JP5633846B2 - 触媒、及び該触媒を用いたポリマーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、触媒、及び該触媒を用いたポリマーの製造方法等に関し、特にメソポーラスシリカを用いた触媒に関する。
本発明者らは、メソポーラスシリカの用途に関する研究を行って来ており、その一部を特許出願している(特許文献1)。メソポーラスシリカは、大きな比表面積とともに規則的な細孔構造を備えており、金属触媒の担体として広く用いられている。メソポーラスシリカの規則的なメソ細孔空間内に活性金属種を導入して触媒とした後、特殊な触媒反応場として利用する試みが報告されている(特許文献2)。
しかしながら、これまでの報告では、メソポーラスシリカの表面全体に触媒活性点が存在するために、厳密な反応場の制御が困難であった。
特開2009−061372号公報 特開2005−336457号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、メソポーラスシリカの細孔壁の外表面を選択的に有機基で修飾し(図1を参照:F. D, Juan, E. Ruiz-Hitzky, Adv. Mater., 12, 430 (2000))、内表面選択的に触媒活性種を導入することにより、触媒反応を行う際の反応場をメソポーラスシリカの細孔内部に限定して触媒反応を行わせることが可能な触媒を提供すること等にある。
上記課題を達成するための本発明に係る触媒は、細孔とこの細孔を形成する細孔壁とを備えたメソポーラスシリカにおいて、前記細孔壁の外表面は触媒反応を規制するために選択的に有機物によって修飾されている一方、前記細孔壁の内表面には選択的に触媒活性種が固定されていることを特徴とする。
本発明において、前記細孔の平均径が1nm〜20nmであることが好ましい。
また、前記触媒活性種が、銅であることが好ましい。
また、当該触媒が、フェノール化合物の酸化重合反応に用いられるものであることが好ましい。
また、本発明に係るポリマーの製造方法は、上記に記載の触媒を用いて、フェノール化合物を酸化重合させることを特徴とする。
また、本発明に係る上記触媒の製造方法は、界面活性剤と骨格成分とを混合した反応混合物を縮重合反応させて、前記骨格成分によって形成された細孔壁で区画された細孔内に前記界面活性剤が充填されたメソポーラスシリカ前駆体を作成した後、前記細孔壁の外表面の水酸基を修飾する有機化試薬によって、前記メソポーラスシリカ前駆体の外表面を選択的に修飾し、前記細孔内の界面活性剤を除去することで外表面が有機基によって修飾されたメソポーラスシリカを得た後、前記細孔壁の内表面に選択的に触媒活性種を固定することを特徴とする。
本発明において、メソポーラスシリカとは、シリカ(二酸化ケイ素)を材質として、均一かつ規則的な細孔(メソ孔:直径1nm〜50nm程度)を備えた物質を意味しており、触媒・吸着材料としての応用研究が行われている。
有機物とは、シリカの表面にある水酸基に結合することで、触媒が結合することを防ぐための物質を意味する。
有機化試薬とは、細孔壁の外表面の水酸基に結合することで、触媒活性種の固定を規制するための試薬を意味する。そのような有機化試薬として、例えばシリル化試薬(シリル化剤)を用いることができる。
触媒活性種とは、本質的に触媒作用を示す物質を意味している。所定の金属が触媒活性種の場合には、その金属のみを細孔壁の内表面に固定する場合の他に、その金属を含有する有機金属触媒を固定する場合が含まれる。
本発明によれば、メソポーラスシリカに設けられた細孔の内部空間において、選択的に触媒反応が行われるので、特に重合反応を行ってポリマーを製造したときに、従来の触媒によるポリマーに比べると、より低い分子量を備えるとともに、より狭い分子量分布を持ったポリマーを製造することが可能となる。
メソポーラスシリカの表面を有機基で修飾したときの様子を模式的に示す図である。(a)は、細孔壁の外内表面が有機基で修飾されている様子を示す図、(b)は、細孔壁の外表面が選択的に有機基で修飾されている様子を示す図である。 シランカップリング剤がメソポーラスシリカの表面に結合するときのイメージ図である。(a)は、シランカップリング剤が自己重合する様子を示す図、(b)は、単分子層として固定される様子を示す図である。 各種のシリル化剤を製造途中のMCMに反応させたときの細孔径をBJH法(E. P. Barrett, L. G. Joyner, P. P. Halenda: J. Amer. Chem. Soc. 73, 373 (1951))で測定した結果を示すグラフである。(a)はトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルの結果を、(b)は1,1−ビス(トリメチルシロキシ)−1−プロペンの結果を、(c)は1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザンの結果を、(d)はトリエトキシメチルシランの結果を、(e)はトリメチルクロロシランの結果を、(f)は修飾していない製造途中のMCM-41の結果を、それぞれ示す。 各種の触媒を用いて、2,6-ジメチルフェノールを重合させたときの重合物の分子量分布を示すグラフである。(a)はCu/TMS-MCM(細孔壁の外表面選択的にシリル化し、内表面選択的に銅を固定したもの)の結果を、(b)はCu/MCM(細孔壁の内外両表面に銅を固定したもの)の結果を、(c)はCu(OAc)2(酢酸銅のみ)の結果を、それぞれ示す。
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施することができる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶ。
メソポーラスシリカは、無機系骨格を有し、この無機系骨格はシリケート等の無機酸化物の高分子主鎖から構成されている。シリケート基本骨格中のケイ素原子に代える原子、あるいはシリケート骨格に付加する原子としては、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、モリブデン、コバルト、ニッケル、ガリウム、ベリリウム、イットリウム、ランタン、ハフニウム、スズ、鉛、バナジウム、ホウ素等を例示できる。
メソポーラスシリカを構成し得るその他の無機系骨格としては、非Si系のジルコニア、チタニア、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化タングステン、酸化スズ、酸化ハフニウム、アルミナ等の無機酸化物、あるいはそれらの無機酸化物からなる基本骨格中に上記のシリケート骨格に付加する原子を組み込んだ複合酸化物が例示される。
メソポーラスシリカの無機系骨格成分としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等のアルコキシシラン、ケイ酸ソーダ、カネマイト(kanemite, NaHSi2O5・3H2O)あるいはシリカを用いることができる。これらの骨格成分はシリケート骨格を形成する。
メソポーラスシリカは、界面活性剤を鋳型として用いて縮重合し、その後、界面活性剤を除去することによって得ることができる。メソポーラスシリカを形成するための鋳型として使用される界面活性剤は、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性のうちのいずれであってもよく、具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム(好ましくはアルキル基の炭素数が8〜18のアルキルトリメチルアンモニウム)、アルキルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、ベンジルアンモニウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物あるいは水酸化物の他、脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリエチレンオキシド系非イオン性界面活性剤、一級アルキルアミン等が挙げられる。
界面活性剤のうち、ポリエチレンオキシド系非イオン性界面活性剤としては、疎水性成分として炭化水素基、親水性部分としてポリエチレンオキシドをそれぞれ有するポリエチレンオキシド系非イオン性界面活性剤等が挙げられる。このような界面活性剤としては、具体的には、C16H33(OCH2CH22OH(以下、このような構造をC16EO2と略して記載する)、C12EO4、C16EO10、C16EO20、C18EO10、C18EO20、C18H35EO10等が挙げられる。また、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸とソルビタンとのエステル、あるいはこれらのエステルにポリエチレンオキシドが付加した化合物を用いることができる。このような界面活性剤としては、Triton X-100(アルドリッチ)、ポリエチレンオキシド(20)ソルビタンモノラウリレート(Tween 20、アルドリッチ)、ポリエチレンオキシド(20)ソルビタンモノパルミテート(Tween 40)、ポリエチレンオキシド(20)ソルビタンモノステアレート、ポリエチレンオキシド(20)ソルビタンモノオレート(Tween 60)、ソルビタンモノパルミテート等が挙げられる。上記界面活性剤のうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、トリブロックコポリマー型のポリアルキレンオキシドを用いることができ、中でもポリエチレンオキシド鎖−ポリプロピレンオキシド鎖−ポリエチレンオキシド鎖型、あるいはポリプロピレンオキシド鎖−ポリエチレンオキシド鎖−ポリプロピレンオキシド鎖型のトリブロックコポリマーが好適に使用される。ここで、エチレンオキシド鎖−ポリプロピレンオキシド鎖−ポリエチレンオキシド鎖型のトリブロックコポリマーを(EO)x(PO)y(EO)xと表すと、各アルキレンオキシドのユニット数は好ましくはx=5〜110、y=15〜70であり、より好ましくはx=15〜20、y=50〜60である。他方、ポリプロピレンオキシド鎖−ポリエチレンオキシド鎖−ポリプロピレンオキシド鎖型のトリブロックコポリマーを(PO)x(EO)y(PO)xと表すと、各アルキレンオキシドのユニット数は、好ましくはx=5〜110、y=15〜70であり、より好ましくはx=15〜20、y=50〜60である。このようなトリブロックコポリマーとしては、具体的には、(EO)5(PO)70(EO)5、(EO)13(PO)30(EO)13、(EO)20(PO)30(EO)20、(EO)26(PO)39(EO)26、(EO)17(PO)56(EO)17、(EO)17(PO)58(EO)17、(EO)20(PO)70(EO)20、(EO)80(PO)30(EO)80、(EO)106(PO)70(EO)106、(EO)100(PO)39(EO)100、(EO)19(PO)33(EO)19、(EO)26(PO)39(EO)26等が挙げられ、これらのトリブロックコポリマーはBASF社等より商業的に入手可能であり、また、小規模製造レベルで所望のx値とy値とを有するものを得ることもできる。さらに、これらのトリブロックコポリマーは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらにまた、エチレンジアミンの2つの窒素原子にそれぞれ2つのポリエチレンオキシド鎖−ポリプロピレンオキシド鎖が結合したスターダイブロックコポリマーをテンプレートとして使用することができる。このようなスターダイブロックコポリマーとしては、具体的には、{(EO)113(PO)222NCH2CH2N{(PO)22(EO)1132、{(EO)3(PO)182NCH2CH2N{(PO)18(EO)32、{(PO)19(EO)162NCH2CH2N{(EO)16(PO)192等が挙げられる。また、本発明においては、上記のスターダイブロックコポリマーのうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記界面活性剤を用いて骨格成分を縮重合させる場合、溶媒として水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合物等を使用することができる。また、反応に用いる骨格成分と界面活性剤とのモル比(骨格成分/界面活性剤比)は好ましくは60以上であり、より好ましくは90以上であり、さらに好ましくは120以上である。骨格成分/界面活性剤比を前記の範囲内とすると、得られるメソポーラスシリカ細孔径が小さくなるとともに、細孔壁厚が厚くなり、また細孔容積が小さくなる傾向にある。
上記各成分を混合する方法について特に制限はないが、界面活性剤を溶媒と混合し、同時に、あるいは引き続いて酸を添加して好ましい酸性とした後、骨格成分を添加することが好ましい。ここで、界面活性剤及び酸を混合する際の温度は特に制限されないが、0℃〜100℃であることが好ましい。また、骨格成分を添加する際の温度は特に制限されないが、35℃〜80℃であることが好ましく、40℃〜45℃であることがより好ましい。さらに、骨格成分を添加する際には、骨格成分全量を一度に添加してもよく、混合液を攪拌しながら少量ずつ添加してもよいが、攪拌しながら1分以上にわたって少量ずつ添加することが好ましい。
上記手順により各成分を混合した後、反応混合物を所定の温度に保持して縮重合反応を行うことにより、メソポーラスシリカ前駆体(界面活性剤が細孔内に充填されたままのもの)を得ることができる。ここで、縮重合反応の反応温度は使用する界面活性剤や骨格成分の種類や濃度によって異なるが、通常0℃〜100℃であり、好ましくは35℃〜80℃である。特に、界面活性剤として上記のトリブロックコポリマーを使用する場合、反応温度は40℃〜45℃であることが好ましい。縮重合反応の反応温度が前記範囲内であると、得られるメソポーラスシリカの構造の規則性が高くなる傾向にある。なお、上記縮重合反応においては、反応の進行状況に応じて反応温度を適宜変更できる。
また、上記縮重合反応の反応時間は、使用する界面活性剤や骨格成分の種類や濃度によって異なるが、通常、8時間〜24時間である。上記縮重合反応は、静置状態、攪拌状態のいずれで行ってもよく、またそれらを組み合わせて行ってもよい。さらに、上記縮重合反応においては、界面活性剤に加えてトリメチルベンゼンやトリイソプロピルベンゼンなどの疎水性を有する化合物を添加することによって、得られるメソポーラスシリカの細孔径を制御できる。
細孔壁の外表面を選択的に有機物で修飾する方法は、メソポーラスシリカを形成した後でも可能であるが、メソポーラスシリカ前駆体の状態で行えば、細孔内に残っている界面活性剤によって、有機物が細孔壁の内表面を修飾することを妨げるので好ましい。そこで、上記縮重合反応後に得られるメソポーラスシリカ前駆体について、細孔壁の外表面を選択的に有機物によって修飾することが好ましい。
有機物として、シリル基を選択する場合には、次のような操作を行う。メソポーラスシリカ前駆体に、シリル化試薬を反応させることで、細孔壁の外表面にある水酸基をシリル化する。シリル化試薬としては、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル (Me3SiOSO2CF3)、1,1−ビス(トリメチルシロキシ)−1−プロペン(1,1-bis(trimethyl-silyloxy)-1-propene)、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(1,1,1,3,3,3-hexamethyldisilazane)、トリエトキシメチルシラン(triethoxymethylsilane)、トリメチルクロロシラン(Me3SiCl)などが挙げられる。
細孔壁の外表面を選択的に有機物で修飾した後に、細孔内の界面活性剤を除去することによって、メソポーラスシリカを得ることができる。メソポーラスシリカ前駆体からの界面活性剤の除去は、水やアルコール等の溶媒で処理する方法等により行うことができる。
溶媒で処理する方法を用いる場合、メソポーラスシリカ前駆体に含まれる界面活性剤に対して溶解度の大きい溶媒にメソポーラスシリカ前駆体を分散させ、攪拌した後に固形分を回収することによって、メソポーラスシリカを得ることができる。ここで、界面活性剤の除去に使用される溶媒としては特に制限はないが、好ましくはメタノール、エタノール、アセトン等の親水性有機溶媒が挙げられる。界面活性剤の抽出効率を十分に得るため、塩酸、硝酸等を少量(好ましくは0.1mol/l〜10mol/l)添加することが好ましい。有機溶媒には、水を添加しても用いられる。また、メソポーラスシリカ前駆体の分散量は溶媒100mlに対して0.5g〜50gであることが好ましい。
次いで、上記メソポーラスシリカの細孔壁の内表面に活性触媒種を固定する。活性触媒種としては、特に限定されないが、銅を用いることが好ましい。活性触媒種としての銅としては、特に限定されないが、銅または、銅の硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、塩化物、酸化物、水酸化物を例示できる。このような銅または銅を含む物質を細孔壁の内表面に担持させる。銅または銅を含む物質をメソポーラスシリカの細孔壁の内表面に担持する方法としては、液相法、固相法、気相法等が挙げられる。液相法においては、水、エタノール、ベンゼン等の溶媒に銅または銅を含む物質を分散または溶解させ、その液中にメソポーラスシリカを加えて攪拌混合することにより、活性触媒種としての銅がメソポーラスシリカの細孔壁の内表面に導入される。固相法では、固体状の銅細線の原料化合物とメソポーラスシリカとを固相で混合し、密閉容器中で加熱した後、過剰の原料化合物を洗浄等により除去することにより、活性触媒種としての銅がメソポーラスシリカの細孔内に導入される。気相法では、金属アルコキシド等の蒸気を発生するものや昇華しやすいものを原料に用い、それらの蒸気をメソポーラスシリカと接触させることにより、活性触媒種としての銅がメソポーラスシリカの細孔内に導入される。銅をメソポーラスシリカの内表面に均一に導入できることから、銅の導入法は気相法または液相法が好ましい。
次に、実施例を示しつつ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は下記実施例によっては限定されない。
実施例1 メソポーラスシリカの外表面選択的シリル化
メソポーラスシリカの外表面を修飾するために用いる有機基として、トリアルキルシリル基を用いた。通常広く用いられるシランカップリング剤は反応条件によっては、図2(a)に示すように、試薬の自己重合の可能性が考えられることから、本実施例では、単分子層として固定される試薬を用いた(図2(b))。
界面活性剤を除いていない製造途中のMCM-41(メソポーラスシリカ前駆体)を文献(Z. Liu, Y. Sakamoto, T. Ohsuta, K. Hiraga, O. Terasaki, C. H. Ko, H. J. Shin, R. Ryoo, Angew. Chem., Int. Ed., 39, 3107 (2000))に従い合成した。このMCM-41 1.0 g をトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(Me3SiOSO2CF3) 0.32 mL (1.7mmol,表面Si-OH 基の3 等量) 存在下、脱水トルエン 6.7mL 中 353 K で加熱した。16 時間後、トルエンおよびメタノールで洗浄後、細孔内の界面活性剤を除くためにエタノール−濃塩酸 (93:7, v/v) 中で16 時間 373 Kで2回加熱した。エタノールで洗浄後、393 K で減圧乾燥を行い、外表面のみを選択的にシリル化したTMS-MCM を得た。
比較試料として、製造途中のMCM-41 を焼成して、細孔内の界面活性剤を除いたMCM-41を得た。このMCM-41についても、上記と同様にトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルを用いてシリル化処理を行い、細孔壁の内外表面ともにシリル化されたTMS-MCM-TMS を得た。
シリル化剤の種類を検討するために、表面Si-OH 基の30 等量の試薬を用いてトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルの他に、1,1−ビス(トリメチルシロキシ)−1−プロペン(1,1-bis(trimethyl-silyloxy)-1-propene)、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(1,1,1,3,3,3-hexamethyldisilazane)、トリエトキシメチルシラン(triethoxymethylsilane)、及びトリメチルクロロシラン(Me3SiCl)を用いて、製造物の比較を行った。
メソ細孔構造の分析は、粉末X 線回折(XRD)、窒素吸着により行った。メソポーラスシリカに導入したシリル基に関する分析には、赤外分光、元素分析を用いた。
実施例2 銅担持メソポーラスシリカを用いた2,6-ジメチルフェノールの酸化的重合触媒反応
酢酸銅を前駆体としてメソポーラスシリカ表面に、活性触媒種としての銅を担持した触媒を製造した。この触媒を用いて、2,6-ジメチルフェノールの酸化的重合反応を行った。
TMS-MCM およびMCM-41 それぞれ 0.24 g をCu(OAc)2・H2O (39 mg) のアセトニトリル溶液 (40 mL) に加えて緩やかに撹拌した。溶液のUV 測定から吸着が2時間以内に平衡に達したことを確認した。濾過および減圧下での乾燥を行い、それぞれCu/TMS-MCM (Cu 1.1wt%) およびCu/MCM (Cu 0.78wt%)を得た。担持量は前駆体溶液のUV測定から吸着分を求めた。
触媒反応は、ねじ口試験管(直径10 mm,長さ100 mm)中で2,6-ジメチルフェノール 0.3 mmol を基質として触媒(S/C = 50) およびピリジン 0.1 mL 存在下、トルエン 0.5mL を溶媒として、298 K、酸素雰囲気下で行った。
反応解析には、ガスクロマトグラフィー、NMR、及びGPC を用いた。
<結果と考察>
1.メソポーラスシリカの外表面選択的シリル化
製造途中の MCM-41 のトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルによるシリル化、および引き続く界面活性剤の除去によりTMS-MCMを得た。比較試料として、通常のMCM-41 をトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルでシリル化してTMS-MCM-TMS を得た。
粉末XRD 測定からは、いずれの試料においてもシリル化によるメソ細孔の2次元ヘキサゴナル配列における変化は確認されなかった。
次に、窒素吸着測定を行い、その解析から表1に示すようにメソ細孔構造に関する各値を算出した。
Figure 0005633846
その結果、TMS-MCM-TMS については、細孔内へのシリル化を顕著に示す各値が得られ、細孔内へのシリル化の進行が確認された。対照的に、TMS-MCM については、MCM-41 とほぼ等しい値が得られたことから、メソ細孔内表面ではシリル化が進行しなかったと考えられた。
シリル化によってメソポーラスシリカ表面に導入されたトリメチルシリル基の存在は、赤外分光法(C-H 伸縮:2965,2905 cm-1)および固体1H NMR 測定(0.0 ppm)により確認した。
元素分析により求めたTMS-MCM-TMS のトリメチルシリル基密度は2.4 ± 0.1 mmol g-1 であった。用いたメソポーラスシリカのシラノール基の密度と、導入されたトリメチルシリル基の密度から、シラノール基がシリル化された割合は、TMS-MCM-TMS において42±1 %、TMS-MCM において5 ± 1 %と算出された。後者については、上記の通り、内表面ではシリル化が進行しないことを確認しているので、外表面におけるシラノール基の変換率として算出すると43 ± 1 %であり、内外表面ともにシリル化されたTMS-MCM-TMS と同じシリル化効率であった。トリメチルシリル基の立体的な大きさを考慮すると、今回のシリル化率はほぼ飽和の値に達していると考えられた。
次に,シリル化試薬の検討を行った。ここまでの検討に用いたトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルに替えて、1,1−ビス(トリメチルシロキシ)−1−プロペン、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、トリエトキシメチルシラン、及びトリメチルクロロシランを用いて、製造途中の MCM-41 の外表面選択的なシリル化、続く界面活性剤の除去、および窒素吸着測定を行った。
各試料のBJH 細孔径分布を図3に示した。1,1−ビス(トリメチルシロキシ)−1−プロペン、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、またはトリエトキシメチルシランを用いた場合には、細孔径がMCM-41 の細孔径に比べて著しく低下したことから、内表面へのシリル化が進行していることが明らかとなった。対照的に、トリメチルクロロシランを用いた場合は、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルを用いた場合と同様に、細孔径の明らかな変化は観察されず、外表面選択的なシリル化が達成された。
このように、界面活性剤を除いていない製造途中のメソポーラスシリカの有機修飾において、用いる試薬や条件によっては、細孔内への修飾が一部進行することを確認した。
2.銅担持メソポーラスシリカを用いた2,6-ジメチルフェノールの酸化的重合触媒反応
触媒反応への応用として、(式1)に示すように、酢酸銅を前駆体にしてメソポーラスシリカ上に担持して、2,6-ジメチルフェノールの酸化的重合反応(Y. Shibasaki, M. Nakamura, R. Ishimaru, J. N. Kondo, K. Domen, M. Ueda, Macromolecules, 37, 9657 (2004); Y. Shibasaki, M. Nakamura, R. Ishimaru, J. N. Kondo, M. Ueda, Chem. Lett. 34, 662 (2005))に応用した。
Figure 0005633846
このポリマーは、熱可塑性樹脂として幅広く用いられている。細孔壁の外表面選択的にシリル化したTMS-MCM、およびシリル化を施していないMCM-41 に銅種をアセトニトリル溶液中で担持し、それぞれCu/TMS-MCM およびCu/MCM を得た。触媒反応は、ピリジン存在下、トルエン中、室温、酸素雰囲気下で行った。得られた重合物の分子量分布を図4に示した。図に示すように、Cu/TMS-MCM では、約9,000 を頂点とする分子量分布を与えた(図4中、グラフ(a)を参照)。一方、Cu/MCM では、約16,000 を頂点とするより大きな分子量分布の重合体を与えるとともに、分子量6,000 を下回る範囲にも別の分子量分布を与えた(図4中、グラフ(b)を参照)。比較として、メソポーラスシリカを用いず、酢酸銅を触媒として用いると、約32,000 を頂点とするより広い分子量分布の重合体を与えるとともに、2量体の生成が顕著に確認された(図4中、グラフ(c)を参照)。内外表面両方に活性種が担持されたCu/MCM は分子量の大きな生成物を与えるのに対して、外表面選択的シリル化により内表面にのみ活性種を有するCu/TMS-MCM では分子量が小さく、かつ分子量分布範囲が限定された生成物が得られることが分かった。
このように本実施形態によれば、メソポーラスシリカに設けられた細孔の内部空間において、選択的に触媒反応が行われるので、特に重合反応を行ってポリマーを製造したときに、従来の触媒によるポリマーに比べると、より低い分子量を備えるとともに、より狭い分子量分布範囲を持ったポリマーを製造することができた。

Claims (4)

  1. 細孔とこの細孔を形成する細孔壁とを備えたメソポーラスシリカにおいて、前記細孔壁の外表面は触媒反応を規制するために選択的に有機物によって修飾されている一方、前記細孔壁の内表面には選択的に触媒活性種が固定されている触媒であって、
    当該触媒が、フェノール化合物の酸化重合反応に用いられるものであることを特徴とする触媒。
  2. 前記細孔の平均径が1nm〜20nmであることを特徴とする請求項1に記載の触媒。
  3. 前記触媒活性種が、銅であることを特徴とする請求項1または2に記載の触媒。
  4. 請求項1〜のいずれか一つに記載の触媒を用いて、フェノール化合物を酸化重合させることを特徴とするポリマーの製造方法。
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