JP5631355B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents
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Description
また、固定スクロールと旋回スクロールとの間に異物が挟まれた場合にも、異物の噛み込みによる反力が発生し、異物の逃げ通路が確保できなくなり、固定スクロールなどが破損する恐れがあった。
一方、縦置き型スクロール圧縮機は、スクロール圧縮機が停止しても、重力が働く方向が上述の異音が発生しにくかった。
一方エンジン等は、インバータモータ等と比較して、発生できる駆動トルクの値が大きい。そのため、圧縮室から液体を排出するのに要する期間が短くなり、上述の異音が発生する期間も短くなっていた。
本発明のスクロール圧縮機は、閉塞された圧縮室を形成する固定スクロールおよび旋回スクロールと、中心軸線周りに回転可能に支持された主軸と、前記旋回スクロールと対向する前記主軸の端部における前記中心軸線から偏心した位置から、前記中心軸線に沿って延びる駆動ピンと、前記旋回スクロールにおける前記主軸と対向した面から、前記中心軸線に沿って延びるボス部と、前記駆動ピンが回転可能に挿通される偏心孔が形成され、前記ボス部の内部に回転可能に配置されるブッシュと、前記主軸および前記ブッシュの一方において、前記中心軸線から偏心するとともに前記駆動ピンとは異なる位置から、前記中心軸線に沿って延びるリミットピンと、前記主軸および前記ブッシュの他方において、前記リミットピンと対向する位置から前記中心軸線に沿って前記リミットピンが挿通されるように延びるとともに、前記リミットピンよりも直径が大きなリミット穴と、が設けられ、前記主軸の軸方向視で、前記ブッシュにおける前記偏心孔と、前記リミットピンまた前記リミット穴と、前記ブッシュの中心軸線とが一直線上に配列され、前記リミットピンまた前記リミット穴は、その中心軸線が、前記主軸の軸部の外周面よりも内側に位置するように設置されていることを特徴とする。
旋回スクロールを固定スクロールに押し付ける力が大きくなりすぎた場合(例えば、圧縮室内に非圧縮性流体である液体が存在する場合や、両スクロールの間に異物が噛み込まれた場合など)には、ブッシュは、駆動ピンを中心として旋回スクロールの旋回半径が小さくなる方向に回転され、リミットピンとリミット穴とが離間する。
以下、本発明の第1の実施形態に係るスクロール圧縮機ついて図1から図6を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るスクロール圧縮機に構成を説明する概略図である。
本実施形態においては、インバータモータにより駆動される横置き型のスクロール圧縮器であって、車両用空気調和機の冷媒を圧縮するスクロール圧縮機に適用して説明する。
第1フランジ部23は、ハウジングボルト25を用いて第1ハウジング15、第2ハウジング17およびモータケース19を一体に固定する際に用いられるものであって、第1ハウジング15の開口側の端部に半径方向外側に向かって延びる部材である。
第2ハウジング17の鍔部29には、ハウジングボルト25を用いて第1ハウジング15、第2ハウジング17およびモータケース19を一体に固定する際に用いられる第2フランジ部33が設けられている。第2フランジ部33は、鍔部29から半径方向外側に向かって延びる部材である。
ケースフランジ部37は、ハウジングボルト25を用いて第1ハウジング15、第2ハウジング17およびモータケース19を一体に固定する際に用いられるものであって、モータケース19の開口側の端部から半径方向外側に向かって延びる部材である。
固定スクロール5には、固定端板39と、固定端板39から旋回スクロール7に向かって延びる渦巻状の固定壁体41が設けられている。固定スクロール5は第1ハウジング15の底面に固定されている。
固定端板39の中心部には吐出孔43が設けられ、圧縮室Cで圧縮された冷媒が、吐出孔43を介して吐出室21に吐出される。
旋回端板45における主軸9と対向する面には、主軸9に向かって延びる円筒状のボス部51が設けられている。ボス部51には、主軸9による公転駆動力が伝達されるブッシュ63を回転可能に支持する旋回部ベアリングが配置されている。
主軸9は、図1に示すように、インバータモータ13から旋回スクロール7に向かって延びる円柱状の部材である。主軸9には、図1および図2に示すように、ロータ75に固定されている円柱状のクランクシャフト55と、クランクシャフト55よりも直径の大きな円板部57と、クランクシャフト55に中心軸線から偏心した位置から中心軸線に沿って延びるクランクピン(駆動ピン)59とが設けられている。
円板部57は円周面がラジアルベアリング31に支持される部分であり、クランクピン59が設けられているとともに、リミットピン65が挿入されるリミット穴61が設けられている部分である。
なお、リミット穴61は、上述のように穴として形成されていてもよいし、リミットピン65が挿通される溝として形成されていいてもよく、特に限定するものではない。
主軸9と旋回スクロール7との間には、図1に示すように、ドライブブッシュ部11が設けられている。
ドライブブッシュ部11には、図4に示すように、ブッシュ63と、リミットピン65と、カウンターウエイト67とが設けられている。
リミットピン65における円板部57側の端部近傍には、弾性部73が嵌められる凹状の嵌合溝71がリミットピン65の円周面にわたって形成されている。
なお、リミットピン65は、上述のように、円柱状の部材として形成されていてもよいし、その他の断面形状を有する柱状の部材として形成されていてもよく、特に限定するものではない。
弾性部73は、旋回スクロール7が旋回駆動されていない場合には、旋回スクロール7の自重を支え、リミットピン65をリミット穴61から離間して保持する剛性を少なくとも備えている。一方、弾性部73の剛性は、旋回スクロール7が旋回駆動され、遠心力および冷媒の圧縮による反力が働いている場合には、つぶされてリミットピン65とリミット穴61とが直接接触する程度に抑えられている。
主軸9とドライブブッシュ部11とは、図6および図7に示すように、クランクピン59がクランク孔69に挿通されるとともに、リミットピン65がリミット穴61に挿通されるように組み合わされる。リミットピン65の弾性部73は、リミットピン65とともにリミット穴61の内部に挿入され、リミット穴61の内周面と接触している。
このように組み合わされているため、ドライブブッシュ部11は、クランクピン59を回転中心として、リミットピン65およびリミット穴61に規制される範囲内で回転可能とされている。
インバータモータ13には、図1に示すように、主軸9およびドライブブッシュ部11を介して旋回スクロール7を公転旋回させるロータ75およびステータ77と、ステータ77に供給する交流電流を制御するインバータ部79と、が設けられている。
ステータ77は、インバータ部79から供給された交流電流に基づいて、交流磁場を形成してロータ75を回転させるものである。ステータ77は、モータケース19の内周面に焼き嵌めなどの固定方法を用いて固定されている。
パワートランジスタ83が備えられた基板85は、ボックス35内のモータケース19と接触して固定され、パワートランジスタ83から発生した熱をモータケース19に逃がすように構成されている。その他の基板85は、モータケース19から離れた位置に固定されている。言い換えると、基板85は積層した状態で固定されている。
端子87は、パワートランジスタ83などにより制御された交流電流をステータ77に供給するものである。
インバータ外部から供給された直流電流は、図1に示すように、インバータ部79のパワートランジスタ83などの電子素子により周波数が制御され、ステータ77に供給される。
ステータ77は周波数が制御された交流電流に基づいて交流磁界を形成し、ロータ75は、形成された交流磁界との相互作用により回転駆動力を発生する。ロータ75により発生された回転駆動力は、主軸9に伝達される。
圧縮室Cに圧縮された冷媒は、固定スクロール5の吐出孔43を介して吐出室21に吐出され、吐出室21内から第1ハウジング15の外部に吐出される。
旋回スクロール7およびドライブブッシュ部11が回転すると、クランクピン59およびクランク孔69は弾性部73を押しつぶしながら接近して互いに接触する。クランクピン59およびクランク孔69は接触することにより、クランクピン59を中心とした旋回スクロール7およびドライブブッシュ部11の回転範囲を規制する。
なお、旋回スクロール7に働く遠心力や圧縮反力は、弾性部73を押しつぶすのに十分な大きさであり、例えば、数千N程度の力の大きさを例示できる。
スクロール圧縮機1の運転が停止され、旋回スクロール7の公転旋回が止まると、旋回スクロール7に働いていた遠心力や圧縮反力が消え、旋回スクロール7の公転半径を大きくする力が消える。旋回スクロール7は鉛直方向下方に働く重力により、クランクピン59を中心として回転移動し、リミットピン65とリミット穴61とが離間する。遠心力等によりリミットピン65とリミット穴61との間でつぶされていた弾性部73も、つぶれた形状から元の形状に戻る力によりリミットピン65とリミット穴61とを離間させる。
そのため、スクロール圧縮機1の運転が停止された際に、リミットピン65とリミット穴61とが接触して発生するカタカタ音が抑制される。
このとき、弾性部73は、リミットピン65がリミット穴61の内周面における所定領域から離間して反対側の領域に接触(衝突)する際に、その形状が変形されてリミットピン65とリミット穴61とが接触する際の勢いを低減させる。そのため、圧縮室Cに液冷媒が存在する場合におけるリミットピン65とリミット穴61とが接触して発生するカタカタ音が抑制される。
リミットピン65に設けた嵌合溝71に弾性部73の畝状の凸部を嵌め合わせることにより、リミットピン65から弾性部73が外れにくくすることができる。
次に、本発明の第1の実施形態の第1変形例に係るスクロール圧縮機ついて図8を参照して説明する。
本変形例のスクロール圧縮機の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、リミットピンおよび弾性部の構成が異なっている。よって、本変形例においては、図8を用いてリミットピンおよび弾性部の周辺構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図8は、本変形例のスクロール圧縮機にかかるリミットピンおよび弾性部の周辺構成を説明する模式図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
リミットピン65Aは、ブッシュ63と円板部57との間に配置され、リミット穴61とともに旋回スクロール7の公転半径を調節する円柱状の部材である。リミットピン65Aは、ブッシュ63におけるクランクピン59とは異なる他の偏心した位置から、主軸9の中心軸線に沿って、円板部57に向かって(図8の左側に向かって)延びて設けられている。
弾性部73Aを形成する材料としては、第1の実施形態と同様に、車両用空気調和機に用いられる冷媒や、スクロール圧縮機1等の潤滑油に対して適合性を備えるとともに膨潤しないゴムが望ましい。具体的には、HNBR(水素化ニトリルゴム)などを例示できるが、使用される冷媒や潤滑油に応じて適したゴムを使用することができる。
弾性部73Aは、旋回スクロール7が旋回駆動されていない場合には、旋回スクロール7の自重を支え、リミットピン65Aをリミット穴61から離間して保持する剛性を少なくとも備えている。一方、弾性部73Aの剛性は、旋回スクロール7が旋回駆動され、遠心力および冷媒の圧縮による反力が働いている場合には、つぶされてリミットピン65Aとリミット穴61とが直接接触する程度に抑えられている。
弾性部73AがいわゆるOリングであって、第1の実施形態の弾性部73のような特殊な形状を有しないため、弾性部73Aの形成が容易となる。あるいは、市販品を弾性部73Aとして用いることができる。
次に、本発明の第1の実施形態の第2変形例に係るスクロール圧縮機ついて図9から図11を参照して説明する。
本変形例のスクロール圧縮機の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、リミットピンおよび弾性部の構成が異なっている。よって、本変形例においては、図9から図11を用いてリミットピンおよび弾性部の周辺構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図9は、本変形例のスクロール圧縮機にかかるドライブブッシュ部の構成を説明する模式図である。図10は、図9のドライブブッシュ部と主軸との組み合わせを説明する図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
リミットピン65Bは、ブッシュ63と円板部57との間に配置され、リミット穴61とともに旋回スクロール7の公転半径を調節する円柱状の部材である。リミットピン65Bは、ブッシュ63におけるクランクピン59とは異なる他の偏心した位置から、主軸9の中心軸線に沿って、円板部57に向かって(図9の左側に向かって)延びて設けられている。
弾性部73Bを形成する材料としては、第1の実施形態と同様に、車両用空気調和機に用いられる冷媒や、スクロール圧縮機1等の潤滑油に対して適合性を備えるとともに膨潤しないゴムが望ましい。具体的には、HNBR(水素化ニトリルゴム)などを例示できるが、使用される冷媒や潤滑油に応じて適したゴムを使用することができる。
弾性部73Bは、旋回スクロール7が旋回駆動されていない場合には、旋回スクロール7の自重を支え、リミットピン65Bをリミット穴61から離間して保持する剛性を少なくとも備えている。一方、弾性部73Bの剛性は、旋回スクロール7が旋回駆動され、遠心力および冷媒の圧縮による反力が働いている場合には、つぶされてリミットピン65Bとリミット穴61とが直接接触する程度に抑えられている。
弾性部73Bの形状が、第1の実施形態の弾性部73のような特殊な形状を有しないため、弾性部73Bの形成が容易となる。
弾性部73Bをリミットピン65Bに取り付けるため、リミット穴61Bへ弾性部73Bを取り付ける方法と比較して、弾性部73Bの取付けが容易となる。
なお、上述の変形例のように、弾性部73Bを略円筒状の部材に形成して、リミットピン65Bに配置してもよいし、図11に示すように、有底円筒状の弾性部73Cをリミットピン65Cに配置してもよく、特に限定するものではない。
次に、本発明の第2の実施形態にかかるスクロール圧縮機ついて図12から図15を参照して説明する。
本実施形態のスクロール圧縮機の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、リミットピン、リミット穴および弾性部の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図12から図15を用いてリミットピン、リミット穴および弾性部の周辺構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図12は、本実施形態のスクロール圧縮機にかかるドライブブッシュ部の構成を説明する模式図である。図13は、本実施形態のスクロール圧縮機にかかる主軸の構成を説明する部分拡大図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
一方、スクロール圧縮機1の主軸9には、図13に示すように、クランクシャフト55と、円板部57と、クランクピン59と、リミット穴61Dと、弾性部73Dと、が設けられている。
弾性部73Dは、リミット穴61Dの内周面に設けられ、リミットピン65Dとリミット穴61Dとに接触して配置された弾性部材である。弾性部73Dは、略円筒状に形成された弾性部材である。
弾性部73Dを形成する材料としては、第1の実施形態と同様に、車両用空気調和機に用いられる冷媒や、スクロール圧縮機1等の潤滑油に対して適合性を備えるとともに膨潤しないゴムが望ましい。具体的には、HNBR(水素化ニトリルゴム)などを例示できるが、使用される冷媒や潤滑油に応じて適したゴムを使用することができる。
弾性部73Dは、旋回スクロール7が旋回駆動されていない場合には、旋回スクロール7の自重を支え、リミットピン65Dをリミット穴61Dから離間して保持する剛性を少なくとも備えている。一方、弾性部73Dの剛性は、旋回スクロール7が旋回駆動され、遠心力および冷媒の圧縮による反力が働いている場合には、つぶされてリミットピン65Dとリミット穴61Dとが直接接触する程度に抑えられている。
弾性部73Dの形状が、第1の実施形態の弾性部73のような特殊な形状を有しないため、弾性部73Dの形成が容易となる。
なお、上述の変形例のように、弾性部73Dを略円筒状の部材に形成して、リミット穴61Dの内部に配置してもよいし、図15に示すように、有底円筒状の弾性部73Eをリミット穴61Eの内部に配置してもよく、特に限定するものではない。
例えば、上記の実施の形態においては、この発明を車両用空気調和機に用いられるスクロール圧縮機に適用して説明したが、この発明は車両用空気調和機に用いられるスクロール圧縮機に限られることなく、その他各種のスクロール圧縮機に適応できるものである。
5 固定スクロール
7 旋回スクロール
9 主軸
11 ドライブブッシュ部
51 ボス部
59 クランクピン(駆動ピン)
61,61D,61E リミット穴
63 ブッシュ
65,65A,65B,65C,65D リミットピン
69 クランク孔(偏心孔)
71,71A 嵌合溝
73,73A,73B,73C,73D,73E 弾性部
Claims (2)
- 閉塞された圧縮室を形成する固定スクロールおよび旋回スクロールと、
中心軸線周りに回転可能に支持された主軸と、
前記旋回スクロールと対向する前記主軸の端部における前記中心軸線から偏心した位置から、前記中心軸線に沿って延びる駆動ピンと、
前記旋回スクロールにおける前記主軸と対向した面から、前記中心軸線に沿って延びるボス部と、
前記駆動ピンが回転可能に挿通される偏心孔が形成され、前記ボス部の内部に回転可能に配置されるブッシュと、
前記主軸および前記ブッシュの一方において、前記中心軸線から偏心するとともに前記駆動ピンとは異なる位置から、前記中心軸線に沿って延びるリミットピンと、
前記主軸および前記ブッシュの他方において、前記リミットピンと対向する位置から前記中心軸線に沿って前記リミットピンが挿通されるように延びるとともに、前記リミットピンよりも直径が大きなリミット穴と、が設けられ、
前記主軸の軸方向視で、前記ブッシュにおける前記偏心孔と、前記リミットピンまた前記リミット穴と、前記ブッシュの中心軸線とが一直線上に配列され、
前記リミットピンまた前記リミット穴は、その中心軸線が、前記主軸の軸部の外周面よりも内側に位置するように設置されていることを特徴とするスクロール圧縮機。 - 前記リミットピンと前記リミット穴との間に、前記リミットピンおよび前記リミット穴に接触して配置される弾性部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
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