JP5636967B2 - バックコンタクト型太陽電池モジュール - Google Patents

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本発明は、バックコンタクト型太陽電池モジュールの配線シート付き裏面保護シートに関する。
近年、地球温暖化問題に対する内外各方面の関心が高まる中、二酸化炭素の排出抑制のために、様々な努力が続けられている。化石燃料の消費量の増大は大気中の二酸化炭素の増加をもたらし、その温室効果により地球の気温が上昇し、地球環境に重大な影響を及ぼす。この地球規模の問題を解決するために様々な検討が行われており、特に太陽光発電については、そのクリーン性や無公害性という点から期待が高まっている。
太陽電池は、太陽光のエネルギーを直接電気に換える太陽光発電システムの心臓部を構成するものであり、単結晶、多結晶、又はアモルファスシリコン系の半導体からできている。太陽電池素子は、その単体での電気出力が小さい為に、太陽電池素子(セル)単体をそのままの状態で使用することはなく、一般的には、各太陽電池セルに接続されたインターコネクタ同士を接続することにより、数枚〜数十枚の太陽電池セルを直列、並列に配線し、長期間(約20年)に亘ってセルを保護するために種々パッケージングが行われ、ユニット化されている。このパッケージに組み込まれたユニットを「太陽電池モジュール」と呼んでいる。
現在も最も多く生産されている太陽電池は、太陽光を受ける受光面がn電極で、その裏面がp電極から構成されている。受光面側に設けられるn電極は電流の取り出しの為には必要不可欠であるが、一方で、その電極の下の基板には太陽光が入射しないため、その部分では発電しない問題がある。従って、変換効率を上げるためには、この受光面側の電極面積を限りなく小さくすることが重要であり、その一つの方法として、n電極およびp電極の両電極を裏面に形成したバックコンタクト型太陽電池モジュールが提案されている。
上記バックコンタクト型太陽電池モジュールの太陽電池セルの接続方法として、例えばインターコネクタでの接続方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、インターコネクタでの接続方法では、半田付けによる熱の影響で太陽電池セルに反りが生じ接続精度に問題がある。また、複数の太陽電池セルの配置部を有する配線シートに、バックコンタクト型太陽電池セルを載置して、配線シートにより各太陽電池セル間を電気的に接続する方法も提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、配線シートは絶縁性を有する基材と導電性を有する金属箔とを接着剤を介して積層した積層体であり、エッチングによる配線パターン形成時に、エッチング液が接着剤に吸着して黄変したり、屋外長期保存での加水分解による信頼性の低下を招く可能性がある。
特開2005−11869号公報 特開2010−258158号公報
太陽電池セルは急速に薄膜化が進んでおり、従来にも増して各太陽電池セル間を正確に接続できる生産性と高い信頼性が要求されている。本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、バックコンタクト型太陽電池用の配線シートが、絶縁性を有する基材と導電体
との積層体からなり、その後フォトエッチングにより配線パターンが施される配線シートであって、生産性に優れ、且つ、エッチング液に犯されることがない高信頼性を有するバックコンタクト型太陽電池モジュールを生産することができる配線シートを提供する。
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであり、本発明の請求項1に係る発明は、n電極およびp電極の両電極を裏面に形成した太陽電池セルを使用し、この太陽電池セルの裏面を配線シートに位置合わせして載置し、その表面に封止材を介して透明基板を熱ラミネートして形成されたバックコンタクト型太陽電池モジュールにおいて、
前記配線シートが太陽電池の表面で発生する電流を裏面の電極に流すための太陽電池用配線シートであって、絶縁性を有する基材と導電体からなる積層体がアイオノマー樹脂(EMA、EMAA、EEAなどの接着性樹脂を1種、またはブレンドしたもの)を介して積層され、該導電体に配線パターンを施してなり、
配線パターンと配線パターンとの間で前記アイオノマー樹脂と前記封止材とが接着しており、これらアイオノマー樹脂と封止材との接着強度が20N/cm以上であることを特
徴とするバックコンタクト型太陽電池モジュールである。なお、EMAとはエチレン/メチルアクリレート共重合樹脂、EMAAとはエチレン/メタクリル酸共重合樹脂、EEAとはエチレン/エチルアクリレート共重合樹脂をそれぞれ表す。
本発明の請求項2に係る発明は絶縁性を有する基材が、融点150℃以上の高分子延伸フィルムまたは該高分子延伸フィルムの複合体からなることを特徴とする請求項1に記載のバックコンタクト型太陽電池モジュールである。
本発明の請求項3に係る発明は、導電体が、電気伝導率10S/m以上の金属からなることを特徴とする請求項1に記載のバックコンタクト型太陽電池モジュールである。
本発明の配線シートを用いることで、各太陽電池セル間を正確に接続することでき、高い生産性と信頼性を保持したバッコンタクト型太陽電池を製造することができる。
本発明の配線シートの配線パターン形成前の模式的構成断面図。 本発明の配線シートを用いたバックコンタクト型太陽電池モジュールの断面図。 従来の配線シートの配線パターン形成前の模式的構成断面図。 従来の配線シートを用いたバックコンタクト型太陽電池モジュールの断面図。
以下、本発明のバックコンタクト型太陽電池用配線シートについて、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の配線シートの配線パターン形成前の模式的構成断面図であり、図2は、図1に示す本発明の配線パターンをバックコンタクト型太陽電池モジュールに用いた一例を示す断面図である。また、図3は、従来の配線シートの配線パターン形成前の模式的構成断面図であり、図4は、図3に示す従来の配線シートをバックコンタクト型太陽電池モジュールに用いた一例を示す断面図である。
図1に示すように、本発明の配線シート5は、絶縁性基材5cに必要に応じて接着性をより向上させる目的でアンカーコート5b’を施し、続いて、アイオノマー樹脂5bを介して金属箔などの導電体5a’と積層して得られる積層体をフォトエッチング法などによりパターン形成して得られる。
図2で示すように、バックコンタクト型太陽電池モジュールに本発明の配線シートを用いた場合の構成について説明する。バックコンタクト型太陽電池モジュールは、各太陽電池セルのセル設置部4を前記配線シート5に正確に位置合わせして載置し、封止材2を介して透明ガラス基板1と熱ラミネートして形成される。本発明の配線シートは、絶縁性基
材5cと金属箔などの導電体5a’から成る積層体に接着剤を用いていないために、配線パターン形成において、通常のフォトエッチングを施してもエッチング液によるアイオノマー樹脂への浸透がなく、高い信頼性を有するバックコンタクト型太陽電池モジュールを提供することができる。また、一般的なバックシートを絶縁性基材として用いることにより、バックシート一体型の配線シートとして、より高品位の信頼性を有するバックコンタクト型太陽電池モジュールを提供することができる。
図3に示すように、従来の配線シート5は、絶縁性基材5cに接着剤5dを介して金属箔などの導電体5a’と積層して得られる積層体を、フォトエッチング法などによりパターン形成して得られる。
図4は、図3に示す従来の配線シートを用いたバックコンタクト型太陽電池モジュールの構成を示す。上述のように、従来の配線シートは絶縁性基材5cと金属箔などの導電体5a’から成る積層体に接着剤を用いているため、配線パターン形成において、エッチング液が接着剤層に浸透し、そのために接着剤が黄変、さらには、長期の時間経過により接着層の劣化を招き、長期期間の高い信頼性を得ることが困難であった。
本発明の配線シートは、絶縁性基材、金属に優れた接着性を有するアイオノマー樹脂、金属箔などの導電体およびアンカーコート剤(必要に応じて該絶縁性基材の接着性向上に用いる)から構成される。
<絶縁性基材>
本発明の絶縁性基材としては、太陽電池モジュール化の一般的な加工条件、特に加工温度で変形しない優れた耐熱性を有することが重要であり、融点が150℃以上の高分子延伸フィルムまたは該高分子延伸フィルムの複合体を使用することができる。好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)などである。また、これらの高分子延伸フィルムに耐候性、水蒸気や酸素ガスバリア性、あるいは易接着性を付加した層を設けた複合体であってもよい。前記絶縁性基材の融点が150℃未満であると寸法安定性に欠け、太陽電池セルの配置部と配線シートとの接続位置合わせの精度が低下し、太陽電池モジュールに求められる性能が発揮できない。また、前記絶縁性基材の厚みは、12μm〜1000μmが好ましい。厚みが12μm未満であると、カールし易くモジュールラミ時のハンドリングが悪いなどの問題が生じ、1000μmを超えると、樹脂加工がし難くなり、また経済的ではない等の問題がある。
<アイオノマー樹脂>
アイオノマー樹脂とは、樹脂内に金属イオンを含有しているオレフィン系樹脂であり、金属イオン含有の為、金属との接着に優れている。本発明に用いられるアイオノマー樹脂としては、イオンとしてナトリウム、亜鉛、カリウムイオンを含有するものが好ましい。アイオノマー樹脂の加工膜厚としては、3μm〜100μmが望ましい。3μm未満であると金属箔と十分な接着強度が得られず、また、100μmを超えるとコスト的に望ましくない。なお、十分な接着強度とは2.0N/cm以上であり、長期信頼性やカッテイング時の剥離防止性を有する強度である。
<導電体>
本発明に係る導電体としては、電気伝導率10S/m以上の金属であれば良く、コストパフォーマンスと配線形成のし易さから銅、アルミニウムが望ましい。また、導電体の厚みは、10μm〜100μmが好ましい。10μm未満であると、過電流や温度変化による影響で断線が生じる可能性があり、100μmを超えるとエッチングなどの配線形成が難しくなる。
<アンカーコート剤>
本発明は、選定した絶縁性基材によってはアイオノマー樹脂との接着性を向上させる目的でアンカーコート剤を用いても良い。アンカーコート剤としては、通常の1液硬化型や2液硬化型のポリウレタン系、またはポリアミド系のアンカーコート剤を用いることができる。アンカーコート剤の膜厚は、0.01μm〜10μmが望ましい。0.01μm未満では、ラミ強度不足の問題があり、10μmを超えると経済的ではない。
以下に、本発明の具体的実施例を説明する。
<実施例1>
絶縁性基材として、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(東レ社製:商品名「X10S」)を用い、その片面に三井化学社製アンカーコート剤(主剤A3210/硬化剤A3070)を1g/m塗工してアンカーコートを施した。次に、厚さ35μmの銅箔(三井金属鉱業社製:商品名「TP III)と前記ポリエチレンテレフタレートのアンカーコート処理面とを、押し出し機により、アイオノマー樹脂(三井デュポンケミカル社製:商品名「ハイミランAM6004」)を押し出し温度300℃、厚さ15μmでサンドラミして積層体を得た。
次に、上記積層体の銅箔面に膜厚25μmのフォトレジストフィルム(日立化成工業社製:商品名「フォテック」)を貼合して、ライン/スペース=1mm/1mmの矩形パターンをマスクを介してUV露光、現像、洗浄、乾燥のフォトリソ法によりパターン形成し、その後、塩化第二鉄溶液によるエッチングを施して配線シートを作製した。
<比較例1>
絶縁性基材として、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(東レ社製:商品名「X10S」)と、厚さ35μmの銅箔(三井金属鉱業社製:商品名「3EC」用いて、塗布量10g/mの接着剤(三井化学社製:ポリウレタン系接着剤「主剤A511/硬化剤A50」)を介してドライラミネート法により積層体を得た。
次に、上記積層体を用いて、実施例1と同様にして配線シートを作製した。
上記実施例1および比較例1から得られた本発明の配線シートの構成および評価結果を、以下の表1に示す。
Figure 0005636967
<評価方法>
実施例1および比較例1で得られた実施例品および比較例品を用いて、以下に記載の方法にて、エッチング時の外観評価、耐マイグレーション評価、対封止材接着性評価を実施した。
(エッチング時の外観評価)
着色(黄変):絶縁性基材と導電体(Cu箔)との積層品を、エッチング液である塩化第二鉄溶液に1分間浸漬してCu箔を溶かし、露出部(アイオノマーまたは接着剤)の色の変化を、エッチング液に浸漬前と比較して、色差計にてΔEを計測した。◎は黄変なし(ΔE=0〜1)、△は黄変あり(ΔE=3〜5)、×はΔEが5を超える基準で評価。その他、エッチング面での外観変化を評価。
(耐マイグレーション評価)
実施例1および比較例1で得られた絶縁性基材と導電体(Cu箔)との積層品を用いて、ライン/スペース=1mm/1mmの矩形パターンを作製し、85℃×85%RM条件下、1.5Vの電荷をかけ、1000時間経過後の抵抗値を測定した。測定前の抵抗値との比較で、◎は抵抗値変化なし、△は抵抗値が1〜2桁変化、×は抵抗値が2桁以上変化と評価。
(対封止材接着性評価)
実施例1および比較例1で得られた絶縁性基材と導電体(Cu箔)との積層品のエッチング後の露出部(非Cu箔部)と封止材(凸版社製:EF1001)を、150℃×12分、モジュールラミして、その初期およびDAMP(85℃×85%RM条件下)3000時間後の接着強度を測定した。◎は40N/cm以上、△は40〜20N/cm、×は20N/cm未満と評価。
<比較評価>
実施例の本発明品は比較例の比較品に比べて、いずれにおいても良好な結果を示した。
1・・・・ガラス基板
2・・・・封止材
3・・・・・バックシート
4・・・・・バックコンタクトセル
5・・・・・配線シート
5a・・・金属配線パターン
5a’・・・導電体
5b・・・接着性樹脂(アイオノマー樹脂)
5b’・・・アンカーコート
5c・・・絶縁性基材
5d・・・接着剤

Claims (3)

  1. n電極およびp電極の両電極を裏面に形成した太陽電池セルを使用し、この太陽電池セルの裏面を配線シートに位置合わせして載置し、その表面に封止材を介して透明基板を熱ラミネートして形成されたバックコンタクト型太陽電池モジュールにおいて、
    前記配線シートが太陽電池の表面で発生する電流を裏面の電極に流すための太陽電池用配線シートであって、絶縁性を有する基材と導電体からなる積層体がアイオノマー樹脂を介して積層され、該導電体に配線パターンを施してなり、
    配線パターンと配線パターンとの間で前記アイオノマー樹脂と前記封止材とが接着しており、これらアイオノマー樹脂と封止材との接着強度が20N/cm以上であることを特徴とするバックコンタクト型太陽電池モジュール。
  2. 絶縁性を有する基材が、融点150℃以上の高分子延伸フィルムまたは該高分子延伸フィルムの複合体からなることを特徴とする請求項1に記載のバックコンタクト型太陽電池モジュール。
  3. 導電体が、電気伝導率10S/m以上の金属からなることを特徴とする請求項1に記載のバックコンタクト型太陽電池モジュール。
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