以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず、図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は建設機械の代表例としての油圧ショベルで、この油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とによって車体が構成されている。また、上部旋回体3の前部側には作業装置4が俯仰動可能に設けられており、油圧ショベル1は、作業装置4を用いて土砂の掘削作業等を行うものである。そして、上部旋回体3は、後述の旋回フレーム5、エンジン8、排気管21、PM捕集装置23、NOx浄化装置25、尿素水噴射弁26、尿素水タンク27等により構成されている。
5は上部旋回体3のベースとなる旋回フレームで、該旋回フレーム5は、強固な支持構造体をなし、旋回装置を介して下部走行体2上に旋回可能に取付けられている。ここで、旋回フレーム5は、図2に示すように、前,後方向に延びる厚肉な底板5Aと、該底板5A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左縦板5B,右縦板5Cと、左縦板5Bから左方向に張出した複数本の左張出しビーム5Dと、右縦板5Cから右方向に張出した複数本の右張出しビーム5Eと、各左張出しビーム5Dの先端に固着され前,後方向に延びた左サイドフレーム5Fと、各右張出しビーム5Eの先端に固着され前,後方向に延びた右サイドフレーム5Gとにより大略構成されている。
そして、旋回フレーム5を構成する左,右の縦板5B,5Cの前端部には、作業装置4のフート部が俯仰動可能に取付けられ、左,右の縦板5B,5Cの後端部には、後述のカウンタウエイト7が取付けられている。
6は旋回フレーム5の左前側(作業装置4のフート部左側)に搭載されたキャブ(図1参照)で、該キャブ6は、オペレータの運転室を画成するものである。また、キャブ6の内部には、オペレータが着座する運転席、走行用の操作レバー、作業用の操作レバー等(いずれも図示せず)が配設されている。
7は旋回フレーム5の後端部に取付けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト7は、作業装置4との重量バランスをとるものである。ここで、カウンタウエイト7は、図2ないし図3に示すように、前面7Aが平坦に形成され、後面7B側が湾曲するように突出している。また、カウンタウエイト7の前面7Aと上面7Cとの角隅部のうち、後述のエンジン8と対向する部位には、凹状に切欠かれた凹窪部7Dが設けられている。この凹窪部7Dは、後述のNOx浄化装置25の一部を収容するための空間(逃げ部)となるものである。
8はカウンタウエイト7の前側に位置して旋回フレーム5の後部側に搭載されたエンジンを示し、このエンジン8は、例えばディーゼルエンジンによって構成されている。ここで、エンジン8は、旋回フレーム5の後部側に例えば4個の防振マウント部材8A(図2および図3に1個のみ図示)を介して弾性的に支持され、全体として左,右方向に延びる横置き状態に配置されている。そして、エンジン8は、後述の油圧ポンプ9を駆動するもので、エンジン8から排出される排気ガスは、後述の排気管21を通じて外部に排出される構成となっている。また、エンジン8の左側には、後述の熱交換器10に冷却風を供給するための冷却ファン8Bが設けられている。
図4に示すように、エンジン8は、内部にエンジン冷却水が循環するウォータジャケット8Cを有し、該ウォータジャケット8Cは、後述の熱交換器10のラジエータ10Aに接続されている。エンジン冷却水は、エンジン8に設けられたウォータポンプ8Dによってウォータジャケット8Cとラジエータ10Aとの間で循環し、エンジン冷却水の熱は、ラジエータ10Aによって放出される構成となっている。さらに、エンジン冷却水は、後述する尿素水タンク27内の尿素水Lを温める加温流体としても用いられ、該加温流体としてのエンジン冷却水は、後述の加温配管32を介して尿素水タンク27内に流通する構成となっている。
9はエンジン8の右側に取付けられた油圧ポンプで、該油圧ポンプ9は、エンジン8によって駆動されることにより、後述の作動油タンク11から供給される作動油を、圧油として制御弁(図示せず)に向けて吐出するものである。
10はエンジン8の左側に配設された熱交換器で、該熱交換器10は、エンジン8の冷却ファン8Bに対面して設けられている。ここで、熱交換器10は、例えばエンジン冷却水を冷却するラジエータ10A、作動油を冷却するオイルクーラ、エンジン8が吸込む空気を冷却するインタクーラ等により構成されている。
11は油圧ポンプ9の前側に位置して旋回フレーム5の右側に設けられた作動油タンクで、該作動油タンク11は、下部走行体2、作業装置4等を駆動するための作動油を貯えるものである。また、12は作動油タンク11の前側に設けられた燃料タンクを示している。
13はキャブ6とカウンタウエイト7との間に位置して旋回フレーム5上に設けられた建屋カバー(図1参照)で、該建屋カバー13は、エンジン8、油圧ポンプ9、熱交換器10、後述のPM捕集装置23、NOx浄化装置25等を上方から閉塞するものである。
14はエンジン8の右側に位置して旋回フレーム5上に設けられた支持ブラケットで、該支持ブラケット14は、旋回フレーム5に対して後述のPM捕集装置23、NOx浄化装置25を支持するものである。ここで、支持ブラケット14は、図3に示すように、油圧ポンプ9の前側に立設された前脚部14Aと、油圧ポンプ9を前,後方向で挟んだ状態で前脚部14Aに対面して立設された後脚部14Bと、前脚部14Aの上部と後脚部14Bの上部とを連結すると共にPM捕集装置23およびNOx浄化装置25を載置する載置板14Cとにより大略構成されている。
そして、前脚部14Aは、例えば作動油タンク11の後面に対面するように配置され、その下部が旋回フレーム5に取付けられている。一方、後脚部14Bは、カウンタウエイト7の前面7Aに対面するように配置され、その下部が旋回フレーム5に取付けられている。また、載置板14Cは、上方から見て略L字状に形成され、その上面には、前,後方向に延びるようにPM捕集装置23が載置されると共に、左,右方向に延びるようにNOx浄化装置25が載置されている。
次に、エンジン8が排出する排気ガスを上部旋回体3の外部に排出するための構成について説明する。
21はエンジン8から排出される排気ガスを外部に排出する排気管で、該排気管21は、後述のエンジン側配管22と、PM捕集装置23と、屈曲管24と、NOx浄化装置25とにより大略構成されている。
22はエンジン8の排気口(過給機の排気口)に接続されたエンジン側配管で、該エンジン側配管22は、金属製の配管として形成され、エンジン8の排気口とPM捕集装置23との間を接続するものである。ここで、エンジン側配管22の途中部位には、蛇腹形状の金属筒体として形成されたベローズ管22Aが設けられている。このベローズ管22Aは、エンジン8とPM捕集装置23との間で両者間の相対的な変位(両者間の位置ずれ)を吸収するものである。
23は排気管21の途中、より具体的には、エンジン側配管22の出口側に設けられたPM捕集装置(粒子状物質除去装置)で、該PM捕集装置23は、旋回フレーム5に設けられた支持ブラケット14の載置板14C上に取付けられている。ここで、PM捕集装置23は、排気ガスに含まれる粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集して除去するものである。
このために、PM捕集装置23は、前,後方向に延びる円管状容器として形成された筒状ケース23Aと、該筒状ケース23Aの前側(上流側)からエンジン8側に突出しエンジン側配管22と接続された入口側接続部23Bと、筒状ケース23Aの後側(下流側)から後述のNOx浄化装置25側に突出した出口側接続部23Cと、筒状ケース23A内に収容された酸化触媒23DおよびPM捕集フィルタ23E(図4参照)とにより大略構成されている。
ここで、筒状ケース23A内に収容される酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)23Dは、排気ガスに含まれる一酸化窒素(NO)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化除去するものである。また、PM捕集フィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter)23Eは、排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集し、捕集した粒子状物質を燃焼させて除去するものである。
24はPM捕集装置23の出口側接続部23Cに接続された屈曲管で、該屈曲管24は、金属製の配管として形成され、PM捕集装置23と後述のNOx浄化装置25との間を接続するものである。ここで、屈曲管24は、全体として略L字状ないし1/4円弧状に屈曲するL字管として形成されている。そして、屈曲管24の途中部位には、後述の尿素水噴射弁26が設けられており、屈曲管24内を通過する排気ガスに向けて還元剤としての尿素水(尿素水溶液)Lを尿素水噴射弁26から噴射できるように構成している。
25は排気管21の途中、より具体的には、PM捕集装置23よりも排気ガスの流れ方向の下流側となる位置(屈曲管24の出口側)に設けられたNOx浄化装置で、該NOx浄化装置25は、PM捕集装置23と同様に、旋回フレーム5に設けられた支持ブラケット14の載置板14C上に取付けられている。ここで、NOx浄化装置25は、排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を窒素と水に分解して浄化するものである。
このために、NOx浄化装置25は、左,右方向に延びる円管状容器として形成された筒状ケース25Aと、該筒状ケース25Aの右側(上流側)からPM捕集装置23側に突出した入口側接続部25Bと、筒状ケース25Aの後側(下流側)から上向きに延びた排気口となる尾管25Cと、筒状ケース25A内に収容された尿素選択還元触媒25Dおよび酸化触媒25E(図4参照)とにより大略構成されている。
ここで、尿素選択還元触媒25Dよりも排気ガスの流れ方向の上流側となる屈曲管24には、後述する尿素水噴射弁26が設けられており、該尿素水噴射弁26は、屈曲管24を通過する排気ガスに向けて還元剤としての尿素水Lを噴射する。そして、筒状ケース25A内に収容された尿素選択還元触媒25Dは、筒状ケース25A内に導入された排気ガスに含まれる窒素酸化物を、尿素水Lから加水分解されたアンモニアにより選択的に還元反応させ、窒素と水に分解することにより、排気ガスから窒素酸化物を除去する。なお、筒状ケース25A内に収容された酸化触媒25Eは、例えば窒素酸化物と反応しきれずに余ったアンモニアを酸化・分解するものである。
26は尿素選択還元触媒25Dよりも排気ガスの流れ方向の上流側となる屈曲管24の途中部位に設けられた尿素水噴射弁(尿素水噴射ノズル)を示している。この尿素水噴射弁26は、後述の尿素水タンク27に貯溜された還元剤としての尿素水(尿素水溶液)Lを、屈曲管24内を流れる排気ガスに向けて噴射(噴霧)するものである。
ここで、尿素水噴射弁26は、その噴射口が屈曲管24の下流端側開口に対向(対面)するように、屈曲管24に取付けられている。即ち、尿素水噴射弁26(の噴射口)は、L字状(1/4円弧状)の屈曲管24内をNOx浄化装置25に向けて流れる排気ガスの流れ方向に対して平行(同方向)に、かつ、屈曲管24の下流側の開口面に対して直交するように設けられている。
これにより、尿素水噴射弁26は、排気ガスの流れ方向に向けて尿素水Lを噴射することができ、排気ガス中に還元剤である尿素水L(ないし尿素水Lから加水分解されたアンモニア)を拡散(均一に混合)させることができる。この結果、NOx浄化装置25の尿素選択還元触媒25Dには、均一なアンモニア混合排気を送ることができ、尿素選択還元触媒25Dによる還元反応を効率よく行うことができる。
次に、還元剤である尿素水Lを尿素水噴射弁26に供給するための構成について説明する。
27は尿素水Lを貯えるための尿素水タンクで、該尿素水タンク27は、カウンタウエイト7の前面7Aと油圧ポンプ9との間に位置して旋回フレーム5上に支持台28を介して取付けられている。ここで、尿素水タンク27は、例えば鋼板等の金属板にプレス加工等を施すことにより、あるいは合成樹脂により、横断面形状が略矩形の中空な容器として形成されている。そして、尿素水タンク27の底部27Aの略中央位置には、後述の突出部29と連通する貫通孔27Bが設けられている。
一方、尿素水タンク27の上部には、尿素水タンク27内に尿素水Lを入れる(注ぐ)ための供給口27Cが設けられ、該供給口27Cは、キャップ27Dによって塞がれている。また、尿素水タンク27の上部のうち供給口27Cから外れた位置には、後述の接続配管30を構成する戻り管30Cの下流端が尿素水タンク27内に開口するように設けられている。
29は尿素水タンク27の底部27Aの中央部に設けられた突出部を示している。この突出部29は、尿素水タンク27の底部27Aの底面から下方に向けて突出して設けられたもので、例えば鋼板等の金属板にプレス加工等を施すことにより、あるいは合成樹脂により形成されている。ここで、底部27Aの内部は、尿素水タンク27に比較して少容量の尿素水Lを貯えることができるように構成されている。このために、突出部29は、略円筒状の筒部29Aと、該筒部29Aの下端側を塞ぐ底部29Bと、筒部29Aの上端側に全周にわたって設けられたフランジ部29Cとにより大略構成され、筒部29Aの上端側は、尿素水タンク27に開口する開口部29Dとなっている。
そして、突出部29は、フランジ部29Cを尿素水タンク27の底部27Aにボルト等の固定具(図示せず)を用いて固定することにより、尿素水タンク27に対して着脱可能に固定できるように構成している。なお、突出部29は、フランジ部29Cを尿素水タンク27の底部27Aに溶接手段、ろう付け手段、接着手段等を用いて固着することにより、尿素水タンク27に対して固定してもよい。
また、突出部29の筒部29Aには、該突出部29に対して後述する接続配管30(上流側供給管30A)の上流側端部30A1を固定する(取付ける)ための接続配管取付孔29Eが貫通して設けられている。また、突出部29の筒部29Aのうち接続配管取付孔29Eを上,下方向に挟む位置には、突出部29に対して後述する加温配管32の折返し管32Cを固定する(取付ける)ための2個の加温配管取付孔29Fが貫通して設けられている。さらに、突出部29の底部29Bには、突出部29に対して後述する温度センサ33を固定する(取付ける)ための温度センサ取付孔29Gが貫通して設けられている。
そして、これら各取付孔29E,29F,29Gにそれぞれ接続配管30の上流側端部30A1と加温配管32の折返し管32Cと温度センサ33とを取付けることにより、突出部29内には、加温配管32の折返し管32Cが配設されると共に、接続配管30の流入口30A2と温度センサ33とが設けられる構成となっている。これにより、図6に示すように、例えば尿素水タンク27内の尿素水Lの量が少なくなると共に尿素水Lの液面が大きく変動(傾斜、振動)する場合でも、突出部29内に貯えられた尿素水Lによって接続配管30の流入口30A2、加温配管32の折返し管32C、温度センサ33が露出することを抑制することができる。
また、接続配管30の上流側端部30A1は、突出部29の接続配管取付孔29Eに取付けた状態で、突出部29の外部から内部に向けて横方向に配設される。また、加温配管32の折返し管32Cも、突出部29の加温配管取付孔29Fに取付けた状態で、突出部29の外部から内部に向けて横方向に配設される。このため、例えば接続配管30の上流側端部30A1と加温配管32の折返し管32Cとを尿素水タンク27内に縦方向(上,下方向)に配設する構成に比べ、尿素水タンク27内に浮かぶ尿素水Lの氷塊や液面の変動によって上流側端部30A1と折返し管32Cとが損傷することを低減することができる。
30は尿素水タンク27と尿素水噴射弁26との間を接続する接続配管を示している。この接続配管30は、図4に示すように、例えば、尿素水タンク27と後述する尿素水供給装置31との間を接続する上流側供給管30Aと、尿素水供給装置31と尿素水噴射弁26との間を接続する下流側供給管30Bと、尿素水供給装置31と尿素水タンク27とを接続する戻り管30Cとにより大略構成されている。
そして、上流側供給管30Aの上流側端部30A1は、突出部29の接続配管取付孔29Eを通じて該突出部29内に横方向に挿通(配設)され、その流入孔30A2は、突出部29内に開口している。これにより、上流側供給管30Aの流入孔30A2は、尿素水Lから露出しにくくでき、尿素水タンク27内の尿素水Lを尿素水供給装置31(尿素水噴射弁26側)に安定して供給することができる。また、上流側供給管30Aの上流側端部30A1は、例えば尿素水タンク27内に縦方向(上,下方向)に配設する構成に比べ、尿素水タンク27内に浮かぶ尿素水Lの氷塊や液面の変動によって損傷することを低減することもできる。
31は接続配管30の途中部位に設けられた尿素水供給装置で、該尿素水供給装置31は、ポンプ、切換弁、コントローラ等により構成され、運転状況(例えば排気ガスの排出量等)に応じて尿素水噴射弁26に所望の尿素水Lを供給するものである。このために、尿素水供給装置31には、接続配管30を構成する上流側供給管30Aの下流端と、下流側供給管30Bの上流端と、戻り管30Cの上流端が、それぞれ接続されている。そして、尿素水供給装置31は、尿素水タンク27から上流側供給管30Aを通じて尿素水タンク27内の尿素水Lを吸込み、該吸込んだ尿素水Lのうちからその時点の運転状況に応じた噴霧すべき尿素水Lを下流側供給管30Bを通じて尿素水噴射弁26に送る(供給する)。一方、尿素水供給装置31で余剰となった尿素水Lは、尿素水供給装置31から戻り管30Cを通じて尿素水タンク27に戻る構成となっている。
32は尿素水タンク27内の尿素水Lを暖める加温流体を流通させるための加温配管を示している。この加温配管32は、加温流体としてのエンジン冷却水の一部を、尿素水タンク27内に流通させるものである。このために、加温配管32は、例えば断熱性能の高いホース等により形成され、エンジン8で暖められたエンジン冷却水を尿素水タンク27に向けて供給する供給管32Aと、同じく断熱性能の高いホース等により形成され、尿素水タンク27からエンジン8側にエンジン冷却水を戻す戻り管32Bと、例えば鋼管等の金属管により形成され、供給管32Aの下流端と戻り管32Bの上流端とを接続する折返し管32Cとにより構成されている。
ここで、折返し管32Cは、突出部29の加温配管取付孔29Fを通じて該突出部29内に横方向に挿通(配設)され、該折返し管32C内を流通するエンジン冷却水によって突出部29内の尿素水Lを暖める構成となっている。このように折返し管32Cは、尿素水タンク27の突出部29内に配設される構成となっているため、尿素水Lから露出しにくくすることができ、尿素水タンク27内の尿素水Lを安定して加温することができる。この場合、突出部29内に横方向に配設された折返し管32Cは、突出部29内の尿素水Lを集中的に加温することができ、加温配管32による加温効率を高めることもできる。しかも、折返し管32Cは、例えば尿素水タンク27内に縦方向(上,下方向)に配設する構成に比べ、尿素水タンク27内に浮かぶ尿素水Lの氷塊や液面の変動によって損傷することを低減することもできる。
33は尿素水タンク27の突出部29に設けられた温度センサで、該温度センサ33は、尿素水タンク27内に貯溜される尿素水Lの温度を検出するためのものである。ここで、温度センサ33は、例えば、尿素水Lの温度を検出する検出部33Aと、該検出部33Aの周囲を覆うように設けられた取付スリーブ33Bと、検出部33Aとコントローラ(図示せず)との間を接続するケーブル33Cとにより大略構成されている。
そして、温度センサ33は、突出部29の温度センサ取付孔29Gに取付けることにより、突出部29内の尿素水Lの温度を検出できるように構成している。温度センサ33の検出部33Aは、尿素水タンク27の突出部29内に設けられているため、温度センサ33の検出部33Aが尿素水Lから露出しにくくすることができ、温度センサ33の検出精度を高めることができる。しかも、温度センサ33は、例えば尿素水タンク27の上部側に設ける構成に比べ、尿素水タンク27内に浮かぶ尿素水Lの氷塊や液面の変動によって損傷することを低減することもできる。
次に、尿素水タンク27の組立手順(製造方法)について説明する。
まず、図7および図8に示すように、尿素水タンク27を構成する突出部29に、接続配管30の上流側端部30A1と加温配管32の折返し管32Cと温度センサ33とを取付ける。より具体的には、突出部29の筒部29Aに設けられた接続配管取付孔29Eに接続配管30の上流側端部30A1取付け、同じく筒部29Aに設けられた各加温配管取付孔29Fに加温配管32の折返し管32Cを取付け、さらに、突出部29の底部29Bに設けた温度センサ取付孔29Gに温度センサ33を取付ける。これにより、突出部29と接続配管30の上流側端部30A1と加温配管32の折返し管32Cと温度センサ33とは、1つのまとまったサブモジュール(ユニット)として一体的に取り扱うことができ、尿素水タンク27の組立作業の容易化等を図ることができる。
このようにサブモジュールとして上流側端部30A1と折返し管32Cと温度センサ33とが取付けられた突出部29は、図7に示すように、尿素水タンク27の底部27Aの下面に取付ける。具体的には、突出部29のフランジ部29Cの上面を、尿素水タンク27の底部27Aの下面に当接させ、例えば図示しないボルト等の固定具を用いてフランジ部29Cを尿素水タンク27の底部27Aに取付ける。これにより、下面側に突出部29が設けられた尿素水タンク27を組み立てることができる。なお、接続配管30の戻り管30Cとキャップ27Dは、必要に応じて尿素水タンク27に取付ける。
第1の実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
まず、オペレータは、上部旋回体3のキャブ6に搭乗し、エンジン8を始動して油圧ポンプ9を駆動する。これにより、油圧ポンプ9からの圧油は、制御弁を介して各種アクチュエータに供給される。そして、キャブ6に搭乗したオペレータが走行用の操作レバー(図示せず)を操作したときには、下部走行体2を前進または後退させることができる。一方、オペレータは、作業用の操作レバー(図示せず)を操作することにより、作業装置4を俯仰動させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
また、エンジン8の運転時に、エンジン8から排出される排気ガスは、排気管21を通じて大気中に排出される。このとき、排気ガスが、エンジン側配管22を通じてPM捕集装置23に導入されると、酸化触媒23Dは、排気ガス中の一酸化窒素(NO)や一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化除去し、PM捕集フィルタ23Eは、排気ガス中の粒子状物質(PM)を捕集して除去する。
そして、PM捕集装置23で粒子状物質等が除去された排気ガスは、屈曲管24内を通過するときに、尿素水噴射弁26から尿素水Lが噴射(噴霧)される。そして、尿素水Lが噴射された排気ガスは、尿素水Lないし尿素水Lから加水分解されたアンモニアが混合されたアンモニア混合排気となってNOx浄化装置25に導入される。
さらに、アンモニア混合排気がNOx浄化装置25に導入されると、尿素選択還元触媒25Dは、排気ガスに含まれる窒素酸化物を、尿素水Lから加水分解されるアンモニアにより選択的に還元反応させ、窒素と水に分解する。そして、尿素選択還元触媒25Dにより窒素酸化物が分解・除去(浄化)された排気ガスは、酸化触媒25Eにより余ったアンモニアが酸化・分解された後、尾管25Cを通じて大気中に排出される。
この場合、尿素水噴射弁26から噴射される尿素水Lは、尿素水供給装置31によって尿素水タンク27から接続配管30を介して供給される。ここで、接続配管30の上流側供給管30Aの流入口30A2は、尿素水タンク27の突出部29内に開口している。このため、図6に示すように、尿素水タンク27内の尿素水Lの量が少なくなると共に尿素水Lの液面が大きく変動(傾斜、振動)する場合でも、突出部29内に貯えられた尿素水Lによって接続配管30の流入口30A2が露出することを抑制することができ、尿素水タンク27内の尿素水Lを尿素水供給装置31(尿素水噴射弁26側)に安定して供給することができる。
また、エンジン8の運転時、尿素水タンク27内の尿素水Lは、エンジン冷却水によって加温される(暖められる)。即ち、エンジン冷却水は、加温配管32を通じて尿素水タンク27の突出部29内を流通し、このとき、該突出部29内の尿素水Lは、エンジン冷却水の熱によって加温される。このため、油圧ショベル1を、例えば尿素水Lが凍結するような寒冷地で使用する場合でも、エンジン冷却水によって凍結した尿素水Lを解凍し、その解凍された尿素水Lを尿素水噴射弁26に送ることができる。
この場合、突出部29内の尿素水Lは、突出部29内に横方向に配設された折返し管32Cによって集中的に暖められるため、尿素水タンク27内の尿素水Lを効率よく加温(解凍)することができる。また、尿素水Lの凍結、解凍等に伴って尿素水タンク27内で尿素水Lの氷塊が浮遊した場合でも、接続配管30の上流側端部30A1と加温配管32の折返し管32Cと温度センサ33は、尿素水タンク27の下面側の突出部29内に設けられているため、これら上流側端部30A1、折返し管32C、温度センサ33が尿素水Lの氷塊や液面の変動によって損傷することを低減できる。
本実施の形態によれば、尿素水タンク27の底面に突出部29を設けると共に、該突出部29内に接続配管30の流入口30A2、加温配管32の折返し管32C、温度センサ33を設ける構成としている。このため、図6に示すように、尿素水タンク27内の尿素水Lの量が少なくなると共に尿素水Lの液面が大きく変動(傾斜、振動)する場合でも、突出部29内に貯えられた尿素水Lによって接続配管30の流入口30A2、加温配管32の折返し管32C、温度センサ33が露出することを抑制することができる。
このため、尿素水Lの量や液面の変動に拘わらず、接続配管30を通じて尿素水Lを尿素水噴射弁26に安定して供給することができる。また、加温配管32の折返し管32Cによって尿素水Lを安定して加温することもできる。さらに、温度センサ33の検出精度を高めることもできる。これにより、NOx浄化装置25の浄化性能の向上、NOx浄化装置25の安定性、信頼性の向上を図ることができる。
本実施の形態によれば、突出部29に加温配管32の折返し管32Cと接続配管30の上流側端部30A1とを、突出部29の外部から内部に向けて横方向に配設する構成としている。このため、加温配管32の折返し管32Cと接続配管30の上流側端部30A1とを、例えば尿素水タンク27内に縦方向(上,下方向)に配設する構成に比べ、尿素水タンク27内に浮かぶ尿素水Lの氷塊や液面の変動によって損傷することを低減することもできる。また、温度センサ33に関しても、突出部29内に設ける構成としているので、尿素水タンク27内に浮かぶ尿素水Lの氷塊や液面の変動によって温度センサ33の検出部33Aが損傷することを低減することもできる。
さらに、本実施の形態によれば、突出部29に加温配管32の折返し管32Cと接続配管30の上流側端部30A1と温度センサ33とを固定する(取付ける)構成としているので、図7および図8に示すように、突出部29と折返し管32Cと上流側端部30A1と温度センサ33とを1つのまとまったサブモジュール(ユニット)として一体的に取り扱うことができる。これにより、折返し管32Cと上流側端部30A1と温度センサ33とを含む尿素水タンク27全体としての小型化、構成部品の簡素化、組立作業の容易化(組立性の向上)を図ることもできる。
次に、図9ないし図11は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、突出部の開口部を多孔板により覆うと共に、突出部に尿素水タンク内の尿素水の濃度、液種等を検出する識別センサを設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、41は突出部29の開口部29Dを覆う多孔板を示している。この多孔板41は、例えば鋼板等の金属板、あるいは合成樹脂製の板材等を用いて形成されたもので、該多孔板41には、上,下方向(表,裏方向)に貫通して複数の流通孔41Aが設けられている。これら各流通孔41Aは、尿素水タンク27内と突出部29内との間で尿素水Lを流通させるものである。
そして、多孔板41の下面は、突出部29のフランジ部29Cに例えば溶接手段、ろう付け手段、接着手段等を用いて固着されている。また、多孔板41の上面は、尿素水タンク27の底部27Aに例えば溶接手段、ろう付け手段、接着手段等を用いて固着されている。なお、多孔板41は、突出部29のフランジ部29Cと尿素水タンク27の底部27Aとに、ボルト等の固定具を用いて固定することもできる。
尿素水タンク27と突出部29とを尿素水Lの流通を可能に隔てる多孔板41は、尿素水タンク27内に浮かぶ尿素水Lの氷塊から、突出部29内に設けられる接続配管30の上流側端部30A1と加温配管32の折返し管32Cと温度センサ33と後述の識別センサ43とを保護することができる。また、多孔板41は、突出部29内で暖められた尿素水Lが突出部29の開口部29Dから上側に流出することを抑制することができ、これにより、突出部29内で尿素水Lを効率よく暖めることができる。
42は突出部29の底部29Bに設けられた識別センサ取付孔で、該識別センサ取付孔42は、突出部29の底部29Bのうち温度センサ取付孔29Gから外れた位置に設けられている。そして、識別センサ取付孔42には、後述の識別センサ43が取付けられている。
43は尿素水タンク27の突出部29に設けられた識別センサで、該識別センサ43は、尿素水タンク27内に貯溜される尿素水Lの濃度、液種等を検出するためのものである。ここで、識別センサ43は、例えば、尿素水Lの濃度、液種等を検出する検出部43Aと、該検出部43Aの周囲を覆うように設けられた取付スリーブ43Bと、検出部43Aとコントローラ(図示せず)との間を接続するケーブル43Cとにより大略構成されている。
そして、識別センサ43は、突出部29の識別センサ取付孔42に取付けることにより、突出部29内の尿素水Lの濃度、液種等を検出できるように構成している。識別センサ43の検出部43Aは、尿素水タンク27の突出部29内に設けられているため、識別センサ43の検出部43Aが尿素水Lから露出しにくくすることができ、識別センサ43の検出精度を高めることができる。しかも、識別センサ43は、例えば尿素水タンク27の上部側に設ける構成に比べ、尿素水タンク27内に浮かぶ尿素水Lの氷塊や液面の変動によって損傷することを低減することもできる。
次に、本実施の形態の尿素水タンク27の組立手順(製造方法)について説明する。
まず、図10および図11に示すように、尿素水タンク27を構成する突出部29に、接続配管30の上流側端部30A1と加温配管32の折返し管32Cと温度センサ33と識別センサ43とを取付ける。次いで、突出部29のフランジ部29Cに多孔板41を例えば溶接手段、ろう付け手段、接着手段等を用いて固着する。これにより、突出部29と上流側端部30A1と折返し管32Cと温度センサ33と識別センサ43と多孔板41とは、1つのまとまったサブモジュール(ユニット)として一体的に取り扱うことができ、尿素水タンク27の組立作業の容易化等を図ることができる。
このようにサブモジュールとして上流側端部30A1と折返し管32Cと温度センサ33と識別センサ43と多孔板41とが取付けられた突出部29は、図10に示すように、尿素水タンク27の底部27Aの下面に取付ける。具体的には、多孔板41の上面を、尿素水タンク27の底部27Aの下面に当接させ、例えば溶接手段、ろう付け手段、接着手段等を用いて多孔板41を尿素水タンク27の底部27Aに固着する。これにより、下面側に突出部29が設けられた尿素水タンク27を組み立てることができる。なお、接続配管30の戻り管30Cとキャップ27Dは、必要に応じて尿素水タンク27に取付ける。
本実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き尿素水タンク27を用いて尿素水Lを貯留するもので、その基本的作用については、上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
特に、本実施の形態によれば、突出部29の開口部29Dを多孔板41により覆う構成としているので、突出部29内で暖められた尿素水Lが突出部29の開口部29Dから上側に流出することを抑制することができる。これにより、突出部29内で尿素水Lを効率よく暖めることができ、加温配管32による尿素水Lの加温効率を向上することができる。しかも、多孔板41によって突出部29内に尿素水Lの氷塊が入り込むことを低減することもでき、突出部29内に設けられる接続配管30の上流側端部30A1と加温配管32の折返し管32Cと温度センサ33と識別センサ43が尿素水Lの氷塊によって損傷することを抑制することもできる。
次に、図12および図13は本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、突出部の開口部を多孔板により覆うと共に、加温配管と接続配管とを尿素水タンクの縦方向(上,下方向)に配設する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、51は尿素水Lを貯えるための尿素水タンクで、該尿素水タンク51は、上述した第1の実施の形態の尿素水タンク27に代えて、本実施の形態で用いたものである。ここで、尿素水タンク51は、その底部51Aの略中央位置に、後述の突出部52と連通すると共に多孔板53が取付けられる貫通孔51Bが設けられている。
一方、尿素水タンク51の上部には、供給口51Cが設けられ、該供給口51Cは、キャップ51Dによって塞がれている。また、尿素水タンク51の上部のうち供給口51Cから外れた部位には、開口部51Eが設けられている。この開口部51Eは、接続配管30を構成する上流側供給管30Aおよび戻り管30Cと、加温配管32の折返し管32Cと、温度センサ54のケーブル54Bおよび識別センサ55のケーブル55Bとが挿通されるものである。そして、開口部51Eは、蓋体51Fによって塞がれている。
52は尿素水タンク51の底部51Aの中央部に設けられた突出部で、該突出部52は、上述した第1の実施の形態の突出部29に代えて、本実施の形態で用いたものである。ここで、突出部52は、第1の実施の形態の突出部29と同様に、筒部52Aと、底部52Bと、フランジ部52Cとにより大略構成され、筒部52Aの上端側は、尿素水タンク51に開口する開口部52Dとなっている。ただし、本実施の形態の突出部52は、第1の実施の形態の突出部29のような接続配管取付孔29E、加温配管取付孔29F、温度センサ取付孔29Gは設けられていない。
53は突出部52の開口部52Dを覆う多孔板を示している。この多孔板53は、例えば鋼板等の金属板、あるいは合成樹脂製の板材等を用いて形成されたもので、該多孔板53には、複数個の流通孔53Aと、接続配管取付孔53Bと、2個の加温配管取付孔53Cと、センサ取付孔53Dとが上,下方向(表,裏方向)に貫通して設けられている。そして、多孔板53の外周面は、尿素水タンク51の貫通孔51Bの内周面に例えば溶接手段、ろう付け手段、接着手段等を用いて固着されている。
ここで、多孔板53の流通孔53Aは、尿素水タンク51内と突出部53内との間で尿素水Lを流通させるためのものである。また、多孔板53の各取付孔53B,53C,53Dには、それぞれ接続配管30の上流側端部30A1と、加温配管32の折返し管32Cと、後述する温度センサ54と、識別センサ55とが取付けられている(固定されている)。これにより、突出部52内には、折返し管32Cの先端側(折返し側)が配設されると共に、接続配管30の流入口30A2と温度センサ54と識別センサ55とが設けられる構成となっている。
接続配管30の上流側端部30A1は、多孔板53の接続配管取付孔53Bに取付けることにより、尿素水タンク51内に縦方向(上,下方向)に配設される構成となっている。また、加温配管32の折返し管32Cも、多孔板53の加温配管取付孔53Cに取付けることにより、尿素水タンク51内に縦方向(上,下方向)に配設される構成となっている。
尿素水タンク51と突出部52とを尿素水Lの流通を可能に隔てる多孔板53は、例えば尿素水タンク51内に浮かぶ尿素水Lの氷塊から、突出部52内に設けられる接続配管30の流入口30A2、折返し管32Cの先端側(折返し側)、温度センサ54、識別センサ55を保護することができる。また、多孔板53は、突出部52内で暖められた尿素水Lが突出部52の開口部52Dから上側に流出することを抑制することができ、これにより、突出部52内で尿素水Lを効率よく暖めることができる。
54は尿素水タンク51の突出部52内に設けられた温度センサを示している。この温度センサ54は、尿素水Lの温度を検出する検出部54Aと、該検出部54Aとコントローラ(図示せず)との間を接続するケーブル54Bとにより大略構成されている。
55は尿素水タンク51の突出部52内に設けられた識別センサを示している。この識別センサ55は、尿素水Lの濃度、液種等を検出する検出部55Aと、該検出部55Aとコントローラ(図示せず)との間を接続するケーブル55Bとにより大略構成されている。
そして、温度センサ54と識別センサ55は、そのケーブル54B,55Bが多孔板53のセンサ取付孔53Dに取付けられ、これにより、その検出部54A,55Aが突出部52内に配置される構成となっている。
次に、本実施の形態の尿素水タンク51の組立手順(製造方法)について説明する。
まず、図13に示すように、多孔板53に、接続配管30の上流側端部30A1と加温配管32の折返し管32Cと温度センサ54と識別センサ55とを取付ける。より具体的には、多孔板53の接続配管取付孔53Bに接続配管30の上流側端部30A1取付け、加温配管取付孔53Cに加温配管32の折返し管32Cを取付け、さらに、センサ取付孔53Dに温度センサ54のケーブル54Bと識別センサ55のケーブル55Bを取付ける。これにより、多孔板53と接続配管30の上流側端部30A1と加温配管32の折返し管32Cと温度センサ54と識別センサ55とは、1つのまとまったサブモジュール(ユニット)として一体的に取り扱うことができ、尿素水タンク51の組立作業の容易化等を図ることができる。
このようにサブモジュールとして上流側端部30A1と折返し管32Cと温度センサ54と識別センサ55が取付けられた多孔板53は、尿素水タンク27の貫通孔51Bに取付ける。具体的には、多孔板53を貫通孔51Bに嵌着し、多孔板53の外周面と貫通孔51Bの内周面とを、例えば溶接手段、ろう付け手段、接着手段等を用いて固着する。
次いで、尿素水タンク51の底部51Aの下面に、突出部52を取付ける。具体的には、突出部52のフランジ部52Cの上面を、尿素水タンク51の底部51Aの下面に当接させ、例えば溶接手段、ろう付け手段、接着手段等を用いて固着する。これにより、下面側に突出部52が設けられた尿素水タンク51を組み立てることができる。なお、キャップ51Dと蓋体51Fと接続配管30の戻り管30Cは、必要に応じて尿素水タンク51ないし蓋体51Fに取付ける。
本実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き尿素水タンク51を用いて尿素水Lを貯留するもので、その基本的作用については、上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
即ち、本実施の形態の場合も、上述した第1の実施の形態と同様に、尿素水タンク51内の尿素水Lの量が少なくなると共に尿素水Lの液面が大きく変動(傾斜、振動)する場合でも、突出部52内に貯えられた尿素水Lによって接続配管30の流入口30A2、加温配管32の折返し管32C、温度センサ54の検出部54A、識別センサ55の検出部55Aが露出することを抑制することができる。
このため、尿素水Lの量や液面の変動に拘わらず、接続配管30を通じて尿素水Lを尿素水噴射弁26に安定して供給することができる。また、加温配管32の折返し管32Cによって尿素水Lを安定して加温することもできる。さらに、温度センサ54および識別センサ55の検出精度を高めることもできる。これにより、NOx浄化装置25の浄化性能の向上、NOx浄化装置25の安定性、信頼性の向上を図ることができる。
さらに、本実施の形態によれば、突出部52の開口部52Dを多孔板53により覆う構成としているので、突出部52内で暖められた尿素水Lが突出部52の開口部52Dから上側に流出することを抑制することができる。これにより、突出部52内で尿素水Lを効率よく暖めることができ、加温配管32による尿素水Lの加温効率を向上することができる。しかも、多孔板53によって突出部52内に尿素水Lの氷塊が入り込むことを低減することもでき、突出部52内に設けられる接続配管30の流入口30A2、折返し管32Cの先端側(折返し側)、温度センサ54の検出部54A、識別センサ55の検出部55Aが尿素水Lの氷塊によって損傷することを抑制することもできる。
また、本実施の形態によれば、多孔板53に加温配管32の折返し管32Cと接続配管30の上流側端部30A1と温度センサ54と識別センサ55とを固定する(取付ける)構成としているので、多孔板53によって折返し管32Cと上流側端部30A1と温度センサ54と識別センサ55とを1つのまとまったサブモジュール(ユニット)として一体的に取り扱うことができる。これにより、折返し管32Cと上流側端部30A1と温度センサ54と識別センサ55とを含む尿素水タンク51全体としての小型化、構成部品の簡素化、組立作業の容易化(組立性の向上)を図ることもできる。
なお、上述した各実施の形態では、尿素水タンク27,51をカウンタウエイト7の前面7Aと油圧ポンプ9との間に配置した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば、図14に示す変形例のように、尿素水タンク61を燃料タンク12の前側に配置してもよい。
上述した各実施の形態および変形例では、尿素水タンク27,51,61を横断面形状が矩形のものとした場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば尿素水タンクを横断面形状が円形のものや多角形状のものとしてもよい。
上述した各実施の形態では、尿素水タンク27,51の中央部に突出部29,52を設ける構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば尿素水タンクの搭載位置や尿素水タンクの形状等に応じて、尿素水タンクの中央部以外(中央部から外れた位置)に突出部を設ける構成としてもよい。
上述した各実施の形態では、突出部29,52の横断面形状を円形とした場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば突出部の横断面形状を楕円形や、矩形、五角形等の多角形にしてもよい。
上述した各実施の形態では、突出部29,52を尿素水タンク27,51と別体(別部材)に形成した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば突出部を尿素水タンクと一体に形成する構成としてもよい。
上述した各実施の形態では、突出部29,52内に温度センサ33,54ないし識別センサ43,55を設ける構成とした場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば尿素水の水位を検出するための水位センサ(圧力センサ)等を設けることができる。即ち、突出部には、温度センサ、識別センサ、水位センサ等の各種センサのなかから必要に応じて選択した1ないし複数のセンサを設けることができる。
上述した各実施の形態では、加温流体としてエンジン冷却水を用いる場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば作動油の戻り油等、エンジン冷却水とは別の加温流体を用いる構成としてもよい。
また、上述した各実施の形態では、建設機械として、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適用してもよい。それ以外にも、ホイールローダ、ダンプトラック、リフトトラック等の他の建設機械にも広く適用することができる。