JP5626950B2 - 表面ハイパーブランチまたはデンドリマー修飾無機ナノ粒子および気体分離膜 - Google Patents

表面ハイパーブランチまたはデンドリマー修飾無機ナノ粒子および気体分離膜 Download PDF

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Description

本発明は、表面ハイパーブランチまたはデンドリマー修飾シリカナノ粒子を含有する気体分離膜に関する。
近年、ナノテクノロジー研究の一還として、平均粒子径が1nm位から数百nm位までのナノメートルオ一ダーの粒子径を有する微粒子(ナノ粒子)に関する研究が盛んに行われている。素材をナノサイズ化したナノ粒子では、従来のバルク材料とは異なり、様々な機態・特性を発現・付与できることが知られており、幅広い産業分野での応用が期待されている。ナノ粒子は一次粒子としての製造は可能であるが、その微細さに由来して凝集性が強く、放置しておくとマイクロオーダーの粒子径を有する凝集体となってしまう。例えば、上述したような無機物ナノ粒子を有機成分中に添加した場合、耐熱性の向上や機械的強度の向上が期待できる一方で、無機物粒子はその凝集性の強さから、そのままでは有機溶媒中や高分子マトリクス中でマイクロオーダーの凝集体を形成し、結果として期待したような有機-無機複合材料の特性・性能を得られない可能性がある。このため、一次粒子としての分散性を維持するために、粒子表面に対して均一な化学修飾を行うことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
加えて現在、無機成分と有機成分をナノレベルまたは分子レベルで混ぜ合わせることによって、両者のメリットを相乗的に高めることのできる有機-無機複合材料が注目を集めている。この概念は、エネルギー・環境問題を解決する上でその有用性が注目されている高分子気体分離膜にも適応がなされており、高分子マトリクス中に無機物ナノ粒子を添加した有機-無機複合材料の作製によって、既存の方法では達成できなかった高い機械的強度や熱的安定性、気体透過特性の達成が望まれている。
高分子膜の気体透過特性を利用して気体を分離する方法は、気体の相変化を伴わずに気体の分離・回収ができ、他の気体分離法に比べて操作が簡便で装置の小型化が可能であり、また連続的に気体分離を行うことができるため、環境負荷が少ないという特性を有している。このような省エネルギー型の高分子気体分離膜法は、近年、特に温室効果ガスの分離・回収や酸素富化空気の作製、天然ガスの精製技術として注目を集め、実用化が期待されているが、さらに気体分離性能および気体透過量の点での改善が必要とされる。
前記したように、高分子膜に無機物ナノ粒子を含有させることにより気体透過特性を改善する試みもなされているが、前記ナノ粒子の凝集の問題は、有機-無機複合気体分離膜の作製においても同様に問題となっており、既存の有機-無機複合気体分離膜では、高分子マトリクス中で無機物ナノ粒子が凝集することにより、膜強度の低下や、高粒子含有率を達成できないことから、気体透過性を数倍程度までしか向上できないことが課題となっている。
例えば、高分子膜に無機物ナノ粒子を含有させて気体分離膜特性を改善する方法として、シリカナノ粒子表面をアミノ基含有シランカップリング剤で処理して表面をシリル化し、さらにこのシリル化粒子をポリマーで処理することによりポリマーグラフトシリカ粒子を作製し、こうして得られたれポリマーグラフトシリカ粒子をポリマー中に分散させて樹脂膜とし、この膜の気体分離膜としての性能を調べた報告もなされている(非特許文献1参照)が、気体の透過量などにおいて十分といえる結果は得られていない。
特開2007−99607号公報
ポリマー(Polymer),47(2006),pp.7535−7547
本発明は、このような従来の問題が改善された、すなわち有機溶媒中や高分子マトリクス中での凝集がなく、均一分散性に優れた、表面が化学修飾されたシリカナノ粒子を含有する気体透過性にすぐれた気体分離膜を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、このような課題を解決するため鋭意検討を行ったところ、シリカナノ粒子表面に対して嵩高いハイパーブランチ高分子またはデンドリマー高分子を結合させることにより、均一分散性に優れ、気体の気体透過量が大きく改善された気体分離膜を形成することができることを見出し、この知見に基づいて本発明を成したものである。
すなわち、本発明は、以下の表面修飾無機ナノ粒子、該表面修飾無機ナノ粒子を含有する気体分離膜に関する。
(1)ナノオーダーの粒子径を有するシリカナノ粒子の表面に、ハイパーブランチ高分子またはデンドリマー高分子が付加されてなる表面ハイパーブランチまたはデンドリマー修飾シリカナノ粒子とマトリクス樹脂とを含有することを特徴とする気体分離膜。
(2)上記(1)に記載の気体分離膜において、ハイパーブランチ高分子またはデンドリマー高分子がシリカナノ粒子の表面の基と共有結合により結合されていることを特徴とする気体分離膜
(3)上記(2)に記載の気体分離膜において、シリカナノ粒子の表面を官能基含有化合物により処理することにより表面官能基修飾シリカナノ粒子を調製し、次いでハイパーブランチモノマーまたはデンドリマーモノマーで処理することにより前記官能基にハイパーブランチ高分子またはデンドリマー高分子が付加されてなることを特徴とする気体分離膜
(4)上記(3)に記載の気体分離膜において、前記官能基含有化合物が官能基含有シランカップリング剤であることを特徴とする気体分離膜
(5)上記(4)に記載の気体分離膜において、前記官能基含有シランカップリング剤が下記一般式(1)で表される化合物であり、この化合物による処理により表面アミノ基修飾シリカナノ粒子を得ることを特徴とする気体分離膜
Figure 0005626950
(式中、Rはメチル基またはエチル基を表し、Rは炭素数1〜5のアルキレン基を表す。)
(6)上記(5)に記載の気体分離膜において、前記表面アミノ基修飾シリカナノ粒子を、さらに一般式(2):
HOOC−R−COOH (2)
(式中、R3は炭素数1〜20のアルキレン基または芳香族基を表す。)
で表される化合物またはその酸無水物で処理することにより表面カルボキシル基修飾シリカナノ粒子を調製することを特徴とする気体分離膜
(7)上記(5)に記載の気体分離膜において、ハイパーブランチモノマーとして1個のカルボキシル基と2個以上のアミノ基またはハロゲン原子を有する化合物を用いることにより、ハイパーブランチ高分子が付加されてなることを特徴とする気体分離膜
(8)上記(6)に記載の気体分離膜において、ハイパーブランチモノマーとして1個のアミノ基と2個以上のカルボキシル基またはハロゲン原子を有する化合物を用いることにより、ハイパーブランチ高分子が付加されてなることを特徴とする気体分離膜
(9)上記(5)に記載の気体分離膜において、デンドリマー形成モノマーとして3個以上のカルボキシル基を有する化合物と2個のアミノ基を有する化合物を用いることにより、デンドリマー高分子が付加されてなることを特徴とする気体分離膜
(10)上記(6)に記載の気体分離膜において、デンドリマー形成モノマーとして3個以上のアミノ基を有する化合物と2個のカルボキシル基を有する化合物を用いることにより、デンドリマー高分子が付加されてなることを特徴とする気体分離膜
11)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の気体分離膜において、マトリクス樹脂がポリイミド、ポリスルホン、ポリジメチルシロキサン、ポリ置換アセチレン、ポリ−4−メチルペンテン−1および天然ゴムの少なくとも1種であることを特徴とする気体分離膜。
12)上記(1)〜(11)のいずれかに記載の気体分離膜において、表面ハイパーブランチまたはデンドリマー修飾シリカナノ粒子の含有量が1〜50重量%であることを特徴とする気体分離膜。
13)上記()〜(12)のいずれかに記載の気体分離膜において、気体分離膜はキャスティング法により形成され、膜厚が10〜100μmであることを特徴とする気体分離膜。
本発明のナノオーダーの粒子径を有する無機ナノ粒子の表面に、ハイパーブランチ高分子またはデンドリマー高分子を付加した表面ハイパーブランチまたはデンドリマー修飾無機ナノ粒子は樹脂への均一分散性に優れており、また該表面修飾無機ナノ粒子をマトリクス樹脂中に分散含有させることにより、気体分離膜は気体分離特性に優れ、気体透過量の極めて大きい気体分離膜を形成することができる。
合成の表面ハイパーブランチ修飾シリカナノ粒子のFT−IRのスペクトル図である。 表面未修飾シリカナノ粒子のFT−IRのスペクトル図である。
以下、本発明を、更に詳細に説明する。
本発明で用いられるハイパーブランチ高分子またはデンドリマー高分子が付加された表面ハイパーブランチまたはデンドリマー修飾シリカナノ粒子を形成するために用いられるシリカナノ粒子は、従来高分子膜の形成の際に充填剤などとして用いられている、ナノオーダーの粒子径(数平均粒子径)を有し、その表面を化学修飾することのできるシリカナノ粒子である。本発明の表面ハイパーブランチまたはデンドリマー修飾シリカナノ粒子の調製は、シリカナノ粒子の表面に存在する基と反応し共有結合を形成する基と、ハイパーブランチ高分子またはデンドリマー高分子を形成する際の結合基として機能する官能基を有する化合物を用いてまずシリカナノ粒子を処理して表面官能基修飾シリカナノ粒子を形成し、この官能基にハイパーブランチ高分子またはデンドリマー高分子を形成する化合物(ハイパーブランチモノマーまたはデンドリマー形成性モノマー)を反応させることにより行うことができる。以下、シリカナノ粒子を用いて、ハイパーブランチ高分子またはデンドリマー高分子がその表面に結合された表面ハイパーブランチまたはデンドリマー修飾ナノ粒子を製造する方法を、具体的に説明する。
まず、本発明において用いられる無機シリカナノ粒子は、ナノオーダーの粒子径(本発明においては、粒子径は数平均粒子径である。)を有するものであればよいが、気体透過特性などを考えると、粒子径は通常5〜500nm程度、好ましくは5〜300nm程度、より好ましくは5〜100nm程度であることが望ましい。
シリカナノ粒子は、ハイパーブランチモノマーまたはデンドリマー形成性モノマーと反応する官能基を有するシランカップリング剤でまず処理されて、シリカナノ粒子の表面に反応性官能基が付加される。シランカップリング剤として、例えば、一般式(1):
Figure 0005626950
(式中、Rはメチル基またはエチル基を表し、Rは炭素数1〜5のアルキレン基を表す。)
で表される、末端にアミノ基を有する化合物を用いてシリカナノ粒子表面をアミノ基で修飾する例を説明する。この処理での反応は以下の式で示されるとおりである。この処理により、下記式に示されるように、シリカナノ粒子のシラノール基とシランカップリング剤の反応により、シリカの表面にアミノ基が結合される。
Figure 0005626950
一般式(1)で表されるシランカップリング剤において、アミノ基は末端にあることが好ましいが、末端になくてもよいし、基Rはアルキレン基以外の基であってもよい。また、反応性官能基としては、アミノ基以外にも、例えばイソシアネート基、メルカプト基、グリシジル基、ウレイド基、ハロゲン基などの他の基であってもよい。
上記一般式(1)で表される化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。その他の、アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシランなどが代表的なものとして挙げられる。
また、アミノ基以外の官能基を有するシランカップリング剤としては、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
また、シランカップリング剤は、前記一般式(1)のようなトリアルコキシシラン化合物でなくてもよく、例えばジアルコキシシラン化合物、モノジアルコキシシラン化合物であってもよいし、シリカのシラノール基と反応するシランカップリング剤の官能基はアルコキシ基以外の基、例えばイソシアネート基、メルカプト基、グリシジル基、ウレイド基、ハロゲン原子などであってもよい。
アルコキシシランカップリング剤を用いてのシリカナノ粒子の処理においては、シランカップリング剤は純水に溶解され、この水溶液中にシリカナノ粒子を投入攪拌することによりシランカップリングとシリカナノ粒子のシラノール基との反応が行われる。また、アルコキシラン以外の化合物を用いる場合には、水以外の他の溶媒中で行なわれてもよい。
シリカナノ粒子表面への官能基の付加は、上記のように1段階反応によってもよいし、必要に応じ2段階で行われてもよい。2段階反応で表面カルボキシル基修飾シリカナノ粒子を調製する例を具体的に説明すると、例えば、上記のようにまずシリカナノ粒子をアミノアルキルトリアルコキシシランで処理することにより表面アミノ基修飾シリカナノ粒子を調製し、得られた表面アミノ基修飾シリカナノ粒子を、一般式(2):
HOOC−R−COOH (2)
(式中、Rは炭素数1〜20のアルキレン基または芳香族基を表す。)
で表されるようなジカルボン酸化合物またはその酸無水物などで処理することにより、表面カルボキシル基修飾シリカナノ粒子を調製することができる。この例の反応を反応式で模式的に示すと、下記のようになる。式中、R、Rは上記したとおりの基を表す。
Figure 0005626950
上記一般式(2)で表される化合物としては、例えば、マロン酸、アジピン酸、テレフタル酸などが挙げられる。勿論、ジカルボン酸化合物が上記式で挙げられたものに限定されるものではない。
こうして調製された官能基を表面に有するシリカナノ粒子に、多分岐構造のハイパーブランチ高分子またはデンドリマー高分子が付加される。テンドリマーの合成法には、Divergent法とConvergent法があり、Divergent法は、中心にある核分子から外側に向かってビルディングブロックの保護−脱保護を行ない反応させる方法である。Convergent法は、デンドリマーのサブユニットであるデンドロンを外側から合成し、最後に核分子とカップリング反応を行なう方法である。一方、ハイパーブランチ高分子は基本的にAB2型モノマーの自己縮合により合成され、デンドリマーと比較すれば、はるかに容易に合成することができ、構造の規制、分子量分布についてはデンドリマーほど精密ではないため、分子量や分岐度の異なる化合物の混合物であり、いわゆる高分子として取り扱うことができる。製造の容易性から、本発明ではハイパーブランチ高分子を付加することが好ましい。
例えば、上記で調製された表面アミノ基修飾シリカナノ粒子にハイパーブランチ高分子を付加する方法を、以下に模式的に示す。なお、下記反応式中、ハイパーブランチ高分子付加シリカナノ粒子においては、記載の複雑さを避けるため、シリカと−NH−基との間の−R−Si(−O−)基の記載が省略されている。また、シリカナノ粒子上には、多くのアミノ基が存在するが、下記式においてはそのうちの4個を例示している。
Figure 0005626950
上記例においては、ハイパーブランチモノマーとして、一般式(3):
Figure 0005626950
(式中、Rはアルキレン基または芳香族基を表す。)
で示されるカルボキシル基を1個、アミノ基を2個有する化合物が用いられているが、アミノ基を3個以上有する化合物であってもよいし、Rはアルキレン基、芳香族基以外の基であってもよい。上記一般式(3)で表されるハイパーブランチモノマーの例としては、3,5−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ−4−メチル安息香酸などが挙げられる。
さらに、ハイパーブランチモノマーとして、一般式(4):
Figure 0005626950
(式中、Rはアルキレン基または芳香族基を表し、XおよびXはハロゲン原子を表す。)
で表されるカルボキシル基を1個、ハロゲン原子を2個有する化合物を用いた例を、模式的に示すと、以下のようになる。なお、この式においても、形成されるハイパーブランチ高分子付加シリカナノ粒子においては、記載の複雑さを避けるため、シリカと−NH−基との間の−R−Si(−O−)基の記載が省略されている。
Figure 0005626950
上記一般式(4)で表される化合物としては、例えば、3,5−ジブロモ−4−メチル安息香酸、3,5−ジブロモサリチル酸、3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ−安息香酸などが挙げられる。
また、ハイパーブランチモノマーは、上記1個のカルボキシル基と2個以上のアミノ基または1個のカルボキシル基と2個以上のハロゲン原子を含有する化合物に限られるものではなく、シリカナノ粒子の表面修飾官能基に応じ、ハイパーブランチ高分子が形成される適宜のモノマーが用いられればよい。
さらに、2段階反応でカルボキシル基による表面修飾が行われたシリカナノ粒子の場合には、一般式(6):
Figure 0005626950
(式中、Rはアルキレン基または芳香族基を表す。)
で表される1個のアミノ基と2個のカルボキシル基を有する化合物を用いて、ハイパーブランチ高分子を付加することができる。この例を以下に反応式で示す。なお、Rはアルキレン基、芳香族基以外の基であってもよい。また、反応式においては、上記と同様にシリカ近傍の基は省略されている(以下同様)。
Figure 0005626950
上記一般式(6)で表される化合物としては、例えば2−アミノテレフタル酸、4−アミノテレフタル酸、DL−2−アミノスベリン酸などが挙げられる。
また、下記の反応式に示すように、他のモノマー種としてアミノ基を1つ、ハロゲンを2つ以上有する一般式(7):
Figure 0005626950
(式中、Rはアルキレン基または芳香族基を表し、Xハロゲン原子を表す。)
で表されるモノマーでも同様にハイパーブランチ高分子が形成可能である。
Figure 0005626950
上記一般式(7)で表される化合物としては、例えば、3,5−ジブロモ−4−メチルアニリン、2,4−ジブロモ−6−ニトロアニリンなどが挙げられる。
上記2段階反応でカルボキシル基による表面修飾が行われたシリカナノ粒子を用いる場合においても、上記1段階で表面アミノ基修飾がなされたシリカナノ粒子を用いる場合と同様に、上記一般式(6)および(7)におけるカルボキシル基、ハロゲン原子は2個以上でもよいし、さらにカルボキシル基と反応するアミノ基以外の官能基を有する他のモノマーが用いられてもよいことは勿論である。
これらの反応により形成されるハイパーブランチ高分子1本鎖の重量平均分子量は、例えば200〜2,000,000程度が好ましく、また分岐度としては0.5〜1程度が好ましい。
反応は、ハイパーブランチモノマーを、アセトン、クロロホルム、エタノール、イソプロパノール、メタノール、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、水、ベンゼン、トルエン、キシレン、ベンジルアルコール、1,4−ジオキサン、プロパノール、四塩化炭素、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、塩化メチレン、フェノール、ピリジン、1,1,2−トリクロロエタン、酢酸、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジクロロメタン(DCM)、N−メチルピロリドン(NMP)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、アセトニトリル(AN)、N−メチルモルホリン−N−オキシド、ブチレンカーボネート(BC)、1,4−ブチロラクトン(BL)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジエチルエーテル(DEE)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、1,3−ジオキソラン(DOL)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルホルマート(MF)、3−メチルオキサゾリジン−2−オン(MO)、メチルプロピオネート(MP)、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、スルホラン(SL)、メチルスルホキシド(DMSO)、γ−ブチロラクトン、シクロペンタノンなど、適宜の溶媒に溶解させ、この溶液に表面アミノ基修飾シリカナノ粒子を投入し、攪拌後、続いて(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾオキサゾリル)ホスホン酸ジフェニル(DBOP)を添加し、DBOP添加後直ちに求核試薬のトリエチルアミンを添加し、更に攪拌することにより行うことができる。なおDBOPはカルボン酸の活性化のため添加されるが、前記DBOPとトリエチルアミンの組み合わせ以外に、トリフェニルホスフィン、ピリジンの組み合わせなどでもよい。
これまでハイパーブランチ高分子付加無機ナノ粒子について詳しく説明したが、以下にデンドリマー高分子付加無機ナノ粒子について説明する。以下では、まず表面アミノ基修飾シリカナノ粒子へのデンドリマー付加を説明する。
本発明において、表面アミノ基修飾シリカナノ粒子に対しデンドリマー付加を行うに当たっては、まず、表面アミノ基修飾シリカナノ粒子に対し、例えば、一般式(8):
Figure 0005626950
(式中、Rはアルキレン基または芳香族基を表す。)
で表されるカルボキシル基を3個有するモノマーあるいはカルボキシル基を4個以上有するモノマーを付加することが必用となる。この時使用するモノマーの例としては、トリメシン酸やピロメリット酸などが挙げられる。
次いで、この粒子に対して末端にアミノ基を2つ有する一般式(9):
N−R−NH (9)
(式中、Rはアルキレン基、または−(C−O−)および/または−(C−O−)を表し、nは各々独立に1以上の整数である。)
で表されるモノマーを付加する。この時使用する一般式(9)で表されるモノマーの例としては、エチレンジアミン、ポリオキシエチレンビスアミン(分子量2,000)、o,o’−ビス(2−アミノプロピル)ポリプロピレングリコール−ブロック−ポリエチレングリコール(分子量500)等が挙げられる。このときの反応は次の反応式に示すように行われる。以下、これらの付加を繰り返すことで、表面デンドリマー修飾シリカナノ粒子が調製される。
Figure 0005626950
上記例では、一般式(8)で表されるカルボキシル基を3個有するモノマーの付加および一般式(9)で表されるアミノ基を2個有するモノマーの付加の繰り返しによりデンドリマー付加が行われたが、上記2段階反応により官能基としてカルボキシル基により修飾されたシリカナノ粒子を用いた場合には、反応は下記の式に示されるように行われる。まず、表面カルボキシル基修飾シリカナノ粒子をアミノ基を3個有する一般式(10):
Figure 0005626950
(式中、R10はアルキレン基または芳香族基を表す。)
で表されるモノマーあるいはアミノ基を4個以上有するモノマーを用いて処理する。一般式(10)で表されるモノマーとしては、1,2,5−ペンタントリアミンや1,2,4,5−ベンゼンテトラアミンなどが挙げられる。
次いで、この粒子に対して一般式(11):
HOOC−R11−COOH (11)
で表される末端にカルボキシル基を2つ有するモノマーを付加する。この時使用するモノマーの例としては、こはく酸、レブリン酸、o,o’−ビス[2−(スクシニルアミノ)エチル]ポリエチレングリコール(分子量2,000)等が挙げられる。以下、これらの付加を繰り返すことで表面デンドリマー修飾シリカナノ粒子が調製される。なお、デンドリマー形成モノマーとしては、アミノ基あるいはカルボキシル基以外の基を用いてもよい。
Figure 0005626950
こうして調製されたハイパーブランチ高分子またはデンドリマー高分子付加シリカナノ粒子は、マトリクス樹脂と混合され製膜される。マトリクス樹脂としては、例えば従来気体分離膜を形成するために用いられている公知樹脂など適宜のものが用いられればよい。具体的には、例えば、ポリイミド、ポリスルホン、ポリジメチルシロキサン、ポリ置換アセチレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、天然ゴムなど種々のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ポリイミド系樹脂は他の樹脂と比較し強度、耐久性、耐熱性に特に優れており、また各種気体透過選択性に優れていることから、本発明の気体分離膜のマトリクス樹脂として好ましいものである。このようなポリイミド系樹脂を例示すると、例えば、アミン官能基に対しオルト位の全ての位置がアルキル基又は芳香族基で置換されたフェニレンジアミン成分から得られる芳香族ポリイミド、アミン官能基に対してオルトのすべての位置に置換基を有する2価のフェニレンジアミン残基成分と、ピロメリット酸及び/又は、ナフタレン及び/又は4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(以下、6FDAと略記する)の四価の酸二無水物残基とそれぞれ5%を越えない範囲でその他の特定の2価のジアミン残基及び4価の酸二無水物残基とを共重合させた芳香族ポリイミド、ポリイミドを構成する2価のジアミン残基として、2個以上の芳香族単位が組み込まれている2価のジアミン残基を含有するポリイミド、4価の6FDA残基と、アルキル化された2価のビスアニリン残基とからなるポリイミド、2価のジアミン残基が2,5−ジ−t−ブチル−1,4−フェニレンジアミン残基であるポリイミド、酸成分が4価の6FDA残基であり、アミン成分が芳香族ジアミンと、さらにアリル又はアリルアリール基を持つアルケニル化ジアミン残基双方を含むポリイミド、少なくとも3以上が水素以外の基で置換された2価のベンジジン残基を有するポリイミド、4価の6FDA残基と、ジアミノナフチジン類又は特定のブロム化ジアミンのポリイミドなど種々のものが挙げられる。
ポリスルホン系樹脂としては、下記式(12)の繰り返し単位など、分子構造内に少なくとも1つに(−SO2 −)部位を有する樹脂であればよく特に限定されない。
Figure 0005626950
(式中、R12は脂肪族基、芳香族基などを表し、mは0または1以上の整数である。)
具体的には、例えば、下記のような繰り返し単位を有する樹脂が挙げられる。
Figure 0005626950
本発明のハイパーブランチ高分子またはデンドリマー高分子を付加したシリカナノ粒子は、通常マトリクス樹脂を溶解した溶液に投入され、攪拌、混合されて均一な溶液とされた後、キャスティング法などにより製膜される。このとき用いられる溶媒としては、上記ハイパーブランチ高分子を付加する際の反応において例示したと同様のものが挙げられる。
表面ハイパーブランチまたはデンドリマー修飾シリカナノ粒子の含有率は、成膜可能な量であればよく、特に限定されるものではないが、通常膜全組成の1〜50重量%程度とされる。また、膜の厚さは、適宜の厚さでよいが、通常10〜100μm程度とされる。
こうして製造された樹脂膜は、気体選択性および酸素透過量など気体透過性能に優れている。特に酸素透過量については顕著に改善された効果を示す。これは、高分子マトリクス中への表面ハイパーブランチまたはデンドリマー修飾シリカナノ粒子の分散性が改善されたことが一つの要因と考えられるが、これは付加した高分子鎖同士の排除体積効果によって、有機溶媒中および高分子マトリクス中においてシリカ微粒子が会合することなく均一に分散することによるものと推測される。
また、他の要因としては、表面ハイパーブランチまたはデンドリマー修飾シリカナノ粒子を含有することから、ハイパーブランチまたはデンドリマー鎖間に自由体積の形成がなされ、これによるものと推測される。しかし、これら推測により本発明が限定されるものではない。
以下、実施例、合成例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
合成例1(表面3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)修飾シリカナノ粒子の合成)
Figure 0005626950
非多孔性シリカナノ粒子(粒径:15nm)は使用前に120℃、一晩の真空乾燥を行い精製した。三角フラスコ中に3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)を10.12ml量り取り、480mlの超純水に溶解した後、30分間の攪拌を行った。続いて、この溶液に非多孔性シリカナノ粒子を7.20000g加え、30分間超音波処理を行った後、反応溶液を二日間攪拌した。この反応溶液を静置し、粒子を沈殿させ上澄み溶液を捨てた後、未反応APTESを除くために超純水で数回粒子を洗浄し、表面APTES修飾粒子を得た。回収した表面APTES修飾粒子は150℃、24時間の真空乾燥を行った。
<表面APTES修飾シリカナノ粒子に対する熱重量測定>
作製した表面APTES修飾シリカナノ粒子に対する熱重量測定を行い、シリカナノ粒子表面に対するAPTESの修飾状況を確認した。この結果、表面APTES修飾粒子の重量内訳を概算したところ、8.3%がAPTES、91.7%がシリカナノ粒子であることが確認できた。
合成例2(表面ハイパーブランチ修飾シリカナノ粒子の合成)
Figure 0005626950
合成例1で作製したAPTES修飾シリカナノ粒子は使用前に、70℃、12時間の乾燥を行った。3,5−ジアミノ安息香酸1.37476gを、あらかじめ窒素フローした三つ口フラスコに量り取り、20.0mlの精製したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加えて、3,5−ジアミノ安息香酸が完全に溶解するまで攪拌した。この反応溶液にAPTES修飾シリカナノ粒子2.01336gを加えて1時間の攪拌を行い、続いて、(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾオキサゾリル)ホスホン酸ジフェニルを4.60207g(3,5−ジアミノ安息香酸の1.2倍モル)、トリエチルアミンを1.4ml(3,5−ジアミノ安息香酸と同モル)加えて、室温で24時間攪拌した。
この反応溶液を一晩静置し、粒子を沈殿させ上澄み溶液を捨てた後、未反応および重合した3,5−ジアミノ安息香酸を除くため、NMPで粒子を数回洗浄し、表面ハイパーブランチ修飾シリカナノ粒子を得た。回収した粒子は100℃、12時間の真空乾燥を行い、溶媒を除去した。
<表面ハイパーブランチ修飾シリカナノ粒子に対する熱重量測定>
作製した表面デンドリマー修飾シリカナノ粒子の熱重量測定を行い、シリカナノ粒子表面に対するAPTESおよび3,5−ジアミノ安息香酸の修飾状況を確認した。この結果、表面デンドリマー修飾粒子の重量内訳を概算したところ、63.5%がシリカナノ粒子、5.7%がAPTES、30.8%が3,5−ジアミノ安息香酸であることが確認できた。
<KBr錠剤法による表面ハイパーブランチ修飾シリカナノ粒子のFT−IR測定>
作製した表面ハイパーブランチ修飾シリカナノ粒子のFT−IR測定結果を図1に、比較として表面未修飾シリカナノ粒子のFT−IR測定結果を図2にそれぞれ示す。図1では3,5−ジアミノ安息香酸の三置換ベンゼンのものと思われるピークが3200、1600、1500、900cm−1付近に確認できた他、APTESと3,5−ジアミノ安息香酸のアミド結合に由来するピークが1600、1500cm−1付近に確認できた。この結果から、表面APTES修飾粒子に対する3,5−ジアミノ安息香酸の付加反応の進行が確認された。
実施例(6FDA−3MPAと表面ハイパーブランチ修飾シリカナノ粒子を用いた有機−無機複合気体分離膜の製膜)
1.2gの含フッ素ポリイミド、6FDA−3MPA(下記式(13)参照)を25.6mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解した後、このポリマー溶液にポリマーに対する含有量が20wt%となるように、合成例2で得られた表面ハイパーブランチ修飾シリカナノ粒子を添加し、1時間の超音波処理を行った。このポリマー溶液を攪拌速度1,200rpmで一晩攪拌し、攪拌後再び1時間の超音波処理を行った後にガラスシャーレ上にキャストした。40℃に設定したオーブン内にこのガラスシャーレを入れ、11時間かけて真空にして複合膜を作製した。作製した複合膜は150℃、15時間の熱処理を行った。得られた膜の膜厚は50μmであった。
Figure 0005626950
<6FDA−3MPA/表面ハイパーブランチ修飾シリカナノ粒子複合気体分離膜の気体透過特性>
上記で得られた複合膜の気体透過測定を行った。測定には(理科精機工業(株)社製:K−315N−01C)を用い、測定温度35℃、測定圧力76cmHg、供給気体を酸素、窒素として測定を行った。結果を表1に示す。
実施例(6FDA−3MPAと表面ハイパーブランチ修飾シリカナノ粒子を用いた有機−無機複合気体分離膜の製膜)
表面ハイパーブランチ修飾シリカナノ粒子の添加量を40wt%とすることを除いて、実施例と同様に行い、有機−無機複合気体分離膜を作製した。得られた複合膜の気体透過測定を実施例と同様にして行った。結果を表1に示す。
比較例1(6FDA−3MPA気体分離膜の製膜)
表面ハイパーブランチ修飾シリカナノ粒子の添加量を0wt%とすることを除いて、すなわち表面ハイパーブランチ修飾シリカナノ粒子を添加することなく、他は実施例と同様に行い、6FDA−3MPA気体分離膜を作製した。得られた複合膜の気体透過測定を実施例と同様にして行った。結果を表1に示す。

Figure 0005626950
表1から、表面ハイパーブランチ修飾シリカナノ粒子含有量の増大に伴って複合膜の気体透過係数は増大し、最大で粒子非添加時の約20倍まで気体透過係数を増大したことが分かる。
実施例(ポリエーテルスルホン(PES)と表面ハイパーブランチ修飾シリカナノ粒子を用いた有機−無機複合気体分離膜の製膜)
1.2gの下記式(14)で表されるポリエーテルスルホン(PES)を24.3mlのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解した後、このポリマー溶液にポリマーに対する含有量が20wt%となるように合成例2で得られた表面ハイパーブランチ修飾シリカナノ粒子を添加し、1時間の超音波処理を行った。このポリマー溶液を攪拌速度1,200rpmで一晩攪拌し、攪拌後再び1時間の超音波処理を行った後にガラスシャーレ上にキャストした。120℃に設定したオーブン内にこのガラスシャーレを入れ、11時間かけて真空にして複合膜を作製した。作製した複合膜は150℃、15時間の熱処理を行った。得られた膜の膜厚は50μmであった。
Figure 0005626950
<PES/表面ハイパーブランチ修飾シリカナノ粒子複合気体分離膜の気体透過特性>
上記で得られた複合膜の気体透過測定を行った。測定には(理科精機工業(株)社製:K−315N−01C)を用い、測定温度35℃、測定圧力76cmHg、供給気体を酸素、窒素、二酸化炭素、メタンとして測定を行った。結果を表2に示す。
比較例2(PES気体分離膜の製膜)
表面ハイパーブランチ修飾シリカナノ粒子の添加量を0wt%とすることを除いて、すなわち表面ハイパーブランチ修飾シリカナノ粒子を添加することなく、他は実施例と同様に行い、PES気体分離膜を作製した。得られた複合膜の気体透過測定を実施例と同様にして行った。結果を表2に示す。
Figure 0005626950
表2から、表面ハイパーブランチ修飾シリカナノ粒子の添加によりPESをマトリクス樹脂とした場合にも気体透過係数の増大が確認できた。
本発明により得られた表面ハイパーブランチまたはデンドリマー修飾シリカナノ粒子は、マトリクス樹脂との混合物として気体分離膜を形成することにより、気体透過特性の優れた膜を形成することができ、フィルタとして好ましく使用することができる。

Claims (13)

  1. ナノオーダーの粒子径を有するシリカナノ粒子の表面に、ハイパーブランチ高分子またはデンドリマー高分子が付加されてなる表面ハイパーブランチまたはデンドリマー修飾シリカナノ粒子とマトリクス樹脂とを含有することを特徴とする気体分離膜。
  2. 請求項1に記載の気体分離膜において、ハイパーブランチ高分子またはデンドリマー高分子がシリカナノ粒子の表面の基と共有結合により結合されていることを特徴とする気体分離膜
  3. 請求項2に記載の気体分離膜において、シリカナノ粒子の表面を官能基含有化合物により処理することにより表面官能基修飾シリカナノ粒子を調製し、次いでハイパーブランチモノマーまたはデンドリマーモノマーで処理することにより前記官能基にハイパーブランチ高分子またはデンドリマー高分子が付加されてなることを特徴とする気体分離膜
  4. 請求項3に記載の気体分離膜において、前記官能基含有化合物が官能基含有シランカップリング剤であることを特徴とする気体分離膜
  5. 請求項4に記載の気体分離膜において、前記官能基含有シランカップリング剤が下記一般式(1)で表される化合物であり、この化合物による処理により表面アミノ基修飾シリカナノ粒子を得ることを特徴とする気体分離膜
    Figure 0005626950
    (式中、R1はメチル基またはエチル基を表し、R2は炭素数1〜5のアルキレン基を表す。)
  6. 請求項5に記載の気体分離膜において、前記表面アミノ基修飾シリカナノ粒子を、さらに一般式(2):
    HOOC−R−COOH (2)
    (式中、R3は炭素数1〜20のアルキレン基または芳香族基を表す。)
    で表される化合物またはその酸無水物で処理することにより表面カルボキシル基修飾シリカナノ粒子を調製することを特徴とする気体分離膜
  7. 請求項5に記載の気体分離膜において、ハイパーブランチモノマーとして1個のカルボキシル基と2個以上のアミノ基またはハロゲン原子を有する化合物を用いることにより、ハイパーブランチ高分子が付加されてなることを特徴とする気体分離膜
  8. 請求項6に記載の気体分離膜において、ハイパーブランチモノマーとして1個のアミノ基と2個以上のカルボキシル基またはハロゲン原子を有する化合物を用いることにより、ハイパーブランチ高分子が付加されてなることを特徴とする気体分離膜
  9. 請求項5に記載の気体分離膜において、デンドリマー形成モノマーとして3個以上のカルボキシル基を有する化合物と2個のアミノ基を有する化合物を用いることにより、デンドリマー高分子が付加されてなることを特徴とする気体分離膜
  10. 請求項6に記載の気体分離膜において、デンドリマー形成モノマーとして3個以上のアミノ基を有する化合物と2個のカルボキシル基を有する化合物を用いることにより、デンドリマー高分子が付加されてなることを特徴とする気体分離膜
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の気体分離膜において、マトリクス樹脂がポリイミド、ポリスルホン、ポリジメチルシロキサン、ポリ置換アセチレン、ポリ−4−メチルペンテン−1および天然ゴムの少なくとも1種であることを特徴とする気体分離膜。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の気体分離膜において、表面ハイパーブランチまたはデンドリマー修飾シリカナノ粒子の含有量が1〜50重量%であることを特徴とする気体分離膜。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の気体分離膜において、気体分離膜はキャスティング法により形成され、膜厚が10〜100μmであることを特徴とする気体分離膜。
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