JP5630576B2 - ガスタービン - Google Patents

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Description

本発明は回転翼とそれに対向するケーシングシュラウドを有するガスタービンに係り、特に、回転翼に対向するケーシングシュラウドの形状を改良したガスタービンに関する。
ガスタービンのタービンは、作動ガスが有する圧力エネルギーを膨張させることによって運動エネルギーに変換し、その運動エネルギーが高まった作動ガスに動翼に対して仕事をさせて回転動力を発生させる。
一般的に回転軸に固定された動翼とその対向面に設置されたケーシングシュラウドとの間には半径方向に間隙が存在する。可能な限り大量の作動ガスに動翼に対して仕事をさせるためには、この間隙は小さいほど良いとされる。
しかしながら間隙を小さくしすぎると、動翼とケーシングシュラウドが接触する可能性があるため、接触した場合にもガスタービンの部品が破損しないようにケーシングシュラウドの作動ガス流路表面にコーティングをする例が特許文献1に示されている。
特開2009−235476号公報
ケーシングシュラウド壁面に沿って動翼に流入した作動ガスが、動翼が通過する際にその一部が剥ぎ取られ、動翼の主流側に巻き込まれるという現象がある。この現象の結果、動翼のガスが有する運動エネルギーを回転動力に変換する効率が低下することが懸念される。
本発明の課題は、動翼のエネルギー変換効率の高いガスタービンを提供することにある。
本発明のガスタービンは、上記目的を達成するために、空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から吐出された空気が供給されて燃料を燃焼する燃焼器と、前記燃焼器からの燃焼ガスが供給されるタービンを備え、前記タービンが、静翼と、前記静翼の下流に位置する動翼と、前記動翼の外周側に位置し前記燃焼ガスの流路の外周壁を形成するケーシングシュラウドを備えたガスタービンにおいて、前記ケーシングシュラウドは、前記燃焼ガスの流路側表面に溝を有するコーティングを備え、前記溝が、前記コーティングの上流端から前記静翼の流出角の±10度の範囲内に伸びていると共に、前記タービンが、第一の静翼と、前記第一の静翼の下流に位置する動翼と、前記動翼の下流に位置する第二の静翼とを有し、前記ケーシングシュラウドが、前記コーティングの上流端から前記第一の静翼の流出角の±10度の範囲内の角度に伸びる第一の溝と、前記コーティングの下流端へ前記第二の静翼の流入角の±10度の範囲内に伸びる第二の溝と、前記第一の溝と前記第二の溝をつなぐ中間溝とを有し、前記中間溝が、曲率の変化が不連続である屈曲部を有することを特徴とする。
本発明によれば、動翼のエネルギー変換効率の高いガスタービンを提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に係るケーシングシュラウドの形状を表す概略図である。 図1を別の矢視から見た概略図である。 本発明の第2の実施の形態に係るケーシングシュラウドの形状を表す概略図である。 図3中の溝を含む断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係るケーシングシュラウドの形状を表す概略図である。 本発明の第4の実施の形態に係るケーシングシュラウドの形状を表す概略図である。 本発明の第5の実施の形態に係るケーシングシュラウドの形状を表す概略図である。 本発明の第5の実施の形態に係るケーシングシュラウドの形状を表す概略図である。 本発明の第1の実施の形態を適用したガスタービンの全体構成を表す回路図である。 本発明の第1の実施の形態を適用したガスタービンの構造を表す概略部分断面図である。
ガスタービンでは、動翼とそれに対向するケーシングシュラウドとの半径方向の間隙は小さいほど良い。動翼とケーシングシュラウドの間隙を流れる作動ガスの挙動は複雑であり、そのメカニズムを解明するために継続的に研究がされている。
作動ガスの挙動のひとつとして、ケーシングシュラウド壁面に沿って動翼に流入した作動ガスが、動翼が通過する際にその一部が剥ぎ取られ動翼の主流側に巻き込まれるという現象がある。巻き込まれたガスは渦を形成し下流に流れるに従って成長することが分かっている。この渦によりガスの全圧損失が増大し、動翼のガスが有する運動エネルギーを回転動力に変換する効率が低下する。
以下説明する各実施例に係るガスタービンは、上記の巻き込まれる作動ガスの量を低減し、形成される渦の規模を小さくすることによってガスの全圧損失の増大を緩和し、前記した動翼のエネルギー変換効率を向上させることができる。また、ケーシングシュラウド壁面に沿って動翼から流出する作動ガスの流れの角度を、下流に配置された静翼の流入角と同じにすることによって、作動ガスが該静翼に沿って流れるので、ガスの全圧損失を低減することもできる。また、コーティングの量を減らすことにより材料費を削減すると共に、接触時に部品に作用する衝撃を小さくして信頼性を向上させることもできる。
(1)第1の実施の形態
以下、図示した実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
図9は第一の実施の形態であるケーシングシュラウドを適用したガスタービンの概略回路図である。本ガスタービンは、主として空気を圧縮する圧縮機11と、この圧縮機11から吐出された空気が供給されて燃料を燃焼する燃焼器12と、燃焼器12からの燃焼ガスが供給されるタービン13および負荷15により構成されている。本実施例においては、負荷15は発電機である。該圧縮機11,該燃焼器12,タービン13および発電機15は同一回転軸14で連結されている。
圧縮機11は大気Aを吸い込み、所定の圧力まで圧縮する。圧縮された大気Bは下流に配置された燃焼器12に導かれ、燃料Cを燃焼させるために使用される。燃焼によって生成した高温かつ高圧の燃焼ガスDは、下流に配置されたタービン13に導かれる。該タービン13において燃焼ガスDは膨張仕事をし、回転軸14に回転動力が発生する。発生した動力の一部が圧縮機11を駆動するために消費され、損失を除いた残りの動力が発電機15への入力となり電力に変換される。燃焼ガスDは膨張仕事により温度と圧力が低下して排ガスEとなり、煙突(図示せず)を通して大気へ放出される。
ここで、図10を用いてタービン13の動作を詳しく説明する。図10は、図9に示した圧縮機11,燃焼器12及びタービン13を、回転軸14を含む平面で切った部分断面図である。図9と図10において同一符号の要素は同じ要素を指している。
タービン13は、燃焼ガスDの流れに沿って、第1段静翼21n,第1段動翼21b,第2段静翼22n,第2段動翼22b,第3段静翼23n,第3段動翼23b,第4段静翼24n及び第4段動翼24bを具備している。以後、燃焼ガスDの流れの方向を基準として、図10の左側を上流側、右側を下流側とよぶ。
複数枚の第1段静翼21nが周方向に沿って適当な部材を介してケーシング25に固定されている。同様に複数枚の第2段静翼22n,第3段静翼23n及び第4段静翼24nが適当な部材を介してケーシング25に固定されている。
また、複数枚の第1段動翼21bが周方向に沿って適当な部材を介して回転軸14に植え込まれている。同様に複数枚の第2段動翼22b,第3段動翼23b及び第4段動翼24bが適当な部材を介して回転軸14に植え込まれている。
第1段動翼21b外周側には第1段ケーシングシュラウド31が複数個円環状にケーシング25に固定されている。同様に第2段動翼22b外周側には第2段ケーシングシュラウド32が、第3段動翼23b外周側には第3段ケーシングシュラウド33が、第4段動翼24b外周側には第4段ケーシングシュラウド34がケーシング25に固定されている。これらのケーシングシュラウドは、燃焼ガスDの流路の外周壁を形成している。なお、前記第1段動翼21bから第4段動翼24bは回転体であり、前記ケーシングシュラウド31から34は静止体であるため両者の間には半径方向に間隙が存在する。一般的に、この間隙が小さいほどタービン性能が良くなる傾向にある。
ここで、図1に図10中の矢視Fから見た第1段静翼21n,第1段動翼21b,第2段静翼22n及び第1段ケーシングシュラウド31を示す。図1と図10において同一符号の要素は同一要素である。
燃焼ガスDは前記した静翼及び動翼を通過する際に膨張し速さが増す。動翼は燃焼ガスDの流れの向きを変える形状になっており、流れの向きを変えることによって動翼は燃焼ガスDから力を受ける。その結果、動翼が植え込まれた回転軸14に回転動力が発生する。
ここで、図2を用いて本発明である第1段ケーシングシュラウド31について説明する。図2は図1中の矢視Hあるいは図10中の矢視Gから見た第1段ケーシングシュラウド31と第1段動翼21bの部分図である。図1と図2及び図10において同一符号の要素は同一要素である。
第1段ケーシングシュラウド31の内周側主流ガス流路面にはコーティング41が形成されている。一般にこのコーティング41は第1段動翼21bよりも軟らかい材料であり、ガスタービンの運転中に第1段ケーシングシュラウド31と第1段動翼21bが接触してもその衝撃力は小さく、コーティング41のみが削られて第1段動翼21bやその他のガスタービン本体の破損には至らないようにする目的で施工されていることが多い。衝撃力は小さいものの接触したという情報はガスタービンが備えている回転軸振動計によって検出され、振動が大きい場合にはガスタービンをすぐに停止することができる。
本実施例に示す第1段ケーシングシュラウド31の内周側ガスパス面のコーティング41には、溝42が形成されている。溝の深さは第1段ケーシングシュラウド31と第1段動翼21bの半径方向間隙と同じ程度である。溝の深さは浅すぎると効果は少ない。また、深ければ深いほど良いということでもなく、ある深さ以上では効果はほとんど変わらなくなってくる。溝の深さを動翼とケーシングシュラウドとの間隙長さと同じであるようにすれば、不必要な製作性の悪化,コストの高騰を起こすことなく、高い効果を得ることができる。
溝42の上流部は第1段静翼21nの流出角21neと同じ角度である。また、下流部は第2段静翼22nの流入角22niと同じ角度である。中間部は上流部と下流部の溝が滑らかに接続するように形成されている。なお、前記した溝42の角度は±10度の違いを許容するものとする。この範囲は、ガスタービン翼の性能についてインシデンス特性を見て±10%の設計を実際の運用範囲としていることによる。
以下、本実施例の第1段ケーシングシュラウド31の動作について説明する。
第1段静翼21nを出た燃焼ガスDは、下流に配置された第1段動翼21bに流入する。流入する流れの角度は第1段静翼21nの流出角21neとほぼ同じである。このガスの速さが設計通りである場合、第1段動翼21bから見た相対速度も設計通りとなり、第1段動翼21bの流入角21biと同じ角度で流入することになる。ところで、壁面近くの流れは粘性の影響で速さが遅くなり境界層を形成している。これにより第1段動翼21bから見た相対速度は設計値と異なる。すなわち、第1段動翼21bの流入角21biと異なる角度でガスが流入する。流入角21biと異なる角度でガスが流入すると第1段動翼21bに流れが沿っていないことが原因で全圧損失が増大する。更に流れが剥離した場合にはさらに大きな全圧損失となることが知られている。
第1段動翼21bと第1段ケーシングシュラウド31の間隙に流入した作動ガスは、ガス流路壁面に沿って流れているが、第1段動翼21bが通過する際に流れの一部が剥ぎ取られて、第1段動翼21bガス流路の内周側に巻き込まれる現象が起こることが知られている。巻き込まれた作動ガスは第1段動翼21bガス流路を流れる際に渦を形成し、全圧損失を増大させている。
本実施例では、ケーシングシュラウド31が、燃焼ガスDの流路側表面に溝42を有するコーティング41を備え、この溝42が、コーティング41の上流端から第1段静翼21nの流出角の±10度の範囲内に伸びている。このような第1段動翼21bと第1段ケーシングシュラウド31の間隙に流入した作動ガスの一部が、第1段ケーシングシュラウド31に形成された溝42に押しやられるため第1段動翼21bの内周側に巻き込む作動ガス量が小さくなる。巻き込まれたガスは下流に流れるに従って渦を形成するが、この渦が小さくなる。渦が小さくなると第1段動翼21bの全圧損失が低減される。この溝42は前記したように上流に配置された第1段静翼21nの流出角21neとしているため流れがこの溝42に沿っているために導入されやすい。
また、溝42がコーティング41の下流端へ第2段静翼22nの流入角の±10度の範囲内に伸びている。溝42の下流側は下流に配置された第2段静翼22nの流入角22niと同じにしているため第2段静翼22nに沿って作動ガスが流入することになり全圧損失を低く抑えることができる。
また、コーティング41の範囲が全面に施工した場合に比べて小さくなるため、第1段動翼21bが接触した場合の衝撃が小さくなりガスタービンの信頼性が向上する。また、コーティング剤の量を減らすことができ材料費を削減することが可能となる。
本実施例のように、第一の静翼である第1段静翼21nの流出角の±10度の範囲内に伸びる第一の溝42Aと、第二の静翼である第2段静翼22nの流入角の±10度の範囲内に伸びる第二の溝42Bとを両方有しても良い。さらに、第一の溝42Aと第二の溝42Bとをつなぐ中間溝44を備えることにより、溝の製作性を向上させることができる。
以上述べた本実施例のケーシングシュラウド31は、ケーシングシュラウド31のガスパス面にコーティング41を施す改造により得ることができる。この際、ケーシングシュラウド31に対応して設置される第1段動翼21bの上下流に設置される第1段静翼21nの流出角21neまたは第2段静翼22nの流入角22niに基づいてコーティング41に溝を設けることにより得ることができる。溝は、コーティングに掘ってもよいし、マスキングを利用してコーティング塗布時に形成されるようにしてもよい。
(2)第2の実施の形態
次に、図示した第2の実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
図3に第2の実施例である第1段ケーシングシュラウド31Aを示す。該第1段ケーシングシュラウド31Aは、第1実施例に示した第1段ケーシングシュラウド31と置換し得るものである。
第1段ケーシングシュラウド31Aの主流ガス流路面にはコーティング41が形成されており、そのコーティング41に溝42Aが形成されている。溝42Aの深さは第1段動翼21bと第1段ケーシングシュラウド31Aの間隙と同程度である。溝42Aは軸方向中間位置まで形成されている。図4に図3中のJ−J断面を示す。図4に示すように溝42Aの深さは軸方向に従って徐々に浅くなり、最終的には主流ガス流路面と同じになる。このように溝42Aをその終端部に向かって浅くなっていく形状にすると、溝を流れたガスを主流に滑らかに合流させることができる。さらに溝42Aの製作性が良く、コーティング41もはがれにくくなる。一方、この部分での圧力損失をあえて高くしたい場合には、溝42Aの出口部に溝42Aの底に対して垂直な壁を設けるようにすれば良い。溝42Aの終端面を、溝の底部に垂直であるようにして圧力損失を大きくすれば、この部分でのリークを抑制できる効果が得られる。
第1段動翼21bと第1段ケーシングシュラウド31Aの間隙に流入した作動ガスは、ガス流路壁面に沿って流れているが、第1段動翼21bが通過する際に流れの一部が剥ぎ取られて、第1段動翼21bガス流路の内周側に巻き込まれる現象が起こることが知られている。巻き込まれた作動ガスは第1段動翼21bガス流路を流れる際に渦を形成し、全圧損失を増大させている。
本実施例では、第1段動翼21bと第1段ケーシングシュラウド31Aの間隙に流入した作動ガスの一部が、第1段ケーシングシュラウド31Aに形成された溝42Aに押しやられるため第1段動翼21bの内周側に巻き込む作動ガス量が小さくなる。巻き込まれたガスは下流に流れるに従って渦を形成するが、この渦が小さくなる。渦が小さくなると第1段動翼21bの全圧損失が低減される。この溝42Aは前記したように上流に配置された第1段静翼21nの流出角21neとしているため流れがこの溝42Aに沿っているために導入されやすい。
また、コーティング41の範囲が全面に施工した場合に比べて小さくなるため、第1段動翼21bが接触した場合の衝撃が小さくなりガスタービンの信頼性が向上する。
また、コーティング剤の量を減らすことができ材料費を削減することが可能となる。
(3)第3の実施の形態
次に、図示した第3の実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
図5に第3の実施例である第1段ケーシングシュラウド31Bを示す。該第1段ケーシングシュラウド31Bは、第1実施例に示した第1段ケーシングシュラウド31と置換し得るものである。
第1段ケーシングシュラウド31Bの主流ガス流路面にはコーティング41が形成されており、そのコーティング41に溝42Bが形成されている。溝の深さは第1段動翼21bと第1段ケーシングシュラウド31Bの間隙と同程度である。溝42Bは軸方向中間位置から下流端まで形成されている。溝42Bの深さは主流ガス流路面から軸方向に従って徐々に深くなる。
本実施例では、溝42Bの下流側の角度は下流に配置された第2段静翼22nの流入角22niと同じにしているため第2段静翼22nに沿って作動ガスが流入することになり全圧損失を低く抑えることができる。
また、コーティング41の範囲が全面に施工した場合に比べて小さくなるため、第1段動翼21bが接触した場合の衝撃が小さくなりガスタービンの信頼性が向上する。
また、コーティング剤の量を減らすことができ材料費を削減することが可能となる。
(4)第4の実施の形態
次に、図示した第4の実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
図6に第4の実施例である第1段ケーシングシュラウド31Cを示す。該第1段ケーシングシュラウド31Cは、第1実施例に示した第1段ケーシングシュラウド31と置換し得るものである。
本実施例に示す第1段ケーシングシュラウド31Cは、前記した第2実施例と第3実施例を組み合わせた形状となっており、コーティング41に溝42Aおよび溝42Bが形成されている。
本実施例では、第1段動翼21bと第1段ケーシングシュラウド31Cの間隙に流入した作動ガスの一部が、第1段ケーシングシュラウド31Cに形成された溝42Aに押しやられるため第1段動翼21bの内周側に巻き込む作動ガス量が小さくなる。巻き込まれたガスは下流に流れるに従って渦を形成するが、この渦が小さくなる。渦が小さくなると第1段動翼21bの全圧損失が低減される。この溝42Aは前記したように上流に配置された第1段静翼21nの流出角21neとしているため流れがこの溝42Aに沿っているために導入されやすい。
また、溝42Bの下流側は下流に配置された第2段静翼22nの流入角22niと同じにしているため第2段静翼22nに沿って作動ガスが流入することになり全圧損失を低く抑えることができる。
また、コーティング41の範囲が全面に施工した場合に比べて小さくなるため、第1段動翼21bが接触した場合の衝撃が小さくなりガスタービンの信頼性が向上する。
また、コーティング剤の量を減らすことができ材料費を削減することが可能となる。
(5)第5の実施の形態
次に、図示した第5の実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
図7に第5の実施例である第1段ケーシングシュラウド31Dを示す。該第1段ケーシングシュラウド31Dは、第1実施例に示した第1段ケーシングシュラウド31と置換し得るものである。
本実施例に示す第1段ケーシングシュラウド31Dは、前記した第1実施例と第3の実施例を組み合わせた形状となっており、コーティング41に溝42および溝42Bが形成されている。
本実施例では、第1段動翼21bと第1段ケーシングシュラウド31Dの間隙に流入した作動ガスの一部が、第1段ケーシングシュラウド31Dに形成された溝42に押しやられるため第1段動翼21bの内周側に巻き込む作動ガス量が小さくなる。巻き込まれたガスは下流に流れるに従って渦を形成するが、この渦が小さくなる。渦が小さくなると第1段動翼21bの全圧損失が低減される。この溝42Aは前記したように上流に配置された第1段静翼21nの流出角21neとしているため流れがこの溝42に沿っているために導入されやすい。
また、溝42Bの下流側は下流に配置された第2段静翼22nの流入角22niと同じにしているため第2段静翼22nに沿って作動ガスが流入することになり全圧損失を低く抑えることができる。
また、コーティング41の範囲が全面に施工した場合に比べて小さくなるため、第1段動翼21bが接触した場合の衝撃が小さくなりガスタービンの信頼性が向上する。
また、コーティング剤の量を減らすことができ材料費を削減することが可能となる。
(6)第6の実施の形態
次に、図示した第6の実施例について説明する。図8に第6の実施例である第1段ケーシングシュラウド31Eを示す。該第1段ケーシングシュラウド31Eは、第1実施例に示した第1段ケーシングシュラウド31と置換し得るものである。
本実施例に示す第1段ケーシングシュラウド31Eは、溝42Eの上流部は第1段静翼21nの流出角21neと同じ角度である。また、溝42Eの下流部は第2段静翼22の流入角42nと同じ角度である。溝42の角度は、±10度の違いを許容するものとする。
中間部である中間溝44は上流部の溝に対して90度の角度をなすように形成されており、下流部の溝に対しては滑らかに接続するように形成されている。このように中間溝44に曲率の変化が不連続である屈曲部を設けると屈曲部分での圧力損失を大きくできる。圧力損失を大きくすると、この部分のリークを抑制する効果が得られる。この効果は屈曲部の前後の溝の成す角を90度にすることで最大となる。屈曲部が90度であると製作性も最も高くなる。ここで屈曲部とは、曲率の変化が不連続である部分を指すものとする。
本実施例では、第1段動翼21bと第1段ケーシングシュラウド31Eの間隙に流入した作動ガスの一部が、第1段ケーシングシュラウド31Eに形成された溝42Eに押しやられるため第1段動翼21bの内周側に巻き込む作動ガス量が小さくなる。巻き込まれたガスは下流に流れるに従って渦を形成するが、この渦が小さくなる。渦が小さくなると第1段動翼21bの全圧損失が低減される。この溝42Aは前記したように上流に配置された第1段静翼21nの流出角21neとしているため流れがこの溝42に沿っているために導入されやすい。
また、溝42Eの下流側は下流に配置された第2段静翼22nの流入角22niと同じにしているため第2段静翼22nに沿って作動ガスが流入することになり全圧損失を低く抑えることができる。
また、コーティング41の範囲が全面に施工した場合に比べて小さくなるため、第1段動翼21bが接触した場合の衝撃が小さくなりガスタービンの信頼性が向上する。
また、コーティング剤の量を減らすことができ材料費を削減することが可能となる。
なお、本発明につき、ガスタービンのタービンに適用した例を紹介したが、回転軸に固定されている動翼とそれに対向するケーシングシュラウドを有する回転機械に適用することが可能である。例えば、ガスタービンの圧縮機や蒸気タービンにも適用することが可能であり、同様の効果を得ることが可能である。
11 圧縮機
12 燃焼器
13 タービン
21n 第1段静翼
21ne 第1段静翼流出角
21b 第1段動翼
21bi 第1段動翼流入角
22n 第2段静翼
22ni 第2段静翼流入角
31,31A,31B,31C,31D,31E ケーシングシュラウド
31i 溝の上流端流入角
31e 溝の下流端流出角
41 コーティング
41A,42B,42E 溝

Claims (8)

  1. 空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から吐出された空気が供給されて燃料を燃焼する燃焼器と、前記燃焼器からの燃焼ガスが供給されるタービンを備え、前記タービンが、静翼と、前記静翼の下流に位置する動翼と、前記動翼の外周側に位置し前記燃焼ガスの流路の外周壁を形成するケーシングシュラウドを備えたガスタービンにおいて、
    前記ケーシングシュラウドは、前記燃焼ガスの流路側表面に溝を有するコーティングを備え、前記溝が、前記コーティングの上流端から前記静翼の流出角の±10度の範囲内に伸びていると共に、前記タービンが、第一の静翼と、前記第一の静翼の下流に位置する動翼と、前記動翼の下流に位置する第二の静翼とを有し、前記ケーシングシュラウドが、前記コーティングの上流端から前記第一の静翼の流出角の±10度の範囲内の角度に伸びる第一の溝と、前記コーティングの下流端へ前記第二の静翼の流入角の±10度の範囲内に伸びる第二の溝と、前記第一の溝と前記第二の溝をつなぐ中間溝とを有し、前記中間溝が、曲率の変化が不連続である屈曲部を有することを特徴とするガスタービン。
  2. 請求項のガスタービンにおいて、
    前記屈曲部の前後の溝が成す角が90度であることを特徴とするガスタービン。
  3. 空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から吐出された空気が供給されて燃料を燃焼する燃焼器と、前記燃焼器からの燃焼ガスが供給されるタービンとを備え、前記タービンが、静翼と、前記静翼の下流に位置する動翼と、前記動翼の外周側に位置し前記燃焼ガスの流路の外周壁を形成するケーシングシュラウドを備えたガスタービンにおいて、
    前記ケーシングシュラウドは、前記燃焼ガスの流路側表面に溝を有するコーティングを備え、前記溝が、前記コーティングの上流端から前記静翼の流出角の±10度の範囲内に伸びていると共に、前記溝は、その終端部に向かって浅くなっていく形状であることを特徴とするガスタービン。
  4. 空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から吐出された空気が供給されて燃料を燃焼する燃焼器と、前記燃焼器からの燃焼ガスが供給されるタービンとを備え、前記タービンが、静翼と、前記静翼の下流に位置する動翼と、前記動翼の外周側に位置し前記燃焼ガスの流路の外周壁を形成するケーシングシュラウドを備えたガスタービンにおいて、
    前記ケーシングシュラウドは、前記燃焼ガスの流路側表面に溝を有するコーティングを備え、前記溝が、前記コーティングの上流端から前記静翼の流出角の±10度の範囲内に伸びていると共に、前記溝の終端面が、溝の底部に垂直であることを特徴とするガスタービン。
  5. 請求項3又は4に記載のガスタービンにおいて、
    前記タービンが、第一の静翼と、前記第一の静翼の下流に位置する動翼と、前記動翼の下流に位置する第二の静翼とを有し、前記ケーシングシュラウドが、前記コーティングの上流端から前記第一の静翼の流出角の±10度の範囲内の角度に伸びる第一の溝と、前記コーティングの下流端へ前記第二の静翼の流入角の±10度の範囲内に伸びる第二の溝とを有することを特徴とするガスタービン。
  6. 請求項に記載のガスタービンにおいて、
    前記第一の溝と前記第二の溝をつなぐ中間溝とを有することを特徴とするガスタービン。
  7. 請求項に記載のガスタービンにおいて、
    前記中間溝が、曲率の変化が不連続である屈曲部を有することを特徴とするガスタービン。
  8. 請求項に記載のガスタービンにおいて、
    前記屈曲部の前後の溝が成す角が90度であることを特徴とするガスタービン。
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