JP5634306B2 - 木材の非破壊乾燥応力測定による木材乾燥制御システム - Google Patents

木材の非破壊乾燥応力測定による木材乾燥制御システム Download PDF

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本発明は、木材の乾燥方法に関し、詳しくは、乾燥中における木材内部の乾燥応力の状態を非接触で測定し、内部割れの抑制と乾燥時間の短縮とを両立した効率的な木材乾燥を行うことのできる木材の乾燥方法に関する。
各使用用途に適した木材とするために、木材に含まれる水分(含水率)を調整する必要がある。例えば、建築材なら含水率15〜20%、家具材なら含水率10%などである。このような木材の含水率を調整するものには、乾燥室の温湿度調節を行い、人工的に木材を乾燥させる方法がある。
この木材の乾燥方法では、まず乾燥室の温湿度を高温多湿な状態で、木材に含まれる水分を徐々に蒸発させる第1乾燥工程と、第1乾燥工程よりも乾燥室の温度を上げて湿度を下げた状態で、木材に含まれる水分を急速に蒸発させる第2乾燥工程により木材を乾燥させる。この第1乾燥工程から第2乾燥工程へと切り換えるタイミングとして、表層部がある程度乾燥した状態が好ましく、一般的にこのタイミングは、乾燥前の木材における含水率の2/3となった場合と考えられており、単なる経験則に過ぎなかった。
もし仮に木材の表層部における水分量が高い状態で、第1乾燥工程から第2乾燥工程に切り換えると、表層部のみが急速に乾燥して収縮するため、表層部に大きな引張応力が生じ、表層部において割れや狂い(反り、曲り、捩れ)などが発生してしまう。このような割れや狂いが木材において発生すると、場合によってはその木材が使えなくなっていた。
このように第1乾燥工程から第2乾燥工程への切り換えは、割れや狂いを生じさせるため、これを恐れるがためにこの経験則による切り換えタイミングを少し遅らせて乾燥室を切り換えるのが一般的であった。しかし、このように第2乾燥工程に切り換えるタイミングを遅らせると、木材を乾燥させるのに余計な時間がかかってしまう。そこで、このような木材の割れや狂いを生じないように、客観的に木材の乾燥状態を判断して迅速に木材を乾燥させる方法が従来から研究が盛んになされている。
特許文献1には、角材に一対の変位計固定用金具および変位計とを取り付けて、角材に生じる変位量を計測して、変位量が平衡状態になった場合に、高温乾燥工程からそれより低い温度の乾燥工程へと切り換える技術が開示されている。
また、特許文献2には、乾燥中における木材内部の乾燥応力の状態を計測するために、木材の内部に歪みゲージを挿入して固定し、歪みゲージから得られるデータに基づいて、内部割れが生じないように乾燥室の温湿度を調節することが開示されている。
特開2007−120902号公報
特開2004−190957号公報
しかし、特許文献1および2では、木材における変位や歪みを測定するために、木材に対して変位計や歪みゲージなどの測定器具を取り付ける必要があり、測定準備に手間がかかり、多くの時間を要してしまう。また、測定器具を木材に取り付けるため、木材が傷付き商品価値が下がる問題も生じていた。
そこで、本発明は、測定準備(乾燥装置を起動するための準備)の簡易化および木材の損傷を伴わずに木材の乾燥応力を測定することで、木材を傷つけずかつ木材に割れや狂いも生じなくして、木材を迅速に乾燥させる木材の乾燥方法を提供することを目的とするものである。
(1)上記課題を解決するため、本発明に係る木材の乾燥制御システムは、木材乾燥室内の温度および湿度を調節して、前記木材乾燥室内に収納した木材を乾燥させる木材乾燥制御システムにおいて、近赤外線を用いて、前記木材乾燥室内に収容される木材が収縮する際に生じる乾燥応力を測定し、前記乾燥応力がゼロになる時を境にして、乾燥速度を緩慢とする第1の調節区間から温度を上昇させて乾燥速度を急とする第2の調節区間に切り換えるように温度および湿度を調節することを特徴とする木材乾燥制御システム。
(2)上記(1)の乾燥制御システムにおいて、前記第1調節区間では、前記乾燥応力が増加状態から減少状態に変化すると、湿度を低くするように調節する。この構成により、木材の割れやひびを防止して、木材を早く乾燥させることができる。
(3)上記(2)の木材乾燥制御システムにおいて、前記第2の調節区間では、前記第1の調節区間で低く調節された湿度よりもさらに湿度を低くして、乾燥速度を急とする。この構成により、木材乾燥室内の温度の上昇と湿度の低下により第2乾燥速度を急として、より一層木材乾燥を速くすることができる。
本発明によれば、測定準備の簡易化および木材の損傷を伴わずに木材の乾燥応力を測定して、乾燥室を制御することで、木材を傷つけずかつ木材に割れや狂いも生じないで、迅速に木材を乾燥させることができる。
本発明の実施形態における木材乾燥装置の概略図である。 図1に示す乾燥装置の制御ブロック図である。 近赤外線を用いた応力測定装置の概略図である。 図3に示す応力測定装置における乾燥応力の測定方法における概略図である。 乾燥応力の算出に用いる検量線を表すグラフである。 本発明の実施形態における木材の含水率、乾燥応力、および乾燥室の温湿度変化を示した対応関係図である。 本発明の実施形態により木材乾燥を行った実験結果である。 本発明の実験例における乾燥装置内の温度、湿度、および測定用木材の含水率との対応関係図である。 従来の経験則に基づく乾燥装置の制御方法における乾燥装置内の温度、湿度、および測定用木材の含水率との対応関係図である。 実測による乾燥応力と応力測定装置により推定した乾燥応力との対比図である。
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
本発明の木材4の乾燥方法は、温度及び湿度が制御可能な乾燥装置1に用いられる。図1に示すように、乾燥装置1は、乾燥室11(木材乾燥室)と応力測定装置5からなる。乾燥室11は、仕切板21によって上方と下方に仕切られており、下方を被乾燥物である木材4を収納する収納部3とし、上方を収納部3へ温度および湿度を調節した空気を供給する温湿度調節部2とからなる。そして、この収納部3には、近赤外光を用いて木材4の応力を測定する応力測定装置5が収納されている。
温湿度調節部2は、吸気ファン(不図示)により取り込んだ外気を加熱装置221により温度調節を行って乾燥室11に導入する空気導入装置22、乾燥室11内の空気を加熱する加熱器23、乾燥室11内の空気を循環させる送風ファン24、乾燥室11内を加湿する加湿器25および乾燥室11内の湿度を下げる除湿ファン28からなる。また、温湿度調節部2には、乾燥室11内の温度および湿度を測定する温度センサ26および湿度センサ27が位置する。そして、図2に示すように、温度センサ26、湿度センサ27および応力測定装置5の測定結果に基づいて、コントローラ6が空気導入装置22、加熱器23、送風ファン24、加湿器25および除湿ファン28を制御して、乾燥室11内の温度および湿度を制御する。
図1に示すように、収納部3は木材4に空気が十分に循環できるように各木材4を所定の間隔を空けて収納する。この収納部3に収納された複数の木材4の中で、例えば最上段の一本を測定用木材41として、応力測定装置5を当接させ、この測定用木材41の乾燥に伴い木材4内で生じる応力である乾燥応力を測定する。こうして、測定用木材41の乾燥応力を測定することで、測定用木材41の乾燥応力状態を認識して適切に乾燥装置1を制御することができる。
また、図1に示すように応力測定装置5を測定用木材41の長手方向における略中央の表層に当接させて、乾燥に伴う測定用木材41の表層部に生じる引張応力または圧縮応力である乾燥応力を測定する。このように乾燥応力を測定することで、表層部42と内層部43の収縮する長さの差により生じる乾燥応力が最も大きく働く位置において測定することができる。これにより、測定用木材41に対して1カ所のみ応力測定装置5を当接させるだけで、木材4に生じる割れや狂いを防いで乾燥室11の木材4を適切に乾燥させることができる。なお、表層部42とは、測定用木材41の表面から深さ5mmまでの範囲であり、内層部43とは、測定用木材41の深さ5mmから深さ方向の中心線までの範囲のことである。
応力測定装置5は、図3に示すように近赤外線分光部51、プローブ部52およびスペクトル解析部53からなる。
図4に示すように、近赤外線分光部51はモノクロメータの役割をなし、光源511から発せられた光を回折格子512で分光して近赤外光のみを単色化する。単色化された近赤外光は、近赤外線分光部51の側壁に取り付けられた投光用光ファイバー513を介してプローブ部52へと導かれる。
プローブ部52は、図4に示すように、円筒状のケース521の開口面に穴があいている当接部522で覆った構成である。この当接部522の中央には、投光用光ファイバー513から導入された近赤外光を投射する投射孔523、およびこの投射孔523の外周に位置し、投射孔523から投射され、測定用木材41から反射する光がプローブ部52内に入射させる入射孔524とを有する。プローブ部52の内側天井面には、受光感度域が0.8〜2.5μmのInGaAs製のフォトダイオード525があり、入射孔524において入射された近赤外光を集光レンズ526を介してフォトダイオード525で受光する。
ここで、プローブ部52の内側側壁面にアルミニウムや金等を蒸着しても良い。これにより、プローブ部52外への近赤外光の透過やプローブ部52の材質自身の分子振動による吸収によって、入射孔524において検出された近赤外光のスペクトルが重畳されることを防ぐことができる。
フォトダイオード525で受光される吸光スペクトルは、受光用光ファイバー515を通り、AD変換されて、スペクトル解析部53に送信される。スペクトル解析部53では、0.8〜2.5μmの近赤外領域に属する吸光スペクトルを利用し、フォトダイオード525で受光される量に基づいて、以下に示すような多変量解析を行い、測定用木材41の乾燥応力を算出する。
ここで、多変量解析として、PLS(Partial Least Squares)回帰分析により得られる図5のような検量線(検量式)を用いる。図5は、横軸に表層部の切断時に生じる瞬間解放歪みを実測した実測値を取り、縦軸に応力測定装置5により推定した歪みの推定値を取った。そして、この図中に各温湿度条件時における木材の乾燥応力の実測値と推定値をプロットした。このようなプロット点を用いて、近似線直線を引き、これを回帰直線式とした。
このように応力測定装置5を木材4に当接させて、近赤外光の拡散反射スペクトルを受光して演算するだけで、測定用木材41の乾燥応力を容易に測定する。この構成により、応力測定装置5を測定用木材41に取り付ける手間を大幅に省き、応力測定装置5の準備を迅速に行うことができる。
また、測定用木材41においては、単に応力測定装置5を当接させるだけのため、測定用木材41を傷つけて商品価値を下げてしまうことはない。
次に、応力測定装置5を用いた乾燥装置1の制御方法について説明する。
まず、乾燥室11内に木材4を所定の間隔で収納し、測定用木材41に対してプローブ部52を当接させて測定を開始する。
乾燥装置1を起動して、設定温度および設定湿度を40〜85℃とする第1設定温度および80〜90%とする第1設定湿度に設定する。この設定温度および設定湿度となるように、温度センサ26および湿度センサ27の検出に基づいて、加湿器25、除湿ファン28、加熱器23および空気導入装置22をフィードバック制御する(第1乾燥工程)。この第1乾燥工程では、乾燥室11の湿度を80〜90%と高めに設定しているため、木材4の表層部42から蒸発する水分量が内層部43から表層部42へと移動する水分量に比べて過大とはならない。こうして、木材4の割れや狂いを防ぎながら木材4の表層部42および内層部43を乾燥させることができる。この第1乾燥工程は、測定用木材41の表層部42がある程度乾燥した状態(第1乾燥応力状態)となるまで乾燥させる。
この第1乾燥応力状態の判定としては、応力測定装置5により10分ごとに測定用木材41の乾燥応力を測定する。第1乾燥応力状態が判定されると、第1乾燥工程から第2乾燥工程へと切り換える。
ここで、乾燥応力とは、木材4の内層部43と表層部42に含まれる水分量の減少に伴い、内層部43と表層部42との収縮する長さに差が生じるために発生する応力である。この収縮の差は、木材4の表層部42が乾燥室11の空気と接しているため、木材4の内層部43に比べて表層部42が早く乾燥することによる。
第2乾燥工程では、第1乾燥工程と同じ設定温度とし、乾燥室11の湿度を第1設定湿度よりも低い第2設定湿度として、24時間毎に5〜12%ずつ下げて木材4を乾燥させる。このように乾燥室11の湿度を低くすることで、木材4の乾燥速度を増加させることができる。この第2乾燥工程において、測定用木材41の表層部42のみならず内層部43においてもある程度乾燥状態に達した状態(第2乾燥応力状態)が応力測定装置5により判定されると第3乾燥工程へと切り換える。
この第3乾燥工程は、第2乾燥工程の第1設定温度よりも3〜5℃高い第2設定温度として、24時間毎に3〜8℃ずつ上昇させる。この第3乾燥工程は、湿度一定で温度を上げるため、第2乾燥工程よりも相対湿度が低くなることで、第2乾燥工程よりも早く木材4を乾燥させることができる。そして、第3乾燥工程に切り換えてからは24時間毎に3〜5%設定湿度を低くすることで、さらに第3乾燥工程における乾燥速度が急になる。そうして、木材4の含水率が所望の値に達するまで第3乾燥工程により乾燥を続けて、所望の含水率である木材4を製造する。
このように第1乾燥工程および第2乾燥工程(第1の調節区間)では、木材の乾燥応力が急速に増加することで生じる木材の割れや狂い等を防ぐために、第3乾燥工程(第2の調節区間)に比べて乾燥速度を緩慢とする。これに対して、第3乾燥工程は、木材の乾燥応力が急速に増加しても木材の割れや狂い等が生じないため乾燥速度を急にすることができる。
ところで、第1乾燥工程から第2乾燥工程に切り換えるタイミングである第1乾燥応力状態および第2乾燥工程から第3乾燥工程に切り換えるタイミングである第2乾燥応力状態の判定方法について、図6を用いて具体的に説明する。なお、図6は、本実施形態の乾燥方法を適用して乾燥装置1を制御した場合における木材4の表層部42に働く乾燥応力および含水率の対応関係を表す図である。
前記第1乾燥応力状態の判定は、応力測定装置5による木材4内に生じる乾燥応力が増加状態から減少状態に変化する時である(図6のX点)。
図6に示すように、第1乾燥工程において、時間の経過に伴い、木材4の内層部43および表層部42に含まれる水分が徐々に蒸発していく。この際、表層部42は内層部43に比べて早く蒸発するため、収縮動作が起こっていない内層部43は、表層部42の収縮動作を阻害して、表層部42に引張応力となる乾燥応力が働く。そうして、時間の経過に伴い、乾燥応力が徐々に増加する。しかし、表層部42の乾燥がある程度まで乾燥すると、表層部42における乾燥速度は遅くなる。これに対して、内層部43の乾燥速度は変わらないため、表層部42と内層部43の収縮した長さの差は小さくなり、乾燥応力の増加もそれに伴い小さくなる。そうして、ついには乾燥応力の増加状態から減少状態に変化する。この状態が第1乾燥応力状態である(図6のX点)。この状態は、表層部42がある程度乾燥している状態であるため、第1乾燥工程よりも乾燥室の湿度を低くして木材4を早く乾燥させる第2乾燥工程により乾燥させても、木材4における割れや狂いなどが生じることはない。
しかし、この第1乾燥応力状態は、まだ内層部43に多量の水分が含まれている状態である。そのため、乾燥室11の湿度のみならず温度まで木材4を乾燥させる方向に増やすと、急速に内層部43の乾燥が進み、表層部42の収縮率に対して内層部43の収縮率が過大になり、木材4に割れや狂いを生じさせてしまう。そのため、この第1乾燥応力状態となった後は、乾燥室11の湿度のみを下げて第2乾燥応力状態になるまで木材4を乾燥させる。
第2乾燥応力状態の判定は、測定用木材41の乾燥応力がゼロになる時である(図6のY点)。
この第1乾燥応力状態から第2乾燥応力状態では、表層部42における収縮率が小さいのに対して、内層部43の収縮率が大きいため、表層部42と内層部43との間に生じていた収縮した長さの差が小さくなり、引張応力も小さくなる。そうして、ついには表層部42と内層部43との間に生じていた収縮した長さの差がなくなり、乾燥応力がゼロとなる。この状態が第2乾燥応力状態である(図6のY点)。
乾燥応力が、この第2乾燥応力状態になると、内層部43もある程度乾燥しており、木材4を急速に乾燥させても木材4に割れや狂いなどは生じない。そのため、乾燥室11の温度を上げて、乾燥速度を急として木材4を乾燥させることができる。
上記のように、木材4内で生じる乾燥応力を所定時間毎に計測して、その測定結果に基づいて、乾燥室11の温度および湿度を調節することで、木材4の割れや狂いを生じずに木材4を急速に乾燥させることができる。また、応力測定装置5を用いて、第1乾燥応力状態と第2乾燥応力状態を検出するだけで、客観的基準に基づいて、乾燥室11の温湿度を制御して測定用木材41を簡単に乾燥させることができる。
(実験例)
次に本発明の制御方法により木材4を乾燥させた実験例について説明する。本実験では、乾燥室11として、温湿度調節が自在で横2m縦5m高さ3mの部屋を用い、その中に木材4を20本収納して、そのうちの1本に応力測定装置5を取り付けて測定用木材41の乾燥応力を測定しながら、乾燥室11の温度および湿度を調節した。ここで、第1乾燥工程における第1設定温度を60℃、第1設定湿度を81%、第2乾燥工程における第2設定湿度を75%、第3乾燥工程における第2設定温度を65℃とした。なお、乾燥応力は、6時間毎に計測した。その結果が図7である。
に示すように、まず乾燥装置1を60℃(第1設定温度)、81%(第1設定湿度)で調節して木材4を乾燥させる(第1乾燥工程)。この第1乾燥工程においては、木材4内に引張応力である乾燥応力が生じ、その大きさが増加していく。しかし、第1乾燥工程の開始から約6時間後に、乾燥応力の増加状態から減少状態に変化し、第1乾燥応力状態が判定される。そうすると、乾燥装置1の設定湿度を75%(第2設定湿度)に設定して第1乾燥工程から第2乾燥工程に切り換えて、第1乾燥工程ではあまり乾かなかった内層部43を乾燥させる。この第2乾燥工程では内層部43が表層部42に比べて早く収縮するため、乾燥応力が徐々に小さくなり、第1乾燥工程開始から72時間でついには乾燥応力の値がゼロになり、第2乾燥応力状態が判定される。そうすると、乾燥装置1の設定温度を65℃(第2設定温度)にして、第2乾燥工程から第3乾燥工程に切り換えて、12〜15%の含水率を含む木材4になるまで乾燥させる。このようにして、第1乾燥工程開始から7日目で含水率12〜15%の木材4を製造することができた。
また、上記実験例における乾燥装置1内の温度、湿度、および測定用木材41の含水率との対応関係を示したものを図8に示し、従来の経験則に基づく乾燥装置1の制御(乾燥前の木材4における含水率が約2/3となった場合に乾燥工程を切り換える制御)による場合の乾燥装置1内の温度、湿度、および測定用木材41の含水率との対応関係を示したものを図9に示す。この図8、9から分かるように本発明の乾燥方法は、応力測定装置5により乾燥工程の切り換えを即時に判断できるため、第1乾燥工程よりも早く木材を乾燥できる第2乾燥工程、そして第2乾燥工程よりも早く木材を乾燥できる第3乾燥工程へと早く切り換えることができる。そうして、従来の乾燥方法では8日間要していたものが、わずか7日間で木材を所望の含水率となるように乾燥させることできた。すなわち、本発明の乾燥方法は、従来の乾燥方法に比べて1日も早く木材を乾燥させることができた。
また、応力測定装置5の測定精度を確認するために、木材4を切削して瞬間解放ひずみを測定して実測値との比較も行った。その結果が図10である。瞬間解放歪みから実測した値と応力測定装置5による推定した値が同じような傾向になっていることが分かる。ここから、応力測定装置5を用いることで、実際に木材4の瞬間解放ひずみを測定しなくても、十分に木材4内に生じる乾燥応力を予測できることが分かる。したがって、このような応力測定装置5を用いることで、非接触で木材4内に生じる瞬間解放ひずみを予測することができる。
上記の実施形態および実験例において、第2乾燥工程は、第1乾燥工程における湿度のみを変えるものとしたが、特にこれに限られるものではなく、温度のみまたは温度および湿度の両方を変えるものとしても良い。
上記実施形態および実験例において、応力測定装置5を乾燥装置1内に挿入して測定用木材41の乾燥応力を測定するものとして説明したが、特にこれに限られるものではなく、応力測定装置5を乾燥装置1の外に設置して計測する方式としても良い。これにより、所定時間毎に測定用木材41を乾燥装置1の外へ出して測定用木材41における乾燥応力を測定する。このような測定方法によれば、特に応力測定装置5に対して熱で故障しないように特殊な処理を施さなくて済む。
本発明における一実施形態について説明したが、本発明の精神および範囲を逸脱しないかぎり、様々な変更および改質がなされ得ることは、当業者には自明であろう。
1 乾燥装置
11 乾燥室(木材乾燥室)
2 温湿度調節部
21 仕切板
22 空気導入装置
221 加熱装置
23 加熱器
24 送風ファン
25 加湿器
26 温度センサ
27 湿度センサ
28 除湿ファン
3 収納部
4 木材
41 測定用木材
42 表層部
43 内層部
5 応力測定装置
51 近赤外線分光部
511 光源
512 回折格子
513 投光用光ファイバー
514 モータ
515 受光用光ファイバー
52 プローブ部
521 ケース
522 当接部
523 投射孔
524 入射孔
525 フォトダイオード
526 集光レンズ
53 スペクトル解析部
6 コントローラ

Claims (3)

  1. 木材乾燥室内の温度および湿度を調節して、前記木材乾燥室内に収納した木材を乾燥させる木材乾燥制御システムにおいて、
    近赤外線を用いて、前記木材乾燥室内に収容される木材が収縮する際に生じる乾燥応力を測定し、前記乾燥応力がゼロになる時を境にして、乾燥速度を緩慢とする第1の調節区間から温度を上昇させて乾燥速度を急とする第2の調節区間に切り換えるように温度および湿度を調節することを特徴とする木材乾燥制御システム。
  2. 前記第1調節区間では、前記乾燥応力が増加状態から減少状態に変化すると、湿度を低くするように調節することを特徴とする請求項1に記載の木材乾燥制御システム。
  3. 前記第2の調節区間では、前第1の調節区間で低く調節された湿度よりもさらに湿度を低くして、乾燥速度を急とすることを特徴とする請求項に記載の木材乾燥制御システム。
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