JP5626694B2 - 電子顕微鏡 - Google Patents

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Description

本出願は、2010年3月29日に出願された日本の特許出願2010−74008号に基づく優先権を主張する。本出願では、前記日本出願の明細書と図面を参照することによって、前記日本出願の明細書と図面に開示されている全事項が記載されているものとする。
本発明は、下記の特長を備えた電子顕微鏡に関する。
(1)スピンの偏極度が高い電子線を利用する。
(2)試料を透過した電子線の強度分布という解析しやすい観測結果を提供する。
(3)アップスピンによる観察結果とダウンスピンによる観察結果の差分からコントラストの高い像を提供する。
実施例では、100%に近い偏極度を持つ電子線を利用した電子顕微鏡を紹介する。また、偏極電子線のパルスを利用して高いS/N比を実現した電子顕微鏡を紹介する。また、偏極電子線のスピン方向を分散させないで偏極電子線の進行方向を回転させる電子線進行方向回転装置を備えた電子顕微鏡を紹介する。また、偏極電子線のスピン方向に影響しない収束レンズ系を備えた電子顕微鏡を紹介する。さらに、偏極電子線の収束度に影響を与えることなくスピン方向を回転させるスピン方向回転レンズを備えた電子顕微鏡を紹介する。
スピン方向が偏在している電子線を用いる電子顕微鏡が特開2008−218063号公報に開示されている。偏極電子線を利用すると、タンパク質等の分子構造や磁性体の磁区構造等の観察が可能となる。
従来の技術では、偏極電子線を試料に照射し、試料を透過した電子線の強度分布を計測するという通常の手法では、物質に関する有用な知見を得ることができるほどにコントラストの高い像を得ることはできない。
特許文献1の技術では、バイプリズムを利用して干渉縞を作成し、その干渉縞を解析して分子構造や磁区構造を解明する手法を採用する。偏極電子線と、電子線ホログラフィー技術を組み合わせることによって有意な結果を得るようにしている。
しかしながら干渉縞には、分子構造や磁区構造以外に、たとえば入射電子線の位相等の多くの要因が関与しており、干渉縞から分子構造や磁区構造を解明するプロセスには、難度の高い実験条件の制御と複雑な理論を必要とする。
本明細書では、試料を透過した電子線の強度分布、すなわち試料を透過した電子線の像という解析しやすい観測結果を提供することができる技術を提案する。従来の技術では、偏極電子線の偏極度が低かったことから、試料を透過した電子線の強度分布からでは、コントラストの高い像を得ることができなかった。そこで、この技術では、偏極度の高い電子線を発生する歪み超格子半導体層を備えている半導体光陰極と、アップスピンによる観察結果とダウンスピンによる観察結果の差分を利用する技術を組み合わせて用いる。歪み超格子半導体層を備えている半導体光陰極と、スピン方向の相違に起因する差分を求める技術を組み合わせて用いることによって、コントラストの高い像を提供する。
本明細書では、スピン方向が偏在しているとともに偏在しているスピン方向が経時的に反転する電子線を用いる透過型電子顕微鏡を提案する。本明細書では、スピン方向が偏在している電子線を偏極電子線という。偏在しているスピン方向が経時的に反転する電子線を反転偏極電子線という。
本明細書で提案する透過型電子顕微鏡は、レーザー光発生装置と、レーザー光発生装置が発生したレーザー光を円偏光レーザー光に偏光するとともにその円偏光の方向を経時的に反転可能な偏光装置と、偏光装置が偏光した円偏光レーザー光に照射されると偏極電子線を発生する歪み超格子半導体層を備えている半導体光陰極(以下では単に半導体光陰極という)と、半導体光陰極が発生した偏極電子線を利用する透過型電子顕微鏡と、試料を透過した偏極電子線の到達面に配置されている電子線強度分布記録装置と、反転指示装置と、差分装置とを備えている。反転指示装置は、偏光装置に円偏光の方向を反転させる指示を送るとともに、それに同期して電子線強度分布記録装置にも指示を送る。差分装置は、反転指示装置が反転指示を送る前に電子線強度分布記録装置が記録した電子線強度分布と、反転指示装置が反転指示を送った後に電子線強度分布記録装置が記録した電子線強度分布の差分を算出する。
歪み超格子半導体層を備えている半導体光陰極は、円偏光レーザー光に照射されると偏極電子線を発生する。半導体光陰極を照射する円偏光レーザー光の偏光方向を反転させると、偏極電子線のスピンの向きが反転する。すなわち、偏極電子線は、アップスピンが優越的な状態とダウンスピンが優越的な状態の間で反転する。歪み超格子半導体層が発生する偏極電子線の偏極度は高く、差分を表示する技術と組み合わせて用いると、コントラストの高い電子線像を提供する。
円偏光レーザー光の偏光方向を反転させる指示は電子線強度分布記録装置にも伝達される。電子線強度分布記録装置は、反転指示を送る前の電子線強度分布と、反転指示を送った後の電子線強度分布を記録する。すなわち、電子線強度分布記録装置は、アップスピンが優越的な状態で得られた像と、ダウンスピンが優越的な状態で得られた像を撮像する。差分装置は、両者の像の差分を求め、その差分を出力する。高い偏極度でアップスピンが優越的な状態で得られた像と、高い偏極度でダウンスピンが優越的な状態で得られた像との差分を示す像は、コントラストが高く、意味するところを理解しやすい。換言すれば、解析しやすい鮮明な像が得られる。
レーザー光発生装置がパルス状レーザー光を発生することが好ましい。
パルス状レーザー光を利用すると、パルス状偏極電子線が発生する。パルス状偏極電子線は、電子線の存在を狭い時間帯内に閉じ込めることができる。パルス状偏極電子線を用いると、パルス状偏極電子線を照射する直前または直後の像から、バックグランドノイズを把握することができる。これによってパルス状偏極電子線による像からバックグランドノイズの影響を除去することが可能となる。バックグランドノイズは時間的に変動することから、パルス状偏極電子線を利用して直前または直後のバックグランドノイズを把握する価値が高い。さらに、周期的なパルス状偏極電子線を利用すると、ロックインアンプと類似の原理によって、S/N比が高い像を得ることができる。またパルス状偏極電子線と連続偏極電子線を比較した場合、複数パルスに跨る時間に亘って観測したときの電子線の平均強度が同一であるとすれば、パルス状偏極電子線を用いた方が、電子線の照射中における電子線の強度を高めることができる。これによって鮮明な画像がえられる。一方、試料に与えるダメージは、複数パルスに跨る時間に亘って観測したときの電子線の平均強度に依存する。パルス状偏極電子線を利用すると、試料に与えるダメージを抑えながら、鮮明な電子線像を得ることができる。
以上のことから、パルス状偏極電子を利用するとS/N比を向上させることができる。また、偏極電子線をエネルギーによって分光したときに、試料によるエネルギーロスを高精度に算出することができる分光結果を得ることができる。
半導体光陰極が、パルス毎にスピン方向が反転するパルス状偏極電子線を発生することも好ましい。
この場合、パルス状偏極電子線の時間間隔を百ピコ秒のオーダーにまで短くすることができ、百ピコ秒のオーダーの時間間隔でアップスピンによる像とダウンスピンによる像を撮像することができる。例えば、金属の磁性に関係のあるエネルギーバンドの動的変化をアップスピンとダウンスピンによって別々に検出するといったことが可能となる。
レーザー光発生装置と偏光装置の間に分岐器を挿入することも有意義である。この場合は、分岐器で分岐した一方のレーザー光を偏光装置に入射し、分岐器で分岐した他方のレーザー光で試料を照射する。偏光装置に入射したレーザー光は偏極電子線を発生し、試料を照射するレーザー光は試料を励起する。
この方式によると、いわゆるポンププローブ計測が可能となる。すなわち、試料はレーザー光に照射されて励起され、その励起状態の試料をアップスピンとダウンスピンによって対比観察することができる。それによって、光励起に伴う磁区内の磁気ベクトルの動的変化を測定することも可能となる。
試料を透過した電子線に磁場および/または電場を加えて電子線の軌道を屈曲させることによってエネルギーによって電子線を分光する分光器を付加することもできる。
アップスピンによる分光分析結果とダウンスピンによる分光分析結果を対比観察することができる。物質中のアップスピンのエネルギー状態とダウンスピンのエネルギー状態の各々を計測することができる。エネルギー状態の動的変化を計測することも可能となる。例えば、金属の磁性に関係のあるエネルギーバンドの動的変化をアップスピンとダウンスピンによって別々に検出するといったことが可能となる。
分光装置は、試料を透過した偏極電子線の到達面に配置されている電子線強度分布記録装置の一種であり、分光結果は、電子線強度分布の一種である。
半導体光陰極と透過型電子顕微鏡の間に、磁場と電場の双方を加えて、偏極電子線の進行方向を回転させる電子線進行方向回転装置を付加することも有効である。磁場のみ、あるいは電場のみを加えて、偏極電子線の進行方向を回転させることも可能であるが、その場合には磁場または電場が偏極電子線のスピン方向に影響を与える。磁場のみ、あるいは電場のみを加えて偏極電子線の進行方向を回転させると、偏極電子線のスピン方向が分散してしまう。
それに対して磁場と電場の双方を加えると、電場がスピン方向を回転させる力と磁場がスピン方向を回転させる力が相殺する関係を得ることができ、偏極電子線の進行方向を回転させる間に偏極電子線のスピン方向が分散することを防止できる。高い偏極度を維持しながら偏極電子線の進行方向を回転させることができる。
電子線進行方向回転装置の一つの具体例は、一対の電極と、一対のコイルと、電圧調整器と、電流調整器と、設定器を備えている。
一対の電極の各々は、偏極電子線の軌道中心を中心とする部分球形状を備えている球形コンデンサ型の電極である。一対のコイルは、向かい合って配置されている。電圧調整器は、一対の電極間に印加する電圧を調整し、電流調整器は、一対のコイルに通電する電流を調整する。設定器は、電場がスピン方向を回転させる力と磁場がスピン方向を回転させる力が相殺する関係に設定する。すなわち設定器は、電場がスピン方向を回転させる力と磁場がスピン方向を回転させる力が相殺する関係が得られるように、電圧調整器の電圧調整値と電流調整器の電流調整値を設定する。
透過型電子顕微鏡は、複数の収束レンズを備えている。収束レンズが偏極電子線のスピン方向を回転させてしまうと、試料とスピン方向の関係を希望の関係に設定することが困難となる。そこで、各々の収束レンズが、偏極電子線のスピン方向を回転させる磁場成分において、反対向きで同一強度の磁場を発生させる一対のコイルを備えているダブルギャップレンズで構成することが好ましい。
ダブルギャップレンズを利用すると、収束レンズを調整して収束度を調整してもスピン方向は変化しない。試料とスピン方向の関係を希望の関係に設定しやすくなる。
前段の収束レンズによって偏極電子線が収束する位置に磁場を発生させるスピン方向回転レンズを設けることも好ましい。スピン方向回転レンズを調整することによって、試料とスピン方向の関係を希望の関係に設定しやすくなる。
本明細書に開示されている透過型電子顕微鏡によると、アップスピンによる像とダウンスピンによる像の差分を示す像が得られることから、偏極電子線と相互作用する物質構造や磁区構造の鮮明な像が得られる。
磁気記録材料の技術分野では、高密度化の進行とともに磁区サイズが小型化しており、現状では微細化された磁区構造を観察できる有効な技術が見当たらない。本明細書に開示されている透過型電子顕微鏡によると、ナノメータの分解能で磁区構造を観察することが可能となる。磁気記録材料の開発促進等に寄与することができる。
実施例の電子顕微鏡の構成を示す図。 磁場・電場重畳型の電子線進行方向回転装置の分解斜視図を示す。 電子線進行方向回転装置内の電子線進行方向とスピン方向の関係を示す。 電子顕微鏡内の収束レンズ群の構成を示す。
以下に説明する実施例の技術的特徴を列記する。
(特徴1)偏光装置は、レーザー光を直線偏光に偏光する直線偏光器と、直線偏光されたレーザー光の位相を変調する位相変調器と、λ/4位相変調板とを備えている。
(特徴2)反転指示装置は、位相変調器による位相変調時刻を指示する発信装置を備えている。
(特徴3)パルス状偏極電子線の時間幅を、百ピコ秒以下に設定できる。
(特徴4)パルス状偏極電子線の時間間隔を、数百ピコ秒以下に設定できる。
(特徴5)パルス状偏極電子線のパルス毎にスピンの向きが反転する。
(特徴6)パルス状偏極電子線の複数パルス毎にスピンの向きが反転する。
(特徴7)アップスピンによる像と、ダウンスピンによる像と、両者の差分を示す像の3種類の像を提供する。
(特徴8)3種類の中から必要な像を選択することができる。
図1は、実施例の透過型電子顕微鏡の構成を模式的に示している。参照番号2は、レーザー光発生装置である。レーザー光発生装置2が発生したレーザー光は、偏光装置11に入射される。偏光装置11は、直線偏光器6と、位相変調器8と、λ/4位相変調板10を備えている。位相変調器8は、反転指示装置40に接続されており、反転指示装置40は、位相変調器8に位相変調量を指示する。反転指示装置40は、2種類の位相変調量の何れかを指示する。一方の位相変調量が指示されると、λ/4位相変調板10から右向きに円偏光したレーザー光が射出され、他方の位相変調量が指示されると、λ/4位相変調板10から左向きに円偏光したレーザー光が射出される。偏光装置11は、レーザー光発生装置2が発生したレーザー光を円偏光レーザー光に偏光するとともに、その円偏光の方向を経時的に反転させることができる。反転指示装置40は、2種類の位相変調量の間で切り換えることによって、偏光装置11に円偏光の方向を経時的に反転させる指示を送る。反転指示装置40は、位相変調器8に位相変調タイミングを指示する発信装置を備えている。
偏光装置11で偏光された円偏光レーザー光は、偏極電子線発生装置12のホルダー14によって支持されている半導体光陰極16の右側の面を照射する。すると半導体光陰極16は、左側の面から偏極電子線を発生する。ここでいう偏極電子線は、アップスピンの電子数とダウンスピンの電子数を比較したときに、一方が他方を大きく優越しており、電子のスピン方向が偏在している電子線のことをいう。
半導体光陰極16は、歪み超格子半導体層を備えている。歪み超格子半導体層を照射する円偏光レーザー光の偏光方向を反転させると、半導体光陰極16から発生する偏極電子線のスピン方向が反転する。偏光装置11が円偏光の方向を反転させると、半導体光陰極16が発生する偏極電子線のスピン方向が反転する。
偏極電子線発生装置12の詳細は、特開2007−258119号公報に記載されており、重複説明を省略する。歪み超格子半導体層を利用する偏極電子線発生装置12が発生する電子線は高い偏極度を備えており、差分を利用する技術と組み合わせて用いると、試料を透過した電子線の強度分布に関するコントラストの高い像を得ることができる。
半導体光陰極16から発生した偏極電子線は、アノード電極18に引き出されて図示の左方に進行し、磁場・電場重畳型電子線進行方向回転装置20に入る。磁場・電場重畳型電子線進行方向回転装置20は、電子の進行方向を90°変えて下方に進行する電子線とする。磁場・電場重畳型電子線進行方向回転装置20に入る電子は、進行方向を向くスピンを持っているか、あるいは反進行方向を向くスピンを持っている。磁場・電場重畳型電子線進行方向回転装置20は、偏極電子線のスピン方向を変えない。その結果、磁場・電場重畳型電子線進行方向回転装置20から出た電子は、進行方向に垂直なスピンを持っている。後記する試料は、偏極電子線の進行方向に垂直な面内における構造を観察したいことが多い。進行方向に垂直なスピンを持っている偏極電子線を利用するのが有利である。
図2は、電子線進行方向回転装置20の分解斜視図を示している。電子線進行方向回転装置20は、内側電極52と外側電極54を備えている。内側電極52は、円板の1/4の形状を備えた板状であり、外周面は、原点Oを中心する部分球形状となっている。原点Oは、内側電極52の厚み方向の中心でもある。外側電極54の内周面も、原点Oを中心する部分球形状となっている。内側電極52の外周面と外側電極54の内周面の間には、偏極電子線57が進行する間隙56が形成されている。内側電極52と外側電極54の間には、電圧調整器53によって静電圧が印加される。内側電極に52にプラスの電圧が印加される。間隙56には原点Oに向かう電場E1,E2が作用する。間隙56を進行する電子には、原点Oに向かう力が作用する。その力によって偏極電子線57の進行方向が回転する。
電子線進行方向回転装置20は、内側電極52と外側電極54をはさんで向かい合っている一対のコイル58,60を備えている。一対のコイル58,60は、矢印58a,60a方向に伸びる巻線を備えており、それぞれのコイルへの通電電流は、電流調整器59で調整される。電流調整器59が一対のコイル58,60に通電すると、間隙56に磁場Bが発生し、その磁場の大きさが電流値によって増減する。間隙56に発生する磁場も、間隙56を進行する電子に原点Oに向かう力を作用させる。その力によって偏極電子線57の進行方向が回転する。
偏極電子線57の速度が遅ければ、電場Eは偏極電子線57のスピン方向を回転させない。しかしながら本実施例の電子顕微鏡の場合、偏極電子線57の速度が速いために相対論的効果が現れ、電場Eがスピン方向を回転させる。電場Eは、図示のx-y平面内でスピン方向を回転させる。磁場Bもまた、x-y平面内でスピン方向を回転させる。
設定器51は、内側電極52と外側電極54の間に印加する電圧(V)と、一対のコイル58,60に通電する電流(I)を、下記の関係を満たす値に設定する。
(1)電圧Vから得られる電場Eによって電子の進行方向を曲げる力+電流Iから得られる磁場Bによって電子の進行方向を曲げる力=偏極電子線57の軌道を間隙56に沿ったものとする。この結果、x方向に進行して電子線進行方向回転装置20に突入した偏極電子線57は、電子線進行方向回転装置20内で進行方向を回転させ、電子線進行方向回転装置20からz方向に飛び出す。内側電極52と外側電極54の部分球形状の中心Oは、偏極電子線57の軌道の中心となる。
(2)電圧から得られる電場Eが偏極電子線のスピン方向を回転させる力+電流Iから得られる磁場Bが偏極電子線のスピン方向を回転させる力=ゼロ(すなわち相殺する)。
本実施例の電子顕微鏡の場合、前記の関係を利用して電子線進行方向回転装置20内でスピン方向が回転しないようにしている。図3は、電子線進行方向回転装置20内で偏極電子線57の進行方向が回転する様子と、スピン方向(短い矢印SPで示す)が維持される様子を模式的に締めている。本実施例の電子線進行方向回転装置20によると、偏極電子線57の進行方向が回転させる間に、偏極電子線のスピン方向が分散することがない。
また、磁場と電場の双方を利用して偏極電子線の進行方向を回転させると、偏極電子線のビームが発散することもない。
電場と磁場を調整することで、図1において下方(図2のz方向)に進行する電子線の進行方向に直交する面(すなわち水平面であり、図2のx−y面)内で、スピン方向を変えることもできる。電子線進行方向回転装置20で、スピン方向を変え、アップスピンとダウンスピンの間で反転させることもできる。しかしながら、電子線進行方向回転装置20でスピンの向きを反転させるのには時間を要し、数百ミリ秒以下の速度でスピン方向を反転させることはできない。本実施例では、アップスピンとダウンスピンの反転は、位相変調器8による。位相変調器8は、数百ピコ秒以下の速度で位相を切り換えることができ、数百ピコ秒以下の時間間隔で偏極電子線のスピン方向を反転させることができる。図1の電子顕微鏡は、電子線進行方向回転装置20でスピン方向を反転させる方式に比して、圧倒的な高速度でスピン方向を反転させることができる。本実施例の場合、電子線進行方向回転装置20によってスピン方向を回転できる能力は、電子線進行方向回転装置20内でスピン方向が回転しないようにするのに利用している。
図1に示すように、電子顕微鏡24の鏡筒内に、集束レンズ群24a、試料レンズ24b、中間レンズ24c、投影レンズ24dが配置されている。集束レンズ群24aと試料レンズ24bの間に、試料26が配置される。液体ヘリウムで試料26を冷却することができる。
図4に示すように、集束レンズ群24aは、第1収束レンズ24a1、スピン方向回転レンズ24a2、第2収束レンズ24a3、第3収束レンズ24a4で構成されている。
第1収束レンズ24a1は、上下2段に配置されたコイル70,72と、ヨーク84,86,88を備えており、コイル70,72は、偏極電子線のスピン方向を回転させる磁場成分を観察すると、反対向きで同一強度の磁場を発生する。第1収束レンズ24a1は、ダブルギャップレンズであり、偏極電子線のスピン方向を回転させない。スピン方向を回転させないで、偏極電子線のビームを106の位置に収束させる。106は、スピン方向回転レンズ24a2の中心位置である。スピン方向回転レンズ24a2の作用は後記する。
第2収束レンズ24a3は、上下2段に配置されたコイル76,78と、ヨーク94,96,98を備えており、コイル76,78は、偏極電子線のスピン方向を回転させる磁場成分を観察すると、反対向きで同一強度の磁場を発生する。第2収束レンズ24a3は、ダブルギャップレンズであり、偏極電子線のスピン方向を回転させない。
第3収束レンズ24a4は、上下2段に配置されたコイル80,82と、ヨーク100,102,104を備えており、コイル80,82は、偏極電子線のスピン方向を回転させる磁場成分を観察すると、反対向きで同一強度の磁場を発生する。第3収束レンズ24a4は、ダブルギャップレンズであり、偏極電子線のスピン方向を回転させない。
第1収束レンズ24a1、第2収束レンズ24a3、第3収束レンズ24a4の各々が、第スピン方向を回転させないダブルギャップレンズであることから、第1収束レンズ24a1、第2収束レンズ24a3、第3収束レンズ24a4による収束度を調整しても、試料とスピン方向の関係に影響しない。試料とスピン方向の関係を希望の関係に設定しやすい。
スピン方向回転レンズ24a2は、中心位置106に収束した偏極電子線に磁場を加えてスピン方向を回転させる。この場合、下方(図2のz方向)に進行する偏極電子線の進行方向に直交する面(すなわち水平面であり、図2のx−y面)内で、スピン方向を変えることができる。スピン方向回転レンズ24a2が用意されていると、試料とスピン方向の関係を希望の関係に設定しやすい。なお、スピン方向回転レンズ24a2は、中心位置106に収束した偏極電子線に磁場を加えるものであることから、コイル74に通電する電流値を変えても偏極電子線ビームの収束に影響しない。図示90,92はヨークである。収束を制御する第1収束レンズ24a1、第2収束レンズ24a3、第3収束レンズ24a4は偏極電子線のスピン方向に影響せず、スピン方向を制御するスピン方向回転レンズ24a2は収束度に影響しない。希望の観察条件に設定しやすい。
図4に示した第1収束レンズ24a1、スピン方向回転レンズ24a2、第2収束レンズ24a3、第3収束レンズ24a4と、試料を透過した電子線は、図1に示されている試料レンズ24b、中間レンズ24c、投影レンズ24dを透過して電子線入射装置30に入射される。なお、28は観察窓である。
電子線入射装置30に入射した電子線は、磁場偏向型エネルギー分光器32で分光される。磁場偏向型エネルギー分光器32は、電子線の進行方向に直角な磁場を印加することで、電子線の進行方向を90度屈曲させる。そのときの屈曲の程度は、電子の持つエネルギーによって大小する。屈曲の程度の差をもたらすことから、電子の持つエネルギーによって分光することができる。
偏極電子線発生装置12が発生する偏極電子線は、特開2007−258119号公報に記載されているように、エネルギー幅が狭い。本実施例では、0.1eV以下である。エネルギー幅が狭い偏極電子線と、エネルギー分光器を組み合わせて用いることによって、電子エネルギー損失分光(EELS)を高エネルギー分解能で行うことができる。
磁場偏向型エネルギー分光器32で進行方向が曲げられた電子は、超高感度CCDカメラ34の撮像面に到達する。超高感度CCDカメラ34は、多数のイメージセルを備えており、セル毎に各セルに到着した電子線の強度に比例する電圧を出力する。セル毎の出力電圧の分布は撮像面に到達した電子線の強度分布を示す。CCDカメラ34は、撮像面に到達した電子線の強度分布(その強度分布が電子線像を記述している)を記憶する。
前記した反転指示装置40は、位相変調器8に指示する位相変調量を切り換えるのに同期して、CCDカメラ34に同期信号を送る。CCDカメラ34は、同期信号を得る前に撮影した電子線強度分布と、同期信号を得た後に撮影した電子線強度分布を別々に記録する。すなわち、CCDカメラ34は、アップスピンによる電子線像とダウンスピンによる電子線像の両者を分けて記録することができる電子線強度分布記録装置ということができる。
差分装置36は、CCDカメラ34が撮影したアップスピンによる電子線像とダウンスピンによる電子線像の差分(相違)を算出する。算出結果は出力装置38に出力される。出力装置38は、アップスピンによる電子線像とダウンスピンによる電子線像の差分を示す像を表示・記録する。出力装置38は、得られた複数枚の差分像を重ねて表示する機能と、複数枚の差分像を重ねた像を記録する機能をも備えている。これによって差分像のS/N比が1枚のものより格段に向上する。
出力装置38が出力する像には、試料の構造(空間的位置関係)に由来する情報と、試料を透過した電子のエネルギーの大小を反映した情報が重複している。その像は、3次元キューブの理論で説明でき、エネルギー損失した電子から試料の像を可視化することができる(電子線ナノイメージング、田中信夫著、内田老鶴圃)。
レーザー光発生装置2が発生するレーザー光は、数百ピコ秒の時間間隔で繰り返すパルス状のレーザー光であり、各パルスの時間幅をフェムト秒まで短パルス化することが可能である。半導体光陰極16は、数百ピコ秒の時間間隔で繰り返すパルス状の偏極電子線を発生し、各パルスの時間幅を数十ピコ秒まで短パルス化することが可能である。位相変調器8は、数百ピコ秒以下の速度で位相量を切り換えることができる。そのために、半導体光陰極16は、数百ピコ秒の時間間隔で繰り返すパルス状の偏極電子線であり、パルス毎に偏極方向が反転する反転偏極電子線を発生する。位相変調器8による変調量を切り換える間隔を切り換えることで、偏極方向が反転する間に発生する偏極電子線のパルス数を任意に設定することができる。この任意性と、ロックインアンプの原理を積極的に使って、像データのS/N比をこれまでのものより格段に向上させることができる。
数百ピコ秒の時間間隔で繰り返すパルス状の偏極電子線を利用するとともに、同じ周波数の信号を画像解析装置に入力すると、ロックインアンプと同様な理論によって、その周波数と同じ周波数で変化する信号のみを取り出すことが可能となる。アップスピンによる電子線像とダウンスピンによる電子線像の差分を示す像には、種々のノイズが混入している。アップスピンとダウンスピンを切り換える周波数と同じ周波数で変化する画像のみを抽出すると、アップスピンによる電子線像とダウンスピンによる電子線像の差分のみを鮮明に取り出すことができる。この結果、ノイズの影響を除去した鮮明な像を得ることができる。
参照番号4は、分岐器であり、レーザー光発生装置2が発生したレーザー光の一部を分岐し、分岐したレーザー光をミラー42を利用して試料に照射する。試料を照射するレーザー光は、物質の内部状態を励起する光に利用できる。
励起光を利用すると、レーザー光で励起された状態の試料の電子線像を得ることができる。図1の電子顕微鏡によると、レーザー光で励起された状態の試料からアップスピンによる電子線像とダウンスピンによる電子線像の差分を示す電子線像を得ることができる。これまでも、スピン分解型光電子分光装置(UPS)などで、物質のアップスピンとダウンスピンのエネルギー状態を計測することは可能であった。しかしながら、これまでの技術では、静的なエネルギー状態の計測に留まっていた。本技術によって、さらに進んだ計測、すなわち励起された物質のエネルギー状態の動的計測が可能となる。
なおレーザー光発生装置2以外から励起光を得てもよい。励起光発生装置とレーザー光発生装置2を同期させることによって、励起タイミングと計測タイミングを同期させることができる。なおここでいう同期とは同時に限られず、時間差を設けて同期させることも含む。励起光発生装置には、波長可変なパルス状レーザー光節制装置などを利用することができる。
図1では、磁場偏向型エネルギー分光器32で分光した結果をCCDカメラ34で撮影しているが、必要に応じて、電子線入射装置30の位置にCCDカメラ34を配置してもよい。
偏極電子線発生装置12は1×10−9Pa以下の圧力とし、電子線進行方向回転装置20は1×10−8Pa以下の圧力とし、透過型電子顕微鏡24の鏡筒内は5×10−8Pa以下の圧力で用いることが好ましい。特に、偏極電子線発生装置12は1×10−10Pa台の圧力とし、電子線進行方向回転装置20は1×10−9Pa台の圧力とし、電子顕微鏡24の鏡筒内は1×10−8Pa〜5×10−8Paの範囲内で用いることが一層好ましい。偏極電子線発生装置12を高真空にして使用するので、偏極電子線発生装置12が発生する電子線強度を長時間に亘って安定させることができる。長時間に亘る観測が可能となる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:レーザー光発生装置
4:分岐器
6:直線偏光器
8:位相変調器
10:λ/4位相変調板
11:偏光装置
12:偏極電子線発生装置
14:ホルダー
16:半導体光陰極(歪み超格子半導体層を備えている半導体光陰極)
18:アノード電極
20:磁場・電場重畳型電子線進行方向回転装置
22:電子線発生装置―透過型電子顕微鏡結合装置
24:透過型電子顕微鏡
24a:収束レンズ群
24a1:第1収束レンズ
24a2:スピン方向回転レンズ
24a3:第2収束レンズ
24a4:第3収束レンズ
24b:試料レンズ
24c:中間レンズ
24d:投影レンズ
26:試料
28:観察窓
30:電子線入射装置
32:磁場偏向型エネルギー分光器
34:CCDカメラ(電子線強度分布記録装置)
36:差分装置
38:出力装置
40:反転指示装置
42:ミラー
51:設定器
52:内側電極
53:電圧調整器
54:外側電極
56:間隙
57:偏極電子線
58:コイル
59:電流調整器
60:コイル

Claims (9)

  1. スピン方向が偏在しているとともに偏在しているスピン方向が経時的に反転する電子線を用いる透過型電子顕微鏡であり、
    レーザー光発生装置と、
    そのレーザー光発生装置が発生したレーザー光を円偏光レーザー光に偏光するとともにその円偏光の方向を経時的に反転可能な偏光装置と、
    その偏光装置が偏光した円偏光レーザー光に照射されるとスピン方向が偏在している偏極電子線を発生する歪み超格子半導体層を備えている半導体光陰極と、
    その半導体光陰極が発生した偏極電子線を利用する透過型電子顕微鏡と、
    試料を透過した偏極電子線の到達面に配置されている電子線強度分布記録装置と、
    前記偏光装置に円偏光の方向を反転させる指示を送るとともに、それに同期して前記電子線強度分布記録装置にも指示を送る反転指示装置と、
    その反転指示装置が前記指示を送る前に前記電子線強度分布記録装置が記録した電子線強度分布と、その反転指示装置が前記指示を送った後に前記電子線強度分布記録装置が記録した電子線強度分布の差分を算出する差分装置を備えている電子顕微鏡。
  2. 前記レーザー光発生装置がパルス状レーザー光を発生することを特徴とする請求項1に記載の電子顕微鏡。
  3. 前記半導体光陰極が、パルス毎にスピン方向が反転するパルス状偏極電子線を発生することを特徴とする請求項2に記載の電子顕微鏡。
  4. 前記レーザー光発生装置と前記偏光装置の間に分岐器が挿入されており、
    その分岐器で分岐した一方のレーザー光が前記偏光装置に入射し、その分岐器で分岐した他方のレーザー光が試料を照射することを特徴とする請求項1から3のいずれかの1項に記載の電子顕微鏡。
  5. 試料を透過した電子線に磁場および/または電場を加えて電子線の軌道を屈曲させることによってエネルギーによって電子線を分光する分光器が付加されていることを特長とする請求項1から4のいずれかの1項に記載の電子顕微鏡。
  6. 半導体光陰極は、スピン方向が電子線の進行方向に沿った方向に偏在している偏極電子線を発生する歪み超格子半導体層を備えており、
    半導体光陰極と透過型電子顕微鏡の間に電子線進行方向回転装置が付加されており、
    その電子線進行方向回転装置は、磁場がスピン方向を回転させる力と電場がスピン方向を回転させる力が相殺し、かつ、磁場が電子線の進行方向を回転させる力と電場が電子線の進行方向を回転させる力によって電子線の進行方向を90°回転させる関係に調整されている磁場と電場を加えることを特長とする請求項1から5のいずれかの1項に記載の電子顕微鏡。
  7. 電子線進行方向回転装置が、偏極電子線の軌道中心を中心とする部分球形状を備えているとともに電圧が印加される一対の球形コンデンサ型の電極と、向かい合って配置されている一対のコイルと、一対の電極間に印加する電圧を調整する電圧調整器と、一対のコイルに通電する電流を調整する電流調整器と、電圧調整器の電圧調整値と電流調整器の電流調整値を電場がスピン方向を回転させる力と磁場がスピン方向を回転させる力が相殺する関係に設定する設定器とを備えていることを特徴とする請求項6に記載の電子顕微鏡。
  8. 透過型電子顕微鏡が複数の収束レンズを備えており、各々の収束レンズが、偏極電子線のスピン方向を回転させる磁場成分において、反対向きで同一強度の磁場を発生させる一対のコイルを備えているダブルギャップレンズで構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかの1項に記載の電子顕微鏡。
  9. 前段の収束レンズによって偏極電子線が収束する位置に磁場を発生させるスピン方向回転レンズが付加されていることを特徴とする請求項8に記載の電子顕微鏡。
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