JP4567198B2 - ゲル化点センサ - Google Patents
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Description
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、一般に、ウェブまたはシートに用いたコーティングを監視することに関する。より詳細には、これらのコーティングの乾燥速度を監視することに関する。
【0002】
(従来技術の説明)
シートまたはウェブの材料にコーティングすることは、いくつかの異なる産業分野で共通のプロセスである。特に製紙業では、コーティング、クレイ、ラテックス、またはCaCO3などの保管構成要素は、その下にあるウェブまたはシートの吸収性、安定性、光沢、印刷可能性、または他の特徴に影響を与える。プラスチックなどの他の産業分野では、コーティングは、製品の最も重要な部分である可能性がある(すなわち、写真用のコーティング)。
【0003】
オンライン・セッティングでは、通常、コーティングは、多くのタイプのコーティング装置(すなわち塗布機)を使用している。通常、これらの装置は、水などの溶媒に懸濁している液体の形態のコーティングを保有して適用を容易にし、ベース・シートとの結合を向上させる。ブレードまたはナイフを使用して、ベース・シートがコーティング装置を通過して動くときに、ベース・シートに沿ってコーティングを散布する。コーティング装置には、1つまたは複数の乾燥装置(すなわち乾燥機)が続いており、これは、熱および/または動いている空気を使用して、ベース・シート上にソリッドまたは半ソリッドのコーティング層を残したまま、コーティングから溶媒を蒸発させる。
【0004】
コーティングの乾燥速度は、ミルまたはプラントの効率のファクタであると共に、コーティングの質、最終的なシート製品の質、およびコーティング適用プロセス中に使用するエネルギー量の重要なファクタになり得る。コーティングの乾燥速度に影響するファクタは、ミルの環境、塗布機のセッティング、乾燥機のセッティング、ベース・シートの特性、並びにコーティングの量と構成要素のタイプなどを含む。さらに、コーティングを乾燥させる際に、蒸発および/またはベース・シートによって吸収される溶媒のタイプと量も、コーティングの乾燥時間に影響を与える。
【0005】
読者がおそらく気付いているように、用いたコーティングの質は、いくつかの理由で重要である。コーティングしたシートで、目に見えるような質と均一性の変化は、明らかに回避すべきことである。さらに、目に見えない変化であっても、印刷など、用いたコーティングを他の処理のベースとして使用する場合には、重要な場合がある。最後に、コーティングは、湿気、熱、または日光など環境のファクタに対して、機械の耐久性と保護とを行っている。
【0006】
コーティングの乾燥速度は、いくつかの方式で、コーティングの質と最終的なシートの質に影響を与える。シートが湿っているとき、乾燥機の熱は、コーティングの溶媒が、液体から蒸気に状態変化をする際に、コーティングによって吸収される。しかし、コーティングまたはコーティングの表面が乾燥した(すなわち、コーティングの溶媒がほとんど蒸発した)後は、余分の熱は、もはやコーティングの溶媒によって吸収されない。むしろ、乾燥状態にあるベース材料およびコーティングによって吸収される。これは、容易に燃焼またはクラックすることがある。一方、コーティングが非常にゆっくり乾燥する場合、コーティングは、製造ラインの構成要素またはシートの他のセクションに染みをつけるまたは張り付くことがある(すなわち、コーティングがまだ湿っている間にシートがロールされる場合)。したがって、乾燥速度を監視して、コーティング全体と最終的な製品の質を向上させ、並びに製品の浪費を防止することができる。
【0007】
コーティングの乾燥速度を監視することは、他の利点も有する。これにより、コーティング乾燥機のセクションが終了する前にコーティングが乾燥するとき、必要でない乾燥装置の電源を切るまたは選択した乾燥装置を低温セッティングに設定することによって、浪費するエネルギー量を低減し、乾燥機の寿命を延長することができる。実際、必要でない乾燥機の電源を切ることは、シートの燃焼を防止し、またはそうでなくても乾燥機の余分な熱のためにシートが損傷するのを防止する1つの方法である。
【0008】
現在、温度センサを使用して、多くのシート・ミルおよびシート・プラントでコーティングが乾燥するときを監視する。通常、温度センサは、塗布機に続く乾燥機またはその付近に配置され、コーティングが乾燥しているとき、シートの温度の上昇を記録する。これらの乾燥環境では温度が過酷なので、熱電対または他の堅牢な温度装置は、乾燥機内で温度を測定することが好ましい。残念ながら、熱電対は、シートが乾燥機を通過する速度と比較して、比較的遅い温度測定装置である。また、温度センサがシートの温度が上昇したことを記録した後は、過乾燥のためにすでにシートに損傷が生じている可能性があるので、コーティングの乾燥速度を監視するために温度を使用することは欠点である。
【0009】
また、離れて配置されたIR温度センサが使用されてきたが、これらのタイプのセンサは、非常に正確ではなく、読取りが、乾燥中に変化する表面の放出性に依存している。
【0010】
乾燥速度を監視することは、コーティングの1つまたは複数の「ゲル化点」の位置を監視することによって達成することが理想的である。ゲル化点は、コーティングの溶媒が用いたコーティング層から蒸発する際に、コーティング構成要素が、ソリッド集合体の半ソリッドネットワークを形成する時を明確にする。ほとんどまたは全ての主要コーティング構成要素がこのゲル化点に達したとき、コーティングは、実質的に乾燥していると見なされる。
【0011】
現在、シートまたはウェブの材料上にあるコーティングのゲル化点を監視する装置は存在していない。
【0012】
(発明の概要)
本発明は、コーティングのゲル化点を使用して、シートまたはウェブの材料上にあるコーティングの乾燥速度を監視する手段および方法の必要性に対処する。本出願人のシステムでは、センサを使用して、コーティングから反射された鏡面放射と拡散放射を比較する。特定の好ましい実施形態では、鏡面放射と拡散放射の比を使用して、ゲル化点を特定する。
【0013】
オンライン・システムでは、ゲル化点は既知なので、コーティングの乾燥速度を増大または低減することができ、コーティングの構成を変更することが可能であり、または設計者の要求に適応するように、コーティング装置または乾燥装置のセッティングを変更することが可能である。設計者は、コーティングまたは最終製品の質あるいは均一性、またはミルの効率などのファクタに基づいて、作業を選択することが可能である。
【0014】
オフライン・システムでは、ゲル化点を使用して、異なるコーティングの配合またはベース材料の乾燥時間を比較し、乾燥装置またはコーティング装置の構成を開発し、またはコーティングの問題に対応することが可能である。
【0015】
本出願人の方法を実施するシステムは、放射源から放射された光線をコーティング上の測定位置に向け、測定位置でコーティングを調査する第1および第2放射検出器を設けることによって達成することが可能である。一方の放射検出器は、鏡面放射を収集するように配置され、他方の放射検出器は、拡散放射のみを収集するように配置される。これら2つの値の比を使用して、測定位置に対するゲル化点の位置を決定する。またはオフライン・システムでは、監視した乾燥コーティングについて、これら2つの値の比の特徴的な曲線を作成する。
【0016】
本発明の1つの目的は、コーティングの乾燥速度、ゲル化点、および乾燥特性を監視する比接触性の方法を提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、精度と速度を向上させた、簡単で、コンパクトなコーティング状況測定センサを提供することである。
【0018】
本発明のさらに他の目的は、コーティングのゲル化点を測定することを含む、複数シートの特性測定システムを提供することである。
【0019】
本発明のさらに他の目的は、異なるタイプのコーティング、その乾燥速度、および乾燥特性に関する実験室での研究(すなわちオフライン)用のシステムを提供することである。
【0020】
本出願人のシステムに関する他の利点は、後続する以下の詳細な記述を読むことにより明らかになるであろう。
【0021】
(詳細な説明)
図1は、本出願人の発明によるゲル化点センサの1つの実施形態を示す。この図では、この場合はレーザ・ダイオードである放射源1からの放射が、光ファイバ・ケーブル2を介して、調査するコーティング3の表面近くの位置に導かれる。この光源は、任意の数またはタイプの広帯域源または狭帯域源とすることが可能である。例えば、正規の光バルブおよびLEDは、両方とも、示した光源に対する適切な代替放射源である。レンズなど放射光線を方向付ける手段、または光操作装置4と認識された手段は、放射を光線に収束またはコリメートし、その光線をコーティング3上の測定位置11に投影する。
【0022】
コーティングは、紙、プラスチック、ガラス、金属、布または他の材料などの基材の上にある。調査するコーティングのタイプは、湿った状態から乾燥状態に変化するときに、光の反射特性の変化を示す任意のタイプのコーティングとすることが可能である。例えば、測定する表面は、ラテックス、クレイ、炭化カルシウム、シリコン、またはプラスチックの複合物でコーティングした紙またはマイラとすることが可能である。以下の記述に基づいて、紙または他のタイプの基材の上にある他のタイプのコーティングが、本出願人の発明に適していることが、当業者にはわかるであろう。
【0023】
第1放射検出器5および第2放射検出器6は、それぞれ光ファイバ・ケーブル7および8を介して、測定位置11でコーティング3からそれぞれ反射された拡散放射および鏡面放射を調査する。レンズまたは光フィルタなど、光操作装置9および10は、コーティングから反射された放射を収集し、その後、光ファイバ・ケーブル7および8内へ通過させる。
【0024】
光操作装置9は、コーティング3からの拡散放射(すなわち鏡面放射でない)のみを受信するように配置されており、光操作装置10は、コーティング3からの主要な鏡面放射を受信するように配置されている。光操作装置を配置する最も簡単な方法は、コーティング表面の法線に対して放射源を第1角度の方向に傾け、コーティング表面の法線に対して光操作装置10を第1角度と同じだけ反対側に傾けることである。光操作装置9は、この角度以外の任意の位置に配置して、拡散放射のみを受信することが可能である。
【0025】
例えば、1つの実行可能な角度の設定は、光操作装置9を紙の表面に対して垂直に配置し、光操作装置10と光操作装置4を、コーティング表面の法線に対して約30°および−30°の角度に配置することである。しかし、約5°という低い角度、並びにはるかにより高い角度を使用することが可能である。
【0026】
通常、光操作装置4、9、および10は、光ファイバ・ケーブル内にまたはそれの外に、放射を収束させるレンズを含む。これらの装置は、フィルタ、スプリッタなど、読者の設計または応用に必要な、より複雑な構成要素を含むことが可能である。図1のゲル化点を示し、光操作装置4、9、および10を使用して記述したが、これらの構成要素は、ある条件では削除することができる。しかし、これらを備えないあらゆるシステムは、依然として、コーティング表面に投影された放射を収束またはコリメートしなければならない。さらに、そのようなあらゆるシステムは、拡散放射のみが放射検出器5に到達し、主として反射放出が放射検出器6に到達するようにしなければならない。
【0027】
放射検出器5および6は、赤外放射を監視することが可能であるボロメータ、IRセル、フォトセル、または他のタイプの検出器を備えることが可能である。フィルタを放射検出器に組み込み、測定する放射の特定の周波数を分離することが可能である。放射検出器は、同一タイプまたは異なるタイプとすることが可能であり、または、放射源1から受信した放射スペクトルの同一または異なる部分あるいは一部を調査することが可能である。
【0028】
光ファイバ・ケーブルを使用して本出願人の発明を実施することは、シート付近の余分な熱がセンサの構成要素を容易に損傷することがある場合に好ましい。しかし、他の手段を使用して、コーティングから反射した拡散放射と鏡面放射を通すことが可能である。例えば、抄紙機で塗布機に続いている乾燥装置では、紙付近の温度は、何百度である可能性がある。したがって、光ファイバ・ケーブルを使用して、シートから離れた、より冷却した位置に放射検出器を配置することが可能である。熱が問題でない場合は、測定位置に対して放射検出器を局在させる代わりに、光ファイバ・ケーブルを削除することが可能である。例えば、いくつかの場合では、ゲル化点センサを抄紙機のコーティング乾燥機の直前に配置することが可能であり、その場所で、その乾燥機または複数の乾燥機内の第2ゲル化点センサに対する基準として機能することができる。この基準ゲル化点センサは、乾燥機の内側の高温条件に影響されない。したがって、光ファイバ・ケーブルを削除することができ、放射検出器の構成要素を、コーティング表面に対して局在して配置することができる。当然、本出願人は、他の放射検出器の設計(より堅牢なセンサまたはビルトイン冷却手段)が、抄紙機の乾燥装置内など、過酷な環境で動作することができるセンサの使用を可能にする可能性があることを企図している。これらの場合、過酷な条件が存在する場合でも、光ファイバ・ケーブルを削除することができる。
【0029】
あらゆる事象において、図1のゲル化点センサを操作する際に、放射源1は、光ファイバ・ケーブル2と光操作装置4を介して、コーティングに対して放射光線を投影する。放射検出器5と6は、それぞれ光ファイバ・ケーブル7と8および光操作装置9と10を介して、コーティングから反射された放射を調査する。放射検出器5は、コーティングからの拡散放射を調査して、拡散放射の値または信号を生成し、放射検出器6は、鏡面放射を調査して、鏡面放射の値または信号を生成する。
【0030】
コンピュータまたはマイクロ制御装置など、計算装置または計算手段は、放射検出器5および6からの放射検出器の信号または値を受信して比較する。鏡面放射値と拡散放射値の比較は、2つの検出器からの値の比を生成することによって容易にすることができる。次いで、この比から、ゲル化点またはコーティングの乾燥特性に関する情報を抽出することができる。
【0031】
放射検出器からの鏡面放射値と拡散放射値の比は、以下のように表すことが可能である。
R=S1/S2 (1−1)
上式で、
S1=拡散放射値、および
S2=鏡面放射値
である。比Rと呼ぶことが可能であり、ゲル化点センサ出力またはゲル化点センサ出力値と呼ぶことにする。
【0032】
調査しているコーティングのゲル化点より前は、コーティングは高度に反射性で、拡散放射はほとんどまたは全く発生しない。したがって、放射検出器5によって生成された値S1はゼロに近く、放射検出器6によって生成された値S2は、著しくゼロより大きい。したがって、ゲル化点より前での鏡面放射値に対する拡散放射値の比は、ほぼゼロである。
【0033】
ゲル化点より後では、鏡面放射値と拡散放射値は互いに接近し、以前鏡面的に反射した放射のより多くの部分が、今度は拡散している。この新しく拡散された放射の部分は、放射検出機5に到達することになる。したがって、鏡面放射に対する拡散放射の比Rは、1に近くなる。
【0034】
機能的に、スケーリングまたは他の処理、センサ出力の差、あるいは他のファクタは、コンピュータまたはマイクロ制御装置において、外見上の比に影響を与える可能性がある。これらのファクタは、所望であれば、較正中に削除することが可能である。例えば、鏡面センサと拡散センサの電圧出力を異なるようにスケールすることが可能である。または、互いに電圧をオフセットさせることが可能である。これに適応するために、ゲル化点センサを使用する前に、基準として1つまたは複数の標準較正タイルを使用して、センサの出力を正規化することが可能である。代替として、より容易な操作のために、センサ出力Rを異なる範囲、すなわちゼロから1にスケールすることが可能である。
【0035】
鏡面放射に対する拡散放射の比の正確な範囲は、ファクタの中でも、放射検出器のタイプ、収集した全拡散放射の量、および測定しているコーティングのタイプに依存する。例えば、乾燥光沢コーティングは、乾燥マット・コーティングより、はるかに低いゲル化点センサ出力値をもたらす。物理的なコーティングの調査、または他の方法によって、湿った状態および乾燥状態にある異なるタイプのコーティングに対する比の値を決定することが可能である。次いで、これらの所定の値を基準として使用して、オンライン測定中のゲル化点を認識することが可能である。ゲル化点が既知なので、適切な制御措置を取って、コーティングまたは最終製品の質あるいはミルの効率に影響を与えることが可能である。
【0036】
ここで、本出願人のセンサを抄紙機のコーティング乾燥機のセクションに統合することについて説明する。図2は、乾燥装置のセクションの側面図を示す。赤外乾燥機20、21、および22は、3つの空気乾燥機23、24、および25の上流機械として配置されている。紙26は、左から右へ図面を横切って動き、赤外乾燥機20の直前で適用された、湿ったコーティングで覆われている。
【0037】
第1ゲル化点センサ27は、コーティングの適用の直後、および第1赤外乾燥機20の直前に配置されている。ゲル化点センサ27は、湿ったコーティングの鏡面放射に対する拡散放射の比について、既知の値を提供する。第2ゲル化点センサ28は、乾燥装置に沿って、ある他の点に配置されている。この図では、センサ28は、第1空気乾燥機23と第2空気乾燥機24の間に配置されている。ゲル化点センサ28によって生成された値は、鏡面放射に対する拡散放射の比に対して、中間の読みを提供する。
【0038】
ゲル化点センサ27からの読みを、ゲル化点センサ28からの読みに対する基準またはベースラインとして使用することができる。例えば、ゲル化点は、ゲル化点センサ27からゲル化点センサ28までのゲル化点センサ出力Rでのあるパーセントの増大として定義することが可能である。
【0039】
図3のグラフは、時間tに対する、ゲル化点センサ28の出力S1を示す。グラフのスパイクと一時的な減少は、様々な赤外乾燥機の電源を切ったり入れたりして、それぞれがコーティングのゲル化点に影響を与える様子を調査した時間を示す。IおよびIIと名称を付けたグラフのセクションは、単一赤外乾燥機が動作しているときのゲル化点センサ28の出力を表す。IIIと名称を付けた急激な減少は、一時的に単一赤外乾燥機の電源を切ったことを示す。IV、V、およびVIと名称を付けたセクションは、2つの赤外乾燥機の電源が入っている時間を表す。VIIおよびVIIIと名称を付けた急激な減少は、2つの動作している赤外乾燥機のうち、一時的に1つの電源を切ったことを示す。IXと名称を付けたセクションは、3つの赤外乾燥機に全て電源が入っている時間を表す。Xと名称を付けた谷は、3つの赤外乾燥機全てを同時に一時的に電源を切り、次いで電源を入れたことを表す。
【0040】
図3のグラフのデータを使用するために、設計者は、乾燥コーティングを表す、ゲル化点センサ出力または出力範囲S1を予め選択しておかなければならない。例えば、設計者は、7ボルトまたはそれより大きい出力センサS1が図3の乾燥コーティングを表し、図3の7ボルトより小さいゲル化点センサ出力S1が湿ったコーティングまたはゲル化点未満のコーティングを表す、としてもよい。これは、例えば、独立した乾燥速度測定手段、オフライン・ゲル化点センサを使用することによって、または肉眼あるいは触覚で検査することによって決定してもよい。
【0041】
図3で7ボルトを仮定することは、乾燥コーティングが、図2のゲル化点センサ28を通過しているときを表し、グラフのセクションVIからセクションIXへの移行によって示すように、第3赤外乾燥機の電源を入れても、ゲル化点センサ28の出力は何ら大きな変化を示さないので、コーティングを乾燥するには、3つの赤外乾燥機(および1つの空気乾燥機)のうち2つのみが必要であることがわかる。さらに、ゲル化点センサ28からの出力は、第1空気乾燥機23より後では7ボルトより大きいので、コーティングが第1空気乾燥機23の直後ですでに乾燥しているときは、第2乾燥機24と第3乾燥機25は必要ない。
【0042】
当然、図2に示したシステムにさらにゲル化点センサを追加した場合、より正確なゲル化点の位置を決定することが可能である。例えば、第3赤外乾燥機22と第1空気乾燥機23の間にゲル化点センサを配置することによって、ユーザは、ゲル化点が、第1空気乾燥機の前、または内部で生じるかを決定することができる。この決定により、例えば、ゲル化点が第1空気乾燥機の前で生じる場合、第1空気乾燥機の電源を切る、またはIR乾燥機の温度の低減を促進することになる。
【0043】
代替、または追加として、ゲル化点センサを第2空気乾燥機24と第3空気乾燥機25の間に配置することが可能であり、また、1つまたは複数の赤外乾燥機の電源を切るあるいは温度を調節して、より少ない赤外乾燥機の電源が入っているときに、第2および第3空気乾燥機が完全に紙を乾燥するかを決定することが可能である。さらに、本出願人のゲル化点センサの設計は簡単なので、この方式で複数のゲル化点センサを配置することにかかるコストは法外ではない。
【0044】
当業者なら気付いているように、シート形成機械を複数のグレードまたはタイプのウェブまたはシートに使用することが可能であり、通常、各シートおよび/またはコーティングのタイプは、異なる乾燥速度を有する。したがって、各乾燥機の後にゲル化点センサを追加することによって、オンライン連続制御を使用して、異なる乾燥機の構成について、手作業の調整または実験をほとんどせずに、より多いあるいはより少ない乾燥機あるいは新しい乾燥機のセッティングの必要性を継続的に再評価することが可能である。乾燥装置に関するこの近接した監視と制御の主要な利点は、コーティングと下にある紙を損傷または品質低下することを防止することである。しかし、シートが乾燥した後は、乾燥機の操作に使用するエネルギーは必要ないので、プラントの効率と乾燥機の寿命も改善することができる。
【0045】
例として、コーティングのセクションに続いて乾燥装置の制御を使用してきたが、ゲル化点およびゲル化点センサの出力を使用して、シート・ミルまたはシート・プラントで、他の作業を実施することが可能である。例えば、ゲル化点センサを使用して、コーティング装置のセッティング、ラインの速度、コーティングの構成、または他のファクタの数を変更することが可能である。
【0046】
図1の本出願人の基本的なゲル化点センサを他のセンサ手段と組み合わせて、他のタイプの測定を実施することおよび/または他のシートの特性を監視することが可能である。例えば、この機能のために、スペクトルメータを用意することが可能である。図4は、スペクトロメータ40を追加して修正した図1のゲル化点センサを示す。スペクトロメータは、同じファイバ光ケーブル42から拡散放射を受信し、光スプリッタ41を介して放射を拡散放射検出器43に進める。図1のゲル化点センサに対する放射源は、特有の要件の影響を受けないが、図で44と名称を付けた図4のゲル化点センサに対する放射源は、スペクトロメータに所望の範囲の放射周波数を提供する広帯域放射源でなければならない。図では、簡単な光バルブを広帯域源として使用している。ゲル化点センサの残りの部分は、図1と同じである。
【0047】
スペクトロメータ40は、ゲル化点センサ3によって測定した特性とは異なる、少なくとも第2のシートに関する特性を測定する可能性があるが、複数の他のシートに関する特性を測定する可能性がより高い。さらに、スペクトロメータについて記述してきたが、スペクトロメータの代わりに、第2ボロメータ、他のタイプの赤外検出器、音響ベースの装置、または他の構成要素など、他のタイプのセンサも可能である。
【0048】
本出願人の設計から光ファイバ・ケーブルを削除したゲル化点センサを図5に示す。図では、放射源52の両側にある2つの放射検出器50および51が、それぞれ鏡面放射検出器および拡散放射検出器として機能する。ゲル化点センサは傾斜しており、検出器50が主にコーティングからの鏡面放射反射を受信し、拡散放射反射のみが放射検出器51に到達するようになっている。図5のシステムは、例えば、図2の基準ゲル化点センサ27など、ゲル化点センサが、オフライン・ゲル化点測定に対する極度の熱の影響を受けない応用に、または、冷却システムがゲル化点センサに追加されている場合に、有用である。冷却は、ファン、冷媒、熱遮断、または他の手段などによって実施することができる。
【0049】
また、図5のゲル化点センサは、坪量、光沢、または繊維の向きの測定など、システムの他の機能と併せて使用することが可能である。当業者なら気付いているように、多くのシートの特性を測定するには、鏡面放射ではなく、拡散放射を使用する。したがって、図5のシステムを使用してこれら他のタイプの測定を実施するために、センサ・ユニットを2つの向きの間で回転させること、または、適切に角度をつけたセンサ・ユニットの他の放射検出器を使用して、これら他のタイプの測定を実施することが可能である。
【0050】
上述したシステムは、オンライン測定に対して価値のある使用法を有しているが、本出願人のシステムを使用して、オフライン・セッティングでの乾燥中に、効果的にコーティングを監視し、特徴付け、またはコーティングの問題に対応することも可能である。乾燥特性を監視することは、乾燥時間に関する異なるコーティングの構成の効果を決定し、これらのファクタをコーティングの質に関係付け、コーティングの質の問題に関する原因を認識し、または、単に異なるコーティングおよびベース材料用に乾燥方式を開発するために有用である。さらに、オフラインのデータを使用して、オンライン・ゲル化点センサ・システムを較正することに役立てることが可能である。
【0051】
図6は、マイラ上の実験室の「ドローダウン」(すなわち手作業で用いたコーティング)に対する一般的な乾燥曲線を示す。図では、y軸は、時間に対し10でスケールしたセンサ出力Rを示す。通常、コーティングのエンジニアは、乾燥曲線の第1および第2臨界ソリッド位置に関心がある。第1臨界ソリッド位置は、その曲線が上方に曲がるところであり、図6のグラフでは60と名称を付けている。第2臨界ソリッド位置は、曲線が再び水平へと曲がるところであり、図6のグラフでは61と名称を付けている。
【0052】
例えば、第1臨界ソリッド位置は、乾燥開始後、どのくらいでコーティングの溶媒が蒸発し始めるかを決定する。この点が非常に早く生じる場合、下にあるコーティングが乾燥する機会を有する前に、コーティングの表面が乾燥する可能性がある。これは、下にあるコーティングが乾燥する効率を低減するだけでなく、コーティングの表面とコーティングの内部の収縮が異なるために、クラックまたは気泡を生じる可能性がある。第2臨界ソリッド位置は、通常第1臨界ソリッド位置を基準にして調査され、乾燥曲線の傾斜を調査するために使用される。傾斜から、必要な乾燥装置に対する温度のセッティング、および数とタイプ、並びに、シートがラインを通って動くことが可能である最大乾燥速度を決定する。傾斜が非常に急である場合、乾燥が生じるときを追跡することは困難な可能性があり、過乾燥のために、シートまたはコーティングの損傷が生じる可能性がより高くなる。傾斜が非常にゆるい場合、そのコーティングを使用するオンライン・プロセスは、コーティングが乾燥することを可能にするために、望ましくない量だけ速度を遅くしなければならない可能性がある。
【0053】
また、乾燥曲線の傾斜は、中間乾燥点、複数の溶媒の蒸発位置、または他のプロセス特性に手がかりを提供することができるので、有用である。
【0054】
オフラインのグラフによって提供された情報により、コーティングの構成または厚さ、ラインの速度、コーティング装置の動作、加熱装置の動作、または他のプロセスのファクタを調節して、最良のコーティング製品を完成することが可能である。また、その情報を使用して、他の手段では解決することができない、コーティングに関する問題に対応することが可能である。
【0055】
また、オフライン・システムは、乾燥時間に対する異なるベース材料またはコーティング構成の変形形態の効果を比較することにおいて有用である。例えば、図7は、紙に対するダル・コーティングのゲル化点センサ出力Rと、紙に対する光沢コーティングのゲル化点センサ出力の比較を示す。図では、ダル・コーティングは70と名称を付け、光沢コーティングは71と名称を付けている。図8のグラフでは、マイラに対する光沢コーティングのゲル化点センサ出力80と、紙に対する同じ光沢コーティングのゲル化点センサ出力がプロットされている。図7と8の両方において、乾燥特性の明瞭な違いを認識することができる。
【0056】
例えば、オフラインで生成したそのようなグラフを使用して、ミルの乾燥/コーティング・セクションをプログラムすることが可能であり、したがって、コーティングのタイプを代替することが可能である。新しいコーティングを選択したとき、乾燥装置は、単に図7および8に示すようなグラフを使用して予め決定した乾燥特性を選択することによって、自動的に調節することができる。
【0057】
したがって、本明細書で開示した発明は、その精神、またその一般的な特性から逸脱せずに、すでにいくつかの形態に付いては示している他の特有の形態で実現することが可能なので、本明細書で記述した実施形態は、あらゆる点で例示的であり、限定的ではないと見なすべきである。例えば、本出願人の発明をオンライン・システムについて使用して記述したが、オフライン・ステーション、または運動するコーティング、あるいは運動しないコーティングについて使用することも可能である。本発明の範囲は、以上の記述ではなく、添付の請求項によって示されており請求項の同等物の意味および範囲内にある全ての変更は請求項に包含されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 光ファイバ・ケーブルを使用する本出願人の発明によるゲル化点センサの実施形態の図である。
【図2】 乾燥装置の配置と、乾燥装置内における本出願人のゲル化点センサの1つの可能な配置の概略図である。
【図3】 図2のシステムによるゲル化点センサの出力のグラフである。
【図4】 ゲル化点センサ、並びにコーティングまたは下にあるシートの選択した副次的特性を測定する第2センサ手段を含む、本出願人の発明の実施形態の図である。
【図5】 コンパクトな源と検出器を使用し、その源と検出器がコーティングの表面付近に局在している、本出願人のゲル化点センサの実施形態である。
【図6】 マイラの上の光沢コーティングに対する、ゲル化点センサの実験室データの図である。
【図7】 同じ紙質の上の光沢コーティングとダル・コーティングのゲル化点センサのデータを比較した図である。
【図8】 マイラに適用した光沢コーティングと紙に適用した同じ光沢コーティングのゲル化点センサのデータを比較した図である。
Claims (6)
- ゲル化点を監視することによって、ウェブまたはシートに施されたコーティング(3)の乾燥速度を監視する方法であって、この方法は、
収束またはコリメートした放射光線を、コーティングの測定位置(11)に投影するステップと、
コーティングから反射された放射光線によって生成された鏡面放射を調査して、鏡面放射値を生成するステップとを具備し、更にこの方法は、
コーティングから反射された放射光線によって生成された拡散放射を調査して、拡散放射値を生成するステップと、
拡散放射値対鏡面放射値の比率(R)を得るために鏡面放射値と拡散放射値を比較するステップと
コーティングの乾燥特性(時間(T)と拡散放射値対鏡面放射値の比率(R)との相関関係)に関する情報を取り出すステップとを具備し、
測定位置に対するゲル化点についての情報を抽出すること、
を特徴とする方法。 - 鏡面放射値と拡散放射値を比較し、ゲル化点の位置がコーティング上のゲル化点の測定位置の前または後ろにあるかを調査する請求項1に記載の方法。
- コーティングが、コリメートした放射光線に対して動き、
抽出したゲル化点情報を使用して、コーティングの乾燥速度を制御する請求項1に記載の方法。 - 乾燥速度が、1つまたは複数の操作乾燥装置の数またはタイプ、あるいは前記乾燥装置の条件を低減することによって制御される請求項3に記載の方法。
- コーティングが、コリメートした放射光線に対して静止しており、
抽出したゲル化点情報が、監視したコーティングの乾燥特性(時間(T)と拡散放射値対鏡面放射値の比率(R)との相関関係)を特定するために使用される請求項1に記載の方法。 - 乾燥特性を使用して、乾燥装置に対して、所定の乾燥プログラムを生成する請求項5に記載の方法。
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