JP5634666B2 - ポリフェノール類化合物の吸収促進用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、べにふうきエキスを有効成分とするポリフェノール類化合物の吸収促進用の医薬組成物に関するものである。
緑茶は日本人が古くから親しんできた飲料であり、近年では容器詰緑茶飲料の普及もあって、非常に多く飲用されている。緑茶には茶カテキンと総称される一群のフラバノール化合物が含まれており、抗腫瘍効果、抗血小板凝集効果、抗高血圧効果、抗肥満効果 、抗酸化効果など、健康にとって有益な多くの機能を有することが知られている。しかし、茶カテキンを経口的に摂取しても一般に吸収率が低く、摂取量の極一部分しか体内に吸収されない。このため、茶カテキンの吸収性を高める工夫が多くなされてきた。
例えば、下記特許文献1には、緑茶飲料中の茶カテキン濃度を高め、茶カテキンの摂取量を多くすることにより、茶カテキンの吸収量ならびに血中濃度を高める方法が開示されている。しかし、この方法では茶カテキン濃度が高くなることにより、茶カテキンに特有の苦味・渋味が強くなるため、緑茶飲料中に添加できる茶カテキンの量には限界があるほか、原料の茶カテキンを多量に使用することになるため、経済的な負担が増加するなどの問題があった。このほか、下記特許文献2には、飲料中のアルコール沈殿性物質の量を低減することにより茶カテキンの吸収率を高める方法が開示されている。しかし、この方法はアルコール沈殿性物質量を一定の含有量以下とするために精製、酵素処理等の操作を追加しなければならず、製造工程が煩雑になりコストが嵩むという問題があった。また、紅茶飲料中に含まれる茶カテキンのエピ体と非エピ体の含有量を一定の条件を満たすように配合することにより茶カテキンの吸収率を高める方法が知られている(下記特許文献3、及び特許文献4参照)。しかし、エピ体および非エピ体の含有量に関する要件は、一般家庭で飲用される緑茶等では通常満たされており、容器詰飲料のうちの紅茶飲料以外の飲食品への応用は難しいと考えられる。更には、下記特許文献5には、緑茶中のエピガロカテキンガレートおよびカフェインの含有量が所定の関係を満たすように配合することによりエピガロカテキンガレートの吸収を促進する方法が開示されている。しかし、合成吸着剤カラムを用いたクロマト処理等でカフェインを除去する処理を行わなくてはならず、本来の味や風味の成分までも損ねてしまうという問題があった。
特開2002−142677号公報 特開2003−169641号公報 特開2003−333989号公報 特開2004−41186号公報 特開2007−151467号公報
上述したように、緑茶には茶カテキンと総称される一群のフラバノール化合物が含まれており、抗腫瘍効果[Katiyar SK and Mukhtar H (1996) Int J Oncol 7:133-141; Bu-Tian JI et al. (1997) Int J Cancer 70:255-258; Su LJ and Arab L(2002) Public Health Nutr 5:419-425]、抗血小板凝集効果[Duffy SJ et al. (2001) Arterioscler Thromb Vasc 21:1084-1089]、抗高血圧効果 [Negishi H et al. (2005) J Nutr 134:38-42]、抗肥満効果 [Nagao T et al.(2005) Am J Clin Nutr 81:122-9; Murase T et al. (2002) Int J Obes 26:1459-64]、抗酸化効果[ Sano M et al. (2003) J Agric Food Chem 51:2912-2916] など、健康にとって有益な多くの機能を有することが知られている。緑茶中に含まれる主要な茶カテキンは、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレートの8種類であるが、その中でも緑茶カテキンの約50%を占めるエピガロカテキンガレートは、他と比較して高い生理活性を有するとされている。
しかし、ポリフェノール類化合物である茶カテキンは一般に吸収率が低く、ことにエピガロカテキンガレートの吸収率は非常に低いため、摂取量の極一部分しか体内に吸収されない [ラットでの研究結果は Chen L et al. (1997) Drug Metab Dispos 25:1045-1050; Zhu M et al. (2000) Planta Med 66:444-447] [ヒトでの研究結果はWarden BA et al. (2001) J Nutr 131:1731-1737; Chow et al. (2001) Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 10:53-58; Vaidyanathan and Walle (2001) Pharm Res (NY) 18:1420-1425]。
したがって、本発明の目的は、摂取するポリフェノール類化合物、その中でも特に生理作用が強いエピガロカテキンガレートの吸収性を改善する方法を見出すことであり、これを利用してポリフェノール類化合物、特に茶カテキンであるエピガロカテキンガレートの吸収性を改善するための医薬組成物を提供することである。
本発明者らは、べにふうきエキスにエピガロカテキンガレート(以下、「EGCG」ともいう。)の吸収を顕著に促進する効果があることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1] 熱水抽出したべにふうきエキスを有効成分として含有し、熱水抽出した緑茶エキスとともに用いることによって、エピガロカテキンガレートの吸収率を向上させることを特徴とするエピガロカテキンガレート吸収促進用組成物
[2] 粉末、顆粒、カプセル、シロップ、タブレット、及び糖衣錠からなる群から選ばれた一種の形態からなる、上記[1]に記載の組成物。
本発明によれば、べにふうきエキスにより、ポリフェノール類化合物、例えば茶カテキンの吸収率を顕著に向上させることができる。したがって、少量のポリフェノール類化合物、例えば茶カテキンの摂取によっても従来と同等あるいはそれ以上の健康増進効果を得ることが可能となる。また、吸収率が高まれば、これらの血中濃度を有効濃度に到達させるために必要なポリフェノール類化合物の配合量を従来よりも少なくすることができるので、例えば茶カテキンに特有の苦味・渋味などを感じさせない。べにふうきエキスは単独で吸収促進効果を有するが、特にポリフェノール類化合物の源として茶エキスを摂取する場合には、茶エキス自体に付随した吸収阻害効果を打ち消して、茶エキスからのポリフェノール類化合物の吸収率を顕著に向上させることができる。
以下、本発明について好ましい態様を挙げて、更に詳細に説明する。
本発明に用いられるべにふうきエキスは、茶の品種のひとつであるべにふうき種(例えば農林水産省品種登録番号:第4591号)の茶葉から得られたものである。原料としては、通常の緑茶に製したものなどを用いることができる。エキスの調製は、上記べにふうきの茶葉を水あるいは熱水等の溶媒を用いて抽出することによって行うことができる。例えば、べにふうきの茶葉1質量部に対し、5〜100質量部の溶媒を加え、室温〜100℃程度の温度で、1〜120分間程度抽出する方法が挙げられる。なお、本発明において「べにふうきエキス」とは、ポリフェノール類化合物の吸収を促進する有効成分が茶葉に包含されている状態をも含む概念であり、溶媒で抽出したエキスのかわりに茶葉の乾燥粉末等を摂取してもよく、ポリフェノール類化合物を含有する飲食品用原料又は飲食品素材用原料に添加し、又は配合して用いてもよい。
本発明においては、ポリフェノール類化合物、好ましくはフラボノイド類化合物、更により好ましくはカテキン類化合物を経口的に摂取する際に、上記べにふうきエキスを摂取することで、ポリフェノール類化合物、フラボノイド類化合物、又はカテキン類化合物の体内への吸収を促進させることができる。ポリフェノール類化合物としては、例えば、お茶等に含まれるカテキン類化合物を好ましく例示できる。ここで、カテキン類化合物とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレートなどの非エピ体カテキン類及びそのメチル化体などの誘導体、またはエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどのエピ体カテキン類及びそのメチル化体などの誘導体を併せた総称である。なかでも、エピガロカテキンガレート及びそのメチル化体などの誘導体を特に好ましく例示できる。
本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進剤の効果を発揮させるための好ましい摂取量としては、後述する試験例の結果から概算すると、1日あたり、べにふうきエキスの固形分換算で1〜100mg/体重1kg、より好ましくは10〜50mg/体重1kg、更により好ましくは20〜40mg/体重1kgである。
また、ポリフェノール類化合物の吸収を効果的に高めるための質量比としては、ポリフェノール類化合物1mgあたり、べにふうきエキスの固形分換算で0.1〜50mg、より好ましくは1〜10mg、更により好ましくは2〜5mgである。
本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進剤においては、その総量当たり、上記有効成分を、べにふうきエキスの固形分換算で0.1〜100質量%含有することが好ましい。
本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進剤は、ポリフェノール類化合物の源として特に茶エキスを摂取する場合に、好適に用いることができる。すなわち、後述の実施例で示すように、茶エキス自体に付随した吸収阻害効果を打ち消して、茶エキスからのポリフェノール類化合物の吸収率を顕著に向上させることができる。
上記茶エキスの、原料に特に制限はないが、緑茶種である茶葉が好ましく、これを緑茶に製したものからの緑茶エキスであることが好ましい。また、紅茶種である、ダージリン、アッサム、セイロンなども好ましく例示でき、これを紅茶に製したものからの紅茶エキスであってもよい。特に好ましくは、緑茶種であるやぶきた種の茶葉からの緑茶エキスである。エキスの調製にも特に制限はなく、茶葉を水あるいは熱水等の溶媒を用いて抽出することによって行うことができる。例えば、茶葉1質量部に対し、5〜100質量部の溶媒を加え、室温〜100℃程度の温度で、1〜120分間程度抽出する方法が挙げられる。なお、本発明において「茶エキス」とは、茶葉に包含されている状態をも含む概念であり、溶媒で抽出したエキスのかわりに茶葉の乾燥粉末等を用いてもよい。
本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進剤には、上記の基本的成分以外に、炭水化物、食物繊維、たんぱく質、ビタミン類等を含むことができる。
本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進剤は、医薬品、健康食品、加工食品等の各種分野で用いることができる。
例えば、医薬品とする場合には、薬学的に許容される基材や担体と共に製剤化し、医薬組成物として提供することができる。この医薬組成物には、基材や担体の他、薬学的に許容されることを限度として、結合剤、崩壊剤、緩衝剤、保存剤、保湿剤、抗菌剤、防腐剤、香料、顔料、界面活性剤、安定剤、溶解補助剤等の添加剤を任意に配合してもよい。そして、当該医薬組成物の形態としては、丸剤、散剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、液剤、ゼリー剤、トローチ剤等の剤型が例示できる。
また、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品等に配合して用いることができる。その形態は、粉末、顆粒、カプセル、シロップ、タブレット、糖衣錠等であってもよい。
また、後述の実施例で示すように、べにふうきエキスには、茶エキス自体に付随した吸収阻害効果を打ち消して、茶エキスからのポリフェノール類化合物の吸収率を顕著に向上させる効果がある。したがって、本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進剤を飲食品に添加して摂取する態様としては、べにふうきエキスとその他の茶エキスとを含有する飲食品であることが好ましい。
以下に例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの例は本発明の範囲を限定するものではない。
<試験例1>
まず、3ロットのべにふうきエキス(アサヒ飲料株式会社製べにふうき茶熱水抽出物; ロット1[i]、ロット2[ii]、ロット3[iii])、および2ロットの、食品原料として通常用いられている緑茶エキス(以下、「緑茶エキス」という。)(三栄源エフエフアイ株式会社製緑茶熱水抽出物; ロット4[iv]、ロット5[v])について、ラットによるEGCGの吸収性を比較した。具体的には、EGCG濃度が1 mMとなるように調製したそれぞれの投与液をラットへ単回強制経口投与し、投与後の時間経過を追って採血して得た血漿中のEGCG濃度を測定し、台形法により曲線下面積(AUC)に変換してEGCGの血中滞留量を比較した。
更に詳細な実験操作法を説明すれば、以下のとおりである。
実験に使用したラット(Sprague Dawley、雄、8週齢;日本SLC株式会社製)は、前もって頸静脈からカニューレを心臓方向に挿入し、カニューレ先端の開口部が右心房の入口近傍に位置するよう留置手術を行った後、実験開始までに1週間の回復期間をおいた。回復期間中のラットは、床網を備えたケージ中で個別に飼育し、CE-2飼料(日本クレア株式会社製)を自由摂食させた。各投与液についての被験数としては、[i]べにふうきエキスのロット1及び[ii]ロット2投与群はそれぞれn = 7、[iii]べにふうきエキスのロット3投与群はn = 6、[iv]「緑茶エキス」のロット4投与群はn = 5、[v]「緑茶エキス」のロット5投与群はn = 4、とした。
実験前日の夕方から、16時間絶食させたラットに体重100 g 当たり1 mLの上記投与液[i]〜[v]を単回強制経口投与した。投与前、投与後0.25、0.5、1、2、3時間の時点で各ラットからカニューレを通して0.5 mLずつヘパリン採血し、採血直後に血漿を分離して分析時まで酸性下で-80℃に保存した。
血漿中のEGCG濃度は、各血漿を酸性下において酢酸エチル抽出・乾固した後、HPLCの移動相溶液に溶解してHPLC分析(電気化学検出法)することにより測定した。HPLCによるEGCGの分離は、HPLC装置(SCL-10Avp; 株式会社島津製作所製)に2.0 mm×150 mm(粒子径5μm) の逆相系カラム (CAPCELL PAKC18 MGII;株式会社資生堂製) を装着し、カラム温度40℃にて実施した。カラムへのサンプルのインジェクション量は20μL、移動相には0.1 mMのEDTA・2Naを含む0.1% リン酸:アセトニトリル = 90:10を用い、流速0.4 mL/minでアイソクラティック溶出した。EGCGの検出は、電気化学検出器(NANOSPACESI-2; 株式会社資生堂製)により行い、600 mVの印加電圧で検出された電流値の溶出パターンからピーク面積を算出し、濃度既知のEGCG標準物質のピーク面積から作成した標準直線を用いて定量した。EGCG標準物質の保持時間は8.0分、検出感度は2 nMであった。実際の投与液についてもEGCGの含有濃度を再度分析し、予定通りのEGCG量がラットへ投与されたことを確認した。ここで、血漿中のEGCG濃度を、β-グルクロニダーゼおよびスルファターゼにより脱抱合処理する前と後で測定した結果、脱抱合処理の前後でEGCG濃度に変化はなく、EGCGは血中において大部分が未抱合の遊離体として存在するものと考えられた。このことより、以下に示す結果は全て、脱抱合処理を行わなかった場合の測定結果である。
図1には、各投与液を投与後3時間までのラット血漿中EGCG濃度(mean±SEM)の経時変化を示す。また、図2には、血漿中EGCG濃度×時間(曲線下面積)(mean±SEM)の経時変化を示す。これらの結果について以下のように統計解析を行った。
各投与液をラットに投与した後の3時間までの血漿中EGCG濃度×時間(曲線下面積)および投与後の経過時間を因子とした、繰り返しのある二元配置の分散分析法による多重比較検定(FisherのPLSD法;危険率5%)を実施した。その結果を表1に示す。
Figure 0005634666
表1に示すように、多重比較検定の結果、べにふうきエキス[i]とべにふうきエキス[ii]の間、およびべにふうきエキス[i]とべにふうきエキス[iii]の間には、血漿中EGCG濃度の曲線下面積に有意差が認められ、べにふうきエキス同士の間でもロットの違いによって血中のEGCG滞留量に差を生じることが示された。しかし、べにふうきエキス[i]、べにふうきエキス[ii]、べにふうきエキス[iii]のいずれを投与した場合にも、「緑茶エキス」[iv]あるいは「緑茶エキス」[v]を投与したときに比べて、血漿中EGCG濃度の曲線下面積は有意に高いことが示された。即ち、EGCGの含有量が同一であるべにふうきエキスおよび「緑茶エキス」を投与したにもかかわらず、血液中のEGCG滞在量は、べにふうきエキスを投与した場合の方が「緑茶エキス」を投与した場合よりも有意に高くなることが示された。投与後3時間までの曲線下面積で比較したとき、べにふうきエキス[i]、べにふうきエキス[ii]、およびべにふうきエキス[iii]投与によるEGCGの血中滞留量は、「緑茶エキス」[iv]と比較してそれぞれ5.3倍、4.4倍、および3.7倍であり、「緑茶エキス」[v]との比較ではそれぞれ4.8倍、4.0倍、および3.4倍であった。
これらの結果から、べにふうきエキスが、ロットの違いによって多少の高低はあるものの、普遍的に通常の緑茶エキスより高いEGCG吸収性を有することが明らかとなった。
<試験例2>
試験例1によって、べにふうきエキスは一般的に、通常の緑茶エキスに比べてEGCGの吸収性において優れていることが示された。べにふうきエキスも通常の緑茶エキスも、両者共に同様の熱水抽出操作によって得られたエキスであるにもかかわらず、EGCGの吸収性に大きな差が生じる原因は、抽出されたエキス中に含まれる物質に違いがあるためと考えられた。即ち、緑茶エキス中にEGCGの吸収を阻害する成分が存在する可能性や、べにふうきエキス中にEGCGの吸収を促進する成分が存在する可能性などが考えられた。そこで、これらの可能性を追究するための糸口をつかむことを目的として、本試験例に示す実験を行った。即ち、含有するEGCGの濃度が互いに等しいべにふうきエキス溶液、通常の緑茶エキス溶液、ならびにEGCG試薬溶液を調製し、これらの溶液を適宜組み合わせて混合した溶液をラットへ投与した場合に、EGCGの吸収性がどのように変化するかを調べた。
更に詳細な実験操作法を説明すれば、以下のとおりである。
3種類の投与液、即ち、[i]EGCG試薬(Sigma社製;Cat. No. E4143)の1 mM溶液、[ii]EGCG試薬と「緑茶エキス」の混合溶液([1 mM EGCG試薬溶液]:[EGCG濃度が1 mMとなるよう調製した「緑茶エキス」溶液]=1:1 (v/v) の混合溶液)、[iii]べにふうきエキスと「緑茶エキス」の混合溶液([EGCG濃度が1 mMとなるよう調製したべにふうきエキス溶液]:[EGCG濃度が1 mMとなるよう調製した「緑茶エキス」溶液]=1:1 (v/v) の混合溶液)を準備した。従って、いずれの投与液も含有するEGCGの濃度は1 mMである。なお、本試験例の実験に使用したべにふうきエキスは、試験例1において用いられたアサヒ飲料株式会社製のべにふうき茶熱水抽出物のロット1であり、また、「緑茶エキス」は、試験例1において用いられた三栄源エフエフアイ株式会社製の緑茶熱水抽出物のロット4である。
試験例1と同様の方法により、それぞれの投与液を静脈にカニューレを装着したラットへ強制経口投与し、投与後の時間経過を追って血漿中のEGCG濃度を測定し、曲線下面積に変換してEGCGの血中滞留量を比較した。なお、各投与液についての被験数としては、 [i]EGCG試薬溶液投与群はn = 8、[ii]EGCG試薬と「緑茶エキス」の混合溶液投与群はn = 7、[iii]べにふうきエキスと「緑茶エキス」の混合溶液投与群はn = 6、とした。
図3には、各投与液を投与後3時間までのラット血漿中EGCG濃度(mean±SEM)の経時変化を示す。また、図4には、血漿中EGCG濃度×時間(曲線下面積)(mean±SEM)の経時変化を示す。これらの結果について以下のように統計解析を行った。
各投与液をラットに投与した後の3時間までの血漿中EGCG濃度×時間(曲線下面積)および投与後の経過時間を因子とした、繰り返しのある二元配置の分散分析法による多重比較検定(FisherのPLSD法;危険率5%)を実施した。その結果を表2に示す。
Figure 0005634666
表2に示すように、多重比較検定の結果、EGCG試薬と「緑茶エキス」の混合溶液をラットに投与したとき、EGCG試薬のみの溶液を投与したときに比べて血漿中EGCG濃度の曲線下面積は有意に減少し、EGCG試薬に「緑茶エキス」を添加することによりEGCGの血中滞留量が少なくなることが示された。即ち、「緑茶エキス」に含まれる何らかの成分がEGCGの吸収を抑制するものと推測された。これに対して、「緑茶エキス」にEGCG試薬を混合する代わりにべにふうきエキスを混合してラットに投与すると、血漿中EGCG濃度の曲線下面積はEGCG試薬溶液を投与したときと同等のレベルにまで回復し、「緑茶エキス」にEGCG試薬を混合したときと比べて有意に高くなった。このことは、「緑茶エキス」にべにふうきエキスを混合することにより、「緑茶エキス」中の成分によるEGCGの吸収阻害効果を打ち消してEGCGの吸収量が増加し、結果的に血中滞留量が増加したことを示唆していた。
「緑茶エキス」にべにふうきエキスを添加して得られるEGCGの血中滞留量増加の度合いは、投与後3時間までの曲線下面積で比較したとき、「緑茶エキス」にEGCG試薬を添加した場合の1.6倍であった。
これらの結果から、緑茶エキス自体に付随した吸収阻害効果を打ち消す効果はべにふうきエキスに特有の効果であり、EGCGの吸収性が低い緑茶エキスにべにふうきエキスを添加することによって、緑茶エキスからのEGCG吸収性が高められることが明らかとなった。
1 mM EGCGを含有するべにふうきエキスおよび「緑茶エキス」溶液を投与したラット血漿中EGCG濃度の経時変化を示す図表である。 1 mM EGCGを含有するべにふうきエキスおよび「緑茶エキス」溶液を投与したラット血漿中EGCG濃度×時間(曲線下面積)の経時変化を示す図表である。 1 mM EGCGを含有する各投与液を投与したラット血漿中EGCG濃度の経時変化を示す図表である。 1 mM EGCGを含有する各投与液を投与したラット血漿中EGCG濃度×時間(曲線下面積)の経時変化を示す図表である。

Claims (2)

  1. 熱水抽出したべにふうきエキスを有効成分として含有し、熱水抽出した緑茶エキスとともに用いることによって、エピガロカテキンガレートの吸収率を向上させることを特徴とするエピガロカテキンガレート吸収促進用組成物。
  2. 粉末、顆粒、カプセル、シロップ、タブレット、及び糖衣錠からなる群から選ばれた一種の形態からなる、請求項1に記載の組成物。
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