JP5635255B2 - スラスト軸受の組立方法および組立装置 - Google Patents
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同様に、他方の軌道盤12の軌道盤本体12aの内径に鍔12bを設けてこの鍔12bの先端から外向きに複数のステーキング12cを軌道盤周方向に等間隔をおいて並列した状態で延出している。
より詳しくは、まず外径に鍔とステーキングを有する一方軌道盤を、上面が略円錐形の台座に鍔を上向きにして載せる。
ついで軌道盤の上から荷重をかけて軌道盤本体を台座の円錐形に沿うように押し付け、鍔が外側に傾く向きに全体的に弾性変形させる。この状態で転動体を保持した保持器を軌道盤本体に向けて落とし込む。
最後に、軌道盤を荷重から開放して軌道盤本体をフラットな状態に弾性的に復元させることで、保持器を一方軌道盤に組み付ける。
また、剛性の弱い保持器が塑性変形する場合がある。この場合、変形した保持器により、転動体がスムーズに回転しなくなり、やがて保持器に引張り応力が発生して損傷するという問題が起こりうる。
また、軌道盤の剛性が高い場合には、弾性変形させにくく、無理に変形させようとして急激に大きな負荷をかけると、ステーキング等が欠損するおそれがある。
すなわち、前記一方軌道盤を水平に保持し、前記転動体を保持した保持器を水平方向に対し傾斜させ、前記一方軌道盤の軌道盤本体と、前記複数のステーキングから選択されたいくつかのステーキングとの間に斜めから差し込むステップS1(仮組立)と、
前記保持器を上から押圧して、一方軌道盤の残りのステーキングの上から軌道盤本体の側に圧入するステップS2(本組立)と、
前記他方軌道盤を水平に保持し、前記一方軌道盤に保持器を組みつけてなる組み付け体を水平方向に対し傾斜させ、前記他方軌道盤の軌道盤本体と、前記複数のステーキングから選択されたいくつかのステーキングとの間に斜めから差し込むステップS3(仮組立)と、
前記組み付け体を上から押圧して、他方軌道盤の残りのステーキング上から軌道盤本体の側に圧入するステップS4(本組立)と、を含む構成としたのである。
このため、ステーキング等が欠損したり、変形により軸受寿命が短くなったりすることが防止される。また、ほとんど変形させないため、剛性の高い軌道盤についても、容易に適用可能である。
前記一方軌道盤および前記他方軌道盤を、それぞれ水平に支持する一方支持台および他方支持台と、
前記一方支持台および他方支持台の間に配置され、互いに接近離反する方向にスライド可能な一対のフィンガーと、各フィンガーから前記スライド方向と直交する方向に突出するピンと、からなる上下反転可能なスライドチャックを備える多関節ロボットアームと、
前記各支持台の上方に昇降可能に配置された押圧機材と、を用いるものとし、
下記のステップS1〜S7を含む構成としたのである。
前記多関節ロボットアームを操作して、スライドチャックに内径保持された保持器を水平から傾斜状態に傾けて前記一方支持台に水平支持された一方軌道盤に対し接近させ、前記一方軌道盤の軌道盤本体と、前記複数のステーキングから選択されたいくつかのステーキングとの間に斜めから差し込むステップS2(仮組立)と、
前記押圧機材により、前記保持器を上から押圧して一方軌道盤の残りのステーキングの上から軌道盤本体の側に圧入して組み付けるステップS3(本組立)と、
前記多関節ロボットアームを操作して、前記一方軌道盤に保持器を組みつけてなる前記一方支持台上に支持される組み付け体を、そのスライドチャックの一対のフィンガーを接近する向きにスライドさせてフィンガーにより外径から保持するステップS4と、
前記多関節ロボットアームを操作して、組み付け体を保持したままそのスライドチャックを上下反転させるステップS5と、
前記多関節ロボットアームを操作して、スライドチャックに外径保持された前記組み付け体を水平から傾斜状態に傾けて前記他方支持台に水平支持された他方軌道盤に対し接近させ、前記他方軌道盤の軌道盤本体と、前記複数のステーキングから選択されたいくつかのステーキングとの間に斜めから差し込むステップS6(仮組立)と、
前記押圧機材により、前記組み付け体を上から押圧して他方軌道盤の残りのステーキングの上から軌道盤本体の側に圧入するステップS7(本組立)と、を含む構成としたのである。
そのため、ステーキング等が欠損したり、変形により軸受寿命が短くなったりすることが防止される。また、ほとんど変径させないため、剛性の高い軌道盤についても、容易に適用可能である。
また、ロボットアームのスライドチャックが、そのピンで軸受部品の内径を、そのフィンガーで軸受部品の外径を、いずれも保持可能であるため、内径保持時と外径保持時でチャックを交換する必要がなく、作業時間が短縮される。
スラスト軸受の一方軌道盤および他方軌道盤を、それぞれ水平に支持可能な一方支持台および他方支持台と、
前記一方支持台および他方支持台の間に配置され、その先端に設けられたスライドチャックが前記一方支持台および他方支持台の間を往復可能な多関節ロボットアームと、
前記両支持台の上方に昇降可能に配置された押圧機材と、を備える装置であり、
前記多関節ロボットアームのスライドチャックは、
接近離反する方向にそれぞれスライド可能な一対のフィンガーと、
各フィンガーからフィンガーのスライド方向と直交する方向に突出するピンと、を有して、前記一対のフィンガーによりスラスト軸受の保持器を外径から保持可能で、かつ前記一対のピンによりスラスト軸受の保持器を内径から保持可能なスライドチャックであることが理解される。
この組立装置によりロボットアーム20を用いることで自動化された実施形態の組立方法が実施される。
その一方の軌道盤11は、ドーナツ型の軌道盤本体11aの外径全周に、円筒形の鍔11bを一体に設け、この鍔11bの先端には内向きに延びる円弧形のステーキング11cを軌道盤周方向に等間隔を置いて複数設けている。
また、その他方の軌道盤12は、ドーナツ型の軌道盤本体12aの内径全周に、円筒形の鍔12bを一体に設け、この鍔12bの先端には外向きに延びる円弧形のステーキング12cを軌道盤周方向に等間隔を置いて複数設けている。
さらに平面視ドーナツ型の保持器13は、金属を折り曲げ加工して形成され、周方向に並列する多数のポケットを有し、このポケットにはころ14を保持されている。
ここで多関節アーム部22の関節(アーム同士の連結箇所)の数は限定されないが、多いほど細かい動作が可能であるため好ましく、6つ(6軸)以上が特に好ましい。
また、多関節アーム部22の先端にはスライドチャック23が先端側アームの軸心周りに回転可能に取り付けられている。すなわち、スライドチャックは回転により上下反転可能となっている。
このスライドチャック23は、図3に示すように、リニアベアリング等の公知の構成を用いることで、互いに接近離反する方向に直線的にスライド可能に構成されたプレート型の一対のフィンガー23aと、各フィンガー23aからそのスライド方向にほぼ垂直の方向に突出する一対のピン23bと、を有する。
これにより、ロボットアーム20のスライドチャック23を一方支持台30および他方支持台40の間を往復移動させることが可能となっている。
支持レバー32は、互いに接近離反する向き(放射方向)に若干量のスライドが許容されており、かつ互いに接近する向きにばね33で付勢されている。
このような支持レバー32による弾性的な支持により、一方軌道盤11に外部から力が加えられて、その位置がずれ動いた場合でも、その力から解放されるとばね33の力で元の基準位置に復帰するようになっている。
なお一方軌道盤11は、そのステーキング11cが一方支持台30の周方向に所定の配置になるように、位相あわせした状態で支持されている。
また、側面視L字型の押えレバー43は、テーブルの上面に臨む先端に爪を有し、後端に昇降可能なプッシャ43aが当接し、L字の屈曲部分がテーブルに対して回動可能に支持されている。
そのため、プッシャ43aが上昇すると、押えレバー43はその爪がテーブル41に支持された他方軌道盤12に接近する向きに回動し、プッシャ43aが下降すると、押えレバー43はその爪がテーブル41に支持された他方軌道盤12から離反する向きに回動する。
ホルダ44は、テーブル41上面に固定されるホルダ本体44aと、ホルダ本体44aに係合し、かつ押えレバー43に対向してテーブル41上面をスライド可能なスライダ44bとからなる。ここで、ホルダ本体44aとスライダ44bの間には、ばね45が架け渡されているため、スライダ44bはテーブル41上面をホルダ本体44aから離れる向きに付勢されている。
このとき、ホルダ44は、他方軌道盤12の内径側にはまり込み、そのばね45による付勢で、他方軌道盤12は、ほぼ水平の状態でホルダ44に内径から弾性的に保持されることになる。
このようにして他方軌道盤12をホルダ44に保持させた後、ガイドバー42をテーブル41内に没入させて作業の邪魔にならないようにする。
なお他方軌道盤12は、そのステーキング12cが他方支持台40の周方向に所定の配置になるように、位相あわせした状態で支持されている。
なお、この組立装置には、ロボットアーム20に保持器13を供給するための供給テーブル等の供給部を別途設置してもよい。
そして、図5(a)のように、一方軌道盤11の軌道盤本体11aと全体のステーキング11cのうちから選択された複数のステーキング11c(全体のステーキング11cの数がn個なら、選択されたステーキング11cの数はn−1個以下。以下同様。)との間に斜めから差し込んで仮組込みをおこなう。
ここで差し込みの方向、位置等は、位相あわせして一方支持台30に支持された一方軌道盤11との関係で、できるだけ保持器13等がステーキング11cに干渉しないように適宜調整されるものとする。可能であるならば、1つのステーキング11cを残してあとのすべてのステーキング11cと軌道盤本体11aとの間に保持器13を差し込んでおくことが好ましい。
続いて、ロボットアーム20を制御部で操作して、そのスライドチャック23の一対のフィンガー23aを接近する向きにスライドさせ、ピン23bによる保持器13の内径保持を解除する。
このようにして、図5(c)のように、一方軌道盤11に保持器13を組み付けた組み付け体が完成する。
これにより、組み付け体の上下も反転し、組み付け体をさらに他方軌道盤12に組み付ける作業をおこなうこれ以降のステップに速やかに移行することができる。
同様に、スライドチャック23が、保持器13の内径および外径のいずれも保持できるようになっているため、チャック交換の必要がなく、以降のステップに速やかに移行することができる。
そして、図6(a)のように、他方軌道盤12の軌道盤本体12aと全体のステーキング12cから選択された複数のステーキング12cとの間に斜めから差し込んで仮組み込みを行う。
このとき、押えレバー43を回動させて、組み付け体の保持器13の上から爪を係合させておくと、組み付け体は他方軌道盤12から外れないように押えられるため、作業が確実に行われる。
また差し込み方向、位置等は、位相あわせして他方支持台40に支持された他方軌道盤12との関係で、できるだけ保持器等がステーキング12cに干渉しないように適宜調整されるものとする。可能であるならば、1つのステーキング12cを残してあとのすべてのステーキング12cと軌道盤本体12aとの間に組み付け体を差し込んでおくことが好ましい。
続いて、ロボットアーム20を制御部で操作して、そのスライドチャック23の一対のフィンガー23aを離反する向きにスライドさせ、組み付け体の外径保持を解除する。
加えて、保持器13や組み付け体を圧入したわずかな(例えば1つの)ステーキング11c、12cについても、微少にしか荷重がかからずしたがってほとんど変形しないことになる。
したがって、ステーキング11c、12c等が欠損したり、変形により軸受寿命が短くなったりすることが防止される。また、軸受部品をほとんど変形させることがないため、剛性の高い軌道盤についても、容易にこの方法を適用可能である。
実施形態の組立装置の要素を排した、実施形態の組立方法は、下記のようにステップS1〜S4よりなることが容易に理解できる。
すなわち、ステップS1として、一方軌道盤11を水平に保持し、ころ14を保持した保持器13を水平方向に対し傾斜させ、一方軌道盤11の軌道盤本体11aと全体から選択された複数のステーキング11cとの間に斜めから差し込む。
つぎに、ステップS2として、保持器13を上から押圧して一方軌道盤11の残りのステーキング11cの上から軌道盤本体11aの側に圧入して組み付け体とする。
さらに、ステップS3として、他方軌道盤12を水平に保持し、組み付け体を水平方向に対し傾斜させ、他方軌道盤12の軌道盤本体12aと全体から選択された複数のステーキング12cとの間に斜めから差し込む。
最後に、ステップS4として、組み付け体を上から押圧して他方軌道盤12の残りのステーキング12c上から軌道盤本体12aの側に圧入する。
また、ロボットアーム20のスライドチャック23を上下反転可能とする構成は、上記した多関節アーム部22の軸心周りの回動に限定されない。
11 一方軌道盤
11a 軌道盤本体
11b 鍔
11c ステーキング
12 他方軌道盤
12a 軌道盤本体
12b 鍔
12c ステーキング
13 保持器
14 ころ
20 ロボットアーム
21 ベース
22 多関節アーム部
23 スライドチャック
23a フィンガー
23b ピン
30 一方支持台
31 テーブル
32 支持レバー
33 ばね
40 他方支持台
41 テーブル
42 ガイドバー
43 押えレバー
43a プッシャ
44 ホルダ
44a ホルダ本体
44b スライダ
45 ばね
50、60 押圧機材
Claims (2)
- 軌道盤本体の外径側に鍔と鍔の先端から内側に向く等間隔に配置された複数のステーキングとを有する一方軌道盤と、
前記一方軌道盤に対向し、軌道盤本体の内径側に鍔と鍔の先端から外側に向く等間隔に配置された複数のステーキングとを有する他方軌道盤と、
周方向に並列する複数のポケットを有し、外径側に前記一方軌道盤のステーキングが係合し、内径側に前記他方軌道盤のステーキングが係合することで両軌道盤間に組み付けられる保持器と、
前記保持器の各ポケットに両軌道盤間を転動可能に保持される複数の転動体と、を備えるスラスト軸受を組み立てる方法であって、
その組み立てる方法に、
前記一方軌道盤および前記他方軌道盤を、それぞれ水平に支持する一方支持台および他方支持台と、
前記一方支持台および他方支持台の間に配置され、互いに接近離反する方向にスライド可能な一対のフィンガーと、各フィンガーから前記スライド方向と直交する方向に突出するピンと、からなる上下反転可能なスライドチャックを備える多関節ロボットアームと、
前記各支持台の上方に昇降可能に配置された押圧機材と、を用い、
前記多関節ロボットアームを操作して、そのスライドチャックの一対のフィンガーを離反する向きにスライドさせて一対のピンにより保持器を内径から保持するステップS1と、
前記多関節ロボットアームを操作して、スライドチャックに内径保持された保持器を水平から傾斜状態に傾けて前記一方支持台に水平支持された一方軌道盤に対し接近させ、前記一方軌道盤の軌道盤本体と、前記等間隔に配置された複数のステーキングの総ステーキング数から1を減じた数以下でかつ可能な限り多く選択されたいくつかのステーキングとの間に、できるだけ前記保持器が前記ステーキングに干渉しないように位相あわせされたうえで、斜めから差し込むステップS2と、
前記押圧機材により、前記保持器を上から押圧して一方軌道盤の残りのステーキングの上から軌道盤本体の側に圧入して組み付けるステップS3と、
前記多関節ロボットアームを操作して、前記一方軌道盤に保持器を組みつけてなる前記一方支持台上に支持される組み付け体を、そのスライドチャックの一対のフィンガーを接近する向きにスライドさせてフィンガーにより外径から保持するステップS4と、
前記多関節ロボットアームを操作して、組み付け体を保持したままそのスライドチャックを上下反転させるステップS5と、
前記多関節ロボットアームを操作して、スライドチャックに外径保持された前記組み付け体を水平から傾斜状態に傾けて前記他方支持台に水平支持された他方軌道盤に対し接近させ、前記他方軌道盤の軌道盤本体と、前記等間隔に配置された複数のステーキングの総ステーキングから1を減じた数以下でかつ可能な限り多く選択されたいくつかのステーキングとの間に、できるだけ前記保持器が前記ステーキングに干渉しないように位相あわせされたうえで、斜めから差し込むステップS6と、
前記押圧機材により、前記組み付け体を上から押圧して他方軌道盤の残りのステーキングの上から軌道盤本体の側に圧入するステップS7と、を含むスラスト軸受の組立方法。 - 軌道盤本体の外径側に鍔と鍔の先端から内側に向く等間隔に配置された複数のステーキングとを有する一方軌道盤と、
前記一方軌道盤に対向し、軌道盤本体の内径側に鍔と鍔の先端から外側に向く等間隔に配置された複数のステーキングとを有する他方軌道盤と、
周方向に並列する複数のポケットを有し、外径側に前記一方軌道盤のステーキングが係合し、内径側に前記他方軌道盤のステーキングが係合することで両軌道盤間に組み付けられる保持器と、
前記保持器の各ポケットに両軌道盤間を転動可能に保持される複数の転動体と、を備えるスラスト軸受を組み立てる装置であって、
スラスト軸受の一方軌道盤および他方軌道盤を、それぞれ水平に支持可能な一方支持台および他方支持台と、
前記一方支持台および他方支持台の間に配置され、その先端に設けられたスライドチャックが前記一方支持台および他方支持台の間を往復可能な多関節ロボットアームと、
前記両支持台の上方に昇降可能に配置された押圧機材と、を備え、
前記多関節ロボットアームのスライドチャックは、
接近離反する方向にそれぞれスライド可能な一対のフィンガーと、
各フィンガーからフィンガーのスライド方向と直交する方向に突出するピンと、を有し、前記一対のフィンガーによりスラスト軸受の保持器を外径から保持可能で、かつ前記一対のピンによりスラスト軸受の保持器を内径から保持可能であり、
前記多関節ロボットアームは、そのスライドチャックに保持された保持器を、前記一方支持台に保持された一方軌道盤および前記他方支持台に保持された他方軌道盤に対して、前記軌道盤本体と前記等間隔に配置された複数のステーキングの総ステーキングから1を減じた数以下でかつ可能な限り多く選択されたいくつかのステーキングとの間に、できるだけ前記ステーキングに干渉しないように位相あわせされたうえで、斜めから差し込めるようになっている、スラスト軸受の組立装置。
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