以下、図面を参照しつつ、乾燥装置の一実施形態が説明される。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、乾燥装置の原理を何ら限定するものではない。
(乾燥機の全体構成)
図1は、乾燥機能に加えて、洗濯機能を有する乾燥機の概略的な斜視図である。図2は、図1に示される乾燥機の正面図である。図3は、図1に示される乾燥機の平面図である。
本実施形態において、図1乃至図3に示される乾燥機100は、衣類を乾燥させるための乾燥装置として例示される。代替的に、洗濯機能を有さない乾燥機が、乾燥装置として用いられてもよい。
乾燥機100は、略矩形箱状の主筐体110を備える。主筐体110は、正面壁111、正面壁111とは反対側の背面壁112、正面壁111と背面壁112との間で直立した左側壁113及び右側壁114を含む。主筐体110は、正面壁111、背面壁112、左側壁113及び右側壁114の上縁に囲まれた天壁115と、正面壁111、背面壁112、左側壁113及び右側壁114の下縁に囲まれた底壁116と、を更に含む。
乾燥機100は、正面壁111の上部に取り付けられた操作パネル120を更に備える。使用者は、操作パネル120を通じて、乾燥機100の動作に関連する情報(例えば、洗濯、すすぎ、脱水、乾燥のための期間に関する情報や使用される洗剤に関する情報)を入力することができる。
乾燥機100は、正面壁111に回動可能に取り付けられた扉体130を更に備える。使用者は、扉体130を開き、衣類を主筐体110内に投入する、或いは、主筐体110内の衣類を取り出すことができる。本実施形態において、扉体130は、衣類を投入するための投入部として例示される。
図4は、主筐体110内に配設される様々な要素を示す乾燥機100の斜視図である。図4に示される乾燥機100からは、正面壁111、背面壁112、左側壁113、右側壁114及び天壁115が除去されている。図5は、主筐体110内に配設される様々な要素を示す乾燥機100の概略的な断面図である。図1、図4及び図5を用いて、乾燥機100が更に説明される。
図4に示される如く、乾燥機100は、衣類が収容される処理槽200を備える。処理槽200には、正面壁111に向けて開口する投入口201が形成される。図1に関連して説明された如く、使用者は、扉体130を開け、衣類を、投入口201を介して、処理槽200内に投入することができる。或いは、使用者は、扉体130を開け、衣類を、投入口201を介して、処理槽200から取り出すことができる。本実施形態において、処理槽200は、乾燥槽として例示される。
図5に示される如く、処理槽200は、衣類を洗濯するために用いられる洗濯水を貯留する水槽210と、水槽210内に配設される回転ドラム220と、を含む。回転ドラム220は、略円筒状の周壁221と、投入口201に対向する底壁222と、を含む。水槽210は、回転ドラム220の周壁221を取り囲む略円筒状の周壁211と、回転ドラム220の底壁222に沿う底壁212と、を含む。回転ドラム220は、水槽210に対して、略同心に配設される。
乾燥機100は、回転ドラム220の底壁222から、水槽210の底壁212を貫き、底壁212から突出する回転シャフト231と、水槽210の下方に配設された駆動モータ230と、駆動モータ230の駆動力を回転シャフト231に伝達するための駆動ベルト232と、を更に備える。駆動モータ230が作動すると、駆動ベルト232及び回転シャフト231を通じて、回転ドラム220に駆動力が伝達され、回転ドラム220は、水槽210内で回転する。
図4に示される如く、乾燥機100は、主筐体110の底壁116と処理槽200とを接続するダンパ要素240と、主筐体110の天壁115と処理槽200とを接続するサスペンション要素245と、を更に備える。主筐体110内で、処理槽200を支持するダンパ要素240及びサスペンション要素245は、回転ドラム220の回転に伴う処理槽200の振動を減衰させる。したがって、主筐体110には、処理槽200からの振動はほとんど伝達されない。
図4に示される如く、乾燥機100は、制御装置250を更に備える。制御装置250は、乾燥機100の様々な動作を制御する。例えば、使用者が操作パネル120を操作し、乾燥機100の乾燥動作を指示すると、制御信号を出力し、駆動モータ230を作動させる。
図1に示される如く、乾燥機100は、主筐体110内に水を供給するための給水口301を更に備える。本実施形態において、給水口301は、天壁115の背面縁117と天壁115の左縁118とで形成される角隅部に現れる。
図4に示される如く、乾燥機100は、天壁115の下方に配設された給水ユニット300を更に備える。給水ユニット300は、給水口301に接続される制御弁310と、制御弁310が固定される外面を含む筐体320と、を含む。筐体320内には、処理槽200へ水を供給するための流路(図示せず)が形成される。
乾燥機100は、乾燥空気と熱交換し、乾燥空気を除湿する熱交換器400を更に備える。給水ユニット300の筐体320内には、処理槽200へ水を供給するための流路に加えて、乾燥空気を除湿するために用いられる除湿水を供給するための流路が形成される。制御弁310は、制御装置250の制御下で、給水口301から筐体320内への給水或いは給水の停止を切り替える。また、制御弁310は、処理槽200へ水を供給するための流路及び除湿水を供給するための流路を開閉する。例えば、使用者が、操作パネル120を操作し、洗濯工程の開始を指示すると、制御弁310は、制御装置250の制御下で、筐体320内への水の流入を許容する。また、制御弁310は、処理槽200へ水を供給するための流路を開く。この結果、処理槽200内に水が供給される。或いは、使用者が、操作パネル120を操作し、乾燥工程の開始を指示すると、制御弁310は、制御装置250の制御下で、筐体320内への水の流入を許容する。また、制御弁310は、熱交換器400へ除湿水を供給するための流路を開く。この結果、熱交換器400内に除湿水が供給され、乾燥空気が除湿される。
筐体320は、右方に突出する排水筒321を含む。制御弁310が、熱交換器400へ除湿水を供給するための流路を開くと、排水筒321と熱交換器400とを接続する接続チューブ(図示せず)を通じて、除湿水が熱交換器400へ流入する。
給水ユニット300は、筐体320内に配設された収容ケース330を更に備える。収容ケース330内には、洗濯工程で用いられる洗剤やすすぎ工程で用いられる柔軟剤が収容される。
図1に示される如く、収容ケース330は、使用者が指を挿入できるように形成された取手部331を含む。使用者は、取手部331を用いて、収容ケース330を筐体320から引き出すことができる。この結果、収容ケース330の内部は、主筐体110外に露出する。その後、使用者は、洗剤や柔軟剤を収容ケース330内に投入し、収容ケース30を筐体320内に押し込むことができる。
図4に関連して説明された制御弁310が処理槽200へ水を供給するための流路を開くと、筐体320内へ流入した水は、収容ケース330内の洗剤或いは柔軟剤と混合される。この結果、洗濯工程において、収容ケース330内の洗剤と給水口301から供給された水とが混合された洗濯水が処理槽200に供給される。また、すすぎ工程において、収容ケース330内の柔軟剤と給水口301から供給された水とが混合された混合液が処理槽200に供給される。
図5に示される如く、乾燥機100は、給水ユニット300と水槽210の底壁212の上部とを接続する給水管350を更に備える。制御弁310が処理槽200へ水を供給するための流路を開くと、給水口301から供給された水は、給水管350を通じて、処理槽200内に供給される。
乾燥機100は、水槽210の周壁211の下部に接続された排水管360と、排水管360を制御装置250の制御下で開閉する制御弁361と、を更に備える。
図4に示される如く、主筐体110の底壁116の側面には、排水口362が形成される。排水管360は、排水口362に連通する。制御弁361が排水管360を開くと、排水口362を介して、処理槽200内の水は、主筐体110外へ排出される。
図5に示される如く、熱交換器400は、水槽210の底壁212の下部に接続される。したがって、給水ユニット300から熱交換器400に供給された除湿水は、最終的に、処理槽200内に流入する。制御弁361が排水管360を開くと、乾燥空気の除湿に用いられた除湿水も排水口362を介して、主筐体110外へ排出される。
乾燥機100は、排水管360に接続されたフィルタユニット500を備える。排水管360は、フィルタユニット500を介して、排水口362に接続される。フィルタユニット500は、排水管360中を流れる水からリントや他の異物を除去するためのフィルタ部材510を備える。したがって、排水口362からは、フィルタ部材510によってリントといった異物が除去された水が排出される。
フィルタユニット500は、正面壁111に固定される。図4に関連して説明された如く、ダンパ要素240及びサスペンション要素245は、処理槽200からの振動を減衰させるので、フィルタユニット500は、正面壁111に安定的に保持される。
図5に示される如く、フィルタ部材510は、正面壁111に向けて突出する取手部511を含む。図1に示される如く、正面壁111は、制御装置250を覆う保護カバー251と、保護カバー251に回動可能に取り付けられた扉部252と、を含む。フィルタユニット500は、保護カバー251に固定される。使用者が扉部252を開くと、取手部511が露出する。使用者は、取手部511を摘み、フィルタ部材510を取り出すことができる。
乾燥機100は、処理槽200中の衣類を乾燥するための乾燥空気を循環させる循環システム600を更に備える。循環システム600は、上述の熱交換器400に加えて、乾燥空気を処理槽200に流入させる送風機610と、送風機610から処理槽200までの乾燥空気の流路を規定する管路615と、送風機610から処理槽200に向かう乾燥空気を加熱するヒータ620と、を備える。
図4及び図5に示される如く、管路615は、投入口201の近傍で、水槽210の周壁211に接続される。送風機610が作動すると、管路615を通じて、処理槽200内に乾燥空気が流入する。ヒータ620は、送風機610から処理槽200に向けて流れる乾燥空気を加熱するので、比較的高温の乾燥空気が、処理槽200内の衣類に吹き付けられる。この結果、衣類から水分が蒸発する。
蒸発した水分を含む乾燥空気は、その後、水槽210の底壁212に接続された熱交換器400に流入する。上述の如く、熱交換器400内には、給水ユニット300から供給された除湿水が流下するので、熱交換器400に流入した乾燥空気は、除湿される。本実施形態において、熱交換器400は、除湿要素として例示される。
循環システム600は、送風機610と熱交換器400との間に配設されたフィルタ装置700を更に備える。熱交換器400は、フィルタ装置700と連結されるベローズ管414を含む。乾燥空気が吹き付けられた衣類からリントが分離する。分離したリントは、その後、熱交換器400及びベローズ管414を通じて、フィルタ装置700に向かう。フィルタ装置700は、乾燥空気からリントを除去する。本実施形態において、フィルタ装置700は、除去装置として例示される。
図5に示される如く、循環システム600は、フィルタ装置700から送風機610へ流れる乾燥空気を案内するダクトユニット660を更に備える。送風機610は、ダクトユニット660内を負圧にするので、フィルタ装置700によってリントが除去された乾燥空気は、ダクトユニット660を通じて、送風機610に向かう。かくして、循環システム600は、主筐体110内で、乾燥空気の循環経路を形成する。本実施形態において、ダクトユニット660は、ダクト要素として例示される。また、フィルタ装置700及びダクトユニット660は、除湿要素によって除湿された乾燥空気が送り込まれる下流要素として例示される。
(フィルタ装置と熱交換器との接続構造)
図6は、乾燥機100の内部構造を示す平面図である。図1及び図6を用いて、乾燥機100の主筐体110の分解方法が説明される。
主筐体110の上面を形成する天壁115は、正面壁111、背面壁112、左側壁113及び右側壁114といった周壁に、ネジといった固定具を用いて固定される。乾燥機100を修繕或いは点検する作業者は、固定具を取り外し、天壁115を主筐体110の周壁から除去することができる。かくして、作業者は、乾燥機100の内部を観察することができる。本実施形態において、天壁115は、取り外し可能な壁部として例示される。
図7は、熱交換器400の側面図である。図5及び図7を用いて、熱交換器400からフィルタ装置700へ向かう乾燥空気の流れが説明される。
熱交換器400は、乾燥空気と熱交換を行う熱交換管410を備える。熱交換管410は、乾燥空気が流動する流路を規定する内面411を含む。熱交換器400は、熱交換管410が規定する流路に乾燥空気を除湿するための除湿水を供給するための略円筒状の給水口420を更に備える。給水口420は、最も下方の第1給水口421と、第1給水口421の上方に形成された第2給水口422と、第2給水口422より上方に形成された第3給水口423と、を含む。本実施形態において、熱交換管410は、案内管として例示される。
熱交換管410は、流入口412と、流入口412の上方に形成された排気口413と、を含む。熱交換管410は、流入口412と排気口413との間で、天壁115に向けて延出する。図5に示される如く、熱交換器400の下端に形成された流入口412は、水槽210の底壁212に接続される。乾燥工程において、処理槽200へ送られた乾燥空気は、流入口412を通じて、熱交換管410に流入する。尚、洗濯工程やすすぎ工程の間、処理槽200内に供給された水(洗濯水や柔軟剤を含む水溶液)も、流入口412を通じて、熱交換管410内に流入する。
熱交換管410内に流入した乾燥空気は、熱交換管410の上端に形成された排気口413から排出される。その後、乾燥空気は、フィルタ装置700、送風機610及びヒータ620を通過し、処理槽200に戻される。
図8は、フィルタ装置700、ダクトユニット660、送風機610、ヒータ620及び管路615の概略的な配置図である。図1、図4乃至図8を用いて、熱交換器400への除湿水の供給が説明される。
処理槽200中での衣類の乾燥処理及び熱交換器400中の熱交換によって、乾燥空気の温度は、ヒータ620の直後の乾燥空気の温度よりも低くなる。したがって、フィルタ装置700から送風機610までの経路において、結露が生じやすい。
ダクトユニット660は、フィルタ装置700に向けて下方に傾斜する底壁661と、底壁661の下端と熱交換器400の第3給水口423とに接続される接続管662と、を備える。ダクトユニット660中で結露し、ダクトユニット660の内面に付着した結露水は、重力作用によって、底壁661に沿って流下する。その後、結露水は、接続管662及び第3給水口423を通じて、除湿水として熱交換器400に供給される。
フィルタ装置700中で結露した結露水は、重力作用及び乾燥空気によってダクトユニット660に滴下する。その後、結露水は、ダクトユニット660の底壁661に沿って流下し、最終的に、接続管662及び第3給水口423を通じて、除湿水として熱交換器400に供給される。
送風機610は、乾燥空気の流路内に配設されたファン611と、ファン611を回転させる駆動モータ612とを備える。ファン611に付着した結露水は、重力作用及びファン611の回転によって、ダクトユニット660に滴下する。その後、結露水は、ダクトユニット660の底壁661に沿って流下し、最終的に、接続管662及び第3給水口423を通じて、除湿水として熱交換器400に供給される。
ダクトユニット660は、底壁661の下端部に配設された逆止弁663を更に備える。逆止弁663は、乾燥空気が、熱交換器400からダクトユニット660に直接的に流入することを抑制する。
図4に関連して説明された如く、給水ユニット300の筐体320から突出する排水筒321からは、給水口301から供給された水が、除湿水として排出される。排水筒321に接続された接続チューブは、熱交換器400の第1給水口421及び第2給水口422にそれぞれ接続される。
熱交換器400内に供給された除湿水は、熱交換管410の内面411に案内され、乾燥空気と熱交換する。この結果、乾燥空気は除湿される。熱交換管410の内面411に沿って流下した除湿水は、最終的に、熱交換器400の下端の流入口412を介して、熱交換器400から排出される。
図6に示される如く、熱交換器400は、第1殻体430と、第1殻体430と主筐体110の背面壁112との間に配設される第2殻体440と、を備える。第2殻体440は、背面壁112に沿って配設される。図7に示される如く、第2殻体440は、第1殻体430に重ね合わされ、熱交換管410を形成する。流入口412及び排気口413は、第1殻体430に形成される。給水口420は、第2殻体440に形成される。
第1殻体430及び第2殻体440は、略C状に湾曲した流路を形成する。熱交換器400の下端に形成された流入口412から流入した乾燥空気は、湾曲した流路を通過し、熱交換器400の上端に形成された排気口413から排出される。
図7には、水平線HLと、略円筒状に形成された排気口413の中心線L1が示されている。熱交換器400は、好ましくは、排気口413の中心線L1が水平線に対して略直交するように主筐体110内に配設される。したがって、排気口413の中心線L1に略平行な第2殻体440の上側部分は、主筐体110の背面壁112に沿う。
図9は、熱交換器400とフィルタ装置700との間の接続構造を示す背面図である。図1、図6、図7及び図9を用いて、熱交換器400とフィルタ装置700との間の接続構造が説明される。
図9に示されるように、排気口413とフィルタ装置700とを接続するベローズ管414の下端は、固定バンド416を用いて、排気口413に固定される。同様に、ベローズ管414の上端も、固定バンド417を用いて、フィルタ装置700に固定される。本実施形態において、ベローズ管414は、除去装置と排気口とを接続する接続管として例示される。
図6及び図9に示される如く、フィルタ装置700は、排気口413の中心線L1に対して水平方向(右側壁114から離間する方向)にずらされて配置される。図6に関連して説明された如く、作業者は、天壁115を取り外すことができる。その後、作業者は、ベローズ管414の固定に用いられた固定バンド416,417を取り外し、ベローズ管414を除去することができる。
図9に示される如く、乾燥機100は、洗濯水の物性を測定するための導電センサ450と、アース電極460と、を更に備える。導電センサ450及びアース電極460は、熱交換管410の内部に突出する。上述の如く、熱交換管410内には、リントを含む乾燥空気やリントを含む洗濯水が流入する。乾燥空気又は洗濯水中のリントは、熱交換管410の内部に突出した導電センサ450及びアース電極460に堆積しやすい。
排気口413は、上方に開口する(即ち、天壁115に向けて開口する)。フィルタ装置700は、排気口413の開口する方向に対して直交する方向(即ち、背面壁112に沿う方向)にずらされているので、作業者の視線は、排気口413を通じて、案内管410の内面に到達する。したがって、ベローズ管414を除去した作業者は、排気口413を介して、熱交換管410の内部を観察することができ、導電センサ450及び/又はアース電極460にリントが堆積しているか否かを容易に確認することができる。
(フィルタ装置)
図10は、ベローズ管414に接続されたフィルタ装置700の断面図である。図1、図8及び図10を用いて、フィルタ装置700が説明される。
フィルタ装置700は、下側ユニット710と、下側ユニット710の上方に配設される上側ユニット720と、を備える。下側ユニット710は、主筐体110の内部で固定されるのに対し、上側ユニット720は、主筐体110から容易に取り外される。図8に関連して説明されたダクトユニット660は、下側ユニット710に取り付けられる。
図11は、下側ユニット710の断面図である。図10及び図11を用いて、下側ユニット710が説明される。
下側ユニット710は、上側ユニット720を収容するための筐体730を備える。筐体730は、ベローズ管414に向けて突出する略円筒状の流入口731が形成された右側壁732と、右側壁732に対向する左側壁733と、を含む。乾燥空気は、ベローズ管414及び流入口731を通じて、フィルタ装置700内に流入する。
下側ユニット710は、右側壁732と左側壁733とに接続された下側フィルタ部735を更に備える。下側フィルタ部735は、筐体730が形成する内部空間を、流入口731に連通する上側空間USと上側空間USに隣接する下側空間LSとに分割する。流入口731から流入した乾燥空気は、上側空間USに流入した後、上側空間USの下方に形成された下側空間LSに至る。
図10に示される如く、上側空間US内に上側ユニット720が収容される。上側ユニット720は、上側フィルタ部725を備える。上側フィルタ部725は、下側フィルタ部735に隣接する。また、上側フィルタ部725は、下側フィルタ部735に対して略平行である。
流入口731から流入した乾燥空気は、上側空間US内に配設された上側ユニット720内に流入する。上側ユニット720内に流入した乾燥空気は、左側壁733に向かう第1方向FD(即ち、背面壁112に沿う方向)に流れる。
下側フィルタ部735と左側壁733との接続部分は、下側フィルタ部735と右側壁732との接続部分よりも上方に形成される。したがって、下側フィルタ部735及び下側フィルタ部735に平行な上側フィルタ部725は、第1方向FDの乾燥空気の流れに対して傾斜する(図10において、0°<θ<90°(θは、第1方向FDに対する上側フィルタ部725の傾斜角度))。
下側フィルタ部735及び上側フィルタ部725は、上側空間USから下側空間LSに向けて流れる乾燥空気からリントを除去する。上述の如く、下側フィルタ部735及び上側フィルタ部725は、第1方向FDの乾燥空気の流れに対して傾斜するので、リントを除去するための比較的広い面積が確保される。
図12は、上側ユニット720が除去された乾燥機100の平面図である。図3、図10乃至図12を用いて、下側フィルタ部735の清掃方法が説明される。
図12に示される如く、主筐体110の天壁115には、上方に開口した取出口701が形成される。上側ユニット720は、取出口701を通じて、上側空間USに挿入され、主筐体110に取り付けられる。上側ユニット720が取出口701を通じて主筐体110から取り出されると、下側フィルタ部735が露出する。
上述の如く、下側フィルタ部735は、フィルタ装置700の右側壁732と左側壁733とに接続されるので、使用者は、取出口701を通じて、下側フィルタ部735を容易に観察することができる。したがって、使用者は、下側フィルタ部735上で堆積したリントを容易に発見並びに除去することができる。
図5、図6、図10及び図11を用いて、フィルタ装置700内の乾燥空気の流動が説明される。
図10に示される如く、流入口731から上側空間USに流入した乾燥空気は、第1方向FD(右側壁732から左側壁733へ向かう方向)に流れる。その後、乾燥空気は、下方向DDに流れる。
図5に示される如く、ダクトユニット660は、フィルタ装置700から正面方向に延びる。したがって、下側空間LSに流入した乾燥空気は、正面方向(即ち、左側壁733に沿う方向)に向けて流れ、送風機610に到達する。以下の説明において、フィルタ装置700から送風機610へ向かう(即ち、正面壁111に向かう)乾燥空気の流れ方向は、第2方向SDと称される。
図6は、第1方向FD及び第2方向SDの乾燥空気の流れを概略的に示す。上述の如く、乾燥空気は、第1方向FDに流れ、その後、下方向DDに流れる。更にその後、乾燥空気は、下側ユニット710の筐体730及びダクトユニット660によって、第1方向FDと略直交する第2方向SDに案内される。このような乾燥空気の流れの捻れは、上側フィルタ部725及び下側フィルタ部735の周囲で生ずる。この結果、上側フィルタ部725及び下側フィルタ部735の周囲での乾燥空気の流れは、複雑になり、上側フィルタ部725及び下側フィルタ部735上でのリントの堆積位置は、変動する。上側フィルタ部725及び下側フィルタ部735上でリントは好適に分散されるので、上側フィルタ部725及び下側フィルタ部735の目詰まりの頻度は低減される。
図10及び図11に示される如く、下側空間LSは、下側ユニット710の筐体730の右側壁732から左側壁733に向けて徐々に広くなる。上述の如く、捻れた流動をする乾燥空気の流れにおいて、遠心方向に位置する左側壁733の近傍での下側空間LSの拡張は、乾燥空気の圧力損失の低減に貢献する。
(上側ユニット)
図13は、上側ユニット720の斜視図である。図14は、上側ユニット720の断面図である。図3、図10、図12乃至図14を用いて、上側ユニット720が説明される。
上側ユニット720は、上述の上側フィルタ部725に加えて、主筐体110から取り外し可能に形成された筐体740と、筐体740に取り付けられる略矩形状の蓋体750と、を備える。筐体740は、上側フィルタ部725を支持する第1筐体760と、第1筐体760を回転可能に支持する第2筐体770と、を含む。蓋体750は、第2筐体770に取り付けられる。
図12に関連して説明された如く、主筐体110の天壁115には取出口701が形成される。図3に示される如く、蓋体750は、取出口701を覆う。
図13に示される如く、略三角箱状に形成された第1筐体760は、傾斜面761を含む。傾斜面761は、格子状に形成される。上側フィルタ部725として用いられるフィルタメッシュは、格子状の傾斜面761に取り付けられる。図10に関連して説明された如く、傾斜面761は、下側フィルタ部735に対して略平行である。
図15は、上側ユニット720の正面図である。図13及び図15を用いて、上側ユニット720が更に説明される。
第1筐体760は、回転突起762を備える。回転突起762は、第1筐体760の右上端に形成される。第2筐体770は、回転突起762に対して略相補的な支持筒771を備える。第1筐体760の右上端に形成された回転突起762は、支持筒771に挿通される。この結果、第1筐体760は、第2筐体770に回転可能に支持並びに連結される。本実施形態において、第1筐体760に回転突起762が形成され、第2筐体770に支持筒771が形成される。代替的に、第1筐体に支持筒が形成され、第2筐体に回転シャフトが形成されてもよい。
図16は、第1筐体760の右側面図である。図10、図13及び図16を用いて、第1筐体760が説明される。
図10に示される如く、第1筐体760は、上側空間US内に完全に収容される。図16に示される如く、第1筐体760は、開口部763が形成された右側壁764を含む。流入口731を通過した乾燥空気は、開口部763を通じて、第1筐体760内に流入する。格子状の傾斜面761に取り付けられた上側フィルタ部725は、乾燥空気中のリントを捕捉する。
図13に示される如く、第1筐体760の左端が、第2筐体770に接続される第1位置に第1筐体760に存するとき、第1筐体760及び第2筐体770は、協働して、上側フィルタ部725に捕捉されたリントを収容するための収容空間を形成する。
図17は、右方に回動された第1筐体760を有する上側ユニット720の概略的な断面図である。図13、図16及び図17を用いて、上側ユニット720からのリントの除去方法が説明される。
第1筐体760の左端が第2筐体770から離間する離間方向(図17中、右方向)に第1筐体760が回動すると、上側フィルタ部725に捕捉されたリントが除去可能となる。
図18は、更に離間方向に回動された第1筐体760を有する上側ユニット720が概略的な正面図である。図15乃至図18を用いて、第1筐体760の回動が説明される。
第1筐体760は、回転突起762周りに更に離間方向に回動可能である。図15に示される如く、右方に大きく突出する蓋体750は、右縁751を含む。図18に示される如く、右縁751は、離間方向に回動する第1筐体760の右側壁764に接触し、第1筐体760の回動を制限する。以下の説明において、蓋体750によって回動を制限される第1筐体760の位置は、第2位置と称される。
図18には、蓋体750が第2筐体770から除去されたときに、第2筐体770から、最大限、離間方向に回動された第1筐体760が点線で示されている。図18に示される如く、蓋体750が第2筐体770から除去されると、第1筐体760は、第2位置から更に離間方向に回動可能である。第2筐体770は、蓋体750との接続に用いられる接続部772を含む。接続部772は、外方に突出する。蓋体750が第2筐体770から除去された後、第1筐体760が、最大限、離間方向に回動すると、第1筐体760の右側壁764は、第2筐体770の接続部772に接触する。
(第1筐体と第2筐体との接続構造)
図19は、第1筐体760の回転突起762を示す。図19(a)は、第1筐体760の右側面図である。図19(b)は、正面方向に突出する回転突起762の部分正面図であり、回転突起762の端面形状を表す。図19(c)は、背面方向に突出する回転突起762の端面形状を表す部分背面図である。図19を用いて、回転突起762が説明される。
回転突起762は、正面方向に突出する第1回転突起765と、第1回転突起765とは反対側に形成された第2回転突起766と、を含む。第1回転突起765とは反対方向に突出する第2回転突起766は、第1回転突起765と略同軸に形成される。略円柱形状の第2回転突起766は、略円形の断面を有する。一方、Dカット処理された第1回転突起765は、非円形断面を有する。
Dカット処理された第1回転突起765の周面は、平坦面767を含む。平坦面767は、第1平坦面768と、第1平坦面768と反対側に形成された第2平坦面769と、を含む。第2平坦面769は、第1平坦面768に対して略平行である。第1回転突起765の周面は、第1平坦面768と第2平坦面769との間の弧状面781を更に含む。
図20は、第2筐体770の支持筒771を示す。図20(a)は、第2筐体770の右側面図である。図20(b)は、図20(a)に示される矢印Aの方向から見た第2筐体770の部分断面図であり、第1回転突起765が挿入される支持筒771を示す。図20(c)は、図20(a)に示される矢印Bの方向から見た第2筐体770の部分断面図であり、第2回転突起766が挿入される支持筒771を示す。図19及び図20を用いて、支持筒771が説明される。
支持筒771は、第1回転突起765を支持する第1支持筒773と、第2回転突起766を支持する第2支持筒774と、を含む。支持筒771は、回転突起762と接触する内面775を含む。第1筐体760が回動するとき、第1回転突起765の弧状面781は、第1支持筒773の内面775に摺接される。一方で、第1回転突起765の平坦面767は、第1支持筒773の内面775から離間している。第2回転突起766の周面は、第2支持筒774の内面775に全体的に接触する。
第2支持筒774は、第1支持筒773に対向する対向面776を含む。第1支持筒773は、対向面776から第1距離D1だけ離間した第1部分777と、対向面776から第2距離D2だけ離間した第2部分778と、を含む。尚、第2距離D2は、第1距離D1よりも長い。
第1部分777は、第1部分777と第2部分778との境界において形成された空隙部Gを規定する縁部779を含む。空隙部Gは、回転突起762の回転軸RXに対して半径方向に開口する。
図21は、第2筐体770に取り付けられる第1筐体760を示す。図22は、図21に示される第2筐体770の第1支持筒773と、図21に示される第1筐体760の第1回転突起765と、を示す。図18、図20乃至図22を用いて、第1筐体760と第2筐体770との接続が説明される。
図21に示される第1筐体760の回転位置は、図18において点線で示される第1筐体760の位置に対応する。図21に示される第1筐体760の回転位置において、第1筐体760は、第2筐体770に接続される。第1筐体760が第2筐体770に接続された後、蓋体750が第2筐体770に取り付けられる。以下の説明において、図21に示される第1筐体760の回転位置は、取付位置と称される。
図18に関連して説明された如く、蓋体750は、第1筐体760の取付位置への回動を妨げる。したがって、蓋体750が第2筐体770から除去されない限り、第1筐体760と第2筐体770との接続は維持される。
図22に示される如く、空隙部Gを規定する縁部779は、空隙部Gの上側境界を定める上側縁部782と空隙部Gの下側境界を定める下側縁部783とを含む。上側縁部782と下側縁部783との間の距離は、第1回転突起765の第1平坦面768と第2平坦面769との距離に略等しく定められる。第1筐体760が取付位置に到達すると、上側縁部782と下側縁部783とを通過する面として規定される境界面Bに対して、平坦面767は略直交する。
第1平坦面768と第2平坦面769との距離は、第1回転突起765の断面寸法の中で最も短い。したがって、第1筐体760が取付位置以外の他の位置に存するとき、縁部779は、第1支持筒773への第1回転突起765の挿入或いは第1支持筒773からの第1回転突起765の取り外しを妨げる。一方、第1筐体760が取付位置に到達すると、第1回転突起765は空隙部Gを通じて、第1支持筒773に挿入され、或いは、第1回転突起765は空隙部Gを通過し、第1支持筒773から分離される。
本実施形態において、第2回転突起766は、第1回転突起765と異なる断面形状を有する。代替的に、第2回転突起は、第1回転突起と同形の断面を有してもよい。また、第2支持筒774は、第1支持筒773と異なる形状を有する。代替的に、第2支持筒は、第1支持筒に対して鏡像形状をなしてもよい。
(フィルタ装置からの放熱)
図23は、第2筐体770の概略的な断面図である。図23を用いて、第2筐体770が説明される。
第2筐体770は、水平に横たわる底壁791と、底壁791から上方に立設された周壁792と、底壁791の上面に形成されたリブ793と、を含む。第2筐体770は全体的に皿形状に形成され、底壁791及び周壁792は、蓋体750に対して窪んだ凹領域を形成する。底壁791の上面に形成されたリブ793は、周壁792の上面に沿って延びる。
図24は、上側ユニット720の斜視図である。図1、図12、図23及び図24を用いて、上側ユニット720が説明される。
図24に示される如く、第1筐体760、第2筐体770及び蓋体750は、連結され、上側ユニット720として一体化される。図12に関連して説明された如く、蓋体750は、主筐体110の天壁115に形成された開口部701を部分的に覆う。
第2筐体770に取り付けられた蓋体750は、第2筐体770の底壁791と周壁792とによって規定された凹領域も部分的に閉塞する。蓋体750には、開口部754が形成される。蓋体750は、主筐体110から露出する外面(上面)を有する主板752と、第2筐体770の底壁791と周壁792とによって規定された凹領域内に突出する取手壁753と、を含む。取手壁753は、開口部754の縁部から主筐体110に対して凹設された凹領域に突出する。
図25は、上側ユニット720を示す。図25(a)は、上側ユニット720の平面図である。図25(b)は、図25(a)に示されるC−C線に沿う断面図である。図5及び図25を用いて、上側ユニット720からの放熱が説明される。
図5に関連して説明された如く、乾燥空気は、ヒータ620によって加熱される。図25(b)に示される如く、第2筐体770の底壁791及び周壁792は、第1筐体760と蓋体750との間を仕切る。また、底壁791及び周壁792は、第1筐体760と協働して、リントを収容するための収容空間を形成する。ヒータ620によって加熱された乾燥空気は、図25(b)の矢印で示されるように、収容空間に流入する。
乾燥空気からの熱伝達によって、底壁791及び周壁792は加熱される。蓋体750の開口部754及び蓋体750に対向する底壁791及び周壁792の上面に形成されたリブ793は、底壁791及び周壁792からの放熱を促す。したがって、底壁791及び周壁792の過度の昇温が抑制される。
使用者は、蓋体750の開口部754に指を挿入し、上側ユニット720を主筐体110から除去することができる。上述の如く、底壁791及び周壁792の過度の昇温が抑制されるので、使用者の指が底壁791又は周壁792に接触しても、使用者は過度の熱を感じない。したがって、高い安全性を有する乾燥機100が提供される。