする(X7)。ダルロール移載機44は、空パレット200のDS面左側(1本目のロール位置)から順に、ダル済ロール100を荷置きする。
ダル加工機41及びダルロール移載機44は、ダル待パレット200に搭載された全てのダル待ロール100について、オペレーションX4〜X7を1本ずつ繰り返し実行する。
ダル待パレット200に搭載された全てのダル待ロール100が荷取りされると、ダル供給台車42上のダル待パレット200が空になる(空パレット200が発生する。)(X8)。
ダル供給台車42上に空パレット200が発生すると、ダル供給台車42はダル側から倉庫側に移動する。自動倉庫70のクレーン71は、倉庫側に到着したダル供給台車42から空パレット200を荷取りして収容棚に格納する(X9)。
ダル回収台車43上の空パレット200にダル済ロール100が満載されると、ダル済ロール100が10本搭載されたダル済パレット200が発生する(X10)。
ダル済パレット200が発生すると、ダル回収台車43は、ダル側から倉庫側に移動する。クレーン71は、倉庫側に到着したダル回収台車43からダル済パレット200を荷取りして収容棚に格納する(X11)。
以上により、パレット200「W002」に搭載されたロール100「AB340」〜「AB349」が自動倉庫70からダルエリア40に供給され、当該ロール100がダル加工機41にてダル加工処理が施されたのちに、ロール100「AB349」〜「AB340」がパレット200「W003」に搭載されてダルエリア40から自動倉庫70に回収される。
ダルロール移載機44が、パレット200「W002」のDS面右側(10本目位置)から順に荷取する一方、パレット200「W003」のDS面左側(1本目位置)から順に荷置するため、パレット200「W002」及び「W003」でロール100「AB349」〜「AB340」の積載順が逆になる。
次に、図22及び図23を参照して、ダル加工工程において管理サーバ3が実行する一連の内部的処理として、ダルエリア40に対するダル待ロール100の供給及びダル済ロール100の回収を自動運行するための「ダル自動入出庫処理」、及び、ダル待ロール100に対してダル加工処理を施すための「ダル加工実行処理」、をそれぞれ説明する。
図22に示す「ダル自動入出庫処理」では、まずダル供給台車42にダル待パレット200を出庫すべき条件(「ダル待パレット出庫条件」)を満たすか否かが、各管理DBやトラッキング情報等を参照して判定される(S301)。具体的には、「ダル待パレット出庫条件」として、自動倉庫70内にダル待パレット200が存在していること、及び、ダル供給台車42にパレット200の在席がないこと、などを満たしているか判定される。例えば、初期状態(X1)であれば「ダル待パレット出庫条件」が満たされる(S301:YES)。
「ダル待パレット出庫条件」を満たす場合(S301:YES)、ダル供給台車42にダル待パレット200を自動出庫するための「ダル供給台車出庫処理」が実行される(S303)。「ダル供給台車出庫処理」では、まずダル待パレット200の「出庫引当処理」が実行される。具体的には、管理サーバ3では、先述の「研磨待リフタ出庫処理」における「出庫引当処理」(S203)と同様に、出庫対象のダル待ロール100を搭載したダル待パレット200の出庫予約がなされる。ダル待パレット200の「出庫引当処理」が完了すると、クレーン71及びダル供給台車42の各制御指示が、クレーン制御盤78に対して順次発行される。制御指示に応じて各搬送機器が連動して、自動倉庫70内のダル待パレット200をダル供給台車42に搭載してダル側に搬送する(X2)。ここでは、ロールNo「AB340」〜「AB349」のダル待ロール100を搭載したパレットNo「W002」のダル待パレット200が出庫予約され、当該ダル待パレット200がダル供給台車42のダル側に搬送される。
次に、「ダル待パレット出庫条件」を満たさない場合(S301:NO)、ダル回収台車43に空パレット200を出庫すべき条件(「空パレット出庫条件」)を満たすか否かが、各管理DBやトラッキング情報等を参照して判定される(S305)。具体的には、「空パレット出庫条件」として、自動倉庫70内に空パレット200が存在していること、及び、ダル回収台車43にパレット200の在席がないこと、などを満たしているか判定される。例えば、オペレーションX2の実行後は「空パレット出庫条件」が満たされる(S305:YES)。
「空パレット出庫条件」を満たす場合(S305:YES)、ダル回収台車43に空パレット200を自動出庫するための「ダル回収台車出庫処理」が実行される(S307)。「ダル回収台車出庫処理」では、まず空パレット200の「出庫引当処理」が実行される。具体的には、先述の「研磨済リフタ出庫処理」における「出庫引当処理」(S207)と同様に、空パレット200の「出庫引当処理」が実行される。空パレット200の「出庫引当処理」が完了すると、クレーン71及びダル回収台車43の各制御指示が、クレーン制御盤78に対して順次発行される。制御指示に応じて各搬送機器が連動して、自動倉庫70内の空パレット200をダル回収台車43に搭載してダル側に搬送する(X3)。ここでは、パレットNo「W003」の空パレット200の「出庫引当処理」が実行され、当該空パレット200がダル回収台車43のダル側に搬送される。
次に、「空パレット出庫条件」を満たさない場合(S305:NO)、ダル供給台車42から空パレット200を入庫すべき条件(「空パレット入庫条件」)を満たすか否かが、各管理DBやトラッキング情報等を参照して判定される(S309)。具体的には、「空パレット入庫条件」として、ダル供給台車42上に空パレット200が在席していること、及び、自動倉庫70内にパレット200を収容可能な空きスペースがあること、などを満たしているか判定される。例えば、ダルロール移載機44がダル待ロール100「AB349」〜「AB340」をダル供給台車42からダル加工機41に供給する動作を繰り返してダル待パレット200「W002」が空になると、後述する「ダル加工実行処理」(図23)によって当該パレット200のロール本数が「0」に設定されて、「空パレット入庫条件」が満たされる(X4、X5、X8)(S309:YES)。
「空パレット入庫条件」を満たす場合(S309:YES)、ダル供給台車42から空パレット200を自動入庫するための「ダル供給台車入庫処理」が実行される(S311)。ステップS311の「ダル供給台車入庫処理」では、まず空パレット200の「入庫引当処理」が実行される。具体的には、管理サーバ3では、ステップS211での「入庫引当処理」と同様に、自動倉庫70の空き収容棚に対して空パレット200(ここでは、パレットNo「W002」)の入庫予約がなされる。空パレット200の「入庫引当処理」が完了すると、ダル供給台車42及びクレーン71の各制御指示が、クレーン制御盤78に対して順次発行される。制御指示に応じて各搬送機器が連動して、ダル供給台車42に搭載された空パレット200を自動倉庫70まで搬送して入庫予約済の収容棚に格納する(X9)。「ダル供給台車入庫処理」が終了すると、「入庫完了設定」が実行されて各種DBが更新される。
次に、「空パレット入庫条件」を満たさない場合(S309:NO)、ダル回収台車43からダル済パレット200を入庫すべき条件(「ダル済パレット入庫条件」)を満たすか否かが、各管理DBやトラッキング情報等を参照して判定される(S313)。具体的には、「ダル済パレット入庫条件」として、ダル回収台車43上にダル済ロール100を10本搭載した実パレット200が在席していること、及び、自動倉庫70内にパレット200を収容可能な空きスペースがあること、などを満たしているか判定される。例えば、ダルロール移載機44がダル済ロール100「AB349」〜「AB340」をダル加工機41からダル回収台車43に移載する動作を繰り返してダル済パレット200「W003」が満載になると、後述する「ダル加工実行処理」(図23)によって当該パレット200のロール本数が「0」に設定されて、「ダル済パレット入庫条件」が満たされる(X7、X10)(S313:YES)。
「ダル済パレット入庫条件」を満たさない場合は(S313:NO)、ステップS301に戻る。
「ダル済パレット入庫条件」を満たす場合(S313:YES)、ダル回収台車43からダル済パレット200を自動入庫するための「ダル回収台車入庫処理」が実行される(S315)。「ダル回収台車入庫処理」では、まずダル済パレット200の「入庫引当処理」が実行される。具体的には、ステップS215での「入庫引当処理」(S215)と同様に、自動倉庫70の空き収容棚に対してダル済パレット200(ここでは、パレットNo「W003」)の入庫予約がなされる。そして、ダル済パレット200の「入庫引当処理」が完了すると、ダル回収台車43及びクレーン71の各制御指示が、クレーン制御盤78に対して順次発行される。制御指示に応じて各搬送機器が連動して、ダル回収台車43に搭載されたダル済パレット200を自動倉庫70まで搬送して入庫予約済の収容棚に格納する(X11)。「ダル回収台車入庫処理」が終了すると、「入庫完了設定」が実行されて各種DBが更新される。
このように、「ダル自動入出庫処理」(図22)では、ダル供給台車42に対するダル待パレット200の供給及び空パレット200の回収と、ダル回収台車43に対する空パレット200の供給及びダル済パレット200の回収とが、ほぼ自動運行される。そのため、作業者がダル待ロール100を出庫させたりダル済ロール100を入庫させたりする手間が省かれて、ダル加工工程におけるダル待ロール100の供給及びダル済ロール100の回収を迅速且つ正確に行うことができる。
図23に示す「ダル加工実行処理」は、まずダル加工機41にてダル加工処理を実行すべき条件(「ダル加工実行条件」)が成立したことを契機に開始される(S331)。具体的には、ダル供給台車42上にダル待ロール100を搭載したパレット200が在席すること、ダル回収台車43上にダル済ロール100を搭載可能な空スペースを有するパレット200が存在すること、ダルエリア40の各設備機器がダウンしていないこと、などを満たしていれば「ダル加工実行条件」が成立したものとして、以下の処理が実行される。
まず、ダル加工機41にてショットブラスト部での目詰まりを防止するためのシェーキング処理が実行されているか否かが判定される(S333)。
ダル加工機41にてシェーキング処理が実行中である場合(S333:YES)、シェーキング処理が終了するまでステップS333にて待ち状態となる。
ダル加工機41にてシェーキング処理が実行されていない場合(S333:NO)、ダルロール移載機44の制御指示がクレーン制御盤78に対して発行されるともに(S335)、ロール管理DB350では移載対象のダル待ロール100について各種データが更新される。例えば、移載対象のダル済ロール100(ここでは、ロールNo「AB349」とする。)のロール管理状態357が「ダル待」から「ダル中」に更新される。パレット管理DB330では、ダル待パレット200(すなわち、パレットNo「W002」)について、ロール本数339が「1」減算され(ここでは、「9」)、10本目のロールNo340「AB349」が削除される。
ダルエリア40では、ステップS335で発行された制御指示に応じてダルロール移載機44がハンドリング動作を行って、ダル待パレット200のDS面右側に位置するダル待ロール100をダル供給台車42からダル加工機41に供給する(X5)。ダル加工機41にダルロール移載機44が設置されると、ダル加工機41は管理サーバ3に対して1サイクルのダル加工処理の指令要求を発行する。
管理サーバ3では、ダル加工処理の指令要求ありと判定されると(S337:YES)、ダル加工機41によるダル加工処理を実行制御するためのプログラムであるダル加工制御指示が作成されるとともに、ダル加工機41に対してダル加工制御指示が発行される(S339)。ステップS339では、ロール管理DB350に設定されているダル待ロール100の詳細情報や、あらかじめ作業者によって設定されたダル加工内容などに応じて、各ダル待ロール100に応じた最適なプログラム(ダル加工制御指示)が自動的に作成及び発行される。
ダル加工機41は、ダル加工制御指示に基づいてダル待ロール100に対して1サイクルのショットブラストを実行してロール表面にダル加工を施す。ダル待ロール100に対するダル加工処理が終了すると、ダルロール移載機44のハンドリング動作によって、ダル済ロール100がダル回収台車43上の空パレット(ダル済パレット)200のDS面左側に位置するようにダル加工機41からダル回収台車43に回収される(X6、X7)。ダル加工機41は、ダル加工処理が完了すると、ロール100に対するダル加工処理の実績データ(ダル加工実績)を管理サーバ3に発行する。
管理サーバ3では、ダル加工機41から発行されたダル加工実績が受け付けられると(S341)、ダル加工完了設定として各種DBが更新されるとともに、ダル加工実績が「ダル実績情報」としてロール管理DB350のダル関連情報362などに設定される(S343)。例えば、ロール管理DB350では、ダル済ロール100「AB349」について、ロール加工状態356「ダル済」、パレットNo358「W003」に更新され、ロール管理状態357が「ダル中」から「ダル済」に更新され、パレット内位置359がパレット200「W003」でのロール位置(ここでは「1」)に更新される。パレット管理DB330では、ダル済パレット200「W003」について、ロール本数339が「1」加算され、ロールNo340「AB349」がロール位置(ここでは「1」)に応じて設定される。
ダルロール移載機44は、パレット200「W002」のDS面右側(10本目位置)から順に荷取する一方、パレット200「W003」のDS面左側(1本目位置)から順に荷置する。「ダル加工実行処理」を実行することにより管理サーバ3では、自動的にパレット200「W002」及び「W003」でロール100「AB349」〜「AB340」の積載順が逆になるようにパレット内位置359が設定される。ダル待パレット200内におけるダル待ロール100のパレット内位置359と、ダル済パレット200内におけるダル済ロール100のパレット内位置359とが異なっていても、「ダル加工実行処理」を実行することにより正確にパレット内位置359を管理することができる。
このように、「ダル加工実行処理」(図23)では、ダル加工機41に対するロール100の供給及び回収がダルロール移載機44によって自動運行されるとともに、ダル加工機41ではダル待ロール100に対して最適なダル加工処理が自動実行される。また、管理サーバ3では、研磨済ロール100について、当該ダル加工処理に関する情報が自動的に記録されるとともに、移動元パレット(ダル待パレット)200から移動先パレット(空パレット)200に紐付けが更新される。そのため、作業者がダル加工機41に対するロール100の移載作業を行う必要がなく、ダル加工内容を指示したりロール100とパレット200との紐付けを更新したりする手間が省かれて、ロール100に対するダル加工処理を迅速且つ正確に行うことができる。
[ロール交換工程]
図24〜図29を参照して、ロールショップ管理システム1におけるロール交換工程(プロセスT4)の運用制御を説明する。なお、本実施形態のロール交換工程では、パレット200「W003」に搭載されたダル済ロール100「AB349」〜「AB340」が、ZM圧延機2の旧ロール100に代えて組み込まれ、更に、圧延作業にて使用済みの圧延済ロール100「AB349」〜「AB340」が新ロール100に代えてZM圧延機2から取り外される場合を例示する。
まず、図24〜図26を参照して、ロール交換工程において、圧延エリア60を中心に作業者や各種機器が実行する一連の動作(オペレーションY)について、ZM供給エリア61に関連するオペレーションと、ZM回収エリア62に関連するオペレーションと、を分けて説明する。
ロール交換工程に際して、管理サーバ3ではロール管理DB350を参照して、在籍位置355「倉庫内」かつロール管理状態357「圧延待」のレコードに対応するロール(圧延待ロール)100の一覧である圧延エリア出庫リストが作成される。
圧延エリア出庫リストには、先述のロール供給パターンに基づいて、「スムース」ロール100(ロール加工状態356「研磨済」の圧延待ロール100)又は「ダル」ロール100(ロール加工状態356「ダル済」の圧延待ロール100)が設定される。ロール供給パターンが「スムースのみ」であれば、圧延エリア出庫リストに「スムース」ロール100のみが順に登録される。ロール供給パターンが「ダルのみ」であれば、圧延エリア出庫リストに「ダル」ロール100のみが順に登録される。ロール供給パターンが「交互」であれば、圧延エリア出庫リストに「スムース」ロール100及び「ダル」ロール100が交互順に登録される。
ロール交換工程では、圧延エリア出庫リストへの登録順に基づいて、圧延待ロール100が圧延エリア60に順次供給される。
まず、ロール交換工程では、ZM供給エリア61に設けられた各搬送機器が「搬送中」でなく、ロール供給トラバーサ65が後進位置にあり、受渡リフタ64a、64bがそれぞれ実ストックコンベア63の中段位置63cでパレット200を受け渡し可能な高さ位置にあるときの設備状態を、ZM供給エリア61の初期状態とする(Y1)。
ZM供給エリア61の初期状態では、実ストックコンベア63の上段位置63a及びロール供給トラバーサ65の上段位置65aにダル済パレット200がそれぞれ圧延待パレット200として収容され、かつ、実ストックコンベア63の下段位置63b及びロール供給トラバーサ65の下段位置65bに研磨済パレット200がそれぞれ圧延待パレット200として収容されているものとする。ここでは、理解を容易にするために、ダル済ロール100「AB349」〜「AB340」を搭載したダル済パレット200「W003」が、後述するように自動倉庫70から実ストックコンベア63への供給を経て、ロール供給トラバーサ65の上段位置65aに既に搭載されているものとする。
ZM供給エリア61の初期状態(Y1)で、作業者は、任意のタイミングでZM供給エリア61に設けられた供給トラバーサ前進PBLを押下する(Y2)。
供給トラバーサ前進PBLが押下されると、圧延待パレット200を搭載したロール供給トラバーサ65が後進位置から前進位置まで移動する(Y3)。
ロール供給トラバーサ65が前進位置に到達すると、作業者はロール供給トラバーサ65とチェンジャー69とを連結させる。そして、作業者は、無線HT6で「圧延使用前ロール移動」と表記されたアクションタグ17を読み取る(Y4)。
次に、作業者は、圧延待ロール100を転動させてロール供給トラバーサ65からチェンジャー69に移載する作業を開始する。作業者は、圧延待パレット200のDS面の左側に位置する圧延待ロール100から順に一本ずつチェンジャー69上に移載する。圧延待ロール100を移載するに際して、無線HT6で当該圧延済ロール100のロールタグ15を読み取ったうえでロールエンドカバー110を取り外す(Y5)。ここでは、作業者が、ロール供給トラバーサ65の上段位置65a(すなわち、ダル済パレット200「W003」)からチェンジャー69の供給側上段69aに、圧延済ロール100(すなわち、ダル済ロール100「AB349」〜「AB340」)を移載する場合を例示している。
作業者がオペレーションY5を繰り返すことでロール供給トラバーサ65上の圧延待パレット200が空になると(つまり、空パレット200が発生すると)(Y6)、ZM供給エリア61に設けられた供給トラバーサ後進PBLが点滅する。
次に、作業者は、ロール供給トラバーサ65とチェンジャー69との連結を解除したうえで点滅した供給トラバーサ後進PBLを押下する(Y7)。
供給トラバーサ後進PBLが押下されると、ロール供給トラバーサ65が前進位置から後進位置に移動する(Y8)。
ロール供給トラバーサ65が後進位置に到着すると、受渡リフタ64bが上昇してロール供給トラバーサ65の上段位置65aから空パレット200を荷受する。次に、受渡リフタ64bが下降して実ストックコンベア63の中段位置63cに空パレット200を荷渡する(Y9)。
次に、受渡リフタ64aが実ストックコンベア63の中段位置63cから空パレット200を荷受する。次に、受渡リフタ64bが上昇して実ストックコンベア63の上段位置63aから圧延待パレット200を荷受する(Y10)。
次に、受渡リフタ64aが空パレット200をメイントラバーサ90の供給部91に荷渡する。次に、受渡リフタ64bが圧延待パレット200をロール供給トラバーサ65の上段位置65aに荷渡する(Y11)。
なお、ZM供給エリア61から空パレット200(ここでは、パレットNo「W003」)が回収されると、後述するように空ストックコンベア66に供給されるものを除いて、当該パレット200は自動倉庫70に入庫される。詳細には、空パレット200がメイントラバーサ90の供給部91に荷渡されると、メイントラバーサ90が圧延エリア60側から入出庫エリア50側に移動して、供給部91が空パレット200を入庫コンベア52上に荷置する。入庫コンベア52が空パレット200を自動倉庫70側に搬送すると、クレーン71が当該パレット200を入庫コンベア52から荷取して収容棚に格納する。以上により、ロール供給トラバーサ65に対する圧延待パレット200の供給及び空パレット200の回収が完了する。
上記のオペレーションY1〜Y11によって、実ストックコンベア63の上段位置63aが空き状態となる。先述の圧延エリア出庫リストへの登録順に基づいて、空き状態の上段位置63aに圧延待パレット200が自動供給される。詳細には、自動倉庫70にてクレーン71が出庫対象の圧延待パレット200を出庫コンベア51に荷置きすると、出庫コンベア51は圧延待パレット200をメイントラバーサ90側に搬送して供給部91に荷渡する。メイントラバーサ90が入出庫エリア50側から圧延エリア60側に移動すると、供給部91が受渡リフタ64aに圧延待パレット200を荷渡する。受渡リフタ64aは、圧延待パレット200が荷置されると上昇して、実ストックコンベア63の上段位置63aに圧延待パレット200を荷渡する。これにより、実ストックコンベア63に圧延待パレット200が供給されるとともに、ZM供給エリア61は初期状態(Y1)となる。
ところで、作業者は、チェンジャー69を使用してZM圧延機2に使用されるロール100の交換作業を、以下のように行う。
まず、作業者は、チェンジャー69の組込部69eをZM圧延機2側に前進させてロール交換用開口部に挿入し、ZM圧延機2内にて交換対象の圧延済ロール(旧ロール)100を取り外して組込部69e上に設置する。次に、組込部69eをZM圧延機2側から後進させてロール交換用開口部から抜き出す(Y12)。
抜き出された組込部69e上の旧ロール100をロール回収トラバーサ68上に移載する(Y13)。
次に、作業者は、チェンジャー69にて供給側上段69a上の交換対象の圧延待ロール(新ロール)100を組込部69e上に搭載する(Y14)。
次に、組込部69eをZM圧延機2側に前進させてロール交換用開口部に挿入し、ZM圧延機2内にて新ロール100を旧ロール100に代えて取り付ける(Y15)。
作業者は、ZM圧延機2における全ての交換対象ロール100について、オペレーションY12〜Y15を1本ずつ実行する。
次に、ロール交換工程では、ZM回収エリア62に設けられた各搬送機器が「搬送中」でなく、ロール回収トラバーサ68が後進位置にあり、受渡リフタ67a、67bがそれぞれ空ストックコンベア66の中段位置66cでパレット200を受け渡し可能な高さ位置にあるときの設備状態を、ZM回収エリア62の初期状態とする(Y16)。
ZM回収エリア62の初期状態では、空ストックコンベア66の下段位置66b及びロール回収トラバーサ68に空パレット200がそれぞれ収容されているものとする。ここでは、理解を容易にするために、空パレット200「W004」が、後述するように自動倉庫70から空ストックコンベア66への供給を経て、ロール回収トラバーサ68に既に搭載されているものとする。
ZM回収エリア62の初期状態(Y16)で、作業者は、任意のタイミングでZM回収エリア62に設けられた回収トラバーサ前進PBLを押下する(Y17)。
回収トラバーサ前進PBLが押下されると、ロール回収トラバーサ68が後進位置から前進位置まで移動する(Y18)。ロール回収トラバーサ68が前進位置に到達すると、作業者はロール回収トラバーサ68とチェンジャー69とを連結させる。
次に、作業者は、無線HT6で「圧延使用後ロール移動」と表記されたアクションタグ17を読み取る(Y19)。
次に、作業者は、圧延済ロール100(ここでは、圧延済ロール100「AB349」〜「AB340」)をチェンジャー69からロール回収トラバーサ68に転動させて移載する作業を開始する。作業者は、チェンジャー69上の圧延済ロール100をロール回収トラバーサ68上の空パレット200(ここでは、パレットNo「W004」)のDS面左側から順に移載する。作業者は、各圧延済ロール100を移載するに際して、当該圧延済ロール100に新たなロールエンドカバー110を取り付けたうえで、無線HT6で当該ロールエンドカバー110のロールタグ15を読み取る(Y20)。
作業者がオペレーションY20を繰り返すことでロール回収トラバーサ68上の空パレット200に圧延済ロール100が満載されると(つまり、圧延済ロール100が10本搭載された圧延済パレット200が発生すると)(Y21)、ZM回収エリア62に設けられた回収トラバーサ後進PBLが点滅する。
作業者は、ロール回収トラバーサ68及びチェンジャー69の連結を解除したうえで点滅した回収トラバーサ後進PBLを押下する(Y22)。
回収トラバーサ後進PBLが押下されると、ロール回収トラバーサ68が前進位置から後進位置に移動する(Y23)。
ロール回収トラバーサ68が後進位置に到着すると、受渡リフタ67bがロール回収トラバーサ68から圧延済パレット200を荷受して、空ストックコンベア66の中段位置66cに圧延済パレット200を荷渡する(Y24)。
次に、受渡リフタ67aが空ストックコンベア66の中段位置66cから圧延済パレット200を荷受するとともに、受渡リフタ67bが下降して空ストックコンベア66の下段位置66bから空パレット200を荷受する(Y25)。
次に、受渡リフタ67aが圧延済パレット200をメイントラバーサ90の回収部92に荷渡するとともに、受渡リフタ67bが空パレット200をロール回収トラバーサ68に荷渡する(Y26)。
ZM回収エリア62から圧延済パレット200(ここでは、パレットNo「W004」)が回収されると、当該パレット200は自動倉庫70に入庫される。詳細には、圧延済パレット200がメイントラバーサ90の回収部92に荷渡されると、メイントラバーサ90が圧延エリア60側から入出庫エリア50側に移動して、回収部92が圧延済パレット200を入庫コンベア52上に荷置する。入庫コンベア52が圧延済パレット200を自動倉庫70側に搬送すると、クレーン71が当該パレット200を入庫コンベア52から荷取して収容棚に格納する。以上により、ロール回収トラバーサ68に対する空パレット200の供給及び圧延済パレット200の回収が完了する。
上記のオペレーションY16〜Y26によって、空ストックコンベア66の下段位置66bが空き状態となるが、ZM供給エリア61から回収される空パレット200がある場合は、当該空パレット200が下段位置66bに自動供給される。詳細には、ZM供給エリア61から空パレット200が回収されると(Y11参照)、メイントラバーサ90はZM供給エリア61からZM回収エリア62に移動して、受渡リフタ67aに空パレット200を荷渡する。受渡リフタ67aは、空パレット200が荷置されると下降して、空ストックコンベア66の下段位置66bに空パレット200を荷渡する。これにより、空ストックコンベア66に空パレット200が供給されるとともに、ZM回収エリア62は初期状態(Y16)となる。一方、ZM供給エリア61から回収される空パレット200がない場合、クレーン71、出庫コンベア51、メイントラバーサ90の搬送動作によって、自動倉庫70内の空パレット200がZM回収エリア62に供給される。
以上により、パレット200「W003」に搭載されたロール100「AB349」〜「AB340」が自動倉庫70から圧延エリア60に供給され、ZM圧延機2に新ロールとして取り付けられる。一方、ZM圧延機2にてロール100「AB349」〜「AB340」が使用されたのちは、旧ロールとしてパレット200「W004」に搭載されて圧延エリア60から自動倉庫70に回収される。
次に、図27〜図29を参照して、ロール交換工程(プロセスT4)において管理サーバ3が実行する一連の内部的処理として、圧延エリア60に対する圧延待ロール100の供給及び圧延済ロール100の回収を自動運行するための「圧延自動入出庫処理」、圧延待ロール100をZM圧延機2に供給するための「圧延使用前ロール移動処理」、及び、圧延済ロール100をZM圧延機2から回収するための「「圧延使用済ロール移動処理」、をそれぞれ説明する。
図27に示す「圧延自動入出庫処理」では、まずロール供給トラバーサ65を前進させるための条件(「供給トラバーサ前進可能条件」)を満たすか否かが、ロール供給トラバーサ65からのステータス情報に基づいて判定される(S401)。具体的には「供給トラバーサ前進可能条件」として、ロール供給トラバーサ65が後進位置にあること、及び、ロール供給トラバーサ65が「搬送中」でないこと、を満たしているか判定される。例えば、初期状態(Y1)であれば、「供給トラバーサ前進可能条件」が満たされる(S401:YES)。
「供給トラバーサ前進可能条件」が満たされた場合(S401:YES)、供給トラバーサ前進指示要求がクレーン制御盤78に対して発行される(S403)。供給トラバーサ前進指示要求が発せられると、クレーン制御盤78がZM供給エリア61に設けられた供給トラバーサ前進PBLを点滅させて、作業者に対してロール供給トラバーサ65が前進可能である旨を報知する。作業者が任意のタイミングで供給トラバーサ前進PBLを押下すると、クレーン制御盤78がロール供給トラバーサ65を後進位置から前進位置まで移動させる(Y2、Y3)。
「供給トラバーサ前進可能条件」を満たさない場合(S401:NO)、又は、供給トラバーサ前進指示要求が発行された場合、ロール供給トラバーサ65を後進させるための条件(「供給トラバーサ後進可能条件」)を満たすか否かが、各管理DBやトラッキング情報等を参照して判定される(S405)。具体的には、「供給トラバーサ後進可能条件」として、ロール供給トラバーサ65が前進位置にあること、ロール供給トラバーサ65が「搬送中」でないこと、及び、ロール供給トラバーサ65に空パレット200が在席していること、を満たしているか判定される。例えば、作業者が圧延待ロール100「AB349」〜「AB340」をロール供給トラバーサ65からチェンジャー69に移載する動作を繰り返して圧延待パレット200「W003」が空になると、後述する「圧延使用前ロール移動処理」(図28)によって当該パレット200のロール本数が「0」に設定されて、「供給トラバーサ後進可能条件」が満たされる(Y5、Y6)(S405:YES)。
「供給トラバーサ後進可能条件」を満たす場合(S405:YES)、供給トラバーサ後進指示要求がクレーン制御盤78に対して発行される(S407)。供給トラバーサ後進指示要求が発せられると、クレーン制御盤78がZM供給エリア61に設けられた供給トラバーサ後進PBLを点滅させて、作業者に対してロール供給トラバーサ65が後進可能である旨を報知する。作業者が任意のタイミングで供給トラバーサ後進PBLを押下すると、クレーン制御盤78がロール供給トラバーサ65を前進位置から後進位置まで移動させる(Y7、Y8)。
次に、ロール供給トラバーサ65が後進位置にあり、かつ、パレット200を搭載しているか否かが、各管理DBやトラッキング情報等を参照して判定される(S409)。
ロール供給トラバーサ65が後進位置に到着した場合(S409:YES)、ロール供給トラバーサ65から空パレット200を自動回収するための「空パレット回収処理」が開始される(S411)。「空パレット回収処理」は、空ストックコンベア66に空パレット200を収容可能な空スペースが有るか否かによって、以下のように処理内容が異なっている。
空ストックコンベア66に空パレット200を収容可能な空スペースがない場合、ステップS211及びステップS311などと同様に、まず空パレット200の「入庫引当処理」が実行される。空パレット200の「入庫引当処理」が完了すると、ロール供給トラバーサ65、受渡リフタ64b、実ストックコンベア63、受渡リフタ64a、メイントラバーサ90、入庫コンベア52、クレーン71の各制御指示が、クレーン制御盤78又は周辺制御盤79に対して順次発行される。制御指示に応じて各搬送機器が連動して、ロール供給トラバーサ65の上段位置65aに在席する空パレット200を自動倉庫70まで搬送して入庫予約済の収容棚に格納する(Y9〜Y11)。管理サーバ3では、「入庫完了設定」が実行されて各種DBが更新される。
空ストックコンベア66に空パレット200を収容可能な空スペースがある場合、ロール供給トラバーサ65、受渡リフタ64b、実ストックコンベア63、受渡リフタ64a、メイントラバーサ90、受渡リフタ67a、空ストックコンベア66の各制御指示が、クレーン制御盤78又は周辺制御盤79に対して順次発行される。制御指示に応じて各搬送機器が連動して、ロール供給トラバーサ65の上段位置65aに在席する空パレット200を、自動倉庫70を経由することなく空ストックコンベア66に直接搬送する(Y9〜Y11)。
「空パレット回収処理」によりロール供給トラバーサ65及び受渡リフタ64bから空パレット200の在席がなくなった時点で、ロール供給トラバーサ65に圧延待パレット200を自動補充するための「実パレット補充処理」が開始される(S413)。「実パレット補充処理」では、実ストックコンベア63、受渡リフタ64b、ロール供給トラバーサ65の各制御指示が、クレーン制御盤78又は周辺制御盤79に対して順次発行される。制御指示に応じて各搬送機器が連動して、実ストックコンベア63の上段位置63aに在席する圧延待パレット200をロール供給トラバーサ65の上段位置65aまで搬送する(Y9〜Y11)。
次に、実ストックコンベア63に圧延待パレット200を収容可能な空スペースが発生した時点で、実ストックコンベア63に圧延待パレット200を自動供給するための「実パレット供給処理」が開始される(S415)。「実パレット供給処理」では、「研磨待リフタ出庫処理」における「出庫引当処理」(S203)及び「ダル供給台車出庫処理」における「出庫引当処理」(S303)などと同様に、まず圧延待パレット200の「出庫引当処理」が実行される。そして、圧延待パレット200の「出庫引当処理」が完了すると、クレーン71、出庫コンベア51、メイントラバーサ90、受渡リフタ64a、実ストックコンベア63の各制御指示が、クレーン制御盤78又は周辺制御盤79に対して順次発行される。制御指示に応じて各搬送機器が連動して、自動倉庫70内に収容された圧延待パレット200を実ストックコンベア63の上段位置63aまで搬送する(Y9〜Y11)。
ステップS405で「供給トラバーサ後進可能条件」を満たさない場合(S405:NO)、又は、ステップS409でロール供給トラバーサ65が後進位置にない場合(S409:NO)、ロール回収トラバーサ68を前進させるための条件(回収トラバーサ前進可能条件)を満たすか否かが、ロール回収トラバーサ68からのステータス情報に基づいて判定される(S417)。具体的には、「回収トラバーサ前進可能条件」として、ロール回収トラバーサ68が後進位置にあること、及び、ロール回収トラバーサ68が「搬送中」でないこと、を満たしているか判定される。例えば、初期状態(Y16)であれば、「回収トラバーサ前進可能条件」が満たされる(S417:YES)。
「回収トラバーサ前進可能条件」が満たされると(S417:YES)、回収トラバーサ前進指示要求がクレーン制御盤78に対して発行される(S419)。回収トラバーサ前進指示要求が発せられると、クレーン制御盤78がZM回収エリア62に設けられた回収トラバーサ前進PBLを点滅させて、作業者に対してロール回収トラバーサ68が前進可能である旨を報知する。作業者が任意のタイミングで回収トラバーサ前進PBLを押下すると、クレーン制御盤78がロール回収トラバーサ68を後進位置から前進位置まで移動させる(Y18、Y19)。
「回収トラバーサ前進可能条件」を満たさない場合(S417:NO)、ステップS421が実行される。
次に、ロール回収トラバーサ68を後進させるための条件(「回収トラバーサ後進可能条件」)を満たすか否かが、各管理DBやトラッキング情報等を参照して判定される(S421)。具体的には、「回収トラバーサ後進可能条件」として、ロール回収トラバーサ68が前進位置にあること、ロール回収トラバーサ68が「搬送中」でないこと、及び、ロール回収トラバーサ68に圧延済ロール100を10本搭載した実パレット200が在席していること、を満たしているか判定される。
「回収トラバーサ後進可能条件」を満たす場合(S421:YES)、回収トラバーサ後進指示要求がクレーン制御盤78に対して発行される(S423)。例えば、作業者が圧延済ロール100「AB349」〜「AB340」をチェンジャー69からロール回収トラバーサ68に移載する動作を繰り返して空パレット200「W004」が満載になると、後述する「圧延使用済ロール移動処理」(図29)によって当該パレット200のロール本数が「10」に設定されて、「回収トラバーサ後進可能条件」が満たされる(Y20、Y21)。
ステップS423にて回収トラバーサ後進指示要求が発せられると、クレーン制御盤78がZM回収エリア62に設けられた回収トラバーサ後進PBLを点滅させて、作業者に対してロール回収トラバーサ68が後進可能である旨を報知する。作業者が任意のタイミングで回収トラバーサ後進PBLを押下すると、クレーン制御盤78がロール回収トラバーサ68を前進位置から後進位置まで移動させる(Y22、Y23)。
「回収トラバーサ後進可能条件」を満たさない場合(S421:NO)、ステップS401に戻る。
ロール回収トラバーサ68が後進位置にあり、かつ、パレット200を搭載しているか否かが、各管理DBやトラッキング情報等を参照して判定される(S425)。
ロール回収トラバーサ68が後進位置に到着した場合(S425:YES)、ロール回収トラバーサ68から圧延済パレット200を自動回収するための「実パレット回収処理」が開始される(S427)。「実パレット回収処理」では、「研磨済リフタ入庫処理」における「入庫引当処理」(S215)及び「ダル回収台車入庫処理」における「入庫引当処理」(S315)などと同様に、まず圧延済パレット200の「入庫引当処理」が実行される。圧延済パレット200の「入庫引当処理」が完了すると、ロール回収トラバーサ68、受渡リフタ67b、実ストックコンベア63、受渡リフタ67a、メイントラバーサ90、入庫コンベア52、クレーン71の各制御指示が、クレーン制御盤78又は周辺制御盤79に対して順次発行される。制御指示に応じて各搬送機器が連動して、ロール回収トラバーサ68に在席する圧延済パレット200「W004」を自動倉庫70まで搬送して入庫予約済の収容棚に格納する(Y24〜Y26)。管理サーバ3では、「入庫完了設定」が実行されて各種DBが更新される。
ロール回収トラバーサ68が後退位置にない場合(S425:NO)、ステップS401に戻る。
次に、ロール回収トラバーサ68及び受渡リフタ67bから圧延済パレット200の在席がなくなった時点で、ロール回収トラバーサ68に空パレット200を自動補充するための「空パレット補充処理」が開始される(S429)。「空パレット補充処理」では、空ストックコンベア66、受渡リフタ67b、ロール回収トラバーサ68の各制御指示が、クレーン制御盤78又は周辺制御盤79に対して順次発行される。制御指示に応じて各搬送機器が連動して、空ストックコンベア66の上段位置66aに在席する空パレット200をロール回収トラバーサ68まで搬送する(Y24〜Y26)。
次に、空ストックコンベア66に空パレット200を収容可能な空スペースが発生した時点で、空ストックコンベア66に空パレット200を自動供給するための「空パレット供給処理」が開始され(S431)、ステップS401に戻る。「空パレット供給処理」では、「研磨済リフタ出庫処理」における「出庫引当処理」(S207)及び「ダル回収台車出庫処理」における「出庫引当処理」(S307)などと同様に、まず空パレット200の「出庫引当処理」が実行される。空パレット200の「出庫引当処理」が完了すると、クレーン71、出庫コンベア51、メイントラバーサ90、受渡リフタ67a、空ストックコンベア66の各制御指示が、クレーン制御盤78又は周辺制御盤79に対して順次発行される。制御指示に応じて各搬送機器が連動して、自動倉庫70内に収容された空パレット200を空ストックコンベア66の上段位置66aまで搬送する(Y24〜Y26)。ただし、先述の「空パレット回収処理」(S411)にて、空ストックコンベア66に空パレット200が供給されて空スペースが存在しないときは、「空パレット供給処理」は実行されない。
このように、圧延自動入出庫処理(図27)では、ZM供給エリア61(詳細には、ロール供給トラバーサ65)に対する圧延待パレット200の供給及び空パレット200の回収と、ZM回収エリア62(詳細には、ロール回収トラバーサ68)に対する空パレット200の供給及びダル済パレット200の回収とが、ほぼ自動運行される。そのため、作業者が圧延待ロール100を出庫させたり圧延済ロール100を入庫させたりする手間が省かれて、ロール交換工程における圧延待ロール100の供給及び圧延済ロール100の回収を迅速且つ正確に行うことができる。
図28に示す「圧延使用前ロール移動処理」は、「圧延使用前ロール移動」コマンドが受け付けられたことを契機として開始される(S451)。すなわち、作業者が無線HT6で「圧延使用前ロール移動」と表記されたアクションタグ17を読み取ると(Y4)、管理サーバ3では「圧延使用前ロール移動」コマンドの受付ありと判定されて、以下の処理が実行される。
「圧延使用前ロール移動」コマンドが受け付けられると、ロール供給トラバーサ65の圧延待パレット200に搭載された圧延待ロール100が、無線HT6に一覧表示される(S453)。
次に、ロール供給トラバーサ65からチェンジャー69への圧延待ロール100の移載作業が完了するための条件(移載完了条件)を満たすか否かが、各管理DBやトラッキング情報等を参照して判定される(S455)。具体的には、「移載完了条件」として、ロール供給トラバーサ65上に圧延待ロール100がないこと、及び、チェンジャー69上に圧延待ロール100を搭載可能な空きスペースがないこと、の何れかを満たしているか判定される。
「移載完了条件」を満たしていない場合(S455:NO)、ロール供給トラバーサ65上の圧延待ロール100の詳細情報が、無線HT6に表示される(S457)。詳細には、無線HT6には、ロール供給トラバーサ65上の圧延待ロール100のうちで、圧延待パレット200のDS面左側(つまり、チェンジャー69側)に位置する圧延待ロール100の詳細情報が表示される。
次に、ロールタグ15のタグIDを受け付けたか否かが判定される(S459)。先述のように、作業者は無線HT6にてロール詳細情報を確認しつつ、ロール供給トラバーサ65上の圧延待パレット200のDS面左側に位置する圧延待ロール100を、ロール供給トラバーサ65からチェンジャー69上に移載する(Y5)。作業者が移載対象の圧延待ロール100から取り外されるロールエンドカバー110のロールタグ15を読み取ると、管理サーバ3ではタグIDの受付ありと判定される(S459:YES)。
ステップS459にてタグIDが受け付けられると(S459:YES)、当該タグIDに対応する圧延待ロール(移載対象ロール)100をチェンジャー69に移載するための条件(チェンジャー移載条件)を満たすか否かが、各管理DBやトラッキング情報等を参照して判定される(S461)。具体的には、「チェンジャー移載条件」として、移載対象ロール100がロール供給トラバーサ65上に位置していること、及び、移載対象ロール100が圧延待パレット200のDS面左側(チェンジャー側)から取り出されること、を満たしているか判定される。
「チェンジャー移載条件」を満たさない場合(S461:NO)、管理サーバ3は、無線HT6にエラーを出力させる(S463)。
「チェンジャー移載条件」を満たす場合(S461:YES)、ロール供給トラバーサ65からチェンジャー69への移載設定として各種DBが更新される(S465)。例えば、パレット管理DB330では、圧延待パレット200「W003」について、ロール本数339が「1」減算され(ここでは、「9」)、ロールNo340から「AB349」が削除されて他ロール100のロール位置が更新される(ここでは、「1本目:AB348」〜「9本目:AB342」)。ロール管理DB350では、移載対象ロール100「AB349」について、ロールタグ15との紐付けが解除され(つまり、ロールタグID352が「空欄」に設定され)、パレット200との紐付けが解除され(つまり、パレットNo358及びパレット内位置359が「空欄」に設定され)、ロール管理状態357が「圧延待」から「圧延中」に更新される。
ステップS465にて移載設定が完了すると、ステップS455に戻って「移載完了条件」を満たすか否かが判定される(S455)。「移載完了条件」を満たすまで(つまり、ロール供給トラバーサ65上に圧延待ロール100がなくなるか、又は、チェンジャー69上に圧延済ロール100を搭載可能なスペース(空き)がなくなるまで)、ステップS457〜ステップS465が繰り返し実行される。
「移載完了条件」を満たされると(S455:YES)、管理サーバ3は、無線HT6に「圧延使用前ロール移動」が完了した旨を出力させて本処理を終了する(S487)。
このように、「圧延使用前ロール移動処理」(図28)では、作業者が無線HT6で移動対象の圧延待ロール100からロールタグ15を読み取るだけで、当該ロールタグ15及び移動元パレット(圧延待パレット)200との紐付けが解除される。そのため、チェンジャー69に搭載される圧延待ロール100がロールタグ15及びパレット200と物理的に切り離されても、作業者が当該ロール100についてロールタグ15及びパレット200との紐付けをその都度解除するような手間を生じることがなく、ZM供給エリア61からチェンジャー69への研磨待ロール100の移載作業を迅速且つ正確に行うことができる。
図29に示す「「圧延使用済ロール移動処理」は、「圧延使用済ロール移動」コマンドが受け付けられたことを契機として開始される(S471)。すなわち、作業者が無線HT6で「圧延使用済ロール移動」と表記されたアクションタグ17を読み取ると(Y19)、管理サーバ3では「圧延使用済ロール移動」コマンドの受付ありと判定されて、以下の処理が実行される。
「圧延使用済ロール移動」コマンドが受け付けられると、チェンジャー69上に搭載された圧延済ロール100が、無線HT6に一覧表示される(S473)。
次に、チャンジャー69からロール回収トラバーサ68への圧延済ロール100の移載作業が完了するための条件(「移載完了条件」)を満たすか否かが、各管理DBやトラッキング情報等を参照して判定される(S475)。具体的には、「移載完了条件」として、チェンジャー69上に圧延済ロール100がないこと、及び、ロール回収トラバーサ68上に圧延済ロール100を搭載可能な空きスペースがないこと、の何れかを満たしているか判定される。
「移載完了条件」を満たしていない場合(S475:NO)、チェンジャー69上の圧延済ロール100の詳細情報が、無線HT6に表示される(S477)。詳細には、無線HT6には、チェンジャー69の回収側69c上に搭載された圧延済ロール100のうちで、ロール回収トラバーサ68側に位置する圧延済ロール100の詳細情報が表示される。
次に、ロールタグ15のタグIDを受け付けたか否かが判定される(S479)。作業者は、無線HT6にてロール詳細情報を確認しつつ、チェンジャー69上のロール回収トラバーサ68側に位置する圧延済ロール100を、ロール回収トラバーサ68上の空パレット200のDS面左側(ロール1本目位置)に移載する(Y20)。移載時に作業者が移載対象の圧延待ロール100に新たなロールエンドカバー110を取り付けてロールタグ15を読み取ると、管理サーバ3ではタグIDの受付ありと判定される(S479:YES)。
ステップS479にてタグID(ここでは、「11111」とする。)が受け付けられると、当該タグIDを圧延済ロール(移載対象ロール)100と紐付けするための条件(「タグ紐付条件」)を満たすか否かが、各管理DBやトラッキング情報等を参照して判定される(S481)。具体的には、「タグ紐付条件」として、ステップS479にて読み取られたタグIDがデータ形式に問題がないこと、及び、当該タグIDが他ロール100に紐付けられていないこと、を満たすか判定される。
「タグ紐付条件」を満たさない場合(S481:NO)、管理サーバ3は、無線HT6にエラーを出力させる(S483)。
「タグ紐付条件」を満たす場合(S481:YES)、チェンジャー69からロール回収トラバーサ68への移載設定として各種DBが更新される(S485)。例えば、ロール管理DB350では、移載対象ロール100「AB349」について、ロール加工状態356「圧延済」に更新され、ロール管理状態357が「圧延中」から「圧延済」に更新され、ロールタグ15との再紐付けが行なわれてロールタグID352「11111」が設定され、パレット200との再紐付けが行なわれてパレットNo358「W004」が設定され、パレット内位置359にパレット200「W004」でのロール位置(ここでは、「1」)が設定される。パレット管理DB330では、移動先パレット200「W004」について、ロール本数339が「1」加算され、ロールNo340「AB349」がロール位置(ここでは「1本目」)に応じて設定される。
ステップS485にて移載設定が完了すると、ステップS475に戻って「移載完了条件」を満たすか否かが判定される(S475)。「移載完了条件」を満たすまで(つまり、チェンジャー69上に圧延済ロール100がなくなるか、又はロール回収トラバーサ68上に圧延済ロール100を搭載可能なスペース(空き)がなくなるまで)、ステップS477〜ステップS485が繰り返し実行される。
「移載完了条件」を満たされると(S475:YES)、無線HT6に「圧延使用済ロール移動」が完了した旨を出力させて本処理を終了する(S487)。
このように、「圧延使用済ロール移動処理」(図29)では、作業者が無線HT6で移動対象の圧延済ロール100に取り付けたロールエンドカバー110からロールタグ15を読み取るだけで、当該ロールタグ15及び移動先パレット(空パレット)200との再紐付けが実行される。そのため、チェンジャー69に搭載される圧延済ロール100がロールタグ15及びパレット200と物理的に取り付けられても、作業者が当該ロール100についてロールタグ15及びパレット200との再紐付けを設定するような手間を生じることがなく、チェンジャー69からZM回収エリア62への研磨済ロール100の移載作業を迅速且つ正確に行うことができる。
なお、「圧延使用前ロール移動処理」(図28)が実行されてから「圧延使用済ロール移動処理」(図29)が実行されるまでの間、各ロール100はロールタグ15との紐付けが解除された状態でチェンジャー69上に搭載される。ZMプロコン4は、当該チェンジャー69上に搭載された各ロール100の位置を検出する複数のセンサからの出力信号に基づいて、チェンジャー69上における各ロール100の位置追跡(トラッキング)を行なう。管理サーバ3は、ロールタグ15との紐付けがなくても、ZMプロコン4からのトラッキング情報に基づいて、各ロール100のチェンジャー69上でのロール位置を特定し、ZM圧延機2にて使用中のロール(圧延中ロール)100を特定する。ZMプロコン4は、例えば、1サイクルの圧延処理が終了するごとに、圧延中ロール100についての圧延データ(ロール圧延実績)を管理サーバ3に送信する。管理サーバ3では、ZMプロコン4から発行されたロール圧延実績が受け付けられると、ロール圧延実績が「圧延実績情報」としてロール管理DB350の圧延関連情報360などに設定される。
ステップS427の「実パレット回収処理」にて圧延済パレット200が自動倉庫70に回収されたのち、作業者がPC5(例えば、圧延エリアPC5e)にて、任意の圧延済ロール100を研磨対象として指定すると、管理サーバ3では、ロール管理DB350にて研磨対象のロール100のロール管理状態357が「研磨待」に更新される。研磨対象として指定された旧ロール100は、ロール研磨工程(プロセスT2)にて研磨処理が実行されて新ロール100として再生される。本実施形態のロールショップ作業では、ZM圧延機2にて使用済みの旧ロール100について、ロール研磨工程(更には、ダル加工工程)により新ロール100に再生されたのちに再びロール交換工程に使用されるというループが、後述するロール廃却工程が実行されるまで繰り返される。なお、圧延済ロール100が自動倉庫70に入庫すると、当該ロール100のロール管理状態357が自動的に「研磨待」に更新されるようにしてもよい。
[ロール廃却工程]
図30及び図31を参照して、ロールショップ管理システム1におけるロール廃却工程(プロセスT5)の運用制御を説明する。なお、本実施形態のロール廃却工程では、パレット200「W004」に搭載された圧延済ロール100「AB349」〜「AB340」が、自動倉庫70から場外エリア20に搬出される場合を例示する。
まず、図30を参照して、ロール廃却工程において、場外エリア20を中心に作業者や各種機器が実行する一連の動作(オペレーションZ)について説明する。
なお、ロール廃却工程が実行される前提として、作業者がPC5(例えば、場外エリアPC5a)にて、任意のロール100(あるいは、パレット200)を廃却対象として指定する。管理サーバ3は、ロール管理DB350における廃却対象のロール100のロール管理状態357を「廃却待」に更新する。ここでは、作業者がロールNo「AB349」〜「AB340」のロール100を廃却対象(つまり、廃却待ロール100)として指定したものとする。
ロール廃却工程では、自動倉庫70内にある廃却待ロール100を搭載したパレット(廃却待パレット)200を場外エリア20に搬出するため、場外入出庫台車21が「出庫モード」であることを要する。場外入出庫台車21が「出庫モード」であれば、作業者は操作盤28の出庫PBLを押下する。出庫PBLが押下されると、場外入出庫台車21が荷捌き側から倉庫側に移動して「出庫モード」に切り換えられる(Z1)。
次に、作業者は、PC5(例えば、場外エリアPC5a)にて、任意の廃却待ロール100を指定して出庫(問合せ出庫)を指示する(Z2)。
作業者が廃却待ロール100の問合せ出庫を指示すると、自動倉庫70にてクレーン71が当該ロール100を搭載したパレット(廃却待パレット)200を収容棚から荷取りする(Z3)。
次に、クレーン71が廃却待パレット200(ここでは、パレットNo「W004」)を倉庫側に位置する場外入出庫台車21上に荷置きする(Z4)。
次に、廃却待パレット200を搭載した場外入出庫台車21は、倉庫側から荷捌き側に移動する(Z5)。
場外入出庫台車21が荷捌き側に到着すると、場外エリア20に設けられた完了PBLが点滅する(Z6)。
作業者は、場外エリア20に配設された天井クレーンを用いて、荷捌き側に到着した場外入出庫台車21から廃却待パレット200を荷取りする(Z7)。
作業者は、荷取りされた廃却待パレット200から複数の廃却待ロール100を荷卸して、各廃却待ロール100からロールエンドカバー110を取り外す(Z8)。
次に、作業者はPC5(例えば、場外エリアPC5a)にて廃却ロールリストLBを印刷する(Z9)。詳細には、PC5から廃却ロールリストの印刷指示を受信すると、管理サーバ3にてロール管理DB350を参照してロール管理状態357「廃却待」となっているロールNo351の一覧リスト(廃却ロールリストLB)が作成され、PC5側にて廃却ロールリストLBが印刷される。廃却ロールリストLBは、廃却待ロール100に刻印されているロールNo「AB349」〜「AB340」とともに、各ロールNoに対応するバーコード情報が示される。
次に、作業者は、無線HT6で「ロール廃却」と表記されたアクションタグ17を読み取ったうえで(Z10)、廃却待ロール100に刻印されているロールNoを確認し、廃却ロールリストLBにて当該ロールNoに対応するバーコード情報を無線HT6で読み取ることで、当該廃却待ロール100の廃却が完了する(Z11、Z12)。
以上により、パレット200「W004」に搭載されたロール100「AB349」〜「AB340」が、自動倉庫70から場外エリア20から自動倉庫70に入庫されて、ロールショップPからの廃却が実現される。
次に、図31を参照して、ロール廃却工程(プロセスT5)において管理サーバ3が実行する一連の内部的処理として、廃却待ロール100を場外エリア20に出庫させるための「廃却出庫処理」を説明する。
図31に示す「廃却出庫処理」では、まず場外入出庫台車21が「出庫モード」であるか否かが、操作盤28と接続されるクレーン制御盤78からの情報に基づいて判定される(S501)。
場外入出庫台車21が「出庫モード」である場合(S501:YES)、場外入出庫台車21上にパレット200が在席していないか否かが判定される(S503)。先述のように、場外入出庫台車21上にパレット200が荷置されていなければ、管理サーバ3はクレーン制御盤78からの情報に基づいてパレット在席が「OFF」であることを特定することができる。
場外入出庫台車21が「出庫モード」ではなく、「搬送中」又は「入庫モード」である場合(S501:NO)、及び、場外入出庫台車21上にパレット200が在席している場合(S503:NO)は、ステップS501に戻る。
場外入出庫台車21上にパレット200が在席していない場合(S503:YES)、廃却待ロール100の「問合せ出庫」の指示を受け付けたか否かが判定される(S505)。
作業者がPC5にて問合せ出庫を指示した場合(S505:YES)、「研磨待リフタ出庫処理」における「出庫引当処理」(S203)などと同様に、出庫指示された廃却待パレット200の「出庫引当処理」が実行される(S507)。
廃却待パレット200の「出庫引当処理」が完了すると、クレーン71の制御指示がクレーン制御盤78に対して発行される(S509)。
クレーン71の搬送動作が完了すると、場外入出庫台車21の制御指示がクレーン制御盤78に対して発行される(S511)。制御指示に応じて各搬送機器が連動して、自動倉庫70内に収容された廃却待パレット200を場外入出庫台車21に搭載して場外エリア20まで搬送する(Z3〜Z6)。
場外入出庫台車21が荷捌き側に到着すると、廃却出庫完了設定として各種DBが更新される(S513)。例えば、パレット管理DB330では、廃却待パレット200「W004」の在籍位置337「場外」に更新される。また、ロール管理DB350では、廃却待ロール100「AB349」〜「AB340」の在籍位置355「場外」に更新される。更に、パレット管理DB330及びロール管理DB350では、場外入出庫台車21に荷捌き側に到着した時点で廃却待パレット200「W004」及び廃却待ロール100「AB349」〜「AB340」の紐付けが解除され、ロールNo340やパレットNo358などが空欄に設定される。
このように、「廃却出庫処理」(図31)では、作業者が廃却待ロール100(あるいは、廃却待パレット200)を指定して問合せ出庫を指示するだけで、廃却待ロール100を搭載した廃却待パレット200が自動搬送されて自動倉庫70から場外エリア20に出庫される。そのため、ロール廃却工程における作業者の負担を極力低減しつつ、廃却待ロール100をロールショップPから迅速且つ正確に廃却することができる。
なお、「廃却出庫処理」が完了したのちに、作業者が廃却待パレット200を場外入出庫台車21から荷卸してロールエンドカバー110を取り外す作業を行うが(Z7、Z8)、この時点ではロール管理DB350における廃却待ロール100とロールタグ15の紐付けは解除されていない。作業者は廃却ロールリストLBを印刷したうえで、無線HT6で「ロール廃却」アクションタグ17を読み込んで、廃却待ロール100の刻印に対応するバーコード情報を読み取る(Z9〜Z11)。管理サーバ3のロール管理DB350では、廃却待ロール100(ここでは、ロールNo「AB349」〜「AB340」)のロール加工状態356及びロール管理状態357が「廃却待」から「廃却済」に更新されるとともに、ロールタグID352に空欄が設定される。これにより、廃却待ロール100とロールタグ15の紐付けが解除されて、当該ロールタグ15を他のロール100に紐付けて再利用することが可能となる。
[セカンドロールのロール交換]
図32は、セカンドロール100cのロール交換を説明するためのロールショップPの部分的な構成図である。
図3に示すように、ZM圧延機2の圧延機上部2aに組み込まれるセカンドロール100cのうち、ストリップ最上流側の組込位置に組み込まれるセカンドロール100cをSU1と称し、ストリップ最下流側の組込位置に組み込まれるセカンドロール100cをSU3と称し、SU1とSU3との間の組込位置に組み込まれるセカンドロール100cをSU2と称する。圧延機下部2bに組み込まれるセカンドロール100cのうち、ストリップ最上流側の組込位置に組み込まれるセカンドロール100cをSL1と称し、ストリップ最下流側の組込位置に組み込まれるセカンドロール100cをSL3と称し、SL1とSL3との間の組込位置に組み込まれるセカンドロール100cをSL2と称する。
セカンドロール100cは、SU1ロール、SU2ロール、SU3ロール、SL1ロール、SL2ロール及びSL3ロールで一のグループを構成してZM圧延機2に組み込まれる。
一のグループを構成する複数のセカンドロール100cは、所定の組込順序でZM圧延機2に組み込まれる。本実施形態では、SL3ロール、SL1ロール、SL2ロール、SU2ロール、SU3ロール、SU1ロールの順でZM圧延機2に組み込まれる。
一のグループを構成する複数のセカンドロール100cは、所定の回収順序でZM圧延機2から取り外される。本実施形態では、SU1ロール、SU3ロール、SU2ロール、SL2ロール、SL1ロール、SL3ロールの順でZM圧延機2から取り外される。
外部記憶装置300には、図33に示すような複数のセカンドロールペアテーブル381が記憶されている。セカンドロールペアテーブル381には、セカンドペア番号410に対応付けて、SL1ロール411、SL3ロール412、SU2ロール413、SL2ロール414、SU1ロール415及びSU3ロール416のロールNoが記憶されている。更に、セカンドロールペアテーブル381には、セカンドペア番号410に対応付けて、SL1ロール及びSL3ロールを搭載したパレットを示すSL1&SL3搭載パレットNo417、SU2ロール及びSL2ロールを搭載したパレットを示すSU2&SL2搭載パレットNo418、及び、SU1ロール及びSU3ロールを搭載したパレットを示すSU1&SU3搭載パレットNo419が記憶されている。セカンドペア番号410は、ZM圧延機2において使用されるセカンドロール100cのグループを識別する番号である。セカンドロールペアテーブル381は、グループ毎に作成される。SL1ロール411、SL3ロール412、SU2ロール413、SL2ロール414、SU1ロール415、SU3ロール416には、それぞれ、セカンドペア番号410で示されるグループを構成するSL1ロール、SL3ロール、SU2ロール、SL2ロール、SU1ロール、SU3ロールのロールNoが記憶されている。
図32に示すように、自動倉庫70には、第1〜6のパレット200a〜fが収容されている。図32では、第1〜6のパレット200a〜fをDS面側から見たときのロール100の搭載位置が模式的に示されている。一のグループを構成する6本のセカンドロール100cは、2本ずつ一のパレット200に搭載されてロールショップP内を搬送される。パレット200におけるセカンドロール100cの搭載位置は、組込順序に応じて規定されている。
第1のパレット200aには、DS面左側からSL1ロール、SL3ロールが順に搭載されている。第2のパレット200bには、DS面左側からSU2ロール、SL2ロールが順に搭載されている。第3のパレット200cには、DS面左側からSU1ロール、SU3ロールが順に搭載されている。第4のパレット200dは、SU1ロール及びSU3ロールを回収するための空パレット200である。第5のパレット200eは、SU2ロール及びSL2ロールを回収するための空パレットである。第6のパレット200fは、SL1ロール及びSL3ロールを回収するための空パレット200である。
一のグループを構成するセカンドロール100cを搭載した第1〜第3のパレット200a〜200cの出庫順序は、当該パレット200に搭載されたセカンドロール100cの組込順序によって定められている。最初に、1番目及び2番目に組み込まれるSL3ロール及びSL1ロールを搭載した第1のパレット200aが出庫される。次に、3番目及び4番目に組み込まれるSL2ロール及びSU2ロールを搭載した第2のパレット200bが出庫される。次に、5番目及び6番目に組み込まれるSU3ロール及びSU1ロールを搭載した第3のパレット200cが出庫される。
ZM圧延機2にセカンドロール100cを組み込む際に、作業者が圧延エリアPC5eを操作してセカンドペア番号410を選択すると、管理サーバ3は、当該セカンドペア番号410に対応付けて記憶されたセカンドロール100cを搭載したパレット200を順に出庫するようにロールショップPを制御する。例えば、セカンドペア番号「5」に第1〜第3のパレット200a〜200cが対応付けられている場合、セカンドペア番号「5」が選択されると第1〜第3のパレット200a〜200cが順に出庫される。
一のグループを構成するセカンドロール100cを回収するための第4〜第6のパレット200d〜200fの出庫順序は、当該パレット200に搭載されたセカンドロール100cの回収順序によって定められている。最初に、5番目及び6番目に組み込まれるSU1ロール及びSU3ロールを回収するための第4のパレット200dが出庫される。次に、3番目及び4番目に組み込まれるSU2ロール及びSL2ロールを回収するための第5のパレット200eが出庫される。次に、1番目及び2番目に組み込まれるSL1ロール及びSL3ロールを回収するための第6のパレット200fが出庫される。
本実施形態のロールショップPは、ロール回収トラバーサ68に空パレット200を供給して、チェンジャー69から当該空パレット200にロール100を回収するとともに、ロール回収トラバーサ68に実パレット200を供給して、当該実パレット200からチェンジャー69にロール100を供給することができる構成となっている。更に、ロールショップPは、ロール供給トラバーサ65に実パレット200を供給して、当該実パレット200からチェンジャー69にロール100を供給するとともに、ロール供給トラバーサ65に空パレット200を供給して、チェンジャー69から当該から空パレット200にロール100を回収することができる構成となっている。
自動倉庫70からロール供給トラバーサ65の上段位置65aにパレット200を供給する場合、パレット200は、出庫コンベア51、メイントラバーサ90の供給部91、ZM供給エリア61の受渡リフタ64a、実ストックコンベア63の中段位置63c及び受渡リフタ64bを介してロール供給トラバーサ65の上段位置65aへ供給される。自動倉庫70からロール回収トラバーサ68にパレット200を供給する場合、パレット200は、出庫コンベア51、メイントラバーサ90の回収部92、ZM回収エリア62の受渡リフタ67a、空ストックコンベア66の中段位置66c及び受渡リフタ67bを介してロール回収トラバーサ68へ供給される。
ロール供給トラバーサ65の上段位置65aから自動倉庫70にパレット200を回収する場合、パレット200は、受渡リフタ64b、実ストックコンベア63の中段位置63c、受渡リフタ64a、メイントラバーサ90の供給部91及び入庫コンベア52を介して自動倉庫70へ回収される。ロール回収トラバーサ68から自動倉庫70にパレット200を回収する場合、パレット200は、受渡リフタ67b、空ストックコンベア66の中段位置66c、受渡リフタ67a、メイントラバーサ90の回収部92及び入庫コンベア52を介して自動倉庫70へ回収される。
管理サーバ3は、先に出庫されたパレット200をロール回収トラバーサ68に搬送し、後に出庫されたパレット200をロール供給トラバーサ65に搬送する。具体的には、第1のパレット200aはロール回収トラバーサ68に搬送され、第2のパレット200bはロール供給トラバーサ65に搬送される。ロール回収トラバーサ68から空の第1のパレット200aが回収された後、第3のパレット200cがロール回収トラバーサ68に搬送される。第4のパレット200dはロール供給トラバーサ65に搬送され、第5のパレット200eはロール回収トラバーサ68に搬送される。ロール供給トラバーサ65から第4のパレット200dが回収された後、第6のパレット200fがロール供給トラバーサ65に搬送される。
ロール組込装置390は、管理サーバ3の指示に従って、ロール回収トラバーサ68及びロール供給トラバーサ65のいずれかから1本のセカンドロール100cを取り出し、当該セカンドロール100cをZM圧延機2に組み込む。ロール組込装置390は、パレット200の出庫順序及びパレット200上の搭載位置に対応して定められた所定の順序で、パレット200からセカンドロール100cを取り出す。更に、当該出庫順序及び当該搭載位置に対応して定められた組込位置にセカンドロール100cを組み込む。なお、ロール組込装置390は、全自動で管理サーバ3により制御される搬送台のようなものであってもよく、作業者が管理サーバ3の指示及びロールショップP内の規定に従って動作させるクレーンなどの搬送装置であってもよい。
本実施形態では、ロール回収トラバーサ68に第1のパレット200aが搬送されたとき、ロール組込装置390は、まず、DS面右側のセカンドロール100cを取り出して圧延機下部2bの最下流の組込位置に組み込み、次に、DS面左側のセカンドロール100cを取り出して圧延機下部2bの最上流の組込位置に組み込む。即ち、SL3ロール、SL1ロールの順にZM圧延機2に組み込まれる。セカンドロール100cが全て取り出された第1のパレット200aは、自動倉庫70に搬送される。
次に、ロール供給トラバーサ65に第2のパレット200bが搬送されたとき、ロール組込装置390は、まず、DS面右側のセカンドロール100cを取り出して圧延機下部2bの中央の組込位置に組み込み、次に、DS面左側のセカンドロール100cを取り出して圧延機上部2aの中央の組込位置に組み込む。即ち、SL2ロール、SU2ロールの順にZM圧延機2に組み込まれる。セカンドロール100cが全て取り出された第2のパレット200bは、自動倉庫70に搬送される。
次に、ロール回収トラバーサ68に第3のパレット200cが搬送されたとき、ロール組込装置390は、まず、DS面右側のセカンドロール100cを取り出して圧延機上部2aの最下流の組込位置に組み込み、次に、DS面左側のセカンドロール100cを取り出して圧延機上部2aの最上流の組込位置に組み込む。即ち、SU3ロール、SU1ロールの順にZM圧延機2に組み込まれる。セカンドロール100cが全て取り出された第3のパレット200cは、自動倉庫70に搬送される。
管理サーバ3は、パレット200の出庫順序及びパレット200上のセカンドロール100cの搭載位置に対応付けて組込順序及び組込位置を規定しているため、パレット200からセカンドロール100cを取り出す際、及び、ZM圧延機2にセカンドロール100cを組み込む際に、セカンドロール100cを識別して組込位置を確認する必要がない。ZM圧延機2の組込位置と、当該組込位置に組み込まれたセカンドロール100cのロールNoとの対応関係は、選択されたセカンドロールペアテーブル381を参照することにより知ることができる。
ロール回収トラバーサ68及びロール供給トラバーサ65からロール組込装置390にセカンドロール100cを移載する際に、作業者がセカンドロール100cのロールタグIDを読み取る。管理サーバ3は、読み取られたロールタグIDと、当該ロールタグIDに対応付けられたロールNoとの対応関係を解除する。
ロール組込装置390は、管理サーバ3の指示に従って、ZM圧延機2のいずれかの組込位置からセカンドロール100cを取り出し、ロール回収トラバーサ68及びロール供給トラバーサ65のいずれかのパレット200のいずれかの搭載位置に当該セカンドロール100cを移載する。ロール組込装置390は、所定の回収順序でZM圧延機2からセカンドロール100cを回収する。更に、いずれのパレット200のいずれの搭載位置にセカンドロール100cを移載するかは、セカンドロールの組込位置に応じて規定されている。
本実施形態では、ロール供給トラバーサ65に第4のパレット200dが搬送されたとき、ロール組込装置390は、まず、圧延機上部2aの最上流の組込位置からセカンドロール100cを回収して第4のパレット200dのDS面左側に移載し、次に、圧延機上部2aの最下流の組込位置からセカンドロール100cを回収して第4のパレット200dのDS面右側に移載する。即ち、SU1ロール、SU3ロールの順にZM圧延機2から第4のパレット200dにセカンドロール100cが回収される。セカンドロール100cを搭載した第4のパレット200dは、自動倉庫70に搬送される。
次に、ロール回収トラバーサ68に第5のパレット200eが搬送されたとき、ロール組込装置390は、まず、圧延機上部2aの中央の組込位置からセカンドロール100cを回収して第5のパレット200eのDS面左側に移載し、次に、圧延機下部2bの最上流の組込位置からセカンドロール100cを回収して第5のパレット200eのDS面右側に移載する。即ち、SU2ロール、SL2ロールの順にZM圧延機2から第5のパレット200eにセカンドロール100cが回収される。セカンドロール100cを搭載した第5のパレット200eは、自動倉庫70に搬送される。
次に、ロール供給トラバーサ65に第6のパレット200fが搬送されたとき、ロール組込装置390は、まず、圧延機下部2bの最上流の組込位置からセカンドロール100cを回収して第6のパレット200fのDS面左側に移載し、次に、圧延機下部2bの最下流の組込位置からセカンドロール100cを回収して第6のパレット200fのDS面右側に移載する。即ち、SL1ロール、SL3ロールの順にZM圧延機2から第6のパレット200fにセカンドロール100cが回収される。セカンドロール100cを搭載した第6のパレット200fは、自動倉庫70に搬送される。
管理サーバ3は、回収順序及び組込位置に対応付けて空パレット200の出庫順序及びパレット200上のセカンドロール100cの搭載位置を規定しているため、ZM圧延機2からセカンドロール100cを取り出す際、及び、パレット200にセカンドロール100cを移載する際に、セカンドロール100cを識別する必要がない。ZM圧延機2の組込位置と、当該組込位置に組み込まれたセカンドロール100cのロールNoとの対応関係は、選択されたセカンドロールペアテーブル381を参照することにより知ることができる。従って、回収時に各パレット200の各搭載位置に搭載されたセカンドロール100cは、組込位置に基づいてセカンドロールペアテーブル381を参照して識別することができる。
ロール組込装置390からロール回収トラバーサ68及びロール供給トラバーサ65にセカンドロール100cを移載する際に、作業者がセカンドロール100cにロールタグを付けロールタグIDを読み取る。管理サーバ3は、ロールエンドカバー110が取り付けられたセカンドロール100cのロールNoを回収順序を使用してセカンドロールペアテーブル381から検索し、当該ロールNoを読み取られたロールタグIDに対応付ける。
[ロールショップ管理システムの特長について]
本実施形態のロールショップ管理システム1の代表的な特長を以下に列記する。
本実施形態のロールショップ管理システム1は、ZM圧延機2における所定の組込位置に所定の組込順序で組み込まれる複数のロール100が導入されるロールショップPを管理サーバ3によって管理する。ロールショップ管理システム1は、ロール100を搭載するためのパレット200と、パレット200を収容するための自動倉庫70と、ZM圧延機2に供給するロール100を搭載したパレット200を一時的に載置するためのロール供給トラバーサ65及びロール回収トラバーサ68と、ロール供給トラバーサ65及びロール回収トラバーサ68と自動倉庫70との間でパレット200を搬送する搬送装置とを備える。更に、ロール100は、ZM圧延機2において同時に使用される複数のセカンドロール100cを含む。管理サーバ3は、ZM圧延機2に先に組み込まれるセカンドロール100cを搭載したパレット200が、ZM圧延機2に後に組み込まれるセカンドロール100cを搭載したパレット200よりも先にロール供給トラバーサ65及びロール回収トラバーサ68のいずれかに搬送されるように搬送装置を制御する。
組込順序が定められたロール100をZM圧延機2に迅速に搬送することができるため、ZM圧延機2へのロール100の組み込みを迅速に行うことができる。
ZM圧延機2に組み込む前のセカンドロール100cを搭載したパレット200上における当該セカンドロール100cの搭載位置は、組込順序に対応付けられている。
組込順序に応じた搭載位置にロール100を搭載することにより、パレット200の搬送順序と搭載位置から組込順序を認識することができるため、仮置領域からZM圧延機2にロール100を組み込む際に、パレット200から取り出したロール100がいずれのロール100であるかを外部から入力する必要がなくなり、組込処理を迅速に実行することができる。組込順序と組込位置とを対応させておくことにより搭載位置から組込位置を一意に対応させることができるため、ロール100の判別処理を省略して組込処理を迅速に実行することができる。
ZM圧延機2から回収したセカンドロール100cを搭載したパレット200において、当該セカンドロール100cの搭載位置が当該セカンドロール100cの組込位置に対応付けられている。
セカンドロール100cを識別せずにパレット200上のセカンドロール100cの組込位置を認識できるため、セカンドロール100cの組込時に当該セカンドロール100cの組込位置を記録しておくことにより、搭載位置からセカンドロール100cを識別することができる。
なお、本実施形態において、ZM圧延機2及びZMプロコン4が本発明の「圧延装置」に相当し、協働して動作する管理サーバ3、ZMプロコン4、クレーン制御盤78及び周辺制御盤79が本発明の「管理装置」に相当する。自動倉庫70が本発明の「倉庫装置」に相当する。ロール供給トラバーサ65及びロール回収トラバーサ68が本発明の「仮置領域」に相当する。SL1ロール、SL2ロール、SL3ロール、SU1ロール、SU2ロール及びSU3ロールが本発明の「要素ロール」に相当する。
なお、本発明は、上記の好ましい実施形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が可能である。
例えば、本実施形態のロールショップ管理システム1では、作業者による人介作業を最低限度に留めるためにロールショップ作業の運用制御の大部分を自動化した場合を例示したが、ロールショップ作業の運用制御を自動化する割合(逆に言えば、作業者が手動で運用する割合)は任意に設定することができる。例えば、本実施形態では先述のロール供給パターンに基づいて自動的にロール100の「スムース」又は「ダル」への割り振りが決定されていたが、作業者が任意のロール100について「スムース」又は「ダル」を手動設定してもよい。
また、本実施形態では、研磨エリア30、ダルエリア40及び圧延エリア60に対するロール100の供給及び回収が自動化されているが、かかる態様に限定されない。例えば、各エリアにて作業者がPC5を用いて任意のロール100の問合せ出庫を行なって、当該ロール100について研磨処理や圧延処理などを行なってもよい。また、先述の各種パレット入庫条件を満たしていない場合であっても(例えば、パレット200が空でない場合や、パレット200が満載でない場合等)、端数パレット200を作業者が各種PBLを押下して強制的に入庫させるようにしてもよい。
また、本実施形態では、作業者による人介作業(すなわち、作業者が入力可能なコマンド)に応じて、「ロール購入」、「入庫設定(場外)」、「ロール移動(TO研磨済リフタ)」、「圧延使用前ロール移動」、「圧延使用済ロール移動」、「ロール廃却」のアクションタグ17が設けられているが、かかる態様に限定されない。作業者が入力可能なコマンドを増加させる(つまり、アクションタグ17を増加させる)ことにより、作業者がより多くの作業を任意に実行することが可能となるようにしてもよい。また、作業者によるコマンド入力は、無線HT6でアクションタグ17を読み取る態様に限定されず、無線HT6の画面上で任意のコマンドを選択したり、無線HT6にて音声入力できるようにしたりしてもよい。
また、本実施形態では、ロール100にロールエンドカバー110を取り付けることで当該ロール100にロールタグ15を物理的に関連付けているが、かかる態様に限定されない。例えば、ロール100に対して、ロールタグ15を直接取り付けたり、他の取付部材(粘着シールなど)を介してロールタグ15を取り付けたりしてもよい。