JP5636658B2 - フォトマスクおよびフォトマスクの製造方法 - Google Patents
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Description
このHAZEは、一種の曇りの箇所であり、遮光性を呈し不要な結像を招く為にフォトリソグラフィに悪影響を及ぼしてしまう。
そのフォトマスクとペリクルを使用してICやLSIの良品を大量に製造していく中で、その異物と化したものが悪影響して、やがて露光時に欠陥を作り込んでしまうこととなり、不良品のICやLSIを大量に製造してしまうと考えられている。
しかし、洗浄によってICやLSIの製品を製造するコストを増大させてしまったり、あるいは、フォトマスクのパターン状の遮光膜を(洗浄に伴う磨耗によって)損傷させたりしてしまう傾向があり、大きな問題となっている。
遮光膜11は代表例としてCr、O、及びNで構成されている。この遮光膜がArFエネルギーが加わることで露光時に発生する運動エネルギーは以下の式で示される。
T=hν−W
(ここで T:運動エネルギー、W:仕事関数、h:プランク定数、ν:振動数)
そして、ArFが持つエネルギーhνが6.43eV、Crの仕事関数Wが4.5eVとしたとき、運動エネルギーTはT>0となり、光電効果によりCrから電子が放出される事が知られている。
フォトリソグラフィでの露光時に、フォトマスクの遮光膜のCrのイオン化、並びに、Crからこういった電子放出が起きることによりオゾン反応を招き、更に電界変位を引き起こしていると考えられ、これらにより遮光膜の劣化を招いていると考えられる。
つまり、酸素含有環境での露光によって、酸素雰囲気中でのオゾン等活性種とイオン化されたCrとの反応によるCrO3が生じてしまう。CrO3の性質としては金属CrやCrN、酸化Crの中でも最も溶解されやすく、Cr成分の中でも最も低い融点を持つ事が知られている。
更に、Cr2O3、CrN、金属Crなどが水に不溶である一方、このCrO3は水に可溶である。
従って、湿度環境下では不安定な性質で固相の酸化Crとなりフォトマスクの基板となるQzのガラスにはマイグレーションしない。しかし、ドライ環境下では、安定してCrO3の状態で存在できる為、Qzのガラスにマイグレーションし易いこととなる。
即ち、この場合、中央部が最も大きな電界を生じてしまうことで、中央部と端部とでCrのイオン化の程度に差を生じて、それにより中央部のみに膜太りを生じさせることとなり、CDUD(Critical Dimension Uniformity Degradationの略。寸法精度の不均一性)が起きることが発明者らにより見出された。
この一例では不動態化処理は洗浄前に行っているが、不動態化処理を行う事が重要であって、不動態化処理を行うタイミングは洗浄前ではなく洗浄後に不動態化処理を行うなどしてもよい。
図2は従来の技術に係るフォトマスクの製造工程を模式的に示したものである。
図3は露光時のフォトマスクの状態を模式的に示す説明図である。
図4はフォトマスクの遮光膜の劣化抑制時と発生時を模式的に示す説明図である。
濃度が10%以上60%以下であれば、硝酸アニオンの還元反応により、不動態化を促進される。
しかし、濃度が10%未満であれば、還元反応が起こりにくく安定的な不動態膜を形成する事が難しく、また60%を超える濃度であれば還元反応が加速される為に過不動態化により粒界腐食を生じるなど、濃度が薄過ぎてもまた濃過ぎても、いずれにしても安定的な不動態膜を形成することが難しい。
尚、HNO3以外を用いた不動態化処理としては、他にも例えばH2SO4(硫酸)、HCl(塩酸)、あるいはHCOOH(蟻酸)、等のいずれかを用いた不動態化処理の方法も可能である。但し、これら他の例の場合はそれぞれ、酸化力は有するが揮発性が無い為に、残渣が硫酸アンモニウムを形成し、HAZEを引き起こし易い難点があることや、(HNO3のほどには)酸化力が高くない為に不動態化処理の能力の程度が劣るという難点もある。また塩酸も残渣が汚染源になりうることから、不動態化処理に関する適性の点ではHNO3よりも劣る。そして、蟻酸はその不動態化に適する条件として100℃程度の温度制御が必要なことから、やはりHNO3よりも劣る。
Qzガラス上に遮光膜にCr膜を用いたフォトマスクブランクを準備し、図2に示すような製造工程に従い、フォトマスクを作成し、ポリカーボネート製ケースに72時間保管した。このケースはクリーンドラフト内にて保管され、そこに流入するガスはケミカルフィルタ(ルミナスガード Entgris社製)を通し、パーティクル、湿度、有機、酸アルカリが制御されている環境とした。
前記[実施例1]の場合と同じフォトマスクを塩素ガス雰囲気下に1週間保管した。
次に、ArFレーザー(ximer−300 MPB社製)をフォトマスク上方に配置して、50mW/cm2、200Hzの波長で前記[実施例1]の場合と同じ露光量で照射した。この時、エネルギーの劣化などの変動はなかった。露光雰囲気はN2:O2=4:1の比率とし、湿度は0%の環境で実施した。露光環境は環境由来の汚染が含有されない条件とした。
11…遮光膜
12…不動態膜
13…露光雰囲気
14…ペリクル内雰囲気(オゾン等活性種)
15…レーザー光
16…ペリクル
Claims (4)
- ガラス基板の表面に遮光膜としてCr膜を備えたフォトマスクであって、該Cr膜の前記ガラス基板と接する面を除いた全面の表面がHNO 3 溶液による酸化処理で不動態化されたものであることを特徴とするフォトマスク。
- ガラス基板の表面に遮光膜を備えたフォトマスクの製造方法であって、該遮光部を形成しているCr膜の前記ガラス基板と接する面を除いた全面の表面をHNO 3 溶液によって不動態化することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
- 前記HNO 3 溶液の濃度が10wt%以上60wt%以下であることを特徴とする請求項2に記載のフォトマスクの製造方法。
- 前記HNO 3 溶液によって不動態化する処理は、浸漬又は塗布による処理であることを特徴とする請求項2に記載のフォトマスクの製造方法。
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