JP5626032B2 - 無段変速機 - Google Patents

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Description

本発明は、トルクの入力側と出力側とに各々配置された2つの円錐状の回転体(コーン)と、一方の回転体が挿入され、且つ、各回転体の夫々の傾斜面で外周面と内周面とが挟まれた環状体(リング)と、を備え、その環状体を軸線方向に移動させることで変速比を無段階に変化させる無段変速機に関する。
従来、2つの円錐状の回転体(コーン)と環状体(リング)とで変速比を無段階に変化させる所謂コーンリング式の無段変速機が知られている。例えば、この種の無段変速機は、下記の特許文献1及び2に記載されている。特許文献1の無段変速機には、夫々の回転体の下部において各々の外形(傾斜面)に概ね沿うガイド(流動媒体供給体)が設けられており、回転体や環状体で潤滑油を掻き上げることで潤滑油の供給を行う技術が開示されている。また、特許文献2の無段変速機には、夫々の回転体と環状体とを収納する筐体内に潤滑油を充満させ、これにより回転体と環状体との接触部の潤滑性能と冷却性能の向上を図る技術が開示されている。
尚、下記の特許文献3には、歯車を収納する歯車箱に潤滑油を戻す構造であって、その歯車のリム側面の近傍に排油穴出口を設け、その排油穴出口を歯車の回転により負圧にすることで歯車箱に潤滑油を戻す技術が開示されている。
特表2009−506279号公報 特開2007−315599号公報 特開平9−152020号公報
しかしながら、特許文献1の無段変速機においては、夫々の回転体の下部側の傾斜面が軸線方向に渡って概ねガイドで覆われており、各回転体の傾斜面とガイドの壁面とが広範囲に渡って対向している。従って、この無段変速機では、その対向している傾斜面と壁面とに接触する潤滑油によって大きな引き摺り抵抗が発生し、動力伝達効率を大きく低下させてしまう虞がある。また、特許文献2の無段変速機においては、回転体や環状体等の筐体内における回転部材の全体が潤滑油で満たされているので、その全体で潤滑油による引き摺り抵抗が発生し、動力伝達効率を大きく低下させてしまう虞がある。
そこで、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、動力伝達効率の低下抑制の為の潤滑構造を備えた無段変速機の提供を、その目的とする。
上記目的を達成する為、本発明は、入力軸又は出力軸の内の一方として筐体内に配置する第1回転軸と、前記入力軸又は前記出力軸の内の他方として前記筐体内に配置すると共に、前記第1回転軸と平行に配置した第2回転軸と、前記第1回転軸に同心状に配置し、且つ、前記筐体内の油貯留部の潤滑油に下部側を浸漬させた円錐状の第1回転体と、前記第2回転軸に同心状に配置した円錐状の第2回転体と、前記第1回転体の外周面の軸線方向の一部を内周面側で覆うよう当該第1回転体に対して偏心させて配置すると共に、互いに回転する前記第1回転体と前記第2回転体とに挟まれた状態で配置し、これらとの間の摩擦力により回転しながら当該第1回転体と当該第2回転体との間の動力伝達を行う環状体と、該環状体を相対回転自在に支持し、該環状体と共に軸線方向で且つ当該環状体を前記第1回転体及び前記第2回転体の夫々の傾斜面に沿わせる方向へと移動可能な環状体支持装置と、前記環状体支持装置と共に移動できるよう当該環状体支持装置に取り付け、且つ、間隙を空けて前記環状体の外周面及び側面を覆いつつ、端部が前記油貯留部の潤滑油の油面よりも上方に位置するよう当該潤滑油内から前記環状体の回転方向に向けて延設し、前記間隙に入り込んだ潤滑油を前記端部の排出口に向けて案内する油案内部材と、を備えることを特徴としている。
ここで、前記油案内部材は、前記間隙に連通する開口を前記油貯留部の潤滑油内に有することが望ましい。
また、前記排出口の面積は、前記間隙の面積よりも狭くすることが望ましい。
本発明に係る無段変速機においては、環状体と油案内部材との間の潤滑油が当該環状体の回転に伴い排出口に送られた後排出され、第1回転体及び第2回転体と環状体との接触部分に供給される。そして、この無段変速機においては、その潤滑油の供給の際に、環状体の回転のみで潤滑油を接触部分に向けて送出させることができるので、第1回転体等で掻き上げて供給するよりも潤滑油による引き摺り抵抗が軽減される。また、この無段変速機に依れば、少なくとも第1回転体の下部側を油貯留部の潤滑油に浸漬させておくことで、その環状体の回転による潤滑油の供給が可能になるので、第1回転体の全体を潤滑油に浸漬させるよりも引き摺り抵抗が軽減される。このように、本発明に係る無段変速機は、第1回転体及び第2回転体と環状体との接触部分における動力伝達性能、潤滑性能や冷却性能を確保しつつ、潤滑油による引き摺り抵抗の軽減によって動力伝達効率の低下を抑制することができる。
図1は、入力軸と出力軸を同一平面上に置いて上方から観た無段変速機の要部の概略図である。 図2は、図1のX−X線で切った無段変速機の断面図であって、その使用状態における配置を示す図である。 図3は、リング、リング支持装置及び潤滑油案内装置を示す斜視図である。 図4は、図2の潤滑油案内装置の近傍を拡大した図である。
本発明に係る無段変速機は、トルクの入力側と出力側とに各々配置された2つの円錐状の回転体(コーン)と、一方の回転体が挿入され、且つ、各回転体の夫々の傾斜面で外周面と内周面とが挟まれた環状体(リング)と、を備え、その環状体を軸線方向に移動させることで変速比を無段階に変化させる所謂コーンリング式と云われるものである。
従って、この無段変速機は、入力軸又は出力軸の内の一方として筐体内に配置された第1回転軸と、その内の他方として筐体内に配置された第2回転軸と、を有する。その第2回転軸は、第1回転軸と平行で、且つ、使用状態(つまり車両用の無段変速機であれば車載状態)で地面から観て当該第1回転軸と同じ高さ、この第1回転軸よりも上方又は当該第1回転軸よりも下方に配置される。
また、この無段変速機には、第1回転軸に同心状に配置し、且つ、筐体内の油貯留部の潤滑油に下部を浸漬させた円錐状の第1回転体と、第2回転軸に同心状に配置した円錐状の第2回転体と、第1回転体の外周面の軸線方向の一部を内周面側で覆うよう当該第1回転体に対して偏心させて配置すると共に、互いに回転する第1回転体と第2回転体とに挟まれた状態で配置し、これらとの間の摩擦力により回転しながら当該第1回転体と当該第2回転体との間の動力伝達を行う環状体と、が設けられている。第1回転体は、その小径側の傾斜面を第2回転体の大径側の傾斜面に近接させ、且つ、大径側の傾斜面を第2回転体の小径側の傾斜面に近接させて配置する。つまり、第1回転体と第2回転体とは、軸線方向にて逆向きに配置されている。
更に、この無段変速機には、その環状体を相対回転自在に支持し、この環状体と共に軸線方向で且つ当該環状体を第1回転体及び第2回転体の夫々の傾斜面に沿わせる方向へと移動可能な環状体支持装置が設けられている。この無段変速機は、その環状体支持装置の移動に伴い環状体を同一方向へと移動させ、これにより第1回転体と第2回転体とにおける環状体との接触部分の外径比を変化させることで、変速比(第1回転体と第2回転体との間の回転比)を無段階に変化させる。
ここで、この無段変速機は、間隙を空けて環状体の外周面及び側面を覆いつつ、端部が油貯留部の潤滑油の油面よりも上方に位置するよう当該潤滑油内から環状体の回転方向に向けて延設し、その間隙に入り込んだ潤滑油を前記端部の排出口に向けて案内する油案内部材を備えており、その油案内部材によって油貯留部の潤滑油を第1及び第2の回転体と環状体との接触部分に供給する。
以下に、本発明に係る無段変速機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
[実施例]
本発明に係る無段変速機の実施例を図1から図4に基づいて説明する。
図1及び図2の符号1は、本実施例の無段変速機を示す。尚、図1及び図2は、無段変速機1の要部を表している。図1は、入力軸と出力軸を同一平面上に置いて上方から観た図である。図2は、その図1のX−X線で切った断面図であるが、説明の便宜上、無段変速機1の使用状態(この例示では車載状態)を表している。ここでは、第1回転軸と第1回転体を入力側、第2回転軸と第2回転体を出力側として例示する。図2の矢印Aは、後述する動力源からの動力が伝達された際の入力コーン21やリング31の回転方向を表しており、また、図2の矢印Bは、後述する動力源からの動力が伝達された際の出力コーン22の回転方向を表している。
この無段変速機1は、第1回転軸としての入力軸11と、第2回転軸としての出力軸12と、第1回転体としての入力コーン21と、第2回転体としての出力コーン22と、環状体としてのリング31と、を筐体90の内部に備える。この例示では、その入力軸11と出力軸12とが各々軸受(図示略)を介して筐体90に取り付けられている。また、この例示では、入力コーン21が入力軸11に一体となって回転し得るよう取り付けられており、更に出力コーン22が出力軸12に一体となって回転し得るよう取り付けられている。
この例示の出力軸12は、使用状態において入力軸11よりも高い位置に配置している。また、この例示では、入力コーン21と出力コーン22とを同一の円錐形状に成形している。故に、この例示の出力コーン22の使用状態における下端部は、入力コーン21の使用状態における下端部よりも高い位置にくる。また、入力コーン21と出力コーン22は、各々の傾斜面を対向させ、その間に所定の隙間(リング31の肉厚分)を空けて配置している。従って、その隙間は、図1に示すように、一定の間隔で入力コーン21及び出力コーン22の小径側から大径側まで続いている。
リング31は、その内径が例えば入力コーン21の最大外径よりも大きくなるように成形されている。そして、このリング31は、軸線方向を一致させて挿入された入力コーン21の傾斜面と、出力コーン22の傾斜面と、によって挟持されている。また、このリング31は、その幅(換言するならば軸線方向の高さ)が入力コーン21や出力コーン22の軸線方向の長さよりも短くなっている。この無段変速機1は、このリング31を軸線方向で且つ入力コーン21及び出力コーン22の夫々の傾斜面に沿って移動させることで、入力コーン21と出力コーン22との間の回転比を変化させ、これにより変速比を変える。その際、リング31は、上記の入力コーン21と出力コーン22との間の隙間に沿って移動する。従って、リング31の内周面は、入力コーン21の傾斜面の軸線方向に対する傾斜角と同等の軸線方向に対する傾斜角を有する傾斜面になっている。同様に、リング31の外周面は、出力コーン22の傾斜面の軸線方向に対する傾斜角と同等の軸線方向に対する傾斜角を有する傾斜面になっている。
このリング31は、環状体支持装置としてのリング支持装置40に支持されている(図2及び図3)。そのリング支持装置40は、内径がリング31の最大外径よりも大きく、且つ、幅がリング31の幅よりも広い円弧状の主体41を備える。この例示の主体41は、略180度の円弧状の部材であり、使用状態にて一端が上方に位置し且つ下端が下方に位置するようリング31と同心状に配置する。尚、この主体41は、必ずしもリング31と同心の円弧状の部材である必要はなく、また、リング31と同心状に配置された部材に限定するものでもない。例えば、この主体41は、その円弧状の部材をリング31に対し偏心させて配置してもよく、また、楕円状の部材であってもよい。また、このリング支持装置40には、リング31を双方の側面から支持する支持部材42が設けられている。その支持部材42は、円筒状又は円柱状に成形し、その軸線方向をリング31の回転中心軸と直交させるよう主体41に配置する。ここでは、主体41の両端に2つずつ支持部材42が配設されており、その2つずつの支持部材42によってリング31の双方の側面から挟み込む。支持部材42は、主体41に対して自らの軸線を中心にして回転できるよう取り付けられており、リング31の回転と共に当該リング31の側面上を転動することができる。
リング支持装置40は、図示しない駆動部によって、軸線方向で且つ入力コーン21及び出力コーン22の夫々の傾斜面に沿って往復移動できるように筐体90に対して保持されている。その駆動部は、例えば、電動モータ等の駆動源の動力により主体41を往復移動させることで、リング支持装置40と共にリング31も往復移動させる。
この無段変速機1は、例えば車両に搭載され、入力軸11をエンジンや電動モータ等の動力源(図示略)に繋ぐと共に、出力軸12を駆動輪側(図示略)に繋ぐ。この無段変速機1においては、その動力源の動力が入力軸11に入力されると、その入力トルクが入力コーン21に伝わり、入力コーン21の傾斜面との間の潤滑油の油膜を介してリング31の内周面に伝達される。そのリング31は、入力コーン21の傾斜面との間の摩擦力(トラクション力)により回転し、外周面との間の潤滑油の油膜を介してトルクを出力コーン22の傾斜面に伝える。その出力コーン22は、リング31の外周面との間の摩擦力により回転する。この出力コーン22のトルクは、出力軸12に伝わり、駆動輪側へと伝達される。
このように、この無段変速機1は、潤滑油のせん断応力によって動力伝達を行う変速機であり、その潤滑油(所謂トラクション油)を入力コーン21及び出力コーン22とリング31との接触部分(以下、「動力伝達部」と云う。)に供給する必要がある。これが為、この無段変速機1の筐体90には、その潤滑油を貯留する為の油貯留部91が使用状態における下部に形成されている。その油貯留部91の潤滑油には、入力コーン21を浸漬させる一方、出力コーン22を浸漬させない。この油貯留部91の潤滑油の油面の位置により、出力コーン22においては、油貯留部91の潤滑油による引き摺り抵抗が発生しない。従って、この無段変速機1は、出力コーン22におけるトルクの伝達効率の低下を抑えることができる。
この無段変速機1においては、入力コーン21やリング31の回転に伴い油貯留部91の潤滑油を上方へと掻き上げることが可能である。しかしながら、この無段変速機1は、リング31の幅が狭いので、リング31の回転に伴う油貯留部91の潤滑油による引き摺り抵抗を軽減できる反面、動力伝達部に対して、動力伝達、潤滑や冷却に必要な量の潤滑油が供給され難くなっている可能性がある。
そこで、この無段変速機1には、その動力伝達部に対して油貯留部91の潤滑油を案内する潤滑油案内装置が設けられている。
この例示の潤滑油案内装置は、油案内部材51を備える(図2−図4)。その油案内部材51は、間隙Cを空けてリング31の外周面と夫々の側面とを覆いつつ、一方の端部が油貯留部91の潤滑油の油面よりも上方に位置するよう当該潤滑油内からリング31の回転方向に向けて延設したものであって、そのリング31との間隙Cに入り込んだ潤滑油を当該リング31の回転と共に上記の端部の排出口52に向けて案内する部材である。尚、その間隙Cについては、リング31の外周面と油案内部材51の内周面との間の大きさに、リング31の側面と油案内部材51の側面との間の大きさを一致させてもよく、その夫々の大きさを変えてもよい。
その端部に案内された潤滑油は、リング31と油案内部材51との間に形成された排出口52から排出される。この潤滑油案内装置は、その排出された潤滑油を動力伝達部に供給するものでもある。その為に、排出口52(つまり油案内部材51の一方の端部)は、その排出された潤滑油が動力伝達部に届く高さに設ける。その高さは、リング31の外径や回転数、リング31と油案内部材51との間の間隙Cの大きさ、潤滑油の粘度等の様々な要件により決まるものであり、無段変速機1の仕様や搭載対象の車両の仕様等に応じた実験やシミュレーションにより設定する。例えば、排出口52の高さは、入力コーン21の回転中心軸よりも下部側に設けることが好ましい。これにより、この無段変速機1においては、この排出口52の高さよりも低い位置に油貯留部91の潤滑油の油面高さが調整されるので、その潤滑油に入力コーン21の下部側のみを浸漬させることができる。従って、この無段変速機1は、入力コーン21の全体が油貯留部91の潤滑油に浸かっている訳ではないので、入力コーン21やリング31の回転に伴う油貯留部91の潤滑油による引き摺り抵抗を可能な限り軽減できる。ここで、この例示の排出口52は、リング31が入力コーン21の大径側に位置しているときに、地面から起算して最も高くなっている。これが為、排出口52の高さと油貯留部91の潤滑油の油面の高さは、リング31が入力コーン21の大径側に位置しているときを基準にして設定することが好ましい。
この例示において、油案内部材51は、その他方の端部(油貯留部91の潤滑油に浸漬している端部)をリング支持装置40に取り付けている。故に、この油案内部材51は、リング31やリング支持装置40と共に移動することができる。
さて、リング31と油案内部材51との間の間隙Cは、その隙間が大きければ潤滑油が直接入り込み易いが、その反面、その隙間が大き過ぎると、間隙Cの潤滑油の油量が多くなり、リング31の回転に伴う間隙Cの潤滑油による引き摺り抵抗が大きくなる。一方、この間隙Cは、その隙間が小さければ、間隙Cの潤滑油の油量が少なく、リング31の回転に伴う間隙Cの潤滑油による引き摺り抵抗が小さくなるが、その反面、その隙間が小さ過ぎると、潤滑油が直接入り込み難いものとなる。
そこで、本実施例においては、先ず、その間隙Cの潤滑油による引き摺り抵抗を軽減させるべく、間隙Cの大きさが小さくなるように油案内部材51を成形する。そして、その間隙Cへの潤滑油の流入性については、油案内部材51に形成した開口53によって対応する(図2−図4)。
その開口53は、油貯留部91の潤滑油をリング31と油案内部材51との間の間隙Cに導く為の潤滑油の供給口である。この開口53は、油案内部材51の外周面において潤滑油に浸漬している部分に形成し、その油案内部材51における外周面側と内周面側(間隙C側)とを連通させる。この例示では、リング支持装置40との接続側に形成している。
この開口53は、リング31の回転によって発生した負圧を利用して、間隙C内に油貯留部91の潤滑油を導入するものである。従って、油案内部材51の内周面において開口53が形成されている部分には、リング31の外周面に向けて突出させた突起部54を設ける(図2及び図4)。これにより、その突起部54とリング31の外周面との間隔が狭くなるので、リング31が回転しているときには、その間で潤滑油の流速が増加し、開口53の間隙C側で負圧が発生する。油貯留部91の潤滑油は、そのリング31の回転による負圧に導かれて開口53から間隙C内へと吸い込まれる。吸い込まれた潤滑油は、リング31の回転によって排出口52に向けて吸い上げられる。ここで、突起部54は、負圧の発生を目的にして設けるものなので、開口53の部分が最も突出量の多い山型等の形状にすればよく、これにより最も突出量の多い部分以外の潤滑油の流動が妨げられ難くなる。
ところで、上述したように、この無段変速機1においては、排出された潤滑油が動力伝達部へと供給されるように、排出口52の高さを設定している。これが為、この無段変速機1では、リング31が低回転の場合も考慮に入れて排出口52の高さが設定される。つまり、リング31が低回転の場合、間隙C内の潤滑油の流速が低く、その動力伝達部に潤滑油が届かない可能性があるので、排出口52の高さは、その点を考慮して、高めに設定しておく必要がある。しかしながら、排出口52を高い位置に設けた場合は、油貯留部91の潤滑油の油面を上方へと上げておくことが排出口52への潤滑油の流動を誘う上では好ましいのだが、これにより、油貯留部91の潤滑油への入力コーン21やリング31の浸漬量が増えるので、引き摺り抵抗の増加を招き好ましくない。
そこで、この無段変速機1においては、排出口52の面積を間隙Cの面積よりも狭め、この排出口52から排出される潤滑油の流速を上昇させることで、排出された潤滑油の飛翔距離を増加させる。これにより、この無段変速機1では、排出口52の面積を狭める前と比較して、排出口52から排出された潤滑油が動力伝達部に届き易くなる。従って、この無段変速機1は、リング31が低回転の場合でも、その動力伝達部に対して潤滑油を確実に供給することができるようになる。また、この無段変速機1は、リング31が低回転の場合の動力伝達部への潤滑油の供給量を確保した上で、排出口52の高さを下げることもできるので、油貯留部91の潤滑油の油面の低下による引き摺り抵抗の軽減を図ることも可能である。尚、排出口52の面積や間隙Cの面積とは、例えば径方向(リング31や油案内部材51の径方向)に切った断面の面積のことを云う。
ここで、その排出口52の縮小は、例えば、油案内部材51の排出口52側の端部をリング31の外周面側に傾倒させたり、その端部の内周面にリング31の外周面に向けた突出部を設けたりすることで絞り部を形成し、これにより実現させればよい。
以上示したように、この無段変速機1は、潤滑油案内装置の油案内部材51によって、油貯留部91の潤滑油をリング31の回転に伴う負圧で開口53から当該リング31との間の間隙Cに流入させ、その間隙Cの潤滑油を排出口52から動力伝達部に送ることができる。更に、この無段変速機1においては、排出口52を絞って潤滑油の流速を上げているので、リング31が低回転のときも、排出口52から排出された潤滑油を動力伝達部に供給することができる。従って、この無段変速機1は、その動力伝達部における動力伝達性能、潤滑性能や冷却性能を得ることができる。
また、この無段変速機1においては、負圧を利用して間隙Cに潤滑油を吸い入れることができるので、その間隙Cに過剰な油量の潤滑油を溜めておく必要が無く、この間隙Cの潤滑油による引き摺り抵抗の軽減が可能になる。その際には、リング31の回転のみで潤滑油を間隙Cに引き入れ、且つ、排出口52に導いて動力伝達部へと送ることができるので、潤滑油を入力コーン21等の掻き上げにより送るよりも引き摺り抵抗が軽減されている。従って、油案内部材51は、リング31だけを覆えばよいので、その小型化も可能になる。また更に、この無段変速機1においては、排出口52の絞り部による潤滑油の飛翔距離の増加に伴い、油貯留部91の潤滑油の油面を低下させることができるので、その油貯留部91の潤滑油の油量の低減が可能になる。そして、更に、この無段変速機1は、その油面の低下に伴い、入力コーン21やリング31の下部側のみを油貯留部91の潤滑油に浸漬させればよく、その潤滑油に出力コーン22を浸漬させずとも済むので、油貯留部91の潤滑油による引き摺り抵抗が軽減される。
このように、本実施例の無段変速機1は、動力伝達部における動力伝達性能、潤滑性能や冷却性能を確保しつつ、潤滑油による引き摺り抵抗の軽減によって動力伝達効率の低下を抑制することができる。
1 無段変速機
11 入力軸
12 出力軸
21 入力コーン
22 出力コーン
31 リング
40 リング支持装置
51 油案内部材
52 排出口
53 開口
54 突起部
90 筐体
91 油貯留部
C 間隙

Claims (3)

  1. 入力軸又は出力軸の内の一方として筐体内に配置する第1回転軸と、
    前記入力軸又は前記出力軸の内の他方として前記筐体内に配置すると共に、前記第1回転軸と平行に配置した第2回転軸と、
    前記第1回転軸に同心状に配置し、且つ、前記筐体内の油貯留部の潤滑油に下部側を浸漬させた円錐状の第1回転体と、
    前記第2回転軸に同心状に配置した円錐状の第2回転体と、
    前記第1回転体の外周面の軸線方向の一部を内周面側で覆うよう当該第1回転体に対して偏心させて配置すると共に、互いに回転する前記第1回転体と前記第2回転体とに挟まれた状態で配置し、これらとの間の摩擦力により回転しながら当該第1回転体と当該第2回転体との間の動力伝達を行う環状体と、
    該環状体を相対回転自在に支持し、該環状体と共に軸線方向で且つ当該環状体を前記第1回転体及び前記第2回転体の夫々の傾斜面に沿わせる方向へと移動可能な環状体支持装置と、
    前記環状体支持装置と共に移動できるよう当該環状体支持装置に取り付け、且つ、間隙を空けて前記環状体の外周面及び側面を覆いつつ、端部が前記油貯留部の潤滑油の油面よりも上方に位置するよう当該潤滑油内から前記環状体の回転方向に向けて延設し、前記間隙に入り込んだ潤滑油を前記端部の排出口に向けて案内する油案内部材と、
    を備えたことを特徴とする無段変速機。
  2. 前記油案内部材は、前記間隙に連通する開口を前記油貯留部の潤滑油内に有することを特徴とした請求項1記載の無段変速機。
  3. 前記排出口の面積は、前記間隙の面積よりも狭くすることを特徴とした請求項1又は2に記載の無段変速機。
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