JP5634954B2 - プラズマcvd装置 - Google Patents

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Description

本発明は、基材にCVD皮膜を形成するプラズマCVD装置に関する。
ピストンリングのような自動車のエンジン部品などには、良好な耐摩耗性、耐熱性、耐焼付き性等が求められる。そのため、これら機械部品には、DLC(Diamond-Like-Carbon)のような耐摩耗性コーティングがプラズマCVD法を用いて施される。
ところで、上述した基材にプラズマCVD法を施す際は、生産性を考えて真空チャンバ内に多数の基材を収容して一度に処理を行うのが好ましい。このように多数の基材を一度に処理する場合には、それぞれの基材に形成される皮膜の厚さや膜質を基材同士で均一にしなくてはならないので、従来のプラズマCVD装置では、基材をテーブル上に並べて自公転させた状態で成膜処理する方法が採用されている。
例えば、特許文献1は、成膜対象となる基材を配置する真空チャンバ内にプラズマを発生するプラズマ発生手段と、プラズマ発生手段によって発生させたプラズマを基材の周辺の閉込め空間に閉じ込めるマルチカスプ磁界を形成するマルチカスプ磁界発生手段と、基材を保持すると共に閉込め空間の中心近傍を中心軸として回転する保持回転手段とを有する成膜装置を開示している。この特許文献1の成膜装置では、すべての基材はこれらを載置するテーブルごと電源の一方の極に接続されていてバイアス電圧を付加されており、電源の他方の極が接続された接地電位にある真空チャンバを対極としてグロー放電を発生させプラズマを生成する。そして、このプラズマにより原料ガスを分解して基材表面上に皮膜を形成するようになっている。
一方、特許文献2は、プラズマCVD法によって被処理物(基材)の表面に被膜を形成するプラズマCVD装置において、内部に上記被処理物が配置される真空チャンバと、上記真空チャンバ内にプラズマを発生させるプラズマ発生手段と、上記真空槽内に上記プラズマ発生手段と対向するように設けられ該プラズマ発生手段に向けて上記プラズマを反射させる反射手段と、上記真空チャンバ内に上記被膜の材料となる原料ガスを導入する原料ガス導入手段と、を具備し、上記反射手段の上記プラズマを反射させる部分が金属製ウールによって形成されたプラズマCVD装置を開示している。この特許文献2のプラズマCVD装置でも、被処理物はDC電源に接続されていてバイアス電圧を付加されており、プラズマガンを用いて真空チャンバの中央部に発生したプラズマにより原料ガスを分解し、周囲と取り囲む被処理物にバイアス電圧を印加しながら皮膜を形成する構成である。
特開2007−308758号公報 特開2006−169563号公報
ところで、プラズマCVD法による皮膜がDLCのような絶縁性の皮膜である場合は、成膜が進んで膜厚が大きくなれば、基材の表面に堆積した皮膜により基材表面の導電性は次第に失われる。ただ、成膜処理が終了すれば基材は導電性の表面を持つ新たなものと交換されるので、皮膜が堆積し続けて基材表面の導電性が完全に失われることはない。
しかし、例えば特許文献1の場合を考えると、皮膜は成膜対象の基材以外の部分、例えば真空チャンバ内壁にも付着する。真空チャンバの内壁は基材のように毎回交換されるものではないので、真空チャンバ側に堆積する絶縁皮膜は、成膜を何回も継続すればするほど厚く堆積する。そして、この堆積した皮膜の膜厚が増加するに連れて、チャンバ内壁の電気的な抵抗が増大し、内壁を一方の電極として発生するプラズマの生成が不安定になったり、操業条件が最適な条件からズレたりする可能性が生じる。
一方、特許文献2のプラズマCVD装置では、プラズマガンを用いてプラズマを生成する機構を持ち、自公転する基材側にはパルス状のバイアス電圧を印加している。このように基材に印加する電圧をパルス状にすると、基材表面の絶縁性の皮膜のチャージアップを防止して安定的な成膜が可能となるが、プラズマガンの周辺、反射電極やグランドに接続された真空チャンバの内壁面に絶縁皮膜は堆積し、特許文献1と同様に連続して操業を繰り返すにつれ厚く堆積した絶縁性皮膜によりプラズマが不安定になる現象が発生しやすくなる。このため、基材以外の装置構成部材も交換や、頻繁な清掃を行なうことが必要になると考えられる。
加えて、特許文献1の成膜装置でも特許文献2のプラズマCVD装置でも、基材以外の部分に堆積した皮膜は、膜厚が厚くなるにつれて剥がれて飛散しやすくなり、皮膜欠陥の原因にもなるので、定期的な清掃などが必要となる。清掃が必要とされるという問題は、CVD皮膜が導電性皮膜の場合でも生じる。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、多数の基材に対して一度に且つ均一に成膜を行うものでありながら、長時間に亘って使用しても安定した成膜条件を維持しつつ成膜を行うことができると共に、基材以外の部分にCVD皮膜が堆積しにくく、頻繁な清掃が不要となって良好な利便性を発揮することのできるプラズマCVD装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のプラズマCVD装置は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明のプラズマCVD装置は、真空チャンバと、前記真空チャンバ内を真空排気する真空排気手段と、成膜対象である基材を自転する状態で保持する複数の自転保持部と、前記複数の自転保持部を前記自転保持部の回転軸と軸心平行な公転軸回りに公転させる公転機構と、前記真空チャンバ内に原料ガス含むプロセスガスを供給するガス供給部と、前記真空チャンバ内に供給されたプロセスガスにプラズマを発生させるプラズマ発生電源とを備えていて、前記自転保持部に保持された基材に皮膜を形成するプラズマCVD装置であって、前記複数の自転保持部の各々は、前記プラズマ発生電源の一方極に接続された第1の群と、前記プラズマ発生電源の他方極に接続される第2の群とのいずれかに分けられ、前記第1の群の自転保持部に保持された基材と、第2の群の自転保持部に保持された基材との間にプラズマが発生可能とされていることを特徴とする。
好ましくは、前記公転機構は、前記公転軸回りに公転可能とされた公転テーブルを有しており、前記複数の自転保持部の各々は、前記公転テーブルの公転軸から等しい半径で且つ公転軸回りに等間隔となるように配備されていると良い。
好ましくは、前記第1の群に属する自転保持部と第2の群に属する自転保持部とは、互いに同数とされており、前記公転軸回りに1つずつ交番に並んで配備されていると良い。
好ましくは、前記第1の群に属する自転保持部と第2の群に属する自転保持部とは、互いに同数とされており、前記公転軸回りに2つずつ交番に並んで配備されていると良い。
本発明のプラズマCVD装置を用いることで、多数の基材に対して一度に成膜を行うものでありながら、絶縁膜の堆積に伴う動作の不安定をきたさず、長時間に亘って使用しても安定した成膜を行うことができる。また、プラズマ発生は基材を電極として行なわれるため、成膜領域は基材周辺に集まり、結果としてチャンバ等の不必要な部位での皮膜形成が低減でき、メンテナンス頻度を低減可能である。
本発明のプラズマCVD装置の斜視図である。 本発明のプラズマCVD装置の平面図である。 自転保持部への基材の設置例を示した図である。 公転テーブルに対する自転保持部の配置を示す図である。
以下、本発明に係るプラズマCVD装置1の実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
図1は、本発明のプラズマCVD装置1の全体構成を示している。
このプラズマCVD装置1は、真空チャンバ2と、真空チャンバ2内を真空排気する真空排気手段3と、成膜対象である基材Wを自転する状態で保持する複数の自転保持部4と、を有している。これら複数の自転保持部4は公転テーブル5に配備されており、このプラズマCVD装置1には複数の自転保持部4が設けられた公転テーブル5を自転保持部4の回転軸(自転軸P)と軸心平行な公転軸Q回りに公転させる公転機構8が設けられている。
なお、本発明において「基材Wが自転する」とは、基材Wを貫通する軸P回りに基材Wが回転する(スピンする)ことをいう。また、「基材Wが公転する」とは、基材Wが自分自身から離れた軸Q回りに回転すること、言い換えれば基材Wが軸Qの周りを周回することをいう。
また、図2に示すように、上述したプラズマCVD装置1は、真空チャンバ2内に原料ガスを供給するガス供給部9と、真空チャンバ2内に供給されたプロセスガスにプラズマを発生させるプラズマ発生電源10とを備えていて、自転保持部4に保持された基材WにプラズマCVD法を用いて皮膜を形成する構成となっている。
上述したプラズマCVD装置1の構成をさらに詳しく説明する。
真空チャンバ2は、その内部が外部に対して気密可能とされた筺体である。真空チャンバ2の側方にはこの真空チャンバ2内にある気体を外部に排気してチャンバ内を低圧状態(真空状態)にする真空ポンプ3(真空排気手段)が設けられていて、この真空ポンプ3により真空チャンバ2内は真空状態まで減圧可能である。そして、この真空チャンバ2の内部には、複数の基材Wが後述する自転保持部4にそれぞれ保持された状態で収容されている。
第1実施形態のプラズマCVD装置1で成膜される基材Wは、均一な成膜を可能とするため上下に長尺な円柱状空間内に配備するとよい。
例えば、基材Wが図3(a)に示すようなピストンリングである場合は、そのままでは不均一に成膜される可能性がある。図3(a)のように、積み重ねても周方向の一部が欠落して完全な円筒にならない場合は、必要に応じてカバー11で開口部分に蓋をすることにより、均一な成膜が可能となる。
また、成膜しようとする基材Wが図3(b)に示すような小型部材(例えば小さなピストンピン)の場合は、円板12が上下方向に多段に積み重ねられた設置ジグ13を用意し、それぞれの円板12に基材Wを配備するとよい。そして、この設置ジグ13を、円柱状空間内に収まるようにすればよい。
さらに、基材Wが前記以外の形状物である場合であっても、適宜固定用のジグを製作し、ジグと基材が円柱状空間内に収まるようにすればよい。
自転保持部4は、例えばその上面が水平となっている円形の載置台である。自転保持部4は、上下方向を向く回転軸回りに回転自在となっており、上面乃至は上方に配備された基材Wを回転軸回りに自転させつつ保持できるようになっている。自転保持部4へは給電可能な状態となっており、供給された電圧は基材Wにも印加される。
図1に示すプラズマCVD装置1の場合、自転保持部4は全部で6つ配備されている。これら6つの自転保持部4は、平面視で一つの円の上に並ぶように公転テーブル5の上面に起立状態で配備されている。
公転テーブル5の中心軸(公転軸Q)は上下方向を向き、この軸回りに公転テーブル5は回転する。公転テーブル5の上面には上述したように複数(6つ)の自転保持部4が、公転テーブル5の公転軸Qから等しい距離(半径)となるように且つ公転軸Q回り(周方向)に等間隔を開けて配備されている。この公転テーブル5の下側には、公転テーブル5を公転軸Q回りに回転させる公転機構8が設けられている。
公転機構8は、公転テーブル5の下面から公転軸Qに沿って下方に向かって伸びる軸部14と、この軸部14を駆動回転させる回転駆動部15とを有している。このように公転機構8を用いて公転軸Q回りに公転テーブル5を回転させれば、基材Wが保持された自転保持部4が公転軸Q回りに公転する。それと同時に、自転保持部4がその軸心回りに回転する構成とされている故、自転保持部4に保持された基材Wが自転するようになる。
係る機構により、基材Wを真空チャンバ2内で各自転保持部4を自転させつつ全体を公転させながら(自公転させながら)成膜させることが可能となる。
なお、隣り合う基材は、回転位相を考慮したり隣接する基材のサイズの調整などで、自公転時に相互に機械干渉しないように適切に設置する。
一方、図2に示すように、真空チャンバ2内には、真空チャンバ2内に原料ガスを含むプロセスガスを供給するガス供給部9が設けられている。このガス供給部9は、CVD皮膜の形成に必要な原料ガスや、成膜をアシストするアシストガスを、ボンベ16から所定量だけ真空チャンバ2内に供給する構成とされている。
プロセスガスとしては、具体的には、DLC(ダイヤモンドライクカーボン、非晶質カーボン膜)などのカーボン系のCVD皮膜を成膜する場合には、炭化水素(アセチレン、エチレン、メタン、エタン、ベンゼン、トルエンなど)を含む原料ガスに、不活性ガス(アルゴン、ヘリウムなど)の不活性ガスをアシストガスとして加えたものが用いられる。また、シリコン酸化物系のCVD皮膜(SiOx膜、SiOC膜、SiNx膜、SiCN膜)を成膜する場合には、シリコン系有機化合物(モノシラン、TMS、TEOS、HMDSOなど)やシランなどシリコン含む原料ガスに、酸素などの反応ガスを加え、さらにアルゴンなどの不活性ガスをアシストガスとして加えたものを用いることができる。なお、CVD皮膜としては、上述したもの以外にも、TiOx膜、AlOx膜、AlN膜などを成膜することができる。
また、主たる原料ガスに少量の添加原料ガスを混合させることもある。例えば、DLC皮膜の形成の際に、炭化水素を主たる原料ガスとして、シリコン系有機化合物ガスを少量添加することにより、DLC中にSiを含む皮膜を形成することができる。あるいは、DLC皮膜の形成の際に、炭化水素を主たる原料ガスとして、金属を含有する原料ガス(例として、TiPP(チタニウムイソプロポキサイド)やTDMAT(テトラジメチルアミノチタン))を少量添加することで、DLC中に金属(例ではチタン)を含む皮膜を形成することができる。
なお、これらの原料ガス、反応ガス及びアシストガスは、使用するガスの種類を適宜組みあわせて用いることができる。
また、図2の如く、真空チャンバ2内に別の皮膜供給源6(スパッタ源、AIP蒸発源など)を設けるようにしても良い。
一方、本発明のプラズマCVD装置1に備えられたプラズマ発生電源10は、真空チャンバ2内に供給したプロセスガスにグロー放電を発生させて、プラズマを発生させるために用いるもので、交流の電力を供給する。このプラズマ発生電源10が供給する交流の電力としては、正弦波の波形に従って電流や電圧が正負に変化する交流だけでなく、パルス状の波形に従って正負に入れ替わる矩形波の交流を用いても良い。また、この交流には、連続した同一極性のパルス群が交互に現れるものや、正弦波の交流に矩形波を重畳したものを用いることもできる。なお、実際のプラズマ発生中の電圧波形は、プラズマ生成の影響によって歪む場合がある。また、プラズマが発生すると交流電圧のゼロレベルがシフトし、各電極の電位を接地電位に対して測定すると、マイナス側電極に印加電圧の80−95%が、プラス側電極に印加電圧の5−20%が加わるのが多く観察される。
プラズマ発生電源10から供給される交流は、その周波数が1kHz〜1MHz、好ましい。周波数が1kHz未満では皮膜のチャージアップが起り易く、1MHzを超える周波数の電力を自転公転する基材に伝達する機構が難しいからである。さらに電源の入手性等を考慮すると、10kHz〜400kHzの範囲とするのがなお好ましい。また、プラズマ発生電源10から供給される交流の電圧は、波高値でグロー放電の維持に必要な300〜3000Vが好ましい。さらに、プラズマ発生電源10から供給される交流の電力は、基材Wの表面積によって変動するが、単位面積あたりの電力で0.05〜5W/cm程度の電力密度であるのが好ましい。
このような周波数、電圧、電力(電力密度)の交流電流を真空チャンバ2内に配備された一対の電極間に作用させれば、グロー放電が電極間に発生し、発生したグロー放電で真空チャンバ2内に供給されたプロセスガスが分解されてプラズマが発生する。そして、プラズマにより分解されたこれらのガス成分が電極表面に堆積することで、CVD皮膜の成膜が行われる。つまり、一対の電極のいずれかに基材Wを用いれば、基材Wの表面にCVD皮膜を成膜することが可能となる。
なお、真空チャンバ2内には、基材の温度を制御して膜質を調整する加熱ヒータ17が適宜配備されていても良い。
ところで、図2に示すように、本発明のプラズマCVD装置1においては、複数の自転保持部4の半数が、プラズマ発生電源10の一方極に接続された第1の群18とされている。併せて、複数の自転保持部4の残り半数が、プラズマ発生電源10の他方極に接続された第2の群19とされている。互いに異なる極性とされた第1の群18の自転保持部4に保持された基材Wと、第2の群19の自転保持部4に保持された基材Wとの間にプラズマが発生できる。
詳しくは、公転テーブル5に自転保持部4が全部で6つ配備されている状態においては、図2の「A」で示される第1の群18の自転保持部4は全部で3つ、また図2の「B」で示される第2の群19の自転保持部4も全部で3つ存在していて、第1の群18に属する自転保持部4の数と第2の群19に属する自転保持部4の数とは同数となっている。
これらの自転保持部4については、第1の群18に属する自転保持部4の両隣に第2の群19の自転保持部4が設けられ、これらの第2の群19の自転保持部4のさらに隣に別の第1の群18に属するある自転保持部4が設けられている。つまり、第1の群18に属する自転保持部4と第2の群19に属する自転保持部4とは、公転テーブル5の公転軸Q回りに1つずつ交番に(交互に)並ぶように配備されている。
そして、第1の群18に属する3つの自転保持部4はいずれも、プラズマ発生電源10の一方の電極に接続されている。また第2の群19に属する3つの自転保持部4はいずれもプラズマ発生電源10の他方の電極に接続されている。つまり、電圧印加中は、第1の群18に属する自転保持部4と、第2の群19に属する自転保持部4とは、常に逆の極性となっている。
なお、各自転保持部4を上記した極性とするためには、公転軸Qならびに自転軸Pにそれぞれブラシ機構(図示略)を設け、このブラシ機構を通じてそれぞれの極性の電圧を印加するとよい。公転軸Q及び自転軸Pはベアリング機構を介して回転時自在に保持されているが、このベアリング機構を通じて電圧を印加するようにしてもよい。
次ぎに、以上述べた構成を有するプラズマCVD装置1を用いたCVD皮膜方法について説明する。
まず、図1、図2に示す如く、真空チャンバ2内に配置した公転テーブル5上に自転保持部4が公転軸Qを中心として60°ごとに6軸配備されたプラズマCVD装置1を用いて、CVD皮膜を実際に成膜する場合を考える。
まず、基材Wを自転保持部4に設置する。基材Wは自転保持部4の上に載置して固定してもよいし、設置ジグ13を用いて基材Wを自転保持部4の上に載置してもよい。
このようにして基材Wが用意されたら、真空ポンプ3(真空排気手段3)を用いて真空チャンバ2内を高真空状態まで排気する。
次に、必要に応じて、Ar等の不活性ガスやHやOなどのガスをガス供給部9を用いて真空チャンバ2内に供給し、プラズマ発生電源10から電力を供給して基材W間に表面清化のためのグロー放電を発生させても良い(イオンボンバード処理)。また、上述した加熱ヒータ17を用いて、自公転する基材Wに対して予備加熱を行っても良い。また、真空チャンバ2内に別の皮膜供給源6(スパッタ源、AIP蒸発源など)を設けた場合には、これらの皮膜供給源を利用して、プラズマCVDによる皮膜と基材の間に挿入する中間層を形成してもよい。
この後、ガス供給部9を用いてプロセスガスを真空チャンバ2内に供給し、真空チャンバ2内は成膜に適した0.1〜1000Paの圧力に保持する。
成膜にあたっては、プラズマ発生電源10から交流の電力を供給して、第1の群18に属する自転保持部4の基材Wと第2の群19に属する自転保持部4の基材Wとの間にグロー放電を発生させ、基材W間に成膜に必要なプラズマを発生させる。
成膜時の圧力は成膜しようとするCVD皮膜(プロセスガスや反応性ガス)の種類によって好適な値は異なるが、0.1Pa〜1000Pa程度の圧力が好ましい。上述したように0.1Pa〜1000Pa程度の圧力にすることで、安定したグロー放電を発生させることが可能となり、良好な成膜速度で成膜を行うことが可能となる。なお、気体中での反応に伴うパウダー生成を抑制する観点では成膜時の圧力はさらに100Pa以下の圧力が好ましい。
また、プラズマ発生電源10から供給される交流の電圧は、グロー放電の維持に必要な300V〜3000Vの間(両極間の電圧の波高値)となる。さらに、プラズマ発生電源10から供給される交流の出力電力は、単位面積あたりの電力に換算すると0.05〜5W/cm程度が好ましい。
このようにプラズマ発生電源10から供給される交流の電圧及び電力を調整した上で、基板を自転保持部4ごと自公転させれば、周方向に隣り合う基材W(近接する基材W)の間に安定したグロー放電が発生し、基材Wの表面に膜厚が均一なCVD皮膜を形成することが可能となる。
成膜処理が終わったら、プラズマ発生電源10の出力、プロセスガスの導入を停止し、成膜を終了する。基板温度が高い場合には、必要に応じて温度低下を待ち、真空チャンバ2内を大気に開放し、基材Wを取外す。このようにすれば、表面にCVD皮膜が形成された基材Wを得ることが可能となる。
上述したように、互いが逆極性とされた第1の群18の自転保持部4と第2の群19の自転保持部4とを周方向に交番(交互)に配置すれば、周方向に隣り合う自転保持部4に保持される基材W間に必ず電位差が生じて、両者の間に確実にグロー放電が発生する。そして、プラズマ発生電源10の正負が入れ替われば、周方向に隣り合う自転保持部4の極性も入れ替わり、引き続き両者間にグロー放電が発生する。それ故、多数の基材Wに対して一度に且つ均一に成膜を行うことが可能となる。
すなわち、第1の群18に属する自転保持部4の基材Wが作用極として働いてこの基材W側にCVD皮膜が成膜されているときには、第2の群19に属する自転保持部4の基材Wが対極(反対極)となる。そして、プラズマ発生電源10の正負が入れ替われば、第2の群19に属する自転保持部4の基材Wが作用極となり、第1の群18に属する自転保持部4の基材Wが対極となる。
つまり、上述の構成であれば、基材Wは対極となっても、公転テーブル5や真空チャンバ2の筐体が対極になることはない。それ故、これらの部材はプラズマ生成のためのグロー放電発生用電極としては作用せず、仮に絶縁皮膜が長時間の運転で厚く堆積したとしても、プラズマの不安定化が発生せず、膜質や厚みにバラツキのないCVD皮膜を安定的に生産することも可能となる。また、これらの部材は放電発生電極として作用していないため、原料ガスを分解するプラズマに直接的にはさらされず、このため、従来技術に比べてこれらの部材には皮膜が堆積しにくい。このため、皮膜の厚い堆積が原因となるフレークの飛散も起りにくく、皮膜欠陥も発生しにくい。なお、金属含有のDLCに代表される皮膜は皮膜自身がやや導電性を示すが、この場合もチャンバ2の筐体等に皮膜が堆積しにくく、フレークの飛散が起こりにくく、皮膜欠陥が発生しにくいとの効果は残る。加えて、金属含有DLCのような一定の導電性の皮膜を基材に形成する場合であっても、プラズマが弱いチャンバ部には膜質の悪い絶縁性を帯びた皮膜が形成される場合があり、このような場合にはプラズマの不安定化防止の効果も現れる。
ところで、上述した例は、公転テーブル5上に6個の自転保持部4を配置したものであった。しかしながら、公転テーブル5上における自転保持部4の数や並べ方には、さまざまなパターンが考えられる。
例えば、図4に示すように、自転保持部4の総数が6個(図4の中段)ではなく、4個とされた場合(図4の上段)や、8個とされた場合(図4の下段)が考えられる。
その場合であっても、自転保持部4を第1の群18に属するもの(A)と第2の群19に属するもの(B)とに分け、A,Bそれぞれの自転保持部4を公転軸Q回りに1つおきに(交番に)並べれば、隣り合う基材W間にプラズマを発生させて、自転保持部4に保持された基材Wに安定した条件でCVD皮膜を成膜することが可能となる(図4の左欄を参照)。
また、図4の右欄に示すように、第1の群18の自転保持部4と第2の群19の自転保持部4とを公転軸Q回りに2つずつ交番に並んで配備してもよい。この配備であっても、公転軸Qを中心として極めて対称性がよいプラズマが形成されるので、自転保持部4に保持された基材Wに安定した条件でCVD皮膜を成膜することが可能となる。
ところで、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材の形状、構造、材質、組み合わせなどを適宜変更可能である。また、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
1 プラズマCVD装置
2 真空チャンバ
3 真空排気手段(真空ポンプ)
4 自転保持部
5 公転テーブル
6 皮膜供給源
8 公転機構
9 ガス供給部
10 プラズマ発生電源
11 カバー部材
12 円板
13 設置ジグ
14 軸部
15 回転駆動部
16 ボンベ
17 加熱ヒータ
18 第1の群
19 第2の群
P 自転軸
Q 公転軸
W 基材

Claims (4)

  1. 真空チャンバと、前記真空チャンバ内を真空排気する真空排気手段と、成膜対象である基材を自転する状態で保持する複数の自転保持部と、前記複数の自転保持部を前記自転保持部の回転軸と軸心平行な公転軸回りに公転させる公転機構と、前記真空チャンバ内に原料ガスを供給するガス供給部と、前記真空チャンバ内に供給された原料ガスにプラズマを発生させるプラズマ発生電源とを備えていて、前記自転保持部に保持された基材に皮膜を形成するプラズマCVD装置であって、
    前記複数の自転保持部の各々は、前記プラズマ発生電源の一方極に接続された第1の群と、前記プラズマ発生電源の他方極に接続される第2の群とのいずれかに分けられることを特徴とするプラズマCVD装置。
  2. 前記公転機構は、前記公転軸回りに公転可能とされた公転テーブルを有しており、
    前記複数の自転保持部の各々は、前記公転テーブルの公転軸から等しい半径で且つ公転軸回りに等間隔となるように配備されていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマCVD装置。
  3. 前記第1の群に属する自転保持部と第2の群に属する自転保持部とは、互いに同数とされており、前記公転軸回りに1つずつ交番に並んで配備されていることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマCVD装置。
  4. 前記第1の群に属する自転保持部と第2の群に属する自転保持部とは、互いに同数とされており、前記公転軸回りに2つずつ交番に並んで配備されていることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマCVD装置。
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