JP5627119B2 - ポリエステル系繊維用処理剤、ポリエステル系繊維の処理方法及びポリエステル系繊維 - Google Patents

ポリエステル系繊維用処理剤、ポリエステル系繊維の処理方法及びポリエステル系繊維 Download PDF

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Description

本発明は、ポリエステル系繊維用処理剤、ポリエステル系繊維の処理方法及びポリエステル系繊維に関し、更に詳しくは、ポリエステル系繊維に対して優れた制電性、カード通過性及び親水性を付与するポリエステル系繊維用処理剤、かかるポリエステル系繊維用処理剤をポリエステル系繊維に付着させるポリエステル系繊維の処理方法及びかかる処理方法によって得られるポリエステル系繊維に関する。
従来、ポリエステル系繊維の製造乃至加工では、ポリエステル系繊維に制電性、カード通過性及び親水性を付与するための処理剤が使用されている。ポリエステル系繊維にこれらの性能を付与するポリエステル系繊維用処理剤としては、1)ソルビタンモノ脂肪酸エステルと二塩基酸の反応物(例えば、特許文献1参照)、2)HLBが9.0〜11.5の脂肪酸エステルとHLBが6.5〜8.5の脂肪酸エステルとを所定割合で含有する配合物(例えば、特許文献2参照)等が提案されている。しかし、これら従来のポリエステル系繊維用処理剤には、ポリエステル系繊維に、優れた制電性、カード通過性及び親水性を同時に付与する上で不充分という問題がある。
特開2004−324025号公報 特開2004−52114号公報
本発明が解決しようとする課題は、ポリエステル系繊維に、優れた制電性、カード通過性及び親水性を同時に付与することができるポリエステル系繊維用処理剤、かかるポリエステル系繊維用処理剤をポリエステル系繊維に付着させるポリエステル系繊維の処理方法及びかかる処理方法によって得られるポリエステル系繊維を提供する処にある。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく研究した結果、特定の末端封鎖型ノニオン化合物、特定の非イオン界面活性剤及び特定のアニオン界面活性剤を所定割合で含有するポリエステル系繊維用処理剤が正しく好適であること、またかかるポリエステル系繊維用処理剤をポリエステル系繊維に対し所定量となるように付着させる方法が正しく好適であることを見出した。
すなわち本発明は、下記のA成分を60〜94.9質量%、下記のB成分を0.1〜15質量%及び下記のC成分を5〜30質量%(合計100質量%)の割合で含有して成ることを特徴とするポリエステル系繊維用処理剤に係る。
A成分:下記の化1で示される末端封鎖型ノニオン化合物
Figure 0005627119
化1において、
:炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基又は炭素数8〜18の脂肪族アシル基
:炭素数2〜8のアルキレン基又は炭素数2〜8のアルケニレン基
:炭素数8〜18の脂肪族アシル基
,A:分子中に1〜20個のオキシエチレン単位又は合計1〜20個のオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位とで構成され且つオキシエチレン単位/オキシプロピレン単位=70/30〜100/0(モル%)の割合で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
B成分:下記の化2で示される非イオン界面活性剤
Figure 0005627119
化2において、
:炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基又は炭素数8〜18の脂肪族アシル基
:分子中に1〜45個のオキシエチレン単位又は合計1〜45個のオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位とで構成され且つオキシエチレン単位/オキシプロピレン単位=70/30〜100/0(モル%)の割合で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
C成分:分子中に炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基を有するスルホン酸塩型アニオン界面活性剤及び分子中に炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基を有するリン酸塩型アニオン界面活性剤から選ばれる一つ又は二つ以上
また本発明は、前記の本発明に係るポリエステル系繊維用処理剤を、ポリエステル系繊維に対し、0.05〜3.0質量%となるよう付着させることを特徴とするポリエステル系繊維の処理方法に係る。
更に本発明は、前記の本発明に係るポリエステル系繊維の処理方法によって得られるポリエステル系繊維に係る。
先ず、本発明に係るポリエステル系繊維用処理剤(以下、単に本発明の処理剤という)について説明する。本発明の処理剤は、A成分、B成分及びC成分を含有するものである。
本発明の処理剤に供するA成分は、化1で示される末端封鎖型ノニオン化合物である。化1で示される末端封鎖型ノニオン化合物において、化1中のRは炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基又は炭素数8〜18の脂肪族アシル基である。Rとしては、1)オクチル基、イソオクチル基、1−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1−エチル−1−メチルペンチル基、1−エチル−4−メチルペンチル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2−エチル−ヘキシル基、2−プロピル−ヘプチル基、ノニル基、1−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1−(n−ブチル)ペンチル基、4−メチル−1−(n−プロピル)ペンチル基、1,5,5−トリメチルヘキシル基、1,1,5−トリメチルヘキシル基、デシル基、1−メチルノニル基、1−エチルオクチル基、1−(n−ブチル)ヘキシル基、1,1−ジメチルオクチル基、3,7−ジメチルオクチル基、ウンデシル基、1−メチルデシル基、1−エチルノニル基、ドデシル基、2−ブチル−オクチル基、1−メチルウンデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、2−ペンチル−ノニル基、1−メチルトリデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシル−デシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、2−ヘプチル−ウンデシル基等の炭素数8〜18のアルキル基、2)1−メチル−2−ヘプテニル基、オクテニル基、3,7−ジメチル−6−オクテニル基、2,7−オクタジエニル基、1,1−ジ(2−プロペニル)エチル基、ノネニル基、2,6−ノナジエニル基、デセニル基、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル基、ウンデセニル基、2,4−ウンデカジエニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、3,7,11−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエニル基、1,5,9−トリメチル−1−ビニル−4,8−デカジエニル基、3,7,11,15−テトラメチル−2−ヘキサデセニル基、ウンデセニル基、オクタデセニル基、9c,12c−オクタデカジエニル基、9c,12c,15c−オクタデカトリエニル基等の炭素数8〜18のアルケニル基、3)オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ペンタデカノイル基、ヘキサデカノイル基、ヘプタデカノイル基、オクタデカノイル基等の炭素数8〜18のアルカノイル基、4)オクテノイル基、ノネノイル基、デセノイル基、ウンデセノイル基、ドデセノイル基、トリデセノイル基、テトラデセノイル基、ペンタデセノイル基、ヘキサデセノイル基、ヘプタデセノイル基、オクタデセノイル基等の炭素数8〜18のアルケノイル基が挙げられる。なかでもRとしては、炭素数8〜18の脂肪族アシル基が好ましい。
化1で示される末端封鎖型ノニオン化合物において、化1中のRは炭素数2〜8のアルキレン基又は炭素数2〜8のアルケニレン基である。R2としては、1)エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等の炭素数2〜8のアルキレン基、2)エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2〜8のアルケニレン基が挙げられる。
化1で示される末端封鎖型ノニオン化合物において、化1中のR3は炭素数8〜18の脂肪族アシル基である。R3としては、1)オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ペンタデカノイル基、ヘキサデカノイル基、ヘプタデカノイル基、オクタデカノイル基等の炭素数8〜18のアルカノイル基、2)オクテノイル基、ノネノイル基、デセノイル基、ウンデセノイル基、ドデセノイル基、トリデセノイル基、テトラデセノイル基、ペンタデセノイル基、ヘキサデセノイル基、ヘプタデセノイル基、オクタデセノイル基等の炭素数8〜18のアルケノイル基が挙げられる。
化1で示される末端封鎖型ノニオン化合物において、化1中のA及びAは、分子中に1〜20個のオキシエチレン単位又は合計1〜20個のオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位とで構成され且つオキシエチレン単位/オキシプロピレン単位=70/30〜100/0(モル%)の割合で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である。この場合の(ポリ)オキシアルキレン基は、オキシエチレン単位のみで構成されたものと、オキシエチレン単位及びオキシプロピレン単位の双方で構成されたものとがあり、双方で構成されたものの場合、双方の結合様式はブロック型でもランダム型でもよく、その付加順序は制限されない。A及びAとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ(オキシエチレン=オキシプロピレン)等の(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基が挙げられる。なかでもA及びAとしては、分子中に3〜10個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシエチレン基を有するポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基が好ましい。
化1で示される末端封鎖型ノニオン化合物は、公知の方法により得ることができる。例えば、酸又はアルカリ触媒存在下において、脂肪族アルコール又は脂肪酸にアルキレンオキシドを付加重合させた化合物に更に脂肪酸を反応させることにより合成できる。
本発明の処理剤に供するB成分は、化2で示される非イオン界面活性剤である。化2で示される非イオン界面活性剤において、化2中のR4は炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基又は炭素数8〜18の脂肪族アシル基である。R4としては、1)オクチル基、イソオクチル基、1−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1−エチル−1−メチルペンチル基、1−エチル−4−メチルペンチル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2−エチル−ヘキシル基、2−プロピル−ヘプチル基、ノニル基、1−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1−(n−ブチル)ペンチル基、4−メチル−1−(n−プロピル)ペンチル基、1,5,5−トリメチルヘキシル基、1,1,5−トリメチルヘキシル基、デシル基、1−メチルノニル基、1−エチルオクチル基、1−(n−ブチル)ヘキシル基、1,1−ジメチルオクチル基、3,7−ジメチルオクチル基、ウンデシル基、1−メチルデシル基、1−エチルノニル基、ドデシル基、2−ブチル−オクチル基、1−メチルウンデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、2−ペンチル−ノニル基、1−メチルトリデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシル−デシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、2−ヘプチル−ウンデシル基等の炭素数8〜18のアルキル基、2)1−メチル−2−ヘプテニル基、オクテニル基、3,7−ジメチル−6−オクテニル基、2,7−オクタジエニル基、1,1−ジ(2−プロペニル)エチル基、ノネニル基、2,6−ノナジエニル基、デセニル基、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル基、ウンデセニル基、2,4−ウンデカジエニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、3,7,11−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエニル基、1,5,9−トリメチル−1−ビニル−4,8−デカジエニル基、3,7,11,15−テトラメチル−2−ヘキサデセニル基、ウンデセニル基、オクタデセニル基、9c,12c−オクタデカジエニル基、9c,12c,15c−オクタデカトリエニル基等の炭素数8〜18のアルケニル基、3)オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ペンタデカノイル基、ヘキサデカノイル基、ヘプタデカノイル基、オクタデカノイル基等の炭素数8〜18のアルカノイル基、4)オクテノイル基、ノネノイル基、デセノイル基、ウンデセノイル基、ドデセノイル基、トリデセノイル基、テトラデセノイル基、ペンタデセノイル基、ヘキサデセノイル基、ヘプタデセノイル基、オクタデセノイル基等の炭素数8〜18のアルケノイル基が挙げられる。なかでもR4としては、炭素数8〜18の脂肪族アシル基が好ましい。
化2で示される非イオン界面活性剤において、化2中のAは、分子中に1〜45個のオキシエチレン単位又は合計1〜45個のオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位とで構成され且つオキシエチレン単位/オキシプロピレン単位=70/30〜100/0(モル%)の割合で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である。この場合の(ポリ)オキシアルキレン基は、オキシエチレン単位のみで構成されたものと、オキシエチレン単位及びオキシプロピレン単位の双方で構成されたものとがあり、双方で構成されたものの場合、双方の結合様式はブロック型でもランダム型でもよく、その付加順序は制限されない。Aとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ(オキシエチレン=オキシプロピレン)等の(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基が挙げられる。なかでもAとしては、分子中に3〜20個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシエチレン基を有するポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基が好ましい。
化2で示される非イオン界面活性剤は、公知の方法により得ることができる。例えば、酸又はアルカリ触媒存在下において、脂肪族アルコール又は脂肪酸にアルキレンオキシドを付加重合させることにより合成できる。
本発明の処理剤に供するC成分は、分子中に炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基を有するスルホン酸塩型アニオン界面活性剤及び分子中に炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基を有するリン酸塩型アニオン界面活性剤から選ばれる一つ又は二つ以上である。
C成分としては、1)2−エチルヘキシルスルホン酸ナトリウム塩、オクチルスルホン酸ナトリウム塩、ノニルスルホン酸ナトリウム塩、デシルスルホン酸ナトリウム塩、ウンデシルスルホン酸ナトリウム塩、ドデシルスルホン酸ナトリウム塩、トリデシルスルホン酸ナトリウム塩、テトラデシルスルホン酸ナトリウム塩、ペンタデシルスルホン酸ナトリウム塩、ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム塩、ヘプタデシルスルホン酸ナトリウム塩、オクタデシルスルホン酸ナトリウム塩等の、分子中に炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基を有するスルホン酸塩型アニオン界面活性剤、2)オクチルリン酸カリウム塩、ノニルリン酸カリウム塩、デシルリン酸ナトリウム塩、ドデシルリン酸カリウム塩、ドデシルリン酸ナトリウム塩、イソブチルオクチルリン酸ナトリウム塩、ペンタデシルリン酸カリウム塩、ヘキサデシルリン酸カリウム塩、オクタデシルリン酸カリウム塩、ビス−(2−エチルヘキシル)リン酸カリウム塩、ビス−(2−エチルヘキシル)リン酸ナトリウム塩、オクチルリン酸ナトリウム塩、イソノニルリン酸ナトリウム塩、イソトリデシルリン酸カリウム塩、オクタデシルリン酸ナトリウム塩等の、分子中に炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基を有するリン酸塩型アニオン界面活性剤が挙げられ、これらは一つの単独物又は二つ以上の混合物として使用される。なかでもC成分としては、分子中に炭素数10〜16の脂肪族炭化水素基を有するスルホン酸塩型アニオン界面活性剤及び分子中に炭素数10〜16の脂肪族炭化水素基を有するリン酸塩型アニオン界面活性剤から選ばれる一つ又は二つ以上が好ましい。
本発明の処理剤は、以上説明したA成分を60〜94.9質量%、B成分を0.1〜15質量%及びC成分を5〜30質量%(合計100質量%)の割合で含有して成るものであり、好ましくはA成分を65〜89質量%、B成分を1〜10質量%及びC成分を10〜25質量%(合計100質量%)の割合で含有して成るものである。
本発明の処理剤は、合目的的に他の成分、例えば前記以外の界面活性剤、親水性付与剤、潤滑剤、潤滑補助剤、酸化防止剤、耐熱向上剤、油膜強化剤、防腐剤、消泡剤、湿潤剤等を併用することもできるが、その併用量は可及的に少量とすることが好ましい。
本発明の処理剤を適用するポリエステル系繊維としては、1)2−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシオクタン酸、3−ヒドロキシドデカン酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸等のオキシアルカン酸を単独で重縮合反応して得られる単独重合体から製造されるポリエステル系繊維、2)前記1)の単量体の二種類以上を重縮合反応して得られる共重合体から製造されるポリエステル系繊維、3)コハク酸、アジピン酸等の脂肪族二塩基酸とエチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族ジオールとを重縮合反応して得られる重合体から製造されるポリエステル系繊維等が挙げられるが、なかでもポリトリメチレンテレフタレート繊維又はポリ乳酸繊維が好ましい。
次に、本発明に係るポリエステル系繊維の処理方法(以下、単に本発明の処理方法という)について説明する。本発明の処理方法は、本発明の処理剤を、ポリエステル系繊維に対し、0.05〜3.0質量%となるように付着させる方法である。
本発明の処理剤をポリエステル系繊維に付着させる方法や工程等に特に制限はない。例えば、本発明の処理剤を水性液としてからポリエステル系繊維に付着させることもできるし、本発明の処理剤の構成となるよう各成分を個別に付着させることもできる。また例えば、本発明の処理剤を繊維ウェブ製造前のポリエステル系繊維の単繊維に付着させることもできるし、本発明の処理剤を繊維ウェブや不織布とした後に付着させることもできる。そしてこの場合、必要に応じて繊維ウェブや不織布の表裏で付着量に差をつけることもできる。
本発明の処理剤をポリエステル系繊維の単繊維に付着させる具体的な方法としては、浸漬法、スプレー法、ローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法等が挙げられる。またポリエステル系繊維より製造された繊維ウェブや不織布に付着させる方法としては、浸漬法、噴霧法、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が挙げられる。
以上、本発明の処理方法について説明したが、なかでも本発明の処理方法としては、本発明の処理剤を水性溶媒で希釈して濃度0.5〜20質量%、より好ましくは1.0〜10質量%の水性液(水溶液、分散液又はエマルション)となし、該水性液をポリエステル系繊維に対し本発明の処理剤として0.1〜1.0質量%となるように付着させる方法が好ましい。
最後に、本発明に係るポリエステル系繊維について説明する。本発明に係るポリエステル系繊維は、以上説明した本発明の処理方法によって得られるポリエステル系繊維である。
本発明に係るポリエステル系繊維の具体的な形態としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリ乳酸繊維等のポリエステル系繊維それ自体の他に、芯鞘構造の複合繊維であって芯、鞘部のいずれか又は両者がポリエステル系繊維である複合繊維、例えば鞘部がポリエチレン繊維であるポリエチレン/ポリトリメチレンテレフタレート複合繊維等が挙げられる。またポリエステル系繊維には通常の円形繊維のみでなく、捲縮繊維、異形繊維等の特殊形態のものも含まれるし、ウェブや不織布の形態のものも含まれる。また表面層をポリエステル系繊維からなるウェブとし、表面層以外をポリエステル系繊維以外の材質にした不織布の形態のものも含まれる。
ウェブや不織布の製造方法としては、公知の製造方法が利用できる。ウェブ形成方法としては、湿式抄紙法、短繊維をカード機等でウェブ化するカーディング法やエアレイド法等の乾式法、スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法等の紡糸直結法が挙げられる。また不織布の製造方法としては、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、スパンボンド法、メルトブロー法等が挙げられる。特にスパンボンド法においては、紡糸工程に処理剤を使用して付着させることにより、処理剤の付着と不織布の製造が同時にできるという利点がある。
以上説明した本発明には、ポリエステル系繊維に、優れた制電性、カード通過性及び親水性を同時に付与することができるという効果がある。
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
試験区分1
・末端封鎖型ノニオン化合物(A−1)の合成
エチレングリコール62g(1モル)及び触媒として水酸化ナトリウム2gを2Lオートクレーブに仕込み、窒素ガスでパージ後、120℃に加温し、エチレンオキサイド528g(12モル)を3時間かけて圧入して反応させた。1時間の熟成反応後、リン酸を加えて中和処理することにより触媒を除去した。得られた反応物の分析結果は、水酸基価189.1、数平均分子量590(GPC法、ポリスチレン換算、以下同じ)のポリエーテル化合物であった。得られたポリエーテル化合物120g(0.2モル)及び1−ヘキサデカン酸62g(0.24モル)及び触媒として濃硫酸0.9gをフラスコに仕込み、攪拌しながら反応温度を100〜110℃とし、減圧下に脱水してエステル化反応を行なった。反応終了後、冷却しながら、濃硫酸と未反応1−ヘキサデカン酸とを48%水酸化カリウム5gで中和した。次いで生成水を減圧下に留去した。副生した無機塩を濾別してノニオン化合物を得た。得られたノニオン化合物の分析結果は、水酸基価68.7、数平均分子量820(GPC法、ポリスチレン換算、以下同じ)のノニオン化合物であった。さらに得られたノニオン化合物160g(0.2モル)及び1−ヘキサデカン酸62g(0.24モル)及び触媒として濃硫酸0.9gをフラスコに仕込み、攪拌しながら反応温度を100〜110℃とし、減圧下に脱水してエステル化反応を行った。反応終了後、冷却しながら、濃硫酸と未反応1−ヘキサデカン酸とを48%水酸化カリウム5gで中和した。次いで生成水を減圧下に留去した。副生した無機塩を濾別して末端封鎖型ノニオン化合物(A−1)を得た。得られた末端封鎖型ノニオン化合物(A−1)の内容を表1に示した。
・末端封鎖型ノニオン化合物(A−2)〜(A−13)及び(a−1)〜(a−10)の合成
末端封鎖型ノニオン化合物(A−1)の場合と同様にして、表1に記載した末端封鎖型ノニオン化合物(A−2)〜(A−13)及び(a−1)〜(a−10)を合成した。
・非イオン界面活性剤(B−1)の合成
1−ドデカン酸200g(1モル)及び触媒として水酸化ナトリウム2gを2Lオートクレーブに仕込み、窒素ガスでパージ後、120℃に加温し、エチレンオキサイド440g(10モル)を3時間かけて圧入して反応させた。1時間の熟成反応後、リン酸を加えて中和処理することにより触媒を除去した。得られた反応物の分析結果は、水酸基価88.9、数平均分子量640(GPC法、ポリスチレン換算、以下同じ)の非イオン界面活性剤(B−1)であった。非イオン界面活性剤(B−1)の内容を表2に示した。
・非イオン界面活性剤(B−2)〜(B−11)及び(b−1)〜(b−7)の合成
非イオン界面活性剤(B−1)の場合と同様にして、表2に記載した非イオン界面活性剤(B−2)〜(B−11)及び(b−1)〜(b−7)を合成した。
C成分としてのスルホン酸塩型アニオン界面活性剤及びリン酸塩型アニオン界面活性剤は表3に示した。




Figure 0005627119
Figure 0005627119
表1及び表2において、
,A,R,A,R:化1中の記号に相当
,A:化2中の記号に相当
EO数:オキシエチレン単位の個数
PO数:オキシプロピレン単位の個数
EO比率:A、A又はA中のオキシエチレン単位の割合(モル%)
Figure 0005627119
試験区分2(ポリエステル系繊維用処理剤の水性液の調製)
・実施例1
A成分の末端封鎖型ノニオン化合物(A−1)87g、B成分の非イオン界面活性剤(B−1)2g及びC成分のリン酸塩型アニオン界面活性剤(C−1)11gを混合した後、900gの水を加え、撹拌して水性分散液とし、更に25MPaの圧力でホモジナイザー処理して、実施例1のポリエステル系繊維用処理剤(T−1)の水性液を調製した。実施例1のポリエステル系繊維用処理剤(T−1)の組成を表1に示した。
・実施例2〜27及び比較例1〜22
実施例1の場合と同様にして、表4に記載した実施例2〜27のポリエステル系繊維用処理剤(T−2〜T−27)の水性液及び表5に記載した比較例1〜22のポリエステル系繊維用処理剤(R−1〜R−22)の水性液を調製した。





















Figure 0005627119


















Figure 0005627119
試験区分3(ポリエステル系繊維へのポリエステル系繊維用処理剤の付着とその評価)
・実施例28〜54及び比較例23〜44
試験区分2で調製したポリエステル系繊維用処理剤の水性液を更に水で希釈して表6及び表7に記載した濃度とした後、ポリエステル系繊維(繊度2.2デシテックス、繊維長51mm)に、ポリエステル系繊維用処理剤として表6及び表7に記載した付着量となるようスプレー給油法で付着させ、80℃の熱風乾燥機で2時間乾燥した後、25℃で40%RHの雰囲気下に一夜調湿して、表6に記載した実施例28〜54の処理済みポリエステル系繊維及び表7に記載した比較例23〜44の処理済みポリエステル系繊維を得た。
・比較例45
繊維をポリプロピレンとしたこと以外は、実施例28〜54及び比較例23〜44と同様にして表7に記載した比較例45の処理済ポリプロピレン繊維を得た。
・制電性の評価
前記の処理済みポリエステル系繊維5gを、20℃で45%RHの恒温室内で24時間調湿した後、電気抵抗(Ω)を抵抗値測定装置を用いて測定し、下記の評価基準で評価した。結果を表6及び表7にまとめて示した。
・・制電性の評価基準
◎:表面抵抗が1.0×10Ω未満
〇:表面抵抗が1.0×10Ω以上1.0×1010Ω未満
×:表面抵抗が1.0×1010Ω以上
・カード通過性の評価
前記の処理済みポリエステル系繊維20gを、20℃で65%RHの恒温室内で24時間調湿した後、ローラーカードに供した。投入量に対して排出された量の割合を算出し、下記の評価基準で評価した。結果を表6及び表7にまとめて示した。
・・カード通過性の評価基準
◎:排出量が80%以上
〇:排出量が60%以上80%未満
×:排出量が60%未満
・透水性の評価
前記の処理済みポリエステル系繊維をニードルパンチング機に通し、不織布を作製した。この不織布から15cm×15cmの小片を裁断し、20℃×60%RHの恒温室内で24時間調湿した後、45度に傾斜させた板上におき、その端部にビューレットを用いて10mmの高さから0.4mlの水滴を落下させ、水滴が吸収されるまでの長さを測定し、下記の評価基準で評価した。
・・透水性の評価基準
◎:吸収された水の距離が30mm未満
〇:吸収された水の距離が30mm以上100mm未満
×:吸収された水の距離が100mm以上
・耐久親水性の評価
前記の透水性の評価の場合と同様に作製した不織布15cm×15cmの小片を裁断し、20℃×60%RHの恒温室内で24時間調湿した。濾紙5枚の上に調湿した不織布を置き、更にその上の中央部に両端が開放された内径1cmの円筒を垂直に立て、この円筒にイオン交換水5mlを注入し、イオン交換水が不織布に完全に吸収されるまでの時間を測定した。その後、不織布を取り出し、40℃×90分間送風乾燥して、再度前記と同様の測定を行なうという操作を計5回繰り返した。5回目の測定時間から、耐久親水性を下記の評価基準で評価した。
・・耐久親水性の評価基準
◎:イオン交換水が吸収されるまでに要する時間が3秒未満
〇:イオン交換水が吸収されるまでに要する時間が3秒以上5秒未満
×:イオン交換水が吸収されるまでに要する時間が5秒以上
















Figure 0005627119


















Figure 0005627119
表4〜表7の結果からも明らかなように、本発明の処理剤によれば、ポリエステル系繊維に優れた制電性、カード通過性及び透水性や耐久親水性の親水性を同時に付与することができる。

Claims (11)

  1. 下記のA成分を60〜94.9質量%、下記のB成分を0.1〜15質量%及び下記のC成分を5〜30質量%(合計100質量%)の割合で含有して成ることを特徴とするポリエステル系繊維用処理剤。
    A成分:下記の化1で示される末端封鎖型ノニオン化合物
    Figure 0005627119
    (化1において、
    :炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基又は炭素数8〜18の脂肪族アシル基
    :炭素数2〜8のアルキレン基又は炭素数2〜8のアルケニレン基
    :炭素数8〜18の脂肪族アシル基
    ,A:分子中に1〜20個のオキシエチレン単位又は合計1〜20個のオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位とで構成され且つオキシエチレン単位/オキシプロピレン単位=70/30〜100/0(モル%)の割合で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基)
    B成分:下記の化2で示される非イオン界面活性剤
    Figure 0005627119
    (化2において、
    :炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基又は炭素数8〜18の脂肪族アシル基
    :分子中に1〜45個のオキシエチレン単位又は合計1〜45個のオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位とで構成され且つオキシエチレン単位/オキシプロピレン単位=70/30〜100/0(モル%)の割合で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基)
    C成分:分子中に炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基を有するスルホン酸塩型アニオン界面活性剤及び分子中に炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基を有するリン酸塩型アニオン界面活性剤から選ばれる一つ又は二つ以上
  2. A成分が、化1中のA及びAが分子中に3〜10個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシエチレン基を有するポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合のものである請求項1記載のポリエステル系繊維用処理剤。
  3. A成分が、化1中のRが炭素数8〜18の脂肪族アシル基である場合のものである請求項1又は2記載のポリエステル系繊維用処理剤。
  4. B成分が、化2中のAが分子中に3〜20個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシエチレン基を有するポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合のものである請求項1〜3のいずれか一つの項記載のポリエステル系繊維用処理剤。
  5. B成分が、化2中のRが炭素数8〜18の脂肪族アシル基である場合のものである請求項1〜4のいずれか一つの項記載のポリエステル系繊維用処理剤。
  6. C成分が、分子中に炭素数10〜16の脂肪族炭化水素基を有するスルホン酸塩型アニオン界面活性剤及び分子中に炭素数10〜16の脂肪族炭化水素基を有するリン酸塩型アニオン界面活性剤から選ばれる一つ又は二つ以上である請求項1〜5のいずれか一つの項記載のポリエステル系繊維用処理剤。
  7. A成分を65〜89質量%、B成分を1〜10質量%及びC成分を10〜25質量%(合計100質量%)の割合で含有する請求項1〜6のいずれか一つの項記載のポリエステル系繊維用処理剤。
  8. ポリエステル系繊維が、ポリトリメチレンテレフタレート繊維又はポリ乳酸繊維である請求項1〜7のいずれか一つの項記載のポリエステル系繊維用処理剤。
  9. 請求項1〜8のいずれか一つの項記載のポリエステル系繊維用処理剤を、ポリエステル系繊維に対し、0.05〜3.0質量%となるよう付着させることを特徴とするポリエステル系繊維の処理方法。
  10. ポリエステル系繊維用処理剤を水性溶媒で希釈して濃度0.5〜20質量%の水性液となし、該水性液をポリエステル系繊維に対しポリエステル系繊維用処理剤として0.1〜1.0質量%となるよう付着させる請求項9記載のポリエステル系繊維の処理方法。
  11. 請求項9又は10記載のポリエステル系繊維の処理方法によって得られるポリエステル系繊維。
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