JP5633751B2 - 二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、二次電池に関し、より詳しくは、捲回電極体を備え、電解液が充填される二次電池に関する。
リチウム二次電池(例えばリチウムイオン電池)、ニッケル水素電池その他の二次電池は、車両搭載用電源、あるいはパソコンおよび携帯端末の電源として広く用いられており、高容量化への要望が強い。中でも、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車に用いられる二次電池は、走行距離に関わる容量が重視されるため、電池の構成部品の占有空間を最小化すると共に、合材層(活物質層)を高密度に充填した捲回電極体を採用することで高容量化が図られている。しかし、合材層を高密度に充填した場合、捲回電極体の内部まで電解液が充分に浸透し難くなり、電解液の浸透に時間を要する。
そこで、電解液の浸透時間を短縮し、ひいては二次電池の製造時間を短縮するため、例えば特許文献1には、合材層の表面に電解液浸透の通路となる溝を形成することにより電解液の浸透を迅速に行う技術が記載されている。
なお、特許文献2には、電極の表面に微細な凹凸形状を形成し、活物質による膨張収縮による電極の崩壊を緩和する技術が記載されている。この凹凸形状は、電極表面を粗化処理することによって、表面全体に亘って一体に形成される形状であって、相互に独立した凹みが存在するものではない。また、電極の表面に凹凸形状を設けた分だけ電極の全厚寸法が大きくなり、電池の高容量化が図り難い。この種の従来技術として特許文献3〜5が挙げられる。
特開2007−311328号公報 特開2006−12576号公報 特開2010−262843号公報 特開2007−66665号公報 特開2009−218136号公報
電解液の浸透性を向上するために、上述した特許文献1の構成を採用した場合、溝を起点として合材層が破断する虞がある。特許文献1においても、所定の形状を有する溝を、所定の間隔で斜め格子状に形成し、溝と溝との交差部を浅めに形成することで、溝を起点とする破断を防止しようとしているが、溝の形成を前提としているため、問題の本質的な解決には至っていないのが現状である。そこで、本発明は、上述した従来の問題を解決するために創出されたものであり、その目的は、破断の虞がなく、かつ電解液の浸透性が向上した二次電池を提供することである。
上記目的を実現するべく、本発明により、シート状の正極とシート状の負極とを相互に捲回した捲回電極体を備え、前記正極が正極集電体と該正極集電体上に形成された正極合材層とを有し、前記負極が負極集電体と該負極集電体上に形成された負極合材層とを有する二次電池が提供される。ここで開示される二次電池において、前記正極合材層と前記負極合材層の少なくとも一方の表面には、捲回方向に対する幅方向の少なくとも中央部において、相互に独立した複数の凹部が形成されている。
なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充電可能な電池一般をいい、リチウム二次電池(典型的にはリチウムイオン電池)、ニッケル水素電池等のいわゆる蓄電池を包含する。
また、本明細書において「正極合材」とは、二次電池において電荷担体となる化学種(例えばリチウム電池の場合、リチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出(典型的には挿入および離脱)可能な正極活物質を含む合材をいう。
さらに、本明細書において「負極合材」とは、二次電池において電荷担体となる化学種(例えばリチウム電池の場合、リチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出(典型的には挿入および離脱)可能な負極活物質を含む合材をいう。
従来、電解液の浸透性を向上する方法としては、上述した特許文献1に記載されているように、合材層の表面において、端部(捲回方向に対する幅方向の外側)から中央まで連通する溝を形成し、これを電解液の通路とすることが常識であった。しかし、本発明者が鋭意検討した結果、捲回電極体の内部に残留して電解液の浸入を妨げる空気(以下、残留空気ともいう。)と電解液との置換を行うことができる空間を合材層の表面に形成することにより、強度面で弱点となるような電解液の通路を形成せずとも電解液を迅速に浸透させ得ることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明によって提供される二次電池では、正極合材層と負極合材層の少なくとも一方の表面に、捲回方向に対する幅方向の少なくとも中央部において、相互に独立した複数の凹部が形成されている。
このように、合材層の表面において、捲回方向に対する幅方向の中央部に相互に独立した複数の凹部が形成されていることによって、凹部内にて、捲回電極体の捲回方向に対する幅方向の中央部に残留した空気と浸入してきた電解液との置換が行われる。この点で、凹部は残留空気と電解液とを置換するための部分と言い換えることができる。これにより、電解液の浸透性が向上し、電解液の浸透時間(ひいては電池の製造時間)を短縮することができる。また、凹部は相互に独立して形成されているため、連続して形成された溝と異なり、合材層の破断の起点とならない。
従って、本発明によると、破断の虞がなく、かつ電解液の浸透性が向上した二次電池を提供することができる。
なお、本発明において「複数の凹部が相互に独立して形成されている」とは、合材層の表面において凹部が点在するように形成されていると表現することもできる。この構成は、電解液の浸透性向上を、電解液の通路形成という発想ではなく、捲回電極体の内部の残留空気と電解液とを置換する空間形成によって解決しようとして初めて見出されたというべき構成であり、上述した特許文献2に開示された微細凹凸形状とは本質的に異なるものである。
ここで開示される二次電池の好適な一態様では、前記正極合材層と前記負極合材層の少なくとも一方の表面において、前記幅方向の少なくとも一端側から中央部に亘って前記複数の凹部が形成されており、前記中央部に形成された凹部が、前記一端側に形成された凹部より大きい。このように、中央部に形成された凹部を一端側に形成された凹部より大きくすることにより、捲回電極体の捲回方向に対する幅方向の中央に残留した空気と電解液との置換がより効率的に行われ、電解液の浸透性がさらに向上する。同様の観点から、凹部は、合材層の表面において前記幅方向の外側に開口していないことがより好ましい。上記の構成は、上述した特許文献1に開示された溝と本質的に異なるものであり、電解液の通路形成という従来の技術常識からは容易に着想し得ない技術思想であり、中央部の残留空気と電解液とを置換する空間形成という発想のもと、初めて見出されたというべき構成である。
ここで開示される二次電池の好適な一態様では、前記凹部の深さが前記合材層の厚みの2%〜30%である。このように、凹部が所定の深さを有することにより、電池特性および強度を維持しながら、凹部において電解液と残留空気との置換を好適に行うことができる。
ここで開示される二次電池の好適な一態様では、前記凹部は、その周縁が複数のコーナー部と該コーナー部間の辺部とから構成される略矩形状に形成されており、前記幅方向のいずれか一端側から見たときに、該一端から最も近い位置に、前記コーナー部および前記辺部のうちのいずれか一つのコーナー部が配置されるように前記凹部が形成されている。このように、コーナー部が前記幅方向の一端から最も近い位置に配置されるように凹部を形成することにより、前記幅方向の一端から浸入してきた電解液が、該コーナー部から放射状に凹部の中に広がることができるので、電解液の捲回電極体内部への浸透が促進される。この場合、前記いずれか一端から最も近い位置のコーナー部の内角が、鋭角(例えば5〜85度、典型的には30〜60度)に設定されていることが好ましい。また、前記凹部は、その周縁における前記辺部として長辺と短辺とを有する略平行四辺形状に形成されており、前記長辺が前記幅方向に対して5〜45度になるように配置されていることが好ましい。
ここで開示される二次電池の好適な一態様では、前記凹部が、捲回方向に沿う凹部分の長さをL1とし、捲回方向に対する幅方向に沿う凹部分の長さをL2としたとき、L2>L1を満たす。このように、凹部が前記幅方向に長い形状を有することにより、電解液の浸透性がより向上する。
また、本発明によると、ここで開示されるいずれかの二次電池を備える車両が提供される。かかる二次電池は、電解液の浸透性が優れ、また破断の虞がないものであり得る。かかる二次電池(好ましくはリチウムイオン二次電池)は、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用の電源として好適に使用され得る。
第1の実施形態に係るリチウム二次電池の外形を模式的に示す斜視図である。 図1におけるII−II線断面図である。 第1の実施形態に係る電極体を捲回して作製する状態を模式的に示す斜視図である。 第1の実施形態に係る正極合材層の表面を拡大して示す模式図である。 図4の正極合材層の表面の一部をさらに拡大して示す模式図である。 図5のVI−VI線断面図である。 図5に対応する図であって、第2の実施形態に係る正極合材層の表面を拡大して示す模式図である。 第3の実施形態に係る正極合材層の表面を拡大して示す模式図である。 第4の実施形態に係る正極合材層の表面を拡大して示す模式図である。 一実施形態に係るリチウム二次電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。
ここで開示される二次電池の好適な実施形態の一つとして、電極集電体の表面に電極合材層が形成された電極を備えるリチウム二次電池(典型的にはリチウムイオン電池)を例にして詳細に説明するが、本発明の適用対象をかかる電池に限定することを意図したものではない。
また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、捲回電極体の構成および製造方法、二次電池の構築に係る一般的技術等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
図1は、第1の実施形態に係るリチウム二次電池の外形を模式的に示す斜視図であり、図2は、図1におけるII−II線断面図であり、図3は、第1の実施形態に係る電極体を捲回して作製する状態を模式的に示す斜視図である。
図1および図2に示されるように、本実施形態に係るリチウム二次電池100は、直方体形状の角型の電池ケース10と、該ケース10の開口部12を塞ぐ蓋体14とを備える。この開口部12より電池ケース10内部に扁平形状の電極体(捲回電極体20)および電解液を収容することができる。また、蓋体14には、外部接続用の正極端子38と負極端子48とが設けられており、それら端子38,48の一部は蓋体14の表面側に突出している。また、外部端子38,48の一部はケース内部で内部正極端子37または内部負極端子47にそれぞれ接続されている。
図3に示されるように、捲回電極体20は、長尺状の正極集電体32の表面に正極合材層34を有するシート状の正極シート30と、長尺シート状のセパレータ50と、長尺状の負極集電体42の表面に負極合材層44を有するシート状の負極シート40とから構成される。正極シート30および負極シート40は、2枚のセパレータシート50を介して積層されており、正極シート30、セパレータシート50、負極シート40、セパレータシート50の順に積層されている。該積層物は、軸芯(図示しない)の周囲に筒状に捲回され、得られた捲回電極体20を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平形状に成形されている。
また、本実施形態に係る捲回電極体20は、その捲回方向に対する幅方向の中心部に、正極集電体32の表面上に形成された正極合材層34と、負極集電体42の表面上に形成された負極合材層44とが重なり合って密に積層された部分が形成されている。また、捲回方向に対する幅方向の一方の端部において、正極合材層34が形成されずに正極集電体32の露出した部分(正極合材層非形成部36)がセパレータシート50および負極シート40(あるいは、正極合材層34と負極合材層44との密な積層部分)からはみ出た状態で積層されて構成されている。すなわち、上記電極体20の端部には、正極集電体32における正極合材層非形成部36が積層されてなる正極集電体積層部35が形成されている。また、電極体20の他方の端部も正極シート30と同様の構成であり、負極集電体42における負極合材層非形成部46が積層されて、負極集電体積層部45が形成されている。
なお、セパレータシート50は、ここでは正極合材層34および負極合材層44の積層部分の幅より大きく、該電極体20の幅より小さい幅を備えるものが用いられ、正極集電体32と負極集電体42が互いに接触して内部短絡を生じさせないように正極合材層34および負極合材層44の積層部分に挟まれるように配されている。
本実施形態に係るリチウム二次電池の正極(典型的には正極シート30)は、長尺状の正極集電体32の上に正極活物質を含む正極合材層34が形成された構成を備える。正極集電体32としては、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金を用いることができる。正極集電体32の形状は、リチウム二次電池の形状等に応じて異なり得るため、特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。
負極(典型的には負極シート40)は、長尺状の負極集電体42(例えば銅箔)の上に負極合材層44が形成された構成であり得る。上記負極の基材となる負極集電体42としては、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、銅、または銅を主成分とする合金を用いることができる。負極集電体42の形状は、リチウム二次電池の形状等に応じて異なり得るため特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。
次に、本実施形態に係る正極の表面構造について説明する。
図4は、第1の実施形態に係る正極合材層の表面を拡大して示す模式図であり、図5は、図4の合材層の表面の一部をさらに拡大して示す模式図であり、図6は、図5のVI−VI線断面図である。
図4に示されるように、正極合材層34の表面には、略平行四辺形状に形成された複数の凹部5が、捲回電極体20の捲回方向と捲回方向に対する幅方向に所定の間隔で配列されている。ここで、図4中の矢印は、電解液の浸入方向を指し、これは捲回電極体20の捲回方向に対する幅方向と略一致している。つまり、浸入してきた電解液は、捲回電極体20の捲回方向に対する幅方向の両端から浸入し、その一部が凹部5を経由して捲回電極体20の中央部に浸透する。このとき、浸入してきた電解液は、凹部5内の残留空気をかわすように凹部5の縁に沿って前記中央部に向かうため、残留空気が障害となって電解液が浸透し難くなる事態を回避するものと推察される。なお、捲回方向に対する幅方向の中央部とは、捲回電極体20の捲回方向に対する幅方向の両端との相対的関係における中央側を包含するものであり、典型的には前記幅方向の中央およびその近傍をいう。例えば、正極合材層34の幅(捲回電極体20の捲回方向に対する幅方向の長さ)を該幅方向において5等分したときの中央側に位置する3/5の範囲内ということもできる。
図5に示されるように、凹部5は、その周縁が長辺と短辺とを有する略平行四辺形状に形成されており、捲回電極体20の捲回方向に対する幅方向と該長辺との角度θ1が85度になるように配置されている。また、凹部5は、前記幅方向の両端側から見たときに、両端から最も近い位置に鋭角が配置されるように形成されている。これによって、電解液は、かかる形状を有する凹部5を経由して中央部に浸透しやすく、また、かかる形状を有する凹部5内にて残留した空気との置換が行われやすくなる結果、電解液の浸透性が向上する。なお、本実施形態では、上記鋭角の角度は20〜70度(例えば30度±5度や60度±5度があり得る)の範囲内を採用することができる。
本実施形態で採用される凹部5の長辺および短辺の長さは、特に限定されないが、電解液の浸透性向上および電池特性と強度の維持の点から、20μm〜1000μmの範囲内に設定されることが好ましい。なお、後述するが、本発明において凹部5は平行四辺形状に限定されず、四辺が等しい長さを有する正方形状等の矩形状等の形状を採用することができる。その場合、上記長辺は一辺として解釈される。
また、凹部5は、図6に示されるように、捲回電極体20の捲回方向に対する幅方向における断面が、斜めに下降して中心付近で最大深さとなる逆三角形状(立体的には逆四角錐状)に形成されており、その深さ(最大深さ)は、特に限定されないが、好ましくは正極合材層34の厚みの2%〜30%(例えば10%〜20%、あるいは3μm〜30μm)の範囲内であることが、電解液の浸透性向上および電池特性と強度の維持の点で好ましい。
再び図5に戻って、正極合材層34の表面における凹部5の配置間隔は、特に限定されないが、捲回方向に対する幅方向に沿う間隔aおよび捲回方向に沿う間隔bはそれぞれ、例えば5μm〜200μmの範囲内で設定されることが、電解液の浸透性向上および電池特性と強度の維持の点で好ましい。
図7は、図5に対応する図であって、第2の実施形態に係る正極合材層の表面を拡大して示す模式図である。
第2の実施形態では、凹部5は、略平行四辺形状の長辺と捲回電極体20の捲回方向に対する幅方向との角度θ2が、85度ではなく30度になるように配置されている点において、上述した第1の実施形態とは異なる。また、凹部5は、捲回電極体20の捲回方向に沿う凹部分の長さをL1とし、捲回方向に対する幅方向に沿う凹部分の長さをL2としたとき、L2>L1を満たしている。その他の点については基本的に第1の実施形態と同様であるので、ここでは重複した説明は省略する。
上記の構成を採用した二次電池は、第1の実施形態のものより電解液の浸透性向上に優れることが実証されている。この点については後述の実施例で説明する。また、本発明者は、上記角度θ2を0度に変更した構成を採用した二次電池を用いて、後述の実施例と同様の試験を行ったところ、角度θ2を30度とした上記構成のものの方が、角度θ2を0度としたものよりも電解液の浸透性向上に優れ、中でも上記角度θ2を5〜45度とすることにより、電解液の浸透性がより向上するという知見を得た。このような観点から、略平行四辺形状の凹部5の長辺は、前記幅方向に対して5〜45度になるように配置されていることが好ましい。
図8は、第3の実施形態に係る正極合材層の表面を拡大して示す模式図であり、図9は、第4の実施形態に係る正極合材層の表面を拡大して示す模式図である。
第3の実施形態では、正極合材層34の表面において、捲回電極体20の捲回方向に対する幅方向の両端から中央部に亘って複数の凹部5が形成されており、前記両端(典型的には正極合材層34の幅を該幅方向において5等分したときの両端から1/5の範囲内)に形成された凹部5Lが前記中央部に形成された凹部5Sより大きい点において、上述した第2の実施形態とは異なる。
また、第4の実施形態では、正極合材層34の表面において、中央部に形成された凹部5Lが前記両端に形成された凹部5Sより大きい点において、上述した第3の実施形態とは異なる。このように、中央部に形成された凹部5Lを一端(好ましくは両端)に形成された凹部5Sより大きくすることにより、捲回電極体20の捲回方向に対する幅方向の中央に残留した空気と電解液との置換がより効率的に行われ、電解液の浸透性が向上する。この点については後述の実施例で説明する。それら以外の点については、第3および第4の実施形態は、基本的に第2の実施形態と同様であるので、ここでは重複した説明は省略する。
なお、上記実施形態においては、正極合材層の表面に凹部が形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、負極合材層の表面にも、上述した正極合材層と同様に凹部を形成することができる。正極合材層と負極合材層の両方の表面に凹部が形成されていることが、電解液の浸透性向上の観点から好ましい。
また、上記実施形態では、凹部は略平行四辺形状に形成されたものであったが、本発明の凹部の形状はこれに限定されるものではなく、正方形や長方形、菱型等の矩形状であってもよく、円形状や楕円形状、三角形状であってもよい。また、凹部の断面形状についても、上記実施形態では、前記幅方向における断面が逆三角形状に形成されていたが、これに限定されるものではなく、前記幅方向における断面が矩形状や半円状(立体的には半球状や半円柱状)となるように形成されていてもよい。電解液の浸透性向上の観点から、前記捲回方向に対する幅方向における凹部の断面は、該凹部の中央に向かって下降していく逆三角形状や半円形状であることが好ましい。
次に、上記実施形態に係るリチウム二次電池の正極の構成材料について説明する。
上記実施形態に係る正極の正極合材層を構成する正極活物質としては、本発明の目的を実現し得る性状の正極活物質である限りにおいて、その組成や形状に特に制限はない。典型的な正極活物質として、リチウムおよび少なくとも1種の遷移金属元素を含む複合酸化物が挙げられる。例えば、コバルトリチウム複合酸化物(LiCoO)、ニッケルリチウム複合酸化物(LiNiO)、マンガンリチウム複合酸化物(LiMn)、あるいは、ニッケル・コバルト系のLiNiCo1−x(0<x<1)、コバルト・マンガン系のLiCoMn1−x(0<x<1)、ニッケル・マンガン系のLiNiMn1−x(0<x<1)やLiNiMn2−x(0<x<2)で表わされるような、遷移金属元素を2種含むいわゆる二元系リチウム含有複合酸化物、あるいは、遷移金属元素を3種含むニッケル・コバルト・マンガン系のような三元系リチウム含有複合酸化物でもよい。
また、上記正極活物質として一般式がLiMAO(ここでMは、Fe,Co,NiおよびMnからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素であり、Aは、P,Si,SおよびVからなる群から選択される元素である。)で表記されるポリアニオン型化合物も好ましく用いられる。上記一般式においてAがPおよび/またはSiであるもの(例えば、LiFePO、LiFeSiO、LiCoPO、LiCoSiO、LiFe0.5Co0.5PO、LiFe0.5Co0.5SiO、LiMnPO、LiMnSiO、LiNiPO、LiNiSiO)が特に好ましいポリアニオン型化合物として挙げられる。
このような正極活物質を構成する化合物は、例えば、従来公知の方法で調製し、提供することができる。例えば、原子組成に応じて適宜選択されるいくつかの原料化合物を所定のモル比で混合し、当該混合物を適当な手段により所定温度で焼成することによって該酸化物を調製することができる。また、焼成物を適当な手段で粉砕、造粒および分級することにより、所望する平均粒径および/または粒径分布を有する二次粒子で実質的に構成された粒状の正極活物質粉末を得ることができる。なお、正極活物質(リチウム含有複合酸化物粉末等)の調製方法自体は本発明を何ら特徴付けるものではない。
正極合材層には、上記正極活物質の他に、一般的なリチウム二次電池に配合され得る1種または2種以上の導電材や結着材等を必要に応じて含有させることができる。かかる導電材としては、カーボン粉末やカーボンファイバー等の導電性粉末材料が好ましく用いられる。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、グラファイト粉末等が好ましい。また、炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維類、銅、ニッケル等の金属粉末類およびポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料などを単独でまたはこれらの混合物として含ませることができる。
また、上記結着材としては、一般的なリチウム二次電池の正極に使用される結着材と同様のものを適宜採用することができる。例えば、使用する溶媒に溶解または分散可溶なポリマーを選択することが好ましい。水系溶媒を用いる場合においては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のセルロース系ポリマー;ポリビニルアルコール(PVA);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系樹脂;酢酸ビニル共重合体;スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)等のゴム類;等の水溶性または水分散性ポリマーを好ましく採用することができる。また、非水系溶媒を用いる場合においては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等のポリマーを好ましく採用することができる。このような結着材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、上記で例示したポリマー材料は、結着材としての機能の他に、上記組成物の増粘材その他の添加材としての機能を発揮する目的で使用されることもあり得る。
次いで、上記実施形態に係るリチウム二次電池の正極の作製方法について説明する。
まず、正極活物質と導電材と結着材等とを適当な溶媒(水系溶媒または非水系溶媒)で混合して、ペーストまたはスラリー状の正極合材層形成用組成物を調製する。各構成材料の配合比率としては、例えば、正極合材層に占める正極活物質の割合は、凡そ50質量%以上(典型的には50〜95質量%)であることが好ましく、凡そ70〜95質量%(例えば75〜90質量%)であることがより好ましい。また、正極合材層に占める導電材の割合は、例えば凡そ2〜25質量%とすることができ、通常は凡そ2〜20質量%とすることが好ましい。さらに、結着材を使用する組成では、正極合材層に占める結着材の割合を例えば凡そ1〜10質量%とすることができ、通常は凡そ2〜5質量%とすることが好ましい。こうして各構成材料を混合して調製したペースト状組成物を正極集電体に塗布し、溶媒を揮発させて乾燥させた後、圧縮(プレス)する。これにより正極合材層が正極集電体上に形成されたリチウム二次電池の正極が得られる。
また、上記実施形態では、正極合材層の表面に凹部を形成する。正極合材層の表面に凹部を形成する方法としては、特に限定されず、正極合材層を乾燥した後あるいは乾燥中のいずれかのタイミングで、表面に所定の凸部が形成された公知の平板プレス機やローラを用いて凹部を形成することができる。
正極合材層の塗布量(目付量)および密度は特に限定されないが、正極合材層を高密度に充填した場合においても電解液の浸透性を向上させ得るという観点から、正極合材層の密度が2.45g/cm以上のものを好適に採用することができる。正極合材層の密度は、より好ましくは2.8g/cm以上である。また、正極合材層の密度が高すぎると電解液の浸透性が低くなり、電池特性が低下することから、正極合材層の密度は、好ましくは3.6g/cm以下であり、より好ましくは3.4g/cm以下である。
上記正極合材層形成用組成物を調製するために用いられる溶媒としては、水系溶媒および非水系溶媒のいずれも使用可能である。水系溶媒は、上述したように、全体として水性を示すものであればよく、すなわち、水または水を主体とする混合溶媒を好ましく用いることができる。また、非水系溶媒の好適例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メチルエチルケトン、トルエン等が例示される。
なお、正極集電体に上記組成物を塗布する方法としては、従来公知の方法と同様の技法を適宜採用することができる。例えば、スリットコーター、ダイコーター、グラビアコーター、コンマコーター等の適当な塗布装置を使用することにより、正極集電体に該組成物を好適に塗布することができる。また、溶媒を乾燥するにあたっては、自然乾燥、熱風、低湿風、真空、赤外線、遠赤外線、および電子線を、単独でまたは組み合わせて用いることにより良好に乾燥し得る。さらに、圧縮方法としては、従来公知のロールプレス法、平板プレス法等の圧縮方法を採用することができる。かかる厚さを調整するにあたり、膜厚測定器で該厚みを測定し、プレス圧を調整して所望の厚さになるまで複数回圧縮してもよい。
次に、上記実施形態に係るリチウム二次電池の負極の構成材料について説明する。
上記負極集電体の表面に形成された負極合材層には、電荷担体となるリチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極活物質が含まれる。負極活物質としては、従来からリチウム二次電池に用いられる物質の1種または2種以上を特に限定なく使用することができる。例えば、カーボン粒子が挙げられる。中でも、少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料(カーボン粒子)が好ましく用いられる。また、いわゆる黒鉛質のもの(グラファイト)、難黒鉛化炭素質のもの(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質のもの(ソフトカーボン)、これらを組み合わせた構造を有するもののいずれの炭素材料も好適に使用され得る。その中でも特に、黒鉛粒子を好ましく使用することができる。黒鉛粒子(例えばグラファイト)は、電荷担体としてのリチウムイオンを好適に吸蔵することができるため導電性に優れる。また、粒径が小さく単位体積当たりの表面積が大きいことからより高出力充放電に適した負極活物質となり得る。
また、上記負極合材層には、上記負極活物質の他に、結着材等の任意成分を必要に応じて含有させることができる。かかる結着材としては、一般的なリチウム二次電池の負極に使用される結着材と同様のものを適宜採用することができ、上述の正極の構成要素で列挙した結着材として機能し得る各種のポリマー材料を好適に使用し得る。
次いで、上記実施形態に係るリチウム二次電池の負極の作製方法について説明する。
上記負極集電体の表面に負極合材層を形成するため、まず、負極活物質を、結着材等と共に上記適当な溶媒(水系溶媒または非水系溶媒)で混合して、ペーストまたはスラリー状の負極合材層形成用組成物を調製する。各構成材料の配合比率としては、例えば、負極合材層に占める負極活物質の割合が、凡そ50質量%以上であることが好ましく、凡そ85〜99質量%(例えば90〜97質量%)であることがより好ましい。また、負極合材層に占める結着材の割合を例えば凡そ1〜15質量%とすることができ、通常は凡そ3〜10質量%とすることが好ましい。こうして調製したペースト状組成物を負極集電体に塗布し、溶媒を揮発させて乾燥させた後、圧縮(プレス)する。これにより該ペースト状組成物を用いて形成された負極合材層を負極集電体上に有するリチウム二次電池の負極が得られる。なお、塗布、乾燥および圧縮方法は、上述の正極の製造方法と同様に従来公知の手段を用いることができる。また、負極合材層の表面に凹部を形成する場合、上述の正極における凹部の形成方法と同様にして凹部を形成することができる。
負極合材層の塗布量(目付量)および密度は特に限定されないが、合材層を高密度に充填した場合においても電解液の浸透性を向上させ得るという観点から、負極合材層の密度が1.18g/cm以上のものを好適に採用することができる。負極合材層の密度は、より好ましくは1.28g/cm以上である。また、負極合材層の密度が高すぎると電解液の浸透性が低くなり、電池特性が低下することから、負極合材層の密度は、好ましくは1.49g/cm以下であり、より好ましくは1.37g/cm以下である。
こうして作製した正極シートおよび負極シートを用いたリチウム二次電池の構築について大まかな手順を説明する。図1および図2を参照して、上記作製した正極シート30および負極シート40を2枚のセパレータシート50と共に重ね合わせて捲回し、積層方向から押しつぶして拉げさせることによって捲回電極体20を扁平形状に成形する。こうして得られた捲回電極体20を電池ケース10に収容して電解液を注入した後、該ケース開口部12に蓋体14を装着し、封止する。このようにして、上記実施形態のリチウム二次電池100を構築することができる。なお、上記電池ケース10の構造、大きさ、材料(例えば金属製またはラミネートフィルム製であり得る)等について特に制限はない。
正負極シート間に使用される好適なセパレータシートとしては、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成されたものが挙げられる。例えば、合成樹脂製(例えばポリエチレン等のポリオレフィン製)多孔質セパレータシートを好適に使用し得る。
また、電解液は、従来からリチウム二次電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。かかる電解液は、典型的には、適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する。上記非水溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、エチルメチルカーボネート(EMC)等からなる群から選択される1種または2種以上を用いることができる。また、上記支持塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO、LiCSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiI等のリチウム化合物(リチウム塩)を用いることができる。なお、支持塩の濃度は、従来のリチウム二次電池で使用される非水電解液と同様でよく、特に制限はない。適当なリチウム化合物(支持塩)を0.1〜5mol/L程度の濃度で含有させた電解液を使用することができる。
このようにして構築されたリチウム二次電池は、上述したように、高い電池容量または高いエネルギー密度を有し、且つ電解液の浸透性に優れるので、特に自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用電源として好適に使用し得る。従って本発明は、図10に模式的に示すように、かかるリチウム二次電池100(典型的には複数直列接続してなる組電池)を電源として備える車両1(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車)を提供する。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
例えば、上記の実施形態は、二次電池の典型例としてリチウム二次電池について説明したが、この形態の二次電池に限定されない。例えば、リチウムイオン以外の金属イオン(例えばナトリウムイオン)を電荷担体とする非水電解液型二次電池や、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池であってもよく、また、上述した捲回電極体を備えるリチウムイオンキャパシタ等の電気二重層キャパシタ(物理電池)であってもよい。
次に、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「部」および「%」は、特に断りがない限り質量基準である。
<例1>
(1)正極シートの作製
正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3粉末と、導電材としてのアセチレンブラックと、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、これらの材料の質量比が87:10:3となり、且つ固形分濃度が約50質量%となるようにN−メチルピロリドン(NMP)と混合して、正極合材層形成用組成物を調製した。この正極合材層形成用組成物を長尺状のアルミニウム箔(正極集電体32、厚み15μm)の両面に帯状に塗布して乾燥させた。乾燥後、表面に多数の凸部が設けられた平板プレス機で、正極集電体32の両面に形成された2つの正極合材質層34のそれぞれの表面をプレスし、各正極合材質層34の表面に、図5および図6に示すような平行四辺形状の凹部5を形成した。このようにして、表面に凹部5を形成した正極合材層34を設けた正極シート30を作製した。得られた正極合材層34の厚みは片面56.7μm(両面で113μm)であり、正極合材層の密度は2.81g/cmであった。また、形成された平行四辺形状の凹部5は、長辺が200μm、短辺が約50μmであり、捲回電極体20の捲回方向に対する幅方向の両端である電解液の浸入方向から見て突出する角(コーナー部)の内角が30度であった。凹部5の最大深さは20μmであり、これは正極合材層34の厚みの18%に相当する。捲回電極体20の捲回方向に対する幅方向と凹部5の長辺との角度θ1は85度であった。
(2)負極シートの作製
負極活物質としてのグラファイト粉末と、結着剤としてのスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)と、増粘材としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これらの材料の質量比が98:1:1となるように水に分散させて負極合材層形成用組成物を調製した。この負極合材層用組成物を長尺シート状の銅箔(負極集電体42、厚み10μm)の両面に帯状に塗布して乾燥(乾燥温度100℃)させた。乾燥後、負極合材層44の表面をロールプレスし、負極合材層44が設けられた負極シート40を作製した。得られた負極合材層44の厚みは片面62μm(両面で124μm)であり、負極合材層の密度は1.36g/cmであった。
(3)リチウムイオン電池の構築
得られた正極シート30および負極シート40を2枚のセパレータシート50(多孔質ポリエチレン製の単層構造のもの)を介して積層して捲回し、その捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平状の捲回電極体20を作製した。このようにして得られた捲回電極体20を非水電解液と共にニッケルメッキ鋼製の電池ケース(厚み1mm)に組み込んで、長さ60mm×幅138mm×高さ53mmの試験用リチウムイオン電池を構築した。非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)とを3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを約1mol/リットルの濃度で含有させ、さらにシクロヘキシルベンゼン(CHB)を約2質量%の濃度で含有させた非水電解液を使用した。その後、常法により初期充放電処理(コンディショニング)を行って、試験用リチウムイオン二次電池を得た。なお、このリチウムイオン電池の理論容量は7Ahである。
<例2>
例1で用いた平板プレス機とは凸部の配置角度が異なる平板プレス機を用いて、正極合材層34の表面に、図7に示すような凹部5を形成した。形成された凹部5の長辺と捲回電極体20の捲回方向に対する幅方向との角度θ2は30度であった。それ以外は、例1と同様の方法により試験用リチウムイオン二次電池を得た。
<例3>
例2で用いた平板プレス機とは異なる大きさの凸部を一部に形成した平板プレス機を用いて、正極合材層34の表面に、図8に示すような凹部5を形成した。それ以外は、例2と同様の方法により試験用リチウムイオン二次電池を得た。形成された凹部5は、捲回電極体20の捲回方向に対する幅方向の両端側(正極合材層34の幅を該幅方向において5等分したときの両端から1/5の範囲内)に形成された大凹部5Lと、前記幅方向の中央部(正極合材層34の幅を該幅方向において5等分したときの中央側に位置する3/5の範囲内)に形成された小凹部5Sとから構成されていた。大凹部5Lは、長辺400μm×短辺100μmの平行四辺形状であり、小凹部5Sは、長辺200μm×短辺50μmの平行四辺形状であり、大凹部5Lおよび小凹部5Sの最大深さは共に20μmであった。
<例4>
例3で用いた平板プレス機とは凸部の配置を変えた平板プレス機を用いて、正極合材層34の表面に、図9に示すような凹部5を形成した。それ以外は、例3と同様の方法により試験用リチウムイオン二次電池を得た。形成された凹部5は、捲回電極体20の捲回方向に対する幅方向の両端側に形成された小凹部5Sと、前記幅方向の中央部に形成された大凹部5Lとから構成されていた。大凹部5Lは、例3の大凹部5Lと同じサイズであり、小凹部5Sは、例3の小凹部5Sと同じサイズであった。
<例5>
凸部のない平板プレス機を用いて正極合材層34を形成した他は、例1と同様の方法により試験用リチウムイオン二次電池を得た。
[抵抗安定化時間]
試験用リチウムイオン二次電池に電解液を注入し、その直後から1KHzでの交流抵抗(AC−IR)測定(電圧振幅5mV)を行った。抵抗値(Ω)を10分毎に測定し、抵抗値の変動が前回測定時の値から1%の範囲内となった時間を、抵抗値(Ω)が安定した時間(抵抗安定化時間)と判断して記録した。結果を凹部の条件と併せて表1に示す。
Figure 0005633751
表1に示されるとおり、正極合材層の表面に凹部を形成した例1〜4の二次電池はいずれも、凹部を形成しなかった例5の二次電池と比べて、抵抗が安定するまでの時間を短縮することができた。この結果から、正極合材層の表面に凹部を形成することで、二次電池の捲回電極体内部への電解液の浸透性を向上できたことが判る。
また、凹部の平行四辺形状の長辺と捲回電極体の捲回方向に対する幅方向との角度を30度とした例2の二次電池は、該角度を85度とした例1の二次電池と比べて抵抗が安定するまでの時間を2時間短縮することができた。このように、正極合材層の表面に形成される凹部の配置角度を所定の範囲内とすることで、二次電池の捲回電極体内部への電解液の浸透性を向上できたことが判る。
さらに、捲回電極体の捲回方向に対する幅方向の中央部の凹部を該幅方向の両端側の凹部よりも大きくなるように形成した例4の二次電池は、該両端側の凹部を該中央部の凹部より大きくなるように形成した例3の二次電池よりも、抵抗が安定するまでの時間を1時間短縮することができた。このように、該中央部の凹部を該両端側の凹部より大きくすることで、二次電池の捲回電極体内部への電解液の浸透性を向上できたことが判る。
1 車両
5 凹部
5L (大)凹部
5S (小)凹部
10 電池ケース
12 開口部
14 蓋体
20 捲回電極体
30 正極シート
32 正極集電体
34 正極合材層
35 正極集電体積層部
36 正極合材層非形成部
37 内部正極端子
38 外部正極集電端子
40 負極シート
42 負極集電体
44 負極合材層
45 負極集電体積層部
46 負極合材層非形成部
47 内部負極端子
48 外部負極集電端子
50 セパレータ(セパレータシート)
100 リチウム二次電池

Claims (6)

  1. シート状の正極とシート状の負極とを相互に捲回した捲回電極体を備え、前記正極が正極集電体と該正極集電体上に形成された正極合材層とを有し、前記負極が負極集電体と該負極集電体上に形成された負極合材層とを有する二次電池であって、
    前記正極合材層と前記負極合材層の少なくとも一方の表面には、捲回方向に対する幅方向の少なくとも中央部において、相互に独立した複数の凹部が形成されており、
    前記凹部は、その周縁が複数のコーナー部と該コーナー部間の辺部とから構成される略矩形状に形成されており、
    前記幅方向のいずれか一端側から見たときに、該一端から最も近い位置に、前記コーナー部および前記辺部のうちのいずれか一つのコーナー部が配置されるように前記凹部が形成されている、二次電池。
  2. 前記凹部の深さが前記合材層の厚みの2%〜30%である、請求項に記載の二次電池。
  3. 前記いずれか一端から最も近い位置のコーナー部の内角が、5〜85度に設定されている、請求項1または2に記載の二次電池。
  4. 前記凹部は、その周縁における前記辺部として長辺と短辺とを有する略平行四辺形状に形成されており、
    前記長辺が前記幅方向に対して5〜45度になるように配置されている、請求項に記載の二次電池。
  5. 前記凹部が、捲回方向に沿う凹部分の長さをL1とし、捲回方向に対する幅方向に沿う凹部分の長さをL2としたとき、L2>L1を満たす、請求項1からのいずれかに記載の二次電池。
  6. 請求項1からのいずれかに記載の二次電池を備える車両。
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