JP2009235476A - 高温シール用コーティング - Google Patents

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秀行 有川
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Abstract

【課題】
ガスタービン等の高温シール用コーティングとして、優れた被削性と遮熱性を有し、アブレイダブルコーティングとTBCの機能を併せ持つコーティングを提供する。
【解決手段】
高温シール用アブレイダブルコーティングとして、部分安定化ジルコニアとNiまたはCo基合金の混合コーティングを用いる。混合コーティング中のNiまたはCo基合金の比率は、コーティング断面組織における面積率で、10〜50%とする。さらに、前記NiまたはCo基合金の組成は、NiとCoの少なくとも1つ、または、NiとCoの合計:50〜75重量%、Cr:5〜40重量%及びAl:1〜30重量%とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガスタービンなどにおいて、回転体と静止体との間隙から高温燃焼ガスなどの作動流体が漏洩することを低減するための高温シール用コーティングとして用いられる、アブレイダブルコーティング(被削性造隙皮膜)に関する。
アブレイダブルコーティングとしては、種々のコーティングが提案されている。
例えば、特許文献1には、NiCrAl合金,NiCrFeAl合金,MCrAlY合金と、固体潤滑剤であるベントナイトからなる組成系による合金系アブレイダブルコーティングが開示されている。
しかし、最近のガスタービンでは高効率化の目的で燃焼ガス温度の高温化が進んでおり、一般に、動翼,静翼,シュラウドの、特に、高温となる上流側の段落には、遮熱の目的で表面にTBC(Thermal Barrier Coating)を設け、これら部材を高温の燃焼ガスから保護する必要に迫られている。
TBCでは、遮熱層として、低熱伝導で耐熱性に優れたジルコニア系のセラミック皮膜、特にイットリア部分安定化ジルコニア(YSZ)が主に用いられる。
しかし、TBCをシュラウドに適用した場合、YSZの硬度が高いので、アブレイダブルコーティングとしては機能せず、摺動時に動翼の先端が損傷してしまう。
このため、TBCとアブレイダブルコーティングとの機能を併せ持った、セラミック系のアブレイダブルコーティングが望まれている。
この問題を解決するために、特許文献2および特許文献3は、動翼先端部に、MCrAlY(Mは、Fe,Ni,Coのうちの何れか1以上)合金からなるマトリクス中に研削粒子として、例えば、CBN(立方晶窒化硼素)砥粒を分散させたアブレッシブコーティング(研削性皮膜)を設けることでYSZを研削可能とし、TBCをアブレイダブルコーティングとしても機能させる方法が開示されている。
特開2007−170302号公報 特開平4−218698号公報 特表平9−504340号公報
従来技術では、アブレッシブコーティングの研削粒子が、摺動によって損耗し、長時間の運転では、アブレッシブコーティングの研削性が低下するとともに、シール性も低下するという問題がある。
また、シュラウド側にTBCを施工し、動翼側にもアブレッシブコーティングを施工する必要から、コスト的にも不利である。
本発明は、以上の点を鑑み、アブレイダブルコーティングとTBCとの機能を併せ持つ、優れた被削性と遮熱性とを有する高温シール用コーティングを提供することである。
本発明の高温シール用コーティングは、基体上に下地層を介して、アブレイダブルコーティング層を設けてなるものである。そして、アブレイダブルコーティング層が、部分安定化ジルコニアとNiまたはCo基合金との混合コーティングからなることを特徴とする。
部分安定化ジルコニアとNiまたはCo基合金との混合コーティングは、混合コーティング中のNiまたはCo基合金の比率が、コーティング断面組織における面積率で、10〜50%であることを特徴とする。
NiまたはCo基合金の組成が、NiとCoの少なくとも1つよりなることが好ましい。また、NiまたはCo基合金の組成が、NiとCoとの合計が50〜75重量%、Crが5〜40重量%及びAlが1〜30重量%よりなることが好ましい。
また、部分安定化ジルコニアが、イットリア部分安定化ジルコニアであることが好ましい。
また、部分安定化ジルコニアとNiまたはCo基合金との混合コーティングを、結合層を介して基体上に設けることが好ましい。
つまり、本発明の高温シール用コーティングは、アブレイダブルコーティングとして、部分安定化ジルコニアとNiまたはCo基合金との混合コーティングを用いることを最も主要な特徴とする。
このような、配合比率の部分安定化ジルコニアとNiまたはCo基合金との混合コーティングでは、部分安定化ジルコニアの母相中に、NiまたはCo基合金が島状に微細に分散した組織を有する。すなわち、連続的な部分安定化ジルコニア中に、分散相であるNiまたはCo基合金の粒子が孤立して点在している状態を指している。部分安定化ジルコニア(融点約2,400℃)とNiまたはCo基合金(融点約1,400℃)との混合粉末を溶射法でコーティングすると、融点の高い部分安定化ジルコニア粒子が先に凝固するため、融点の低いNiまたはCo基合金は溶融または半溶融の軟化した状態で、凝固した部分安定化ジルコニア粒子間の隙間に挟まれるように流動・変形しながら凝固する。この結果、部分安定化ジルコニア単独の皮膜と組織を比較すると、本発明の部分安定化ジルコニアとNiまたはCo基合金との混合皮膜では、本来、部分安定化ジルコニア粒子同士の結合となる部分の一部に、NiまたはCo基合金が挿入された組織形態となる。
さらに、前記組成を有するNiまたはCo基合金は、約500℃以上の温度域で動翼材であるNi基耐熱合金に対し、硬さが大きく低下することが分かった。従って、NiまたはCo基合金が島状に微細に分散した混合皮膜(混合コーティング)は、Ni基耐熱合金製の動翼と接触した際に、摺動によって軟化したNiまたはCo基合金部分で容易に変形,脱落して被削性を示し、アブレイダブルコーティングとして機能する。
また、混合コーティング中の表面から基材に至る熱伝導の経路は、大部分を母相である、熱伝導率が小さい部分安定化ジルコニアが占める。このため、混合コーティング層の熱伝導率は低く抑えられ、TBCとして十分な遮熱性を有する。
このように、本発明によれば、アブレイダブルコーティングとTBCの機能を併せ持つ、優れた被削性と遮熱性を有する高温シール用コーティングを実現することができる。
本発明は、図1に示すように、基体40上に、下地層41を介して、アブレイダブルコーティング層42(被削性造隙皮膜)を設けてなる高温シール用コーティング43についてである。
アブレイダブルコーティング層42が、部分安定化ジルコニア44とNiまたはCo基合金45との混合コーティングからなることを特徴とする。
基体40としては、ニッケル基合金,コバルト基合金、または、鉄基合金を用いることができる。
アブレイダブルコーティング層42の部分安定化ジルコニア44とNiまたはCo基合金45の混合コーティングにおいて、混合コーティング中のNiまたはCo基合金45の比率が、コーティング断面組織における面積率で、10〜50%とする。
これは、NiまたはCo基合金45の比率が10%未満では、遮熱性は良好であるが、軟化するNiまたはCo基合金45の量が少なく被削性が不十分となり、NiまたはCo基合金45の比率が、50%を越えると、被削性は良好となるが、母相が部分安定化ジルコニア44からNiまたはCo基合金45に変化し、混合コーティングの熱伝導率が上昇し、遮熱性が低下するためである。
また、前記NiまたはCo基合金の組成は、NiとCoの少なくとも1つ、または、NiとCoの合計:50〜75重量%、Cr:5〜40重量%及びAl:1〜30重量%とすることが好ましい。
これは、Ni及びCoは合金を形成する基本成分であり、基材の耐熱合金と同一合金系にして熱膨張率等の整合を図る目的から、少なくとも1つを50〜75重量%含むのがよい。50重量%よりも少ないと、延性が低下する。また、75重量%よりも多いと、相対的にCr,Alの含有量が少なくなるため耐食性,耐酸化性が低下する。
Cr及びAlは、耐食性,耐酸化性を担う保護性酸化物皮膜形成元素であり、耐食性には主にCrが寄与し、耐酸化性には主にAlが寄与する。Cr量が5重量%未満,Al量が1重量%未満では耐食性,耐酸化性の向上に対する効果が少なく、Cr量が40重量%を超え、またAl量が30重量%を超えると皮膜が脆化しやすくなる。
耐酸化性,耐食性、および延性のバランス上、より好ましくはCr:15〜30重量%、Al:5〜20重量%(残部:NiとCoの少なくとも1つ、または、NiとCoの両方)の組成範囲が良い。
なお、混合層のNiまたはCo基合金として、MCrAlX合金を用いることも可能だが、混合層としての耐酸化性が低下するため、前記組成を用いることが好ましい。
混合コーティングを形成する部分安定化ジルコニア44には、Y23,MgO,CaO,CeO2,Sc23,Er23,Gd23,Yb23,Al23,SiO2,La23から選ばれた少なくとも1種を含む部分安定化ジルコニアが望ましい。イットリア部分安定化ジルコニアは極めて好適である。
さらに、混合コーティングは、熱応力を緩和するために気孔46を5〜30%含むことが好ましい。気孔率が5%以下では、熱応力によって皮膜が剥離しやすくなり、気孔率が30%以上では、皮膜強度が低下して摺動時に接触部以外での皮膜剥離や、燃焼ガス中の粒子衝突によるエロージョンによって皮膜が損傷しやすくなる。より好ましくは、気孔を15〜25%含むのが良い。気孔率は溶射条件によって制御することも可能であるが、ポリエステルや黒鉛等、使用時の高温で焼失する材料の粉末を溶射粉末に予め添加する方法が、より確実に気孔を形成できる点から好適である。
また、混合コーティングは、基体40上に直接設けることも可能であるが、基材と混合コーティング層との熱膨張差による熱応力を緩和し、密着性を高めるために、下地層41を介して設けることが好ましい。
下地層41としては、混合層に用いたNiまたはCo基合金を用いることが、混合層との密着を確保する上で好適であるが、一般的にTBCの下地層(ボンドコート)として用いられるMCrAlY合金,NiCr合金,NiAl合金等を用いることもできる。
コーティングの施工方法としては、下地層41は減圧プラズマ溶射法によって形成することが最も望ましいが、HVOF溶射法やHVAF溶射法等の高速ガス溶射法を用いることも可能である。
混合層は、大気中プラズマ溶射法によって形成することが最も望ましいが、HVOF溶射法やHVAF溶射法等の高速ガス溶射法,フレーム(火炎)溶射法等を用いることも可能である。
溶射の場合、るつぼを用いて原料を溶解し、合金粉末にしたのち、セラミックス製の噴射用ノズルを用いて溶射することになるが、この際にるつぼの材料が混入し、また、ノズル材料が混入する可能性がある。これらは避けられない不純物であり、不可避の不純物として許容する。
本発明による高温シール用コーティングは、従来技術に比べ、アブレイダブルコーティングとしての被削性に優れるため、対抗する部品にアブレッシブコーティングを設ける必要がないという利点がある。
また、遮熱性も有するため、TBCとしても機能することが可能となり、耐熱部材の耐久性向上、あるいは、冷却空気低減によるタービン効率向上が可能となるという利点がある。
試験片基材として、直径40mm,厚さ5mmの円板形状のNi基超合金(IN738LC:Ni−16wt%Cr−8.5wt%Co−1.7wt%Mo−2.6wt%W−1.7wt%Ta−0.9wt%Nb−3.4wt%Al−3.4wt%Ti)を用い、その表面にCoNiCrAl合金(Co−32wt%Ni−21wt%Cr−8wt%Al)粉末を用いて、減圧雰囲気中プラズマ溶射にて下地層を形成し、拡散熱処理として、真空中で1121℃,4hの熱処理を実施した。結合層の厚さは約200μmである。
その後、結合層を設けた基材上に、イットリア部分安定化ジルコニア(ZrO2−8wt%Y23)粉末とCoNiCrAl合金(Co−32wt%Ni−21wt%Cr−8wt%Al)粉末を重量比で75:25に配合した混合粉末を準備し、さらにこの混合粉末とポリエステル粉末を重量比で80:20に配合した粉末を用い、大気中プラズマ溶射にて約1mmの厚さのアブレイダブルコーティング層を設けた。
作製した試験片のアブレイダブルコーティング層の断面組織は図1に示すように、イットリア部分安定化ジルコニアを母相とし、CoNiCrAl合金が島状に微細に孤立分散し、かつ、気孔を含んだ混合組織であった。
断面組織写真を画像解析して、混合相中のCoNiCrAl合金相の面積率を求めたところ約25%であった。同様にして、気孔の面積率を求めたところ約20%であった。
本発明による高温シール用コーティングの特性を評価するために、上記の方法で作製した試験片に対し、(1)高温摩耗試験、(2)高温酸化試験を行った。
(1)の高温磨耗試験は図5に示す試験装置を用いた。
本装置は試験片を実機で使用される温度下において、強制的に摺動させ被削性を調べるものである。
図5において、その一面に下地層41を介してアブレイダブルコーティング層42を施工されたアブレイダブル試験片50は移動機構51に取り付けられ、一定の速度で移動される。回転軸52に動翼材IN738LC製のテストリング53(直径26mm,内径20mm,高さ15mm)が取り付けられ高速で回転する。
アブレイダブル試験片50は、移動機構51により回転するテストリング53に押圧される。アブレイダブル試験片50と回転するテストリング53は電気炉54で加熱される。
試験条件は、試験片温度:約850℃,試験片移動速度:0.05mm/秒,移動距離0.8mmまで行った。試験後に、摺動部の外観観察と断面観察を、アブレイダブル試験片50とテストリング53のそれぞれについて行った。
(2)の高温酸化試験は、電気炉を用い1000℃で1000hの大気中酸化試験を実施した。
試験後に試験片の外観観察と断面観察を行った。
これらの結果を表1にまとめて示す。
なお、比較のために、アブレイダブルコーティング層をイットリア部分安定化ジルコニアのみ(合金を混合しない)で形成した試験片をNo.2、アブレイダブルコーティング層(混合層)中の合金材料をCoNiCrAlY合金(Co−32wt%Ni−21wt%Cr−8wt%Al−0.5wt%Y)とした試験片も作製し、表1にそれぞれ、No.2,No.3として示した。
表1から明らかなように、本発明によるNo.1試験片は、磨耗試験,酸化試験ともに良好な結果であった。
これに対し、比較のNo.2試験片では、磨耗試験後にアブレイダブルコーティング層が摺動部以外で剥離し、相手材のテストリングも激しく磨耗した。
No.3試験片では、磨耗試験は良好であったが、酸化試験後の断面組織観察で、混合層内のCoNiCrAlY合金相が激しく酸化しているのが観察された。
以上の結果から、本発明による高温シール用コーティングが、優れた被削性と遮熱性,耐久性を有することが確認できた。
Figure 2009235476
こうした高温シール用コーティングを、図2にしめすガスタービンに適用することができる。
ガスタービン主要部の軸方向断面模式図(上側半分)の一例を図2に示す。
ガスタービンは、略円筒形状のケーシング1と、このケーシング1の軸心に位置する略円柱形状のタービンロータ2と、タービンロータ2の外周で軸方向に複数段(図2の例では4段)に設置された動翼3,4,5,6と、各段の動翼の外周部と径方向にわずかな間隙7を隔てた位置でケーシング1に支持されたシュラウド8,9,10,11と、燃焼ガスの流通方向Aで見て各段の動翼の上流側で動翼に対し交互に配置された静翼12,13,14,15とを備えている。
タービンロータ2は、タービンディスク16,17,18,19とスペーサ20,21,22とを軸方向に重ねて結合した回転体であり、その上流側部には中間軸23が接続し、下流側部には後部軸24が接続されている。
タービンロータ2の上流側には燃焼器31が位置しており、動翼3,4,5,6と静翼12,13,14,15を交互に配置して形成されたガスパス30に燃焼器31で生成された高温の燃焼ガスを流し、燃焼ガスの熱エネルギーをタービンロータ2の回転力に変換させることで動力を発生する。各シュラウド8,9,10,11の内周壁はガスパス30の一部を形成している。
このようなガスタービンにおいて、動翼3,4,5,6の先端部と、動翼の先端部に対向するシュラウド8,9,10,11の内壁との間には、運転中に両者が接触しないように間隙7(クリアランス)が設けられている。
この間隙が大きすぎると動翼3,4,5,6の高圧側から低圧側へ間隙7を通じて燃焼ガスが漏洩し、圧力損失が生じることにより運転効率が低下する。従って、この間隙7を必要最小に保ち、燃焼ガスの漏洩をシールしてタービンの効率を向上させる必要がある。
一方、前記の間隙7が小さすぎると、タービン運転時において、動翼3,4,5,6の熱膨張,ロータ2の偏心,タービン全体に発生する振動などの影響により、動翼3,4,5,6の先端部とシュラウド8,9,10,11の内壁とが接触し、動翼の回転によって互いに摺動してしまう場合がある。
また、長時間の運転によって高温高圧の燃焼ガスに曝された動翼3,4,5,6やシュラウド8,9,10,11が変形を生じ、やはり動翼本体3,4,5,6の先端部とシュラウド8,9,10,11とが接触し摺動する原因となる場合もある。
このような摺動が生じた際に、シュラウド8,9,10,11の内壁が硬いと動翼3,4,5,6の先端が損傷し、回転が適正に行われなくなったり、シール性が損なわれたりする。
こうした課題を解決するために、シュラウド8,9,10,11の内壁表面に被削性の良いコーティングを設け、動翼3,4,5,6の先端部とシュラウド8,9,10,11の内壁とが接触し、動翼の回転によって互いに摺動した場合に、動翼3,4,5,6の先端によってコーティングが容易に研削を受け、動翼3,4,5,6の損傷を防止する。このようなコーティングに、本発明のアブレイダブルコーティング(被削性造隙皮膜)を有する高温シール用コーティングを用いる。
特に、ガスタービンの初段動翼とシュラウドとの間をシールために用いることが好ましい。
アブレイダブルコーティングをシュラウド8,9,10,11の内壁に設けることで、動翼3,4,5,6の先端が接触しても、アブレイダブルコーティングのみが研削を受け、動翼3,4,5,6は損傷しない。
また、この結果、動翼3,4,5,6の先端部がアブレイダブルコーティングに食い込むような形で溝が形成されることでシール性も維持される。
さらに、NiまたはCo基合金の組成を好適にすることにより、図3に示すように、約500℃以上の温度域で、動翼材であるNi基耐熱合金に対し、硬さが大きく低下する。
従って、NiまたはCo基合金が島状に微細に分散した混合皮膜は、Ni基耐熱合金製の動翼と接触した際に、摺動によって軟化したNiまたはCo基合金部分で容易に変形,脱落して被削性を示し、アブレイダブルコーティングとして機能する。
また、混合コーティング中の表面から基材に至る熱伝導の経路は、大部分を母相である、熱伝導率が小さい部分安定化ジルコニアが占める。このため、図4に示すように、混合コーティング層の熱伝導率は低く抑えられ、TBCとして十分な遮熱性を有する。
なお、特に、混合コーティングでは、部分安定化ジルコニアの母相中に、NiまたはCo基合金が島状に微細に孤立分散した組織を有することが重要であり、Ni基耐熱合金製の動翼と接触した際に、高温で軟化するNiまたはCo基合金部分が、摺動によって容易に変形,脱落して良好な被削性を示す。
また、混合コーティング中の母相が熱伝導率の小さい部分安定化ジルコニアとなるため、TBCとしての遮熱性を有する。
このように、本発明によれば、アブレイダブルコーティングとTBCの機能を併せ持つ、優れた被削性と遮熱性を有する高温シール用コーティングを実現することができる。
本発明は、ガスタービンの高温シール用コーティングとして応用可能である。また、ガスタービン以外にも、蒸気タービン,自動車エンジン等の高温シール用コーティングとして利用可能性がある。
本発明の高温シール用コーティングの構成の一例を示す断面模式図である。 ガスタービン主要部の軸方向断面模式図(上側半分)の一例を示す断面模式図である。 温度と各種合金の硬さの関係を示すグラフである。 イットリア部分安定化ジルコニアとCoNiCrAl合金混合層内のセラミックス含有率(面積率)と熱伝導率の関係を示すグラフである。 高温磨耗試験装置の構成を示す模式図である。
符号の説明
1 ケーシング
2 タービンロータ
3,4,5,6 動翼
7 間隙
8,9,10,11 シュラウド
12,13,14,15 静翼
16,17,18,19 タービンディスク
20,21,22 スペーサ
23 中間軸
24 後部軸
30 ガスパス(燃焼ガス流路)
31 燃焼器
40 基体
41 下地層
42 アブレイダブルコーティング層
43 高温シール用コーティング
44 部分安定化ジルコニア
45 NiまたはCo基合金
50 アブレイダブル試験片
51 移動機構
52 回転軸
53 テストリング
54 電気炉

Claims (6)

  1. 基体上に下地層を介して、アブレイダブルコーティング層を設けてなる高温シール用コーティングにおいて、
    前記アブレイダブルコーティング層が、部分安定化ジルコニアとNiまたはCo基合金との混合コーティングからなることを特徴とする高温シール用コーティング。
  2. 前記部分安定化ジルコニアとNiまたはCo基合金との混合コーティングは、混合コーティング中のNiまたはCo基合金の比率が、コーティング断面組織における面積率で、10〜50%であることを特徴とする請求項1に記載の高温用シールコーティング。
  3. 前記NiまたはCo基合金の組成が、NiとCoの少なくとも1つよりなることを特徴とする請求項1又は2に記載の高温用シールコーティング。
  4. 前記NiまたはCo基合金の組成が、NiとCoとの合計:50〜75重量%、Cr:5〜40重量%及びAl:1〜30重量%よりなることを特徴とする請求項1又は2に記載の高温用シールコーティング。
  5. 前記部分安定化ジルコニアが、イットリア部分安定化ジルコニアであることを特徴とする請求項1又は2に記載の高温用シールコーティング。
  6. 前記部分安定化ジルコニアとNiまたはCo基合金との混合コーティングを、結合層を介して基体上に設けたことを特徴とする請求項1に記載の高温用シールコーティング。
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