JP2011181558A - 太陽電池用バックシートとその製造方法及び太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属箔の両面にフィルムが積層された、太陽電池用モジュールの裏面保護に用いる積層体シートであって、金属箔の外縁端面が1.0mm以上延設された両面のプラスチックフィルムによって封止されている薄膜太陽電池用バックシートと基材となるプラスチックフィルムに貼り合せた金属箔の上から保護層を形成し、外縁領域の金属箔を腐食除去した後に金属箔の上から全面にプラスチックフィルムを貼り合せてからパターンを打ち抜く連続製造方法
【選択図】図2
Description
この接触を防がないと短絡する危険性があるため、ガラス/バックシートモジュールラミ後、端面にブチルゴムなどのシール材による絶縁処置を施す必要があり、このことがモジュールのコストアップにつながっている。
このパッケージに組み込まれたユニットを太陽電池モジュールと呼び、一般に太陽光が当たる面を前面ガラスで覆い、光透過性の熱可塑性プラスチックからなる充填材で間隙が埋められている。そして、裏面が耐熱性、耐湿性、耐水性、耐候性プラスチック材料などのシート(バックシート)で保護された構造になっている。
太陽電池モジュ−ルは、例えば、結晶シリコン太陽電池素子あるいはアモルファスシリコン太陽電池素子等を使用し、前面ガラス層、充填材層、太陽電池素子、充填材層、および、裏面保護シ−ト(シートバック)層等の順に積層し、真空吸引して加熱圧着するラミネ−ション法等を利用して製造されている。
図1では、受光側(表面)から順にガラス板(1)、セル部分(2)、封止材(3)、バックシート(4)の順に積層されたモジュール(10)となっており、セル部分から取り出した電力をリード線(図示せず)で連結して端子箱(ジャンクションボックス)にある端子から取り出すようになっている。
バックシート(4)は封止材に接する部分のフィルム1(4a)と金属箔(5)を介して反対側(エア側)のフィルム(4b)の積層された層構成になっている。
これらの構成要素を固定するために充填材による絶縁処理(7)を介して金属フレーム(6)で囲む構造になっている。
、絶縁性が高く、蒸着加工やコーティング加工等の二次加工が容易である特徴を生かしてプラスチックのフィルムあるいはシートが広く用いられており、単層のプラスチックシート以外に性能向上のための層を積層した積層シートが種々提案されている。
例えば、フッ素系樹脂の高耐性という特徴を生かした、ポリフッ化ビニル(PVF)/ポリエチレンテレフタレート(PET)/ポリフッ化ビニル(PVF)の構成の積層シートが代表的である。また、汎用性のあるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用する場合には内容物保護性を高めるためにPETの中間に無機酸化物の蒸着薄膜層を設けた、PET/PETの無機酸化物蒸着シート/PETのような構成の積層シートも用いられている。
特に、バックシートの構成要素の中に熱伝導性が高くバリア性に優れるアルミニウム箔等の金属箔を用いるという構成が、これらの問題点を解決するために見直されてきている。
金属箔を太陽電池用バックシートに使う理由の一つは内容物保護性、特に水蒸気や酸素のバリア性が優れていることと同時に高い熱伝導率によってモジュール内部で発生した熱を外部に放散する効果も期待できることにある。
この問題の解決のためにいくつかの提案がなされている。
によるリード線や電極との接触を防止するために、高溶融粘度のポリエステル樹脂からなる耐熱、耐候性プラスチックフィルムで、金属箔をその両面からサンドイッチした構成の太陽電池用裏面保護シートが提案されている。
図1は金属箔の両面にプラスチックフィルムを貼り合せた比較的単純な構成の薄膜太陽電池用バックシートの断面の説明図であり、上記の貼り合せた積層体をバックシート外縁部(15)のパターンで打ち抜いた場合の断面説明図(B)とを示している。
全面に金属箔とプラスチックフィルムが積層されたシートを打ち抜いただけでは、金属箔(5)の外縁部の切断端面(15)が近辺の金属フレーム等と容易に接触して短絡する危険がある。
しかし、この方法による端部封止では加工速度が上がらず、また、加工賃も高く、設備が限定されるので結果として非常に高コストな加工方法となってしまう。封止する金属箔部がバックシート外縁を含むような長く複雑な形状の場合にはこれらの問題点は特に顕著になる。
図2は本発明の薄膜太陽電池用バックシートの一例の簡略説明図である。図2(A)は本発明の薄膜太陽電池用バックシートを用いたモジュールの断面を示した図である。
たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンジメタノール−テレフタレート(PCT)から選ばれるポリエステル樹脂、ポリカーボネート系樹脂、あるいはアクリル系樹脂等から選択することが出来る。その他のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂などについても、耐熱性、強度物性、電気絶縁性等を考慮して適宜選択することが可能である。
フッ素系樹脂フィルムとしては、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、あるいはこれらフッ素系樹脂のアクリル変性物のフィルムまたはシートから適宜選択できる。
と、ピンホール等のバリア性を阻害する欠陥が生じ易く、厚さが50μmを超える必要はない。また、要求される性能によっては金属箔の代わりに金属蒸着層でも構わない。
また、金属箔をあらかじめ枚葉で打ち抜くのではなく、プラスチックフィルムと金属箔の巻き取りから連続的に製造するために、化学的な腐食に替えてプラスチックフィルム上で金属箔のパターンラミネートと機械的な打ち抜きの組み合わせにより金属箔の不要な部分を連続的に除去することによっても、基材となるプラスチックフィルムの金属箔または
金属蒸着層との貼り合せからパターンの打ち抜きまでの各工程を連続した巻取りから巻取りの状態で行うことも可能である。
図2は先に説明した本発明の薄膜太陽電池用バックシートの説明図である。
図5から図8までが本発明の薄膜太陽電池用バックシートの請求項2の製造方法の簡略説明図であり、図5はプラスチックフィルムと金属箔の貼合わせ後、図6は金属箔面に防護ニス印刷後、図7は腐食により金属箔の不要部分を除去した後、図8は腐食後金属箔面側にプラスチックフィルムを貼り合せた後のそれぞれの状態を示す平面図及び簡略断面図である。これらの図では説明の簡略化のために接着剤層は図示しない。
この工程での貼り合わせによって図5(2)で断面を示した、プラスチックフィルム(17)と金属箔(18)の貼合わせ後の積層シートが出来る。
貼り合わせ工程において貼合わされた金属箔の表面はロール等との接触による汚染や環境からくる汚染ないし酸化等によって次工程の防護ニスの塗工に支障をきたす場合がある。そのため、必要なら印刷前に金属箔表面に周知の活性化表面処理を行う。
たとえば、図6(1)の平面図に示した印刷範囲が図8(1)で示した後工程で打ち抜くパターンよりも印刷面積として狭い範囲にあるようなパターンであり、印刷範囲の外縁から打ち抜きパターンの外周までの距離が1.0mm以上であるようなパターンである。このようにして打ち抜き後の金属箔端部が確実にプラスチックフィルム端部によって封止されるようになる。
本発明の方法に用いる腐食液は金属により異なり、それぞれの金属に対して周知の組成から適宜選択できる。金属箔が銅箔の場合は、たとえば塩化第二銅溶液や塩化第二鉄溶液が、鉄箔の場合は塩化第二鉄溶液が腐食液として使用出来る。金属箔がアルミニウム箔の場合は、酸またはアルカリ溶液が腐食液として使用出来る。
図6に示した防護ニス印刷後の本発明の方法による積層体のアルミニウム箔の腐食除去後の状態を図7に示した。
プラスチックフィルムとしては前記の候補のなかから適宜選択できる。また、プラスチックフィルムの活性化表面処理と貼り合せも周知の方法でできる。ドライラミネートの場合の接着剤は前記の候補のなかから適宜選択できる。
図7に示したアルミニウム箔の腐食除去後の本発明の方法による積層体の全面にプラスチックフィルムを貼り合せた後の状態を図8に示した。
図7のシートを、外側が図8のプラスチックフィルム外縁部(12)のパターンとなっている刃で見当を合わせて打ち抜き、プラスチックフィルム外縁部(12)の外側の切りくずを捨てて図8に示した薄膜太陽電池用バックシートが完成する。このときに図8(2)で示した金属箔外縁部(15)からプラスチックフィルム外縁部(12)までの金属箔の外縁端面から延設されたフィルム外縁部幅(L)は1.0mm以上とする。
このようにして、従来の方法における問題点であった、断続作業のために連続生産が困難であった、切り抜いた金属箔を配置する位置がずれ易いために打ち抜きパターンとの位置合わせが困難であった、特にプラスチックシートに不透明のものを用いる場合には目視での位置合わせが不可能な場合があった、等々の問題を解決することが出来る。
以下に本発明の一例の具体的な実施例を挙げて説明する。
基材とするプラスチックフィルムとして、押出法により製造された厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムS10(東レ製)の片面にドライラミネート機により、固形分30重量%の三井化学(株)製ポリウレタン系接着剤(主剤タケラックA515/硬化剤タケネートA50=10/1溶液)を乾燥状態での塗布量が4.0g/m2となるように塗布した。その上に金属箔として厚さ20μmのアルミニウム箔を貼り合わせた。しかる後そのアルミニウム箔面に、仕上げサイズ(幅1000mm×長さ1400mm)より4辺とも各5mm小さいサイズ(幅995mm×長さ1395mm)の長方形パターンの繰り返しからなる絵柄のグラビア版を用いて防護ニスのパターン塗工を行った。防護ニスとしては、アクリル−塩酢ビ系のLPVMS OPワニスC(東洋インキ製造(株)製)を用いた。
次に、プラスチックフィルムとして、押出法により製造された厚さ50μmの耐加水分解PET樹脂フィルムX10S(東レ製)の片面にドライラミネート機により、固形分30重量%の三井化学(株)製ポリウレタン系接着剤(主剤タケラックA515/硬化剤タケネートA50=10/1溶液)を乾燥状態での塗布量が4.0g/m2となるように塗布して前記積層体のアルミニウム箔側に貼り合わせた。
さらにS10面から厚さ100μmの黒色エチレン−酢ビ共重合樹脂(EVA)(酢ビ含量5%)を同様の方法で貼り合わせて積層体を作成した。
この積層体をアルミニウム箔領域を中心に仕上げサイズ(幅1000mm×長さ1400mm)に打ち抜き、本発明の薄膜太陽電池用バックシートを作成した。
基材とするプラスチックフィルムとして、押出法により製造された厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムS10(東レ製)の片面にドライラミネート機により、固形分30重量%の三井化学(株)製ポリウレタン系接着剤(主剤タケラックA515/硬化剤タケネートA50=10/1溶液)を乾燥状態での塗布量が4.0g/m2となるようにパターン状に塗布した。
パターン上の塗布は、仕上げサイズ(幅1000mm×長さ1400mm)より4辺とも各5mm小さいサイズ(幅995mm×長さ1395mm)の長方形パターンの繰り返しからなる絵柄のグラビア版を用いて行った。
その上に金属箔として厚さ20μmのアルミニウム箔を貼り合わせたのち、辺縁部分の非接着領域のアルムニウム箔をハーフカットでトリミング除去した。
さらにS10面から厚さ100μmの黒色エチレン−酢ビ共重合樹脂(EVA)(酢ビ含量5%)を同様の方法で貼り合わせて積層体を作成した。
この積層体をアルミニウム箔領域を中心に仕上げサイズ(幅1000mm×長さ1400mm)に打ち抜き、本発明の薄膜太陽電池用バックシートを作成した。
基材とするプラスチックフィルムとして、押出法により製造された厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムS10(東レ製)の片面にドライラミネート機により、固形分30重量%の三井化学(株)製ポリウレタン系接着剤(主剤タケラックA515/硬化剤タケネートA50=10/1溶液)を乾燥状態での塗布量が4.0g/m2となるように塗布した。その上に金属箔として厚さ20μmのアルミニウム箔を貼り合わせた。
次に、プラスチックフィルムとして、押出法により製造された厚さ50μmの耐加水分解PET樹脂フィルムX10S(東レ製)の片面にドライラミネート機により、固形分30重量%の三井化学(株)製ポリウレタン系接着剤(主剤タケラックA515/硬化剤タケネートA50=10/1溶液)を乾燥状態での塗布量が4.0g/m2となるように塗布して前記積層体のアルミニウム箔側に貼り合わせた。
この積層体を仕上げサイズ(幅1000mm×長さ1400mm)に打ち抜き、薄膜太陽電池用バックシートを作成した。
これに対して比較例1で作成したバックシートを用いた薄膜太陽電池では、アルミニウム箔の端面が剥き出しになっているのでモジュール化した場合に金属フレームとの間に絶
縁処理を施さないと短絡してしまった。また金属フレームとの間の絶縁処理のみではバックシート端面からの水蒸気の侵入は防止できないので端面からの腐食は進行してしまった。
2…セル部分
3…封止材
4…バックシート
4a…フィルム部分1
4b…フィルム部分2
5…金属箔
6…金属フレーム
7…絶縁処理(充填材)
10…モジュール
12…フィルム外縁部
15…金属箔外縁部
L…(金属箔の外縁端面から延設された)フィルム外縁部幅
17…PETフィルム
18…アルミニウム箔
19…PETフィルム
20…接着剤層
21…保護層(防護ニス)
22…接着剤層
23…PVFフィルム
24…接着剤層
25…PVFフィルム
100…モジュール
Claims (6)
- 金属箔または金属蒸着層の両面に、少なくともプラスチックフィルムが積層された、薄膜太陽電池用モジュールの裏面保護に用いる積層体シートであって、中間層の金属箔または金属蒸着層の外縁端面が1.0mm以上延設された両面のプラスチックフィルムによって封止されていることを特徴とする薄膜太陽電池用バックシート。
- 基材となるプラスチックフィルムの片面に貼り合せた金属箔または金属蒸着層の上からパターン状に保護層を施し、非保護層領域の金属箔または金属蒸着層を腐食によって除去した後に金属箔または金属蒸着層の上から全面にプラスチックフィルムを貼り合せてからパターンを打ち抜くことを特徴とする請求項1に記載の薄膜太陽電池用バックシートの製造方法。
- 保護層の形成がフォトリソ法、印刷法、予めパターニングされた保護フィルムの貼合わせ法のいずれかの方法によることを特徴とする請求項2に記載の薄膜太陽電池用バックシートの製造方法。
- 基材となるプラスチックフィルムの片面に貼り合せた金属箔または金属蒸着層の上からパターン状に接着剤層を施し、非接着剤層領域の金属箔または金属蒸着層をトリミングカットによって除去した後に金属箔または金属蒸着層の上から全面にプラスチックフィルムを貼り合せてからパターンを打ち抜くことを特徴とする請求項1に記載の薄膜太陽電池用バックシートの製造方法。
- 基材となるプラスチックフィルムの金属箔または金属蒸着層との貼り合せからパターンの打ち抜きまでの各工程が連続した巻取りから巻取りの状態で行われることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の薄膜太陽電池用バックシートの製造方法。
- バックシートとして請求項1に記載の薄膜太陽電池用バックシートを用いたことを特徴とする薄膜太陽電池モジュール。
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