JP5632326B2 - 杭打設方法 - Google Patents
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Description
このように布掘溝を形成して杭を順に打設する場合、この布掘溝の土留めを行うとともに、杭の打設作業を実行していない部分は、覆工板などによって覆って作業を行うことが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、布掘部分を覆工板で仮覆工した場合、この部分を路面として使用すると、車両などの通過時に、騒音振動が発生し、付近住環境に対し悪影響が生じるおそれがある。
加えて、覆工板に、通行車両の重量がかかることで、覆工板を支持する路面が沈下するおそれがあり、この路面沈下に対する補修などの維持管理作業にも手間を要していた。
したがって、従来のように溝の土留めの維持管理作業が不要であり、車両などが覆工板上を通過する際の騒音発生を防止でき、しかも、覆工板上を車両などが通過することによる覆工板の支持部分の地盤沈下に対する維持管理作業も不要となる。
さらに、杭打設工程時に、穿孔から排出あるいは導入する安定液は、桝部材の中空部および接続管を介して地盤表面下において貯留部との間で移動させることができ、地盤上に安定液などの移送用のホースなどを配索するのと比較して、地表の有効利用が可能であり、特に、路面として使用するのに有効である。
図1のフローチャートは、この実施の形態の杭打設方法を工程順に表しており、このフローチャートに基づいて、順を追って説明する。
本実施の形態の杭打設方法は、図1に示すように、事前準備作業と、当日作業とに大きく分けられる。事前準備作業は、杭Pi(図2,図3参照)の打設現場において、打設作業の実行前に実行する作業であり、当日作業は、その後に、杭Piの打設を実行する際に実行する作業である。
なお、本実施の形態では、図3に示す地盤Grにおいて、矢印Xで示す方向に沿って延在された路面Roに対し、複数の杭Piを、路面Roを横切る方向である矢印Yの方向に一列に打設する例を挙げて説明する。また、この路面Roには、車道CWに沿って歩道SWが並設されており、この歩道SWの外側に作業帯SPが設置される。
まず、事前準備作業について説明する。
この事前準備作業は、路面Roが形成されている部分に、後述する鋼製の桝部材10および樹脂製の排出管20を埋設するとともに、釜場(貯留部)30を形成する作業であって、図1に示すフローチャートのステップS1の桝部材作成工程およびS2の埋設工程を実施する。
この桝部材10は、本体枠11と側壁材12と蓋材13とアンカ14と連結材15とを備えている。
また、本体枠11の上面には、中空部Mspを上方から塞ぐ鉄板製の蓋材13が設けられている。
この埋設工程では、まず、地盤Grに、図3および図5に示すように、杭Piの配列方向に沿って溝40を掘削する。
さらに、溝40において杭Piを並べる方向の端部の作業帯SPに、釜場30を形成する。この釜場30は、後述する掘削工程時に掘削した穿孔201(図6,7参照)から排出される安定液に土砂を含んだ泥水を一旦溜めるのに使用する。
また、複数の桝部材10を配列させるのにあたり、各桝部材10の側面に開口された管接続用開口部11aを、杭Piを並べる方向である矢印Y方向を向け、隣に配置された桝部材10の管接続用開口部11aと対向するように配置する。
すなわち、溝40において釜場30から最も離れている杭打設位置である最遠打設位置には、管接続用開口部11aが1側面のみに開口されたもの(第2の桝部材)を用い、管接続用開口部11aを釜場30の方向に向けて設置する。また、最遠打設位置以外では、両側に管接続用開口部11aが形成された桝部材10(第1の桝部材)を、一対の管接続用開口部11aが、隣り合う桝部材10あるいは釜場30と対向するように配置する。
この接続時に、一対の排出管20,20は、図4に示すように、管接続用開口部11a内に横に並べて配置する。なお、一対の排出管20を用いることにより、一本の排出管を用いるものと比較して、同じ流路断面積であれば、上下方向寸法を抑えることができ、その分、管接続用開口部11aの上下方向寸法ならびに桝部材10の上下方向寸法を小さく抑えながら、所望の断面積(流量)を確保することができる。
この埋め戻しの際に、まず、図5に示すように、桝部材10では、各管接続用開口部11aにおいて、排出管20,20との間に生じた隙間部分は、閉塞手段50により塞ぎ、また、溝40において、桝部材10の配置部分と釜場30とは、区画手段60により区画する。なお、本実施の形態では、閉塞手段50としては、例えば、汎用の補正の合板あるいは鋼板などの板材と土嚢などを用いる。また、区画手段60としては、土嚢を積み上げたものを用いる。このように、閉塞手段50および区画手段60として汎用品を用いることにより、コストおよび作業性に優れる。
このような埋め戻し状態において、舗装PRの下に埋設された各桝部材10の中空部Mspは、それぞれ、排出管20,20を介して、釜場30に直列に連通された状態となっている。また、この埋め戻し時に、各桝部材10は、一対のアンカ14を備えているため、アンカ14を覆う土砂により強固に固定される。加えて、連結材15によって本体枠11とアンカ14を一体化しているため、桝部材10に対し上方から作用する荷重を、アンカ部材14に分散し、桝部材10のみの場合よりも大きな面積の地盤Grで支えることが可能である。
以上のように、杭Piの打設位置に溝40を掘り、桝部材10および排出管20を埋設した後、埋め戻し、さらに、舗装PRにより覆って路面Roを使用可能な状態に戻すまでが事前準備作業である。
次に、現場において杭打設を行う作業手順である当日作業について説明する。
図1に示すように、当日作業にあっては、まず、ステップS3において、交通規制および作業帯SPの設置を行う。
舗装撤去工程では、杭Piの打設位置の舗装PRを撤去する。
次に、掘出工程において、この舗装PRを撤去した部分を掘って、桝部材10の掘り出しを行う。この場合、桝部材10およびその周囲のみを掘り出し、少なくとも、図8に示すように、蓋材13が露出する深さで掘り出して掘出部200を形成する。
鉄板切断工程では、鉄板製の蓋材13に、掘削作業を行うための開口13aを設ける。そして、この開口13aから掘削作業を行なう。
この掘削作業は、本実施の形態では、周知のBH工法による掘削を行なうもので、図6に示すボーリングマシーンBMのロッド103を、前述した開口13aから地盤Grに差し込んで、ロッド103の先端に装着したビット104を回転させるとともに、水タンク101から安定液をビット先端に送り込み、かつ、切削された土砂を安定液による上昇水流と共に孔口202(図7参照)に運ぶ。
すなわち、図7に示すように、ビット104の先端から穿孔201の孔口202に上昇した泥水は、穿孔201の上方に設置された桝部材10の中空部Mspから排出管20および他の桝部材10の中空部Mspを介して釜場30に送られる。
また、桝部材10は、上述のように掘削時に上昇水流により上方へ水圧を受けるが、桝部材10は、埋設されたアンカ14によるアンカ機能により、水圧による移動が防止される。
BH工法では、周知のように、穿孔201の形成後は、エアドリフトにより穿孔201の内部の残留スライムを釜場30に移動させた後、穿孔201に鉄筋を吊り込み、コンクリートの打設を行う。また、コンクリートの打設に伴い、穿孔201内の泥水は釜場30に送られる。
その後、このコンクリートが桝部材10の高さに達したら、コンクリートの打設を終了する。
すなわち、桝部材10の開口13aを図示で省略した鉄板で塞いだ後、掘出部200を埋めて、その上を舗装PRで覆う。なお、桝部材10の開口13aは、鉄板で塞ぐ以外にも、打設したコンクリートおよび土砂による埋め戻しで塞いでもよい。
したがって、車道CWにおいて、歩道SWから遠い側に配置されている桝部材10において杭Piの打設を行っている間は、車道CWにおいて歩道SWに近い側に配置された桝部材10ならびに歩道SWに配置された桝部材10は舗装PRに覆われているため、例えば、車道CWの半分を片側交互通行などにより使用可能であるとともに、歩道SWも通常通り使用可能である。また、車道CWにおいて歩道SWに近い側の桝部材10の位置で杭Piの打設を行なっている間は、車道CWの歩道SWから遠い側の半分を車道CWとして使用可能であるとともに、歩道SWも通常通り使用可能である。また、歩道SWに配置された桝部材10において杭Piの打設を行なっている間は、車道CWの歩道SWに近い側の半分を歩道SWとして使用し、残りの半分を車道CWとして片側交互通行などにより使用可能である。
すなわち、釜場30を埋め戻し、前述した水タンク101やスライムタンク102を撤去し、必要に応じて舗装PRを行なうなどして作業帯SPを現状回復し、作業帯SPの撤去を終了する。
a)杭Piの打設のために掘った溝40は、埋め戻して舗装PRで覆うため、路面Roは、車道CWおよび歩道SWとして使用を続けることができる。しかも、従来のように溝40を覆工板で覆わないため、溝40の土留めの崩壊や変位などに対する維持管理ならびに覆工板に通行車両の重量がかかることによる覆工板支持路面の沈下に対する補修などの維持管理を不要として維持管理の手間を削減できる。
さらに、本実施の形態では、一列に配置した桝部材10を、釜場30に対して直列に接続し、釜場30から遠い位置から順に、杭Piの打設を行うようにしたため、穿孔201からの泥水の上昇流を確実に釜場30に移動させることができる。
加えて、連結材15によって本体枠11とアンカ14を一体化しているため、桝部材10に対し上方から作用する荷重を、アンカ部材14に分散し、大きな面積の地盤Grで支えることが可能である。したがって、BH工法による杭Piの打設完了後に路面Roを復旧した際に、桝部材10の上部を通行する大型車両などにより受ける路面荷重を、アンカ部材14にも分散させるため、桝部材10のフレーム下部の面積のみで受け持つ場合と比較して、より広い面積の地盤Grで受け止めて杭Piのコンクリートの硬化が不十分であっても孔壁の崩壊を防止できる。
11a 管接続用開口部
12 側壁材
13 蓋材
13a 開口
20 排出管(接続管)
30 釜場(貯留部)
40 溝
40a 底面
101 水タンク
102 スライムタンク
104 ビット
201 穿孔
Gr 地盤
Msp 中空部
Pi 杭
PR 舗装
SP 作業帯
Claims (3)
- 掘削面保護用の安定液を供給しながら地盤を掘削して穿孔を形成する掘削工程と、前記穿孔にコンクリートを流し込んで杭を形成する打設工程と、を実行して前記杭を複数打設する杭打設方法であって、
前記掘削工程を実行する前に、
前記地盤において、複数の前記杭の打設位置の全域を含む範囲に亘って溝を掘るとともに、前記溝の端部に、前記安定液などを貯留可能な貯留部を形成する溝掘り工程と、
前記溝の前記杭の打設位置に、前記溝の底面との間に中空部を形成して上方から覆う蓋材および前記中空部の側面を覆う側壁材とを備えた桝部材を設置するとともに、前記中空部どうしおよび前記貯留部を接続管により接続した後、前記溝を埋め戻して前記桝部材および前記接続管を埋設する埋設工程と、
を実行し、
前記掘削工程および前記杭打設工程は、複数の前記杭について1本ごとに独立して実行し、
その際、各掘削工程の実行前に、前記桝部材の前記蓋材が露出するまで前記桝部材を掘り出す桝部材掘出工程と、前記蓋材の少なくとも一部を除去して前記桝部材を開口する開口工程と、を実行し、
前記掘削工程時に、前記桝部材の開口を通して掘削を行うことを特徴とする杭打設方法。 - 前記掘削工程では、前記穿孔の掘削を行うビット先端に安定液を供給し、掘削された土砂を上昇水流によって孔口に運び排出する掘削方法を用い、このとき、前記桝部材および前記接続管を介して前記貯留部へ排出された前記上昇水流を、前記貯留部から外部のタンクへ汲み上げることを特徴とする請求項1に記載の杭打設方法。
- 前記杭を一列に並べて打設する請求項2に記載の杭打設方法であって、
前記桝部材として、前記接続管を接続するための管接続用開口部が、前記側面の対向する2箇所にあらかじめ形成された第1の桝部材と、前記管接続用開口部が前記側面の一側面のみにあらかじめ形成された第2の桝部材とが設定されており、
前記溝掘り工程において、前記杭の配列方向に沿って長溝を形成し、かつ、この長溝の端部に前記貯留部を設け、
前記埋設工程において、前記第2の桝部材は、前記貯留部から最も離れた前記打設位置である最遠打設位置に、前記管接続用開口部を前記配列方向であって前記貯留部方向に向けて設置し、前記第1の桝部材は、前記最遠打設位置を除く他の前記打設位置において、
一対の前記接続用開口を前記配列方向に向けて設置し、かつ、前記接続管を前記管接続用開口部に接続させて、前記複数の桝部材を前記貯留部に直列に接続し、
前記掘削工程および前記打設工程を、複数の前記打設位置に対し前記最遠打設位置から前記貯留部に向けて順に実行することを特徴とする杭打設方法。
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