JP5632326B2 - 杭打設方法 - Google Patents

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本発明は、杭打設方法に関し、BH(Boring Hole)工法などのように、掘削面保護用の安定液を供給しながら地盤を掘削して穿孔を形成する掘削工程と、穿孔にコンクリートを流し込んで杭を形成する打設工程とを実行して杭を複数打設する方法に関するものである。
従来、建設物の基礎となる杭打設方法において、敷地が狭い場合や、作業高さが制限されている場合や、施工時の騒音振動の発生が制限されている場合などに用いる施工方法として、一般にBH工法などのように、地盤を掘削して穿孔を形成し、この穿孔にコンクリートを打設し杭を形成する方法が知られている。
このような杭打設方法により複数の杭を打設する場合、複数の杭の打設範囲に布掘溝を形成し、この布掘溝に沿って、順に掘削および杭の打設を行なう。
このように布掘溝を形成して杭を順に打設する場合、この布掘溝の土留めを行うとともに、杭の打設作業を実行していない部分は、覆工板などによって覆って作業を行うことが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このように布掘溝を覆工板により覆うことで、杭の打設作業を行っていない部分の地盤の使用が可能であり、例えば、道路の地下に杭を打設する場合、杭の打設作業を行っていない部分の道路の通行が可能となる。
特開2002−256569号公報
しかしながら、上述のような従来の杭打設方法によれば、地盤に布掘溝を形成し土留めして作業を行う場合、常に、土留めの崩壊や変位などに対する維持管理作業が必要で、このための管理作業に手間を要する。
また、布掘部分を覆工板で仮覆工した場合、この部分を路面として使用すると、車両などの通過時に、騒音振動が発生し、付近住環境に対し悪影響が生じるおそれがある。
加えて、覆工板に、通行車両の重量がかかることで、覆工板を支持する路面が沈下するおそれがあり、この路面沈下に対する補修などの維持管理作業にも手間を要していた。
本発明は、上述の従来の問題点に着目して成されたもので、土留め崩壊などに対する維持管理作業および覆工板の支持面沈下に対する維持管理作業を不要とでき、かつ、覆工板における騒音・振動の発生を防止できる杭打設方法を提供することを目的とするものである。
上述の目的を達成するために本発明では、掘削面保護用の安定液を供給しながら地盤を掘削して穿孔を形成する掘削工程と、前記穿孔にコンクリートを流し込んで杭を形成する打設工程と、を実行して前記杭を複数打設する杭打設方法であって、前記掘削工程を実行する前に、前記地盤において、複数の前記杭の打設位置の全域を含む範囲に亘って溝を掘るとともに、前記溝の端部に、前記安定液などを貯留可能な貯留部を形成する溝掘り工程と、前記溝の前記杭の打設位置に、前記溝の底面との間に中空部を形成して上方から覆う蓋材および前記中空部の側面を覆う側壁材とを備えた桝部材を設置するとともに、前記中空部どうしおよび前記貯留部を接続管により接続した後、前記溝を埋め戻して前記桝部材および前記接続管を埋設する埋設工程と、を実行し、前記掘削工程および前記杭打設工程は、複数の前記杭について1本ごとに独立して実行し、その際、各掘削工程の実行前に、前記桝部材の前記蓋材が露出するまで前記桝部材を掘り出す桝部材掘出工程と、前記蓋材の少なくとも一部を除去して前記桝部材を開口する開口工程と、を実行し、前記掘削工程時に、前記蓋材の開口を通して掘削を行うことを特徴とする杭打設方法とした。
本発明の杭打設方法では、複数の杭の打設位置は、全ての桝部材を設置した後埋め戻し、複数の杭の打設位置のみ掘り出して杭の打設を行うため、他の杭の打設位置では、覆工板を敷設することなくそのまま使用できる。
したがって、従来のように溝の土留めの維持管理作業が不要であり、車両などが覆工板上を通過する際の騒音発生を防止でき、しかも、覆工板上を車両などが通過することによる覆工板の支持部分の地盤沈下に対する維持管理作業も不要となる。
さらに、杭打設工程時に、穿孔から排出あるいは導入する安定液は、桝部材の中空部および接続管を介して地盤表面下において貯留部との間で移動させることができ、地盤上に安定液などの移送用のホースなどを配索するのと比較して、地表の有効利用が可能であり、特に、路面として使用するのに有効である。
本発明の実施の形態の杭打設方法を工程順に表したフローチャートである。 実施の形態の杭打設方法において溝に桝部材を設置した状態を示す斜視図である。 実施の形態の杭打設方法において溝に桝部材を設置した状態を示す平面図である。 実施の形態の杭打設方法において溝に桝部材を設置した状態を示す断面図である。 実施の形態の杭打設方法において溝に桝部材を設置した状態を示す斜視図である。 実施の形態の杭打設方法において掘削作業の実行時の状態を示す斜視図である。 実施の形態の杭打設方法において掘削作業の実行時の状態を示す断面図である。 実施の形態の杭打設方法において掘出工程を実施した状態を示す斜視図である。 実施の形態において接続管により桝部材を釜場に接続した際の他の接続例を示す平面図である。
以下に、図1〜図8に基づいて、この発明の実施の形態の杭打設方法について説明する。
図1のフローチャートは、この実施の形態の杭打設方法を工程順に表しており、このフローチャートに基づいて、順を追って説明する。
本実施の形態の杭打設方法は、図1に示すように、事前準備作業と、当日作業とに大きく分けられる。事前準備作業は、杭Pi(図2,図3参照)の打設現場において、打設作業の実行前に実行する作業であり、当日作業は、その後に、杭Piの打設を実行する際に実行する作業である。
なお、本実施の形態では、図3に示す地盤Grにおいて、矢印Xで示す方向に沿って延在された路面Roに対し、複数の杭Piを、路面Roを横切る方向である矢印Yの方向に一列に打設する例を挙げて説明する。また、この路面Roには、車道CWに沿って歩道SWが並設されており、この歩道SWの外側に作業帯SPが設置される。
(事前準備作業)
まず、事前準備作業について説明する。
この事前準備作業は、路面Roが形成されている部分に、後述する鋼製の桝部材10および樹脂製の排出管20を埋設するとともに、釜場(貯留部)30を形成する作業であって、図1に示すフローチャートのステップS1の桝部材作成工程およびS2の埋設工程を実施する。
ステップS1の桝部材作成工程では、図2に示す桝部材10を製造する。
この桝部材10は、本体枠11と側壁材12と蓋材13とアンカ14と連結材15とを備えている。
本体枠11は、鋼製のフレームを連結して中空部Mspを囲む四角形状に形成されている。この本体枠11の側面には、フレームで外周を囲まれた長方形の管接続用開口部11aが開口され、この管接続用開口部11aを設けていない他の側面は側壁材12で塞がれている。なお、桝部材10は、管接続用開口部11aが対向する二側面に設けられたもの(第1の桝部材)と、一側面のみに設けられたもの(第2の桝部材)と、の2通りの形状のものが設定されている。
また、本体枠11の上面には、中空部Mspを上方から塞ぐ鉄板製の蓋材13が設けられている。
さらに、本体枠11の下端部に一対のチャンネル状のアンカ14,14が設けられており、各アンカ14と本体枠11の上部とが、一対の鋼製の連結材15で連結されている。
図1のステップS2で実施する埋設工程は、桝部材10および排出管(接続管)20,20を埋設するとともに、釜場30を形成する行程である。
この埋設工程では、まず、地盤Grに、図3および図5に示すように、杭Piの配列方向に沿って溝40を掘削する。
さらに、溝40において杭Piを並べる方向の端部の作業帯SPに、釜場30を形成する。この釜場30は、後述する掘削工程時に掘削した穿孔201(図6,7参照)から排出される安定液に土砂を含んだ泥水を一旦溜めるのに使用する。
次に、溝40において各杭Piの打設位置に桝部材10を設置する。この場合、桝部材10は、溝40の底面40aの上に載置するように設置するが、このとき、桝部材10の蓋材13が路面Roの表面に設けられた舗装PRよりも下方に配置されるように、あらかじめ溝40の深さを設定しておく。
また、複数の桝部材10を配列させるのにあたり、各桝部材10の側面に開口された管接続用開口部11aを、杭Piを並べる方向である矢印Y方向を向け、隣に配置された桝部材10の管接続用開口部11aと対向するように配置する。
すなわち、溝40において釜場30から最も離れている杭打設位置である最遠打設位置には、管接続用開口部11aが1側面のみに開口されたもの(第2の桝部材)を用い、管接続用開口部11aを釜場30の方向に向けて設置する。また、最遠打設位置以外では、両側に管接続用開口部11aが形成された桝部材10(第1の桝部材)を、一対の管接続用開口部11aが、隣り合う桝部材10あるいは釜場30と対向するように配置する。
埋設工程では、さらに、設置した複数の桝部材10を、釜場30に対して一対の排出管20,20を介して直列に接続する。
この接続時に、一対の排出管20,20は、図4に示すように、管接続用開口部11a内に横に並べて配置する。なお、一対の排出管20を用いることにより、一本の排出管を用いるものと比較して、同じ流路断面積であれば、上下方向寸法を抑えることができ、その分、管接続用開口部11aの上下方向寸法ならびに桝部材10の上下方向寸法を小さく抑えながら、所望の断面積(流量)を確保することができる。
次に、埋設工程において、溝40の埋め戻しを行う。
この埋め戻しの際に、まず、図5に示すように、桝部材10では、各管接続用開口部11aにおいて、排出管20,20との間に生じた隙間部分は、閉塞手段50により塞ぎ、また、溝40において、桝部材10の配置部分と釜場30とは、区画手段60により区画する。なお、本実施の形態では、閉塞手段50としては、例えば、汎用の補正の合板あるいは鋼板などの板材と土嚢などを用いる。また、区画手段60としては、土嚢を積み上げたものを用いる。このように、閉塞手段50および区画手段60として汎用品を用いることにより、コストおよび作業性に優れる。
このようにして、管接続用開口部11aを塞ぐととともに、釜場30の区画を行った上で、溝40の車道CW部分および歩道SW部分を埋め戻し、さらに、上から舗装PR(図2参照)を敷設し路面Roとして使用可能な状態に戻す。
なお、釜場30は、路面Roの外に設定された作業帯SPに配置されており、路面Roの使用の障害とならないため、路面Roとは柵などで区画し、覆工板などで覆い、埋め戻しは行わない。
このような埋め戻し状態において、舗装PRの下に埋設された各桝部材10の中空部Mspは、それぞれ、排出管20,20を介して、釜場30に直列に連通された状態となっている。また、この埋め戻し時に、各桝部材10は、一対のアンカ14を備えているため、アンカ14を覆う土砂により強固に固定される。加えて、連結材15によって本体枠11とアンカ14を一体化しているため、桝部材10に対し上方から作用する荷重を、アンカ部材14に分散し、桝部材10のみの場合よりも大きな面積の地盤Grで支えることが可能である。
以上のように、杭Piの打設位置に溝40を掘り、桝部材10および排出管20を埋設した後、埋め戻し、さらに、舗装PRにより覆って路面Roを使用可能な状態に戻すまでが事前準備作業である。
(当日作業)
次に、現場において杭打設を行う作業手順である当日作業について説明する。
図1に示すように、当日作業にあっては、まず、ステップS3において、交通規制および作業帯SPの設置を行う。
この作業帯SPの設置において、本実施の形態では、標準的なBH工法にて掘削を行うため、図6に示すように、水タンク101およびスライムタンク102を作業帯SPに設置する。
次に、図1のステップS4〜S7に示す工程を、杭Piごとに独立して実施する。この場合、杭Piは、釜場30から遠いものから順に打設する。
以下、1本の杭Piを打設する作業について詳細に説明すると、ステップS4の舗装撤去工程および掘出工程を実行する。
舗装撤去工程では、杭Piの打設位置の舗装PRを撤去する。
次に、掘出工程において、この舗装PRを撤去した部分を掘って、桝部材10の掘り出しを行う。この場合、桝部材10およびその周囲のみを掘り出し、少なくとも、図8に示すように、蓋材13が露出する深さで掘り出して掘出部200を形成する。
次に、ステップS5において、鉄板切断(開口)工程および掘削工程を実行する。
鉄板切断工程では、鉄板製の蓋材13に、掘削作業を行うための開口13aを設ける。そして、この開口13aから掘削作業を行なう。
この掘削作業は、本実施の形態では、周知のBH工法による掘削を行なうもので、図6に示すボーリングマシーンBMのロッド103を、前述した開口13aから地盤Grに差し込んで、ロッド103の先端に装着したビット104を回転させるとともに、水タンク101から安定液をビット先端に送り込み、かつ、切削された土砂を安定液による上昇水流と共に孔口202(図7参照)に運ぶ。
こうして孔口202に上昇した水流(泥水)は、以下の経路で正循環される。
すなわち、図7に示すように、ビット104の先端から穿孔201の孔口202に上昇した泥水は、穿孔201の上方に設置された桝部材10の中空部Mspから排出管20および他の桝部材10の中空部Mspを介して釜場30に送られる。
釜場30にはサンドポンプ105が投入されており、このサンドポンプ105により釜場30の泥水が、水タンク101に送られ、泥水から分離された泥は、図6に示すスライムタンク102に送られる。また、水タンク101の水成分は、水タンク101に設けられたグラウトポンプ106により安定液としてボーリングマシーンBMに送られ、ロッド103からビット104へ送られる。安定液は、以上の経路で正循環される。
また、桝部材10は、上述のように掘削時に上昇水流により上方へ水圧を受けるが、桝部材10は、埋設されたアンカ14によるアンカ機能により、水圧による移動が防止される。
次に、図1のステップS6の杭打設工程を実行する。
BH工法では、周知のように、穿孔201の形成後は、エアドリフトにより穿孔201の内部の残留スライムを釜場30に移動させた後、穿孔201に鉄筋を吊り込み、コンクリートの打設を行う。また、コンクリートの打設に伴い、穿孔201内の泥水は釜場30に送られる。
その後、このコンクリートが桝部材10の高さに達したら、コンクリートの打設を終了する。
次に、ステップS7の鉄板敷設工程、舗装復旧工程を実施する。
すなわち、桝部材10の開口13aを図示で省略した鉄板で塞いだ後、掘出部200を埋めて、その上を舗装PRで覆う。なお、桝部材10の開口13aは、鉄板で塞ぐ以外にも、打設したコンクリートおよび土砂による埋め戻しで塞いでもよい。
以上のステップS4〜S7の工程を、杭Piごとに、釜場30から遠いものから順に実施する。
したがって、車道CWにおいて、歩道SWから遠い側に配置されている桝部材10において杭Piの打設を行っている間は、車道CWにおいて歩道SWに近い側に配置された桝部材10ならびに歩道SWに配置された桝部材10は舗装PRに覆われているため、例えば、車道CWの半分を片側交互通行などにより使用可能であるとともに、歩道SWも通常通り使用可能である。また、車道CWにおいて歩道SWに近い側の桝部材10の位置で杭Piの打設を行なっている間は、車道CWの歩道SWから遠い側の半分を車道CWとして使用可能であるとともに、歩道SWも通常通り使用可能である。また、歩道SWに配置された桝部材10において杭Piの打設を行なっている間は、車道CWの歩道SWに近い側の半分を歩道SWとして使用し、残りの半分を車道CWとして片側交互通行などにより使用可能である。
そして、杭打設時に車道CWおよび歩道SWとして使用する部分は、舗装PRに覆われており、覆工板で覆った場合のように、騒音が発生することが無いとともに、歩道SWの使用にあたっても、段差が生じにくく、使い勝手に優れる。また、溝40を埋め戻しているため、土留めの維持管理や、覆工板の支持部分の沈下に対する維持管理も不要となる。
次に、全ての杭Piの打設が終了し、最後の杭Piの打設位置で舗装PRが終了すると、図1のステップS8の作業帯撤去工程を実施する。
すなわち、釜場30を埋め戻し、前述した水タンク101やスライムタンク102を撤去し、必要に応じて舗装PRを行なうなどして作業帯SPを現状回復し、作業帯SPの撤去を終了する。
以上説明したように、実施の形態の杭打設方法にあっては、以下に列挙する効果を奏する。
a)杭Piの打設のために掘った溝40は、埋め戻して舗装PRで覆うため、路面Roは、車道CWおよび歩道SWとして使用を続けることができる。しかも、従来のように溝40を覆工板で覆わないため、溝40の土留めの崩壊や変位などに対する維持管理ならびに覆工板に通行車両の重量がかかることによる覆工板支持路面の沈下に対する補修などの維持管理を不要として維持管理の手間を削減できる。
b)溝40を覆工板により覆わないため、この部分を路面として使用した場合のように、車両などの通過時に騒音振動が発生することがなく、付近住環境に対する悪影響を抑えることができる。
c)複数の桝部材10を、排出管20を介して釜場30に接続したため、各桝部材10のみを掘り出した作業であっても、BH工法による杭Piの打設時には、安定液および泥水が排出管20および杭打設前の桝部材10を通って1つの釜場30に排出され、この安定液および泥水を正循環させるためのホースや水路が路面Ro上を横切ることが無く、路面Roの効率的な使用が可能である。
さらに、本実施の形態では、一列に配置した桝部材10を、釜場30に対して直列に接続し、釜場30から遠い位置から順に、杭Piの打設を行うようにしたため、穿孔201からの泥水の上昇流を確実に釜場30に移動させることができる。
d)桝部材10どうしおよび桝部材10と釜場30とを接続するのにあたり、一対の排出管20,20により接続させたため、1本の管で接続するのと比較して、管径を小さく抑えることができる。これにより、桝部材10の上下方向寸法を抑え、溝40の深さを浅くして、作業性を向上でき、かつ、杭Piの上端の有効高さも高くすることができる。さらに、2本の排出管20,20を用いることで、管詰まりが生じるリスクを軽減できる。加えて、排出管20,20の長さを調節することにより釜場30の位置を、任意に設定でき、これにより、釜場30を作業帯SPに設置する自由度が高くなる。
e)桝部材10にアンカ14を設けたため、桝部材10を掘り出して掘削作業を行った際に、桝部材10に泥水の上昇流の水圧が作用しても桝部材10を確実に固定することができる。
加えて、連結材15によって本体枠11とアンカ14を一体化しているため、桝部材10に対し上方から作用する荷重を、アンカ部材14に分散し、大きな面積の地盤Grで支えることが可能である。したがって、BH工法による杭Piの打設完了後に路面Roを復旧した際に、桝部材10の上部を通行する大型車両などにより受ける路面荷重を、アンカ部材14にも分散させるため、桝部材10のフレーム下部の面積のみで受け持つ場合と比較して、より広い面積の地盤Grで受け止めて杭Piのコンクリートの硬化が不十分であっても孔壁の崩壊を防止できる。
f)管接続用開口部11aを塞ぐ閉塞手段50として、汎用の補正の合板あるいは鋼板などの板材と土嚢を用い、区画手段60としても、汎用の土嚢を用いたため、作業性に優れ、かつコストを低く抑えることができる。
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、実施の形態では、掘削工程において、BH工法による掘削を示したが、その工法は、BH工法に限定されず、例えば、TBH工法(トップドライブリバースサーキュレーション工法)を用いてもよい。このTBH工法を行った場合、実施の形態とは逆に、実施の形態で釜場として用いた貯留部から接続管を介して桝部材の中空部へ安定液を供給する。
また、本発明の杭打設方法は、駐車場、地下道、地下街など地上の路面以外の地盤に杭を打設する場合にも適用することも可能である。
また、実施の形態では、杭Piを一列に配置した例を示したが、複数列に配列する場合にも適用できる。この場合、実施の形態で示したように、一列ごとに釜場を設定してもよいが、複数列に配置された桝部材を並列に接続し、この並列に接続された桝部材を1つの釜場に接続するようにしてもよい。具体的には、図9に示すように、2列に配置した桝部材10を列ごとに直列に接続し、各列の釜場30に最も近い桝部材10,10どうしを並列に接続してもよい。
また、桝部材は、本実施の形態では、側面を管接続用開口部としての開口部分に接続管を接続し、隙間を閉塞手段で塞ぐ例を示したが、側面を側壁材で塞ぎ、この側壁材に継手を設け、この継手の開口を、管接続用開口部として接続管を接続するようにしてもよい。この場合、閉塞手段は不要となる。また、閉塞手段としても、実施の形態で示した板材と土嚢との組合せに限らず、いずれか一方のみや他の手段を用いてもよい。
また、区画手段としても、土嚢に限らず他の手段を用いてもよい。例えば、桝部材を設置する溝とは独立して貯留部を設けた場合、地盤あるいは地盤を補強したものを区画手段としてもよい。あるいは、土嚢に代えて、鋼板や木板などを用いることも可能である。
また、実施の形態では、開口工程(鉄板切断工程)として、蓋材に開口を形成して蓋材の一部のみを除去して開口する例を示したが、これに限定されず、蓋材を桝部材に着脱可能に設け、開口工程では、桝部材から蓋材それ自体を撤去して、桝部材の上部に開口を設けるようにしてもよい。
10 桝部材
11a 管接続用開口部
12 側壁材
13 蓋材
13a 開口
20 排出管(接続管)
30 釜場(貯留部)
40 溝
40a 底面
101 水タンク
102 スライムタンク
104 ビット
201 穿孔
Gr 地盤
Msp 中空部
Pi 杭
PR 舗装
SP 作業帯

Claims (3)

  1. 掘削面保護用の安定液を供給しながら地盤を掘削して穿孔を形成する掘削工程と、前記穿孔にコンクリートを流し込んで杭を形成する打設工程と、を実行して前記杭を複数打設する杭打設方法であって、
    前記掘削工程を実行する前に、
    前記地盤において、複数の前記杭の打設位置の全域を含む範囲に亘って溝を掘るとともに、前記溝の端部に、前記安定液などを貯留可能な貯留部を形成する溝掘り工程と、
    前記溝の前記杭の打設位置に、前記溝の底面との間に中空部を形成して上方から覆う蓋材および前記中空部の側面を覆う側壁材とを備えた桝部材を設置するとともに、前記中空部どうしおよび前記貯留部を接続管により接続した後、前記溝を埋め戻して前記桝部材および前記接続管を埋設する埋設工程と、
    を実行し、
    前記掘削工程および前記杭打設工程は、複数の前記杭について1本ごとに独立して実行し、
    その際、各掘削工程の実行前に、前記桝部材の前記蓋材が露出するまで前記桝部材を掘り出す桝部材掘出工程と、前記蓋材の少なくとも一部を除去して前記桝部材を開口する開口工程と、を実行し、
    前記掘削工程時に、前記桝部材の開口を通して掘削を行うことを特徴とする杭打設方法。
  2. 前記掘削工程では、前記穿孔の掘削を行うビット先端に安定液を供給し、掘削された土砂を上昇水流によって孔口に運び排出する掘削方法を用い、このとき、前記桝部材および前記接続管を介して前記貯留部へ排出された前記上昇水流を、前記貯留部から外部のタンクへ汲み上げることを特徴とする請求項1に記載の杭打設方法。
  3. 前記杭を一列に並べて打設する請求項2に記載の杭打設方法であって、
    前記桝部材として、前記接続管を接続するための管接続用開口部が、前記側面の対向する2箇所にあらかじめ形成された第1の桝部材と、前記管接続用開口部が前記側面の一側面のみにあらかじめ形成された第2の桝部材とが設定されており、
    前記溝掘り工程において、前記杭の配列方向に沿って長溝を形成し、かつ、この長溝の端部に前記貯留部を設け、
    前記埋設工程において、前記第2の桝部材は、前記貯留部から最も離れた前記打設位置である最遠打設位置に、前記管接続用開口部を前記配列方向であって前記貯留部方向に向けて設置し、前記第1の桝部材は、前記最遠打設位置を除く他の前記打設位置において、
    一対の前記接続用開口を前記配列方向に向けて設置し、かつ、前記接続管を前記管接続用開口部に接続させて、前記複数の桝部材を前記貯留部に直列に接続し、
    前記掘削工程および前記打設工程を、複数の前記打設位置に対し前記最遠打設位置から前記貯留部に向けて順に実行することを特徴とする杭打設方法。
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