JP5632652B2 - X線骨密度測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エネルギーの異なるX線を順に切り替えて照射して測定を行うX線骨密度測定装置に関する。
DXA法(Dual X-ray Absorptiometry:二重X線吸収法)を用いた骨密度測定装置においては、生体に対するX線ビームのスキャンに伴って、高エネルギーX線と低エネルギーX線とが一定周期で交互に照射される。X線のエネルギーは、X線発生器(X線管)の電圧を切り換えることによって可変できる(管電圧切換方式)。ここで、エネルギーの異なるX線ごとにそのスペクトラムや強度を調整するためにフィルタユニットが利用される。具体的には、高エネルギーX線の照射時と低エネルギーX線の照射時に、X線ビームの経路上に1又は複数のフィルタ部材が挿入される。
上記の管電圧切換方式において、電圧の遷移期間はX線エネルギーが不安定となるため、一般にその期間は測定から除外される。例えば、検出ゲート信号がハイ(高い)の期間(各エネルギーのX線が安定して照射できる期間)だけX線検出が行われ、検出ゲート信号がロー(低い)の期間においてはX線の照射は行うもののX線の検出は行わないように制御している。
特許文献1には、検出ゲート信号がローの期間に発せられるX線を遮蔽する部材をフィルタユニットに設けることで、被検者の測定に用いられないX線による被曝を低減する技術が開示されている。
さて、X線を発生させるX線管は発熱が大きいので、冷却についての配慮が必要である。
X線骨密度測定装置ではないが、X線を用いたCT装置における冷却機構が、特許文献2及び3に示されている。これら冷却機構では、CT装置が備える回転部材にフィンを設け、回転部材の回転に応じてそのフィンにより気流を発生させ、その気流により冷却を図っている。
特開2006−271437号公報 特開2003−260048号公報 特開平09−056710号公報
本発明は、X線骨密度測定装置において、高エネルギーX線ビームと低エネルギーX線ビームとの間の移行期間における測定に用いられない不安定なX線ビームの遮蔽と、X線発生器の冷却と、を簡易な構造で両立させることを目的とする。
本発明に係るX線骨密度測定装置は、高エネルギーX線ビームと低エネルギーX線ビームとを交互に繰り返し発生するX線発生器と、前記X線発生器から発生されたX線ビームが照射される位置に設けられたX線検出器と、前記X線ビームの経路上に被検体を、あらかじめ定められた測定位置に位置決めする位置決め部材と、前記X線発生装置と前記測定位置との間に設けられ、回転面に沿って前記高エネルギーX線ビーム用と前記低エネルギーX線ビーム用のX線フィルタ部がそれぞれ形成された回転フィルタ部材と、前記X線発生器から発生される前記高エネルギーX線ビームと前記低エネルギーX線ビームとに対して、それぞれ対応する前記高エネルギーX線ビーム用と前記低エネルギーX線ビーム用のX線フィルタ部が作用するよう、前記X線発生器から発生される前記高エネルギーX線ビームと前記低エネルギーX線ビームの繰り返し周期に合わせて前記回転フィルタ部材を回転させるフィルタ回転機構と、を備え、前記回転フィルタ部材の前記高エネルギーX線ビーム用のX線フィルタ部と前記低エネルギーX線ビーム用のX線フィルタ部との間に、前記回転フィルタ部材の前記回転面の外に突出した突出部が設けられ、前記突出部が前記高エネルギーX線ビームの照射期間と前記低エネルギーX線ビームの照射期間の間の各移行期間において、前記X線発生器から発せられるX線を遮蔽すると共に、前記回転フィルタ部材の回転に伴って回転する前記突出部によって引き起こされる気流により前記X線発生器を冷却するように構成したものである。
1つの態様では、前記回転フィルタ部材に、前記突出部の他に、前記X線発生器を冷却するための気流を引き起こすためのフィン部材を設ける。
更に別の態様では、前記回転フィルタ部材は、回転中心軸が前記X線ビームと交差するように設けられた回転する円筒形状のドラムであって、前記高エネルギーX線ビーム用と前記低エネルギーX線ビーム用のX線フィルタ部及び前記突出部とが円周方向に並べられたフィルタドラム、を有することを特徴とする。
更なる態様では、前記フィルタドラムの前記高エネルギーX線ビーム用又は前記低エネルギーX線ビーム用のX線フィルタ部は、前記フィルタドラムに形成された開口部分であり、前記フィルタドラムの円筒形状の少なくとも一方の内側端面に、該円筒形状の内側に向けて突出した補助フィンを更に備える。
回転フィルタ部材の回転面から突出した突出部により、高エネルギーX線ビームと低エネルギーX線ビームとの間の移行期間における測定に用いられない不安定なX線ビームの遮蔽効果とX線発生器の冷却効果の両方を得ることができる。

本発明に係る骨密度測定装置の好適な実施形態を示す斜視図である。 図1に示した骨密度測定装置の全体構成を示すブロック図である。 図1に示した実施形態におけるフィルタプレートの一例を示す図である。 図1及び図2に示した装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。 フィルタプレートの他の例を示す図である。 図5のフィルタプレートの断面を示す図である。 図5のフィルタプレートの補助フィンの形状を説明するための図である。 図5のフィルタプレートの組み立て構造を説明するための図である。 従来のフィルタドラムを備えるフィルタユニットを示す図である。 従来のフィルタドラムの外観を示す図である。 実施形態のフィルタドラムの外観を示す図である。 実施形態のフィルタドラムを備えたフィルタユニットを示す図である。 実施形態に係るフィルタドラムの作用を説明するための図である。 実施形態のフィルタドラムに補助フィンを設けた例を示す図である。 図14の構成において、補助フィンの部分を取り出して示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明に係る骨密度測定装置の好適な実施形態が示されており、図1はその斜視図である。図1に示す骨密度測定装置は、人体における特に前腕部の骨密度を測定する装置であるが、本発明は他の部位を測定する場合においても適用することができる。
載置台10上には被検者の前腕部が載置される。棒状部材12が握られた状態において前腕部が載置台10上に位置決めされ、その状態でX線ビーム20が走査される。X線ビーム20は図1に示す例においてペンシルビームであるが、いわゆる扇状に広がるファンビームであってもよい。あるいはそれ以外のビーム形態を有していてもよい。
測定ユニット14は、X線発生器16とX線検出器18とによって構成され、その測定ユニット14は搬送機構によって搬送される。ファンビーム形状をもったX線ビーム20が用いられる場合、測定ユニット14は被検体の長手方向に一次元走査され、一方、ペンシルビーム形状をもったX線ビーム20が用いられる場合、測定ユニット14はジグザグスキャンされる。いずれにおいても、二次元の測定領域にわたって骨密度の測定が行われる。
図1に示す例では、X線発生器16は、装置本体内に設けられており、一方、X線検出器18は載置台10の上方に設けられる測定ヘッド17内に収容されている。具体的には、搬送フレーム24の下端部にX線発生器16が搭載されており、搬送フレーム24の上端部に測定ヘッド17が設けられている。上記のように、測定ヘッド17内にX線検出器18が収容されている。搬送フレーム24は上述したようにX線ビーム20を走査するために機械的に搬送される。そのための機構については図示省略されている。なお、載置台10の上方にX線発生器を設け、一方、載置台10の下方にX線検出器を設けるようにしてもよい。
X線発生器16と載置台10との間にはフィルタユニット22が設けられている。このフィルタユニット22の構造については後に図3などを用いて詳述するが、フィルタユニット22は図1に示す例において回転するフィルタプレートを有している。なお、後に示す図11〜図15に記載された別の実施形態においては、フィルタユニットとして、回転するフィルタプレートに代えて回転するフィルタドラムが用いられる。いずれにしても、X線ビームの経路上に適切なフィルタ部材を選択的に挿入することにより、適切な骨密度測定を行い得る。その場合において、フィルタユニットにより不要な被曝を効果的に低減し、また散乱X線などを効果的に低減することが可能となる。
図2には、図1に示した骨密度測定装置の全体構成がブロック図として示されている。被検体30を間に挟んでその下方にはX線発生器16が設けられ、被検体30の上方にはX線検出器18が設けられている。被検体30は図1に示した例では前腕部であるが、被検体30は胴部あるいは脚部などであってもよい。
X線発生器16に対して、電源32が接続されており、電源32による印加電圧は制御部34によって制御される。すなわち、X線発生器16は高エネルギーX線を発生する機能と低エネルギーX線を発生する機能とを有しており、エネルギーの切替えはX線発生器16内に設けられたX線発生管への印加電圧の切替えにより行われている。つまり、電源32による印加電圧を高低切り替えることによりX線のエネルギーを高低切り替えることができる。
X線検出器18は単一のX線センサあるいは複数のX線センサなどによって構成される。X線の検出信号は信号処理部46に入力され、その信号処理部46において骨密度を演算するための信号処理が実行される。ちなみに、骨密度の演算を信号処理部46で行わせるようにしてもよいし、制御部34において行わせるようにしてもよい。本実施形態においては、上述したDXA法にしたがって骨密度の演算が行われている。その演算結果は表示部50に表示される。制御部34には入力部48が接続されており、その入力部48を利用してユーザーは動作条件の設定などを行うことができる。制御部34は図2に示される各構成の動作制御を行っており、特に後に図4を用いて説明するゲート信号を発生する機能を有し、そのゲート信号に同期して各構成の動作を制御している。搬送機構36は制御部34によってその動作が制御されるものであり、搬送機構36は図1に示した測定ユニットの搬送を行う。
フィルタユニット22は、図2に示す構成例において、フィルタプレート52と、フィルタ駆動部44と、第1フィルタ部材45とを有している。ここで、第1フィルタ部材45は、例えばアルミニウムなどによって構成され、X線ビームの経路上に固定的に設けられ、常にその作用が発揮されるものである。すなわち、第1フィルタ部材45は、高エネルギーX線及び低エネルギーX線の両方に対するエネルギースペクトルの調整あるいはエネルギーレベルの調整のために設けられている。
フィルタプレート52は、図3に示すように、斜め方向の2つの象限(例えば第1及び第3象限)を切り欠いた円板形状を呈している。この切り欠き円板は真鍮や銅などの材質で形成されており、この切り欠き円板のうちの円板の残っている部分をフィルタ部分54、切り欠いた部分を開口部分56と呼ぶこととする。すなわち、図示例では、フィルタプレート52の円周方向に沿って、フィルタ部分54と開口部分56とが交互に並んでいる。ここで、フィルタ部分54は高エネルギーX線に対応したフィルタとして機能し、例えば真鍮などによって構成される。一方、開口部分56に存在する空気は、低エネルギーX線に対応したフィルタとみなすことができる。すなわち、高エネルギーX線の照射時においてはフィルタ部分54がX線ビームの経路上に挿入され、一方、低エネルギーX線の照射時においては開口部分56がX線のビーム経路上に挿入される。なお、フィルタ部分54の外縁に設けられた突起部54Aは回転角度などを検出するためのマーカーである。
図では、フィルタプレート52の4分の1ずつがそれぞれフィルタ部分54及び開口部分56となっているが、これは一例に過ぎず、X線エネルギーの高低の切り替え周期やフィルタプレート52の回転速度などに応じて、例えば6分の1ずつなどといった別の分割の仕方を採用してもよい。
図示例では、フィルタ部分54と開口部分56との境目に、遮蔽部材55が設けられている。遮蔽部材55は、例えば真鍮又は鉛又は銅などの部材によって構成される。遮蔽部材はX線の減弱度合いが大きい部材で構成されるのが望ましく、タングステンなどの材質を用いてもよい。図示例では、遮蔽部材55は、フィルタプレート52の中心のハブ58から円周まで延びている。したがって、下方からこのフィルタプレート52の半径部分を通って上方に向かって照射されるX線ビームの経路上にこの遮蔽部材が位置するときには、遮蔽部材は、上方に向かうX線ビームを、円板の中心から円周までの半径範囲全体にわたって均等に遮蔽する。
また、遮蔽部材55は板状の部材であり、その板の面はフィルタプレート52の回転面、すなわち円板の面に対して垂直である。別の観点からいえば、この例では、遮蔽部材55は、フィルタプレート52の回転面から上下にそれぞれ垂直に突出している。この例では、遮蔽部材はフィルタ部分54よりも上下方向についての厚みが大きいので、フィルタ部分54と同じ真鍮、或いは真鍮よりもX線の減弱度合いが弱い部材を用いても、所望の遮蔽(減弱)作用を得ることができる。
このように、遮蔽部材55は、フィルタ部分54と開口部分56との境界に設けられているので、高エネルギーX線の照射期間と低エネルギーX線の照射期間との間の移行期間においてX線を遮蔽する機能を発揮する。すなわち、この移行期間は、X線発生器16の管電圧の不安定さなどから、X線が照射されてはいても、その検出結果は測定処理には適さないので、この間のX線を遮蔽部材55で遮蔽するのである。
なお、X線ビームの幅(ペンシルビームの場合はビーム直径、ファンビームの場合はファンの厚み)が遮蔽部材55の板圧より大きい場合は、そのX線ビームのうち遮蔽部材55により遮られない部分は上方に抜けて被検体に照射されることになるが、このような場合でもある程度の被爆低減効果は得られる。
遮蔽部材55の円周方向の厚みは、高エネルギーX線の照射期間と低エネルギーX線の照射期間との間の移行期間(図4に示すt2)の間のX線ビームについての所望の遮蔽性能と、高低各エネルギーのX線ビームの照射期間における所望の照射量とを両立するように定める。すなわち、遮蔽部材55の円周方向の厚みを厚くしすぎると照射期間において所望の照射量が得られないので、そのようなことのない範囲で、厚みを決定する。
フィルタ駆動部44は、フィルタプレート52における回転軸を駆動し、フィルタプレート52を一定速度で回転させるものである。その動作は制御部34によって制御される。フィルタプレート52における中心からシフトした位置にX線ビームが透過することになる。
符号38はシャッタとしての遮蔽部材を示しており、そのシャッタ38は鉛やタングステンなどの部材によって構成される。シャッタ駆動部46はシャッタ38を進退駆動するものであり、骨密度測定の開始前又は開始後においてはシャッタ38がX線ビームの経路上に挿入される。また、骨密度測定にあたって例えばジグザグスキャンが行われる場合における加速期間及び減速期間などの期間においてシャッタ38がX線ビームの経路上に挿入される。これによって、被検体30における不要な被曝を防止することができる。更に、本実施形態においては、X線エネルギーの切替えを行う移行期間においても不要な被曝を低減するために遮蔽部材55の挿入が行われており、これについては図4を用いて説明する。
図4には、上述した骨密度測定装置の動作例が示されている。(a)にはX線発生器16(X線管)に印加される電圧の波形が示されている。ここで、Lは低電圧を示し、Hは高電圧を示している。(b)には図2に示した制御部34によって発生されるゲート信号が示されている。ここで、ゲート信号がH(ハイ)レベルである期間t1はX線照射期間(高エネルギーX線照射期間及び低エネルギーX線照射期間)を示しており、ゲート信号がL(ロー)レベルであるt2はそれらの間に間欠的に存在する非測定期間を示している。例えば、t1は16msであり、t2は4msである(但し、これはあくまで一例に過ぎない)。(a)及び(b)の比較から分かるように、期間t1内では電圧はほぼ一定で安定している。一方、期間t2内では電圧が急激に遷移しており、すなわち低電圧から高電圧に移行し、あるいは高電圧から低電圧に移行している。それらの期間においては電圧が不安定である。
(c)には、フィルタプレート52の回転によるフィルタ切り替えの時間変化が示されている。ここで、Aは図3に示したフィルタ部分54に相当するフィルタ作用を示しており、Cは図4に示した開口部分56に相当するフィルタ作用を示しており、Bは遮蔽部材55による遮蔽作用を示している。第1フィルタ部材45と回転するフィルタプレート52とを併用する図2の仕組みでは、例えば、Aは第1フィルタ部材45とフィルタ部分54とによる遮蔽作用であり、Cは第1フィルタ部材45のみによる遮蔽作用であり、Bは第1フィルタ部材45と遮蔽部材55とによる遮蔽作用である。つまり、図1及び図2に示した構成例では第1フィルタ部材45が常時挿入されており、常時その作用が働いている。
このように(c)に示すように、フィルタプレート52は、制御部34による回転制御により、一定の回転速度で、ゲート信号(及びX線管の電圧波形)に同期して回転する。すなわち、フィルタプレート52の回転とゲート信号とは、ゲート信号がHレベルの期間には、X線ビームの経路上にはフィルタ部分54又は開口部分56が存在し、Lレベルの期間には遮蔽部材55が存在するような形で同期している。
(c)に示す方式によれば、移行期間t2においてはBで示されるように遮蔽部材55がX線ビームの経路上に挿入され、その期間内においてのX線照射が遮断又は大きく低減されることになり、上述のように不要な被曝を防止又は低減でき、あるいは散乱X線などの問題を防止できるという利点がある。期間t2は短時間ではあるが、それが繰り返し周期的に発生することになるため、そこにおいて僅かな被曝が全体として積算してみると一定の被曝量になることが見込まれる。そのような被曝量を解消できるという点で、本実施形態に係る構成は極めて実用的価値の高いものと認められる。なお、上述した各部材の具体例はいずれも一例であって、上記同様の作用が得られる限りにおいて各種の部材を用いることができる。その場合においては、単一の部材のみならず、複数の部材を結合させて所望のフィルタ部材を構成するようにしてもよい。
したがって、本実施形態によれば、図2に示したシャッタの利用と相俟って、骨密度測定の一連の工程における被曝量を極力低減できるという利点がある。
また、本実施形態では、遮蔽部材55がフィルタプレート52の回転面からその回転面の外側に垂直に突出している。その回転面に対して垂直な遮蔽部材55の面の面積はフィルタ部分54の厚み方向の断面積よりはるかに大きい。このため、フィルタプレート52がゲート信号に同期して高速に回転すると、その回転に伴って遮蔽部材55が空気を動かすことで、大きな気流が引き起こされる。このように、回転面から面外に突出した遮蔽部材55により引き起こされる気流は、そのような突出のない遮蔽板やフィルタを用いる特許文献1のフィルタプレート(同文献の図4参照)が回転時に引き起こす気流に比べてはるかに大きい。本実施形態では、このようにして遮蔽部材55が引き起こす気流により、発熱の大きいX線発生器16の冷却効果を高めることができる。フィルタプレート52は例えば毎秒数十回の高速回転を行うので、遮蔽部材55によりかなり強い気流が生成され、これによりX線発生器16が冷却される。
このように、この実施形態によれば、フィルタプレート52の回転面から面外に突出した遮蔽部材55により、非測定期間における被爆の防止又は低減と、X線発生器16の冷却性能向上との2つの効果を得ることができる。
なお、図3に示した構成例において、フィルタ部分54と開口部分56の形状はX線ビームの形状などに応じて適宜定めることができる。例えばそれらの形状が円弧状などであってもよい。
また、以上の例では、遮蔽部材55は、フィルタプレート52の面に対して垂直に突出していたが、これは必須のことではなく、フィルタプレート52の面に対して斜めに突出する構成としてもよい。斜めにする場合、X線ビームのビーム方向に対する遮蔽部材55の厚みが垂直の場合よりも小さくなるが、十分なX線遮蔽(又は減弱)効果のある材質を用いれば、このような斜めの構成でも、非測定期間における所望の遮蔽(又は減弱)効果を得ることができる。また、遮蔽部材55は、フィルタプレート52の面に対して上下の両方向に突出している必要はない。例えば、フィルタプレート52の面の下側、すなわちX線発生器16に近い側にのみ突出したものであってもよい。
次に、図5〜図8を用いてフィルタプレートの変形例を説明する。
図5には、この変形例におけるフィルタプレート152の斜視図を、図6にはこのフィルタプレート152を当該プレートがなす円の直径に沿って破断した状態の斜視図を、それぞれ示す。
図3のフィルタプレート52では、真鍮等のフィルタ部分54の円板を切り欠いて形成した開口部分56(すなわちその部分に存在する空気)を低エネルギーX線のためのフィルタとして用いていた。これに対し、図5のフィルタプレート152では、そのような開口部分56の代わりに、X線ビームの減衰が少ない材料(ポリカーボネイド等)からなる第1フィルタ部分156を備える。一方、第2フィルタ部分154は、高エネルギーX線の調整用のフィルタであり、図3の例と同様真鍮等の材料で形成される。また、第1フィルタ部分156は、材料を第2フィルタ部分154と同一とし、厚さを第2フィルタ部分154よりも薄く形成するようにしてもよい。第1フィルタ部分156及び第2フィルタ部分154は、上面形状が、図5の例ではそれぞれ1象限(円の4分の1)の扇形をなしている。これら第1フィルタ部分156と第2フィルタ部分154とは、円周方向に交互に配列されている。図示例では第1フィルタ部分156と第2フィルタ部分154とが2つずつ存在するが、1ずつであってもよいし、3つずつであってもよいし、それ以上であってもよい。低エネルギーX線の照射期間は第1フィルタ部分156が、高エネルギーX線の照射期間は第2フィルタ部分154が、それぞれX線発生器16から発せられるX線ビームの経路上に位置するよう、フィルタプレート152の軸159周りの回転がゲート信号等に同期して制御される。
この例では、第1フィルタ部分156と第2フィルタ部分154との各境界線上に、軸159(及びその周りを囲むハブ158)から円周まで延びる遮蔽部材155が設けられている。遮蔽部材155は、図3の遮蔽部材55と同様のものである。すなわち、この例でも、遮蔽部材155は、フィルタプレート152の回転面から上下にそれぞれ垂直に突出し、高低各エネルギーのX線の移行期間(図4のt2)におけるX線ビームの遮蔽(減弱)効果と、回転により生じた気流によるX線発生器16の冷却効果とを奏する。
また、この例では、第1フィルタ部分156及び第2フィルタ部分154の円周近傍に、補助フィン157が設けられている。この補助フィン157は、遮蔽部材155と同様、フィルタプレート152の回転面から上下に突出しており、フィルタプレート152の回転に伴って回転すると、遮蔽部材155同様、気流を生じさせる。すなわち、補助フィン157により、遮蔽部材155だけの場合よりも、発生する気流が増大し、冷却効果が増大する。補助フィン157は、X線ビームを遮蔽する必要はないので、材質は特に限定されない。
この例の、図7に示すように、X線発生器16から発せられたファン(扇)形状のX線ビーム170を遮らないように、補助フィン157の上側かつフィルタプレート152中心軸側の肩部がX線ビーム170のファン形状に合わせて斜めに切り欠かれている。なお、この例では、ハブ158も、同様にX線ビーム170を遮らないように上外側が斜めに切り欠かれている。
この変形例のフィルタプレート152は、例えば、図8に示すように、第1フィルタ部分156の材質の円板に対して、遮蔽部材155及び補助フィン157を設け、その上に真鍮等の材質からなる2つの第2フィルタ部分154を対角方向に嵌め込むことで形成してもよい。
以上、円板状のフィルタプレート52,152を用いる例を示したが、フィルタは円板状に限るものではなく、例えばドラム状のものを用いてもよい。以下、ドラム状のフィルタを用いる構成について、従来例と本実施形態の構成例を説明する。
図9に、フィルタドラム80を備える従来のフィルタユニット70の一例を示す。符号72はX線発生器を示しており、X線発生器72はX線発生管、コリメータなどを有している。またその出射端には第1フィルタ部材としてのアルミニウム板などが設けられている。
フィルタドラム80はフレーム74によって回転自在に支持されている。具体的には、フレーム74の一方端74Aはフィルタドラム80の軸78の一方端を軸支し、その一方、フレーム74の他方端には駆動部76が取付けられ、その駆動部76によって軸78の他方端が軸支されている。駆動部76の駆動により軸78が回転し、これに伴ってフィルタドラム80が回転する。フィルタドラム80は、その円周方向に沿って、フィルタ部分84と開口部分86が交互に2つずつ並んでいる。個々のフィルタ部分84及び開口部分86は、フィルタドラム80の円筒状側面のうち、円周方向に沿ってほぼ4分の1ずつを占める。2つのフィルタ部分84は、フィルタドラム80の円筒の中心軸を挟んで対応している。開口部分86も同様である。図9に示す例では、X線ビーム82がファンビーム形状を有し、そのX線ビーム82が、下方及び上方に位置決めされたフィルタ部分84を通過している。ファンビーム形状のファン面(扇形の面)は、フィルタドラム80の軸方向に対して平行である。フィルタ部分84は、上下2つで高エネルギーX線用の所望のフィルタ作用をなすような材質(例えば真鍮)及び厚みが定められている。駆動部76は、図4に例示したゲート信号に同期して、高エネルギーX線の照射期間にフィルタ部分84がX線ビーム82の経路に位置するよう、フィルタドラム80の回転を制御している。
図示のように、ファンビーム形状をもったX線ビーム82が用いられる場合、その広がり方向はフィルタドラム80の回転軸とが一致している。これより、フィルタドラム80の回転によってもファンビームの横方向の各位置におけるフィルタ作用はほぼ同一となるため、フィルタ作用の位置的な不安定性を解消できるという利点がある。ちなみに、フィルタドラム80はその内部が中空とされており、その端部においてのみ軸が存在している。フィルタドラムを二重円筒型の構造とすることも可能である。
図9は、従来のフィルタユニット70全体を示したが、そのうちフィルタドラム80のみを取り出したものを図10に示す。図9及び図10に示すフィルタユニット70のフィルタドラム80は、フィルタ部分84と開口部分86とが回転面(すなわち円筒面)に沿って隣接しており、その間にはX線遮蔽部材は存在しない。
これに対し、実施形態のフィルタドラム180は、図11に示すように、フィルタドラム180の回転面に沿って隣り合うフィルタ部分84と開口部分86との間に、遮蔽部材88を備えている。遮蔽部材88のフィルタドラム180の軸方向の長さは、開口部分86の長さと同等であり、フィルタドラム180の回転面の最高位置における、ファン状に広がるX線ビーム82の上記軸方向についての幅以上となっている。これにより、遮蔽部材88は、ファン状に広がるX線ビーム82を、上記軸方向に沿って全幅に渡って均等に遮蔽する。
また、遮蔽部材88は板状の部材であり、その板の面はフィルタドラム180の回転面、すなわち円筒面に対して垂直である。別の観点からいえば、この例では、遮蔽部材88は、フィルタドラム180の回転面から半径方向について外側及び内側に向かって、それぞれ垂直に突出している。この例では、遮蔽部材88はフィルタ部分84よりも半径方向についての厚みが大きく、また、フィルタドラム180の回転軸を挟んで2つの遮蔽部材88で同時にX線ビーム82を遮蔽するようになっている。したがって、遮蔽部材88には、フィルタ部分84と同じ材質(例えば真鍮)、或いはその材質よりもX線の減弱度合いが弱い部材を用いても、所望の遮蔽(減弱)作用を得ることができる。
このように、遮蔽部材88は、フィルタドラム180の回転方向に沿って、フィルタ部分84と開口部分86との境界に設けられているので、高エネルギーX線の照射期間と低エネルギーX線の照射期間との間の移行期間においてX線を遮蔽する機能を発揮する。
図12に、このようなフィルタドラム180を備えたフィルタユニット70Aの斜視図を示す。この例は、フィルタドラム180の回転位置が、向かい合う2つの開口部分86が上下に並ぶ位置にある場合の例である。この例では、X線発生器16から発せられたX線ビーム82は、上下に位置する開口部分86を通って、上方の被検体に向けて照射される。
図13には、回転するフィルタドラム180の模式的な断面図が示されている。(A)〜(C)に示されるように、フィルタドラム180は円周方向に沿って2つのフィルタ部分84及び2つの開口部分86を有している。フィルタ部分84の材質は、図3のフィルタ部分54と同材質でよい。
(A)に示されるように、高エネルギーX線の照射時には、下方にあるX線発生器16から上方に向けて照射されるX線ビーム(図では破線でその経路を示す)は、その時点ではフィルタドラム180の上下に位置するフィルタ部分84を通過して被検体に照射される。次に、(B)に示されるように、上述した管電圧の切替期間すなわち移行期間(すなわち図4の期間t2)においては、X線ビームの経路は、下方と上方とにそれぞれ位置決めされる2つの遮蔽部材88により遮られる。このように、移行期間においては、2つの遮蔽部材88によりX線の遮蔽・減弱作用が発揮される。この場合、X線ビーム経路上に2つの遮蔽部材88が配置されることになるので、遮蔽効果を高めることができる。しかしながら、一方のみによって十分な遮蔽効果が得られるのであれば、それらの一方にのみ遮蔽部材を設けるように構成すればよい。そして、(C)に示されるように、低エネルギーX線の照射時においては、X線ビームは、上下に並んだ開口部分86を通過して被検体に照射される。このときは、開口部分86にある空気が、低エネルギーX線に対するフィルタとして作用する。
いずれにしても、フィルタドラム180が一定速度で回転するのに従って、上述したような各フィルタ作用が順次得られることになり、特に移行期間においてX線の十分な遮蔽を行うことが可能であるので、被検体に対する被曝を効果的に低減することが可能となる。なお、遮蔽部材88の回転方向の厚みは、高エネルギーX線の照射期間と低エネルギーX線の照射期間との間の移行期間(図4に示すt2)の間のX線ビームについての所望の遮蔽性能と、高低各エネルギーのX線ビームの照射期間における所望の照射量とを両立するように定めればよい。
また、この実施形態では、遮蔽部材88がフィルタドラム180の回転面からその回転面の外側に垂直に突出している。その回転面に対して垂直な遮蔽部材88の面の面積はフィルタ部分84の厚み方向の断面積よりはるかに大きい。このため、フィルタドラム180がゲート信号に同期して高速に回転すると、遮蔽部材88の回転により、大きな気流が引き起こされる。このように、回転面から面外に突出した遮蔽部材88により引き起こされる気流は、そのような突出のない遮蔽板やフィルタを用いる特許文献1のフィルタドラム(同文献の図6〜図8参照)が回転時に引き起こす気流に比べてはるかに大きい。本実施形態では、このようにして遮蔽部材88が引き起こす気流により、発熱の大きいX線発生器16の冷却効果を高めることができる。
このように、この実施形態によれば、フィルタドラム180の回転面から面外に突出した遮蔽部材88により、非測定期間(移行期間)における被爆の防止又は低減と、X線発生器16の冷却性能向上との2つの効果を得ることができる。
また、図14に示すように、フィルタドラム180の円筒形状の一方又は両方の端面部材81の、円筒の内側の面に、補助フィン90を設けてもよい。補助フィン90を備えた端面部材81を図15に示す。図15に示すように、補助フィン90は、端面部材81のフィルタドラム180の内側の面から垂直に突出しており、その突出高さは、フィルタドラム180の回転軸の位置で最も高くなっており、端面部材81の円周に近づくほど低くなっている。この傾斜は、図7の例の補助フィン157の上側肩部の斜め切り欠きと同様、X線ビーム82を遮らないようにするためのものである。
フィルタドラム180の回転に応じて、この補助フィン90が引き起こす気流が、開口部分86を通してフィルタドラム180の外側に出て、X線発生器16の冷却に寄与する。
なお、補助フィン90をフィルタドラム180の外側に設けると、フィルタユニット70A全体の大型化を招くのに対し、図14の例は、補助フィン90をフィルタドラム180の内部に設けているので、図9に例示した従来のフィルタドラム80を用いるフィルタユニット70と同等のサイズで済む。
図では、4枚の補助フィン90が、フィルタドラム180の回転軸の方向に見た時に十字形を呈するように配列されているが、これに限らずもっと少数又は多数の補助フィンを設けてもよい。
以上の例では、遮蔽部材88は、フィルタドラム180の円筒面に対して垂直に突出していたが、これは必須のことではなく、円筒面に対して斜めに突出する構成としてもよい。斜めにする場合、X線ビームのビーム方向に対する遮蔽部材88の厚みが垂直の場合よりも小さくなるが、十分なX線遮蔽(又は減弱)効果のある材質を用いれば、このような斜めの構成でも、非測定期間における所望の遮蔽(又は減弱)効果を得ることができる。また、遮蔽部材88は、フィルタドラム180の円筒面に対して内側及び外側の両方向に突出している必要はない。例えば、フィルタドラム180の外側にのみ突出したものであってもよい。
なお、図11〜図15に示す実施形態によれば、フィルタドラム80を利用するためフィルタユニットの設置ボリュームを小さくすることができるという利点もある。
10 載置台、14 測定ユニット、16 X線発生器、18 X線検出器、20 X線ビーム、22 フィルタユニット、52 フィルタプレート、55,88 遮蔽部材、180 フィルタドラム。

Claims (4)

  1. 高エネルギーX線ビームと低エネルギーX線ビームとを交互に繰り返し発生するX線発生器と、
    前記X線発生器から発生されたX線ビームが照射される位置に設けられたX線検出器と、
    前記X線ビームの経路上に被検体を、あらかじめ定められた測定位置に位置決めする位置決め部材と、
    前記X線発生装置と前記測定位置との間に設けられ、回転面に沿って前記高エネルギーX線ビーム用と前記低エネルギーX線ビーム用のX線フィルタ部がそれぞれ形成された回転フィルタ部材と、
    前記X線発生器から発生される前記高エネルギーX線ビームと前記低エネルギーX線ビームとに対して、それぞれ対応する前記高エネルギーX線ビーム用と前記低エネルギーX線ビーム用のX線フィルタ部が作用するよう、前記X線発生器から発生される前記高エネルギーX線ビームと前記低エネルギーX線ビームの繰り返し周期に合わせて前記回転フィルタ部材を回転させるフィルタ回転機構と、
    を備え、
    前記回転フィルタ部材の前記高エネルギーX線ビーム用のX線フィルタ部と前記低エネルギーX線ビーム用のX線フィルタ部との間に、前記回転フィルタ部材の前記回転面の外に突出した突出部が設けられ、前記突出部が前記高エネルギーX線ビームの照射期間と前記低エネルギーX線ビームの照射期間の間の各移行期間において、前記X線発生器から発せられるX線を遮蔽すると共に、前記回転フィルタ部材の回転に伴って回転する前記突出部によって引き起こされる気流により前記X線発生器を冷却するように構成したX線骨密度測定装置。
  2. 請求項1に記載のX線骨密度測定装置であって、前記回転フィルタ部材に、前記突出部の他に、前記X線発生器を冷却するための気流を引き起こすためのフィン部材を設けたことを特徴とするX線骨密度測定装置。
  3. 請求項1又は2に記載のX線骨密度測定装置であって、前記回転フィルタ部材は、回転中心軸が前記X線ビームと交差するように設けられた回転する円筒形状のドラムであって、前記高エネルギーX線ビーム用と前記低エネルギーX線ビーム用のX線フィルタ部及び前記突出部とが円周方向に並べられたフィルタドラム、を有することを特徴とするX線骨密度測定装置。
  4. 請求項3に記載のX線骨密度測定装置であって、
    前記フィルタドラムの前記高エネルギーX線ビーム用又は前記低エネルギーX線ビーム用のX線フィルタ部は、前記フィルタドラムに形成された開口部分であり、
    前記フィルタドラムの円筒形状の少なくとも一方の内側端面に、該円筒形状の内側に向けて突出した補助フィンを更に備えることを特徴とするX線骨密度測定装置。
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