JP5629302B2 - 自己診断機能を有する電流センサ及び信号処理回路 - Google Patents

自己診断機能を有する電流センサ及び信号処理回路 Download PDF

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Description

本発明は、自己診断機能を有する電流センサ及び信号処理回路に関し、より詳細には、磁気センサが動作している状態での故障検出が可能な自己診断機能を有する電流センサ及び信号処理回路に関する。
一般に、ホール素子を使った磁気センサには、磁石の位置情報の検出を行うセンサとして近接センサ、リニア位置センサ、回転角度センサなどに用いられているだけでなく、電流導体を流れる電流によって誘起される磁界を検出することによって、電流導体を流れる電流量を非接触で測定する電流センサとしても広く利用されている。
特に、モータのインバータ電流を検出するために利用される電流センサにおいては、モータ制御を効率化する目的で、高速な周波数スイッチングされるインバータ電流を高精度に検出することが要求されている。
この種のホール素子は、入力された磁界の強度に応じたホール起電力信号を発生する磁電変換機能を有するため、磁気センサとして広く用いられている。しかしながら、ホール素子には、磁場が零である状態、すなわち、無磁場の状態でも、零でない有限の電圧が出力されてしまうというオフセット電圧(不平衡電圧)が存在する。
そこで、ホール素子を利用した磁気センサにおいては、ホール素子が持つオフセット電圧をキャンセルする目的で、スピニングカレント(Spinning current)法又はConnection commutation法といった名称で一般的に知られているホール素子の駆動方法が存在する。この方法とは、ホール素子に駆動電流を流すための端子対の位置と、ホール起電力信号を検出するための端子対の位置との間で、チョッパークロックと呼ばれるクロックにしたがって周期的に入れ替える操作を行うものである(例えば、非特許文献1参照)。
このオフセット電圧のキャンセルを目的としたSpinning current法は、CMOS半導体回路においてもスイッチ回路を用いて構成できるものであるため、高精度な磁気センサを実現するためのホール起電力検出回路は、一般的に、Spinning current法を実現するためのスイッチ回路を備えたものとなる。
また、ホール素子において発生されるホール起電力信号は、一般に微弱なものであるため、このホール起電力信号を信号増幅する目的で、ホール起電力信号検出回路は信号増幅回路を含んだ回路となる。ここで、この信号増幅回路に有限なオフセット電圧が有る場合には、信号増幅回路が持つオフセット電圧についてもオフセットキャンセルが必要となる。
このような背景のもとで、ホール素子から発生されるホール起電力を検出して信号増幅するホール起電力信号検出回路に関しては、ホール素子のSpinning current法との組み合わせに適した電流帰還形アンプ回路を用いた信号増幅回路の回路構成が知られている。この電流帰還型アンプ回路において、チョッパークロックによりアンプ回路が持つオフセット電圧をチョッパークロックの周波数に変調する回路構成は、チョッパーアンプという名称で一般的に知られている回路構成である。
このように、ホール素子におけるSpinning current法を実現する回路と、信号増幅回路におけるチョッパーアンプの回路構成を組み合わせたホール起電力検出回路を用いれば、ホール素子が持つオフセット電圧と信号増幅回路が持つオフセット電圧の両方をチョッパークロックの周波数に変調することができることが知られている(例えば、特許文献1及び非特許文献2参照)。
以下に、スピニングカレント(Spinning current)法によるホール素子のオフセットキャンセルについて説明する。
図1(a)及び(b)は、チョッパークロックの位相がφ1、φ2の2値の間で切り替わるたびに、ホール素子をバイアスする駆動電流の向きを、それぞれ、0度と90度と切り替えるときのホール起電力検出を説明した図で、図1(a)は、チョッパークロックの位相がφ1でホール素子の駆動方向が0度のとき、図1(b)は、チョッパークロックの位相がφ2でホール素子を駆動方向が90度のときを示している。なお、ホール素子は、4つの抵抗からなる4端子の素子としてモデル化されており、定電流駆動されている。
図1(a)及び(b)において、ホール素子の駆動方法を0度と90度の間で切替えた時に、ホール素子において測定される電圧信号 Vhall(φ1)とVhall(φ2)は、数式1のように、ホール素子を使った磁気センサの検出対象となる磁場Bに対応したホール起電力信号Vsig(B)とホール素子のオフセット電圧Vos(Hall)の和として表される。
ここで、チョッパークロックにしたがって、ホール素子のバイアス電流の方向を0度と90度の間で周期的に切替えることによって、検出対象の磁場に対応したホール起電力信号Vsig(B)の極性を反転/非反転の間で切替えることができるため、検出対象の磁場に対応したホール起電力信号Vsig(B)をチョッパークロックの周波数f_chopに周波数変調することが出来る。一方で、ホール素子のDCオフセット電圧Vos(Hall)に関しては、ホール素子の駆動方向を0度と90度の間で切替えても同じ極性の値となるため、Vos(Hall)はチョッパークロックによる周波数変調を受けない。
Figure 0005629302
以上のことから、チョッパークロックにしたがって、ホール素子の駆動電流の方向を0度と90度の間で切替える操作を行う場合、ホール素子において発生される信号Vhallは、図2(a)乃至(d)に示すような波形となる。また、ホール素子において発生される信号のスペクトルは、図3に示すようなスペクトルとなることから、検出対象の磁界に対応したホール起電力信号Vsig(B)とホール素子のオフセット電圧Vos(Hall)は、周波数領域において分離されることが解る。これが、Spinning current法によるオフセットキャンセルの原理である。
なお、ここでは、4つの端子を有するホール素子の駆動方向として、0度と90度の2つの方向の間で切り替える例について説明を行ったが、ホール素子の駆動方向を0度、90度、180度、270度の4方向の間で切り替えても、ホール起電力信号とオフセット電圧を周波数領域において分離することが可能である。
このようにして、ホール素子のSpinning current法により、チョッパークロックの周波数f_chopに周波数変調されたホール起電力信号Vsig(B)に対しては、ホール起電力信号検出回路の後段で、チョッパークロックを用いた復調操作が行われる。この復調操作の結果、ホール起電力信号検出回路の出力信号における信号スペクトルは、図7のようになる。そこで、図7の信号スペクトルから理解されるように、時間領域で見たホール起電力信号検出回路の出力信号の波形は、検出対象の磁界に対応したホール起電力信号Vsig(B)に加えて、ホール素子のオフセット電圧Vos(Hall)がチョッパークロックの周波数f_chopに周波数変調されて発生するRipple(リップル)が重畳した波形となる。
高精度なホール起電力信号という目的を実現するためには、このホール起電力信号検出回路の出力信号おけるRippleの発生はキャンセルされる必要がある。そこで、このRippleの発生をキャンセルする回路方式のひとつとして、ホール起電力信号検出回路の出力信号からのフィードバックを利用する回路方式が存在する。
上述したように、フィードバックによって信号増幅後の出力信号におけるRippleの発生をキャンセルする方式のホール起電力信号検出回路に関しては、例えば、特許文献1のものがあるが、2値の値をとる出力信号における誤差信号(オフセット)の影響をキャンセルする回路方式としては、例えば、特許文献2のものがある。この特許文献2においては、Rippleの発生をキャンセルするためのフィードバック回路のなかで、AD変換器、デジタル回路、DA変換器を用いた回路構成が示されている。
米国特許第6674322号明細書(B2) 米国特許第7492149号明細書(B2)
R S Popovic著 Hall Effect Devices (ISBN-10:0750300965) Inst of Physics Pub Inc (1991/05)刊 IEEE Journal of Solid-State Circuits, Vol.32, No.6, 1997, Page829~836 Bilotti他著"Monolithic Magnetic Hall Sensor Using Dynamic Quadrature Offset Cancellation"
上述した特許文献2に記載のものは、ホール素子を用いた磁性体の位置情報を2値量子化して出力する磁気センサのために使用されるホール起電力検出回路において、ホール素子のオフセット及び信号増幅回路のオフセットをキャンセルするためのフィードバック回路が用意されている。つまり、このフィードバック回路は、ホール素子のオフセットおよび信号増幅回路のオフセットによって、出力信号が2値の間で遷移する遷移点が本来の遷移点からずれることによる磁性体の位置情報の検出誤差を防止するものである。
しかしながら、この特許文献2には、このフィードバック回路を、AD変換器、デジタル回路、DA変換器を用いて構成した例が示されているものの、不揮発性メモリを利用して、このフィードバック回路の初期引き込み時間の短縮といった性能向上を実現する技術及び不揮発性メモリを利用して、磁気センサの故障診断を実現する技術については、全く言及されていない。
このように、上述した文献のいずれにも信号処理回路の故障診断に関する技術については何ら記載されていない。つまり、本発明は、電流センサをはじめとしてホール素子を使用した磁気センサに関して、故障診断の必要性という課題を解決するものである。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、磁気センサが動作している状態での故障検出が可能な自己診断機能を有する電流センサ及び信号処理回路を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、信号成分とオフセット成分を含むホール素子の出力信号から、周波数変調により前記信号成分と前記オフセット成分とを分離し、前記オフセット成分を取り出すオフセット成分出力回路と、基準信号を出力する基準信号出力部と、前記オフセット成分出力回路が出力する前記オフセット成分と前記基準信号とに基づいてエラー信号を生成するエラー信号生成回路とを備えたことを特徴とする電流センサである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記オフセット成分出力回路は、ホール素子の出力を増幅し、前記信号成分と前記オフセット成分の何れか一方が直流を含む低周波成分に、他方がチョッパークロックに同期したリップル成分に変調された出力信号を出力する信号増幅回路とを備え、該信号増幅回路の出力からオフセット成分を取り出すことを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記オフセット成分を受け取り、該オフセット成分を前記信号増幅回路にフィードバックするフィードバック回路を更に備えることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記フィードバック回路は、前記信号増幅回路の前記出力信号に含まれるオフセット成分をキャンセルするように作用する適応制御によって前記オフセット成分を制御することを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の発明において、前記フィードバック回路を動作させるための値が記憶された動作値記憶部を備え、前記フィードバック回路は、前記オフセット成分出力回路の出力と前記動作値記憶部の出力の一方を前記オフセット成分として設定する選択回路を備えていることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記選択回路は、前記フィードバック回路の初動動作時に前記動作値記憶部の出力を前記オフセット成分として設定し、初動動作後に前記オフセット成分出力回路の出力を前記オフセット成分として設定することを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の発明において、前記オフセット成分出力回路が出力する前記オフセット成分に基づき、前記動作値記憶部に記憶された値を更新する動作値更新部を備えることを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、請求項2乃至7のいずれかに記載の発明において、前記信号増幅回路は、前記信号成分が直流を含む低周波成分に、前記オフセット成分がチョッパークロックに同期したリップル成分に変調された出力信号を出力することを特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記信号増幅回路は、前記オフセット成分が直流を含む低周波成分に、前記信号成分がチョッパークロックに同期したリップル成分に変調された信号をトランスコンダクタンス素子により電流信号に変換して信号増幅し、該得られた信号を前記チョッパークロックの周期で変調することで、前記信号成分が直流を含む低周波成分に、前記オフセット成分がチョッパークロックに同期したリップル成分に変調された出力信号を出力することを特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記オフセット成分を受け取り、該オフセット成分を前記信号増幅回路にフィードバックするフィードバック回路を備え、該フィードバック回路は、前記オフセット成分をトランスコンダクタンス素子により電流信号に変換して信号増幅し、前記信号増幅回路にフィードバックすることを特徴とする。
また、請求項11に記載の発明は、請求項8,9又は10に記載の発明において、前記オフセット成分出力回路は、前記信号増幅回路の出力を前記チョッパークロックの周期で同期検波することでオフセット成分を取り出すことを特徴とする。
また、請求項12に記載の発明は、請求項1乃至11のいずれかに記載の発明において、前記基準信号出力部は、基準信号記憶部を備え、前記基準信号記憶部に記憶された値に基づき基準信号を出力することを特徴とする。
また、請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の発明において、前記基準信号記憶部に記憶された値は、前記オフセット成分を予め測定して得られる値であることを特徴とする。
また、請求項14に記載の発明は、請求項12又は13に記載の発明において、前記基準信号記憶部が、OTPROM又はEEPROMであることを特徴とする。
また、請求項15に記載の発明は、請求項12,13又は14に記載の発明において、前記オフセット成分出力回路が出力する前記オフセット成分に基づき、前記基準信号記憶部に記憶された値を更新する基準信号更新部を備えることを特徴とする。
また、請求項16に記載の発明は、請求項1乃至15のいずれかに記載の発明において、前記エラー信号生成回路は、前記オフセット成分出力回路が出力する前記オフセット成分と、前記基準信号と、の比較結果に基づいて、エラー信号を生成することを特徴とする。
また、請求項17に記載の発明は、請求項1乃至16のいずれかに記載の発明において、前記エラー信号生成回路は、前記オフセット成分出力回路が出力する前記オフセット成分が示す値と、前記基準信号が示す値との比又は差に基づいてエラー信号を生成することを特徴とする。
また、請求項18に記載の発明は、請求項1乃至17のいずれかに記載の発明において、前記エラー信号生成回路は、前記オフセット成分出力回路が出力する前記オフセット成分が示す値と、前記基準信号が示す値との比較を上限値と下限値とを用いて比較し、該比較結果に比較結果に基づいて、エラー信号を生成することを特徴とする。
また、請求項19に記載の発明は、信号成分とオフセット成分を含む信号から、周波数変調により前記信号成分と前記オフセット成分とを分離し、前記オフセット成分を取り出すオフセット成分出力回路と、基準信号を出力する基準信号出力部と、前記オフセット成分出力回路が出力する前記オフセット成分と前記基準信号とに基づいてエラー信号を生成するエラー信号生成回路とを備えたことを特徴とする自己診断機能を有する信号処理回路である。
本発明によれば、センサ出力信号の信号処理の過程で抽出されるセンサ出力信号のオフセット成分を用いているので、特別な構成を用いることなく、自己診断を行うことができる。
また、信号成分とオフセット成分の何れか一方が直流を含む低周波成分に、他方がチョッパークロックに同期したリップル成分に変調するので、フィルタなどの所望の手段でオフセット成分を取り出すことができる。
また、オフセット成分出力回路が取り出したオフセット成分を自己診断に用いるとともに、オフセット成分をキャンセルするための適応制御にも適用できる。
(a)及び(b)は、チョッパークロックの位相がφ1、φ2の2値の間で切り替わるたびに、ホール素子をバイアスする駆動電流の向きを、それぞれ、0度と90度と切り替えるときのホール起電力検出を説明した図である。 (a)乃至(d)は、ホール素子において発生する信号波形を示す図である。 ホール素子において発生する信号Vhallの信号スペクトルを示す図である。 本発明に係る自己診断機能を有する電流センサの実施例1を説明するためのブロック構成図である。 本発明に係る自己診断機能を有する電流センサの実施例2を説明するためのブロック構成図である。 図4及び図5に示した本発明に係る自己診断機能を有する電流センサの実施例1及び2を説明するための回路構成図である。 図6に示した信号増幅回路の出力電圧Voutにおける信号スペクトルを示す図である。 (a)乃至(c)は、ホール素子を使った磁気センサの検出対象の磁界において時間変化が無いとき、または時間変化が緩やかな場合にサンプリングを行ってVout(φ1)、Vout(φ2)を検出する様子を示す図である。 (a)乃至(d)は、サーボ変数X(i)の適応制御によるリップル(Ripple)状のノイズをキャンセルする様子及びオフセットに関する故障が検出されない場合のサーボ変数X(i)の収束の様子を示す図である。 (a)乃至(d)は、サーボ変数X(i)の適応制御によるリップル(Ripple)状のノイズをキャンセルする様子及びオフセットに関する故障が検出される場合のサーボ変数X(i)の収束の様子を示す図である。 本発明に係る故障診断機能を備えた信号処理回路の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
以下、図面を参照して本発明の各実施例について説明する。
図4は、本発明に係る自己診断機能を有する電流センサの実施例1を説明するためのブロック構成図で、図中符号100は電流センサ、101はホール素子、102はオフセット成分出力回路、103は基準信号発生部(兼動作値記憶部;メモリ)、104はエラー信号生成回路、106は信号増幅回路、107はオフセット成分推定部を示している。
本発明の自己診断機能を有する電流センサは、信号成分とオフセット成分を含むホール素子101の出力信号からオフセット成分を取り出すオフセット成分出力回路102と、基準信号を出力する基準信号発生部103と、オフセット成分出力回路102が出力するオフセット成分と基準信号とに基づいてエラー信号を生成するエラー信号生成回路104とを備えている。
このような構成により、センサ出力信号の信号処理の過程で抽出されるセンサ出力信号のオフセット成分を用いているので、特別な構成を用いることなく、自己診断を行うことができる。
また、オフセット成分出力回路102は、ホール素子101の出力を増幅し、信号成分とオフセット成分の何れか一方が直流を含む低周波成分に、他方がチョッパークロックに同期したリップル成分に変調された出力信号を出力する信号増幅回路106と、オフセット成分推定部107とを備え、この信号増幅回路106の出力からオフセット成分を取り出すように構成されている。
このような構成により、信号成分とオフセット成分の何れか一方が直流を含む低周波成分に、他方がチョッパークロックに同期したリップル成分に変調するので、フィルタなどの所望の手段でオフセット成分を取り出すことができる。
また、信号増幅回路106は、信号成分が直流を含む低周波成分に、オフセット成分がチョッパークロックに同期したリップル成分に変調された出力信号を出力するものである。
このような構成により、信号成分が直流を含む低周波成分に、オフセット成分をチョッパークロックに同期したリップル成分に変調することで、オフセット成分を取り除いた後の信号成分を変調等の処理をすることなくそのまま信号成分として使用することができる。
また、オフセット成分出力回路102は、信号増幅回路106の出力をチョッパークロックの周期で同期検波することでオフセット成分を取り出すように構成されている。
このような構成により、信号増幅回路106の出力をチョッパークロックの周期で同期検波することでオフセット成分を取り出すことができる。
図6は、図4に示した本発明に係る自己診断機能を有する電流センサの実施例1を説明するための回路構成図である。図中符号11はホール素子、12は第1のスイッチ回路、14はチョッパークロック発生回路、131は第1のトランジスタの差動対(Gm,1)、132は第2のスイッチ回路、133は第2のトランジスタの差動対(Gm,2)、134は第3のスイッチ回路、135は第4のトランジスタの差動対(Gm,out)、153はMビットAD変換器、154はデジタル積分器を示している。なお、第1のスイッチ回路12は、Spinning current法を実現するためのスイッチ回路である。
信号増幅回路106は、第1のスイッチ回路12と、第1のトランスコンダクタンス素子(トランジスタの差動対;Gm,1)131と、第2のスイッチ回路132と、第2のトランスコンダクタンス素子(トランジスタの差動対;Gm,2)133と、第3のスイッチ回路134と、信号増幅回路106の出力段(トランジスタの差動対;Gm,out)135とを備えている。
本発明に係る故障診断機能を有する信号処理回路は、ホール素子において発生するホール起電力信号を予め定められた信号増幅率で信号増幅した出力電圧信号を生成するホール起電力信号検出回路を備えている。第1のスイッチ回路12は、ホール素子11の端子対に関して、ホール素子11に駆動電流を流すための端子対の位置とホール起電力信号を検出するための端子対の位置との間で端子対の位置の入れ替えを行い、ホール素子11において発生するホール起電力信号をチョッパークロックの周波数に変調するものである。
本発明に係る自己診断機能を有する信号処理回路(ホール起電力信号検出回路)は、磁気センサが動作している状態での故障を検出するものである。
また、信号増幅回路106は、チョッパークロックによって変調された信号成分と、DCオフセット成分から成る入力信号とを、トランスコンダクタンス素子による電流信号への変換を経て、信号増幅して出力電圧信号を得るもので、この信号増幅回路106は、信号成分が直流を含む低周波成分に、オフセット成分がチョッパークロックに同期したリップル成分に変調された出力信号を出力するものである。
つまり、ホール素子のホール起電力信号から電流への変換を行って第1の電流を生成する第1のトランスコンダクタンス素子131と、出力電圧信号を定められた比で電圧分割する抵抗R1,R2と、チョッパークロックにしたがって、電圧分割により生成される電圧の極性を反転する第2のスイッチ回路132と、第2のスイッチ回路132)の出力電圧から電流への変換を行って第2の電流を生成する第2のトランスコンダクタンス素子133と、第1のトランスコンダクタンス素子131の後段に設けられた、チョッパークロック周波数での復調操作を行う第3のスイッチ回路134と、この第3のスイッチ回路134に接続された出力段135を備えている。
また、信号増幅回路106は、オフセット成分が直流を含む低周波成分に、信号成分がチョッパークロックに同期したリップル成分に変調された信号をトランスコンダクタンス素子により電流信号に変換して信号増幅し、この得られた信号をチョッパークロックの周期で変調することで、信号成分が直流を含む低周波成分に、オフセット成分がチョッパークロックに同期したリップル成分に変調された出力信号を出力するものである。
このような構成により、トランスコンダクタンス素子により電流信号に変換することで、信号増幅回路の出力に含まれるオフセット成分を電流量の足し引きで制御することが可能となり、簡単な回路構成で信号増幅回路の出力信号に含まれるオフセット成分をキャンセルすることができる。
また、オフセット成分出力回路102は、上述した信号増幅回路106と、チョッパークロック生成回路14と、オフセット成分推定部107とを備えている。
チョッパークロック生成回路14は、第1のスイッチ回路12を周期的に駆動するチョッパークロックを生成するものである。また、信号増幅回路106は、第1のスイッチ回路12からの出力電圧信号を増幅するものである。また、オフセット成分推定部107は、MビットAD変換器153と、デジタル積分器154とを備えている。
図5は、本発明に係る自己診断機能を有する電流センサの実施例2を説明するためのブロック構成図で、図6は、図5に示した本発明に係る自己診断機能を有する電流センサの実施例2を説明するための回路構成図である。図中符号105はフィードバック回路、151はチョッパークロックカウンタ、156は選択回路、157はNビットレジスタ、158はNビットDA変換器、159は第3のトランジスタの差動対(Gm,3)を示している。その他、図4と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付してある。
フィードバック回路105は、オフセット成分を受け取り、オフセット成分を信号増幅回路106にフィードバックするもので、この信号増幅回路106の出力信号に含まれるオフセット成分をキャンセルするように作用する適応制御によってオフセット成分を制御するものである。
このような構成により、オフセット成分出力回路が取り出したオフセット成分を自己診断に用いるとともに、オフセット成分をキャンセルするための適応制御にも適用できる。
また、フィードバック回路105は、オフセット成分をトランスコンダクタンス素子により電流信号に変換して信号増幅し、信号増幅回路106にフィードバックするものである。
このような構成により、トランスコンダクタンス素子により電流信号に変換することで、信号増幅回路の出力に含まれるオフセット成分を電流量の足し引きで制御することが可能となり、簡単な回路構成で信号増幅回路の出力信号に含まれるオフセット成分をキャンセルすることができる。
また、フィードバック回路105を動作させるための値が記憶された動作値記憶部103を備え、フィードバック回路105は、オフセット成分出力回路102の出力と動作値記憶部103の出力の一方をオフセット成分として設定する選択回路156を備えている。
このような構成により、動作値記憶部で記憶された値を基にフィードバック回路を動作させる動作させることで、電源投入直後のスタートアップ時間を短縮することが出来る。
また、この選択回路156は、フィードバック回路105の初動動作時に動作値記憶部103の出力をオフセット成分として設定し、初動動作後にオフセット成分出力回路102の出力をオフセット成分として設定するものである。
また、オフセット成分出力回路102が出力するオフセット成分に基づき、動作値記憶部103に記憶された値を更新する動作値更新部(図示せず)を備える。
また、オフセット成分推定部107は信号増幅回路106の出力をチョッパークロックの周期で同期検波することでオフセット成分を取り出すものである。
このような構成により、オフセット成分出力回路が出力するオフセット成分に基づき、動作値記憶部に記憶された値を更新することで、動作値記憶部で記憶された値を実際の使用環境に応じて設定することができ、電源投入直後のスタートアップ時間をより短縮することが可能となる。
また、基準信号発生部103は、基準信号記憶部(図示せず)を備え、この基準信号記憶部に記憶された値に基づき基準信号を出力するもので、基準信号記憶部に記憶された値は、オフセット成分を予め測定して得られる値である。また、基準信号記憶部は、OTPROM又はEEPROMであることが望ましい。
このような構成により、メモリに記憶された値にオフセット成分を予め測定して得られる値を用いることで、精度よく自己診断を行うことが可能となる。
また、オフセット成分出力回路102が出力するオフセット成分に基づき、基準信号記憶部に記憶された値を更新する基準信号更新部(図示せず)を備えている。
このような構成により、オフセット成分出力回路102が出力するオフセット成分に基づき、メモリ103に記憶された値を更新するので、基準信号の値を実際の使用環境に応じて設定することが可能となる。
また、エラー信号生成回路104は、オフセット成分出力回路102が出力するオフセット成分と、基準信号との比較結果に基づいて、エラー信号を生成するもので、オフセット成分出力回路102が出力するオフセット成分が示す値と、基準信号が示す値との比又は差に基づいてエラー信号を生成するもので、さらには、オフセット成分出力回路102が出力するオフセット成分が示す値と、基準信号が示す値との比較を上限値と下限値とを用いて比較し、この比較結果に比較結果に基づいて、エラー信号を生成するものである。このような構成により、精度よく自己診断を行うことができる。
また、フィードバック回路105は、選択回路156と、Nビットレジスタ157と、NビットDA変換器158と、第3のトランスコンダクタンス素子(トランジスタの差動対;Gm,3)159とを備えている。
フィードバック回路105は、信号増幅回路106の出力電圧信号からチョッパークロックに同期した信号成分を同期検波して検出し、同期検波の結果として得られるDC信号を、サーボ変数としてNビットレジスタ157に格納し、信号増幅回路106において、電流信号にフィードバックするものである。
また、メモリ103は、フィードバック回路105が、信号増幅回路106の出力電圧信号におけるRipple状のノイズの発生をキャンセルするための適応制御を行う際に、Nビットレジスタ157に格納されている適応制御のサーボ変数の収束値を予め測定して得られる値を記憶するものである。
また、エラー信号生成回路104は、メモリ103に記憶された値とフィードバック回路105の適応制御によって決定される値との間で比較してエラー信号を生成するものである。具体的には、このエラー信号生成回路104は、メモリ103に記憶された値とフィードバック回路105の適応制御によって決定されるサーボ変数の値との間での比較操作の結果に基づいてエラー信号を発行するものである。
これらの2つの値を比較する操作については、エラー信号生成回路104において、2つの値の間の差または比を計算することによって行われるものである。エラー信号生成回路104は、これらの差または比の値を上限値と下限値と比較した結果に基づいて、エラー信号を発行する機能を有する。
また、選択回路156は、メモリ103に記憶された値とフィードバック回路105の適応制御によって決定されるサーボ変数の値との間でNビットレジスタに格納する値を選択するものである。
また、メモリ103は、OTP(ワンタイム・プログラマブル;One−Time Programmable)ROM又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory;電気的に消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ)である。また、磁気センサは、ホール素子を用いることが最適である。
以上は、Spinning current法を行うホール素子に関して、本発明に係る故障診断機能を有する電流センサについて、図6を用いて概要説明を行ったが、この電流センサは、信号処理回路として利用することができる。以下では、図6に基づいて信号処理回路の動作について詳細な説明を行う。
本発明の自己診断機能を有する信号処理回路は、信号成分とオフセット成分を含む信号からオフセット成分を取り出すオフセット成分出力回路102と、基準信号を出力する基準信号発生部103と、オフセット成分出力回路102が出力するオフセット成分と基準信号とに基づいてエラー信号を生成するエラー信号生成回路104とを備えている。
このような構成により、センサ出力信号の信号処理の過程で抽出されるセンサ出力信号のオフセット成分を用いているので、特別な構成を用いることなく、自己診断を行うことができる。
ホール素子において発生するホール起電力信号は、第1のスイッチ回路12によって、チョッパークロック周波数f_chopに変調され、信号Vhallとして、トランジスタの差動対(Gm,1)131に入力される。トランジスタの差動対(Gm,1)131においては、数式2にしたがって、電流I1が生成される。ここで、信号増幅回路のトランジスタ差動対(Gm,1)131にもオフセットVos(Gm,1)が存在するため、電流I1は、このオフセット電圧Vos(Gm,1)の影響を受けることになる。
Figure 0005629302
なお、図6のなかで、電流I1は差動信号となっている。このため、図6のなかの記号I1+,I1−について説明すると、I1=(I1+)−(I1−)という関係があることに注意が必要である。
図6に示した故障診断機能を有する信号処理回路においては、出力電圧Voutから抵抗R1,R2を使ったフィードバックが用意されており、ここで、基準電圧Vrefを0とすれば、数式3に示したように、出力電圧Voutからのフィードバック電圧Vfbが生成される。
Figure 0005629302
信号増幅回路のなかのトランジスタの差動対(Gm,2)133は、数式3で表される出力電圧Voutからのフィードバック電圧Vfbによって駆動されているが、トランジスタ差動対(Gm,2)133にもオフセットVos(Gm,1)が存在するため、Gm,2から出力される電流I2は数式4で表される。
Figure 0005629302
なお、図6のなかで、電流I2は差動信号となっている。このため、図6のなかの記号I2+,I2−について説明すると、I2=(I2+)−(I2−)という関係があることに注意が必要である。
図6に示した故障診断機能を有する信号処理回路においては、トランジスタの差動対(Gm,1)131からの出力電流I1とトランジスタの差動対(Gm,2)133からの出力電流I2の和がゼロになるようにフィードバックが働くことになる。したがって、I1+I2=0として、図6に示した故障診断機能を有する信号処理回路の出力電圧Voutを計算すると、数式5が得られる。
Figure 0005629302
ここで、数式5に表されるように、チョッパークロックによって変調された信号Vsig(B)は、図6に示す第3のスイッチ回路134によって復調されることに注意が必要である。このように、検出対象となる信号Vsig(B)に対して、前段でチョッパークロックによって変調してから、後段でチョッパークロックによって復調することから、図6に示す信号増幅回路に類する回路は、チョッパーアンプと呼ばれる回路構成である。チョッパーアンプはオフセットキャンセル機能を実現する信号増幅回路として知られている回路構成である。
上述した数式5のなかで{ }で囲まれた成分はチョッパークロックの位相がφ1とφ2の間で切り替わる度に極性が反転することから解るように、図6に示した故障診断機能を有する信号処理回路においては、チョッパークロックの位相がφ1とφ2の間で切り替わる度に、ホール素子のオフセット電圧、Gm,1のオフセット電圧、Gm,2のオフセット電圧の和がチョッパークロックによって変調されて信号増幅回路の出力VoutにおけるRipple状のノイズが発生する。数式5を見れば、信号増幅回路の出力Voutの信号スペクトルが、図7に示すようなスペクトルとなることが理解できる。周波数領域でのVoutの信号スペクトルである図7の中で、チョッパークロック周波数f_chopにある成分が、時間領域で見た場合、信号増幅回路の出力Voutに重畳するRipple状のノイズとなる。したがって、信号増幅回路の出力Voutに重畳するRipple状のノイズを低減することは、図7に示した信号スペクトルにおいて、チョッパークロック周波数f_chopにある成分を低減することに他ならない。
また、数式5から上述したRipple状のノイズの存在を除いた場合には、数式6が得られる。これは、図6に示した故障診断機能を有する信号処理回路において、磁気センサの検出対象の磁界Bに対応したホール起電力信号Vsig(B)が、所定の信号増幅率(1+R2/R1)(Gm,1/Gm,2)で信号増幅されることを示している。
Figure 0005629302
このように、図6に示した故障診断機能を有する信号処理回路においては、信号増幅回路の出力Voutに重畳するRipple状のノイズを充分に低減することが要求される。
そこで、Ripple状のノイズの発生を抑止する目的で、図6に示した故障診断機能を有する信号処理回路においては、ホール起電力信号を信号増幅する信号増幅回路の出力信号Voutから、信号増幅回路において電流I1と電流I2を加算する回路ノードに向けたフィードバック回路105が用意されている。
このフィードバック回路105は、Nビットレジスタ157、NビットDA変換器158、トランジスタの差動対(Gm,3)159から構成されている。
トランジスタの差動対(Gm,3)159は、NビットDA変換器158からの出力電圧Vintによって駆動され、トランジスタの差動対(Gm,3)159から出力される電流I3は、数式7で表される電流I1+I2=Gm,1・Vhall+Gm,2・Vfbのなかに含まれるDCオフセット電流成分Iosをキャンセルするように作用する。すなわち、トランジスタの差動対(Gm,3)159から出力される電流I3が、数式8を満足する様に作用することによって、信号増幅回路の出力電圧信号VoutにおけるRipple状のノイズの発生を解消することができる。
Figure 0005629302
Figure 0005629302
なお、図6に示した電流I3は差動信号となっている。このため、図6のなかの記号I3+,I3−について説明すると、I3=(I3+)−(I3−)という関係があることに注意が必要である。
以下では、図6に示した故障診断機能を有する信号処理回路のなかのフィードバック回路105について詳細に説明する。
チョッパークロックカウンタ151は、2相の値(φ1、φ2)を取るチョッパークロックをカウントして、カウンタ値iを生成する回路である。
図6に示した故障診断機能を有する信号処理回路において、MビットAD変換器153は、故障診断機能を有する信号処理回路の出力電圧信号Voutに接続されており、チョッパークロック位相がφ1からφ2に切り替わる直前のタイミングでVoutをサンプリングして得られる信号Vout(φ1)と、チョッパークロック位相がφ2からφ1に切り替わる直前のタイミングでVoutをサンプリングして得られる信号Vout(φ2)との間の差分信号Vdiff=Vout(φ1)−Vout(φ2)に対するAD変換を行って、Mビット幅のデジタル信号ADC(Vdiff)を生成する。ここで、図8(a)乃至(c)は、MビットAD変換器による信号Voutのサンプリング操作を説明するための図である。
デジタル積分器154は、MビットAD変換器153の出力信号ADC(Vdiff)に対して、チョッパークロックカウンタ151のカウンタ値iを使って数式9の漸化式で表される積分操作を行う回路である。ここで、αは、積分器の時定数(フィルター特性)を決定する定数であって、本発明の信号処理回路においては、フィードバックループの周波数特性を狭帯域にする必要があるため、一般に、0.001以下の小さな正の値が使用される。
Figure 0005629302
数式9の漸化式から、デジタル積分器の伝達関数Hint(z)は、数式10で与えられる一次のローパスフィルタとなる。したがって、デジタル積分器の後段に配置されたNビットレジスタのレジスタ値X(i)は、MビットAD変換器の出力信号ADC(Vdiff)に対して積分操作を行って得られる値である。
Figure 0005629302
チョッパークロックカウンタ151のカウンタ値がiのとき、Nビットレジスタ157に格納されているデジタル信号X(i)は、NビットDA変換器158によって、アナログ電圧信号Vintに変換される。数式11は、NビットDA変換器158におけるDA変換操作を表す数式である。
Figure 0005629302
NビットDA変換器158から出力されるアナログ電圧信号Vintは、トランジスタの差動対(Gm,3)159によって電流I3に変換される。数式12は、トランジスタの差動対(Gm,3)159における電流I3の生成を表す数式である。
Figure 0005629302
以上の説明から解るように、本発明に係る故障診断機能を有する信号処理回路の図6のなかのフィードバック回路は、ホール素子のオフセット電圧、トランジスタの差動対(Gm,1)131のオフセット電圧、トランジスタの差動対(Gm,2)133のオフセットが与えられたときに、信号増幅後のホール起電力信号VoutにおけるRipple状のノイズの発生を低減するように適応制御(サーボ動作)を行う。すなわち、時間の経過に応じて、チョッパークロックカウンタの値iが増加する度に、Nビットレジスタ157に格納されたサーボ変数X(i)が適応制御(サーボ動作)を行い、サーボ変数X(i)は数式8を満たす値に向けて収束していく。図9及び図10は、こうしたサーボ変数X(i)の適応制御(サーボ動作)の様子を説明する図である。
ここで、本発明に係る故障診断機能を有する信号処理回路の図6のなかのフィードバック回路の動作について説明する。数式7によって表されるDCオフセット電流Iosは、ホール素子のオフセット電圧、トランジスタの差動対(Gm,1)131のオフセット電圧、トランジスタの差動対(Gm,2)133のオフセット電圧がトランジスタの差動対によってDCオフセット電流に変換されたものであり、このDCオフセット電流Iosが第3のスイッチ回路134においてチョッパークロックの周波数に変調されることによって、信号増幅回路の出力電圧信号VoutにRipple状のノイズ(信号スペクトルとしては図3)が発生するわけである。
したがって、上述したフィードバック電流I3によって、(I1+I2)に含まれるDC成分であるIosとI3の和が零になるようにフィードバックが作用する(数式8)ことにより、上述したRipple状のノイズの発生を解消することができる。このことから理解されるように、図8(a)乃至(c)においては、上述した全てのオフセット、すなわち、ホール素子のオフセット電圧、トランジスタの差動対(Gm,1)131のオフセット電圧、トランジスタの差動対(Gm,2)133のオフセット電圧の影響がキャンセルされることになる。
以下では、本発明の信号処理回路におけるフィードバック回路及びそのフィードバック回路の動作について詳細な説明する。
図6に示したフィードバック回路に含まれる各回路ブロックは、以下に説明する様に機能することにより、信号増幅器の出力信号において発生するRipple状のノイズの発生をキャンセルする適応制御(サーボ動作)を実現する。
MビットAD変換器153は、信号増幅されたホール起電力信号Voutのなかに含まれるRipple状のノイズ成分Vdiff=Vout(φ1)−Vout(φ2)をMビットAD変換器153によってAD変換して、Mビットのデジタル信号ADC(Vdiff)を生成する。
デジタル積分器154は、チョッパークロックカウンタ151がカウント動作を行いカウンタ値iがカウントアップする度に、Mビットデジタル信号ADC(Vdiff)に対する積分操作を行い、Nビットのデジタル積分器154の出力信号Xint(i)を更新する。
Nビットレジスタ157は、メモリ103に記憶された値Xmemとデジタル積分器154の出力信号Xint(i)のうちの一方から選択回路156によって選択されたほうの値をサーボ変数の値X(i)として保持する。
NビットDA変換器158は、Nビットのサーボ変数の値X(i)をアナログ電圧信号Vintに変換する。
トランジスタの差動対(Gm,3)159は、Vintの電圧値に応じて、電流I3を生成し、ホール素子のオフセットならびに信号増幅回路のオフセットに起因して発生する電流I1+I2のなかのDC成分をキャンセルする。
このように、フィードバック回路105は、信号増幅回路106にフィードバックする値を、メモリに記憶された値Xmem、またはフィードバック回路105の適応制御(サーボ動作)により決定される値(これは、デジタル積分器の出力Xint(i))の間から選択して、フィードバック動作を行う。
図6に示した本発明に係る故障診断機能を有する信号処理回路の特徴は、以下のものである。
1)信号増幅回路の出力におけるRippleの発生をキャンセルするためのフィードバック回路のサーボ変数X(i)として、メモリに記憶された値Xmemとデジタル積分器の出力信号Xint(i)のうちの一方を選択するための選択回路を備えている。
2)上述した選択回路の選択動作は、エラー信号生成回路によって生成される選択信号によって制御されており、電源投入後のスタートアップ動作においては、サーボ変数の初期値としてXmemを使ってフィードバック回路の動作を開始する。すなわち、電源投入後のスタートアップ動作においては、チョッパークロックカウンタのカウンタ値iについて、i=0となっているが、i=0のときは、サーボ変数の初期値として、メモリから読み出したXmemの値を使って、X(0)=Xmemと設定する。初回のスタートアップ動作以外の場合、すなわち、i≧1のときは、X(i)=Xint(i)と設定して、フィードバック回路の適応制御(サーボ動作)を行う。この選択回路の選択動作は、エラー信号生成回路において生成される選択信号によって制御される。
3)サーボ変数X(i)が収束した後の値と、メモリに記憶された値Xmemの間の乖離が、予め定められた許容範囲Xadjを越えた場合には、数式13に示すように、ホール素子を用いた磁気センサにおいて、ホール素子のオフセットの異常または信号増幅回路のオフセットの異常と判断し、磁気センサからのエラー信号を発行する。
Figure 0005629302
本発明に係る故障診断機能を有する信号処理回路を備えた磁気センサについては、製品を出荷する際に、キャリブレーションを行って、メモリに記憶させるサーボ変数Xmemの値を決定する。このキャリブレーションの方法は、以下に説明するように、非常に簡単な方法となる。例えば、本発明に係る故障診断機能を備えた信号処理回路を備えた磁気センサを、予め定められた磁気センサの環境温度、磁気センサへの応力といった、ある環境条件のもとで、充分に長い時間、動作させる。
図9(a)乃至(d)は、サーボ変数X(i)の適応制御によるリップル(Ripple)状のノイズをキャンセルする様子及びオフセットに関する故障が検出されない場合のサーボ変数X(i)の収束の様子を示す図である。図10(a)乃至(d)は、サーボ変数X(i)の適応制御によるリップル(Ripple)状のノイズをキャンセルする様子及びオフセットに関する故障が検出される場合のサーボ変数X(i)の収束の様子を示す図である。
図9(a)乃至(d)及び図10(a)乃至(d)に示したように、時間の経過に応じて、サーボ変数X(i)の値が収束し、信号増幅回路の出力信号におけるRipple状のノイズがゼロに向かって収束する。したがって、充分に長い時間が経過したところで、サーボ変数X(i)の値をXmemの値として、メモリに記憶させればよい(数式14)。ここで、図6のなかでは、特に明示されていないが、本発明に係る故障診断機能を有する信号処理回路においては、上述したキャリブレーションの方法によって、本発明に係る故障診断機能を有する信号処理回路のなかで決定された値X(i)を、Xmemの値としてメモリに書き込んで記憶させるメモリへの書き込み機能が用意されている。
Figure 0005629302
また、このとき、メモリに記憶されたXmemの値は、キャリブレーションを実施したときの環境条件(環境温度、磁気センサへの応力)に対応したX(i)の値となるため、磁気センサが出荷された後、実際の磁界検出の目的のために使用されているときの磁気センサの環境温度、磁気センサへの応力といった環境条件とキャリブレーションが行われたときの環境条件の違いによって生じるオフセットの変動分(ホール素子のオフセットならびに信号増幅回路のオフセット)を、フィードバック回路のなかのサーボ変数X(i)が適応制御(サーボ動作)を行うことでキャンセルする。
本発明に係る故障診断機能を有する信号処理回路を備えた磁気センサにおいては、上述したように、製品出荷時のキャリブレーション操作のなかで、メモリに記憶するXmemの値を決定する。こうしてキャリブレーション操作によって得られるXmemの値は、磁気センサの個体ごとに異なるホール素子のオフセット値及び信号増幅回路のオフセット値を反映した値となっている。しかしながら、製品出荷後、磁気センサとしての動作中の環境温度が、出荷時のキャリブレーションを行ったときの環境温度と異なると、上述したオフセットの値も環境温度の違いに起因してキャリブレーションを行ったときの値から変動する。また、磁気センサの製品出荷後に磁気センサが実装された際には、キャリブレーションを行ったときと比較して、磁気センサへの応力(パッケージ応力)が変化しているため、上述したオフセットの値が、キャリブレーションを行ったときの値から変動する。
以上のように、本発明に係る故障診断機能を有する信号処理回路を備えた磁気センサにおいては、製品出荷後に磁気センサが使用されるときの環境条件と製品出荷時にキャリブレーションを行うときの環境条件の違いに起因して、製品の出荷後に発生するオフセット変動(ホール素子のオフセット変動及び信号増幅回路のオフセット変動)に対して、フィードバック回路の適応制御(サーボ動作)が機能することにより、上述した製品出荷後のオフセット変動を補正するものである。
次に、温度によるホール素子のオフセットの変動について以下に説明する。
CMOS半導体チップのなかで、ホール素子がNウェルとして形成される場合、Nウェルの抵抗値は、一般に、温度とともに上昇する。そこで、CMOS半導体チップのなかで、Nウェルとして形成されたホール素子のオフセットについては、図1に示した抵抗ブリッジを用いたホール素子のモデルから想像されるように、温度が上昇するとともに、一般に、オフセット値も上昇する。
したがって、CMOS半導体チップのなかで、Nウェルとして形成されたホール素子のオフセット値の温度による変動範囲は、室温でのオフセット値を基準として、氷点下温度の低温領域、100℃以上の高温領域を含めた温度範囲で、凡そ、0.5倍から2倍程度であり、この範囲を大きく超えて、オフセット値の変動が見られる場合には、そのホール素子に関して、故障の可能性が考えられる。上記の温度によるホール素子のオフセット変動を考慮すると、上述したXadjの値は、約50%という値に設定されることになる。
実際には、ホール素子のオフセットは、温度だけでなく応力によっても変動するため、温度、応力などを含む変動要因を考慮して、Xadjの値を決定することになる。
次に、本発明における最も特徴的な適応制御(サーボ動作)のなかでの故障の自己診断について以下に説明する。
本発明に係る故障診断機能を有する信号処理回路を備えた磁気センサについては、製品出荷時にキャリブレーションを行ったときの環境条件と磁気センサが使用されるときの環境条件の間の違いに起因して発生するオフセットの変動分を、フィードバック回路の適応制御(サーボ動作)によってリアルタイムに補正する機能を持っているため、この機能を磁気センサの故障についての自己診断の目的に利用することができる。
すなわち、フィードバック回路のなかのサーボ変数X(i)が収束した後の値が、Xmem±Xadjの範囲に含まれるか、あるいは、この範囲の外部となるかによって、自己診断結果を行う(数式13)。
図9(a)乃至(d)は、サーボ変数X(i)の収束後の値がXmem±Xadjの範囲に含まれる場合のサーボ変数X(i)の動作を説明した図であり、この場合には、エラー信号が出力されない。図10(a)乃至(d)は、サーボ変数X(i)の収束後の値がXmem±Xadjの範囲に含まれない場合のサーボ変数X(i)の動作を説明した図であり、この場合には、エラー信号が出力される。
つまり、本発明に係る故障診断機能を有する信号処理回路を備えた磁気センサにおいては、電源投入直後に、メモリに記憶されたキャリブレーション値を使用することにより、電源投入直後のスタートアップ時間を短縮することが可能となるだけでなく、磁気センサの動作中に更新されるレジスタ値をメモリに記憶されたキャリブレーション値との間で比較することにより、ホール素子及びホール起電力信号検出回路の故障についての自己診断を、磁気センサとしての動作中に実行することが出来る。
磁気センサが製品として出荷された後の製品寿命の間に、ホール素子に関する故障が起こることが考えられるが、このような故障のなかで、ホール素子のオフセットに異常が現れる種類の故障モードについては、本発明に係る故障診断機能を備えた信号処理回路を備えた磁気センサにおいて、自己診断機能によって検出することが可能となる。
また、ここで、図6を見て解るように、本発明に係る故障診断機能を有する信号処理回路において、故障の自己診断機能を実現するために追加された回路は、サーボ変数X(i)の値とメモリに記憶されたXmemの値の間の差異をモニタするための比較操作を行う簡単なデジタル回路だけとなるので、本発明の信号処理回路は、極めて低コストで故障の自己診断を実現し、高い信頼性を持つ磁気センサの実現にとって有効な回路構成である。
磁気センサのなかでも、モータのインバータ電流を非接触で検出する電流センサについては、電流センサによって検出された電流値に基づいて、モータの回転制御が行われている。したがって、本発明に係る故障診断機能を備えた信号処理回路によって、磁気センサとしての動作中の故障の自己診断が可能になることは、高い信頼性を備えた電流センサを安価に製造することが可能になることを意味している。
ここで、図6に示した故障診断機能を有する信号処理回路は、ホール素子において発生するホール起電力信号を、第1のスイッチ回路12において、チョッパークロック周波数f_chopに変調して得られる信号Vhallをトランジスタの差動対(Gm,1)131によって電流I1に変換した後、第3のスイッチ回路134においてチョッパー復調を行い、信号増幅されたホール起電力信号Voutを生成するものであり、その信号増幅率は、数式6で表される。この図6に示した故障診断機能を有する信号処理回路では、信号増幅率(数式6)を決定するために、トランジスタの差動対(Gm,2)133からの電流I2が帰還されているために、一般に電流帰還型のチョッパーアンプと呼ばれている信号増幅回路構成のなかのひとつの回路形態であるが、信号増幅後のホール起電力信号VoutにおけるRipple状のノイズの発生をキャンセルするという目的に関しては、信号増幅回路の構成は、電流帰還型に限定されるものではない。したがって、本発明は、電流帰還型のチョッパーアンプの構成に限定されるものではない。
このように、本発明に係る故障診断機能を有する信号処理回路は、適応制御の初期引き込み過程でのサーボ変数の値の変化をモニタする手段、ならびに、適応制御が収束した後のサーボ変数の値を、メモリに記憶されたサーボ変数の初期値(製品出荷時のキャリブレーション値)と比較する手段を、本発明の信号処理回路のなかに実装することにより、故障の自己診断機能を実現することが可能となる。
これは、磁気センサの出荷後、磁気センサが動作している状態での故障を検出する自己診断機能という意味において、高い信頼性が要求される磁気センサの実現にとって好適な特性である。
したがって、本発明に係る故障診断機能を有する信号処理回路は、インバータのスイッチング電流を検出する目的で使用される電流センサをはじめとした、ホール素子を用いた磁気センサにおいて高い信頼性を実現することが可能となる。
図11は、本発明に係る故障診断機能を備えた信号処理回路の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。つまり、磁気センサが動作している状態での故障の自己診断機能を説明するためのフローチャートである。
電源が投入されて、本発明の信号処理回路がスタートアップ動作を開始するとき、以下の動作が実行される。
まず、ステップS1において、チョッパークロックカウンタの値が0に初期化される。つまり、チョッパークロックカウンタの値iを0に設定し、Nビットレジスタに格納されるサーボ変数に、メモリに記憶された値が代入されて、X(i)=X(0)=Xmemとなる。また、フィードバック回路の適応制御(サーボ動作)に関して、スタートアップ動作における収束が完了したかどうかを記憶する目的のために図6のエラー信号生成回路のなかに実装されている2値の変数FLAG_CONVが、収束が完了していないことを示す値である0に初期化される。つまり、FLAG_CONV=0となる。
次に、ステップS2において、フィードバック回路の動作を実行され、Nビットレジスタに格納されたサーボ変数X(i)の値が更新される。
次に、ステップ3において、サーボ変数X(i)の値が更新されるたびに、FLAG_CONVの値を確認して、条件分岐を行う。FLAG_CONVの値が、収束が完了したことを示す値1になっていれば、収束がタイムアウトしているかどうかを確認するステップS4、ステップS5、ステップS6の動作は実行されず、ステップS3の次の動作ステップはステップS7となる。ここで、FLAG_CONVの値が、収束が未完了であることを示す値0になっていれば、ステップS3の次の動作はステップS4となる。
次に、ステップS4においては、チョッパークロックカウンタの値iの値を、予め定められた値MAX_COUNTと比較することにより、スタートアップ動作における収束を判定し、動作の条件分岐を行う。
次に、ステップS4において、チョッパークロックカウンタの値iが予め定められた値MAX_COUNTを超えた場合には、スタートアップ動作における収束がタイムアウトしたと判断して、本発明の信号処理回路は、外部に向けてエラー信号を発行する。(ステップS4からステップS9に移行)
次に、ステップS5においては、スタートアップ時の収束の判定を行う。この判定方法の一例として、チョッパークロックカウンタの値について、カウンタ値がiのときのサーボ変数の値X(i)とカウンタ値がi−1のときのサーボ変数の値X(i−1)との間の差をもとに判定を行うことが可能である。具体的には、数式15に示すように、予め定められたしきい値Xconvに対して、|X(i)−X(i−1)|がしきい値Xconv以下になったかどうかを判定基準とすることが出来る。
Figure 0005629302
次に、ステップS6において、上述した判定方法(数式15)に基づく判定により、スタートアップ時の収束が完了したと判定された場合、変数FLAG_CONVの値が、収束が完了していないことを示す値0から、収束が完了したことを示す値1にセットされる。
次に、ステップS7においては、収束後のフィードバック回路のサーボ変数X(i)の値が予め定められた許容範囲に入っているかどうかを確認し、条件分岐を行う。
次に、ステップS7において、サーボ変数X(i)が収束した後の値と、メモリに記憶された値Xmemの間の乖離が、予め定められた許容範囲Xadjを越えた場合には、ホール素子を用いた磁気センサにおいて、ホール素子のオフセットの異常または信号増幅回路のオフセットの異常と判断し、磁気センサからのエラー信号を発行する。(ステップS7からステップS9に移行)
反対に、ステップS7において、サーボ変数X(i)が収束した後の値と、メモリに記憶された値Xmemの間の乖離が、予め定められた許容範囲Xadjの範囲内であれば、ホール素子を用いた磁気センサにおいて、ホール素子および信号増幅回路のオフセットに異常はないと判断し、磁気センサからのエラー信号を発行されない。(ステップS7からステップS8に移行)
上述した動作のなかで異常が検出されたかどうかにかかわらず、本発明の信号処理回路は磁気センサとしての磁界信号を検出するセンサ動作を継続的に実行する。(ステップS8からステップS2への移行、ならびに、ステップS9からステップS2への移行)
以上、図11を参照して、本発明の信号処理回路において故障診断機能を実行する動作の一例について説明を行った。この説明からも理解されるように、本発明の故障診断機能を有する信号処理回路は、インバータのスイッチング電流を検出する目的で使用される電流センサをはじめとした、ホール素子を用いた磁気センサにおいて高い信頼性を実現することが可能となる。また、上述したような本発明の故障診断機能を有する信号処理回路は、電流センサとして利用することもできる。
また、エラー信号生成回路は、適応制御によって決定される値に基づいてメモリに記憶された値を更新するメモリ更新部を備えていても良い。即ち、製品出荷後、電流センサが基板に実装された後で、電流センサを動作させて決まるサーボ変数X(i)(ここでのiの値は大きな数)の値を、メモリに書き込んでも良い。(出荷時のキャリブレーションで得られる値と比較して、実動作に応じた環境条件でのサーボ変数の初期値が得られる。)
11 ホール素子
12 第1のスイッチ回路
14 チョッパークロック発生回路
100 電流センサ
101 ホール素子
102 オフセット成分出力回路
103 基準信号発生部(兼動作値記憶部;メモリ)
104 エラー信号生成回路
105 フィードバック回路
106 信号増幅回路
107 オフセット成分推定部
131 第1のトランジスタの差動対(Gm,1)
132 第2のスイッチ回路
133 第2のトランジスタの差動対(Gm,2)
134 第3のスイッチ回路
135 第4のトランジスタの差動対(Gm,out)
151 チョッパークロックカウンタ
153 MビットAD変換器
154 デジタル積分器
156 選択回路
157 Nビットレジスタ
158 NビットDA変換器
159 第3のトランジスタの差動対(Gm,3)

Claims (19)

  1. 信号成分とオフセット成分を含むホール素子の出力信号から、周波数変調により前記信号成分と前記オフセット成分とを分離し、前記オフセット成分を取り出すオフセット成分出力回路と、
    基準信号を出力する基準信号出力部と、
    前記オフセット成分出力回路が出力する前記オフセット成分と前記基準信号とに基づいてエラー信号を生成するエラー信号生成回路と
    を備えたことを特徴とする自己診断機能を有する電流センサ。
  2. 前記オフセット成分出力回路は、ホール素子の出力を増幅し、前記信号成分と前記オフセット成分の何れか一方が直流を含む低周波成分に、他方がチョッパークロックに同期したリップル成分に変調された出力信号を出力する信号増幅回路とを備え、該信号増幅回路の出力からオフセット成分を取り出すことを特徴とする請求項1に記載の自己診断機能を有する電流センサ。
  3. 前記オフセット成分を受け取り、該オフセット成分を前記信号増幅回路にフィードバックするフィードバック回路を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の自己診断機能を有する電流センサ。
  4. 前記フィードバック回路は、前記信号増幅回路の前記出力信号に含まれるオフセット成分をキャンセルするように作用する適応制御によって前記オフセット成分を制御することを特徴とする請求項3に記載の自己診断機能を有する電流センサ。
  5. 前記フィードバック回路を動作させるための値が記憶された動作値記憶部を備え、前記フィードバック回路は、前記オフセット成分出力回路の出力と前記動作値記憶部の出力の一方を前記オフセット成分として設定する選択回路を備えていることを特徴とする請求項3又は4に記載の自己診断機能を有する電流センサ。
  6. 前記選択回路は、前記フィードバック回路の初動動作時に前記動作値記憶部の出力を前記オフセット成分として設定し、初動動作後に前記オフセット成分出力回路の出力を前記オフセット成分として設定することを特徴とする請求項5に記載の自己診断機能を有する電流センサ。
  7. 前記オフセット成分出力回路が出力する前記オフセット成分に基づき、前記動作値記憶部に記憶された値を更新する動作値更新部を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の自己診断機能を有する電流センサ。
  8. 前記信号増幅回路は、前記信号成分が直流を含む低周波成分に、前記オフセット成分がチョッパークロックに同期したリップル成分に変調された出力信号を出力することを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の自己診断機能を有する電流センサ。
  9. 前記信号増幅回路は、前記オフセット成分が直流を含む低周波成分に、前記信号成分がチョッパークロックに同期したリップル成分に変調された信号をトランスコンダクタンス素子により電流信号に変換して信号増幅し、該得られた信号を前記チョッパークロックの周期で変調することで、前記信号成分が直流を含む低周波成分に、前記オフセット成分がチョッパークロックに同期したリップル成分に変調された出力信号を出力することを特徴とする請求項8に記載の自己診断機能を有する電流センサ。
  10. 前記オフセット成分を受け取り、該オフセット成分を前記信号増幅回路にフィードバックするフィードバック回路を備え、該フィードバック回路は、前記オフセット成分をトランスコンダクタンス素子により電流信号に変換して信号増幅し、前記信号増幅回路にフィードバックすることを特徴とする請求項9に記載の自己診断機能を有する電流センサ。
  11. 前記オフセット成分出力回路は、前記信号増幅回路の出力を前記チョッパークロックの周期で同期検波することでオフセット成分を取り出すことを特徴とする請求項8,9又は10に記載の自己診断機能を有する電流センサ。
  12. 前記基準信号出力部は、基準信号記憶部を備え、前記基準信号記憶部に記憶された値に基づき基準信号を出力することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の自己診断機能を有する電流センサ。
  13. 前記基準信号記憶部に記憶された値は、前記オフセット成分を予め測定して得られる値であることを特徴とする請求項12に記載の自己診断機能を有する電流センサ。
  14. 前記基準信号記憶部が、OTPROM又はEEPROMであることを特徴とする請求項12又は13に記載の自己診断機能を有する電流センサ。
  15. 前記オフセット成分出力回路が出力する前記オフセット成分に基づき、前記基準信号記憶部に記憶された値を更新する基準信号更新部を備えることを特徴とする請求項12,13又は14に記載の自己診断機能を有する電流センサ。
  16. 前記エラー信号生成回路は、前記オフセット成分出力回路が出力する前記オフセット成分と、前記基準信号と、の比較結果に基づいて、エラー信号を生成することを特徴とする1乃至15のいずれかに記載の自己診断機能を有する電流センサ。
  17. 前記エラー信号生成回路は、前記オフセット成分出力回路が出力する前記オフセット成分が示す値と、前記基準信号が示す値との比又は差に基づいてエラー信号を生成することを特徴とする1乃至16のいずれかに記載の自己診断機能を有する電流センサ。
  18. 前記エラー信号生成回路は、前記オフセット成分出力回路が出力する前記オフセット成分が示す値と、前記基準信号が示す値との比較を上限値と下限値とを用いて比較し、該比較結果に比較結果に基づいて、エラー信号を生成することを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の自己診断機能を有する電流センサ。
  19. 信号成分とオフセット成分を含む信号から、周波数変調により前記信号成分と前記オフセット成分とを分離し、前記オフセット成分を取り出すオフセット成分出力回路と、
    基準信号を出力する基準信号出力部と、
    前記オフセット成分出力回路が出力する前記オフセット成分と前記基準信号とに基づいてエラー信号を生成するエラー信号生成回路と
    を備えたことを特徴とする自己診断機能を有する信号処理回路。
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